『アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂う 英国パラソル奇譚』

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205426


[Amazon]

読了。

人間と人狼と吸血鬼が共存する19世紀イギリスを舞台に、大柄なヒロインが獅子奮迅の活躍をする、ヴィクトリアン・スチームパンク・パラノーマルどたばたファンタジー。シリーズ第四巻。


〈魂なき者〉=反異界族のアレクシア女史は、吸血鬼群のやむことなき暗殺の試みから逃れる為、表向きは親友のはぐれ吸血鬼アケルダマ家の隣に住み、実際はアケルダマ屋敷に居候することになった。身重の身体で引っ越しの陣頭指揮をとるアレクシアだが、仲の悪い実の妹フェリシティーが訪ねてきたり、人狼になりたての若者ビフィが問題を抱えていたりとごたごたつづき。ようやく落ち着いたと思った時には突然ゴーストがあらわれ、ポルターガイスト寸前の支離滅裂さで女王陛下暗殺計画を警告される。夫のマコン卿は身体を気遣い手を出すなというが、重大懸案を前に言われて引っ込むアレクシアではない。さっそくビフィをお伴に膨らんだ身体で捜査活動を開始した。




ネタだらけwww
読んでてとってもおかしくて楽しくて、ニマニマしてしまうシーンの連続でした。
面白かったー。
これ、絶対作者さんが一番楽しんでるよねと思うファン精神満載の作品です。

性格も体格も規格外れな貴婦人アレクシア・タラボッティの行動力は妊婦になっても衰えず、むしろ理性のリミッターが外れて傍若無人さに拍車がかかっている模様。
大の男(しかもみなアレクシアより数世紀年上)が三人かかってアレクシアの怒りをなだめすかそうとする冒頭から、笑えて笑えてしかたありませんでした。

個性的でなおかつツボを押さえたキャラクターとヴィクトリアンな時代風俗に奇想天外なアイテムが目白押しです。

幽霊からの意味不明な警告から端を発する女王暗殺計画の捜査に、かつての女王暗殺未遂事件がからんできて、アレクシアの捜査は迷走気味。
その合間にもフェリシティーのなぞの行動や帽子屋兼科学者マダム・ルフォーの憔悴や、人狼になりたての子犬のビフィの大騒ぎがくわわって、息をつくまもない。

そんなドタバタとすすむ話ですが、マコン卿の不幸な過去との関連が明らかになるあたりは、ちょっといやかなり深刻で、ここが話のクライマックスになってもおかしくはないくらいの盛り上がりでした。おおう、なんということだ……。

しかし、この話はあくまでもコメディー。
深刻なままでは終わらないのです。
さらにド派手でスケールアップしたドタバタの大波がやってきて、予想外の展開へと行き着きます。

プロローグの「ハは反異界人のハ」での大まじめで変な報告書や、アレクシアの親友アイヴィとのとぼけたやりとり、そして人狼団でのあかるい阿鼻叫喚のノリに、なんだかなじみ深い雰囲気だなあと感じていたのですが、読み返していて「あ」と気がつきました。青池保子『エロイカより愛をこめて』ですよ!

それからというもの、わたしの脳内では青池保子画によるアケルダマ卿やビフィやフェリシティやアイヴィが走り回ってくれて、とんでもないことになっております。

あえてだれがだれとは申しませんがかなりあり得ないよねって想像も含んでいます。
マコン卿の配役には相当な物議を醸しそうですしね、ははははは。

しかしアレクシアだけは想像がつきませんw

シリーズは全五巻で完結。本国ではすでに完結編が刊行された模様です。つづきをお待ちしています。

シリーズ開幕編はこちら。
アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205329

『メキト・ベス漂流記 最後の旅』

メキト・ベス漂流記 最後の旅 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ
404110100X


[Amazon]

読了。

海と人のかかわりを壮大なスケールで映像的に描く、異世界海洋冒険スペクタクルファンタジー三部作の完結編。


人減らしのために貧しい故郷ダルキース島をはなれた少女エマと少年ナオ、そして不思議な力を持つ銀の若者メキト・ベス。王家の力を乱用する国王との対決で呼び起こされた嵐に巻き込まれたかれらは、気がつくと百年後の世界に飛ばされていた。国王の利己的な行為で寒冷化した世界を目の当たりにし、かれらはともに漂着した黒の旗艦のスペシダレル伯爵、ニール・ゴー元艦長とともに、衰亡していく世界を救おうとしていたメキト・ベスの行為をようやく理解した。変わり果てたベルヌン島で情報を仕入れたかれらは、現在の国王とその宮廷が存在するという首飾り諸島をめざすことにする。その海路の途中にはエマとナオの故郷、ダルキース島があった。



面白かったです。

ディテールまで作り込まれたシビアな世界観と人間ドラマがどこまでもストーリーに殉じていく作品で、お話そのものも非常にストイック。
そぎ落とされた展開の中、それでも、押さえるべき点はきちんと押さえている。
そんなにストイックなのにドラマはものすごく劇的で、文字通りなだれうっての展開の果ての怒濤のクライマックスには大興奮しました。

もともと映像的な作品だなと感じていましたが、ほんとうに映画のようなお話でした。
それも、まるで大作映画を見たようなずっしりとした読後感。

この壮大な物語を三冊で書ききった作者さん、すごいです。

そして、なによりも帆船が活躍する海の鮮やかで躍動感にあふれる描写がすばらしい。
これ、アニメにぴったりの作品だなと思うのですが、テーマもNHKあたりでアニメ化してくれてもよさそうな感じだし。

登場人物の描き方は地に足がついていて、ラノベを読み慣れた人にはその点が物足りないかもしれませんが、むしろ妄想の余地はたくさんあると思います。
映像としてみれば、文章的には地味だった登場人物にも萌え要素が潜んでいることがわかると思うのでw
メキト・ベスの銀の容姿とか、スペシダレル伯爵の黒マントとか黒マントとか!www

余談。
これ、異世界ファンタジーと銘打ってるけど、わたし的には異世界SFだなーと感じます。
なんとなく、過去の負の遺産を清算して未来を救おう、そして試行錯誤、みたいな展開だとわたしはSFを感じるみたいです。
同じ作者さんの別シリーズも、そんなふうに感じたっけ……。

あと、王家の力のもともとの発端がもうすこし具体的に知りたかったかな。

ともあれ、絶体絶命のピンチにむちゃくちゃにゆさぶられつつ、息も絶え絶えにたどりついた終着点が希望のある場所でよかったです。

シリーズ開幕編はこちら。
メキト・ベス漂流記 背中の紅い星 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ 橋 賢亀
4048741713

20120509の購入

久しぶりの遠距離通院先で、近場では手に入らなかった新刊をゲットしました。

魔道師の月
乾石 智子
4488024890


夢の上 - サウガ城の六騎将 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼 天野 英
4125011990


以上、購入。

やっぱり大都会の大規模書店は違いますねえ。
こんなところが近くにあればなーと羨みつつ、いつでも手に入ると思うと買わなくなるかもとも思うあまのじゃくでした。

それからイヤフォンも購入。
カードのポイント全投入して買ってやったぜ!←やや自棄気味

DENON インナーイヤーヘッドホン ブラック AHC560K
B003LWCJIA


何度も試聴して決めたんだけど、試聴した機種が少なかったので自信はない……。

『コップクラフト 3 Dragnet Mirage Reloaded』

コップクラフト 3 (ガガガ文庫)
賀東 招二 村田 蓮爾
4094512454


[Amazon]

読了。

妖精や魔物の住む異世界とのゲートが開いた近未来の地球。サンテレサ市警察特別風紀班に所属するマトバ・ケイ、同じく風紀班に配属された実年齢より幼く見えるが堅物の騎士である異世界人美少女ティラナ・エグゼディリカのコンビの活躍を描く、近未来異文化接触警察アクションファンタジー? シリーズの三冊目。


サンテレサ市で名門シャーウッド高校に通う少女が薬物まみれの死体となって発見された。少女はセマーニ出身で弁護士から政治家へ転身を計るモダ・ノーバムの娘で、スキャンダルを恐れたノーバムは捜査に圧力をかけ、娘の死をもみ消そうとしていた。しかし名門高校の麻薬汚染を放置することは出来ない。上からの意向で捜査を担当することになった風紀班では、ティラナを生徒として高校へ潜入捜査させることになった。高校の制服に身を包んだティラナの姿には一片の違和感もなく、本人は憤慨しつつも任務につくことを承知する。



基本的にはアメリカを舞台に異文化に育ったふたりの刑事の活躍を描くバディー物ですが、日系おじさんの相棒が異世界美少女で堅物の騎士である、というところがギャップ萌えなシリーズです。

なにゆえそんなコンビが成立したのか、というところの設定がとんでもなわけですが、そのとんでもな部分を支える細部にいたるまで作り込まれた物語世界のリアリティーと、それがきちんとお話に絡んでいるところがわたし好みなところ。

主人公たちの属する組織内の表面的にはドライなやりとりのつづく中、じつはけっこう人情に厚くていいヤツ揃いなあたり、同著者の「フルメタル・パニック!」シリーズを彷彿とさせて安心感がありますね。

そこにもってきて、マトバ刑事とティラナ・エグゼディリカ嬢のコンビがたいそう生き生きとしてて魅力的で、読んでいてとっても楽しいです。

「フルメタ」でいえば宗介の立ち位置がティラナちゃんなんですが、あたりまえだけど宗介にはなかった萌え要素がティラナちゃんにはてんこ盛りww

堅物ですぐに荒事に持ち込もうとして成人していると言い張るわりに経験不足で不器用なティラナちゃん、すごく可愛いです。

風紀班のおもちゃにされかかってるの、本人自覚して……ないよねえw

マトバ刑事はふだんは軽い言動ですが、じつは過去に辛い経験をたくさんしている大人の男性である、てとこもティラナちゃんとよいバランスだと思います。

今回は風紀班らしい薬物絡みの事件でしたが、なぜか学園物になってしまうあたりに楽しさがありました。ティラナちゃんは大いに不満そうでしたが、彼女には先生役は無理でしょうw

事件そのものはいつも能天気なものではなく、むしろ難民問題などの厳しい現実をふまえた苦さを残すものの多いシリーズですが、話がきちんとまとまっておりコンビの距離がしだいに近づいていくのがわかるので、読後感もよいシリーズです。

わたしはティラナちゃんのセマーニ訛りがたのしいですw
つづきを楽しみにしています。

シリーズ開幕編はこちら。
コップクラフト (ガガガ文庫)
賀東 招二 村田 蓮爾
4094511725

「炎は甦る」

西東行さん作「炎は甦る」読了。

異世界ファンタジー長編、完結済み。
『神々の夢は迷宮』から始まる海人の少年ワツレンが主人公シリーズの一作で、「愚者の灯火」のつづきです。

今回はルーザ=ルーザのご家族が大挙してご登場(笑なのです)。
神々の謎がいっそう深まり、蒼い衣の吟遊詩人も大活躍なおはなしでした。
面白かったですv

神々の夢は迷宮 (講談社X文庫―ホワイトハート)
西東 行 睦月 ムンク
406286617X