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『チャンネルはそのまま! 1』

チャンネルはそのまま! 1―HHTV北海道★テレビ (1) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
佐々木 倫子
4091824501



借りて読了。

佐々木倫子を読むのは久しぶりです。
「花とゆめ」時代の単行本はすべて買いました(未収録の「名犬アイボリー」が読みたいです)が、スピリッツに移ってからは『おたんこナース』まででした。それも妹が買った。

なんで遠ざかったのか記憶は定かではないですが、今回しばらくぶりに読んでみたらやっぱり面白かった。笑えた。人前だとやばかった。

今回の作品の舞台は北海道のローカルテレビ局。
主人公は「バカ枠」で採用された新人記者、雪丸花子。

バカ枠だなんてまったく気づいていない彼女の、真剣だけどアホすぎる天然行動に周囲が引っかき回されて大騒ぎになる、というストーリーです。

もっとも迷惑を被るのは直接の上司ですが、彼女の同期もふつうに過ごしていたら起きるはずのない意外な展開にひっぱりこまれて、さあたいへん。

佐々木倫子って絵柄だけみるとシリアスマンガであってもまったく不思議じゃないのに、どうしてこんな面白い=可笑しい話を描くのか、「花とゆめ」時代よりもさらに絵柄がシリアスになってるのでよけいにギャップが笑えます。

笑ってるうちに昔の作品を読み返したくなりました。
「忘却シリーズ」とか『ペパミント・スパイ』とかが懐かしい。(私が勝手に名づけた)姉妹シリーズも。

そういえば、「花ゆめ」時代の作品は『動物のお医者さん』しか文庫化されていないとか。

「忘却シリーズ」の「名犬アイボリー」が収録される本をずーっと待ってたんですが、出たという事実はあるのだろうか……。

『逃れの森の魔女』

逃れの森の魔女
Donna Jo Napoli 金原 瑞人 久慈 美貴
4899980035


[Amazon]


読了。

童話「ヘンゼルとグレーテル」を魔女視点で描くファンタジー。

以前、「美女と野獣」の野獣視点版『野獣の薔薇園』が面白かったドナ・ジョー・ナポリの作品です。

今回の題材は、森で迷ったヘンゼルとグレーテルがたどりつくお菓子の家に住む醜い魔女。

いつの時代とも特定されていない童話をどこまでもヨーロッパ中世的な物語世界で展開させて、ひとりの女性の試練に満ちた生涯を描く、精神的にシビアな物語だなーと思いました。

文章は平易でどちらかというと雰囲気は童話めいてもいるのですが、童話は童話でも精神的に大人向けの童話です。

テーマは魂の救済なのだろうと思うのですが、魔女(前半では魔術師)に課されつづける試練の苛酷なこと、読んでいてかなり辛かった。

出発点からハンデてんこ盛りなのに、どうしてヒロインにばかり苦難が襲いかかるのか。
ハンデを乗り越えてこその救済に価値があるということなのか。

でもその救済がもたらすのがこんな結末では、人生がちっとも楽しくないのではと読み終えて思いました。

うーーーむ。
世俗的な精神世界に生きている日本人である私には、納得しにくいお話だ。

ともあれ、ヒロインが魔術を行う際のディテールや悪魔との対決シーンは魅力的で、ファンタジーとしては楽しめました。

ただ、お菓子の家はこんなお菓子の家じゃ物足りないよう、と思いましたが(苦笑。

『テンペスト 下 花風の巻』

テンペスト 下 花風の巻
池上 永一
4048738690


[Amazon]


読了。

日本開国前に列強の驚異を間近にした琉球王国にあって、トップ官僚である孫寧温・王の側室あごむしられ真鶴という二つの生を同時に生きる主人公の奇想天外驚天動地の運命をえがく、歴史ファンタジーの下巻。

上巻を読了して数ヶ月。ようやくようやく下巻が読めました。
下巻も上巻同様、主人公のジェットコースターな人生にハラハラドキドキ。とにかく不幸の連続なのに先の展開が読めないので、ときどき緊張しすぎて続きを読むのが辛くなったほどです。

でも、それも終盤に向かうにつれて収まっていきました。つまらなくなったわけではありません。なんだろう、収まるべきところが見えてきてそれが不幸であっても幸福であっても、主人公はけして後悔しないだろうという確信が得られたからかもしれません。

激動する世界の波にさらされつづけ、ときには日本の防波堤の役割までも果たしていた琉球。
いちはやく情勢の先を読む能力は、鎖国していた日本などおよびもつかないほど上でした。
大国に挟まれた小国という境遇から身につけたその外交能力、バランス感覚を持ってしても、独立しつづけることの叶わない厳しい事態に追いやられていくのが辛かったです。

どの国も自国の利益を優先するのは当然ですが、すこしは志を高く持つところがいてもいいのになあと思います。そんな国はいまだに現れていないから、人間には作ることのできない理想なのかもしれないけれど、理想がなければ前進もないのだからあきらめてはいけないと思うのですよね。

「国のために民がいるのではなく、民のために国がある。国はなんども壊れるけれど民が滅びることはない」

望まない結末を迎えても、この心理にたどり着いたところで嵐のように荒れ狂っていた寧温/真鶴の葛藤が収束する。そのあたりの描写でこの小説はやはり国家間のせめぎ合いだけではなくそのためにゆれうごく感情の嵐を描くものだったんだなと納得しました。

必要以上の解説や後日譚をつけ加えず、ひととして生きることの意味をあらためて深く受けとめるラストに、しみじみと感動しました。

ところで、読み終えてからこの記事を作るためにアマゾンに飛んで感想を読んでみたんですが、見事に評価が分かれてますねー(苦笑。

生真面目な歴史小説読みにはたしかに受け入れがたい作品かもしれません。
でも、この一見ふざけたような作風が著者の魅力だと私は思っているし、そこが好きなところなので、あらためてもらいたいなんて露ほども考えません。

むしろ、この程度では生ぬるいというか大人しいなと感じたくらいです。
なにしろ、オバァがでてこない!

そのかわり、巫女の頂点に君臨する聞得大君/真牛のド派手な存在感を始めとした女性軍全体のパワーはいつもよりアップしているかも。

下巻でご登場した喜舎場朝薫の従姉妹・真美那さんのお茶目ぶりと来たら、まさにとんでもない破壊力でしたし、女官大勢頭部になった思戸の暗躍ぶりもすごかったし、とにかく御内原(後宮)の伏魔殿っぷりときたら、表の政治の世界の何倍もどぎつくてえげつなくて、とんでもない世界でしたがいつも読んでいて楽しかったです。

脇役陣もそれぞれにそれぞれの人生を歩んでいるのが、ちょこちょことした文章でわかるのも面白かった。

ほんとに、私って脇役好きだなあ……あくまで脇役に徹している脇役が好きだ。多嘉良おじさんとか。

男性陣は主人公のライバル・思い人ふくめ、主人公に翻弄される人が多くて、やっぱり池上作品で元気なのは女性だなと、あらためて確認した次第です。

ファンタジーとしても美しくまとまってますが、この話は幻想より人間の体温の方が高かったなと感じます。

解放された龍達はどこへ飛んでいったんだろう……。

テンペスト 上 若夏の巻
池上 永一
4048738682

「掠め風」

一枝 唯さん作「掠め風」読了。
異世界ファンタジー中編完結済み。

「翡翠の宮殿」「風読みの冠」関連作品。「幸運の果実」の後日譚。
ちょっとホラーサスペンスぽい感じ?

『伯爵と妖精 すてきな結婚式のための魔法』

伯爵と妖精 すてきな結婚式のための魔法
谷 瑞恵
4086012545


[Amazon]


読了。


ヴィクトリア朝を舞台に妖精博士の女の子とタラシ伯爵のロマンス、さらに伯爵にまつわる陰謀を描く、ロマンティックファンタジー。シリーズええと……十七冊目。

おお、とうとう結婚式ですか。
ここまでくるのに長かったなと思うのか、まだ事態は解決していないのに結婚しちゃうのかと思うのか、どちらかといえば私は後者の方ですが、というのも結婚してもそれほどふたりのやりとりは変わらないのではなかろうかと推察するからですが、まあ、とにかくおめでたい巻でした。

結婚式のお話らしく賑やかで華やかで可愛らしい雰囲気です。あいかわらずの妖精との事件が今回楽しかったのと、それでいて闇の組織とのシリアスなやりとりもきちんと織り込まれていて、いやー凄い構成力だなと唸ります。

作中で重要な鍵となる言い伝えというかしきたり、幸せな花嫁になるために身につける五つのもの、というのは、これまでもイギリスやアメリカやカナダの作品でも目にしてきたもので、いったい何を意味しているのかなとひそかに疑問だったのですが、なるほどこういうことだったのかもと目から鱗が落ちました。

あとお祝いに呼び寄せる六人の妖精たちは、いばら姫のよい魔法使いと悪い魔法使いのことですよね。

モチーフが童話っぽかったせいか荒事もそれほどひどくはなく、ほほえましい解決に頬がゆるむ気分でした。

それに、レイヴンがたいそう可愛いです。
出てくるたびにいちいち頭撫で撫でしてやりたくなりました。

これで完結ならたのしく終わりだったのですが、まだ続くのですよね。
ユリシスがいまだに暗躍しているのと、まったく姿を見せなかったアーミンの存在が気になりますし。

でもとりあえずはこのしあわせ気分を満喫していようと思います。

苦難の中で伯爵がリディアを捕まえた前巻はこちら。
伯爵と妖精―誓いのキスを夜明けまでに (コバルト文庫)
谷 瑞恵
4086012243

『犬夜叉 21』

犬夜叉 (21) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256414



読了。


現代の女子中学生日暮かごめが戦国時代へトリップ。半妖の少年犬夜叉と仲間達とともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスファンタジーの二十一巻。

この巻は、
子ギツネ妖怪七宝ちゃんの初恋エピソードと、

奈落の居所を嗅ぎあてた妖狼族の若頭・鋼牙君が、奈落の分身・神楽と対決して足に仕込んでいた四魂の玉の欠片を盗まれてしまうエピソードから、奈落の結界が弱まったのは犬夜叉と同じ半妖だからであることが判明し、神楽が奈落から離反するために殺生丸に取引を持ちかけるエピソード、

山に入った男たちを助けるために出向いた弥勒様に、監視のためと称して珊瑚ちゃんがついていくエピソード、

さらに奈落が放った新たな分身、顔のない男の登場まで、

が収められています。

このところずっと犬夜叉がメインの話が続いていたのでいい息抜きになりました。

とにかく七宝ちゃんがかわいいです。
高橋留美子の描くちびっこって見てるだけでなごむなー。
『めぞん一刻』でも登場人物の幼少の頃のエピソードはいちいち楽しかったなと思い出しました。

それから弥勒様と珊瑚ちゃんのエピソードもおもしろかったー。
弥勒様って取り柄のある諸星あたるって感じですねv
いろいろと説明されてもふたりの間の機微がわからない犬夜叉の鈍くささにも大笑いでした。

最後にでてきた顔のない男は、いままでで一番気持ち悪い相手かも。
人間の肉体を持ってるのに心には欠片も人間らしさが感じられないです。
そもそも登場シーンでは口もないのにどうやって話してるんだ。
ぎゃー、怖いよー。

というわけでつづきをはやく読みたいです。

犬夜叉 (22) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256422



『放浪者の書 博打うち 娼婦 ペテン師』

放浪者の書―博打うち、娼婦、ペテン師
ハイナー ベーンケ ロルフ ヨハンスマイアー 永野 藤夫
4582474330

[Amazon]


読了。

中世後期から近世にかけてヨーロッパで大量に発生した流民・放浪者について書かれた文献の成立過程と目的、影響についてドイツ人研究者が考察する。

この本を借りてみたのは放浪者の生活実態などが知りたかったからなのですが、ちと目的とは外れていました。
この本は、流民の群れとそれらの引き起こす犯罪に悩まされた施政者や官憲が、その手口などに注意喚起をうながすための回状として作成された文書をまとめた書物についての研究書です。

いまでいうなら、振り込め詐欺のさまざまな手口について周知徹底するためのまとめ文書みたいなものでしょうか。

というわけで、冒頭、「放浪者の書」と名づけられたその書物の成立過程が述べられているあたりなどは、まったく一方的に上からの視点でのみ書かれていて、その放浪者そのものについて知りたい私などが読んでいると非常に退屈、かつ、不公平な気分になりました。

そりゃあ、秩序を保とうとする側からすれば、あっちこっちうろうろして税金は払わず、嘘をついて物乞いをしたり、詐欺を働いたりする連中は迷惑そのものだったでしょうが、そんな人びとがたくさん生まれてしまった背景には、中世の社会構造の破綻のために地道に働いても暮らしてゆけないという現実があったわけで、つまり、誰も好きこのんで放浪者になったりはしていないんですから、犯罪を取り締まるのは仕方ないけどこれ以上増やさない努力を怠っているのに、神経質なまでに忌み嫌い排除しようとする意識を庶民にまで植えつけるのはどうかと思うのですよ。

というわけで、同情しつつそのあとの本文を読んだわけですが、うーむ。こんなことをされたらやはりずいぶんと不愉快ではあるよなと感じてしまう私(苦笑。

それにしても中世の終わりってものすごい政情不安状態だったんだなー。
これって日本なら戦国時代みたいな物だろうか。
税が払いきれなくなって物乞いしつつ放浪するって、頑健な体がないとつづけられない生活だから、弱いひとはどんどん死んでいってしまったんだろうな。
私にはとうてい生きのびることのできない時代だと感じます。

抑圧されてまだ放浪するほどではないけれども日々生きのびるだけで精一杯、という状態の庶民は、放浪者を嫌悪しながらもかれらの自由にロマンを感じていたらしいです。

そういう時代のヒーロー(?)が、ティル・オイレンシュピーゲルだったのですね。
なるほど。

というわけで、目次。


ヨハンスマイアー(Rolf Johannsmeier)
貧者への恐れ 上ラインの貧者の群れ

ベーンケ(Heiner Boehncke)
流浪者追放 『放浪者の書』の歴史
放浪者の書 乞食の群れ
類似の本
 夢幻境からの出船
 ティル・オイレンシュピーゲル(ペテン師)
 アスファルヒェのグスマン、またの名を悪漢(ピカロ)

ユッテ(Robert Jütte)
放浪者の典型 シュトラースブルクのハンス
「拷問で吊されて……」香具師の自白

ユッテ(Robert Jütte)
隠語 乞食と山師の言葉

訳者あとがき

文献
挿図出典



目的とはちがっていたけど、中世と近世の狭間のことなんて何も知らなかったので大変お勉強になりました。

放浪者が嫌われたのは第一に税金を払わなかったからだったんですねえ←何か違う?