「羊角の楽士」

いま さん【三界の扉】作、「羊角の楽士」読了。

異世界ファンタジー短篇。シリーズ「幻影の国の吟遊詩人」番外篇。
同シリーズ短篇「眠れる巨人」の後日譚。

歌と踊りの描写がステキでした。

文庫版『風光る』2~3

風光る (2) (小学館文庫 (わA-32))
渡辺 多恵子
4091918123


男と偽り新選組に入隊した女の子神谷清三郎こと富永セイの、恋と成長を描く幕末青春グラフィティ。
二巻、三巻を一気に読んでしまいました。もう少し時間をかけてゆっくり味わいながらと思っていたのに。

一巻の感想に書いたとおり、これぞ少女マンガなノリとイキの良さ、かわいい絵柄にハートウォーミングな描写と、とても楽しいお話です。
殺伐とした時代が背景にあるにもかかわらずとてもあかるいのは、おそらく多分にコメディーであるため。天然の総司とセイちゃんのつっこみがつづく展開が笑えるし、なにかなつかしい。

『はじめちゃんが一番』の江藤亮とはじめちゃんのやりとりを思い出させるからでしょうか。あのふたりの掛け合い、大好きだったんですよね。

そういえば、土方さんは和田瑞希に似ているような気が。いや、もっと遡って『ファミリー!』のレイフ父かな。

とにかく、いままでとはまったく違うマンガを書いているわけではなく、しっかりと渡辺多恵子のスタイルが貫かれたエンタテイメントで、なおかつ、新選組という素材をおろそかにしていないのがとても好きだと思います。

二巻では芹沢さんのエピソードが、三巻では池田屋事件がストーリーの軸となっていますが、メインはセイちゃんと総司と斎藤さんの三角関係になってきました。

清三郎を男であると信じて悶々としつつ、顔には出さない斎藤さんのいいひとキャラがすごく楽しい!
そして、女と知っているはずなのにそのことを忘れてしまう、それくらいセイを身近な存在と感じているのに、セイの気持ちにはいっこう気づかない総司の野暮天ぶりも楽しい!
そんな総司にふりまわされつつ、斎藤さんの心も知らずに兄上と甘えるセイちゃんの罪作りな乙女っぷりも笑える!

時代の不吉な影は物語を覆っていますが、セイちゃんの猪突猛進パワーがつづくかぎり新選組には笑いが絶えないのではと思われます。

そして近藤さんへの総司の思い入れのつよさに、このひとは近藤さんがいなくなったら生きていけないんじゃないかとおもっていたら、やはりその通りだったことに安堵と物悲しさを覚えました。

結末がわかっている話って、そういうところが辛いよねえ。
なんか読み進めるのがためらわれるなあ。

といいつつ、すでに六巻まで貸してもらってるので一気に行くと思います。たぶん。

風光る 第3巻 (3) (小学館文庫 わA 33)
渡辺 多恵子
4091918131

『狼と香辛料 III』

狼と香辛料〈3〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂
4840235880

[Amazon]

読了。

中世西洋風異世界商人ファンタジーの第三巻。

行商人のロレンスがふだんは美しい娘の姿をしている賢狼ホロとともに、彼女の故郷をめざして旅をするお話。

主人公が行商人なので毎回話は商売がらみ。ときには大もうけをし、ときには大損を余儀なくされ、ときには生命の危機にまで直面します。

同時に話の中心はあきらかに思い合っているのに本心を確かめあっていないふたりの恋の駆け引き道中。それはほとんどがホロがロレンスをからかっては可愛いと面白がるというものだったりするわけですが、ロレンスはこれにかなり鍛えられて男としても商人としても成長していっている模様。

つまりなんだ、年上美人に鍛えられる若者の成長記ってことなんでしょうか。

設定はファンタジーですが話にはほとんど幻想要素がなく、ふつーに商人の冒険記として読めます。

今回は前回大損をしたロレンスが祭りを控えてにぎわう街で手堅い商売をしようとしているところに、ホロに横恋慕するライバル商人が現れて、大きなリスクをともなう賭けに出ざるを得なくなるお話。

どんなことがあっても、ホロは自分を選んでくれると安心していたロレンスに、とんでもない落とし穴が待ってましたよと。

それからのロレンスの焦りと不安につきうごかされながらも理性を保って一発逆転を狙う姿がこの巻の読み所でしょうか。

毎回思うのですが、ロレンスってほんとうにマメというか、できた男の子だなあ。
商人だからひとの顔色を読まねばならないのはあたりまえでしょうが、女の子とここまでいろいろと気を回しながらつきあえるひとって現実にいるのだろうか。
まだ恋人未満で新鮮だから可能なので、そのうち面倒になってしまうのではないかと、勝手に心配してしまいます。

すがすがしいのはホロのあいかわらずの食べっぷり。
狼なのに料理した肉が好きなんですよねえ……。

さて、つづきはどうなるのかな。

狼と香辛料 (4) (電撃文庫 (1390))
支倉 凍砂
4840237239

文庫版『風光る 1』

風光る 第1巻 (1) (小学館文庫 わA 31)
渡辺 多恵子
4091918115



男と偽って新選組に飛び込んだ女の子の、「幕末青春グラフィティ」。開幕の第一巻。

ずーっと興味があったのですが、ずーっとつづいているのでなかなか手を出せなかったシリーズです。
このたび新しくできた義妹に快く貸していただき、とうとう中身を拝むことができました。
ありがとう、Yちゃん。

一巻を読んでの感想は、たしかに新選組だけどそれ以上に少女むけでかつマンガだな! です。
かわいくてほのぼのしておかしくて、なおかつ哀しい。
ひさしぶりですがたしかに渡辺多恵子のマンガでした。

私の新選組に関する知識はオブラートのようにうすくすぐ溶けてしまうものですが、それにしても新選組の主要な人物に関するイメージというものはなんとなくもってます。その大部分は大河ドラマ(オープニングしか見てなかったけど;)と少年マンガ(『銀魂』だなんてとてもいえない;)で形成されているので、正確であるとはとうてい言えないんですけど、それにしても、こんなに爽やかかつやんちゃで少年っぽい隊士たちって初めて見た気がする。

新鮮でした。(←シャレじゃありません)

そのなかでも一番新鮮だったのは芹沢さんかも(←シャレじゃ……)
こんなにふっくりとしたまるくて可愛い絵で、どうしたら血みどろな時代が描けるんだろう、という疑問の答えが芹沢さんだったような気がする。
ぜんぜんリアルじゃないいかにもマンガなおっさんキャラで、その人物の業までほのめかしてみせる。

作者の意気込みはときどき入るエッセイマンガでもわかりますが、ほんとうに力入ってるなあ……と思いました。

それから少女マンガならでは、視点がヒロインなので生臭いことをそのままむきつけに突きつけられなくてもすむところが安全仕様でたすかりました。

私は痛いのが嫌いなんで幕末の刀での殺しあいが死ぬほどイヤなんです。
戦記物を読むのはそれほど抵抗ないんだけど、日本刀の切れ味が鋭すぎるのが原因かな。あれで腕なんか切り落とされたら、現代の技術でも元に戻らないような気がするのです。
もし助かったとしても、刀傷ってそうとう痛そうだし~。

そんなわけなので、沖田先生は毎回人を斬り殺しまくってますが、それをズームアップでみることはなく、読んでいても気持ち悪くならなかったので安心しました。いつもならリアリティがないと怒るとこなんだけど、今回だけは許す。というか、こんな可愛い絵柄にはそんな殺伐とした描写はむかないし、できないだろうと思います。

そして、この話で作者が書きたいのはスプラッタな光景ではないとも思うしね。

文庫版はフラワーコミックスの二冊分が収録されている模様です。
まだ連載中の話ですが、第一期を全六巻として文庫化されたらしい。ということは十二巻までは一期なのか。
三巻まで借りてあるのでこれから楽しく読みたいと思います。

風光る (2) (小学館文庫 (わA-32))
渡辺 多恵子
4091918123

「伝説の卵神官シリーズ」第一部

seedさん@【星明かり亭】作「伝説の卵神官」シリーズ第一部「未来の卵」読了。
異世界長編ファンタジー。

おおむね辺境ほのぼのファンタジー。既視感と安定感。

『GOSICK 6 仮面舞踏会の夜』

GOSICK〈6〉ゴシック・仮面舞踏会の夜 (富士見ミステリー文庫)
桜庭 一樹
4829163755



読了。

第一次大戦後のヨーロッパの小国を舞台にした、少年少女のゴシックミステリシリーズ。
長編第六巻。

五巻の次は短編集と思っていたのですが、書架に六巻があったので借りてきてしまいました。お話的には五巻の「ベルゼブブの頭蓋」から直接つづいているらしいので、大丈夫かと。

で、今回は奇怪な名前の修道院から脱出した一弥とヴィクトリカが、豪華列車〈オールド・マスカレード〉号で出逢った奇妙な人たちとのお話と、殺人事件。

お話が事件を中心にコンパクトにまとまっていて、前巻のシリーズ伏線バリバリよ状態からひと息ついた、少年少女のやりとりが無性に楽しい巻でした。

今回のお気に入りはここらへん。


「灰色狼に、不可能はひとつもないのだ」
「あるでしょ、いろいろ!」
 一弥が叫んだ。
「思い出しなよ、自分のいろんな失敗を。君って人は、登った木から、自分で降りられなくなった人なんだよ! お菓子食べ過ぎて、お腹が重たくて動けなくなっちゃう困った人なんだよ。思い出して。謙虚さも、時には必要だよ!」



かわいいなあ、ふたりともv

これを読んでいて『崖の館』との違いを考えてみたんですけど、たぶんキャラクターがどれだけ立ってるか、なんじゃないかと思う。私が虚構だらけのミステリを抵抗なく受け入れられるのは、どこからどう見ても現実じゃない感が高い場合なのでしょう。そうしないと、普段から異世界ファンタジーにも生活感を求めてしまう私は、ちゅうぶらりんな気分になっちゃうようです。

謎の核心にある形見箱ですが、先日読んだ本でかなりくわしく学んだのでどういうものなのかととまどわずに済みました。
いまさらですが、読書ってつながってるよな、頭の中で。

ヴィクトリカと兄グレヴィール警部とのやりとりもいつものおかしさでした。
妹に頼って現在の地位を築いてきた警部は、じっさい自分のことをどう把握してるのでしょう。
そして、今後、警部はドリルヘアをやめるのでしょうか。気になるな。

しかし。調べてみると、長編の続編はこれ以降刊行されていません。
短篇を読み終える前に続刊が出てくれるとうれしいのですが、作者さんやたらにお忙しそうですねえ。シリーズ自体、完結させてもらえるのかしらと、ちと不安。

20080527の購入

図書館帰りに購入。

沙中の回廊〈上〉 (文春文庫)
宮城谷 昌光
416725915X


積ん読本があと二冊になってしまったので心寂しくなって、つい。
この本は図書館で見かけてちょい読みをしたとたんつづきが読みたくて仕方がなくなったので。借りなかったのはじっくりと味わうためです。

あと、光原百合の『銀の犬』が文庫本になってました。
欲しくてたまらなかったけど、一度読んだのだからと我慢。

銀の犬 (ハルキ文庫 み 8-1)
光原 百合
4758433410



図書館ではこんなものも拾い読みしてきました。

チベット史
Laurent Deshayes 今枝 由郎
4393118030


ソンツェン・ガムポのところに「文成公主」と書いた付箋が貼ってありました(笑。

『崖の館』

崖の館 (創元推理文庫)
佐々木 丸美
4488467016

[Amazon]

読了。

荒涼とした海を背景に崖の突端にたてられた洋館を舞台に、少女の潔癖な精神にみちた心理描写を細やかに描いた本格ミステリ。

哀しい伝説のつたえられる海辺の洋館は、若くして夫を亡くし、莫大な遺産を受け継いだ叔母の住まいだ。叔母の独立し精神的な生き方に憧れる高校生の涼子とその年上のいとこたちは、幼い頃から休みのたびに館を訪れていた。しかし今、叔母の養女となった千波の思いがけない転落死がかれらのこころに大きな影を落としていた。雪の降る季節、館に集ったいとこたちの前で、絵画の一枚がなくなった。奇怪な出来事に哲文は千波の死に関係があるのではと推測する。だれもが不審を抱きつつ、言葉にせずにきた不安が頭をもたげる。果たして千波の死は本当に事故だったのだろうか。もし、事故でないとすれば……犯人はこの中にいる。




うーむ。
なんと感想を書けばよいのかとても困る本だなあ。とくにミステリの本筋に関心のない私にはうーむな本だ。
どこまでも潔癖な少女の世界であることは厭う理由にはならないのだけど、さすがにここまで現実離れしていると歳喰った人間には困ってしまうような。かといって、少女の頃に読んだとしても私には登場人物の展開する形而上的な台詞群が理解できなかったんじゃないかと思ったり。いや、理解できないから余計に雰囲気に浸って好きになったかもしれない。それはもう今となってはわからないとしか言いようがありませんが、とりあえず、主人公の名前が私にはネックでした。非常に個人的な理由だが(苦笑。

読んでいて受ける感じが非常に長野まゆみとか奈須きのこに似ているなと思いました。
ある年齢の少女がどこまでも精神的な価値観ですべてを判別したり切って捨ててしまったりするのは、精神と肉体がアンバランスに成長しているからなのかなあ。
人間、生まれたときにはまぎれもなく生き物なのに、途中で生き物であることを忘れてしまうような気がします。それで生き物としての均衡が崩れるのかも。そのアンバランスさが人間性で、文学的には魅力になるのかも。

などと愚にもつかないことをつらつらと考えてしまいました。

というわけで、私は哲文くんというキャラクターが気になったのですが、ヒロインのように好きだとは言えなくて、でも現実に目の前にいたら間違いなく惹きつけられていたんじゃないかと思われたりするので、そんなところでもうーむ。

あと、年上のいとこたちがみんなで子供扱いしてくれる環境って、なんとなくウラヤマシイかも。

困った本ですが、一気に読んでしまいました。
ということは、たぶん惹かれるなにかがあるのだと思われます。
つづきがあるようなので見かけたら読んでみたいと思います。

水に描かれた館 (創元推理文庫)
佐々木 丸美
4488467024

『介子推』

介子推 (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062637960

[Amazon]


読了。

晋の公子重耳につかえ、人知れず暗殺者の手からあるじを守り抜くが、重耳の覇業が完成したとき忽然と姿を消した、中国古代の英雄伝説をモチーフに描く、歴史小説。

著者の『重耳』はかなり前に読みました。重耳が艱難辛苦の果てに覇業を成し遂げたことは覚えてましたが、案の定、介推のことは全然記憶にありませんでした。
しかし、何にも覚えてなかったことはこの作品を読むに当たってはむしろよかったのかもと思いました。
展開がわかっている話を無心に読めるほど純真じゃないからねえ。

というわけで、英雄伝説です。
といっても万人の前で大活躍した美丈夫とかじゃありません。
普段は黙々と任務をこなして、誰も知らないところでひそかに命がけの活躍をしているという、隠れたヒーローのお話です。

介推という名のかれがのぞんでいるのは、重耳のあゆむ聖道をみとどけたい、そのはてに成立するすべてにおいて瑕のない楽園のような国を見たい、ということ。
ものすごく潔癖で純粋、だからかれは重耳や彼に仕える臣下たちをいちいち評価せずにいられない。わずかな濁りもかれを不安にし、失望させてしまう。
読んでいて、いったいあんた何様ですか、と言いたいような気持ちになること数知れずでしたが、読み終えて考えた。

もしかしたら介推というのは人間ではないのかもしれない。
山の仙人、もしくは精霊で、人間にとてつもない興味を持って期待していた存在、なのかも。介推の母親からして、ぜんぜん生活感がないし。すると、彼女は人間に恋して子供を産んだ山霊の異端者なのかも。だからこんなにきれい事を連発するのかも。

介推にひとつだけ人間っぽさがあるとしたら、兄弟のように育った石承に対するこだわりですが、この関係も私の期待したような負の大イベントなどひきおこさず。石承の存在は介推の心を人間界に向けるきっかけに過ぎなかったのかいな、と思わされました。

というわけで、たまたま人間のために尽力してみたけれど、けっきょく自分の理想は人間には実現できないと感じて去っていった、精霊のものがたりというふうに読めば、かなり納得できるなと思いました。

そしたら、解説で中国文学研究家の井波律子さんがほぼおんなじようなことを書いておられました。

むー、読みは当たっていたけどなんとなく気が抜けた(苦笑。

ひさしぶりに宮城谷作品を読めて幸せでした。
このつぎは年代順に読みたいなーと思ってます。
すると『沙中の回廊』になるのかな。


沙中の回廊〈上〉 (朝日文庫)
宮城谷 昌光
4022643021

『おおきく振りかぶって 10』

おおきく振りかぶって Vol.10 (10) (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063145042



続刊を待ちに待ってる高校野球マンガの最新刊。
第十巻は埼玉大会の三回戦、決着です。
意外と短かった崎玉戦ですが、このマンガのいいところは相手チームがただ敵として存在するのではなく、きちんとした背景を持って自立して生きているところだなと思います。
こんだけキャラクター作るの、大変だろうなあ……。

そしてなおかつ、試合としても面白い展開。
モモカンの監督としての優秀さは、野球の知識もさることながら選手ひとりひとりに応じた対応ができるところ、それがその場限りではなく長期的展望を持ってできるところ。

モモカン、若いのにいったいこんな人間観察眼をどこで培ってきたんでしょう。最初からできるとしたら、まさに教育者として生まれてきた人間だ。

視点がどんどん切り替わって誰もが主役になる、まさに群像劇。
今回の焦点は花井くんの田島くんという存在に対する葛藤でしたが、そのほかにも崎玉投手のゆれうごく心理状況なんかかなり読み応えありました。

崎玉の捕手、大地くんのキャラクターが……なんか笑えます。大男、総身に知恵が回りかねっつーか。潜在能力はあるんだけどまだ身体を使いこなせてないんだよねえ。かれが本気になったらすごいことになるのではと思うな。カバーとった表紙の大地くんマンガが楽しかった。

ほんと、いろいろと楽しめるマンガです。すごいな。

あと、阿部両親の登場はおもしろかったです。
阿部くんのあの性格は父譲りみたいですね。顔はあんまり似てなかったけど親子でいい性格しているな~。

ところで、この巻に収録されたのは2006年九月号から十二月号まで。
このあと一冊分くらいストックありそうなんですが、どうしてこんなにのんびり刊行なんでしょう。速く続きを出して欲しいです。

20080523の購入

歯医者の帰りに足を伸ばして購入。

おおきく振りかぶって Vol.10 (10) (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063145042


えらくひさびさに本屋に行ったような気がしたけれど、お腹が空いてたのですぐに帰ってきました。

歯医者通いが終了したので嬉しいです。

『青いチューリップ、永遠に』

青いチューリップ、永遠に (文学の扉)
小松 良佳
4062832119

[Amazon]


読了。

十六世紀のオスマン帝国を舞台にした、少年少女の冒険と成長の物語。


『青いチューリップ』の続編です。
旅から戻ってイスタンブルのラーレの祖父の家に住むことになったネフィたち。
ネフィは挿絵入り薬草本を作りたいという夢を持ちますが、画師になる夢が叶わないと知っているラーレには祖父の弟子メフメットとの結婚話が持ち上がります。
ところがもう終わったと思っていた青いチューリップがらみの事件にまたも巻き込まれることに。

この本の魅力はなんといってもオスマン帝国支配下の人々の暮らしが生き生きと描かれていること。
今回はトルコ在住のユダヤ人の生活や後宮のようすがあっさりとした文章ながら目に見えるようなのが楽しい。
絵画や活版印刷のイスラム圏での扱い、後宮のなりたちなど、文化と歴史に関する深い知識が絨毯のように物語のそこここに織り込まれて、当時の雰囲気にリアリティーを感じさせてくれます。
こういう時空間を感じさせてくれるおはなし、大好き。

物語はネフィの雲をつかむような夢が周囲の助けで次第に具体性をおびてくるところ、ラーレの女性蔑視の風潮に自分を理解してもらえない苦しさと、まっとうな成長物語の要素とともに、幼いながらも惹かれあっているふたりの初々しい恋心を交え、政治的な陰謀まで登場して波瀾万丈。たいへん読みやすい読み物となってます。

個人的には奴隷として宮廷にやってきてスルタンの絵師にまでのぼりつめたラーレのおじいさん、シャー・クルがいい味だしてるなあと思います。
前巻では頭の硬い人物のように描かれてましたが、かれにはかれの歴史とそれによって培われた信念があるのですよね。あたりまえですが、長い年月を生き抜いてきた人には敬意をはらうべきだと思いました。

ところで、この話、続刊は出てませんがこれで完結なんでしょうか。
読み終えたところではまだまだ続きがありそうな雰囲気なんですけどねえ。
できればこのあとのネフィとラーレのものがたりも読みたいなあと思います。

前作はこちら。

青いチューリップ (講談社文学の扉)
新藤 悦子 小松 良佳
4062125862

おえかき掲示板

しばらく閉じていたお絵かき掲示板を再開しました。

ただいま練習中

今回は自前設置は止めて、レンタルを借りてみました。


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『デイ・ウォッチ』

デイ・ウォッチ
法木綾子
4862380565

[Amazon]


読了。


二十世紀末ロシアを舞台に光の者たちと闇の者たちの勢力争いを描く、ローファンタジー。シリーズ二作目。『ナイト・ウォッチ』のつづき。

薄闇に入って異人となり、人々のためにあるいは自分のために戦う光の監視者ナイト・ウォッチと闇の監視者デイ・ウォッチ。
双方の指導者ゲセルとザヴロンの思惑のもと、チェスのポーンのように動かされるメンバーたちのストーリーです。

今回は闇の監視者デイ・ウォッチの内情がだいぶんあきらかになって、面白さが倍増。
ザヴロンの愛人で前巻での失敗のために失脚した魔女アリサ・ドンニコヴァの休暇の予想外の顛末からはじまって、記憶喪失のままなにかに導かれて不可思議な行動をとる異人と、強力なアルテファクト、ファフニールの爪を巡ってくり広げられる緊迫の追走劇。そして二つの事件の裏に隠された両陣営のボス同士の駆け引き合戦があきらかになる異端審問と、愛と悲劇とスリルとサスペンスとアクション盛りだくさんの内容です。

それぞれ読み応えのある短篇と見えたものが、さいごにひとつの流れとして収束していく様が見事。
最後まで明らかにされないとある異人の秘密がかなり予想外でした。

前回はうすかったキリスト教の影がちょっと見えかくれしてきたことも興味深い。
といっても、じっさいかれらの行動原則がキリスト教にもとづいていたり、物語世界の根底にそれがあったりするようなものではないような。なんというのかな、光と闇の抗争の中のひとつの歴史としてキリスト教の逸話もある、みたいなかんじ?

ファフニールの爪はキリスト教じゃないと思うし。この世界の法則ですっかり読み替えられたジークフリード伝説というのも面白かったです。

この混沌とした雰囲気、なんか平井和正を彷彿とさせるなあ。

それと、異人たちの……というか魔術師たちのレベルに関する描写に、ゲームっぽさとリアル感がまじっているのも面白かった。単に経験を積んだからといってレベルが上がるわけではないのは当然だけど、その人にとって最高潮の時のレベルというのがあったり、傷ついたあげくレベルが下がったままになったり、潜在力はあるのに運や意欲や状況のおかげでレベルが上がらなかったり。

まるでプロ野球選手のようですね。有望選手ながら現在は停滞期のものがいたり、成績アップを試みて間違った方向に行ってしまうものがいたり。偉大な魔術師はきっと名球会レベルなんだな、うむ。

前巻からひきつがれたアントンとスヴェトラーナの愛の行方……と書くとなんかこっぱずかしいですが、はこの巻には出てこないのかと思ったら、最後にきちんと書かれていてよかったです。よい方向にむかいそうだし。

ものすごい悲劇からはじまった話で、ボスたちの暗躍の前ではなにもかもクールに吹き飛ばされてしまうのかと思いきや、案外みんなウェットに踏ん張っているじゃないですか。

三部作の三巻目は『ダスク・ウォッチ』、完結編は『ラスト・ウォッチ』とつづくそうです。
三部作なのに全四巻なのね。

大変面白いシリーズなので、ひきつづき邦訳が刊行されることを願っています。

シリーズ第一作目はこちら。

ナイトウォッチ
法木 綾子
4901784870

ATOK2007

二、三日ことえりで過ごしてみたけど、やはりこれは必須かと。

ATOK 2007 for Mac [プレミアム]
B000RKVIWM


プレミアムには明鏡国語辞典とジーニアス英和・和英辞典がついてきます。
変換時の入力候補と一緒に意味がひけてしまうので大変便利。
同音異義語とか漢字の微妙なニュアンスを比べられるのがよいです。
もう離れられない。

ジャストシステムのジャストマイショップで登録ユーザー向けのAAA優待版を購入。
後、Leopard用のアップデータを公式サイトから落としてきて入れました。

この間まで使ってたATOK17(古っ)のユーザー辞書や設定も引き継げたので満足です。

『ニューヨークの魔法使い (株)魔法製作所』

ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所> (創元推理文庫)
今泉 敦子
4488503020

[Amazon]


読了。

現代アメリカを舞台にしたローファンタジーシリーズ「(株)魔法製作所」の開幕編。
普通すぎて職場でも男女関係でも埋没してしまう二十六歳のOLケイティが、その普通さ故に魔法使いの会社にスカウトされてすてきな男性と巡り会う、OL版ハリーポッターファンタジー。

これはたいそうおかしくて楽しいキュートなお話でした。
テキサスから出てきた田舎者のケイティが、じつは妖精たちが見えるセカンドサイトの持ち主で、なのに妙ちくりんなものを見かけるたびに「ここはニューヨークなんだから」と言い聞かせて精神の均衡を保とうとしているあたりの導入部が最高。

とつぜん現れたヘッドハンター、ロッドに新たな職場を紹介されるものの、理性のかたまりケイティは相手のうさんくささになかなか返事ができない。
そもそも、どうしてこんなに美人でもなくキャリアもない、普通さだけが取り柄の自分が選ばれたのか、納得できないのです。

なのに理不尽な上司にとうとうぶちきれて辞表をたたきつけ、いきおいで転職することに。
いざ、新たな職場へ足を踏み入れてみると、そこはなんと魔法使いや妖精たちが魔法を作って販売している会社で、ケイティに求められているのは、魔法の素質がまったくないゆえに魔法による目くらましが効かない体質を活かした、検証作業だったのでした。

魔法をコンピュータのソフトウェアのように開発販売しているという発想から、話は魔法使いたちの抗争へとながれていくのにいついつまでも現実に足をつけたまま進みます。
ケイティが販促のためにマーケティングを導入したり、商売敵として頭角を現す元従業員への対抗手段として弁護士に協力を要請したり。

そのいちいちに魔法ならではの困難と利点がついてきて、それがものめずらしさとユーモアにつながってる気がします。

特におかしかったのは、ケイティの歓迎会でめぼしい男性が見つからないと悟ったときの、職場の面々の行動。
まさかカエルが出てきただけでこんなに笑えるシーンになるなんて!

ケイティが自信がなかっただけでじつは結構有能で、めきめき頭角を現していく展開も面白いですが、開発部のシャイなハンサム、オーウェンへの思いに一喜一憂する乙女心を分離させることなくきちんと双方を絡めて読ませてくれるところがたいそう楽しかったです。

謎めいたオーウェンの背景はなかなかあきらかにならず、ケイティと一緒にいろいろと推理を巡らせてしまいました。

それと、ルームメイトたちとのやりとりもいかにも女友達って感じの気の置けない雰囲気でよかった。

事件の解決部分がすこし尻すぼみに感じましたが、むしろこんな大掛かりなことはせずに日常の謎で押し通してもよかったのではと思うくらいでした。

あー、楽しかった。
欲を言うなら西洋風の異界イメージ以外も出てくるともっと楽しいのにな。

シリーズは三冊が既刊のようです。
このつづきはこちら。

赤い靴の誘惑 (創元推理文庫 F ス 5-2 (株)魔法製作所)
シャンナ・スウェンドソン 今泉 敦子
4488503039


あれ?
私予約したかしらん。

MacBookをセットアップする

今回は購入段階から弟にヘルプしてもらってたので、セットアップも大方かれがしてくれました。
面倒な設置も配線もモニタの調整も、すっかりおんぶにだっこです。
いままでン十年つきあってきてこんなに役立ってくれたことはなかった気がする。

macbook2


ところが。

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『宿縁の矢 ヴァルデマールの使者2』

宿縁の矢 (C・NovelsFantasia ら 1-2 ヴァルデマールの使者 2)
マーセデス・ラッキー 澤田 澄江
4125010285

[Amazon]


読了。

中世西欧風異世界ファンタジーシリーズ「ヴァルデマールの使者」の二冊目。
『女王の矢』の続編です。
ここからは新規に翻訳されたものなので、お初の読書となります。

砦族で虐げられていた少女タリアが〈共に歩むもの〉ローランに見いだされ、使者となるために学院に入ることとなったのが前巻のおはなし。

学院の課程を修了したタリアは白い衣を授けられ、見習い使者として研修の旅に出ることになった。
タリアの困難は彼女の〈天恵〉が使者が持つには稀なものであったこと、それがとてつもなく強かったこと、そのため周囲のものは彼女の状況を見誤り、不完全な状態で使者に任命してしまったこと。そして、すでに〈女王補佐〉の地位にあった彼女には目に見えた敵がいたこと。
タリアの指導をまかされた使者クリスは、タリアに好感を抱きながらも彼女が〈天恵〉共感をふりまわして周囲に影響を与えているのではないかという疑念につきまとわれつづける。
クリスの信頼を得られないタリアは自虐的に自らを追い込んでゆき、旅はどんどんつらいものになっていく。



というような感じでお話は進みます。

いつものようにこまやかな物語世界の描写に魅了されました。
読んでいるとタリアたちの旅のようすが細部まで目の当たりにできて、このあたりまるで旅行の体験記みたい。〈共に歩むもの〉とか荷を運ぶチラスといった動物たちの排泄処理のことまででてくるファンタジーはそうそうないと思われます。
使者のために整備された宿小屋の制度とか、連絡のための矢信号とか、ほんとにいろいろと考えてあって楽しい。それをタリアが初心者の目で見て、感じてくれるので、読み手にとっても新たな知識がすんなりと入ってくるのです。

こういう、日常的な細やかさが私のラッキーの好きなところ。

気になるのは話の冗長さですかねえ……このあたりは私は人のことを言えないのだけど、今回は話の核心からすぐにそれてしまう展開が多くて、ちょっとイライラしました。
タリアもクリスもタリアの状況が危機的なところにきているとわかっていて、何を悠長に戯れてるんだろうと。しかもタリアは別に本命がいるのにさー。クリスが高慢なハンサムなのはわかってるけど、タリアも〈天恵〉があるからとはいえ、かなりのとこ似たようなこと考えていたのに、一方的にクリスが責められるのはなんだかなーと思うよ。

それに私は、タリアのキャラクターにすこし設定展開と描写が食い違うような違和感を感じるのです。自尊心が低いと書かれているわりにけっこういいたい放題いってるなあとか。

んー、つまり私はラッキーのつくる世界は大好きだけど、人間関係の描写があまり好みでないってことなのかも。間延びしている気がするのです……。

まー、そういうところはありましたが、総じて使者の通常業務や巡回の旅についての詳しいことがわかって、かなり楽しめる巻でありました。

三部作の三巻では、研修を終えたタリアの困難が描かれる模様です。政治的なあれやこれやと意中の人とのロマンス、さらにはハードーンのアンカー王子(まだ王子)がご登場なさる模様。

刊行を楽しみにしています。

女王の矢―新訳 (C・NovelsFantasia ら 1-1 ヴァルデマールの使者)
マーセデス・ラッキー 澤田 澄江
4125009996

MacBook購入

長い間の懸案、頚の痛みを少しでも取るための計画のメイン段階として、MacBookと液晶モニタを買いました。

macbook1


MacBookのパッケージ。
とってもコンパクト。
液晶モニタもかなりコンパクト。
以前デスクトップを買ったときのあの重量感は今やどこにもありませぬ。
時代は変わった……。

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『GOSICK 5 ベルゼブブの頭蓋』

GOSICK(5) ―ゴシック・ベルゼブブの頭蓋― (富士見ミステリー文庫)
桜庭 一樹 武田 日向
4829163283

[Amazon]


読了。

第一次大戦後のヨーロッパ、謎めいた架空の王国を舞台にした学園(?)ミステリシリーズ。
五冊目。

先日の読書で頭がミステリになったのでひきつづきミステリを読んでみた。
といってもこの話はちゃんとミステリなのかと疑問を感じるところがあるけれども。
すくなくとも私はミステリとしては読んでないな思う。
後の謎解きを読むのが面倒で仕方がなかったから。

私にとってこのシリーズはまず「ヴィクトリカ、かわいい!」であって、それ以上のことは期待していないらしい。

あ、ヴィクトリカの兄さんブロワ警部を読むのもかなり楽しいです。


「……しかし、久城くん。君はフリルなどにうとい、無骨な男だから、かゆいところに手が……」
「迎えにいくのはぼくだ。警部はそこで黙って、ドリルをどんどん増やしていればいいんです!」



これには笑った(笑。

だんだんシリーズの核心に話が近づいてきている模様。
灰色オオカミの謎は半分以上忘れ去ってましたがなんとか思い出したので、この記憶が鮮明なうちにつづきを読みたいものでございます。

つづきといえばつぎは短編集「エス」の一冊目なんだけどすでに読んでしまったので「エス2」ということになるのかな。

GOSICKs(2) ―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車― (富士見ミステリー文庫)
桜庭 一樹
4829163526

『春期限定いちごタルト事件』

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信
4488451012

[Amazon]


読了。

青春ミステリ連作短篇。
装画がかわいくて気になっていたので借りてみました。

過去に災いを被った本性を隠して“小市民”をめざす、互恵関係の小鳩くんと小左内さん、高校デビューのお話。

謎解きは日常の謎をめぐるもの。
抑えていた本性が頭をもたげてしまう小鳩くんの後ろ向きな活躍がメインです。
とはいえ、小左内さんには驚くような展開が待ってますが。
小鳩くんの過去を知る堂島くんのキャラクターがグー(笑。


プロローグ
羊の着ぐるみ
For your eyes only
おいしいココアの作り方
はらふくるるわざ
狐狼の心
エピローグ

解説 極楽トンボ



たまには目先を変えようと思って読んだ本ですが、なかなか楽しかったです。
「感情表現が控えめな青春もの」という解説にうなずけます。
続編が一冊出ている模様。
つづきもこんなにスウィーツが出てくるのかなあ。
最初のうちは食べたい~と思ったけど、途中で胸焼けがしてきました(苦笑。
小左内さん、すごい。

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信
4488451020


『剣の輪舞 増補版』

剣の輪舞 増補版 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-3) (ハヤカワ文庫 FT カ 2-3)
エレン・カシュナー Ellen Kushner 駒田絹
4150204659

[Amazon]


読了。


近世西洋風異世界剣客ロマン(?)
以前同じ文庫から出ていた長編に短編三編をくわえた増補版。
収録作品は以下の通り。


剣の輪舞

謝辞
増補版のためのあとがき

死神という名前ではなかった剣客
赤いマント
公爵の死

訳者あとがき




舞台は異世界だけど魔法はまったく出てこないお話で、以前に読んだときにもふしぎだったのですが、雰囲気はとてもファンタジー。
訳者あとがきに「これは人と人とのかかわるやり方のお話、マナーのファンタジーである」というようなことが書かれていまして、それを読んでああそうなんだと腑に落ちました。
私はこの本に書かれている世界の雰囲気、たたずまい、ひととひととの関係というかひととひととのあいだに生まれるぬくもりある空気のようなものが気に入ったのかなと思ったのです。

お話はおそらく中世の頃からあっただろう歴史ある街で、剣客リチャード・セント・ヴァイヤーとその恋人の元学生アレクが、貴族たちの権謀術数にまきこまれた、その顛末。
からみあった人間関係とそこに生まれる恋のさや当て、陰謀、それらを表に出さずに決着をつけるために呼ばれる剣客たち。

普段私は男同士のカップル話はあまり読まないんですが、この話のなかではそのことが特筆すべきことではなく当然のこととして描かれており、また恋や愛の成就がメインでもないので、抵抗感がありません。

それよりも印象的なのは剣客たちの属する下町リヴァーサイドの光景で、人いきれやシチューのにおいの混じり込んだしめった生あたたかな空気が、よごれた暗い道に流れ出しているかのよう。そんなふうにゆたかな質感にいろどられた庶民の生活がいきいきと描かれているところ。読んでいてその世界を実際に歩いているような気分になれる、細々とした小路の地図を片手にあれがふたりがビールを頼む店だよとかいいつつ散策したいような気分にさせられる。

そして登場人物たちのふるまいや台詞のかもしだす、えもいわれぬ雰囲気、空気を堪能する。ひとつひとつのシーンを味わい反芻する。

わたしにとってこれはそんなお話なのかなーと思われます。

だからほとんどストーリーを追うことなく読み進んでしまい、話の筋が見えなくなってしまうこともしばしばだったのですが(苦笑。

でも、そもそもストーリー展開を楽しむような話ではないような気もするし。

そんなわけで、最後に待っている種明かしにはまたわくわくとしてしまいました。二度目なんだから知っているはずなのに、なんなのだろうこの期待感は(笑。トレモンテーヌ侯爵夫人、かっこよすぎ。これまたあとがきにありましたが、彼女はたしかに女性版光源氏みたいです。私は源氏の君がかっこいいと思ったことはないけど、侯爵夫人はそう思う。女性びいきだからか?

今回加えられた短篇では、一番おもしろいというか興味深かったのが「公爵の死」でした。
むー、この公爵はかれ、なのでしょうかね。どこまでも人物を特定しない意味深な書き方に深い興味をかきたてられました。かれらのその後はいったいどんなだったのだろうとかね。

楽しく味わい深い、粋なお話でした。

三部作の第二作でデリア・シャーマンとのコラボ作品『王と最後の魔術師』が6月25日に発売予定らしい。
第三部はタイトル不明ですが、こちらも訳出されるようなので楽しみです。

『ヴァンパイア・キス』

ヴァンパイア・キス (小学館ルルル文庫 (ルマ1-1))
マリ・マンクーシ
4094520651

[Amazon]


読了。

双子の姉と間違えられて吸血鬼にされてしまった女の子の、ドタバタラブコメディー。


サンシャイン・マクドナルドは品行方正で純情サニーとあだ名されるほど奥手の女の子。双子の姉のレインはゴシックやアンダーグラウンドにのめり込んでいるが、サニーは趣味もいたってまともだ。ところが、ある夜レインに強引に連れてゆかれた〈牙倶楽部(クラブファング)〉なるその手の人たちの集まりで、サニーはとてつもなく素敵な少年と出会う。真っ青な瞳にすらりと引き締まった身体。まるでパイレーツ・オブ・カリビアンのオーランド・ブルームみたい! 見とれていると彼はなぜかサニーに眼を留めて、思い切り気のありそうなアプローチを仕掛けてきた。会話の端々から誰かと間違えられているような気がするけれど、天にも昇った心地のサニーは反論することができない。成りゆきにまかせているうちにとうとう彼はサニーにキスを始めた。サニーは夢見心地だった。彼が彼女の首筋に噛みつくまでは。




アメリカ人作家による少女向け異種恋愛小説、コメディー風味。
『プリンセスダイアリー』に雰囲気が似てるーと思いながら読みました。
父親が不在で、フレンドリーな母親がいて、奇天烈な相棒がいて、平々凡々な自分に嫌気がさしつつもはみ出す勇気のないいい子ちゃんがヒロインで、表に出されない反動か内心が饒舌。
学校では一部の人気者のグループがセレブみたいに集ってて、生徒たちの関心はダンスパーティーのパートナー選びとか。

そんなじつに現代アメリカだなーという舞台を背景に、今回くり広げられるのはのぞまないのに吸血鬼になりつつあるヒロインの葛藤と、自分を吸血鬼にした相手の青年、つまり吸血鬼との遅々として進まないロマンス。

陽気なんだか能天気なんだか後ろ向きなんだか、読んでるこちらの目がまわりそうなめまぐるしいヒロインの一人称が、状況のおかしさを倍増させてくれます。

ものすごく素敵な王子様、もとい吸血鬼かと思ったマグナス君が案外ヘタレキャラだったりするのも、当世風?

楽しかったです。

これを読んでいると、いまのアメリカでの吸血鬼のスタンダードはアン・ライスとか聖少女バフィーなんだーということがわかったり、アーサー王の聖杯の話もやはりメジャーなんだなあということに親近感がわいたりして、いまの若い人向け娯楽小説ってアメリカも日本もそんなに変わらないのかもと思いました。

ただ、日本で日本人が主人公だとこんなに簡単にドルイドに会いにいったりはできないけどね。アメリカでは日本風ファンタジーなんてあんまり書かれないだろうし。

それに、ヒーローの描写はやっぱりアメリカ。吸いこまれそうな青い瞳はいいとして、割れた腹筋にどーしてこんなにこだわるんだ。
大人向けじゃないのでそれほど露骨じゃないけどね(苦笑。

そんなわけで、アメリカ風の異種ロマンス少女小説もなかなか面白いと思ったことでありました。
ラストの能天気なハッピーさも、アメリカかなあ。
こんな状況、いずれ破綻が来ると思うのだけど。まあお話だし。コメディーだし。

本国では続編が出ているそうです。
姉レインが変身する、かもしれないラストに興味をひかれているので読んでみたい。


吸血鬼ものでもファンタジーでもないけど、アメリカンな少女向けラブコメ。
プリンセス・ダイアリー 1 (河出文庫)
メグ・キャボット 金原 瑞人 代田 亜香子
4309462723

『流れゆく雲 グイン・サーガ107』

流れゆく雲―グイン・サーガ〈107〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
415030842X

[Amazon]


読了。

異世界大河ロマンシリーズの107巻め。

表紙のリンダが美しいです。となりがレムスなのが感慨深い。

久々につづきを読んだけどぜんぜんとまどわないのが我ながら怖ろしい。
理由が本文のすみずみまで行き渡るくどさにあることを思うと、この特徴はこの大長編に関して言うならかなりの部分長所といってしまっていいのかも。敷居が低くなるという点で。

でも読んでる途中はときどき速回ししてやりたくなったりします。
この巻は特にそれが酷かったです。
リンダはともかくカメロンがうじうじ悩んでいる姿なんて、読みたくなかったよ。
今までもさんざんそんなことを嘆いてきた気はするが。

ところで、レムスはまだ改心していないんじゃないかなー。
リンダがあまりにも単細胞なので、おつきの魔道師たちの不安がよーくわかります。

つづきはこれ。
いつ読むかは未定。

パロへの長い道―グイン・サーガ〈108〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
4150308519

『水底の仮面 ヴェヌスの秘録1』

水底の仮面 (ヴェヌスの秘録 1)
タニス・リー 柿沼 瑛子
4916199979

[Amazon]


読了。


ヴェネツィアをモデルにしたと思われる架空の街ヴェヌスを舞台にした異世界ファンタジー。多分連作シリーズの一冊目。

やはり私にとってのリーはSFではなくファンタジーだなーとの思いを新たにした一冊でした。
けして清潔とは言えない泥水の流れるラグーナと脂粉と腐臭に満ちた煌びやかな仮面の都市、ヴェヌス。
年代的にはアメリカならぬアマリアという新大陸の話が出てくるから近世にはなっているのかな。
そこで破滅的な生活をしている若者フリアンが禍々しい仮面と出逢ってから起きる危険な一連の出来事とその結末。
仮面職人の組合、死んだ天才音楽家、錬金術師、白い仮面の娼婦などなど、あやしげな舞台で胡散臭いひとびとがうごめいて織りあげてゆくつづれ織りといった趣の、たいそう神秘的で浮世離れして、悲痛でうつくしいお話でした。

ここからちとネタバレはいります。

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『身代わり伯爵の冒険』

身代わり伯爵の冒険 (角川ビーンズ文庫 64-1)
清家 未森
4044524017

[Amazon]


読了。

異世界ラブコメディーむろん少女向け。
「身代わり伯爵」シリーズ一作目。


祖父と母親といとなむパン屋の業績拡大への野望を実現するために日夜不断の努力を続ける少女、ミレーユ。ある日彼女はパン屋を訪ねてきた見知らぬハンサムな貴族に誘拐された。じつは彼女には隣国アルテマリスの貴族の養子になっている双子の兄がいるのだが、その兄フレッドがこともあろうに王太子の婚約者と駆け落ちをしたという。見知らぬ貴族は兄の副官のリヒャルトといい、めざめたミレーユは今まで知らされていなかった自分の出自――死んだはずの父親が生きていて、アルテマリスの王弟で公爵だという――とともにフレッドの醜聞をもみ消すためにミレーユに兄の身代わりとして王宮に出仕してくれと頼まれる。伯爵で王女セシリアの近衛騎士団団長であるというフレッドの代役が、いくらうり二つで貧乳とはいえ女のミレーユにつとまるのか。いやいやながらも丸め込まれてしまったミレーユは緊張しながら王宮へと向かうが、そこでであった出来事はミレーユの女の意地に火をつけた。




たのしいお話でした。
元気で明るいけどもてない女の子と爽やか系の頼れる兄的ヒーローの、ちともどかしいラブコメディー。
なんといいますか、王道というかドリームというかちょっと古風な少女マンガというか、こんなお話、一度は書いてみたいと思うよなあ……というかんじの設定とキャラクター配置と展開でした。
どこまでも予想の範囲内ですが、裏切られることなくその場その場をるんるん楽しめる、というやつです。
ミレーユとリヒャルトのすれ違いも古風ですが、とくに、うぶなミレーユをむくつけき男どもがからかいまくるあたりが、ものすごく古風な気がしたです。

古風といえば、ミレーユのキャラクターがそもそも古風な趣が。
すごく元気で守銭奴ぽいんだけど、まっすぐで疑うことを知らずおひとよしという、じつにのびやかで安心できるまるい感じの女の子。そうか、安心できるヒロインというのは最近のラノベではあまり見かけないんだな。だから古風な気がするのか。

お話的には、かなりミレーユの純真さにおんぶしてるなーと思いますが、これだけの分量できちんとまとまっているあたりは好印象でした。
いかにもシリーズですよーという終わり方は好きではないので。

惜しむらくは、私がミレーユのまぶしいくらいの元気さにあてられて脱力してしまうという情けない読者になっていたことです。
ごめん、おばさん、ついていけない……。

むしろミレーユと正反対の腹黒フレッド君のお話のほうがついていけそうな気がします。

シリーズは四冊でている模様。つづきはこれ。

身代わり伯爵の結婚 (角川ビーンズ文庫 64-2)
清家 未森
4044524025

バットがボールに当たらない!

妹がWiiを買ったというので、お邪魔して姪っ子と一緒に遊んできました。
プレイしたのは、これ。

Wii Sports
B000IN8FJM


まず自分の似顔絵をつくってプレイヤーに貼りつけ、名前を登録してプレイ開始。

一番簡単なのからということでまずテニスに挑戦したら、飛んでくるボールに手がとどくかどうかの判断ができず、あらゆるボールに飛びついてすっころぶ、ということをさんざん繰り返しました。
しかしダブルスを組んだ姪っ子がすでにかなりの熟練者になっていたので、なんと初戦勝利!

気をよくして次は野球に取り組んでみました。
こちらは姪っ子のチームとの対抗戦。
ボールを投げるのはなんとかやりとげましたが問題なのはバッティング。
タイミングのとりかたがさっぱり会得できず。ボールとバットが天と地ほども離れたままで「タイミングが早いです」「タイミングが遅いです」
たまに当たっても後ろにとぶファウルばっかり。

バットがボールに当たらない!

某ラジオのプロ野球中継じゃないですがまさにそんなかんじのプレイで、こちらは当然ゼロ行進。
そのあいだに姪っ子にホームランを二本も浴びて敗戦……。

最後はボウリングです。
こちらは姪っ子も初めてなのでアドバンテージはナシ。
しかし姪っ子は子供の柔軟さでどんどんコツを呑みこんでストライク連発。
私も頑張るも、スペアすら取れないヘタレプレイ。
やっぱり姪っ子に軍配があがり、本日はこれまでとなりました。

はー疲れた。
面白かったけど疲れた。

よし、今度は姪っ子のいないときに練習させてもらいに行こう、と決意しました。

ところで。
そうして私たちがゲームを満喫しているあいだ、宿題の終わらない甥っ子はべそをかきながら自分もしたいーしたいーしたいーとマリオカートのハンドルを握りしめたまま芋虫のようにもだえ続けていたのでした。

Wii(「Wiiリモコンジャケット」同梱)
B000WN67L6


しかし最近のゲームって高いなあ。
Wiiフィットが欲しいなあとおもって調べたら、お値段8800円ですと。
うーむ、こりゃ購入をかなりためらうのぅ。

Wiiフィット(「バランスWiiボード」同梱)
B000NWDXLS

『エムズワース卿の受難録 P.G.ウッドハウス選集II』

エムズワース卿の受難録―P.G.ウッドハウス選集〈2〉 (P・G・ウッドハウス選集 (2))
P.G. ウッドハウス P.G. Wodehouse 岩永 正勝
4163246002

[Amazon]


読了。

田舎の所領ブランディングズ城に住まう、のんびりのほほんとした“綿菓子頭”のエムズワース伯爵におそいかかる日常的な災難を描く、ユーモア短編集。

うーん、面白かった……!
本を読んでいて吹き出したのは久しぶりです。
ユーモア小説と書いてあるけど私にはもすこしテンポの速いコメディーと読めました。

たぶん初老の伯爵エムズワース卿に襲いかかる災難とは、きままな放蕩息子次男坊のフレディだったり、気の強くて強引な妹たちだったり、かわいがってやったのに恩を仇で返すような事件を持ち込んでくる姪たちだったり、その恋人だったり、頑固なスコットランド人の庭師だったりとバラエティに富んでいるのかマンネリなのか、迷うような顔ぶれたち。

のんびりとしか回転しないエムズワース卿のあたまは、激変する状況についていけずにいつも翻弄されてしまいます。

その応対のとんちんかんなこと。
場当たり的なこと。
緊張に耐えきれずに思考が浮遊していってしまうこと。

いっけん大したことのない家族騒動がしゃれた文章でいきいきと描かれるのが楽しくてなりません。

ほんと、この楽しさは文章の楽しさだなあ。

この軽妙であとあじ軽やかで、深く考えると内容は何にもないんだけど読んでいて幸せになれるかんじ、いかにもイギリスって感じです。

なんとなく波津彬子のイギリスものやなにやらと雰囲気が似ている。
波津彬子のほうが情に訴えるところが多いですが。

ところで、イギリスの作家ウッドハウスは1915年から1977年までこのシリーズを書いていたそうです。スゴイ。
基本は長編で、短篇はあとから派生してきたらしい。
どうりで、人間関係に謎が多いと思ったわ。話を理解するのには支障はないんですが。

そして喜劇を愛するイギリスでは大変に愛されていて、黄金期のミステリ作家たちはかなりウッドハウスの影響を被っているとか。
あげられた名前になるほどー、と思いました。
とくにドロシイ・L・セイヤーズの主従の話を読んで、これはウッドハウスの別シリーズ、シーヴズものも読まなきゃと思いました。

収録作品は以下の通り。


序文――ブランディングズ城を求めて N.T.P.マーフィ
カボチャが人質
伯爵と父親の責務
豚、よォほほほほーいー!
ガートルードのお相手
あくなき挑戦者
伯爵とガールフレンド
ブランディングズ城を襲う無法の嵐
セールスマンの誕生
伯爵救出作戦
フレディの航海日記
特別収録作品 天翔けるフレッド叔父さん

巻末付録 P.G.ウッドハウスとミステリ
 探偵小説とウッドハウス 真田啓介

文体の問題、あるいはホームズとモダンガール A.B.コックス(アントニイ・バークリー)

収録作品改題
訳者付言




ジーヴズ・シリーズは文藝春秋と国書刊行会からでている模様。
表記も違う(ジーヴズとジーヴス)。
ううむ、どちらを読むべきか。

比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス Pelham Grenville Wodehouse 森村 たまき
4336046751

ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1 (P・G・ウッドハウス選集 (1))
P.G.ウッドハウス 岩永 正勝 小山 太一
416324090X

『青いチューリップ』

青いチューリップ (講談社文学の扉)
新藤 悦子
4062125862

[Amazon]


読了。

スレイマン大帝統治下のオスマントルコを舞台にした、少年少女の冒険物語。


青いラーレ(チューリップ)の咲くクルディスタンの少年ネフィは、誰も知らないはずの青いラーレの歌をうたう男バロの出会いをきっかけに父親とともに皇帝の都イスタンブルへ旅立つことになった。バロはうたをとある人から聴いたといい、彼女は青いラーレの研究をしているアーデム教授の妻アイラだといったからだ。都の教授に持参した球根を差しだしたネフィは、褒美として学校へ通うことを願い出て受け入れられ、教授の娘ラーレとも仲良くなった。それから五年。アーデム教授の研究はついに実を結ぼうとしていたが、病弱なアイラの顔色はすぐれない。ラーレのつぼみが花ひらいたとき、その奇跡的な青さに息を呑む皆の前で、アイラは花を引きちぎってしまった。「こんなラーレ、咲かせてはいけない。よからぬことが、かならず起こります」アイラの予言じみた言葉は、現実となってネフィたちに襲いかかることになる。



面白かった!

以前、絨毯にまつわる幻想的な絵本でたいそう楽しませていただいた作者さんの歴史娯楽小説です。体裁は児童書ですが、内容はなかなか濃いです。当時の時代背景や社会体制、文化からひとびとの意識まで描かれている。そもそもオスマントルコを舞台にした日本語の本なんて珍しいのに、それが歴史冒険ものなんだから、もうたまりません。

なにより、こんなにトルコやその周辺に関して生活感のある物語を読めるなんてほんとに嬉しい。
舞台の臨場感が素敵すぎて、舐めるように読んでしまいました。

そして、物語としても楽しかった。
ちょっと鈍感で頑固だけどやさしいネフィと、自分の才能と社会のしきたりのあいだで苦しむラーレ、ふたりの主人公のほかにもさまざまな顔をした登場人物がじつに存在感たっぷりに登場し、ストーリーを様々に彩ってゆく、その手際に感心。かなりのスピード展開なのに語りはなめらかだし、地理的な大移動も唐突感なく読まされてしまいます。

そのあいだにあらわれるトルコの文化的ないろいろも懐かしかったり、なるほどだったり、いろいろと楽しめました。
トルコタイルの話とか、トルコのチューリップ時代の話とか。ああ、そういえば習ったよなあ……いまのいままですっかり忘れていたけれど(汗。

青いラーレというのは青い薔薇みたいなものなのかなと想像しました。

あのとき私が信じられなかったのは、もの凄い隆盛を誇ったトルコの栽培種チューリップがいまはほとんど残っていない、という話でしたが、あれはやっぱりホントの話だったのかな。

トルコからヨーロッパにもたらされたチューリップがそこでもまたとんでもないバブルを生み出して、その時代がチューリップ時代と呼ばれるようになったという話は、そのあとに知った話ですが。

……閑話休題。

とにもかくにも、私のような中近東好きだけでなく、普通に少年少女の冒険成長ものを読みたいかたにもおすすめできる、素敵な本だと思いました。

続編があるみたいなのでつぎに借りてこよう。

青いチューリップ、永遠に (文学の扉)
新藤 悦子 小松 良佳
4062832119

『群青学舎 3』

群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)
入江 亜季
4757741790


短編マンガ集。
連作と言うほどつながりはないものの、作者さんの中ではどこかでつながっているのかなあと感じる作品たちです。
よけいな心理描写のない大人っぽい描き方。質の高い話が多くて堪能しました。


第二十話 赤い屋根の家
第二十一話 続々 ピンク・チョコレート
第二十二話 薄明【前編】
第二十三話 薄明【後編】
第二十四話 メリー・ガーデン
第二十五話 待宵姫は籠の中【前編】
第二十六話 待宵姫は籠の中【中編】
第二十七話 待宵姫は籠の中【後編】
第二十八話 雪降り積もる



この作者さんの絵柄は女性の身体がグラマラスで肉感的なのがいいなあとつねづね感じていたのですが、今回は待宵姫の足の裏にくらっときてしまいました。
目が大きくなっていくようなのが気がかりです。

お話としては、「赤い屋根の家」と「薄明」が気に入りました。とくに「薄明」の後編はとても好きです。

群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)
入江 亜季
4757735812