『夢幻紳士 回帰篇』
夢幻紳士 回帰篇
高橋 葉介

借りて読了。
大正から昭和初期くらいの時代を舞台にした怪奇幻想譚のシリーズ。
美形の私立探偵・夢幻魔実也くんが事件にケリをつける役回り、という大枠だけが決まっていて、いろんなテイストの話が描かれてきたシリーズですが、今回のタイトルは「回帰篇」。
なんでそんなタイトルなのかと思ったら、本の投げ込み広告にいままでの名作のセルフリメイク・セルフリテイク作だと書いてありました。そういうことは本自体に書いておくべきだと思うのですが……違うのでしょうか。
しかし、読んでみても過去作品の記憶はまったく甦らなかったので、私は結局新作として読みました。ははは。
それにしても過去作品の雰囲気とか絵柄とかは覚えているので、今回のこの作品集はずいぶん作風が変わったなあと感じはしました。
昔のほうがもっと印象がシャープでクリアだった気がします。そしてエログロがきつかったような。怪奇幻想譚といっても怪奇のほうに重点があったというか、絵のインパクトで気分が悪くなったこともあったくらい悪の夢だった。
最近は幻想のほうが強くなってきて、絵も淡く翳りをおびているふう。
エログロ度も少なくなってきて、気持ち悪いのはおんなじなんですが輪郭があいまいになって抽象的になり、より夢度が高くなった。悪の夢ではなく、悪い夢になったかんじ?
以前はスプラッタホラーだったのがファンタジーホラーになったような?
でも悪夢は悪夢なのでホラーの冠が取れることはないなと思います。
線もより記号的になってきましたが、魔実也くんの表情だけはエロ度が増している……気がするなあ。
ところで、この巻では魔実也くんが探偵であることにはまったくといっていいほど触れられておりません。
かれはすでに探偵ではなく、なかば魔物の一員として描かれている気がいたします。
さすらいの半魔人・夢幻魔実也(汗。
面白かったです。
が、元の話が全然思い出せないのがなんか悔しいです。
高橋 葉介

借りて読了。
大正から昭和初期くらいの時代を舞台にした怪奇幻想譚のシリーズ。
美形の私立探偵・夢幻魔実也くんが事件にケリをつける役回り、という大枠だけが決まっていて、いろんなテイストの話が描かれてきたシリーズですが、今回のタイトルは「回帰篇」。
なんでそんなタイトルなのかと思ったら、本の投げ込み広告にいままでの名作のセルフリメイク・セルフリテイク作だと書いてありました。そういうことは本自体に書いておくべきだと思うのですが……違うのでしょうか。
しかし、読んでみても過去作品の記憶はまったく甦らなかったので、私は結局新作として読みました。ははは。
それにしても過去作品の雰囲気とか絵柄とかは覚えているので、今回のこの作品集はずいぶん作風が変わったなあと感じはしました。
昔のほうがもっと印象がシャープでクリアだった気がします。そしてエログロがきつかったような。怪奇幻想譚といっても怪奇のほうに重点があったというか、絵のインパクトで気分が悪くなったこともあったくらい悪の夢だった。
最近は幻想のほうが強くなってきて、絵も淡く翳りをおびているふう。
エログロ度も少なくなってきて、気持ち悪いのはおんなじなんですが輪郭があいまいになって抽象的になり、より夢度が高くなった。悪の夢ではなく、悪い夢になったかんじ?
以前はスプラッタホラーだったのがファンタジーホラーになったような?
でも悪夢は悪夢なのでホラーの冠が取れることはないなと思います。
線もより記号的になってきましたが、魔実也くんの表情だけはエロ度が増している……気がするなあ。
ところで、この巻では魔実也くんが探偵であることにはまったくといっていいほど触れられておりません。
かれはすでに探偵ではなく、なかば魔物の一員として描かれている気がいたします。
さすらいの半魔人・夢幻魔実也(汗。
面白かったです。
が、元の話が全然思い出せないのがなんか悔しいです。
『冬の薔薇』
冬の薔薇 (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 原島 文世

[Amazon]
読了。
近代欧米風な田園と森を舞台にした、生と死、夢とうつつを往還する幻想ファンタジー。
ふはー。なんというファンタジー度の高さ、というか深さ?
初めから終わりまで、夢とうつつ、生と死の狭間を行ったり来たりしつつ、その境目が曖昧なまま、どこを読んでいても言葉で魔法にかけられているようなそんな心地にさせられる、ひそやかで冷ややかで鮮やかで冷酷で、熱に浮かされた夢のようでもある、とにかく言葉に尽くせないほどに陶然とさせられるお話でした。
話のベースはスコットランドの民間伝承「若きタム・リンのバラッド」なのだそうですが、話の構造は重層的であちらこちらにエコーがかかって、登場人物の関係があちこちで響きあっているような、全体を魔法で織りあげたようなそんな物語世界になっています。
ロイズというヒロインの一人称が、その不思議さをまた増長しているような気がする。
二つの世界を見る目を持ち、二つの世界をかろやかに行き来していたロイズなのに、彼女のその資質そのものが苦しみをもたらすようになっていく、その過程を追いかけることによって、過去と現在が繋がり謎が解けていく。そのへんの展開がとても痛々しく、美しく、哀しかったです。
この世界では森ははっきりと異界ですね。
色鮮やかな春夏秋と冬の対照的な描写がとても印象的でした。
ここでは冬は死そのものであり、異界とこの世の違いをはっきりと証立てるもの、なのかなあと思いました。
とにかく、ファンタジー読んだぜ!!!!
という気分になれるディープな幻想譚でした。
大好きですv
ところで、この話の舞台ってアメリカな感じがするんですが、どうでしょう。
十九世紀から二十世紀初頭のアメリカ。もしくはカナダ。
イングランドやスコットランドじゃないような気がするのです。
トウモロコシとか育てているからかな……。
現代を舞台にした関連作品があるらしいので、ぜひ訳出して出版して欲しいなあと思います。
パトリシア・A・マキリップ 原島 文世

[Amazon]
読了。
近代欧米風な田園と森を舞台にした、生と死、夢とうつつを往還する幻想ファンタジー。
農家の次女として生まれたロイズは素足で森に通い、花や薬草を集めるのが得意な少女だ。ある日ロイズは、薔薇の茂みの影に見つけた泉の水をすくったとき、森から黄金の光がこほれおち、ひとりの若者の姿に変じるのを目にする。その後、村には森の奥の館の跡取りと名乗る人物が現れた。その名前はコルベット・リン。かれの存在は村にセンセイションを巻き起こす。なぜなら、リン家は息子が当主を殺害して行方不明になったときに絶えており、当主は死に際に自分を殺す息子を、自分とおなじように死ねと呪ったと伝えられていたからだ。ロイズはコルベットから目が離せなくなるが、コルベットが視線を交わすようになったのは春に結婚を控えたロイズの姉ローレルだった。
ふはー。なんというファンタジー度の高さ、というか深さ?
初めから終わりまで、夢とうつつ、生と死の狭間を行ったり来たりしつつ、その境目が曖昧なまま、どこを読んでいても言葉で魔法にかけられているようなそんな心地にさせられる、ひそやかで冷ややかで鮮やかで冷酷で、熱に浮かされた夢のようでもある、とにかく言葉に尽くせないほどに陶然とさせられるお話でした。
話のベースはスコットランドの民間伝承「若きタム・リンのバラッド」なのだそうですが、話の構造は重層的であちらこちらにエコーがかかって、登場人物の関係があちこちで響きあっているような、全体を魔法で織りあげたようなそんな物語世界になっています。
ロイズというヒロインの一人称が、その不思議さをまた増長しているような気がする。
二つの世界を見る目を持ち、二つの世界をかろやかに行き来していたロイズなのに、彼女のその資質そのものが苦しみをもたらすようになっていく、その過程を追いかけることによって、過去と現在が繋がり謎が解けていく。そのへんの展開がとても痛々しく、美しく、哀しかったです。
この世界では森ははっきりと異界ですね。
色鮮やかな春夏秋と冬の対照的な描写がとても印象的でした。
ここでは冬は死そのものであり、異界とこの世の違いをはっきりと証立てるもの、なのかなあと思いました。
とにかく、ファンタジー読んだぜ!!!!
という気分になれるディープな幻想譚でした。
大好きですv
ところで、この話の舞台ってアメリカな感じがするんですが、どうでしょう。
十九世紀から二十世紀初頭のアメリカ。もしくはカナダ。
イングランドやスコットランドじゃないような気がするのです。
トウモロコシとか育てているからかな……。
現代を舞台にした関連作品があるらしいので、ぜひ訳出して出版して欲しいなあと思います。
「レムリアの湊」
汐崎雪野さん作「レムリアの湊」読了。
異世界ファンタジー連作シリーズ「レンシェの鳩」第三作。完結済み。
散文詩めいたきららかな文章で描かれるロマンス小説。
今回は海洋冒険小説の趣もあり。
冒頭ですこしドキリとしましたが、中身は普段通りで安心しましたw
いや、苦手だからというわけではなく、予想してなかったのです。
対象は一般向けだと思います。
異世界ファンタジー連作シリーズ「レンシェの鳩」第三作。完結済み。
散文詩めいたきららかな文章で描かれるロマンス小説。
今回は海洋冒険小説の趣もあり。
冒頭ですこしドキリとしましたが、中身は普段通りで安心しましたw
いや、苦手だからというわけではなく、予想してなかったのです。
対象は一般向けだと思います。
『バガボンド 4』
バガボンド(4)(モーニングKC)
井上 雄彦 吉川 英治

借りて読了。
剣豪・宮本武蔵の青年時代を卓越した画力で臨場感たっぷりに描く、時代コミック。シリーズ四冊目。
故郷と決別して向かった京都で、名門道場に殴り込みをかけた武蔵。
それをこっそり覗いていた幼なじみの又八。
ふたりの距離と境遇とは、どんどん離れていくようでいて案外似た曲線を描いているのかも、と感じた一冊でした。
自分を追い詰めていく、という一点においてね。
二人が違うのは、武蔵がおのれの意志で前向きにそれをしているのに対し、又八は自分の意志なんだけどどこまでも後ろ向きであるというところかなー。
とりありえず、この巻の中心はふたりの関係ではないのですが(苦笑。
武蔵が自分の中に芽生えた情動にとまどい不安に陥って狼狽している姿がえらいかわいい巻でしたw
はやく自分という存在のすべてを認めてしまえるようになればいいのにねえ。
それができないからこその若さであり、成長していく主人公なのですが、出会う片端から仇をつくっていくような生き方は、やっぱりどうかと思うよ私は。
まだ自分の行為がどんな影響を周囲に及ぼしているのかの想像ができないんだろうなーと思いつつ、出会う敵役の思考回路も武蔵とどっこいどっこいで。
それが少年マンガのほとんどのパターンなんだけど。男の子ってどうして戦いが好きなんだろうねえ。でも大抵のマンガが敵を倒した、やったぜ、で終わるところでこのマンガはその先を描いてくれそうな予感があるので期待しています。
おつうちゃん、結局武蔵の妄想(笑)の中にしか出てこなかったのですが、げんきにしているのかなあ。
井上 雄彦 吉川 英治

借りて読了。
剣豪・宮本武蔵の青年時代を卓越した画力で臨場感たっぷりに描く、時代コミック。シリーズ四冊目。
故郷と決別して向かった京都で、名門道場に殴り込みをかけた武蔵。
それをこっそり覗いていた幼なじみの又八。
ふたりの距離と境遇とは、どんどん離れていくようでいて案外似た曲線を描いているのかも、と感じた一冊でした。
自分を追い詰めていく、という一点においてね。
二人が違うのは、武蔵がおのれの意志で前向きにそれをしているのに対し、又八は自分の意志なんだけどどこまでも後ろ向きであるというところかなー。
とりありえず、この巻の中心はふたりの関係ではないのですが(苦笑。
武蔵が自分の中に芽生えた情動にとまどい不安に陥って狼狽している姿がえらいかわいい巻でしたw
はやく自分という存在のすべてを認めてしまえるようになればいいのにねえ。
それができないからこその若さであり、成長していく主人公なのですが、出会う片端から仇をつくっていくような生き方は、やっぱりどうかと思うよ私は。
まだ自分の行為がどんな影響を周囲に及ぼしているのかの想像ができないんだろうなーと思いつつ、出会う敵役の思考回路も武蔵とどっこいどっこいで。
それが少年マンガのほとんどのパターンなんだけど。男の子ってどうして戦いが好きなんだろうねえ。でも大抵のマンガが敵を倒した、やったぜ、で終わるところでこのマンガはその先を描いてくれそうな予感があるので期待しています。
おつうちゃん、結局武蔵の妄想(笑)の中にしか出てこなかったのですが、げんきにしているのかなあ。







