『悪魔の薔薇』

悪魔の薔薇 (奇想コレクション)
タニス・リー 安野 玲 市田 泉
4309621996

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読了。

堪能しました。
「現代のシェヘラザード姫」と異名をとるイギリスの女流作家の日本独自に編まれた短編集。
編者が、本邦初訳、1979~1988年発表のもの、ホラー色の強い幻想怪奇小説という方針で選んだもの、だそうです。

収録作品は以下の通り。


別離
悪魔の薔薇
彼女は三(死の女神)
美女は野獣
魔女のふたりの恋人
黄金変成
愚者、悪者、やさしい賢者
蜃気楼と女呪者(マジア)
青い壺の幽霊

解説 中村融
タニス・リー著書リスト



作品配列は、「いま・ここ」から次第に遠ざかるように工夫されたそうです。

最初に書いたとおり、じつにじっくりと時間をかけて読みました。
密度の濃い短篇ばかりなので消化するのに時間がかかって、読んでる途中で寝ちゃうこともしばしば。
けしてつまらないわけではないのです。めくるめく色鮮やかな幻想世界を克明に描き出す凝った文章そのものに酔っぱらってしまったみたいです。

しかしこの幻想世界、けしてほんわかだったりぬくぬくしていたりしません。
むしろ皮肉と毒と悪意に満ちていて、語彙豊かなうつくしい文章がそれを際だたせているように感じます。

とくに表題作には唖然とさせられました。
情熱を寄せる少女に対する語り手の何という仕打ち。
劣情に突き動かされて理性を失った代償がこれとは皮肉にもほどがあるかと。

そういった、身も蓋もない話がけっこう多いのがリーの作風なんだと、あらためて思い出しました。

けれど、今回の短編集はそういった悪の美しさだけではない、慈愛も感じさせる話もけっこうありました。

たとえば、「愚者、悪者、やさしい賢者」はほとんど千夜一夜ふうの末子成功譚。
どこで足もとをすくわれるかと身がまえてましたが、平穏無事に話が締めくくられてびっくり。

さらに「蜃気楼と女呪者(マジア)」。
冷酷なマジアに対抗するためあらわれた冷たい慈悲にあふれた仮面の男との結末が、これまた意外なほどふつうにファンタジー的な結末を選択したのでまたびっくり。

「青い壺の幽霊」にいたっては、まあまあまあという感じでした。

というふうに読み終えてみて、この意外さはもしかして読み手の私の変化でようやくリーの話の骨格を読みとれるようになったおかげの産物なのかもしれないと、思いあたりました。

十代、二十代の頃、『闇の公子』などの絢爛豪華な作品を読んでいた頃は、おそらく私はリーの文章に耽溺するあまり、作品全体のことまで頭がまわっていなかったのですな。たぶん。

いまあらためて読み直すとまた新たな世界がひらけそうな気がします。
ホントにするかどうかはわからないが。

ちなみに個人的に気に入ったのは、吸血鬼テーマの「別離」、錬金術がらみの「黄金変成」です。

舞台となった時代や土地のことは、話を読んでいても定かにはわからないことの方が多かったなー。つーか、そんなことはどうでもよろしい些末事である、という気分になる話ばかりでした。

巻末にリーの著書リストが付されていて、これを見ていると他の作品もぜひ読んでみたいものだ、どこかで翻訳を出してくれないものだろうかと思います。

とくに『パラディスの秘録』の未訳の三、四巻とか。
『パイレーティカ』はつづきがまだ二冊あるのかー。どんな話なんだろう。

懐かしのサイボーグ009

昨日のことでした。
お昼にプロ野球中継開始待ちしていてチャンネルをうろちょろしていたら、何とも懐かしい映像に出くわしました。
アニメの『サイボーグ009』です。

この後、えらく長く書いてしまったので、たたんでおきます。



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『〈本の姫〉は謳う 2』

〈本の姫〉は謳う 2 (2) (C・NovelsFantasia た 3-3)
多崎 礼
4125010242

[Amazon]


読了。

異世界ファンタジーなんだろうと思うけど、なんとなくSFっぽいなあと感じるところもあり、私にはまだよく把握し切れていない、でも大変面白いと思ってるシリーズ、の二巻目。

今回は憎からず思っているヒロイン・セラに「絶対戻る」と言いおいて旅立ったヒーロー?・アンガスが、なかなか戻ってこない理由、過去と現在編、という雰囲気で展開しました。
力ある言葉、スペルを身におびてしまった孤独で悲惨な過去があきらかになり、それにまつわる現在の事件=災難を乗り越えていく話。

並行して進んでいく楽園の“俺”の話が地上の話になって、だんだん現在のアンガスのところに時間的にも地理的にも近づいてきている気がします。

このダブルプロットはどこでどうやってつながるんだろう?

ところで、力ある言葉スペルが周囲に及ぼす影響とか、歌によってスペルを回収する〈本の姫〉とかの設定と、描写など(これが大変にかっこよい)を読んでいる限りこれはファンタジーだなと思うのだけど、
スペルがすべて英語だったり、楽園がキリスト教の天使の階級を持っていたり、物語の舞台となる大陸とひとびとのようすが開拓時代のアメリカぽかったりするのがかなり気になってます。

ここは本当に全くの異世界なのか、そうじゃなければどういう背景を持った世界なのか、勝手にいろいろと飛躍した想像を膨らませてますが、たぶん的はずれなんだろうなー(苦笑。

一気に読み通すとそういう疑問はあまりつついている時間がないんだけど、一冊ずつ刊行されているので余計事を考えてしまうのですわ。

アンガスの過去はまだすべてが明らかになったわけではなく、たとえば〈本の姫〉とともにスペルを集めることになった理由はまだわかりません。
これがたぶんこの次の話のメインとなるのではないかと思いつつ。

つづきはもう少し速く出して欲しいです~。

〈本の姫〉は謳う 1 (1) (C・NovelsFantasia た 3-2)
多崎 礼
4125010064

『Dark Seed 3』

Dark Seed 3 (3) (バーズコミックス ガールズコレクション)
紺野 キタ
4344812646



読了。

異世界魔法学園ファンタジーコミックの完結編。
最終的にはハリポタ風“魔法学園”の要素よりも“異世界魔法”のほうの話のほうが強くなったかなーと思いました。
始めのほうがなんとなくのんびりあるいはもたついた印象で、三巻はそれに比べるとファンタジー的にも盛りあがったけどかなりの駆け足気味だったような。
たぶん、長期連載は初めてだったので、ペース配分とかが難しかったのかなー。
あと、設定がかなり複雑だったので、これを呑みこませるためにけっこうじっくりと書いていたという印象もあります。

でも、三巻を読み始める時点で私の記憶はスッカラカン状態だったのですけどね。カノンってどういう存在だったっけかと……思い悩んで今だに思い出せなかったり。スミマセン。

話の完成度を求めるむきにはすこし物足りないかと思いますが、著者のファンとしてはけっこう楽しめました。

ちょっとひねくれたヒロイン、セレストのふつーさ加減とか、女の子同士のたのしいあれやこれやとか。
アレックス・バトラーは存在するだけで巻き起こる波乱が楽しいし。

それとですね、私は“セレストが女の子に見える”アルジーくんが可愛くてなりませんで!
切れ者で周囲に一目置かれるふだんはクールな存在……なはずなのに、セレストと向かいあうと真っ赤になっちゃうなんて、ウフフ、思わずカワイイーってムギューしてやりたいほどでしたよ!

既刊はこちら。
Dark Seed 1 (1) (バーズコミックス ガールズコレクション)
紺野 キタ
4344807863

Dark Seed 2 (2) (バーズコミックス ガールズコレクション)
紺野 キタ
434480984X

20080326の購入

今、現在。左肩が痛くてたまりません。
肩の関節が腕を支えることを苦痛に感じている模様。
パソコンしていると猫背になってしまうので、ついこの状況に陥りがち。
机を天板の高さを変えられるものに替えたので、すこしは楽になったはずなのですが……。やはりモニタも替えないと全体的な効果は得られないようです。
ううう、腕が重い~。

Dark Seed 3 (3) (バーズコミックス ガールズコレクション)
紺野 キタ
4344812646


e-honで購入。

ちょうど発売日に雨が降ってしまったのですね。
それででかけるのが億劫になって、一冊しか入荷しない本屋では翌日には手に入らないだろうと注文してしまったのでした。
開設当初より反応が鈍くなってきましたが、近所の本屋で受け取れるのが魅力。

『風の王国 臥虎の森』

風の王国―臥虎の森 (コバルト文庫)
毛利 志生子
4086008351

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読了。

政略により唐から吐蕃へ嫁いだ公主の波乱に満ちた人生をえがく、少女向け歴史小説シリーズ。九冊目。

おもしろかったー。いつも楽しませてもらってるシリーズですが、こんなに手放しで楽しめたのは久しぶりです。それはたぶん、ヒロイン翠蘭とその夫リジムが主役じゃなかったからだろう……(苦笑。ちょっとふたりのラブラブはマンネリ気味でしたのでね。

というわけで今回のメインは翠蘭の侍女にして親友の朱瓔と、吐蕃の大臣サンボータさんのエピソード。それに吐蕃と『森の民』の行き違いが絡まり合って、全編スリリングなお話となりました。
けが人がかなり出たので痛い話でもありましたが。

こういうお話の怪我人の怪我はわりとあっさり書き流されるので読み手も意識しないことが多いですが、大怪我したらふつうはこんな無理はしないよなー、と時々思います。医療の発達していない時代なんだから、怪我だけじゃおさまらず命を落とすことにもなりかねないのにー。

なのに翠蘭の体はみんなで必要以上にいたわっているので、これは身分のちがいと存在の重要度の差から来るのだろうか。
おかげで翠蘭は窮屈に思っているようですが、ヒロインなのでそれなりに出番はあります。
リジムも、最後で美味しいところをもらえたのでよかったのではないでしょうか。

犬たちと馬の描写がなにげに楽しい一冊でしたv

つづきはこれです。
風の王国 花陰の鳥 (コバルト文庫 も 2-27)
毛利 志生子
4086008718


書架に戻ってくるのを待ってるからなかなか追いつきませんな。

散歩一年、と一ヶ月

このところ天候不順と子守りでサボり気味だった散歩に、デジカメを持って出かけました。

菜の花


やー、春ですなー。
あちこちで花が咲いてます。
桜もちらほら見かけましたが、あまり上手く撮れなかったので菜の花をば。

体力増進のために始めた散歩ですが、おおむね一年間続けてみて、だいたい一回につき30分、3200歩ちょっとのペースでコンスタントに歩けるようになってきました。

それでもちょっと調子に乗った日にはお昼に爆睡したりしているわけですが。

しかしマラソンの人たちはすごいよなー。
三分で一キロペース……私にはとても無理だわ。

『王子の優雅な生活(仮) 1』

王子の優雅な生活(仮)
紫堂 恭子
4022131160


読了。
『辺境警備』などのファンタジー作品メインのマンガ家さん、紫堂恭子の新作シリーズ第一巻。

国王の外遊中のハドリエル王国でクーデターが勃発。この上なく優雅で麗しいアンドレア王子は間一髪逃げ延びたが、そのとき偶然に下働きをしていた農家の次男坊アローはなしくずしに王子の逃亡生活を手助けする羽目に陥る。うるわしいが天然で生活能力ゼロの王子に、アローは振りまわされっぱなし。はたして王子が王座を奪還するのはいつの日か?



先日一巻の出た『聖なる花嫁の反乱』はコメディ<シリアスでしたが、こちらはほとんどコメディ、ちょっとシリアスなかんじの明るいお話です。

なんといっても麗しの天然王子の大ボケ加減が笑える。
ちょっとマリー・アントワネット風のお馬鹿さんですが、まったくのぼんくらというわけではなくて、懐が深く、臨機応変で、頭も切れそうなので、現実をきちんと見すえる目を持てばなかなかよい為政者になれるのではなかろうか、と他人に期待を抱かせる存在のようです。
その期待の根源がお笑いをほのぼのと締めくくってくれているかんじでしょうか。

まだファンタジー要素はほとんど出てきませんが、そのうちなにか重要なところで大切な役割を果たしてくれるのではと期待しています。

シリアス路線(コメディちょっと)のほうのシリーズは、4月11日に二巻が発売予定とか。
聖なる花嫁の反乱(2) MiChao!KC (KCデラックス)
紫堂 恭子
4063754790


これでマンガの積ん読ははけたかな……。

『契丹伝奇集』

契丹伝奇集
中野 美代子
4309404677

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読了。

アジアを舞台にした幻想短編集。

響子さんが読んでらっしゃるのを見て、そういえば中野美代子の小説もあったなあと借りてきました。
西域を舞台にしたもので安心して読める(基礎知識が)ものがあまりない時代、初めてであった『眠る石』という短編集はかなり印象的な本だった。
その後『カスティリオーネの庭』も読みましたが、こちらも幅広い知識と考察にうらうちされた、ただものではない歴史小説だったと記憶しております。

というわけで借りてきたのですが、ですが、
今回はずいぶんと読むのに苦戦させられました。
『眠る石』もけっこう幻想的な話だったと思うんだけど、こちらはどっぷりと夢の世界にひたっています。ともすると酩酊しているように足もとが不確かになり「ここはどこいまはいつ」状態に陥るので、こちらの意識までもが現実から足場を攫われてしまうらしく、何度読みながら眠ってしまったことか。

ストーリーラインが定かじゃないところとか、目的意識が希薄なところとか、唐突に話が終わって放り出されたような気分になるところとか、これは物語じゃなくて詩だよ、小説じゃなくて文学だよ、と想いながら必死に現実にしがみつきながら読み終えました。

あ、寝る前に布団の中で読んでたのもまずかったかなと思う。
真っ昼間だとすくなくとも居眠りだけはしなかったから。

収録作品は以下の通り。


女俑(じょよう)
耀変(ようへん)
蜃気楼三題
青海(クク・ノール)
敦煌
掌編四話
 考古奇譚,ワクワクの樹,海獣人,屍体幻想
翩篇七話
 狄,杪,膏,蝕,セン,魈,キョク

跋/文庫版あとがき

『契丹伝奇集』をめぐって(高山宏/池内紀)



難しい漢字がよく使われていてタイトルも表示できないものがいくつかありました。
こんなところにも本業は研究者である著者の教養の深さがうかがい知れます。

私が印象深く感じたのは、茶碗まつわる現在と過去を描いた「耀変」。耀変天目茶碗てどこかで見たことのある固有名詞だと思ったのですが、呻吟の末、恩田陸さんの短篇で読んだようなと思い出しました。

あとは「蜃気楼三題」の第一話。
文成公主と吐蕃の宰相ガルとのエピソードだから(苦笑。

漢字一文字タイトルの翩篇七話はすべて掌編ですが、短いがゆえに鮮烈な印象を残すものが多かったです。

それから「敦煌」。まるで欧米文学みたいな登場人物の苦悩がなんともいえなかった。
いまBSでやってる『敦煌莫高窟』を見て期待していたのとはまったく違う話だったけれども、これはこれでやっぱり文学ーという感じがしました。

総じて普段読んでる小説のレベルと比べると違いがありすぎて正直消化不良のところもありましたが、読みながら夢の中に漂っていってしまう、しかも悪夢の中に、というような本は滅多に読まないので、しばらくぶりによい体験をしたなと思います。

眠る石 (ハルキ文庫)
中野 美代子
4894563452


カスティリオーネの庭
中野 美代子
4163171703

テンプレ変更

珍しく季節に合わせてテンプレートを変えてみました。
きのう、近所で桜が咲いていたので。
つっても、そこは近所でも指折りの早咲きの場所なんですけどね。
我が家の周りではあと一週間くらいかかりそうです。

20080322の購入

ふたたび子守りで遠征。

〈本の姫〉は謳う 2 (2) (C・NovelsFantasia た 3-3)
多崎 礼
4125010242

知恵のトビラ―妖怪コロキューブ 死神たちのちょうせん状!
チームコロキューブ
4052026438


以上、購入。

二冊目のブラック表紙の怪しげな本は、子供向けのクイズ本です。
姪っ子のご所望。
姪っ子がベンチで読みふけっていたところ、顔見知りの保護者さんたちから「それ、『怪談レストラン』?」と二回も訊ねられました。
どうやら小学生のあいだではそういうシリーズがたいへん流行っているそうです。
たしかに本屋に山ほどあるなあとは感じていましたが、そこまでとは知りませんでした。
同じクラスの女の子は実物を出して見せてくれました。
こどもって、やっぱり怪談が好きなんだなー。
私はあんまり興味なかったけど。というより、怖いのがイヤだったんだけどね(笑。

ちなみに甥っ子はポケモンカードの入ってるお菓子をふたつ買ってもらい、二枚のカードを眺めてご満悦でした。

『天と地の守り人 第二部』

天と地の守り人 第2部 (2) (偕成社ワンダーランド 33)
上橋 菜穂子 二木 真希子
403540330X

[Amazon]

読了。

緑の香り立つ湿潤な土地から寒冷な厳しい山岳地方まで、土地の風土からひとびとの気質まで織り込んで、人間ドラマと異界の異変をえがく、アジア風異世界ファンタジーシリーズの完結編。その第二部。

『天と地の守り人 第一部』のときもあっというまに読んでしまったけど、こちらはひと息に読み過ぎて興奮冷めやらず、なかなか文章に取りかかることができませんでした。

完全に第一部からのつづきなのでなにを書いてもネタバレになる。
というわけであまりストーリーには触れませんが、いままで独立したエピソードとばかり思っていた既刊のあれやこれやがひとつのなにかに向かって収束してゆく、ゾクゾクするような面白さを味わっております。

今回の話の多くの基盤は、多分二冊目のカンバルを舞台にしたバルサの物語『闇の守り人』だと思う。
例によってあんまりよく覚えてなかったんだけど、読んでいるうちにだんだん話の輪郭が浮かんできました。そういえば、そんなこともあったよなあ、と。

それに、ロタを舞台にした『神の守り人』がらみの人間関係もでてきます。
こちらもバルサ関係ですね。

こうしてみるとチャグムの使命を果たすためにバルサのしがらみをたどってゆく、みたいな話になってるのかもしれないな。

あー、やっぱり最初から読み返したくなってきたー。
文庫化されてる最中だから、いまならすぐにお安く手にはいる。
これはそのうち買ってしまうかも>散財禁止令はどうした。

人間たちの争いとともに異界での異変の正体が判明して、さらに緊迫の度合いが増してきた終盤。
このあとはどうなる~。
とっても気になるのにまだ手元に第三部は届いておりません。
くー。
つづきが読みたいー。
速くやってこーい。

天と地の守り人 第3部 (3) (偕成社ワンダーランド 34)
上橋 菜穂子 二木 真希子
4035403407


女用心棒バルサの過去との決別をえがく、第二部。今回のメイン伏線?
闇の守り人 (新潮文庫 う 18-3)
上橋 菜穂子
4101302731

『天と地の守り人 第一部』

天と地の守り人〈第1部〉 (偕成社ワンダーランド)
上橋 菜穂子
4035403202

[Amazon]


読了。

しっとりとした大気と豊かな大地を舞台に描かれる、アジア風異世界ファンタジー『精霊の守り人』からはじまる「守り人」シリーズの完結編、その第一部。

図書館通い復帰後、即予約したものがようやく借りられました。でもやってきたのは第二部までなんですよね~しくしく。
しかし泣いている間にも貸出期限が迫ってくる。
というわけで、さっさと読み始めました。わけですが。

……わ、忘れてる……。
新ヨゴ皇国のチャグム皇太子が南の大国に連れていかれたことは覚えているけど、その後のことをまったく覚えておりません。自分の感想見ても、ネタバレなしなのでやっぱりわからん。

シリーズの前巻『神の守り人』と『蒼路の旅人』を読んだのは2003年と2005年の時か。
じゃあ覚えているわけがないなと開き直る自分が虚しい。ですが、去年やっていたアニメを見ていたおかげでとりあえず根本の人間関係だけはわかりました。
たぶん、アレを見ていなければシュガなんて絶対に思い出せなかったね!
と威張ってどうする……

でも、さすが児童文学。
行方不明のチャグムを探す女用心棒バルサの姿をよんでいるうちにおぼろげながら今までの筋立てをうっすらと思い出してきました。
ああ、そうだったな、そんなことがあったっけなと。
話はチャグム主人公の『蒼路の旅人』からの流れだけれど、バルサが加わることによって『神の守り人』とも繋がるようになってるんですね。
おかげで、チャグム不在時の北の大陸で起きていた様々な政治的な状況がみえてくるのも興味深かったです。
なんだか冒険ものとか陰謀ものとかのいままでの雰囲気が、一気に戦乱ものに変化していきそうな不穏な気配が漂いだしてます。

チャグムの消息を追うバルサの姿は我が子を求める母親のようで胸が苦しいほど。それと肉体の衰えを自覚しながらもこれまでの生き方を変えられずにずるずると危険を冒していく姿も、たいへんに共感できました。
ものすごく微妙に地味に書かれてますが、タンダとの関係がバルサのこれからの人生を決める重要な要素になるのかなーと推測。
しかしバルサにとっては平穏と安らぎの象徴であるタンダも、じつは転変する歴史の流れに巻き込まれているんですよねえ。
タンダもバルサも最後まで無事でいてほしいなあ……。

ひとが年月の流れをダイレクトに感じるときって、子供の成長を目の当たりにしたときなんだよなあ……しみじみ。

ところで、新ヨゴ皇国ってやっぱ日本がモデルなんですかね。
ものすごく視野が狭くてひとりで相撲とってるのが、読んでいてイライラします。
タルシュ帝国はローマ帝国みたいだと思う。
でも、新ヨゴとの関係では日本とアメリカというイメージがどうしても浮かんできます。

さ、感想書いたから第二部を読もう。

いまの私の興味は、異界〈ナユグ〉とのあいだに起きている変化はなにが原因なのかな、ということです。
そういえばトロガイ師はどこでなにやってるんだろう。

天と地の守り人 第2部 (2) (偕成社ワンダーランド 33)
上橋 菜穂子 二木 真希子
403540330X


シリーズ第一話。
精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)
上橋 菜穂子
4101302723

始めから読み返したいような気もする。

Twitter

好奇心をおこして流行ものを見物しに行きました。
いつものアカウントが取れてしまったので、つい登録。
しばらく遊ぶ予定です。
https://twitter.com/moonsong
くだらないつぶやきばかりですが、お暇な時に気が向いたらどうぞ。

英語サービスなんで、すべてが手探りなのであった……。

『つるばら村のパン屋さん』

つるばら村のパン屋さん (わくわくライブラリー)
茂市 久美子
4061956922

[Amazon]

読了。

架空の村でパン屋さんをする女の人と、お店にパンを頼みに来るお客さんとのほのぼの交流譚。

やっと借りられた、パン職人のくるみさんのシリーズ、開幕編です……といっても仰々しいものではありませんが。

この本ではまだくるみさんがお店を開いておらず、宅配のパン屋さんをはじめたところです。
のちに相棒となって店番などをつとめるネコのニボシもこの巻で登場します。

自立した女性であるくるみさんのがんばりと、ふしぎなというか一風変わったお客さんとのエピソードが、ほんわりとした焼きたてパンのようなぬくもりと香ばしさとともに味わえる。素敵な童話だと思いマス。

収録作品は以下の通り。


はちみつのパン
ドングリのパン
三日月のパン
クリスマスのパン
あんこのパン
ジャムのパン

あとがき



このシリーズを読んでいて、なにか懐かしい感じがするなあと思っていたのですが、やっと思い出しました。
あまんきみこの『車のいろは空のいろ』です。
タクシーの運転手の松井さんがくるみさんと重なるんだ。
松井さんが受け身なのに対してくるみさんのほうがまだ若いからかはつらつとして、もっと積極的な感じはしますけれども、基本的にサービス業とお客さんという構図がおんなじなんだな。

思い出したのですっきりしました。

『車のいろは空のいろ』は以前は一冊にまとまって出ていたと思ったのですが、いまは分冊されているみたいです。
車のいろは空のいろ 白いぼうし (新装版 車のいろは空のいろ)
あまん きみこ
4591064425

車のいろは空のいろ 春のお客さん (新装版 車のいろは空のいろ)
あまん きみこ
4591064433

車のいろは空のいろ 星のタクシー (車のいろは空のいろ)
あまん きみこ
4591064441


そういえばこの作品をイメージした曲をむかーし谷山浩子が出していましたよね。
『ネコの森には帰れない』だったかな~。
ねこの森には帰れない
谷山浩子
B00005FPXH

『夏目友人帳 5』

夏目友人帳 5 (5) (花とゆめCOMICS)
緑川 ゆき
4592184483



小さい頃から時々
変なものを見た

他の人は
見えないらしい
それはおそらく

妖怪と呼ばれる
ものの類。



あやかしを視てしまうがために孤独な少年が、巡りあったものたちと少しずつ、でも着実に近づいていく、ささやかだけれどこころ温まる交流を描いた連作マンガも第五巻。

もう五巻が出たんですねー、はやいなーと感じるのは私の主観的な時間の流れがそうとう鈍いからだと思われますが、本の帯を見てこれまたびっくり。

このシリーズもTVアニメ化!

うはー、なんというか言葉無しです。
期待していいのか反対するべきなのかわかりません。

公式ページはこちら。
夏目友人帳
まだトップページしかない模様。

と、本のほうはせつなくて愛しくてほんのりとあたたかで、相変わらずステキでした。
いままでよりすこし派手な話が多かったかな。
女の子のレギュラーができそうで、すこし嬉しい。
そしてニャンコ先生もいつものように楽しかったです。
「つるふかしてるー」っていったいどんな感触だろう。
それってかわいいのか?

『モンスターズ・イン・パラダイス 3』

モンスターズ・イン・パラダイス 3 (3) (新書館ウィングス文庫 125)
縞田 理理
4403541259

[Amazon]

読了。

異世界ファンタジーシリーズ、完結編。

人類と神話的人類が共存する異世界。ふたつの存在が同等の権利を有することを宣言したアイオニア連邦共和国で、捜査官となった人間の青年ジョエルがヴァムピールの同僚カートとともに異種族問題を扱ううちに、神話的人類の真実と現実を知り、かれらとの理解と信頼を築いていくお話。

収録作品は以下の通りです。


血は熱く流れる
サークル・サウスの昼と夜

あとがき



「サークル・サウスの昼と夜」は後日譚的な短篇。

ファンタジーなので相手は神話的人類、すなわちあやかしというか怪物というかそういう魔物たちなわけですが、根本的な主題は自分ではない他者とのつきあいをいかに楽しくするか、という話なのではないかと思う次第でした。人種差別しかり、イジメや嫌がらせなどのハラスメントしかり、ですね。

お話的には、ヴァムピールのカートくんがじつはおぼっちゃま育ちであることがわかったり、そのカートくんのお父さんがこれまたステキな無責任男だったりと、吸血鬼モノに抱いている重くじめじめとしたイメージが一気に覆されるあかるい雰囲気が楽しかったです。

こんなに威厳のない「はじめのひとり」って、初めて読んだような(苦笑。

ただ、お父さんのほどこしたカート君の銀中毒を緩和する荒療治には、やはり吸血鬼モノらしいエロスがあって、そのほかの部分との落差に余計ドキドキしてしまいました、デス。

ラストはいったいどうまとまるのかと心配だったのですが、『霧の日にはラノンが視える』よりは小粒ながらファンタジーらしい壮大なこころみがあって、ああそうなるのかーと感心しました。
結末は予想内だけれど、そこにいたるまでのどんでん返しが興味深かったです。

霧の日にはラノンが視える (ウィングス文庫)
縞田 理理
4403540686

ロンドンを舞台にしたケルト風ローファンタジー、全四巻。

『オラクルの光 ~預言に隠されし陰謀~』

オラクルの光~預言に隠されし陰謀 (小学館ルルル文庫 ハ 1-2)
ヴィクトリア・ハンリー 杉田 七重
4094520570

[Amazon]


読了。
異世界ファンタジー『オラクルの光 ~風に選ばれし娘~』の続編にして完結編。

この本は上下巻として分冊されて二ヶ月連続刊行されたわけですが、絶対、一気に読むべきだと思いました。
上巻の始まりは比較的緩やかだったのがいっきに加速して、下巻はたたみかけるような緊迫シーンの連続です。

面白かった~。

呪いをかけられて風から切りはなされてしまったブリンと、神官長の意に沿わない預言を抱えたまま追放された侍女のセリッドの運命が交錯して、ラストに至る大団円まで、ロマンスあり陰謀あり幻想あり冒険ありで、起伏のあるストーリー展開に目が離せません。

描写のあっさりさでわりと若い年齢の読者対象だなとわかるので、その点でも安心して読めます。ハードなお話に疲れたオバサンには憩いの泉?
ヒロインのブリンをいじめるクレアが、なぜか『キャンディ・キャンディ』のイライザのイメージになるのがなんだか自分でおかしかったです。

ファンタジー的には、侍者や侍女が特殊な能力をふるう際に力添えをするのがそれぞれを選んだ“鳥”である、というあたりにロマンを感じました。
預言の力を周囲に知らしめる鳥の儀式って、まるで「パーンの竜騎士」シリーズの“感合ノ儀式”みたいです。
鳥に選ばれたからって人格者とは限らないというところも、竜騎士シリーズと似ていますね。神に仕える者同士で確執が起きてひどくもめたり、もっと発展して陰謀を企んだりする地盤があるのが物語の陰影に一役買っている気がしました。

個人的にはブリンが片想いする侍者のキランの相棒、犬のジャックと、気位の高い黒馬のオブシディアンの活躍がツボ!

ところで、読んでる途中で「ヒーラーズ・キープ」という固有名詞が出てきたのでおや、と思ったのですが、あとがきを見たらやはり著者の別作品『ヒーラーズ・キープ』に関係のあることでした。
どうやら、『水晶玉と伝説の剣』『ヒーラーズ・キープ』『オラクルの光』でゆるやかな三部作になっているらしいです。

そうと知ったら『ヒーラーズ・キープ』も読まなければ!

ヒーラーズ・キープ(上)守りたいもの
ヴィクトリア ハンリー Victoria Hanley 金原 瑞人
4251062914

ヒーラーズ・キープ (下) たましいの砦
ヴィクトリア ハンリー Victoria Hanley 金原 瑞人
4251062922

『コランタン号の航海 2』

今頃インフルエンザにかかるなんて妹一家の時間軸はどうなっているのやら。
一日子守りをしてたら腰痛が酷くなってしまいました。
やっぱり遠投最長八メートル(中学時)の人間にキャッチボールは無理だろ(汗。

コランタン号の航海 2―水底の子供 (2) (WINGS COMICS)
山田 睦月 大木 えりか
4403618936



そこは
フィニステール(地の果て)
その向こうに広がる死者の海



えーと、たしか18世紀くらいのイギリス海軍船コランタン号をメインにした海洋冒険幻想譚の二巻目。
今回は冒険よりもイスの伝説とかの幻想色のほうが濃くて、私にとってはなんか安心できるなあという感じのマンガでした。
海洋冒険モノというと、もっと海戦とか規律とか飢えと渇きとかのイメージがあったんですが、こちらは雰囲気がとてもやさしいんですよね。

艦長の正体を巡る(?)短篇「メリーウェザー艦長は猫である」も楽しかったです。

コランタン号の航海 1―水底の子供 (1) (WINGS COMICS)
山田 睦月 大木 えりか
4403618820

『オラクルの光 ~風に選ばれし娘~』

オラクルの光―風に選ばれし娘 (小学館ルルル文庫 (ルハ1-1))
ヴィクトリア・ハンリー
4094520538

[Amazon]


読了。

異世界ファンタジー『オラクルの光』の上巻。
これはなかなか面白いです。
この本を店頭で見た際、なんとなしにぱらぱらとやったとき巻末に「下巻につづく」と記してあるのを発見して「えっ、これ上下巻だったの? 下巻はどこ? つーか、上巻なんてどこにも書いてないじゃん!!」と憤慨したのですが、下巻が出た時に上巻もあったので一緒に購入してきました。
上巻読んだところでは買ってよかったという気持ち。
虐げられた少女が主人公のわりとありがちな展開の話ですが、ファンタジー部分がちゃんとしているのと、いじめられるパターンがありがちなわりにしっかりとしているのと、物語に起伏があるのがよいです。

いまのところ、雰囲気としてはラッキーの『女王の矢』にフィッシャーの「サソリの神」を足したような感じですかね。夢見がちで母親にいらなかったとまで言われた石工の娘ブリンが、大神官に見いだされて寺院の侍女となる。そこからはちょっと学園モノみたいな感じで話が進む、というのが『女王の矢』。寺院と王室の確執や陰謀に巻き込まれたりするというあたりが「サソリの神」とくに第一巻の『オラクル』を彷彿とさせます。そういえばタイトルも似てる。

本書は、見いだされたあとはひたすらハッピーなラッキーよりは同級生からイジメを受けたり監督官から辛く当たられたりと現実的で、「サソリの神」よりは児童向けで陰謀もファンタジー描写も手加減されている感じ。

でもこの著者はストーリーテリングがうまくて、話にぐいぐいと引き込まれます。
そういえば以前読んだ『水晶玉と伝説の剣』でもそんなことを書いた覚えがあるかなあ。
物語世界も幻想もきちんと描かれているけれど、メインはヒロインの冒険とロマンスとか。
ファンタジー読みからすればもうすこし幻想に力を入れて欲しいとか。
でもどれだけ風味が薄くても、ファンタジーの香りが確かにする作品は貴重なので、初心者向けとしておすすめです。個人的には『水晶玉』よりはこちらのほうがファンタジー色が若干濃いかなと感じてます。

とりあえず、先日読んだラノベ少女小説よりもずっとヒロインに感情移入するのが楽です。
児童書の心構えで読めそうな感じだからかなあ。
どうやら私の精神年齢はかなり低いらしいです(苦笑。

では、つづき、読みます。
オラクルの光~預言に隠されし陰謀 (小学館ルルル文庫 ハ 1-2)
ヴィクトリア・ハンリー 杉田 七重
4094520570


女王の矢―新訳 (C・NovelsFantasia ら 1-1 ヴァルデマールの使者)
マーセデス・ラッキー 澤田 澄江
4125009996

4月に続編『宿縁の矢』が出るらしいです。

サソリの神〈1〉オラクル―巫女ミラニィの冒険
キャサリン フィッシャー Catherine Fisher 井辻 朱美
4562038519

全三巻。濃いファンタジー者にオススメ。

『のだめカンタービレ 20』

のだめカンタービレ #20 (20) (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
4063406911


買いました。読みました。

今回は笑うシーンが少なかったですが、みんながそれぞれに化学反応のように刺激し合って、それぞれに成長していく過程を見るのは面白いなあと思いました。
自分の本分に真剣な分、他人の才能に敏感にもなるし、それは負の感情になることもあるけれど応援したい、という正の感情にもなるんだな。

千秋が心配しているのは、のだめの望みがすごくささやかなものであることに気づいてしまったから、かな。のだめが千秋だけを見て音楽全体に目を向けていないところがもどかしいんだろうなー。オクレール先生はのだめが満足しちゃう前になんとか視野を広げさせようと頑張っているのかなと思いました。

ターニャもちょっと成長して、黒木君も(不本意ながら?)ターニャの想いに気がついて、これからどうなるのかなとわくわく。

ユンロンだけがそこはかとなく可哀想、でした。

『アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭』

アンゲルゼ―孵らぬ者たちの箱庭 (コバルト文庫 す 5-64)
須賀 しのぶ
4086011360

[Amazon]

読了。

昭和から平成ではなく継和になった日本を舞台にした歴史改変SFファンタジー……。
さすがの須賀しのぶ、一気に読ませてくれました。
そして私は読み終わってこれは○○○モノだ!! と思いました。
ネタバレなのでジャンルは最後に書きます。

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『陰陽ノ京 巻の五』

陰陽ノ京 巻の5 (5) (電撃文庫 わ 4-23)
渡瀬 草一郎
4840237646

[Amazon]

読了。

平安朝の京都を舞台に、陰陽寮の名家に生まれながら文章道へと進んだ変わり者、慶滋保胤を中心に、あやかしと人とのかかわりを描いた幻想シリーズ、第五巻。

阿倍晴明の留守に、かれと因縁を持つとおもわれる夜盗があらわれた。
天狗の関わりを現場に見た陰陽寮の賀茂光榮に依頼され、保胤は愛宕山の旧知の天狗を訪ねていく――



実に久しぶりに読んだ『陰陽ノ京』でした。
どれくらい久しぶりかというと、刊行されたのが四年ぶりだということだから、たぶんそれ以上のご無沙汰ではないかと。
その間、著者の異世界SFファンタジーシリーズをたのしく読んでいたわけですが、あらためてこちらに戻ってみると著者の本領はやっぱりこちらなのではないかなあという想いを抱きました。
登場人物たちの想いの生きている感じが、日本のしっとりとした自然のなかで育まれている感じが、とても好きだなあ。

やさしい、やわらかい、そして哀切な、あやかしと人間のお話でした。
運命の綾にからめとられて翻弄されて妄執の虜となった外法師の、それこそ思いも寄らぬ正体に、ほんの少しであっても救いがもたらされるラストにうるっと来てしまいました。
しみじみと、いい話だなあとおもった。
今回はアクションシーンもほとんどなかったので、余計にそう感じたのかも。

保胤先生と時継ちゃんの仲はヘタレと天然のためなかなか進展せず。
むしろ、吉平と貴年ちゃんのほうが着実に前進している感じです。カワイイです。つーか、吉平くんは大きくなったらどんな大人になるのであろうか。

あとあと、晴明の奥方にはびっくりでしたが、こちらもぬくもりを感じるエピソードでした。

作者さん、大長編もいいけど、こちらも並行して書いてくださるといいのになあ。
大変でしょうけど。

興味を持たれた方はシリーズ第一巻からどうぞ。
陰陽ノ京 (電撃文庫)
渡瀬 草一郎
4840217408

剣の輪舞・増補版?

ハヤカワ・オンライン】の近刊予定によると、エレン・カシュナーの『剣の輪舞』がハヤカワ文庫FTで再刊されるそうです。

〈華麗で心躍る傑作ファンタジイが 珠玉の短篇3篇を増補して登場!〉長篇『剣の輪舞』に本邦初訳の「死神という名前ではなかった剣客」など短篇3作を増補



短篇三作が増補!
最近の再刊ラッシュには食指が動かなかったけど、これは買わねば。

発売は4月10日らしいです。

4月も購入予定が増えてますなー(汗、

20080311の購入

王子の優雅な生活(仮)
紫堂 恭子
4022131160

モンスターズ・イン・パラダイス 3 (3) (新書館ウィングス文庫 125)
縞田 理理
4403541259


以上、e-honで購入。
『王子の……』は発売日に駅前まで出かけたので探しまわったんだけど、どこにもなかったので。
ウィングス文庫は、駅前本屋にはほとんど入荷しないのです。

アマゾンを調べていたら、これももうじき発売なんですね。
聖なる花嫁の反乱(2) MiChao!KC
紫堂 恭子
4063754790

発売日は4月11日予定。
この表紙絵は電子コミックス用で、紙媒体用には新たに書き下ろされたそうです。
楽しみ楽しみ。

『トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons VI アポカリプス・ナウ』

トリニティ・ブラッド アポカリプス・ナウ (角川スニーカー文庫)
吉田 直
4044184151

[Amazon]

読了。

“ノイエ・バロック・オペラ”「トリニティ・ブラッド」R.A.M.シリーズの最終巻です。
とはいえ、この話は完結してはいません。
収録された「アポカリプス・ナウ」の途中で終わっています。
作者の方が急逝されたそうで……。
その事実を知りつつ読み始めたシリーズなのでそのことは始めからわかっていたのですが、ここまでたどりついてみるとやはり「無念だったろうなー」との想いを禁じ得ません。
ちょうど盛りあがっていくところだったのになあ……。

ちなみに収録作品は以下の通りです。


PUBLIC ENEMY
NIGHT HOSPITAL
APOCALYPSE NOW

解説・資料



さすがにぶっちぎりで終わりというのは後味からしても悪かろうというのか、編集部による解説のあとに「APOCALYPSE NOW」後編のプロットが載せてあります。
でも、これだけでは私にはどんな話かよくわかりませんでした。
やはり小説は文章。どれだけ描写を切りつめた文章でも、まして美麗な形容詞をふんだんに駆使した文章使いであるならばなおさら、味気ない骨組みだけでは作品とは言えないです。

こんなモノを巻末に載せられてしまうなんて、やはり無念だったろうなとしかいいようが。

どんなに若くても体力があっても、アドレナリンでまくりで疲労を感じなくても、人間は機械ではないので無茶はしないで欲しかったです。
いま、執筆中の作家の方々にはくれぐれもお体をご自愛下さいと申し上げておきます。

というわけで、未完結の話の感想を書くのはちと気がすすまないのですが……
うん、やっぱり続きを読みたかった、これにつきますね。
個人的には表紙のトレス君がごつすぎると感じます(涙。

『イムリ 3』

イムリ 3 (BEAM COMIX)
三宅 乱丈
4757739702

[Amazon]

積ん読すること一ヶ月あまり、やっと読みました。
いくらなんでもマンガをこんなに積んでおいちゃいけないなーと個人的には思うのですが、まあ前巻を読んでからすでに半年くらいは経っていたはずだからそれからどれだけあいだを置こうが記憶の目減りにそれほど変化はなかったかも、しれない。

言い訳は置いておいて、どこかの星のいつかの時代のお話です。つまりSFです。第三巻です。
読んでいて思うのは、やっばり昔の少女マンガSFと雰囲気が似ているようなてことで。
とくに思い浮かべるのは佐藤史生の「星の丘より」とか『夢みる惑星』とか。
共感能力とかそういうあたりの描写にそれを感じるのかもしれません。

描線のぶれ方ややわらかさにはまたさらに以前の少女マンガっぽさを覚えたりするのですが、これはなにを基準に感じているのか自分でもよくわからないので明言は避けます。

男たちの権力闘争にはあんまり興味はないのですが、秘められた被支配者イムリと支配者カーマの関係が主人公デュルクの冒険(?)で徐々に明らかになっていく過程がおもしろい。

デュルクの片割れらしいミューバの苛酷な扱われ方に憤りを覚えていたら、最後のシーンにうわっと驚いてしまいました。

つづきも楽しみにしています。

『ダイドーと父ちゃん』

ダイドーと父ちゃん
ジョーン・エイキン パット・マリオット こだま ともこ
4572004714

[Amazon]


読了。

図書館の新入荷棚にあったのを「わー、なつかしいー」と借りてきました。
そして変わらない楽しさに大満足。

史実とはちょっとちがう19世紀のイギリスを舞台に、元気な女の子ダイドー・トワイトの活躍をえがく、歴史改変冒険ファンタジーのシリーズです。シリーズとしては第六巻目に当たるみたいですが、これまでのお話が巻頭に付されているので初めて読む人でも大丈夫。

ページを開けば、貧乏だけど前向きで元気なダイドーと彼女を取りまく親切な人たち、悪人たち、さらにはストレートチルドレンたちの走りまわるさまがにぎやかな、スピード感あふれる物語が展開します。

今回は英仏トンネルの開通式にかこつけて国王を偽物と取り換えようとするハノーヴァー大使、それに加担する父ちゃんを軸に、ダイドーと彼女の友人たちが陰謀を阻止するために奮闘するというお話。

第一巻ではまだ八歳くらいだったダイドーももうティーンエイジャーになってるらしく、お話はいつもの愉快痛快大冒険だけでなく、悪人の父ちゃんに対する複雑な乙女心をえがいていて深みを感じました。

ダイドーの父ちゃんはすんばらしい音楽家なんだけど、自分の利害にばかり敏感で、クーデターの計画に参加して平気な顔して人死にを語る、罪の意識のまるでない人なんですよね。
ダイドーはそんな父ちゃんのことをすでに見切っていて、父ちゃんの言うことなんか全然信用しないんですけど、父ちゃんの創り出す音楽には心底憧れていて、自分は父ちゃんが好きなのか父ちゃんの音楽だけが好きなのか、自分でもわからなくなっていることに気づいてすこし切ない気分に陥ったりもしてるのでした。

登場人物たちもお年頃を迎えつつあるので、このあともしかしたらあちこちでロマンスが花咲かせたりするのかも。
今回も二組、カップルが誕生しましたしね。
個人的にはあたらしい登場人物、イスちゃんのちょっとひねくれた頑固さが楽しいです。

ところで、このシリーズ五作目のあとぜんぜん続きが出ませんでした。おかげで既刊はすべて絶版済みです。でもご安心を。この新刊を機会に既刊も新訳であらたに出し直すそうです。そしてこのあとの続編も完結編まで刊行が決まっているそうです。

「ダイドーの冒険」シリーズ既刊

『ウィロビー・チェースのオオカミ』
『バターシー城の悪者たち』
『ナンタケットの夜鳥』
『ぬすまれた湖』
『かっこうの木』

いずれも冨山房からハードカバーで出てました。
図書館では借りられるかもしれません。作者名がジョーン・エイケンになっているのでご注意を

20080308の購入

NHK クインテット~アラカルト~
アキラ・スコア・シャープ・アリア・フラット アキラ スコア
B000BR2MC6


e-honで購入しました。

甥っ子用のプレゼント。じつは私が聴きたい(笑。

『アマゾニア』

アマゾニア
粕谷 知世
4120035786

[Amazon]

読了。

十六世紀のアマゾン川流域を舞台にした、蕩々と時間の流れる世界と急流のごとく変化してきた世界の出会いと、変わらず暮らしてきた女たちだけの部族に溜めこまれたゆがみの暴発をえがく、歴史的でもあり精神的でもあるファンタジー。

この本はたいへんに面白かったです。
歴史物としてもファンタジーとしても。

あまり馴染みのない地域を舞台にしているため、私にとってはちょうど異世界ファンタジーを読んでいる気分とおんなじような心地で読み始めました。
そして、しばらく読んでいてもヒロインたちの生きている世界がどの時代かはわからず、むしろどうでもよくなっていたわけですが、ピサロの部下だったという人びとの登場でついにこの世界も地球の中に組み込まれたという次第。

そんな異民族と異文明との接触という大事件とともに、自分たちのなかにはらんでいた矛盾が大きく亀裂をもたらしはじめる。変革の時を迎えた泉の部族の、これは終わりとあらたな始まりの物語なのかもと思いました。

ところで、アマゾン川という名は地中海文明で伝えられてきた女戦士の部族アマゾンの伝説からとられたものだということを初めて知りました。
そっかー、アマゾン川は始めからアマゾン川ではなかったのね。
というわけで、この話ではこの川の流域のことを便宜上アマゾニアと呼ぶわけですが、私が最初舞台がどの時代だか特定できなかったように、アマゾニアの人びとはこのときまで西暦なんか知らなかったし、欧米人も知らなかった。それどころか、地球のことなんかも知らなかったし、不幸にしてこのときから自分たちが世界史のなかに組み込まれたことも知らなかったんだろうなあ。

文章は明晰で理性的。
視点はどうやら現代日本に置かれているようで、あちこちにさまざまな注釈や蘊蓄、解説が差し挟まれるため、スペイン人のヘレスの偏見に男性主義に凝り固まった観点からも、〈森の娘〉を守護精霊とする赤弓の視野の狭い男性嫌悪の観点からも自由な、公平な視点から読み進めることができます。

野蛮な敵、豹(オンサ)の部族の殲滅戦から次第に安定度を欠いていく泉の部族。
男子禁制の部族で厳しく規律を守らせてきた守護精霊〈森の娘〉の変貌や、泉の部族の気づかない他部族との距離感。つぎからつぎへと起きる事件を収めなければならない立場に陥る赤弓とともに、ぐいぐい物語に惹きつけられていきました。

文章が明晰なので空気もそれほどよどんだようには感じられず、わりと明解な学術書みたいな雰囲気でも読めるのですけど、読み終えて「ああ、これはやっぱりファンタジーだった……」と満足感にみちた溜息で本を閉じました。

この文章世界の感じは酒見賢一にちょっと似ているかも。
登場人物たちには一定の距離を置きつつ、客観的な情報を物語の流れをとぎらせることなく挿入し、理解させる文章。
感性よりも知性に傾いた文章だなと思った。

だから私としてはすこし質感に物足りなさを覚えることもありましたが、この熱帯雨林の濃密な空気がそのままどっと押し寄せてきてねっとりとまつわりつく(蚊やたぶん蛾も一緒に!)ことを想像するとかなりイヤなので、これくらいがちょうどいいのかもとも思いました。あらイヤだ、想像したら消えなくなっちゃったよ、密林の空気!

余談。
先だってからときどき読んでいるマヤ関係の話の中に、あのあたりの密林はけして豊かな森ではない、という記述が何度も出てきましたが、アマゾン川流域もそれとほとんどおんなじみたいですね。新陳代謝を正しく繰り返しているから荒れ果てないだけで。

もひとつ余談。
部族の名前にみんな動物の名前が冠されているなか、鰐や猿といったフツーのだけでなく南米だあと思えるものもたくさんあって、楽しかったです。
じつは私はカピバラが大好きなんですよ。もう二十年くらい前から。
すこしまえに『カピバラさん』というカピバラぬいぐるみの写真集を発見した時には買いたいという衝動と戦うのがたいへんでした……。

ところで、寡聞にして存じ上げませんでしたが、作者さんは第13回日本ファンタジーノベル大賞を受賞されている方なんですね。
受賞作品もなんとなく新大陸系みたいな気がするので、機会があったら借りてみたいと思います。

クロニカ―太陽と死者の記録
粕谷 知世
410450601X

新装版 カピバラさん
TRYWORKS
4777107965