『Landreaall 17』

Landreaall 17巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがき ちか
4758055610


借りて読了。

竜のいる異世界を舞台に不思議な存在感の若き公子DXと仲間たちの活躍を、センスある台詞回しで描く、ファンタジーシリーズ第十七巻。

お久しぶりの「ランドリ」です。
世間ではすでに18巻が発売中ですが、つねに時流に遅れているわたしは17巻をありがたく拝読いたしました。

……えーと。
前巻は、スピンドルとかいう化け物襲来後の学院の夏休みだったんでしたっけ?
ということは、この巻は夏休み明けのあらたな学院生活開始編で、新エピソードの開幕編なのかな?

学院ではスピンドルの繊維使用新制服がお披露目されたり、あらたな講義がはじまったり、そこですてきな先生にDXがビシバシ鍛えられたり、イオンちゃんがかたつむり収集を始めたり、六甲がゴーグルをとって騒がれたり、王城の研究室でDXが静かに怒ったり、といろいろ種を蒔いてますな感じです。

いつものように、おおざっぱなようで柔軟なDXの姿勢が周囲に斬新な衝撃をもたらすのが快感w
普段はフレンドリーなDXだけど、公の場における高位貴族としてのふるまいが下手なわけではなく、むしろ結構上手いのにどっきりしますw
そういう態度を取るときは内心で怒髪天状態なのが透けて見えるからかもしれませんが、その冷たさ加減がじつにカッコイイのもDXならではかw

何を考えているのかちょっと推測不能で、包容力と高い能力をもつ魅力的な若者DX。
そんなかれが、次第に「王とは何か」と考えるようになっているさまが、DXを王に推す玉階のアンちゃんとわたしに今後への期待を抱かせます。

仕込みたっぷり日常感たっぷりな異世界描写も楽しいですw
そしてキャラクター同士の含みたっぷりな会話のキャッチボールが楽しいw

だいたいにおいて会話によって話を進める展開なので、忘れっぽいわたしにはキツい部分もあるのですが、それがこの作者さんの持ち味であると思うので、忘れた部分はなんとか想像で補って読んでおります(汗。

ところで、この巻もですが最新刊にも限定版というのが存在して、限定版と普及版ではおまけ短編「Tail Piece」の内容が異なるというのを知り、ぎゃーっとなりました。

わたし、おまけが大好きなんですよねっ!!!(泣

人様から借りているのでどうしようもないのですが、別バージョンも読みたいです……

Landreaall 18巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがき ちか
4758056080

『乙嫁語り 3』

乙嫁語り(3) (ビームコミックス)
森 薫
4047273287


借りて読了。

中央アジアの遊牧民の日常とロマンスを描く時代シリーズ。

発売日に買いにいかなかったらリアル本屋から消えてしまいまして、うわあんと泣いていたら貸してくれる人がいたので読めましたw

カルククとアミルちゃんたちの天幕を離れたスミスさん視点で進む第三巻。

私財でアジアを巡り文化風俗を調査する、たぶんお坊ちゃん育ちだけど放浪者のスミス青年。

異なる風習と文化風俗との出会いに好奇心だけをもっていた読み手とスミスさんが、どうしようもない理不尽さと憤りにわなわなと震えるエピソード。

ここで、わたしはこれまでであったアミルちゃんたちの家族はとても恵まれて幸せな例だったのだなと思い知らされることになります。

旅の途中で出会った、若く美しい遊牧の後家さんタラスさんの幸薄さがあまりにもひどい、ひどすぎます。どのくらいひどすぎるのかは読んでください。きっと「ふざけんな!」と叫びたくなる事うけあいです。

とはいえ、これも法治でない治安の悪い土地の、力が無いと生きていけない、力のないものは力あるものを頼らないと生きていけない、いたしかたない現実です。

スミスさんと読み手のわたしはタラスさんの境遇に憤りますが、社会環境の作った風習には必然性もあるのですよね。

この作品の時代なら、ヨーロッパでも日本でも状況はそう違わないと想像します。

しかし、力あるものの個人的な資質でその下のものの幸不幸が定まってしまうということへのやるせなさはどうしようもなく、無力感にうちひしがれつつ涙をのんで耐えるしか無いので、哀しいです。

その哀しさをすこしでもへらすべく、いろんな制度は整備されてきたのですよね。

そんな暗くなりがちななかでのオアシスは、スミスさんの窮地に駆けつけたカルクク君たち。
アミルちゃんはともかく、なぜパリヤちゃんまでいるのでしょうね。
市場ではしゃぐ一行のほほえましさにほほが緩みました。
相変わらず天然のアミルちゃん。いきなりキジをさばいてしまうアミルちゃん。
そんなアミルちゃんに引きずられるかのように次第にほぐれていくパリヤちゃんがまたかわいいw

さらにさらに、市場ででてくる食べ物の美味そうな事! これは反則だ!
絵の細やかな美しさはもはやいうまでもないといった感じ。

このあとスミス氏はアンカラに向かうそうです。
……オスマン帝国?w

シリーズ開幕編はこちら。
乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)
森 薫
4047260762

『町でうわさの天狗の子 8』

町でうわさの天狗の子 8 (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091338232


読了。

お山の天狗を父親にもつ女子高生のちょっと不思議だけど普通な日常を描く、ほのぼの胸キュンなシリーズ。第八巻。

購入してから毎日一回は読み返しておりました。
しみじみと、わたしはこのシリーズが好きなんだなあ、と思います。

田舎町の普通の日常に天狗やその眷属やなにやらがまじっていて、それを見ても騒いだり咎めたりしない、それが普通だから。
ひととひとならぬものが何の違和感もなく共存している風景、というのがツボなんですね。

その顕著な例が、ヒロイン秋姫ちゃんの同級生赤沢ちゃんとお山で修行中のキツネ三郎坊の関係かと。
キツネに言い寄られて、それは最初はヒトガタになってたために気を惹かれたんではあるんだけど、つねにキツネだとわかっていながらつづいていく、会話やふれあいやあれやこれやで、赤沢ちゃんの心がゆれうごくさまが実にキュートv なのでありますよ。

おまけに周囲の人たちも、みんなキツネだってわかってて、それでいいじゃないっていう。
無責任なのかルーズなのか、とにかくすべてを肯定してくれる。
この不思議に包容力のある、ゆるい雰囲気のほのぼの感、たまりませんv

秋姫ちゃんのほうには天狗関係でいろいろと不安があるようですが、同時に瞬くんとの距離を意識しだしたりして、こちらもドキドキきゅんきゅんでございます。

瞬くんの肩幅を測るシーンには、ちょっと艶かしさすら感じたりして、うはあ、でしたw

瞬くんもひそかに変化しているなあw

この先、天狗としての秋姫ちゃんがどうなるのかが不安ですが、ちょこちょこ出てくる小さい奴らがなにか吉報をもってきてくれないかなと期待したりしてもいます。

はやく続きが読みたいシリーズです。

余談。
各回の扉絵がかわいくて好きです。
とくにお菓子がたくさんあるのが(笑。


シリーズ開幕編はこちら。

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091313930

『シュトヘル 4』

シュトヘル 4 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
伊藤 悠
4091838669


借りて読了。

13世紀モンゴルの侵攻が始まった大陸を舞台に、執拗に西夏文字を排斥するチンギス・ハーンから文字を守ろうとするハーンの息子と、西夏の女兵士シュトヘルの身体にトリップしてきた現代日本少年の逃避行を、殺伐とした戦乱の中に描く歴史スペクタクル。シリーズ第四巻。

あれ、ユルールってハーンの息子だったよね、違ったっけ?(汗
でもツォグのハラバルはユルールの兄ちゃんだった? あれ、あれあれ?(汗

例によって人間関係を忘れかけておりますが、それでもワクワクドキドキで読めました。

あいかわらずのとびぬけた画力とそれが描き出すシビアーで肉体的な痛みを伴う暴力的なシーンに、心の中で悲鳴が止まりません。

こういう、手足や首が飛んだり顔が潰されたり、という残虐なありさまを、よく「人とも思えぬ所業」などと書きますが、ちがうと思います。むしろ人間しかしない行為じゃないかと、読んでいてそう思いました。自分のアイデンティティを守るためとか、自分の快楽のためとか、社会規範を破るためとか、そんなことのために他人を殺せるのは人間だけだと思います。異常な精神状態に陥っての虐殺行為だって人間しかしないんじゃないかと思ったり。

……横道に逸れましたが、とにかく、極限状態におかれた人間たちのなかにぽんと投げ込まれた現代少年の存在の意味は、そのことを際だたせるためなのかなとか思ったり思わなかったりして読みました。

精神的タイムトリップ? という話の大枠の意味はぜんぜんわからないんですが、十三世紀の大陸の荒れ狂う時代の波にとにかく圧倒されます。

殺し殺され、愛し憎んで血を流し、涙をこぼし、絶叫しながら駆けぬけていく登場人物達の姿が熱いです。

この巻でチンギス・ハーンがなぜ西夏文字を滅ぼそうとするのかがわかりました。
なるほどねえ……。

主人公のシュトヘルになっちゃったスドー少年が、鈴木さんだった(?)ユルールくんに感じる性別逆転に微妙さとかを楽しみつつ、つづきをお待ちしています。

巻末のおまけになごみましたw


シリーズ開幕編はこちら。
シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
伊藤 悠
409182529X

『ましろのおと』1~3

ましろのおと(1) (月刊マガジンコミックス)
羅川 真里茂
4063712613


借りて読了。

青春音楽コミック。津軽三味線版。


澤村雪は十六歳。青森で知る人ぞ知る津軽三味線の名手である祖父によって兄と二人育てられ、物心ついた時から三味線を弾いてきた。他人には興味を示さず、祖父の音に近づくことだけが目標だった雪の世界は、しかし祖父の死によって断絶する。死に際の祖父に自分のマネをするならもう弾くなと言われ途方に暮れた雪は、さまよい歩いていた東京でタレントを目指す若い女性・ユナに拾われた。



面白かった! とても面白かった!!

津軽三味線の天賦の才を持った少年が、祖父の死を機に広い社会と出会い、成長し、自分の音楽を作りあげていくさまを、かれの出会う人びととのかかわりともに描く、音楽コミックシリーズです。

音楽といっても津軽三味線をテーマにした物語は西洋音楽とはかけはなれた伝統芸能の世界。
日本の風土に根づいて育まれてきた芸は、西洋音楽にどうしても感じてしまう距離感が無く、これまでになかった骨肉にしみいるような世界を描き出すことが可能なのだなーと、ちょっとした衝撃を感じる作品です。

三味線を弾くシーンの、絵だけとは思えない迫力に酔いました。
三味線をほとんど聴いたことないのに、なんなんでしょうか、この体に響いてくる震動は。

ストーリーの骨格だけを取り出してみればわりと常套な話ですが、津軽三味線というテーマへの真摯な姿勢がつたわってくる、とても熱いお話です。

それと、主人公の雪君がすごく好みだーw
作者さんの作品を読むのは初めてなんですが、男の子を魅力的に描かれる方なんですねえ。
ていねいでありながらシャープな、ちょっと色気のある描線がとても好きです。
ユナさんとかの女性も魅力的です。
女の子はちょっと眼の大きさにひきましたが(汗。

登場人物もそれぞれきちんと造形されていて、雪君のおにいさん・老け顔の十九歳若菜ちゃん(なぜ「ちゃん」づけ;)をはじめとして、それぞれに地に足をつけて立ってるふうなのも素敵です。

他人との競い合いどころか他人の音にも興味のない雪君が、これからどのように目をひらかれていくのか、かれを世に出そうとするひとびととの戦い(?)はどう展開するのか、ゴージャス母ちゃん・梅子さんはいったい何者で雪君の父親は誰なのか。

たぶん読み手に専門知識を解説するために儲けられたんだろうなーと思う、高校の津軽三味線同好会の行方は、そして故郷青森のライバル達(といっても雪君は無関心だけど;)の動向は。

つづきがすごく楽しみです!

ましろのおと(2) (月刊マガジンコミックス)
羅川 真里茂
4063712664


ましろのおと(3) (月刊マガジンコミックス)
羅川 真里茂
4063712818