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『ぶたぶたと秘密のアップルパイ』

ぶたぶたと秘密のアップルパイ (光文社文庫)
矢崎 存美
4334743498



[Amazon]


読了。

見た目はピンクのぶたのぬいぐるみ・山崎ぶたぶたの登場する、ビターでハートフルな短篇連作集。シリーズの一冊。

ぶたぶたと出逢った登場人物が自分と人生を見つめ直す、というほどオーバーではないけど
それほど外れてもいないのではと思う、私の大好きなシリーズです。

ぶたぶたの存在以外はリアルな日常生活が舞台。視点人物である登場人物たちの抱えている悩みも、とても現実的で悩み方も現実的。

そんなまともに向かいあったら泥沼になりそうな出来事を、ぶたぶたという魔法を通してやさしく穏やかに前向きに描かれていく、という点が私の好きなところかなと思います。

視点人物の悩みが中々明かされないあたりはすこしミステリっぽい雰囲気もありますね。

シリーズといっても一冊一冊に繋がりはなくて、すべてぶたぶたが出てくるというだけのパラレルワールドなのかも知れません。

収録作品は以下の通り。


キリ番とアップルパイ
お守りの代わりに
賢者フェルディナンド
雪の夜
消えていく秘密

あとがき



今回、ぶたぶたはとある喫茶店の雇われマスターをしています。
あんなもくもくした身体で、すごく器用なんですよね、ぶたぶたって。以前にもレストランのシェフをしていたような記憶があるし。

で、今回はぶたぶたの作るアップルパイというのがかなり重要な小道具として出てくるのですが、このアップルパイがとんでもなく美味しそう、なんですよー。

文中にアップルパイが登場するたびによだれが出てきそうな気分でした。
あああ、そのアップルパイ、私にも分けてーーー! と心の中で何度叫んだことか。

おかげでアップルパイが食べたくて食べたくて、仕方がなくなりました。
アップルパイ、食べたいー。
考えなくてもカロリーが高そうだけど、食べたいー。

お話の方はいつものとおり、ちょっと苦いけどほんのりあまくて暖かい手触りの物ばかりでした。

ひとつ、悩みはわかるんだけど具体的な原因が示されなかったものが気になりますが、話的にはあんまり関係がないということなのかな。

ぶたぶたシリーズは私が遠回りしているあいだにもう一冊、新刊が出ていました。
こっちはなるべくはやく読みたいなーと思うのですが……いつも思うばかりだな(汗。

訪問者ぶたぶた (光文社文庫)
矢崎 存美
4334745156



『つづきはまた明日 1』

つづきはまた明日 1 (1) (バーズコミックス ガールズコレクション)
紺野 キタ
4344815688



読了。

表紙カバー画の愛らしさに思わず購入。

ほんのりと翳りのある設定に、子どもたちのにぎやかさと成長とほんのちょっとの不思議がブレンドされた、ほのぼのしみじみな日常ストーリーの連作です。

前作『Dark Deed』みたいな大がかりな話より、こちらの方が作者さんのいいところが存分に発揮できてるんじゃないかなあと、私は感じます。

いろんな感情の振幅がなにげないエピソードにふとあらわれる一瞬、みたいなのをすこし距離を置いて描くのがお上手だなあと思うのです。

この話は父子家庭の兄妹を中心に描かれていて、お兄ちゃんの杳くんがとってもお兄ちゃんとして頑張っているところが健気で、妹の清ちゃんがとってもお兄ちゃん子なのがすごく愛らしいです。

杳くんの、自分の世界を確立しているちょっと大人っぽいところと、まだまだ子どもな部分が同居しているキャラクターがいいなあ。

清ちゃんの無邪気さは無条件でキュートだし。

ふたりの叔母さんのリカコさんや、お隣に越してきた原田一家との今時珍しいご近所づきあいのエピソードは、賑やかでなおかつ懐かしい香り。


読んでよかった~と思える作品でした。
つづきも買おうと思いますv