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『沙中の回廊 上』

沙中の回廊〈上〉 (文春文庫)
宮城谷 昌光
416725915X

[Amazon]


読了。
古代中国を舞台にした歴史小説。

『介子推』を読んだあとで歴史的につづきそうな作品を選んでみました。
時は介子推が行方不明になったあと、晋の文公(重耳)のもと出世していく若い武人・士会の姿を描く物語……だと思う。

なんとなく保留したくなるのは文公の時代の話も終わりかけているところでようやく士会が文公の意識に入ってくるからです。それまでは先氏を介した陪臣でしかないので、しかも長男ではないためさらに扱いが低かったりするので。

たぶん士会が本当に有名になっていくのはこれからなんだと思います。

この巻のエピソードでもっとも印象的なのは、周の襄王のむすめ叔姫と士会のものでしょうか。
叔姫がじつは双子であったという設定が史実なのかどうかは知りませんが、世間的には抹殺されていたもうひとりの姫の存在が裏でフクザツな事情を生んでいくさまが興味深かったわけなのです。が、いちばん気になるのは結局士会と結婚したのがだれなのか、よくわからなかったという点です。

いや、だれだかはわかるのです。わかるんですけどどうしてそうなったのかがわからん。関連のところを探して何度か読み返してみたんですがやっぱりわからん。

私の読解力ではお手上げなのでした。

しようもないなあと思いつつ、下巻も買ってきたのでちゃんと読みます。
話自体は大変面白いし、文章もいつもながら好みです。

沙中の回廊〈下〉 (文春文庫)
宮城谷 昌光
4167259168

20080705の購入

蒸し暑さに負けそうになりながら本屋へ行ってきました。

夏目友人帳 6 (6) (花とゆめCOMICS)
緑川 ゆき
4592184491

沙中の回廊〈下〉 (文春文庫)
宮城谷 昌光
4167259168



以上購入。

それにしてもほんとにほんとに暑いです。
とくに高い湿度に閉口。
じっとしていてもにじみ出てくる汗に肌がちりちりと反応している。
気をつけないとすぐ汗疹になりそう。

『罪と罰 2』

罪と罰 (2) (WINGS COMICS)
鈴木 有布子
4403618200


座敷童の居着いたある家族の、ハートウォーミングなホームコメディーファンタジーコミック「ツミトバチ」の二巻目。

座敷童の神さんがすっかり家族といった顔で団らんに混ざっているのが楽しい一色家のお話。
またしても放蕩親父関連の災難とか、素直で運の悪い太郎君のかわいらしいお話とか、ついにリアル親父現るなお話とか、どれも笑えてしみじみするものばかりでした。

収録タイトルは以下の通り。


罪と罰3
罪と罰4
罪と罰5
おもひでまくら
一生のお願い

あとがき




リアル親父一郎、登場時に若くて驚いた。
四十半ばでこんなに大きな息子がふたりいるのか。

「一生のお願い」は父と母のサイドストーリー。
ぞっこんだったから早婚だったのでしょうか。
しかし基子さんに甘えすぎだと思うぞ、一郎。

「おもひでまくら」はシリーズ外の独立した短篇。でもテイストが近いので違和感なく読めました。

シリーズの4はちょっと展開があまあまかなーと思いましたが、ほんわか太郎君のお話だからこれでいいのかも。

私はこのマンガ家さんのお話も好きですが描線のやわらかいところが好き。
顔が縦長になってくのはちと不安。

あとは三巻が残るのみです。

罪と罰 3 (3) (WINGS COMICS)
鈴木 有布子
4403618693


『まんがアベノ橋魔法☆商店街』

まんがアベノ橋魔法・商店街~アベノの街に祈りを込めて~
鶴田 謙二
4063345181


借りて読了。

元々のアニメは見てません。
なのにこの本、完結していないのですね。むう。
おかげで話はまったくみえないまま、終わってしまいました。

出てくるおっさんたちがいい味だしてます。

ヒロインの相棒、小学生のサッシ君が野球のレプリカユニフォームを着ているのが目にとまりました。
大阪近鉄の赤いユニ、なつかしー。
もうひとつの縦縞は、阪神タイガースでしょうか。
このセレクトは誰の好みなのか。
両方とも背番号は5です。

『ギフト 西のはての年代記I』

ギフト (西のはての年代記 (1))
ル=グウィン 谷垣 暁美
4309204643

[Amazon]



読了。

「ゲド戦記」のル=グウィンが2004に刊行した異世界ファンタジーの新シリーズ。

高地に住む人々は、古くからのしきたりと一族の結束を守り、血族に伝えられる〈ギフト〉を尊んで暮らしている。高地の一族カスプロマントのブランターと低地人の妻とのあいだに生まれた少年オレックは、ギフトの力をなかなかあらわさなかった。カスプロのギフトは〈もどし〉である。オレックは父や一族の期待に焦りをつのらせるが、同時にギフトに対して畏怖の感情を抱いてもいた。ある日、オレックは父親を襲おうとした蝮にギフトをふるおうとする。蝮はもどされて、オレックはギフトを発揮したのだと認識されたが、オレックにギフトをふるった感触は皆無だった。そして次に父親にギフトをふるえと命じられたとき、オレックはギフトの怖ろしい威力を目の当たりにする。オレックは荒ぶるギフトの持ち主として、両目を封印されて生活することになった。




ル=グウィンて1929年生まれなんだそうで、そしたらなんとこの本は75歳の時の作。
だというのに枯れることなくなお創作意欲衰えず、新たな世界をみずみずしく創り出してしまうなんて、はー、すごいなー。

しかも、この話、ル=グウィン作品の重苦しい厳かさをそなえつつも、どこか明るさがある。
父親との敬意をふくんだ距離のある関係には、それを補う母親との親密な関係。
人生を変えてしまうほどの不幸な出来事には、馬や犬など、動物との心あたたまるふれあい。
そして幼なじみグライとの交流。

それがラストにいたって絶望のどん底からのあきらかな希望の光となり、開放感へとつながっていったことに私はなんだかとても安心したのでした。

なんだか、暗い滅びの神話から若い人間の世界に踏み出したような気分の読後感は、これまでのル=グウィン作品にはなかったもののような気がする。といっても、私はずいぶんル=グウィンから遠ざかってたから、たんなるイメージ、錯覚なのかもしれないですが。

ヤングアダルト向けとあってわかりやすいお話だったのも私にとってはよかったです。
ときどき意味をくみ取れないことがあるので……そんなときは情けないですが。

ともあれ、たいそういい話を読んだなあという満足感でいっぱいです。

二巻はすでに邦訳が刊行されています。
三部作になるらしい。

ヴォイス (西のはての年代記 2)
アーシュラ K.ル・グウィン; 谷垣 暁美
4309204783

『窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

窓の向こうは夏の色 (コバルト文庫 あ 16-20 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子
4086011832

[Amazon]


読了。
ヴィクトリア時代のイングランドを舞台にした、仕立屋の女の子と貴族の跡継ぎ息子のロマンス小説。シリーズ十二冊目。短編集。

収録タイトルは以下の通り。


ドレッシング・ルームの高い窓
希望という名の猫
窓の向こうは夏の色
幸福な淑女

あとがき



今回はクリスとシャーロックの話から離れて、ゲストを中心にした短篇が二作。十四歳シャーロックの男の子っぷりが楽しい一作。そして『恋のドレスと秘密の鏡』のゲストキャラだったモアティエ公爵家の当主ヘンリーとその正妻ドロシアの話という構成です。

バラエティに富んだ作品集でした。

印象的だったのは「ドレッシング・ルーム……」と「幸福な淑女」。
前者は家のために自分を抑圧してきた女性の、自分からの解放がすがすがしかった。

後者は打算の結婚に理想を求めることをやめられない女性の、哀れだけれどもちと腹立たしいお話。ドロシアの知ったかぶった世間知らずとか成長しないままの妄想爆発自己中心とかなり読み味が不快ですが、娘のコーネリアの選択如何によって後味がどうなるかが決まる気がする。

そしてモアティエ公爵ヘンリーはいいとこ取りをしすぎです。
ま、かれも苦労はしてるんだけどすべて自分の計画したことですからね。
やり遂げる覚悟はあるはず。

ドロシアの不幸は世間の常識を過剰に信じて現実を見ず、自分の感情を欺いたことかなー。

ひととひととのあいだの機微が細やかに描かれていて、ゆきとどいた印象の残る短編集でした。
クリスの作るドレスの描写も楽しかったです。

『天国の対価 おもひでや』

天国の対価―おもひでや (C・NOVELSファンタジア)
宝珠 なつめ
4125009449

[Amazon]


読了。

客に思い出を売る店「おもひでや」を舞台にした連作短篇集。
収録作品は以下の通り。


店主ご挨拶
コンタクト
ストライクアウト
ハッピーバースデー
キャットウォーク
アブラカダブラ
アンダーグラウンド

あとがき




図書館にあったので借りてみました。
本のアオリからもすこし幻想的な話を期待していたのですが、ちょっと違うかなあ。
文章が実際的で説明的すぎて余白や余韻があまり感じられず、私にはミステリの変形のように思えました。

雰囲気が、もうすこし欲しかったなと思いました。
文章にも、台詞にも、舞台装置にも。
視点人物がころころと移動するのも、幻想ものとしてはせっかちに感じました。

題材は面白そうだったので残念。

『水素 hydrogen』

水素―hydrogen
鶴田 謙二
4063300404


借りて読了。
コミックとイラストが収められたSFテイストあふれる大きなカラー作品集。


巻頭のマンガ「ベネチア」であらためて思ったのだけど、この方の未来のイメージは都市が水没してるのですね。
温暖化なんだろうけど、そのわりに画面の空気にべたついたところがないのがリアルでないけど好ましいところ。
高温多湿の環境が大嫌いなんで。

それから空の青さは特筆すべき鮮やかさです。
飛行艇でゆく空の旅のロマンチックなこと。

女の子はいうまでもなくチャーミングでいろっぽい。
多分この方のファンになる人はまず女の子に目が行ってるはずだと思う。

それにくらべてイケメンとか可愛い少年とかはまったく出てこないよね。
味のあるじいさまで我慢しろと言うことなのか。いや、ふつーはそんなことで我慢したりはしないだろう。私だけですよそんなので我慢するのは多分。

できるなら味のあるばあさまも出演させて欲しいところだな。

個人的に短い連作の中でたいそう身近だった地名を発見してちょっと嬉しく恥ずかしかったです。

イラストはあちこちの本や雑誌の装画やポスターやらで描かれたものに未発表のものも含めて収録。

『Spirit of Wonder』からは格段に洗練された絵柄が印象的。

なかに読んだことのある本のものがあることに気づいたりしましたが、そうか、そうだったのか。当時はまったく気に留めてませんでした。

なんでかな。
イケメン要素が足りないから?

『土の褥に眠る者 ヴェヌスの秘録3』

土の褥に眠る者 (ヴェヌスの秘録 3)
タニス・リー 柿沼 瑛子
4863110006

[Amazon]


読了。

現実のヴェネツィアとパラレルな都市ヴェヌスを舞台にした幻想小説。シリーズ三作目。

イタリア統一をめざす法王の庶子ケーザレの台頭する時代。独立を保ち続ける数少ない都市ヴェヌスでは、〈死の島〉をめぐる長年の確執から二つの名家が相争っていた。そんな折、スコルピア家の令嬢メラルダは婚約者がいるにもかかわらず画家見習いのロレンツォと恋におちてしまう。駆け落ちしようとしたふたりは、対立するバルバロン家のアンドレアによりメラルダの婚約者キアラ卿のもとに。キアラ卿はロレンツォを惨殺し、メラルダは運河へと身を投げた――墓職人ギルドの親方バルトロメの語る驚愕の物語。




前作は中世のお話でしたが、今回はおそらくルネッサンスぐらい。
ロミオとジュリエットばりの悲恋から幕を開ける、うつくしく残酷でめまいの起きそうな入り組んだ物語。

とはいえ、リーのことなので悲恋に陶酔するような話ではなく、むしろ当の若いふたりは恋に溺れる無邪気な世間知らずとして皮肉っぽく描かれています。かれらに襲いかかるしっぺ返しの痛烈なこと!

それからバルバロンとスコルピオの両家を行き来して話は展開します。
メインはバルバロン家のベアトリクサと謎の美少年シルヴィオの話かなと思うのだけど、途中、語り手の墓職人の物語も挿入されるので読みながら本筋がわからず混乱がつづきます。

困ったのは、伏線のすべてが収束され種明かしがされても、?な状態から抜け出せなかったことで。
最終的にはハッピーエンドなのであろうと感じるんだけど、なにか腑に落ちないというか、納得できない。
ネタバレになっちゃうので書きませんけど、この話の仕掛け、私にはきちんと理解できませんでした。しくしく。

チェーザレ・ボルジアならぬケーザレ・ボルジャが魅力的に描かれていたのが嬉しかったですが、じつはかれが出演する理由も?だった。

たんに歴史的な背景を示すだけだったのかな。
それとも今後の伏線なのか。

前作ですてきな場所として描かれていた鰻島がとんでもない所業の舞台になったのがショックでした。
キアラ卿っていったいなんだったんだ……。

つぎは完結編です。
今回の謎が解明されると嬉しいんですけど、多分謎の持ち越しなんてないんだろうな。

復活のヴェヌス (ヴェヌスの秘録 (4))
タニス・リー
4863110014


20080701の購入

新刊と旧刊購入。

窓の向こうは夏の色 (コバルト文庫 あ 16-20 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子
4086011832

旬(いまどき) (Wings Comics)
鈴木 有布子
4403617468


最寄り駅の本屋、先日からラノベ棚が減らされていてあらーと思っていたら、新刊の入荷も減ってた。コバルト以外のレーベルの新刊って入ったのだろうか。むー。

『Spirit of Wonder』

スピリット オブ ワンダー (モーニングKCDX (845))
鶴田 謙二
4063198456


叙情SF連作コミック。
借りて読了。

読んでいていいなあと思うところとまたかよと思うところが入り乱れる、複雑な感触の作品群。

舞台はたぶん近未来なんだと思うけど、よくわからない。
基本的に美人の女の子とマッドサイエンティスト(たいていお爺)とその弟子の物語。
お爺のぶっとんだ研究のために起きる騒動、もしくはぶっとんだ研究のために解決する物事を描いています。

登場人物はさほど重複していないのですが、後記のチャイナさんの話などは連作として読める。

SF好きの心をくすぐるさまざまなアイテムが満載。
コメディーでもコメディーでなくても、クスリと笑えるところとじんわりと余韻を楽しむところがあって、リリカルな感じ。

で、読んでいてまたと思うのは、物語の中心にいるのは常に女の子であること。
この設定の場合、弟子の若者または少年を中心にしてもかまわないのではないかと思うのですが、その役割の人物はごくごく地味に配置されていて、たまに女の子のパートナーとして現れても地味さが増えこそすれ減ったりはしない。

さらに、男性向けサービスカットが大変多い。
まあね、男性が作者なのだし青年誌に掲載されていたので仕方ないとは思うんです。
でも必要もないところでこんなにお色気やらセクハラやらをふりまかれるとうっとおしいんですよ。
必要もないのに入ってるからサービスカットなんだけどさ。

というわけで私のこのマンガに対する印象は、

“男の”ドリームSF短編集。

画面は繊細で最初の頃は書きたいものを取捨選択をしない感じでしたが、ゆっくりと空間が整理されていってだいぶ読みやすくなりました。
女の子もどんどん魅力的になっていくし。

収録作品は以下の通り。


広くてすてきな宇宙じゃないか
満月の夜月へ行く
星に願いを
リトルメランコリア
少年科學倶楽部
潮風よ縁があったらまた逢おう
時間の国のマージィ
夏子
少年科學倶楽部火星へ
チャイナさんの憂鬱
チャイナさんの願事
チャイナさんの逆襲




素朴な疑問。
チャイナさんて本当にチャイナさんて名前なのだろうか。
なぜひとりで中華料理屋をしているのだろう。
彼女の背景を想像していたらなんだか妄想が爆発してしまった。