ごく個人的な2007年ベスト

2007年に読んだ中から個人的に面白かった&好きな本です。2007年に読んだというだけで、刊行されたのは違う年のものも多いです。というかほとんど違います。順番はたぶん読んだ順で他に意味はありません。

去年までのベストはこちらにあります

ちなみに2007年に読んだ本は12月30日現在で全部で124冊でした。

須賀しのぶ「流血女神伝」シリーズ『喪の女王』の五巻~八巻。
とうとう完結したジェットコースター展開の大河ファンタジー。
歴史の醍醐味をいろいろと凝縮し、さらに神とひととの関係を濃厚に描いた、極上の娯楽作品となりました。
数えてみたら一年に四冊もでていて、あらためて凄いなーと感じ入りました。
知らなかったというかたにも完結を機にぜひぜひ読んでいただきたい逸品です。

流血女神伝喪の女王 5 (5) (コバルト文庫 す 5-60)流血女神伝喪の女王 6 (6) (コバルト文庫 す 5-61)流血女神伝喪の女王 7 (7) (コバルト文庫 す 5-62)流血女神伝喪の女王 8 (8) (コバルト文庫 す 5-63)

ロイス・マクマスター・ビジョルド『チャリオンの影』上下巻。
これは文句なしに面白かったです。主人公の自称ヘタレ中年が陰謀の渦中を若いお姫様のために頑張るお話。ファンタジーとしての楽しみもふんだんにあって、たいへんに充実した読後感でした。
続編『影の棲む城』がもうじき発売なので、とっても楽しみにしています。

チャリオンの影上 (創元推理文庫)チャリオンの影下

フィリップ・リード『移動都市』。
文明が崩壊した後、他都市を喰らって生きのびる移動都市の世界をぶたいに描かれる遠未来SFファンタジー。
これも読んでいてわくわくしました。とっても映像的な作品で、まるで宮崎アニメを見ているかのようなディテールと疾走感。話はどこか滅びの影をまとっていて爽快感とはちと無縁なのでしたが、とにかく物語世界の独特なおもしろさと少年少女の冒険という骨格にひきつけられます。
続刊の『略奪都市の黄金』は手元にありますがまだ未読です。たのしみに愛でている最中です。
移動都市 (創元SF文庫)掠奪都市の黄金 (創元SF文庫 リ 1-2)

ローズマリ・サトクリフ『第九軍団のワシ』。
ローマンブリテン四部作がついに岩波少年文庫に登場です。
というわけで再読なのですが、あらためて読んでみてもいいなあこの話すごく好き、と思いました。
行方不明になった父親の軍団の軍団旗をもとめて親友と北の辺境へと旅立つ、少年の成長物語。けしてあかるくはないきびしい展開だけど、だからこそこころ気高い登場人物とあざやかな情景描写がうつくしいのです。
第九軍団のワシ (岩波少年文庫 579)

ローズマリ・サトクリフ『血と砂 愛と死のアラビア』上下巻。
これもサトクリフです。こちらはどうやら大人向けに書かれた晩年の作品らしい。
ナポレオンの時代にイングランドから派遣されたスコットランド連隊の若者が、現地で捕虜となり、遊牧民の戦士たちと心を通わせてゆく、実話に基づいた物語です。
現地に行ったのかと思うほど臨場感のある情景描写がすばらしい。

ところで、最近、この感想記事が検索されることが多くてどうしてなのかと思っていたら、なんと宝塚で舞台化されるらしいです。とすると、たぶんトマスとトルコの太守の息子とか、トマスと義弟のトゥスンとかが主役なんだろうなー。ナイリとアノウドとのダブルヒロインだし。考えてみると配役的にも宝塚にちょうどいいのかも。私は宝塚のファンでもなんでもないけど、ちと見てみたいような。

血と砂 上―愛と死のアラビア (1)血と砂 下―愛と死のアラビア (3)

ラドヤード・キプリング『プークが丘の妖精パック』。
『ジャングル・ブック』のキプリングがイギリスの子どもたちのために書いた歴史小説。
この本は何とも愛らしくて純粋にいいなあと思える本でした。歴史は名前を残した偉大なひとだけでつくられているわけではないんだよと、それとなく伝えてくれるようなお話。サトクリフの愛読書だったそうで、彼女の作品にも雰囲気が似ています。サトクリフ好きにもぜひ。

プークが丘の妖精パック


壁井ユカコ『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』1~3。
『キーリ』の作者さんの新シリーズ。現代物だからかあんまり評判になっていないみたいですが、わたしはこのちょっと奇天烈な住人達と時層と次元がずれているかのような鳥籠荘のありようにひどく愛着があります。ひねくれ者同士のものすっごい遠回りの恋愛ものでもあるんじゃないかと推測しているのですが、どうなるのかなあ……。

同著者の『エンドロールまで、あと』もけっこう好きな話でした。こちらも現代物です。評判がよかったのか、ルルル文庫で出たあとハードカバー化されてますね。
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈1〉鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 2 (2) (電撃文庫 か 10-12)鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 3 (3) (電撃文庫 か 10-13)エンドロールまであと、 (小学館ルルル文庫 か 2-1)

ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌」第三部『剣嵐の大地』全三巻。
「氷と炎の歌」第三部はなんと全三巻でした。いつもながらの壮大で重厚で非情で大勢の人間たちの人生がつまった豊穣な大河ファンタジーです。極悪非道なストーリー展開に翻弄されつつ、読み終えた時には身もこころもボロボロになって、「つづきはどうなるのだーーー!!!」と叫んでました。
ほんとにほんとに速く続きが読みたいです。

剣嵐の大地〈1〉―氷と炎の歌〈3〉 (氷と炎の歌 (3))剣嵐の大地〈2〉―氷と炎の歌〈3〉 (氷と炎の歌 (3))剣嵐の大地 3 (3) (氷と炎の歌 3)
剣嵐の大地 3 (3) (氷と炎の歌 3)

梨木香歩『水辺にて on the water/off the water』。
作者さんの本は小説も読んだのですが、私はこのエッセイがたいへん印象に残りました。この、現実とひとつ向こうの世界をいったりきたりしているような感覚が、私が彼女の作品に親近感を覚える源なのかもしれない、と思います。
別の世界にたちすくんで、それでも物語を紡ごうとする根性、見習いたいです。(私は行っちゃうと先に進めなくなるんです;)

水辺にて―on the water/off the water

光原百合『銀の犬』。
この本は思いがけなくみつけた宝物という感じ。日本にはまだほかにもケルトファンタジーの書き手がいたのねー。と感動しました。
できればつづきも書いて欲しいけど、これだけで完結してくれてもいいような気もする。

銀の犬


中井久夫『関与と観察』。
このエッセイに関しては、私は語る言葉を持ちません。ただただ圧倒された。いままであまり接触したことのない世界の話だったこともありますが、著者の生きてきた歳月とその重みがまだ受けとめ切れていないのだとおもいます。
とにかく印象的には今年最強だった一冊。

関与と観察



そのほかには、谷瑞恵の『伯爵と妖精』シリーズ、青木祐子の「ヴィクトリアン・ローズ・テイラー」シリーズはコンスタントに新刊が出て、毎回楽しませていただきました。
あと多崎礼『〈本の姫〉は謳う 1』もおもしろかったです。

伯爵と妖精紅の騎士に願うならば (コバルト文庫 た 16-33) 恋のドレスと秘密の鏡 (コバルト文庫 あ 16-18 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)〈本の姫〉は謳う 1 (1) (C・NovelsFantasia た 3-2)

今年は去年の手術の影響をひきずってなかなか外に行けなかったので、積ん読ははけたけれどということは古いものばかり読んでいたということで、あんまり新しい本は読めませんでしたね。
最初に図書館に行った時に予約した上橋菜穂子の本は年内に到着しなかったし……。

それになんだか本よりマンガをたくさん買っていたような気がする。マンガのベストもやってみようかなー。しかしそれには時間がないので、年内の更新はこれにて。

皆様よいお年をお迎え下さい。

『伯爵と妖精 紅の騎士に願うならば』

伯爵と妖精 紅の騎士に願うならば (コバルト文庫 た 16-33)
谷 瑞恵
4086011115

[Amazon]

読了。

ビクトリア朝のイギリスを舞台にした妖精博士の女の子とタラシ伯爵のロマンティックファンタジー。シリーズ13冊目。

とうとう伯爵と婚約したリディア。でも彼女の心はまだ実感が薄くとまどい気味。結婚式の準備を着々と進めつつようやく婚約祝いのお返しを思いついた彼女はエドガーが喜ぶような贈り物を思いつかない自分に暗澹とする。そんなおり、母親の故郷であるヘブリディーズから若者ファーガスがいきなり訊ねてくる。かれはリディアが自分の生まれる前からの婚約者であると主張する。いままで聞いたこともなかった母の親族の出現はリディアにとんでもない危難を運んでくるものだった。



というような感じでお話は始まります。

今回の読み所は、いつも迫る伯爵から逃げるばかりだったリディアが、必要に迫られたからとはいえ自分からエドガーに猛アタック――といってもリディアだからささやかな試みなんですが(笑)――をするところですか。

距離が離れたところで自然にエドガーの自分に対する特別待遇を客観視し、さらにエドガーが自分に対して感じていただろうせつなさにまで思いをいたし、このひとがほんとうに好きなのだと自覚するという、まさに「恋愛もの」的な楽しさににんまりとしてしまう展開です。

わたしとしてはレイヴンの成長に目を瞠る巻でした。
いつもの天然ボケ突っ込みは当然として、いつのまにか「おお、お友達ができたのね、よしよし」的展開に。しかし相手のニコからは苦笑いが浮かびっぱなしのようですが。

「ではこれからも、見捨ててもいいのですね」
「お……おう」



今回はここがいちばん笑ったです(笑。

サブタイトルの「紅(くれない)の騎士」は、メロウから授けられた宝剣にかかわるエドガーの苦悶のはじまりを暗示しているのかな。
プリンスのことをさっさとうちあけちゃえばいいのにー、と思うのですが、エドガー的な矜持の持ち主にはそれはできない相談なのね。

まだまだ一波乱ありそうな展開ですが、しずかに続きをお待ちするしかなさそうです。

私的にはレイヴンの被害者がふえていくのが楽しいです。

私の職業適性?

よそ様の日記で見かけた【チミの職業適性】をやってみました。
うーん、こういうお遊びをするのも久しぶりだ……。

結果

……おもしろすぎ。
しかもぜんぜん現実性なしなんですケド。

さらに本名でやると「国王」「国王」「奉行」「奉行」……。

生まれ変わっても無理だと思うよ(苦笑。

『トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars VI 茨の宝冠』

トリニティ・ブラッド―Reborn on the Mars〈6〉茨の宝冠
吉田 直
4044184127

[Amazon]


読了。

文明崩壊後の地球を舞台に長命種と短命種とにわかたれた人類の抗争と、暗躍する薔薇十字団との暗闘をえがく、「遠未来黙示録」。
Reborn on the Marsの六巻目。

常套句を多用した装飾的な文章で描かれるスペクタクルアクション。
前作「薔薇の玉座」からひきつづいてアルビオンでの王位継承と薔薇十字団との抗争がからまりあって状況が複雑になってきました。
今回の肝はシスター・エステル・ブランシェの出自判明と、アベル・ナイトロード神父の兄とおぼしき薔薇十字団のカインの出現かなー。

主に聖書や西洋史から引用される固有名詞の持ち主が、もとの印象とはまったく異なるぶっ飛んだキャラになるのも最近では楽しみです。

このあとはいったいどうなるのかーってところでかなりの盛り上がりを見せているのですが、たしか、ROMってこの巻までしか出ていないのですよね……。
あとは残りのRAMを読んで補完するしかないのか。うーむ、残念。

ちなみに今回はトレス・イクス神父が大活躍でしたので、私的ポイントでは高得点の巻でした。
残りでも無表情に撃ちまくってくれるといいなあv

20071228の購入

自分の・年賀状がようやく仕上がりました。
去年は寝込んでいたので他人のも請け負わなかったのだけれど、元気になったとたんに四人分の裏面を依頼されて、やってるうちに疲れて、もう自分のはやめよかなーと思ったのだが、今年送って下さった方々には失礼したので、その分だけつくりました。
できたら即、投函。

オーバーン城の夏 下 (3) (小学館ルルル文庫 シ 1-2)
シャロン・シン 東川 えり
4094520457


郵便局に行くついでに本屋に足を伸ばし、ゲット。

もう今年はこれで最後にするつもりです。
間際にいったい何冊積ん読を増やしているのだか(汗。

そんなわけで朦朧としたまま全日本フィギュアを横目で見ておったわけですが、中継にいらない人間といらないシーンが多すぎです。むかしのシンプルな構成が懐かしい。地味な深夜枠でもあのころのほうがみていてストレスがなかった気がする。

録画したのでみたくないところは飛ばしてみることにします。

アソシエイトからのメール

きのうアマゾンのアソシエイトからメールが来たのですが、身に覚えのない内容にどっきり。

このたび2007年10月の紹介料のお支払い手続きを開始いたしました。あなたのアソシエイトアカウントはすでにクローズされておりますので、今回が最後のお支払いとなります。



いつのまにクローズしたんだ? 私?

さらに紹介料の部分が空白だったり、みょうな暗号だったりで、いったいなんなのこれは。

いつものことながらアソシエイトから来るメールは私の環境では文字化けしてタイトルが読めないのですが、たぶん月ごとのレポートなんだよね、これ。
いつもはそういうもんさとスルーしていたのですが、タイトルが意味不明というのもこうなるとブキミです。

おもわず問い合わせのメールを送ってしまいました。

で、その後。
本日発見したニュース。

ITmedia News】>「「アカウントを停止した」――Amazonアフィリエイト会員に間違いメール

あああ、よかった~。私がなにかついうっかりと阿呆をやらかしたわけじゃなかったんだー。

しかし、記事によると27日中に送られるという謝罪メール、まだ届いておりません。

2007.12.29の追記
28日夕方にアマゾンから質問への返答・謝罪メールが来ました。

20071226の購入

病院帰りに本屋に寄ってきた。

伯爵と妖精 紅の騎士に願うならば (コバルト文庫 た 16-33)
谷 瑞恵
4086011115


恋のドレスと秘密の鏡 (コバルト文庫 あ 16-18 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子
4086011123


大奥 (第1巻)
よしなが ふみ
4592143019


以上、購入。

探していたもう一冊がどうしても見つからなかったのでいつのまにかマンガに化けました(汗。

最近感想が滞ってますが、読んでます。読み終わらないだけで。
いま途中なのはハードカバーと、持ち歩き用のラノベです。

驚異の発明家(エンヂニア)の形見函 (海外文学セレクション)
アレン カーズワイル Allen Kurzweil 大島 豊
4488016359

何度か借りだしているうちにすでに文庫化されてます。

トリニティ・ブラッド―Reborn on the Mars〈6〉茨の宝冠
吉田 直
4044184127

人生ゲーム

きのうは、妹宅にケーキのお相伴にあずかりに行きました。
そしたら、姪が居間いっぱいに人生ゲームのボードを広げて待ちかまえていた。

人生ゲーム レインボードリーム
B0002YMJAS


これは弟が贈ったものらしいですが、朝おきてからずっとやりたくてやりたくてママ(つまりわが妹)を誘っていたものの、ママは忙しくてそれどころじゃなく、甥は毎日のノルマの宿題を済ませていないので参加させられず、姪っ子はひとりでもくもくと準備をしていたらしいです。これではやく遊ぶことを夢見て……。

そのまま無視するのもかわいそうなのでちょっとだけ一緒に遊んでやることに。
しかし、人生ゲームなんて子供の時に二、三回ひとの家で遊んだことがあるきりなのでルールがようわからん。
そこで説明書を眺めることしばし……

「えーい、めんどくさい、適当にやろう!」
「おおーっ!!」←意味は不明ながら始められると喜ぶ姪。

それから当然ながら私が銀行員を務めることになったわけですが、金の計算ができないは、約束手形の使い方がわからないは、給料日を通過すると自動的に支払われるはずの給料を支払い忘れるは、で、ざんざんな貧乏ゲームになりました。

途中で宿題を済ませた甥っ子が参戦したのでまたはじめから開始しましたところ、今度はこの甥っ子が災難続きで大笑い。私が給料を支払わないので約束手形がばんばん発行されているにもかかわらず、甥っ子にはお金と手形の区別が付かないので「わーい、たくさんあるー」と喜んでました。

あとから確かめたら、これって9歳からのゲームなのですね。
6歳の彼に理解できるわけがなかった。9歳の姪もおばさんの私も理解してなかった。

そしてようやくケーキを食べられることになり、食べ終わったら時間切れ。

「また明日来るから、つづきは明日やろうねー」
と去ってきた。

しかし帰宅後思い出しましたぜ、本日は通院日であったことを。

すまん、姪、甥。
今日は行けない。

あとで漏れ聞いたところによると、その後の宝探しモードでは甥っ子がツキまくって姪っ子がどん底に落ちていたとか。

「いやー、楽しいねえ、人生ゲーム」
とは端から子供の反応を見ていた妹の弁でありました。

『フィンランドはどこですか?』

最近Macをつけるたびに聴いている、谷山浩子のデビュー35周年記念アルバム。

フィンランドはどこですか?
谷山浩子 石井AQ モンティ・パイソン
B000VT9BSC


いつもの谷山節にさらに磨きがかかって、ブラックもホワイトもシュールもみんなきらきらしている感じの、大変お気に入りの一枚(?)です。

収録曲は以下の通り。


フィンランド
図書館はどこですか
放課後
人魚は歩けない
まもるくん
きみのそばにいる
タイタニア 恋をしよう
きれいな石の恋人
終電座
雪虫 Whisper



能天気な冗談ソングとてもたのしいモンティ・パイソンのカバー「フィンランド」で幕開け。

最初に聴いた時はとにかく「人魚は歩けない」が耳について離れなかったです。

そのあとは「タイタニア 恋をしよう」かなー。これはタイトルを見ればわかりますが真夏の夜の夢がモチーフになってて、ひじょうにファンタジーなひろがりのある一曲です。

「まもるくん」も好き。よくよく考えてみると不気味な状況かと気づくのだけど、なんだかほんわかとしてそれでもいいじゃん、みたいなのどかさがあります。

でもなんといっても「終電座」。いままでにないスケールの大きさで、ちょっとミュージカルっぽい雰囲気もあり、内容は例によって奇想天外。かなりおおきな盛り上がりがあって、そして最後にお茶目な落ちがつくという、これだけでひとつのお話になっているような曲。
聴くたびに舞台で合唱しているようなシーンが脳裏に浮かびます。

記念アルバムということで、いままでに親交のあったミュージシャンが大勢参加しているのも聞き所。

最後の「雪虫」は中島みゆき作詞・谷山浩子作曲の、雪の中のしんとした雰囲気をもつラヴソングです。

ところで、このアルバムからおもにiTunesで曲を聴くようになってきまして(CDプレイヤーを動かすのが面倒になった)、いまさらのようにその便利さを喜んでいるわけですが、これで聴いているとどの曲を何回聴いたかがすぐにわかるんですよね。
それで途中でやめたりしているとどんどん数字が揃わなくなってくるのがなんとなく嫌で、ときどきいちいち数字を揃えるためだけに終わりの数曲ばかりを繰り返して聴いてたりする……こんなことをするのは私だけだろうなーと思いつつ。

だからiPodではシャッフルを使ってるけどMacではやらない。

よく考えるとアホかと思います。私のこだわりってへんだよ、絶対。

『関与と観察』

関与と観察
中井 久夫
4622071754

[Amazon]

読了。

精神科医であり、仏語詩の翻訳家でもある著者のエッセイ集。

この方の文章に私は昨年岩波の情報誌『図書』で出逢ったのですが、そのときはたしか日本語についてのこまかい洞察に深く感銘を受けて(「センテンスを終える難しさ」)、他の著作も読んでみたいーと思ったのでした。
その後私のほうにいろいろとあったので手に取るのにずいぶん時間がかかってしまったのですが、ようやく読めました。

そして、期待以上でした。
明晰でありながら穏やかでバランスのとれた文章を書かれるかたで、それは日本語に対する興味からきているものなのかなと思いますが、読んでいて非常に安心感のある言葉遣い、文章なので、どこにもひっかかりや力みや危うさを感じることなくするすると読める、ストレスのない安心できる読書でした。
書かれている内容がかなりのストレスをともなう事柄であることを思うと、これは凄いことなのではないかと思います。
つよく自分を主張することなく、客観的な事実を元に理性的に組み立てられた思考を静かに述べる、そんな言葉は抵抗感なく心の中に浸透するものなのだなーと感心しました。
専門用語を使用した項もそれなりに理解できる(ように感じる)のはそんな文章のおかげかと思います。

以下は目次。




精神医学および犯罪学から見た戦争と平和
日本社会における外傷性ストレス
 ――こころのケアセンター開所式講演


II

精神分裂病の名称変更
今にして戦争と平和
ポスト高齢化社会はどうなるのか
平成一四年を送る
イラク戦争開戦に思う
イラク戦争終了に思う
グローバリズムの果て
癌治療の場を垣間見る
中東で繰り返される日中戦争
日本の占領とイラクの占領
日露戦争を眺めなおす
二〇〇四年の歳末に思う
仕掛けられた憎悪の火種
日本人の〝人間の条件〟は
二〇〇五年九月一一日以後


III

現代社会に生きること
現代における生きがい


IV

日本の家族――その近代と前近代
生活空間と精神健康




土井健郎選集解説
霜山先生のお弟子さんたち
ロナルド・D・レイン『ひき裂かれた自己』
河音能平君の少年時代
村沢貞夫を送る 二〇〇四年一月七日


VI

須賀敦子さんの訳詩について
「その地」を訪れざるの記
石川九楊『日本書史』を読む

あとがき
初出一覧



そして、取りあげられている事柄について示された事実については、私は自分の不勉強を深く恥じ入るばかりでした。
たとえば、戦争はいけない、嫌い、といいつつ、その中身についてまったくの無知では反対の声もつよくなりません。
やはり日本人は戦争についてもっと事実を知るべきなのではないかと思いました。
それは個人的な体験だけでなく、客観的な情報を元にした原因や理由や経過でもあるべきだと。
とくに戦争神経症患者の実態などはもっと知られるべきと思いました。

後半、親友の死に際しての追悼の言葉には、豊穣な人生を歩んでおられたのだろう故人に対して、こんなことを書いてなんですが、ウラヤマシイという気持ちになりました。

さらに書評に関してはほとんどを読んだことがないので推測でしかものを言えませんが、『日本書史』はおもしろそうだなーと思いました。
それと、須賀敦子さんの訳詩には「読んだことあるはずなのに覚えてない~」と悔しい思いをしたので年が明けたら探してみようと思います。
もちろん、著者の他のエッセイも読みたいと思ってます。

樹をみつめて
中井 久夫
4622072440


須賀敦子全集 第1巻 (河出文庫)
須賀 敦子
4309420516

『おおきく振りかぶって 9』

冬至だったせいか、はたまた前日に働きすぎたせいか。眠くて眠くて爆睡してしまいました。真っ昼間に。

おおきく振りかぶって Vol.9 (9) (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063144828

[Amazon]

睡魔にもめげずこれだけは読みました。
野球=青春、マンガ。このマンガにあっては野球が従でも青春が従でもない。野球が青春なんだー、という感じです。

一回戦に大物をくらってしまったのでその後の展開が心配でしたが、いやはや、ちゃんと考えてありますねー。
試合と試合のあいだもたんなるインターバルでなく、日常生活も濃密につづいてます。現状、日常も野球、なんですが、それも青春だよなあ……。
栄口君が高校生とは思えない洞察力で三橋の心理状態を分析してたり、阿部君が自分の大声にいまさら気づいたり(苦笑、野性の天才児(意外にあたまもよい)田島君をどうしてもどうしても意識してしまう花井君……。ああ、楽しいなあ……。

んで、モモカンの過去がちょびっとだけ判明したりv

二回戦は無垢なる天才児佐倉くんに敵味方振りまわされる展開になるのかなーと推測してみたりしています。

阿部君の笑顔が腹黒で気持ち悪いよ(笑。

というわけで次巻を待つ。

20071221の購入

外出しました。「おお振り」と家族の靴下だけを購入して帰宅する予定が、なぜかこんなことに……。

おおきく振りかぶって Vol.9 (9) (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063144828


グリム童話集 上 (1) (岩波少年文庫 147)
ヤーコプ・ルードヴィヒ・グリム ヴィルヘルム・カール・グリム 佐々木 田鶴子
4001141477


火の国、風の国物語―戦竜在野 (富士見ファンタジア文庫 182-1)
師走 トオル
4829119721


崖の館 (創元推理文庫)
佐々木 丸美
4488467016


以上購入……。

ついでに百均で(!)姪甥へのクリスマスプレゼントを購入しました。
ふだん買ってやってるものより安いのは理不尽だろうか(汗。

「鳥の娘」

高村紀和子さん@【Caffe del Fenicottero.】作、「鳥の娘」読了。
東アジア風異世界ファンタジー短篇。完結。

男前な公主がユニークで好きですv

20071218の購入

クリスタル・ドラゴン vol.12 (12) (秋田文庫 16-25)
あしべ ゆうほ
4253178596


プリンセス・コミックス版の25巻が出たというので探してみたところ、とうに出ていた文庫12巻を発見。どうして気づかなかったんだ、自分。というわけでネットで購入。

以前だったらみつけるのにさんざん手こずっていただろうに、いまは便利になったものです。

コミックス版はこちら。
クリスタル・ドラゴン 25 (25) (ボニータコミックス)
あしべ ゆうほ
4253260004

『しゅごキャラ! 3』

しゅごキャラ! 3 (3) (講談社コミックスなかよし)
PEACH-PIT
4063641392

[Amazon]

四巻と引き替えに姪から借りてきました(苦笑。

今回は前巻から思いっきりひっぱってきたエピソードがつづいていて、これが新任の先生が実は悪の手先(?)だったというやつだったので「これって教育的にどうなんだろう。先生に対する不信感に繋がらなきゃいいけどー」などと保護者的観点から読んだりしている自分にちょっと苦笑したりしてました。

ヒロインに対するダブルヒーローはいまのところブラックイクトのほうがだんぜん魅力的ですね、ワタクシ的には。
ホワイトタダセはおこちゃまなのでカワイイ、なでなでーてかんじです。
イクトも中坊らしく肩掛け鞄をかけているあたり、ほほえましいけどさ。

別のキャラクターに変身して特別なパワーを発揮するのをキャラなりというのですが、そのキャラなりにはじめあった抵抗感がこんなにはやくなくなるとは思わなかったんで、そのへんがちと物足りないかなーとおもいました。これからは歌唄とのイクトを巡る女の戦いになるのかなー。

次巻の予告を見るとメインのはずだったガーディアンのメンバーにはやくも入れ替わりがあるらしく、めまぐるしいなあと思ったり。
でも、昔だったら(って私の昔はン十年前だが)四巻も使えば大長編だったんだけどもー。
全体的にマンガってスピードアップしてるのかしてないのか。あ、ディテールが細かくなったってことは確実ですね。

「クレオパトラは微笑まない」

早瀬千夏さん@【裏庭の午睡】作「クレオパトラは微笑まない」読了。
20世紀初頭の英国を舞台に青年執事の日常をえがく短篇連作「ジョン・エリオットの日誌」シリーズの第一作。

「うるわしの英国」シリーズや『エマ』みたいなヴィクトリアンなどの大英帝国の話がお好きな方にはおすすめ。
ただし、恋愛色はありません。

『フレッドウォード氏のアヒル 4』

フレッドウォード氏のアヒル 4 (4) (HMB U 2-4)
牛島 慶子
4834274055

[Amazon]

イギリス郊外の大きな一軒家。その家には作家がいてその恩人の息子と飼い犬と元恋人と現恋人がいて、そしてアヒルの家政婦ローズマリーがいる――。
ハートウォーミングなメルヘンコミック、文庫版全四巻の完結編です。

いつのまにかすっかりローズマリーと彼女の創り出す平穏に頼り切っていた住人達。しかし幸せな時間はとどまってはくれない。いつかは変化がやってくるのだ。
孤独だったケビンがあたらしい絆を得、ローズマリーはみずからの引き際を悟る。
そして夢のようだった日々へのお別れの時……。

しみじみとよかったなあと思えるラストシーン。
人生はときにつらさをときに喜びをもたらしつづいてゆくけれど、たまにはこんな休暇のような時間があるといいなあ……私にも。
ということはローズマリーのいる空間はそれだけでちいさな異界だったのねえと、いまさら感心する私でした。

しかしわたしゃホントにこのラストシーンを読んでいなかったのだろうか。
手持ちでないはずのつづきにもなんとなく既視感のあるシーンが複数あるんですケドモ(汗。

収録タイトルは以下の通りです。


Watermark
バイバイ B.バード
永遠につかまえて
夏の雨
夜の音
リトル・クリスマス
遠い楽園
ローズマリー・ガーデン
そして さよなら…

アヒルのおまけ伝説 ローズマリー・クエスト
魔法の森


『奏でる少女の道行きは 黄昏色の詠使いII』

奏でる少女の道行きは (富士見ファンタジア文庫 174-2 黄昏色の詠使い 2)
細音 啓
4829119187

[Amazon]

読了。

名詠士をめざすものたちのための専門学校を舞台に、青少年たちの青春と活躍を描く、たぶん異世界ファンタジーシリーズの第2巻。

むー。
一巻を読んだ時に感じた若々しさがさらに前面に出て悪い結果を招いてしまったような巻でした。
舞台が学校の中に留まっている時には無視できていたさまざまな疑問が世界がすこしひろがったせいで余計に気になるようになってきたのと、ストーリーを展開する上で無理をしすぎているというのかな。得体の知れない事件に起きている地域に生徒たちを連れていったら、それだけで現実的には大責任問題ではないでしょうか。そんないい加減な行動を読んでいるうちに著しく臨場感が欠けていってしまいました。

とにかく、この世界に詠名士がいる理由がいまだに私にはわからないので、困りました。

マンガだったらまだ気にせずに読んでられたかもと思う。ということはもうすこし舞台に関する説明及び描写を密にしてくれると個人的になんとなく納得するのかなと思うのですが。

でもキャラクターたちの背負った謎の行方は知りたいし、相変わらずわからないこの世界の文明度と詠名の存在意味も知りたいし、すでに次の巻は買ってしまっているのでつづきは読みます。

20071215の購入

土曜日は外出の日となりつつあります……安売り日なので。
帰りに姪っ子と待ち合わせてお昼を食べ、その後「本屋! マンガ!」と主張されてまたもや買ってやるはめに。

しゅごキャラ! 4 (4) (講談社コミックスなかよし)
PEACH-PIT
4063641562


私もたいがい大甘なオバですな。(汗。

まだアニメは一度も見ていないのですが、姪は毎回欠かさず鑑賞している模様です。
「ラン、ミキ、スゥっていったらキャンディーズだよねえ」といったら「どうしてママとおんなじ日におんなじこというの?」と不審がられましたが、いや、全然示し合わせてなどおりません。年代がおなじだからよ(苦笑。

ちなみに甥っ子にはポケモンパン(小)イチゴ味を頼まれました。
甥っ子はポケモンにはまっています。たぶんカード集めてます。カードの種類にはこだわってないみたい(笑。

わたしのほうは朝から昼過ぎまでずっと外にいたので非常に疲れました。
一日中出ずっぱりはまだ無理のようです。

20071214の購入

近所の本屋に見あたらなかったのでネットで頼んだ本が到着。

掠奪都市の黄金 (創元SF文庫 リ 1-2)
フィリップ・リーヴ 安野 玲
4488723020


もう翻訳の文庫ものは千円以上が常態化しているのかしら……。

『フレッドウォード氏のアヒル 3』

フレッドウォード氏のアヒル 3 (3) (HMB U 2-3)
牛島 慶子
4834274047

[Amazon]

孤独な作家のケビン・フレッドウォードの元にやってきたアヒルの家政婦ローズマリー。彼女のおかげでケビンの周囲にはあたたかな人と人との通い合いが生まれてゆく。ところどころビターだけどなにげないひとことひとことに心をハッとさせられる、ハートウォーミングなメルヘンコミックの文庫版第三巻。

この巻は角川版の五巻の途中から七巻の途中までが収録されていました。


サマー・タイム
釣りに行こう
紙の冠の王様
スリー・ドッグ・ナイト
誰かが道をやって来る
魔女の集会
氷の貴婦人
死にたい奴はいるか
シャナヒーの晩餐
桜の宿り

ウシジマの朝メシまえ



浮浪児だった時の恩人の息子をようやく探し当てたものの、少年ニックJrは不治の病に冒されており、頑なな心をなかなか開こうとしない。
担当医のグロリアとの会話ですこしずつわかってくるニックの孤独。
ひとびとの命と孤独とを受けとめる職業にやりがいを感じつつも、女としての人生をあきらめかけているグロリアの孤独。
ケビンを振りまわして悪女を演じるエスメラルダの孤独。
それらをやさしく包みこんでくれるローズマリーの暖かさが身にしみる一冊です。

ケビンを一途に恋する少女シェリルの再登場で事態は一気に怒濤の展開へ。
いまだに知らない結末を楽しみに、第四巻を読むことといたしますv

『水辺にて on the water/off the water』

水辺にて―on the water/off the water
梨木 香歩
4480814825

[Amazon]

読了。

『村田エフェンディ滞土録』の作家さんのエッセイ集。
以前読んだ『春になったら苺を摘みに』は対人関係に関する記述が主でしたが、今回のは自然に関する感受性が感じられる一冊。

インドア派かと思っていたら意外にも車を駆使して旅に明け暮れ、水辺を愛してカヤックを始める行動派の面にもちょっとおどろき。

でも、その行動の核には自然に関する共感というか一体化してしまうかのような親和性があるのですね。
その自然のうつくしい環境の中で半ば自分を見失い溶けてゆくかのような意識で、かならずその体験をかたるための言葉を探しているという当たり、この方はほんとうに言葉で伝える人なんだなあと感心しました。

それぞれに取りあげられる事物に私の興味が重なる部分が多いのも手伝ってか、別の国に足を踏み入れ欠けた人の体験をそのまま味わわせてもらっているような気持ちになりました。

本人の意識や視点が変わるだけで、昨日までのおなじ大地も別の世界のものとなる、ような気がする、今日この頃。


風の境界1
風の境界2
ウォーターランド タフネスについて1
ウォーターランド タフネスについて2
発信、受信。この藪を抜けて
常若の国1
常若の国2
常若の国3
アザラシの娘1
アザラシの娘2
アザラシの娘3
川の匂い 森の音1
川の匂い 森の音2
川の匂い 森の音3
水辺の境界線
海からやってくるもの
「殺気」について
ゆっくりと
隠国の水1
隠国の水2
一羽で、ただただじっとしていること



文中で取りあげられている文章はどれもこれもその場にぴたりとあっていて、「あ、読みたいな」という気分になりました。
とくに『たのしい川べ』。いまだに読んでいないのが恥ずかしくなってしまった(笑。
あと、『ウォーターランド』という本は、一度借りだしてきて読み切れず途中で投げ出した本でした。
また手を出してみようかなーと思った。

『古時計の秘密 ナンシー・ドルーミステリ1』

古時計の秘密 (創元推理文庫 M キ 5-1 ナンシー・ドルーミステリ 1)
キャロリン・キーン 渡辺 庸子
4488250033

[Amazon]

読了。

少女探偵の活躍をえがく少女向けミステリシリーズの第一作。

十八歳のアメリカ人少女ナンシー・ドルーが難事件を次々と解決する(らしい)、1930年からキャロリン・キーン名義の複数作者によりいまだに書き継がれているというこのシリーズ、欧米では長く親しまれてきたらしく大人向けのミステリにもナンシーのことはよく引用されます。私もあちこちでそんな表現を読んだことがあります。

少女探偵といってもアメリカのことですから、弁護士の父親のプレゼントであるブルーのコンバーチブルを乗り回すという十八歳なんですが、この本が書かれた当初はまだ現在ほどは世の中がくだけていなかったようで、ナンシーは実に礼儀正しい少女です。……つーか、私にとってのアメリカの十八歳はいまじゃ少女というイメージではないですから、この言葉が似合うということじたい作品の古風さを感じるのではありましたが。

ただ、明るくフレンドリーで親切である、というのはアメリカ人の美徳の条件としてむかしから受け継がれているのだなあとも思いました。必然的にナンシーはみんなの人気者です。そして父親も威厳はありますがじつに公正かつフランクな人物として描かれてます。これも典型的な善きアメリカ人ですね。
深みはないですが嫌味も感じず、無邪気な時代の善きアメリカという雰囲気の物語世界です。

そして物語は、描写はほとんどないですがナンシーの行動力でどんどん話が進んでいくのが快感。勧善懲悪の展開も読んでいて安心感があり、児童向けとして配慮されつつもじつによくできた娯楽作品であるなあとしみじみいたしました。
あっという間に読めて幸せ気分という、大人にとっても暇つぶしには最適な読み物なのではないかとおもわれます。

さらに、小学生の時に学校の図書室で複数タイトルを読みかけ読みかけして結局一冊も最後まで読めなかったシリーズを初めて読み通したということで、そこはかとない達成感にひたったワタクシです。
三十ン年越しの未練にようやく決着が付いた気分です(笑。

あとがきによれば今回の創元推理文庫のシリーズは原書を元にした完訳版。
以前は抄訳が多かったそうなので昔の読者も一読の価値あり、ということです。
以前の版をちょっとずつですが読んでいたはずの私には、どこがちがうのかさっぱり思い出せませんでしたが……(汗。


積ん読しているうちに第2巻が刊行されていました。
幽霊屋敷の謎 (創元推理文庫―ナンシー・ドルーミステリ (Mキ5-2))
キャロリン・キーン
4488250041

20071213の購入

昨日は昼まで雨でした。寒かった……。

フレッドウォード氏のアヒル 3 (3) (HMB U 2-3)
牛島 慶子
4834274047


フレッドウォード氏のアヒル 4 (4) (HMB U 2-4)
牛島 慶子
4834274055

これで完結まで読めます。嬉しいv

奏でる少女の道行きは (富士見ファンタジア文庫 174-2 黄昏色の詠使い 2)
細音 啓
4829119187


アマデウスの詩、謳え敗者の王 (富士見ファンタジア文庫 174-3 黄昏色の詠使い 3)
細音 啓
4829119411


ついつい買ってしまいましたよ。
今月は予定外の出費を控えるつもりだったのに(汗。

『イヴは夜明けに微笑んで 黄昏色の詠使い』

イヴは夜明けに微笑んで (富士見ファンタジア文庫 174-1 黄昏色の詠使い)
細音 啓
4829118806

[Amazon]

読了。

名を賛美して詠うことで呼びたいものを招き寄せる名詠式。名詠式を駆使する名詠士をめざす専門学校の学生たちをメインに描く、青春群像ファンタジー。シリーズの一冊目。

第十八回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作品。

あちこちでタイトルを見かけて気になっていたのですが図書館に既刊がそろっておらず、というより半分以上なくなっているらしいので、えいやっと購入致しました。

読みながら若いなー若いなーと感じておりました。
こういう話を書きたいという意欲が純粋に感じられる作品です。

色を持つ触媒を介して名詠する式とかの概念はよく作り込まれていると思いますし、たくさんのキャラクターの物語が年少組と年長組、バランスよく配置されているのも好感が持てました。

そうじて癖のない文章で読みやすかったです。
欲をいえば台詞めいた文章での内容ダブりを減らしてもうすこし落ち着いてくれれば私好みかなー。

それと、根本的なところ、たとえば専門学校があるくらい名詠士が一般的な存在であるはずなのに、そのかれらの社会的な役割がいまいちはっきりしないという疑問が残りました。

名詠士ってつまるところ召喚士みたいなものなんですかね。今回は文明化された物語世界で、異世界なんだろうけども電気やなにやらも通っているかぎりなく現代風の平穏な日常の感じなのかなとおもってきたところで、いきなりバトルに入ってしまったのにはかなり違和感を持ちました。

しかも名詠士たちはけっこう戦い慣れている感じだし。

そこで先生以外になった名詠士は日常的にはなにして生計たててるんでしょうかとか考えてしまったわけです。運輸業という例がひとつだけ挙げられてましたが、電気がある世界に自動車はないものなのでしょうか。道路は舗装されていたようですが。四時間かけて通学しているというミオは毎日歩いてくるのでしょうか。うーーむ。

と、多分私以外には関係のないみょうなところでひっかかってしまいましたが、考え込んだおかげでアイデアがひとつ浮かんだのでちょっと感謝。

話自体は冒頭で書いたとおり若々しくて好感が持て、つづきが気になるのでそのうち買っているかもしれません(笑。

いまのところの最新刊。
踊る世界、イヴの調律 (富士見ファンタジア文庫 174-4 黄昏色の詠使い 4)
細音 啓
4829119764

『狼と香辛料 II』

狼と香辛料〈2〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂
4840234515

[Amazon]

読了。

西洋中世風異世界を舞台にした、商人冒険ファンタジー、異教の狼神・花魁風とのじゃれあいつき。

このシリーズ、続刊が出るのが速いですねえ。本屋に行くたびに新刊が出ているのを見たような気がしてましたが、現実に今店頭に並んでいるのは六巻です。
私が一巻を読んだのは昨年のことなんですが、それから全然続きが出ていないシリーズもあるというのにこのペースは驚異的だとおもう。

というわけでいまさらですが第2巻です。

それなりに経験を積んだ行商人の青年ロレンスとかれをもてあそびつつ道中をともにする変わった美女じつは狼ホロの、もうけたり損したり窮地に陥ったり相手と駆け引きしたりいちゃいちゃしたりの商い珍道中。

今回は商売相手のペテンを見破って大もうけを目論んだところが反対にとんでもない負債を抱えこまされる羽目に陥ったロレンスが、ホロの知恵を借り、自分の頭をフル回転させて起死回生の勝負に打って出る、という話です。

読んでいて思い出すのはシミュレーションゲームの大航海時代。
私は小金を貯め込む以上のことを目論むと、とたんに北海の氷の中で餓死とか東南アジアの島のあいだで渇き死にとか、シベリアの氷の中で餓死とかしてしまう、そういうぜんぜん商売にむいていない人間でしたが、こういう異世界の商人を主人公にしたゲームというのも面白いかもしれないなあと思いました。

その点、大航海時代と違ってこの話はホロを北の故郷に連れていく、という大目的があるので、舞台が西洋風世界に限定されているのがちとつまらんです。
やっぱり中世に商売して一山あてようと思ったら当時の先進地である地中海に打って出るべきだよなあ。そしてできたらさらにアジアをめざす。
異文化と交流してあらたな流行や文化を生み出したりするのも、商人の活動に付随する大きな結果ですしね。
まあ、この世界にイタリアや中東やアフリカや中国があるのかどうかは知りませんし、このシリーズに人が求めているのはべつの要素かなあと思いますが。

それにしてもホロって超めんどくさい女だなあ、と思います。
彼女は狼なんだけど、むしろ男の求めるある種の女を強調した存在であるほうがつよいキャラクターなのかもしれません。
ホロが花魁みたいな言葉を使うのはそのあたりを強調したいからでしょうか。
ロレンスみたいな辛抱強い男って現実にはそうそういないですよねえ、惚れた弱みかも知らんけどじつに懐が深いなあ。
私がロレンスだったらホロみたいな連れは欲しくないけど、私がホロだったらさぞかし楽しかろうなと思ってしまいます(笑。

またつづきをみつけたら借りてきます。

近頃出たらしい最新刊。
狼と香辛料 6 (6) (電撃文庫 は 8-6)
支倉 凍砂
4840241147

『オーバーン城の夏 上』

オーバーン城の夏 上 (1) (小学館ルルル文庫 シ 1-1)
シャロン・シン 東川 えり
4094520384

[Amazon]


読了。

西洋中世風の異世界。祖母の元で呪術師の修業をする少女コリエルは、じつは貴族の庶子だった。夏になると父方の叔父ジャクソンがコリーを貴族たちの暮らすオーバーン城へと連れてゆく。そこにはコリーの大好きな母違いの姉エリサンドラと、あこがれの世継ぎの王子ブライアンがいた。十四歳の夏、まだなにも知らない無邪気なコリーは、叔父に引率された王子とその従兄ケントらとともにふしぎな種族アリオラを狩る小旅行に出る。



『魔法使いとリリス』が好きだったので一抹の不安を抱えながらも購入してみました。
不安というのは、これが翻訳出版老舗のレーベルからではなく、新創刊の少女向けラノベレーベルから出ていることです。

ラノベ風翻訳小説って……とこわごわ読み始めたのですが、それほどぶっ飛んだ文章でもなく、というよりもむしろむりやりラノベ調にしようとして苦心しているようなぎこちなさがあって、それは文章を読む上では違和感なんですが、なんとなくお疲れ様ですといいたいような気分になったのでありました。

お話自体は翻訳物にはありがちなのんびりゆったりとした導入部。私にはおなじみのペースですが、ラノベを読み慣れた人にはちとのんびりすぎるかもしれない。ヒロインの事情と周囲の人間の性格、関係などなどをていねいに描いているのですが、このへんにかなり時間をかけているので、おかげで三年後ヒロインが突如開眼し、俄然面白くなってきたところで下巻につづく、になっております。

そう、冒頭から半分くらいまでは、私にとってもそれほど興味をひかれる展開ではなかったのです。

なにしろ、ヒロインがあまりにも子供で状況がわかっていなくて、他人の事情なんか無関心、ただひたすらカッコイイ世継ぎの王子に憧れてきゃーきゃーいってるだけ。
なのにその世継ぎのブライアンときたら、だれかどうにかしてくれなかったら私がしばきたおしてやりたいと思うほど馬鹿で独りよがりで思慮分別に欠けた短気なうぬぼれ王子で、このままこいつが王位を継いだらまず間違いなく国は滅びると断言できるくらいの嫌なヤツなんですよー。
ああ、やだやだこんな王子。王子だから余計始末に負えないのよ。

というわけで王子が出るたびにイライラしていたわけですが、三年のうちにコリーが多少なりとも成長し、ふたたびオーバーン城に戻ってくると事情が一変。
ある偶然から他人についての観察眼がひらかれたコリーは、これまで自分が見逃していたさまざまなことにいまさらのように気がついて、たいそうな衝撃を受けることになるのでした。

この話、どうみてもここからが本番です。
さあ、コリーとその姉エリサンドラはこれからどうなる?
……て、どうしてここでつづくなんだあ~。

ここまで読んで、これはかなり少女小説っぽいお話だなあと思いました。
このレーベルから出たのは正解だと思う。
導入部を乗り切れば、翻訳物に慣れてない人でもなかなかたのしい読書体験が期待できそうです。

ファンタジーとしてはコリーのおばあさん関係で呪術修行が出てくるほか、コリーが城に持参したさまざまな薬の原料やなにやらがこれからの展開にも関わってきそう。
そして、妖精のようなはかなげな美しさと素晴らしい音楽を持ち、人間たちに奴隷として扱われている種族アリオラの今後も忘れるわけにはいかないでしょう。

ジャクソン叔父さんとアリオラの女王のあいだにあるなにかが、非常に気になります。

下巻は12月の26日ごろ刊行予定だそうです。


魔法と緑の気配にあふれた、ファンタジーの佳品。
魔法使いとリリス (ハヤカワ文庫FT)
シャロン シン Sharon Shinn 中野 善夫
4150203512

『フェアリースノーの夢』

フェアリースノーの夢 (文学の散歩道)
松本 祐子
433822407X

[Amazon]

読了。
少女向け児童文学ファンタジー、「未散と魔法の花」シリーズの第三巻。
いつのまにかシリーズタイトルが付いていたんですね、知らなかった。

作家沙那子おばさんの元で魔女修行に励むことになった、中学生の女の子未散の成長物語。
修行は家族には内緒で長期休暇の時だけ、おばさんはひねくれていてけっこうきびしいけれど薄情なわけではなく得体の知れない美人。おばさんの小説に出てくるドラゴンDの本物が生きて動いていたりして、これがとってもかわいい。
そして、未散はおばさんの家の近所の男の子圭太くんとはかなり仲良くなっていて……

というようなところがこれまでの経緯。
今回は二十年に一度咲くフェアリースノーという花を巡るロマンチックなエピソードがメイン。謎めいたおばさんの過去、しかもロマンスがあきらかになり、さらには現在進行形の未散と圭太とのあいだにも大きな転機がやってくる、というお話。

児童文学なので生活感の薄さや家族不在の物語がなく、きちんと地に足をつけた上で未来を思い夢を垣間見るような、素敵な雰囲気のファンタジーです。
未散をはじめ弟の拓海、かなりミーハーなお母さんに頭の硬いおばあちゃん、ひょうひょうとしたお父さんまで、人物が等身大で愛情を持って描かれているところがいいなあと思います。
圭太くんはあんまりできた男の子なのでちょっとドリーム入ってるかなあとおもうけど。

それと圭太くんのお母さんの造形もちょっと誇張はあるけど、短い登場ながら彼女の背負ってきたいろいろがいろいろとおもわれて、同情したりもいたしました。
「風のハルカ」の真矢みき演じるおかあさんを思い出しちゃった(笑。

少女たちの視点で本人たちの物語を楽しむのが対象年齢読者のまっとうな読み方かなとおもいますが、ちょっと年取った沙那子おばさんの年代でもけっこう読み応えのある物語が用意されていて、この懐の深さが私がこのシリーズを飽きずに読んでいる要因かなあと思います。

それと、フェアリースノーの花が咲く幻想的なシーン。

不思議な世界に不思議な花が咲くのはふつうのことだけど、現実の世界に不思議な花が咲くことは奇跡で魔法なんだよなあと、うっとりいたしました。

既刊はこちらです。
リューンノールの庭 (文学の森)
松本 祐子 佐竹 美保
4338174110

ブルーローズの謎―未散と魔法の花〈2〉 (文学の森)
松本 祐子
433817420X

『僕僕先生』

僕僕先生
仁木 英之
4103030518

[Amazon]


読了。

中国の唐の時代。なんの気概も欲もなくだらだらと過ごしていた青年、王弁。毎日小言ばかりの父親のたっての頼みで近頃評判の仙人に会いに出かけてさあ大変。なんと、仙人はぴちぴちとした美少女だったのです!

まるでどこかのラノベなのではないかと思うような設定だったりするわけですが、これ第十八回日本ファンタジーノベル大賞の大賞受賞作品、なのですねえ。

たしかに設定は奇抜なれども中身はかなり完成されてまして、かろやかにしてそこはかとなく深み漂う作品です。
さすがに酒見賢一や佐藤亜紀、池上永一を輩出した賞であるなあと感心しました。

でもやっぱ、この作品の肝は仙人が少女である、というところにあると思う。
権威あるものであることにいちばんミスマッチなのが少女って存在なわけで、どんな話でもそこでいちばんえらい存在を少女にすると俄然ふつーの話じゃなくなってくる。
だからラノベはいろんな職業を少女にやらせるんだと思うんですよね。
読み手が男性の場合はもうすこし別の要素もあるかもしれないけど。
この話も、仙人がフツーにおじいさんだったり、あるいはあとででてくるけど少年だったりするよりも、確実に現実性がなくなって、その時点で次元が飛んでる。
だからそのあとにどんなことがおきてもそれほど違和感なく受け入れられるんだと思います。

あ、このキャラクターの非現実性は『ぶたぶた』に通じるものがあるなあ……。

めずらしくごちゃごちゃと理屈を考えてみたので書いてみましたが、お話はとくに仙人の僕僕がたいそうキュートで、王弁が振りまわされるさまがおかしく、たいそう楽しゅうございました。
あ、人外の美少女にふりまわされる青年ってこの構図『狼と香辛料』にも似ているなあ……。

あと、王弁が乗ることになるお馬ちゃん吉良がかわいくて~。かれの出てくるシーンがもっと多ければいいのにと、勝手に期待して勝手にがっかりする一読者なのでありました。

私的びっくり仰天のキャラクターの筆頭。
ぶたぶた
矢崎 存美
4199050507


いつのまにかもうすぐ六巻が出るらしい(汗。
狼と香辛料 6 (6) (電撃文庫 は 8-6)
支倉 凍砂
4840241147

『七姫物語 第四章 夏草話』

七姫物語〈第4章〉夏草話 (電撃文庫)
高野 和
4840235619

[Amazon]


読了。
少女の視点でシビアな状況をやわらかくつづる、東アジアっぽい異世界を舞台にした戦乱ファンタジー。


ものすごーく久しぶりに読んだなーと思い、刊行されてからもう1年以上経ってるんだわと奥付を見て思い、それでも続刊はまだなのですぐ追いついちゃってちょっと嬉しいような哀しいような、な第四章でした。

たしか第三章ではかなり状況が劇的に変化するようすが刻々と描かれていたような記憶があるのだけど、今回はまた元のペースにもどって、カラカラさんの静かで穏やかだけれど水面下では激しく火花を散らしていることを感じる日常のお話になっています。

戦後処理の話とみなの思惑とこれからの展望を語る巻だったかな。

姫宮たちの個性がだいぶのみこめてきて、ご本人たちの出番もちょこちょこと増えていますが、やっぱり威厳抜群なのは一宮の姫ことクロハさんかなあ。

このお話、全体的に雰囲気がとっても上品なんだけど、彼女の登場シーンは普段に増して雅やかで、さらに気温が一、二度下がってるような気がします(苦笑。
その彼女に相対して自然体で応答できるカラカラさんもただ者ではないなあ。

好奇心の強い女の子はいったいどこまで進んでしまうのだろう。

膚感覚のとぎすまされたうつくしい情景につつまれながら、その瞬間がどれだけうつくしくても、時間も運命も留まることはないのだなあと、この話の文章を読んでいると思います。

いや、ほんとにこんな文章を書きながら状況を変化させていくのはたいへんだろうなあ。

のんびりペースでもかまいませんので、ぜひ最後まで少女の視る世界を書き続けてもらいたいと思うものでした。

あ、前巻の時にもおんなじことを書いたような。

いまから読んでみようというかたはこちらからどうぞ。
七姫物語 (電撃文庫)
高野 和
4840222657