『水のしろたえ』

水のしろたえ
末吉 暁子
465207929X

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読了。


平安朝を舞台とし、羽衣伝説をモチーフにした少女のファンタジー。

坂上田村麻呂の蝦夷退治とか薬子の乱とか高丘親王のエピソードなど、歴史的な事実を踏まえた上で、あくまでも水底の国の住人だった母親の形見、水のしろたえを探し求める少女・真玉の成長物語となっています。テイスト的には児童書。

私としては幻想的なところがすこし物足りないかなーとおもいましたが、お話としては過不足無くまとまってます。

ちょうど神話解説などを読んでいるところなのでいちいちそれに当てはめて読んでいる自分がうっとうしかったり。

でもそういう意味ではこれは異種婚姻譚で、異界のものが人間の世界に同化する話なんだなー。
最近こういうパターンが胡散臭く思えてしまうんですが(ポニョにもそう感じた)、この話の中での異界はあくまでも夢であって現実をきちんと生きなさいね、というお話なんだろうな。

それなりに面白かったけど、あくまで人間側からの視点の話であり、真玉のおかあさん玉藻の決断も真玉の決断も、水底の国には悲劇でしかないのがなんとかならないのかーと感じてしまう私でした。

薬子の乱の薬子はかなり魅力的なお姉さまとして描かれていて楽しかったです。
高丘親王のエピソードは、そのものをテーマにした本が確かあったよなあと、ちょっと読んでみたくなりました。

そうか、宮中のことをしっかり書いている分、人間寄りの話になるのもいたしかたないかも。

エミシのアテルイまで出てきてきちんと役割を果たすのだから、この分量にしては登場人物もエピソードも多いし、かなり詰め込んだ内容だったのだなと思います。

……ちょっと詰め込みすぎだったんじゃ。

『町でうわさの天狗の子 2』

町でうわさの天狗の子 2 (2) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091316921



天狗のお父さんがいる秋姫ちゃんの、恋と修行の高校日常生活? 第二巻。

さっそく買って読んでしまいました。
いやー、おもしろいっすねえ!
いかにもいまどきの少女マンガーって感じの台詞回しや展開が新鮮だ。と感じるのは私が歳喰ってるからなんだろうけど!

天狗の血を引く秋姫ちゃんと一緒にいるとなぜか安らぐというタケルくん。喜んだのもつかの間、それにはきちんとからくりがあったり。天狗のことに忌避感にも似た無関心を貫く秋姫ちゃんを不思議がるタケルくんがいたり。秋姫ちゃんに修行をさせたい頼れる次郎坊こと瞬くんの仏頂面の奥の微妙なココロとか。読んでいてにまにまと顔がゆるんできますよ、ふふふふふ。

今回は初めてのデートがなぜかお山での天狗行事になってしまった秋姫ちゃんの悲喜こもごもです。

お山で眷属修行中の三郎坊以下のアニマルたちもかわいい~と思っていたらじつは……だったりして。

あんまりたのしいので勢い余っておなじ作者さんの別タイトルにまで手を出してしまいました。

こちらもなんだか楽しそうなんだ、これが!

雨無村役場産業課兼観光係 1 (1) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091316808


緊縮財政中なのにこんなに購入タイトル増やしてどうする! という感じですが、あまり刊行ペースが速くなさそうなのが救いです。

20080829の購入

チェンジリング・シー (小学館ルルル文庫 マ 2-1)
パトリシア・A・マキリップ 柘植 めぐみ
4094520821


以上購入。

緊縮財政だなんだかんだといいつつ、8月の購入額は六千円を超えてしまいました。

参考:メディアマーカー

九月こそは三千円くらいにしてこんどこそ音楽を買いたい。
iTunesCradを駅前の西友で売ってるのも見つけたことだし。
予定外のものを買わなければいけると思う……んだけども。

『犬夜叉 5』

犬夜叉 (5)
高橋 留美子
4091252052



借りてきました。読みました。

戦国時代にトリップした神社の娘の伝奇冒険ファンタジー。第五巻。

今回は朔の夜に犬夜叉の弱点がある話と、ついに桔梗が戻ってくる話のカップリング。

妖力がなくなって人間になってしまった犬夜叉に驚く。
なんか育ちのいいお坊ちゃまみたいなんですけど……外見だけなら。
黒髪で犬耳がないってだけなんですけど、こんなにおとなしく見えるのはなぜだろう。
非力になって自信がなくなるからかしらん。
なんだかかわいいよ、犬夜叉。

それから優秀な巫女だった桔梗お姉さまの復活編。
このあたりからただの伝奇ファンタジーにどろどろした因縁話とロマンスが絡んでくるんですね。人魚シリーズをすこしターゲットを低めたようなかんじで。

桔梗が犬夜叉を恨みながら復活してくるあたりのシーンは圧巻。
そして犬夜叉の記憶との落差にいやが上にも期待が高まるこれからです。

……ってアニメ見てるから(再放送だけど)理由は知ってるんだけどさ。

原作はアニメほど洗練されていない絵だけど、桔梗お姉さまに気の強さが面に出る気品があるし、かごめちゃんは髪型はだいぶシンプルになってきたけどやっぱり妹っぽくて、独自の世界を創りあげてます。

伝奇的な描写のおどろおどろしさは原作が上だなあと思う。
アニメはそこのところ、やっぱり少し和らげてますよね。

犬夜叉 (6) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091252060

20080827の購入

町でうわさの天狗の子 2 (2) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091316921

故郷に降る雨の声 下―バンダル・アード=ケナード (3) (C・NovelsFantasia こ 1-6)
駒崎 優
4125010463

ホアズブレスの龍追い人 (創元推理文庫 F マ 9-2)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
4488520081


以上、e-honで購入。

雨無村役場産業課兼観光係 1 (1) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091316808


本屋で購入。

ひと月分のストレス爆発?

ではなくて。
予定外に本屋に行ってしまったのが失敗。ブツが目の前にあるのに注文済みで買えないことが辛くて辛くて仕方ありませんでした。

というわけで、つい一冊(汗。

『熊から王へ カイエ・ソバージュII』

熊から王へ―カイエ・ソバージュ〈2〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582392

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読了。

宗教学者による講義集の二集め。

今回は非常に民主的な神話の時代から人間が変化してついに王が生まれる過程を神話伝説がどう解決しようとしてきたかを考察しています。

動物たちとエレガントにつきあえる社会を対称性の社会、動物を支配搾取の対象と見るようになった王のいる社会を非対称性の社会と呼んで、野蛮という行為は文明が生まれるとともに発生したものであると、現代人の対称性社会に対する蔑視を根拠のないものとしてしりぞける講義でした。

読んでいて対称性の社会とはアボリジニーのものそのものではないかという気がしました。
アボリジニーの祖先がどういうひとたちかは存じませんが、ドリームタイムの考えからして非対称性社会の考えと酷似しています。王を持たなかったネイティヴアメリカンの社会のシステムとアボリジニーのそれもほとんどそっくり。

とすると石器時代の文化を理性と節度を持って継続してきた人たちは地球上に存外たくさん生きていたのですねえ。

『アボリジニーの世界』ではかなり過激な論調だったため、いささか荒唐無稽ではないかとおもわれた石器時代至上説ですが、こちらの文脈を追いかけてみると、なるほどそういうことならと得心いたしました。

ようするに人間も環境の一部として謙虚にふるまうべきであり、それが優雅な生き方であるってことですよねえ。

その謙虚さがテクノロジーによって破壊されてしまう過程はまさに楽園喪失。
人間はクニをつくってからこのかた、常に飢えているもののように傲慢に貪欲に存在してきたんだなー。

クニ成立の根幹である王の存在が、ここまで楽園にとって異常で修復不可能なものであることには、正直かなりショックを受けました。

でもいまの地球情勢をかんがみるに、なるほどなーとうなずけることばかり。

暗澹としてしまったところで唯一の希望となったのは、さいごにあげられた仏教の存在でした。
ゴータマ・ブッダの生国はじつはチベット系の小国だったという記述におどろくくらい、仏教のことに無知な私ですが、最近ちょっと仏教の教えの根本などを知りたいなと思っていたこともあり、なかなか興味深く読めました。

でも、この巻はそうじて読み進めるのに苦労したのだった。
体調が悪かったからか読み始めるとかならず寝てしまって。

なので三巻に進むかどうかをちと悩み中。

とりあえず、下に目次を記しておきます。


序章 ニューヨークからベーリング海へ
第一章 失われた対称性を求めて
第二章 原書、神は熊であった
第三章 「対称性の人類学」入門
第四章 海岸の決闘
第五章 王にならなかった首長
第六章 環太平洋の神話学へ I
第七章 環太平洋の神話学へ II
第八章 「人食い」としての王
終章 「野性の思考」としての仏教

補論 熊の主題をめぐる変奏曲 

索引




愛と経済のロゴス―カイエ・ソバージュ〈3〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582600

『魔使いの秘密』

魔使いの秘密 (sogen bookland)
ジョゼフ・ディレイニー
4488019587

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読了。

近世イングランド風異世界徒弟ファンタジーの第三巻。
『魔使いの呪い』のつづきです。

面白かった!

タイトル通り、今回は魔使いの過去に関わるあれやこれやが事件にふかーく関わってきました。過去というのは、いままでいろいろ伏線がはってあったとおり、魔使いの女出入りの話だった。

主人公トムくんが13歳なのを考えると、いくらなんでもこれはハードなのではないかい?と感じてしまうような男女の修羅場の存在を想像させてしまう魔使いグレゴリー氏の遍歴とその遺産から派生する魔がらみの事件……。いいのかこれで、と思いつつ、いいのだこれでと心の声が答えます。

なんといっても、ガキのクセしてトムくんもアリスというとんでもない女の子と友達なのですからね。しかもこの書かれ方からして、ふたりの関係はこのままお友達で過ごしていくというわけではないようなあるような。

いずれにしろ、描写があっさりとしていて現在の魔使いとラミア魔女メグの態度も大人のそれであるため、ぼんやりしていればなんということもない児童書として読めますが、深読みし出すとこれはとんでもない話であるなあ。13歳にして完全に自立をうながされる展開も厳しいが。

師匠が弱点をたくさんもっている徒弟話というのも、なかなか珍しいような気がする。その弱点そのものがトムのお手本になっているといえるけれども。

そしてトムの未来を暗示するように、アリスはまたいつものようにことごとくトムの予想を裏切る活躍をしてくれます。
彼女は彼女の最善を願って行動しているんだけど、その行動論理が魔使いやトムのものとずいぶん違うから混乱が生じてしまうわけです。

理解のできないものは正しくない、だから目の届くところにおいて監視しなくてはとすぐに考えるのが男の悪い癖だと思う。

そもそもコミュニケーションが不足しているのが原因なんだからもうすこし彼女の言い分を聞いてあげればいいのに、と女の私は思うわけですが。

そんな魔使いに教えを受けながら、ぶち切れたり裏切られたと感じたりもするのにトムがアリスとの友情を捨てないでいてくれるのが、奇跡のように感じられるのは私だけでしょうか。うーん、たぶんトムのお母さんの影響だとは思うんだけどね。

今回は極寒の地の陽の射さない谷間にある魔使いの冬の家が、陰気でおぞましくて楽しかったです。地下室にたくさんの魔が封じられてる家に暮らすのって、スリル満点ですね。

期待していたトムのお母さんの秘密は、ほとんど暴かれたような気もするけどまだ話的には秘密の段階。
ラミア魔女メグが帰っていった海の向こうと何か関係があるのかな、と思いつつ、つづきはまだ刊行されていません。

ううう、気になるなあ!
ぜひはやくつづきを出してもらいたいものです。

『町でうわさの天狗の子 1』

町でうわさの天狗の子 1 (1) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091313930


なんとなく気になっていたので買ってみたマンガ。

日本のどこかの田舎町で、天狗を父親とする女の子の日常生活と恋をえがく少女マンガです。

いやー、少女マンガってホントにいいなあ。
と思えるような作品にひさびさに出会えたという気がします。

まず冒頭のモノローグにぶっとんだ。

年上(おっさん)好きのお母さんは
夏祭りの夜に
450歳年上のお父さんと
恋に落ちた



で、生まれたのが本編の主人公秋姫ちゃん。
天狗を父親に持っているものの、ヒトと違うのはちょっとばかり力持ちである、ということくらい。
地元の人は天狗がいて当然と思っているし、本人はふつうの女の子としてふつうに恋をしている。
お相手はおなじ学校のタケルくん。

この秋姫ちゃんがかわいいし、いじらしいし、楽しいし、どんくさい。

お話は天狗の修行をしろとせっつく次郎丸と、シニカルな幼なじみの町長の孫娘ミドリちゃんと、それぞれ若者らしく田舎ライフを暮らしてるクラスメートたちとのあいだに、ちょっと普通じゃないけど限りなくフツーの学校生活がくり広げられていく。

多分作者さんは天狗要素がなくても読ませる作品を書くことのできるひとだと思います。
さりげない描写、登場人物のリアクションに、フツーだけどフツーでない感性がやさしく光ってる。

架空の世界の壮大な話よりも、こうした些細な日常話で個性を出す方がなんぼか難しいのに。

すごく楽しかったので二巻も購入決定しました。
今度行くときまで本屋にありますように。なむなむ。

町でうわさの天狗の子 2 (2) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091316921

『鬼仙』

鬼仙
南條 竹則
4120037940

[Amazon]


読了。


明清時代の中国の奇談集を元にした、幻想短編集。

元になっているのは『緑窓新話』とか『聊斎志異』とかだそうな。
申し訳ありませんが私は中国の幻想譚はとんとわからないので、そうなのか、なるほどーと思うしかありません。

ただ、本文中にもあるとおり、作者さんは起承転結きっちりとした現代風の短篇よりもいくらかふくらみのある、どこか伝聞調でなんとなく話が終わる、淡泊なお話がお好みのようで、実際収録された作品もそんな感じのものが多くなっています。

身も蓋もなくいってしまえば「だからどうしたんだ、このあとはどうなったんだ」と言いたくなるような茫洋とした読後感。
話に落ちがないともやもやとしてしまうのは、現代人がせっかちだからでしょうか。

でも不思議な話というのは元来そうしたものなのかもなあ、と思いいたりました。
ええっ、なんでそうなるのと思っても、話は当事者がするものではないから詳細は不明。
そのわからないところを想像をたくましくして、「たぶんこうだったんだろう、真相はおそらくこう」と理由付けするのが作家の役割。

とすると、この短編集の場合そのところが放棄されていると言えないでもないけれど、落ちがないだけにいつまでも後味が消えず尾をひいていく。

そういうのがお好きな方にはたまらないのかもしれません。

結局私は白黒つけたい派だったようです。

収録作品は以下の通り。


鬼仙
夢の女
犬と観音
小琴の火鍋

唐山奇談
仙女と温泉に入りそこねる話

後記


『泣き虫弱虫諸葛孔明』

泣き虫弱虫諸葛孔明
酒見 賢一
416323490X

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読了。

『後宮小説』や『陋巷に在り』の酒見賢一による三国志、おもに孔明視点の話です。

『三国志』というと私は北方謙三版しか通して読んだことがないわけですが、そんな三国志初心者でも平気で読める、すばらしいというか型破りなというかかなりぶっ飛んだ三国志です。

この作者様の小説はたいてい神の視点から作者が語っているのが明白なつくりになってるのですが、今回はこの語りが半端ではありません。『三国志』の非現実的なることをつつきまわし、登場人物の異常性をつっこみまくり。中国四千年のスケールがいかに小国日本の小市民的想像を絶しているかをこれでもかこれでもかと話しまくるのです。

凄いテンションです。
まるで『三国志』界の『銀魂』。
ツッコミ『三国志』とでも名づけたいような気がします。

おかげでどんな些細なエピソードも、その背景からこまごまと説明されて物語における意味やらどこが中国人的感性にうったえているのか、非常にいろんな情報を笑いとともに受けとることができるのです。

作者にかかると世紀の大軍師、諸葛孔明は、歴史上稀に見る奇人変人ということになります。しかもコスプレ好き!

そして劉備軍団というと理由のわからない人望を武器にその場凌ぎ場当たり的に生きのびてきたしぶとい首魁を中心にした任侠集団です。

もう、どのエピソードもおかしくて楽しくて、あはははと笑いながら読みました。
こんなに笑える中国歴史物があるなんて。真面目な『三国志』ファンなら湯気を立ててお怒りになるのではと心配してしまうほどです。英語版「ロマンス・オブ・スリー・キングダム」には笑いころげてしまいました。しかしあながち大嘘とも言えないよね、たしか『レッド・クリフ』とかいう映画の宣伝を見たような気がするし。ところで、赤壁がレッド・クリフと訳されるのにはどうしようもない違和感があるなー。

とたいそう楽しんで読んだのですが、ちょっと長すぎ。こんなテンションで485ページもつきあわされると息切れがします。もうすこし小出しに本にするとか、考えなかったのでしょうか。第二部はもっと分厚いと知ってちょっと腰がひけているところです。

しかし第一部は三顧の礼のところで終わっているのでねえ、孔明が本当に活躍してくれるのかどうかは第二部を読まないとわからんのです。

いや、物語的には充分活躍しているのですがね。軍師としてはなんにも、それこそなーんにもやっていないのでありますよ。

ううむ、どうしよう。

ところで、個人的には、煮ても焼いても食えないようなじいさまがふたりも出てきてくれてたいそう楽しかったです。
よしよし。

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部
酒見 賢一
4163251200

『パロへの長い道 グイン・サーガ108』

パロへの長い道―グイン・サーガ〈108〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
4150308519

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読了。

異世界大河ロマン「グイン・サーガ」シリーズの108巻目。
久々に思い出したので借りてみました。
書店では120巻めが並んでいるようですが……、あいかわらず凄いペースで本が出てますねえ。
ただ、ストーリーの展開スピードはけして速くはないので、私はそれほど悲観してません。
いまや追いつこうという努力も放棄しているわりに強気です(苦笑。

グインが星船から帰還してからというもの、どういう方向に話が進んでいるのか皆目わからないわけですが、それを補ってあまりある寄り道ぶりにいくらなんでもこれは本編とは関係ないエピソードだろ、と感じてしまうこと多々あり。

今回はその典型例だったような気がします。
一夜の夢、あるいは悪夢?
グイン以外の同行者たちの記憶にはほとんど残らない、ということはグインの心境にのみかかわる話だったんだろうな。

正直に言いまして途中で読むのが面倒くさくなってしまったわけですが、今後はすこし違う展開が出てきそうだという期待とともに締めくくられた巻でした。

でもって、それがなんとなーく私の発想と似ているらしいことがちと気がかりだったりして。いやいや旅の一座を装って移動するなんて、誰でも考えることですよね!

ところで、本文の文章がさらにくどく、まどろっこしくなってきているような感触を受けたのですが、これは私の気のせいでしょうか。

豹頭王の挑戦―グイン・サーガ〈109〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
4150308578

『犬夜叉 4』

犬夜叉 (4) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091252044


神社の涸れ井戸を通って戦国時代にトリップした中学生のかごめ。
半妖の犬夜叉とともに四魂の欠片をさがして旅をする伝奇ファンタジーコミック。

ようやく4巻です。

今回は雷獣兄弟の話と、火事で死んだ女の子の幽霊の話。
異世界ファンタジーと現代ホラーのカップリングみたいな一冊でした。
現代の話は四魂の欠片さがしとあんまり関わりないような気がするのだけど、これも後々伏線になってきたりするのでしょうか。

そういえば、かごめは桔梗の生まれ変わりということですが、子孫でもあるんだっけ、どうだったっけ?
桔梗の妹の楓ばあさんをみるとどうも独り身みたいに見えるので、この姉妹の直接の子孫というのは絶えてしまっているような気がするんだけど、ここの関係はどうなってかごめと繋がってるんだろう。

まさか、かごめの先祖がかごめということはないですよね(汗。

犬夜叉 (5)
高橋 留美子
4091252052

『グリム童話集 上』

グリム童話集 上 (1) (岩波少年文庫 147)
ヤーコプ・ルードヴィヒ・グリム、ヴィルヘルム・カール・グリム 佐々木 田鶴子
4001141477

[Amazon]


読了。


グリム兄弟が集めてほとんど修正をほどこすことなく採話した、ドイツの民話です。
「カイエ・ソバージュ」の流れから手に取ったみたいですが、いや半ばはそうなんだけど、残りの半分は姪っ子に読ませようと購入したものの姪っ子がカタカナ名前に拒否反応を示したのでそのまま私の本棚に残っていたのを読んだということになってます。
だから少年文庫なんですよ。

だから、途中まではいろいろと考えながら読んでいたんですが、やっぱり私の頭には荷が勝ちすぎた模様で、途中でわけがわからなくなってきたのでもう背伸びは止め。そのままお話を楽しむことにしました。ふう。

私の印象に残ったのは、七番目の子供という存在がけっこう出てくるなーてことでした。
それと女の子の話の終着点が王子様に出逢って結婚することなのが、鼻についたこと。

王子様は王子様であればだれでもいいのか。王子様も相手が美しければだれでも結婚するのか。
むしろ私はどんな性格ともわからないお姫様を呪いがかけられているという一点に好奇心をそそられて探しに行く王子様ってのは、結婚相手としていかがなものかと思うわけですか。呪いという希少価値がなくなったら、とたんに飽きられてしまうんじゃなかろうか。

こういう話を現代的に……というか私が納得できるように再話するためには王子側にいろいろと仕込みが必要かもねー、と思ったです。

話の中では、「命の水」が一番好きでした。
末子成功譚ですが、雰囲気がなんとなく好き。具体的には紅海が出てきたりするのがよい(笑)。


オオカミと七匹の子ヤギ
ブレーメンの音楽隊
カエルの王さま
おいしいおかゆ
白雪姫
しあわせハンス
ひょろひょろ足のガタガタこぞう
いばら姫
命の水
親指こぞう
ガチョウ番の娘
ものしり博士
歌いながらはねるヒバリ
ホレばあさん
兄と妹
テーブルとロバとこん棒
ラプンツェル
フリーダーとカーターリースヒェン
三本の金の毛のある悪魔
猟師とおかみさん
白ヘビ
ツグミひげの王さま
鉄のストーブ
錘と梭とぬい針
六人の家来

解説



笑ったのは「ひょろひょろ足のガタガタこぞう」。
原題がルンペルシュティルツヒェンなんてだれが想像する? ドイツ語をたしなむ方には当然なのかもしれないけれど、私には完全に謎の言葉でした。
ということはこの子はゴルディロックスなのか、そうなのか。
子供向けよりも完訳を読んだほうが原型が詳しくわかるのだろうと思うけど、こういう素朴でストレートな表現で目をくらまされることはないだろうな、と感じました。
そうか、あの小人はひょろひょろ足なんだな……。

グリム童話集 下 (3) (岩波少年文庫 148)
ヤーコプ・ルードヴィヒ・グリム、ヴィルヘルム・カール・グリム 佐々木 田鶴子
4001141485

20080819の購入

用もないのに本屋に入ったらいけません。

町でうわさの天狗の子 1 (1) (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091313930


というわけで購入。

じつは、ちょっと疲れてむしゃくしゃしていたのです。
大ボケな私は月曜日に図書館に行ったのですが、その日は月に一度の全館休館日だったので。しかも時間が早かったので店はどこも開いておらず、そのまますごすごと帰宅した。
つまりすべてが電車賃とともに徒労と終わっていたのです。

しかもその日の夕方、眉間を蚊に刺されるし!
(かゆいし、みっともないんだって)

だから、何度考えても自分に腹が立つのでちょっと気晴らしをしたかったのです。
二日続けて図書館に出かけたあとで。
延滞すると図書の予約ができなくなっちゃうから、しようがない。自分が悪いのだから、しようがない。
でもやっぱり立つものは立つのです。

というわけで、以前からなんとなく目に入っていたマンガを買いました。

後で考えたら、無駄になった電車賃より高い気晴らしだった。

これからはよくよく考えて気晴らしすることにします。

『王と最後の魔術師 下』

王と最後の魔術師 下 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-5) (ハヤカワ文庫 FT カ 2-5)
エレン・カシュナー&デリア・シャーマン 井辻 朱美
4150204713

[Amazon]


読了。


ヨーロッパ近世風異世界ファンタジー。

冬至の祭りでぐああっと盛りあがったあと、どんな決着をつけるのかと思っていたら、なるほど~そうきたか~という感じで終わりました。

この話、じつにじつにファンタジーっぽい目に見えない力と現実のせめぎ合いが、パワーゲームっぽいボーイズラブのドラマの一枚裏で、ながれているうごめいているはじけそうになっている感じがすごく好きです。


上巻はその見えない力、つまり魔法がかなり現実の膜を薄く引き延ばして破れそう、ほとんど破れているかも、ああ、このあとどうなる、というところで終わっていたのですが。

下巻は、祭りの狂乱が過ぎ去ったあとまたしても魔法は潜伏してゆき、でも現実にも明らかな影響を及ぼし始めているのですが、人々があまりにも魔法から遠ざかっているために、その真実を嗅ぎとるものがほとんどいずに、ともすればそんなことは本当は起きてはいない、登場人物の思いこみですみたいなぼかした書き方をされているのが、さらにまたわたしのツボだったり。

現実か夢かわからない、あいまいな雰囲気ってのが好きなんだねえ。
マジックリアリズムに近い雰囲気でしょうか。

でもってこの話は、いにしえの魔法か現在の権力、どちらを選ぶかを突きつけたあげく、表面的には穏やかな結末を迎えます。

うう、ここに言葉を費やすと完全にネタバレになってしまうな。

たぶん、大団円的なラストを期待していたむきには肩透かしだったのではないかと思うのですが。
私はこういう終わりもアリなんだなあと、ちょっと目から鱗でした。

このちょっとダークで寂しくて、物悲しいような読後感、悪くありません。

セロンとバージルの話としては……なんですが、北部と南部の話として、人間と魔法の話として、なかなか興味深い趣であったと思います。

個人的にはセロンの姉、レディ・ジェシカ・キャンピオンてかなりの食わせ物であるなーと思いました。
結局、この話の中で客観的に事件のことを理解していたのって彼女だけなのでは。

にしても、セロンとアレクとジェシカの続柄がどうしてもきちんと理解できなかったなーと溜息。石堂藍さんの解説には、セロンはリチャードとソフィアの息子だと書いてあるのですが、えーとどこを読めばそれがわかるのですかね。すみません、読解力不足で。
もしかして「公爵の死」を読み返せばいいのかな。

しかし、そんなことをするより私は先に進みたい。
これで『剣の輪舞』の直接の続編『剣の名誉』に手を出すことができます。
今度の主役はキャザリンなんですよね。
楽しみ、楽しみ。

剣の名誉 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-6)
エレン・カシュナー 井辻朱美
4150204748

『〈本の姫〉は謳う 3』

〈本の姫〉は謳う 3 (3) (C・NovelsFantasia た 3-4)
多崎 礼
4125010374

[Amazon]

読了。

失われた言葉を求める少年が〈本〉の中に住まう姫とともに旅をする。遠未来っぽい異世界ファンタジー。シリーズ第三巻。

舞台が開拓時代のアメリカっぽくて、SFっぽい雰囲気もあるけど、ファンタジーだよなあと感じる、説明の難しいシリーズ。ずいぶん殺伐としているところもあり、救いが安易にやってきすぎのような気のするところもある。
でも面白い。かなり好き。

何が好きって、ネイティヴの人たちの存在とかれらの歌姫の存在ですね。ファンタジーぽさの源はここにあるのだとおもう。

翻ってSFぽさの源はどう考えても天使たちとかれら全体を覆うテクノロジーの存在です。

私が初めからずっと疑問なのはこの物語が展開する世界全体の設定なのですが。
主人公アンガスの話している言葉はそこはかとなく英語のようですが、ネイティヴたちはなんだろう、とか。
天使の名前を冠せられた存在がたーくさん出てくるけど、大元になってるキリスト教は、というか神様はどこにいるんだろう、とか。
我ながら重箱の隅をつつく奴だと思いつつ、こんなことを推理しつつ読み進めるのがまた楽しいのですよね。

またそれだけ深読みをしようとおもうくらい何かを感じる物語でもあるわけです。

にしても、三巻の冒頭、自分もアンガスと一緒に気を失ってたのかと思いましたよ。二巻がどうなって終わってたのか、まったく思い出せないんですからねえ!

思うに、キャラクターを立てようという作者様の思惑が、わたしに限ってはあんまり役に立っていないようで。キャラクターだけ覚えてて、話の展開を忘れちまっちゃあ意味がないですよ。むむむ。
でもこれだけの長さの話を商業ベースで進めようとしたら、こういう工夫も必要なんだろうなあ。

私としては物語として面白ければどちらでもかまいませんが。
セラとアンガスの恋が怒濤のストーリーの脇でごくさりげなく進行していくあたり、好きですし。

完結編が出たらきっと初めから読み直す必要が出てくるだろうと思います。
だからつづきは早めに出してくださいお願い。

〈本の姫〉は謳う 2 (2) (C・NovelsFantasia た 3-3)
多崎 礼
4125010242

『のだめカンタービレ 21』

のだめカンタービレ #21 (21) (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
4063407128


買いました。読みました。

うーん、今回はのだめ転機の巻?
のだめのテンションが下がってるので笑いがかなり少なめでした。
一家に一台、千秋!は笑ったが。

自分の目標が他人に達成されてしまったというショックと、それが自分を助けてくれていると信じていた人たちが別の人と成し遂げたものだったというショックと、精神的な疲労が重なって、いや、この疲れた感はものすごくよくわかるなあ……。

逃げた、といわれても、ではどうすればいいの! と切り返したくなる精神状態。

そこにミルヒーの悪の手が……(笑。

マスター・ヨーダ、のだめを暗黒面からたすけてください!

なんつっても結局はのだめ次第だ。
のだめが、千秋といっしょじゃない自分だけの目標を見つけない限り、この迷路からは抜け出せそうにないなあと思われました。

Ruiって大人だなあ……。
乗り越えたあとのRuiはとても可愛く魅力的になってた。

むー、これからどうなる。

のだめカンタービレ #20 (20) (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
4063406911

20080814の購入

世間はお盆です。
でも出かけたのは病院。
病院は空いてたけど、世の中は混雑してました。おなじように混在していても混雑の中味が違うのですが、どちらがマシかといわれると……むう。

一言言えることは「この暑いのに皆さん元気だなあ」。

剣の名誉 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-6)
エレン・カシュナー 井辻朱美
4150204748

のだめカンタービレ #21 (21) (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
4063407128


以上、購入。

昨日のショックな出来事。
薬局の隣の書店がまたもや閉店していた!
開店してまだ三年くらいだったのに。
小さいけど人文系の品揃えがけっこう充実していて、棚を見ているだけでおもしろい本屋だったのにー。
超高層ビルでそんな品揃えでは生きてゆけないということか。しょぼん。

しかたなく混雑するデパートの中の本屋に出張。
目標以外にハードカバーの棚を見て、じゅるじゅると涎を垂らす。

これとか、
妖精学大全
井村 君江
4487791936


これとか、
北欧神話物語
クロスリイ・ホランド 山室 静 米原 まり子
4791751493


ほかにもいろいろとあったけど、財布と相談するまでもなく見ただけで予算オーバーだとわかってしまうわけですが、眼福ってやつですか。

いつも図書館の本を読んでいるのでぴかぴかの新刊がまぶしいのです。

『人類最古の哲学 カイエ・ソバージュI』

人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈1〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582317

[Amazon]


読了。

宗教学者の中沢新一による講義録カイエ・ソバージュの一巻目。
響子さんのお言葉に興味をひかれて借りてみました。

いやー、この本、ものすごく面白かったです。
普段講義録なんて興味ないのですが、これは題材からして私好みでした。
世界最古の哲学とは神話のことなのです。

神話は石器時代から人類が育んできた現実社会と折り合いをつけるための装置、なのだそうで。
世界中に類似した民話が散見されるのは大元にこの神話があって、それが石器時代からの人類の移動によって地球上のあちこちに運ばれていったかららしい。
時代や人々の生活習慣や社会規範によってさまざまなバリエーションが生まれていくのだけれど、大元の神話的な原型が止められている限り、私たちはそれが似通った話だとわかるのだそうな。

初めに例としてあげられているかぐや姫の話は、「結婚したくない娘」という原型があってそれをどのようにして社会的に収めていくかがポイントなのだそうですが、そこに登場する子安貝の伝説というのがこれまた世界各地にいろんなバージョンで転がってるというのが目から鱗。

へええ、そうなんだーと感心しているうちに本題であるシンデレラのバリエーションではもう夢中になって読んでしまいました。

ううむ、なるほどねえ。
あの玉の輿ハッピーエンドのお伽噺にこんな深遠なしくみが隠されていたとは!
原型に近づけば近づくほど現代資本主義の垢がボロボロ剥がれて、どんどん魅力的な話になっていくのがすごく楽しかったです。
とくにネイティヴ・アメリカンのミクマク族がフランス人から聞いた話をわざわざ語りなおしたという「見えない人の話」は最高でした。シャルル・ペローのサンドリヨンとは比べものにならない純粋さです。
これはファンタジー読みならいちころなのではないかと思います。

この本を読んで、も一度『アボリジニー神話』を読み返したくなりましたが、はて、そんな能力が私のあるのかどうか、それが問題です。

以下に目次を記しておきます。


はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について

序章 始まりの哲学
第一章 人類的分布をする神話の謎
第二章 神話論理の好物
第三章 神話としてのシンデレラ
第四章 原シンデレラのほうへ
第五章 中国のシンデレラ
第六章 シンデレラに抗するシンデレラ
第七章 片方の靴の謎
終章 神話と現実

索引



じつに興味深い本でした。
それにとても読みやすかったし。大学生相手の講義録だからかな。
読んでいて眠くなることなど一秒たりともありませんでしたね、ええ。
これはこのシリーズをもっと読まなくちゃあという気持ちになりました。

二巻はこちらです。

熊から王へ―カイエ・ソバージュ〈2〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582392


実はこの本、一度借り出しとことがあるんですよね。
あのときは時間切れでダメだったけど、今度借りたときは大丈夫でしょう、きっと。

『アボリジニー神話』

アボリジニー神話
K. ラングロー・パーカー H. ドレーク‐ブロックマン K.Langloh Parker 松田 幸雄
4791754360

[Amazon]


読了。

オーストラリアの先住民アボリジニーの一部族に伝わる神話伝説をあつめた19世紀のイギリス植民者の娘K.ラングロー・パーカーの著作をH. ドレーク‐ブロックマンが編集したものの邦訳。

先日読んだ『アボリジニーの世界』から神話に進みました。
べつにシリーズとして繋がってるわけじゃないんですが、結果的にこの順序で読んでよかったなとしみじみ思います。

じつはこの本、読むのにもの凄く時間がかかったのです。
前回も相当苦闘しましたが、今回のもかなりの悪戦苦闘でした。
といって前回のように難しい文章がたくさんでてくるわけではなく、ただひたすら、シンプルすぎる文章が眠かった。そしてどうして眠いかというと、アボリジニー独特の思考過程が読めてないからなのだと思われます。

まず固有名詞にまったくなじみがなく、したがってどういう含みのある言葉なのか理性的にも感覚的にも雲をつかむようであること。

さらに動物として登場したのだと理解していたキャラクターがいつのまにか人間だったり、人間だったはずなのに当然の顔して動物だったりと、映像的なイメージがわきにくかったこと。

これはたぶんアボリジニーたちが動物も人間もすべてはおんなじと考えているせいもあるのだろうと思われますが、これにはそうとう混乱させられました。

たぶんこれはその動物を始祖とする部族の人間であるってことを意味してるんだなと推測しつつ読みましたが、それがまた別の動物の起源を語っていたりするといっしゅん方向を見失います。

アボリジニーの神話はすべて世界の始まりのドリームタイムのできごとについての話なのだと、私が前回の本で理解したのはそういうことでしたが、この、人が動物で動物が人で状態というのもなんとなく夢の中の出来事として理解できるのかもしれません。

でもって夢ってぜんぜん理性的じゃないから、だから読みにくいのかなあ……。

ひとつひとつの話はそれなりにおもしろいし、不思議だし、いろいろと興味深いので、取り出してきちんと読み込めば深く理解できたかもしれませんが、読み始めるとなぜか眠くなってしまうのでそんなところまではとうていたどり着きませんでした。

前述の『アボリジニーの世界』を読んでなかったら、最後まで読み通せなかったかと思われます。

そんな朦朧読書の中で印象的だったのは、ここでは太陽が女性で、月が男性であること。
ウィーリーヌンという賢者が出てくる話がたくさんあるのですが、賢者のくせに悪いことばかりしているなあってこと。

あと、物の起源の話とか、地形の起源の話とかがたいそう多かったような気がします。

地形の話を読んでいるとこれがソングラインにつながっていくのかなと感じて、すこしワクワクしました。少しというのはホラ、半分寝ていて朦朧としているからですね。

ところで、オーストラリアの先住民をさして一般的にアボリジニーといいますが、もともとこの言葉は固有名詞ではなく原住民や原生動植物を意味する一般名詞なのだそうです。

これってイヌイットと似たような変遷ですねえ。

それから訳者の松田幸雄氏。
この方、神話伝説の翻訳でよく見かける方ですが、そもそもは詩人だったのですねえ。シラナカッタ。
翻訳をされる詩人の方ってけっこう多いような気がする。

収録タイトルは以下の通り。
たくさんありすぎなのでたたんでおきます。

続きを読む »

『月族』

月族
今村 恭子
4759309195

[Amazon]


読了。

現代日本と超古代の地球を舞台にした、幻想ファンタジー。

ネットで書影を見て装画のうつくしさが気になったので借りてみました。

これ、私がもっと若かったらすごく夢中になっただろうなあ……。
白い月の輝きと夜の蒼と、静かな深夜の雰囲気がとっても魅力的なおはなしでした。

とくに現代日本のヒロインにうつくしい青年が語る月族の娘の物語。一種の貴種流離譚でありながらとても寂しげで悲劇的で、思わず陶酔してしまいます。

なんとなくかぐや姫とか清水玲子『月の子』とか榎木洋子「影の王国」シリーズとかを彷彿とさせる設定ですが、それらの物語よりもより幻想的で静けさに満ちていてお伽噺に近いかんじ。

ただ、いまの私が読むと、ヒロインのどこか現実に臆病なところとか、物語全体にかんじられる逃避感覚と自己優越感がちょっと気になるのですよね。

でもそれは若いうちにはごくごく普通のことだとも思うし、じっさい私もすくなからずそういうところを無意識にかかえていたので、これはこれで、ひととき夢を見るための物語としてあっていいのだと思います。

物語はこれできちんと完結していますが、どうやら続編がある模様なので、そちらも借りてみたいと思います。

月族―月光の導き ルーンの物語
今村 恭子
4759309403

グイン・サーガ、アニメ化

Leonさんのとこの記事で知ったのですが、「グイン・サーガ」がアニメ化されるらしいです。

えええええっ。

と驚いたのもつかの間。
もうそんなところに触手を伸ばすほど原作がないのかなあ……とか失礼なことを思ったりしました。

それにしても、あの大長編をアニメにするなんて。おそらく大きな流れ事に区切ることになるんだろうと思いますが。

もし人気が出てきてどんどん続いてしまったらどうなるんだろうと、そんなことまで考える私はバカだと思いますが。

だって、いくら大長編ったってまだ完結してないんですよ。
万が一、アニメが本編に追いついてしまったら……なんて考えるだに怖ろしいです。
百巻も先行していて追いつかれる原作……。

いや、だからそんなことはほとんどないとは思いますがね。

でも昨今のストーリーの進行速度を考えるとさあ。
三十分の一回で一巻分くらい進んじゃうんじゃとか、考えてしまうのですよ。
まったく杞憂そのものですね。
アホなこと書いてないでつづきを読めってことですね。

で、どこまで読んだんだっけ?


アニメ公式サイト【GUIN SAGA-グイン・サーガ

『魔使いの呪い』

魔使いの呪い (sogen bookland)
ジョゼフ・ディレイニー 金原 瑞人 田中 亜希子
4488019552

[Amazon]


読了。

近世イングランドっぽい異世界で、七番目の息子の七番目の息子トムが魔使い修行をする冒険ファンタジー。第二巻。

一巻の『魔使いの弟子』は一気読みでした。二巻目はどうかなあと思っていたら、やっぱり一気読みです。

面白い!

今回は冒頭からトムが師匠の代わりにボガート退治をしているところからはじまります。
被害者は師匠の兄の司祭で、すでに瀕死の重傷。本来なら修行をはじめて半年のトムの出る幕ではないのですが、魔使いの師匠グレゴリーが風邪(?)で伏せっていてどうしても動けずに代役を務めているのです。

なんとかこの件が片付いてすこし得意になったトムですが、今度は体調の万全でない師匠とともに大聖堂の街プライズタウンに赴くことになります。そこのカタコンベには怖ろしい魔物ペインが巣くっており、師匠はかつて失敗したペイン退治に決着をつけるつもりなのです。折しも街には魔使いに敵対する魔女狩り長官が来襲。長官がひきつれてきた“魔女”のなかにトムは友人アリスの姿を発見してしまいます。

さて、トムと師匠のペイン退治の顛末やいかに。

とこんな風なお話です。

解説の上橋菜穂子さんの書かれているとおり、これは一見王道と見せかけて一筋縄ではいかない物語ですね。

なにしろ、主人公のトムが修行を初めてまだ半年のくせに師匠のいうことを素直に聞かないんです。
とくにひねくれているというわけでもなく、どころか師匠のことをかなり尊敬しているのにです。それはたぶんまだわずかしか得ていない師匠の教えを守っていたら最善の結果が得られないということがわかってしまうトムの資質と、その直感を得る自分をかなりのところまで信頼しているかれ自身の存在があるのだろうと感じます。

そう、トムは自分を信頼しているのです。
その土台は両親に深く愛されて育ったからだと思うのですが、いかがなものでしょう。

とくにトムの母親はトムに全幅の信頼を置いていて、ときにかれを自分からこの土地への贈り物だなんて大げさなことをいいます。でもトムはその母親の言葉を疑わない。母親が善であり、自分を愛していることなんか知っているから。だからその母に信頼されている自分だって信じられる、というわけ。

苛酷な修行に送り出されたけど、トムはすごく幸せな少年なんだと思います。
師匠は怖いけど人間として信頼できるし、たしかな知識と技術を仕込んでもらっているし、教え込まれたことはきちんと自分の物にしているしね。

だからどんな危機に陥っても、トムは最善の方法をもとめてどんどん決断していきます。
かれの決断の早さは徒弟になったばかりにしては驚異的だと思う。
なのでストーリーもどんどん転がっていき、息つく間もなくどんどん展開していくので、本を置く暇がありません。

トムという平凡なのにただならない主人公の存在はこのお話をかなり変わった物にしているのではと思います。

それから、この本を読んでいてわくわくさせられるのは魔使いの仕事がことこまかに描写されていることです。魔使いの仕事が技術であって魔法ではない、という設定がこのへんのいろいろを楽しくしているのです。
読んでいるうちに、なんだか自分でもボガートや魔女が退治できそうな気になってきます。
もちろん、一番はじめにかれらを見分ける目があることが大前提なんですけどね。

今気づいたけど、この話に出てくる魔のものは人間の血がことのほか好きみたい。
魔使いのしていることも、なんとなく吸血鬼退治と似ているなと思うところがあるし。

トムの母親が謎めいた背景を持つ人物であることは一巻からわかっていましたが、こんなにはやく両親のなれそめが判明するとは思わなかったなー。

魔使いにまつわる女性の話も興味深かったし、トムはどこまで行ってもアリスと縁が切れそうにないし。

この話のなかでの女性の描かれ方はときにこれはちょっと……と感じる部分もあるのですが、それも著者は承知の上で伏線をはっているのかもと思わされるところがあります。

困ったちゃんのアリスは、手なづけられていない自然の力を象徴しているのか。
それとも女のやり方と男のやり方は違うと示しているのか。
いずれにしろ、トムには師匠がいるけどアリスにはいないのでそのあたりの違いも見逃せないよね、などとふと思ったりもするのでした。

三巻を読むのが楽しみです。

魔使いの秘密 (sogen bookland)
ジョゼフ・ディレイニー
4488019587



『伯爵と妖精 運命の赤い糸を信じますか?』

伯爵と妖精 運命の赤い糸を信じますか? (コバルト文庫 た 16-36)
谷 瑞恵
408601193X

[Amazon]


読了。

ヴィクトリア朝のイングランドを舞台に、妖精博士の女の子とタラシの美形伯爵とのロマンスを描く、ロマンティックファンタジー。シリーズ15作目、だったとおもう。

今回は短編集です。
収録作品は以下の通り。


不思議な贈り物と従者の受難
運命の赤い糸を信じますか?
リボンは勝負のドレスコード

あとがき



すべてリディアとエドガー婚約後のお話です。

冒頭の一本はとくにそうですが、総じてレイヴンの出番が比較的多くて、ニコとのやりとりばかりじゃなくいろんなところで可愛い姿を見せてくれます。レイヴンファンとしてはたいそう美味しい一冊でした。

その点を置いて考えると、ストーリーのおかしさでは書き下ろしである「リボンは勝負のドレスコード」が一番だったかしらと思います。

決闘がテーマの話なんですが、通常は女性のハンカチを身につけてするのに、リディアときたら、下着(の一部)をエドガーへの挑戦者に奪われてしまうのです。

おそらくハンカチだって恥ずかしがって手渡さないだろうリディアですから、下着がちらつかされるたびに羞恥心で平静を失い、なぜか自分はエドガーよりも敵対者のほうが好きなのかもなんて妄想してしまいます。

どうやらリディアは結婚を間近に控えてかなりナーバスになってるみたいですねえ。
ふらふらふらふらとしているので、これではエドガーも気が気ではないでしょう。
ま、その原因も大半は彼がこしらえているので自業自得なんですけどね。

個人的にはやっぱり、レイヴンを読むのが楽しかったです。
かれがすこーしずつ成長しているのがちょこちょことしたお笑いシーンになってるのが好きです。

ニコの赤い糸の先にあったものを発見したときには笑ってしまいましたv

『天山の巫女ソニン 3 朱烏の星』

天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星
菅野 雪虫
4062144859

[Amazon]


読了。

巫女として落ちこぼれた少女が数奇な運命とともに成長していく、アジアンテイストな異世界ファンタジー、第三巻。

この異世界はすこーし朝鮮半島っぽいなあというイメージがあります。
登場人物の名前もそんな雰囲気があるし。

ヒロインのソニンは巫女として見切りをつけられて天山を下るのですが、それから運命に導かれて沙維の国の末のイウォル王子に仕える侍女となり、王子とともに半島の三国の情勢に関わりながら様々な体験をしてゆくことになります。

第一巻では自国沙維の国で陰謀に巻き込まれ、第二巻では招待されていった江南の国でまた不穏な事件に遭遇、そして三巻では舞台は英雄の国巨山へと広がりました。

何事も先入観で物事を見てはいけないこと、権力者の隆盛には理由があること、権力者が勝手に引いた国境線によって運命が分かれてしまうひとびとがいること、などなど、政治的なかけひきで起きてしまう不幸な現実を、ソニンとイウォル王子は目の当たりにすることになります。

ソニンはイウォル王子がどんどん勉強して立派になっていくことに、少々焦りを感じていたり。

口のきけない王子の心の言葉が聞こえるという立場で特別な侍女となっている自分に、ほかにもするべきことがあるのではないか、と悩んでいるソニン。つくづく真面目で素直な女の子です。

ソニンの天山でたたき込まれた滅私奉公の精神が、現実世界で種が芽吹くようにほころんで
いくようすも、このシリーズの読み所なのかもしれないです。

いまのところ、まったく色恋沙汰には無関係な話になってますが、そのうちなにか進展があるかもしれない、とちょっと感じたり。

それから、今回は巨山の王の娘、大きな犬を従えた王女イェラの存在が鮮烈でした。
偉大な父親を慕ってはいるものの、こころからその政策に従うことができず、孤独を抱えている利発な王女。

ソニンとのふれあいは数えるほどでしたが、どのシーンも今後のシリーズに大きな影響を与えそうな、印象深いシーンだった。

もっと彼女のことを読みたいーと思いつつ読んだラストのイェラ王女の姿に、運命の歯車が大きな音を立てたような衝撃を感じてしまいました。

うん。きっとこのあと彼女は大活躍してくれるでしょう。

国家間の政治的な思惑やそこで翻弄される人々の暮らし、そして少年少女の成長を、簡潔でありながらやさしい雰囲気の語りの文章で一気に読ませてくれる、物語の楽しさも持ちあわせたシリーズだと思います。

個人的にはもすこし幻想風味が欲しいところですが、たいへん面白いので無理はもうしません。

つづきをはやく読みたいです。

天山の巫女ソニン 1 金の燕
菅野 雪虫
4062134233

天山の巫女ソニン 2 海の孔雀
菅野 雪虫
4062138336

『王と最後の魔術師 上』

王と最後の魔術師 上 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-4) (ハヤカワ文庫 FT カ 2-4)
エレン・カシュナー&デリア・シャーマン 井辻 朱美
4150204705

[Amazon]


読了。

架空の近世都市を舞台に風俗などを丹念に上品に書き込んだ、異世界ファンタジー。
『剣の輪舞』の姉妹編。

北部と南部の合併がなり、北の王が南の貴族たちによって打倒されて国家は貴族たちの支配下に下り、長い年月が流れた。
北部の統治が不安定になり、貴族たちのあいだではひそかに王政を求める動きを懸念する者がいた。大学にいる北部人たちは王政復古を願う秘密結社を組織しているらしい。
同時に大学の史学部講座の講座では後継者をめぐる争いが活発化していた。新鋭の学者バージル・セント・クラウドもそのひとりである。だがかれは政治活動に興味がなく、専門である古代についての研究に没頭したかった。そんなおり、セント・クラウドはひとりの美貌の若者と出会い、恋におちる。相手は名門キャンピオン家のセロン。クレモンテーヌ公爵の跡継ぎと目されている。スキャンダルめいた恋に溺れる日々、古道具屋から珍しい本を手に入れたバージルはそれが王の魔術師の書であることを確信し、歓迎されない王政時代の秘密の中に分け入っていく。



『剣の輪舞』の六十年後を舞台にした、姉妹編。
単に続編といわないのは、ストーリーが完全に独立しているからでしょう。
たぶん、前作を読まなくとも理解できると思います。が、読んでいればより楽しめるのは自明の理です。

主人公バージル・セント・クラウドは若き学者。怜悧な頭脳と世間知らずな純朴さの同居した、姿形はそれほど整ってはいない、朴訥タイプ?
バージルと恋におちる美青年は、トレモンテーヌ公爵の跡継ぎと定められたセロン・キャンピオン。かれは『剣の輪舞』に登場したアレクの晩年の息子です。アレクは公爵となってからいろんな世評を騒がせることをしていたみたいです(苦笑。でもセロンの父親はこの話には直接関係ありません。

というわけで、これはボーイズ・ラブです。
前作より濃厚だと言えるかもしれない、あきらかにボーイズ・ラブ。
であるからして、拒否反応を抱く人も前作より多いかなあと思います。

でも、この作品は、前作よりもはっきりとファンタジー印がついてます。
バージルが探り出してゆく北部の王と魔術師の関係や、北部人の大地に対する信仰や、冬至の祭りでくり広げられる騒ぎには、魔法や異界の存在感がかなり濃厚。
こういうふうに、手に触れられる世界と触れ得ない世界が交錯して、どちらがどちらかわからなくなるような酩酊感は、前作にはなかったテイストです。
しかも、この作品の雰囲気からして、幻想はとてもセクシーなのです。

それに、前作にはほのめかされているばかりでよくわからなかった国の歴史や信仰がしっかりと世界に刻みこまれているところもグー。

こういったところは共著のデリア・シャーマンに寄るところが多いのかな。
歴史が感じられると世界に奥行きが感じられて嬉しいです。
しかも、こんなに魔法めいた歴史があるならば。

うう、このあとどうなるのかな。
はやく読みたいのですが、図書館で本を借りてきてしまったのでそちらを優先させなければならないのが辛いです。

王と最後の魔術師 下 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-5) (ハヤカワ文庫 FT カ 2-5)
エレン・カシュナー&デリア・シャーマン 井辻 朱美
4150204713

『犬夜叉 3』

犬夜叉 (3) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091252036


中学生の女の子が戦国時代にトリップ。半妖の犬夜叉と出会い、割ってしまった四魂の玉の欠片を探して旅をする、冒険伝奇ファンタジーコミックの三巻目。

三巻のカバー絵を見て、かごめちゃんがだいぶん今のデザインに近づいてきたなあと思いました。
中味は時差があるからまだ妹モードでしたが。
私、この妹モード嫌いじゃない、というよりかなり好き。
『めぞん一刻』のえーと、五代くんの教習先の学校の生徒みたいで可愛いとおもうの。
お姉さんタイプは自分がずーっとお姉さんやってるから目新しさがないというか。
自分がお姉さんらしいというわけではないんですけど。
むしろ妹さんですかと聞かれることが多々あるのですが。

ストーリーでは七宝ちゃんが登場。
おマヌケな変身の術と、単純だけど犬夜叉には効果的なわざの冴えが楽しい。
なにより可愛いのでなんでも許してあげます(笑。

展開は緩急が絶妙。
シリアスシーンは少なかったけど、ギャグの何とも言えない間が笑えます。

犬夜叉 (4) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091252044

『LEGAの13 2』

LEGAの13 2 (2) (フラワーコミックス)
やまざき 貴子
409131693X


ルネッサンス期のヴェネツィアを舞台に、元首に囚われの身となった自称まがい物の錬金術師レガーレがさまざまな人と出会う、連作短篇コミック。第二巻。

私にしては順調に続きが読めました。
やはりこのシリーズ、錬金術は狂言回しなのかなあと思います。
ぜんぜん研究している場面がなくて、主人公のレガーレは囚われの身の窮屈さに悲鳴をあげているだけだし。
だいたい、地下牢に隠されているのにこんなに出会いがあるって何なんだ(笑。

お話自体は当時の時代背景や風俗がふんだんに取り入れられていて、私の趣味をかなり正確に射貫いてくれてます。
アルジェの海賊の話なんてちょっとできすぎ。まるでお伽噺みたい。でも、頑なだったお姫様テウタの成長がまぶしくて、読後感が爽快でした。
謎の神父の正体には茫然とさせられましたが。

キャラクターがこまこまと動いていくちょっとギャグっぽい展開などには、やまざき貴子のマンガを読んでるなあという気分が満喫できます。

基本的にやまざき貴子の主人公は明るくて前向きなのがいいですね。

まだシリーズ全体のストーリーはよくわかりませんが、レガーレの出生の秘密に関係があるのかなーと思います。

楽しかった!

LEGAの13 1 (1) (フラワーコミックス)
やまざき 貴子
4091311660

お食事券

ニュースで聞くたびお食事券がもらえそうな気分になる「汚職事件」。
音は合っているのに意味がまったく違う言葉です。

そういえば、小学生の頃「嘱託尋問」を「食卓尋問」だと思いこんでいた。
いまでもなぜか白いテーブルクロスを掛けた大テーブルでの晩餐会が脳裏に浮かぶ。凝ったつくりの燭台に蝋燭の火がゆらいでいるのが見えたりもする。
いったいそんな豪勢な尋問がどこのせかいにあるというのか。

おそらく異世界のお貴族様を城に幽閉して行われる陰気で怪しい晩餐なのだろう。城は崖に建っていて、黒い雲のたれ込める中雷鳴がとどろいたりするのかも。

そんな話を義妹にしたら彼女はロッキード事件がなぜか犬がらみの事件のようにイメージされるのだという。

これには私もちんぷんかんぶんです。

『海獣の子供 3』

海獣の子供 3 (3) (IKKI COMIX)
五十嵐 大介
4091884229



最小限のきりつめた言葉と大胆でうつくしく緻密な画像でかたられる、謎めいた海洋ファンタジー。シリーズの第三巻。

待ちに待っていました、第三巻。
いそいそと発売日に買ってきて、いそいそと読んだ。
しかし、二巻までの話が頭のどこにも甦ってこなかった!
忘れ去るにもほどがあるとおもうのですが、弁解もさせてください。

だってこのマンガ、説明がほとんどないんです。
大切なことはすべて絵で描かれている。
まるで映像で語る映画のよう。
それはものすごく雄弁で読んでいるときに余計な言葉なんか少しもいらないくらいなのです。
でも、受けとめたものが言語化されずにいると私には内にとどめておくのが難しいみたいです。
そして、この作品は途中からいきなり世界の中に足を突っ込んでも流れに乗ることのできない、強烈な結界がはられていたのでした。

というわけで、すごすごと後戻り。
第一巻から読み返しました。
おかげで話の道筋がようやく理解できましたよ。

集団の中にとけ込めない少女、流花。
彼女が出逢った不思議な少年・海と、海のたいせつな相棒・空。
ふたりはジュゴンの群れとともにいるのを捕らえられ、海から上がると身体に支障が出るという、まるで海獣のような体質をしていて、研究者に保護されている存在だった。
彼らのような子どもたちは世界中の海で見つかっていたが、生きて存在しているのは珍しい。
さらに繰り返される白い斑紋のある魚が消えていなくなるという不可解な現象。
ふたりは海に起きている異常に関わりがあるのではないかと疑われていた。
かれらはなにものなのか、どこからきたのか、どこへゆこうとしているのか。
姿を消した空を求める海とともに、流花は大海原へと惹きつけられてゆく。



流花にとっての大筋はこんな感じでしょうか。
どの登場人物も自分の人生を背負っているのがわかるので、それだけの物語がここには詰まっているように思えます。
海と空はこの話と謎の焦点ですが、ストーリーのあちこちで鍵になっているのは海と空を保護していたジムや、天才少年科学者アングラードの過去や述懐だったりします。
今回はぜんぜん無関係かと思っていた流花の母親まで参画してきました。

うわー、どうなるんだ、このつづき。

それにしても、このマンガはほんとに画面がスゴイ。
映画みたいだなとは先にも書きましたが、映画と違うのは作者の意図が実写よりもダイレクトに反映されているだろうこと。そしてなによりも自分のテンポで読めること。

ここを止めてよく見たいと思っても流れ去ってしまう映画と違い、マンガだとその一瞬を心ゆくまで味わえるんです。

それでどぶんと海に沈むように話の中に浸っていると、冷たい潮の流れや静寂の中で響く鯨のソングが肌に伝わってくるようにさえ感じます。

画像なのに、皮膚感覚に訴える力が高いんだなあ。それに動きも感じる。雨粒の匂いや味まで想像させられる。

体験型ファンタジーマンガといってもいいような気がします。
そのぶん話はわかりにくいけど、むしろそれも魅力。

つづき、はやく読みたいです。

海獣の子供 1 (1) (IKKI COMICS)
五十嵐 大介
4091883680


海獣の子供 2 (2) (IKKI COMICS)
五十嵐 大介
4091883699