『マーベラス・ツインズ契 3 いつわりの仮面』

マーベラス・ツインズ契 (3)いつわりの仮面 (GAMECITY文庫)
古 龍 藤田 香 川合 章子
4775806750



[Amazon]


読了。

中国近世を舞台にした少年の陰謀・冒険・戦いを物語性豊かに描く、武侠小説のシリーズ『マーベラス・ツインズ契』の第三巻。

表紙の江玉郎を見て「うわあ、嫌だなあ」と思いましたが、本編には後半にしか出てこなかったのでよしとする(笑。

前巻の終わりで三ヶ月の期限付きで友人となった小魚児と花無缼。
それからふたりは共に行動を開始。

大侠の仮面の裏で悪事の限りを尽くす江別鶴との対決に臨んだり、復活した燕南天とのいきさつがあったり、花無缼に絶対的な命令権を持つ銅先生との奇妙ないきさつがあったりしたあげく、物語はついに佳境へとさしかかります。という辺りでこの巻終わり。

小魚児と花無缼の関係は『マーベラス・ツインズ』の三巻によって読者にはすでに知られているわけですが、当人達はいまだに何も知らず、それでもお互いのことがとても気になって親しみを覚えることにどちらも不思議だと感じている描写が、読み手の心をくすぐります。

小魚児の恩人である燕南天も、この秘密は知らないんだものねー。
知っているのは花無缼を育てた移花宮のお二人のみなんだよ。
そしてこの二人は絶対に自分からは明かしそうもない。

というわけで、花無缼が自分に下された命令に疑問を覚えた今、物語は必然的に移花宮へと吸い寄せられていくのでありました。

この巻で一番活躍していたのは、花無缼に墨玉梅花を渡して従わせようとする銅先生じゃないかと。
超人並みの戦闘力を持つこの人ったら、ものすごい威厳を漂わせてご登場なさったのに、小魚児の口先に散々振りまわされて、またその状態をまったく断ち切れずにずるずるなのです。いっそ可哀想なくらいだったですよ(苦笑。

でもまあ、その展開のおかげで銅先生の正体が割れるようになっているわけですが。

それから、今回も新しい敵が現れました。
ネズミを操る怪人です。

なんでこんなことを考えつくのだろうなーと感心しきりですが、著者の発想ってすこし特撮ヒーロー物に似ていると思いつきました。悪の組織こそ出てこないけどね。

今回も奇抜な発想と卓抜したストーリーテリングにぐいぐいとひっばられました。
面白かったー。

唯一、残念なのはヒロインの鉄心蘭の出番がどんどん減っていくところですか。
登場した時はツンデレっぽいところもあったのに、最近ではヒロインという役割以上の存在感が無くて、ちょっと哀しいです。

ともあれ、小魚児と花無缼の運命やいかに。
つづきはこちらです。

マーベラス・ツインズ契 (4)貴公子の涙 (GAMECITY文庫)
古 龍 藤田 香 川合 章子
4775806769



それから、『マーベラス・ツインズ』の公式サイトを見つけました。

【GAMECITY文庫 マーベラス・ツインズ オフィシャルサイト】

人物紹介のページに、すごく小さくですが原語のキャラクター名が載っていて嬉しかったです。

『犬夜叉 29』

犬夜叉 (29) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
409125649X



読了。

戦国時代にトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間達とともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスコミック。シリーズ二十九巻。

この巻には、

あらたな体を得た奈落が犬夜叉の風の傷をはね返すほどの力を得ていることが判明したエピソード、
鬼蜘蛛の心を捨て去った奈落が桔梗を亡き者とするエピソード、
桔梗の危機を聞かされた犬夜叉が桔梗を探すために一行から離れるエピソード、
犬夜叉のいない間に罠にかけられて身動きの取れなくなった一行から、かごめちゃんだけが神楽とその連れにさらわれて利用されそうになるエピソード、

それから鬼女のエピソードの冒頭まで、

が収録されています。

鬼女以外は、前巻からの白霊山周辺で展開するお話の完結編ですね。

とうとう鬼蜘蛛の心の枷からぬけた奈落と、鬼蜘蛛の心から生まれたはずなのに人間の情を踏みにじって平然とする存在が、これからのストーリーの中心となるのかなーと思われます。

しかし、あれだけ重要視していた桔梗姐さんがこんなにあっさりと退場するなんて信じられません。またあとから復活するのではないかとさりげなく期待。

犬夜叉は犬だからなのかどこまでも義理堅いなー。
桔梗とかごめちゃんのどちらかを選べといっても彼には絶対に選択できないと思う。
かごめちゃんが苦しさの中で叫んだ台詞が、犬夜叉には聞こえなかったようなのが切ないです。

鬼蜘蛛の妄執が消え去った今、奈落の意識は四魂の玉の存在を視るかごめちゃんに絞られてきた模様ですね。

これからは今までにも増してかごめちゃんを守る必要がありそうなのに、犬夜叉は大丈夫なんだろうか。今や本当に死んでしまった(らしい)桔梗を思ってフラフラ~としないかと心配です。

ところで。
犬夜叉の世界的には何の関係もないのですが、神楽と連れ立っている(?)桔梗を慕う心をなくした鬼蜘蛛(?)を見た私は「ぎゃー、奈落が001になってるー!」と心の中で叫びましたとさ(苦笑。

つづきはこちら。

犬夜叉 (30) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256503


『聖☆おにいさん 3』

聖☆おにいさん 3 (3) (モーニングKC)
中村 光
406372784X



読了。

世界の二大宗教の開祖ブッダとイエスが日本の片隅で貧乏休暇を送っているという、奇想天外なギャグマンガの第三巻。

二巻はクリスマスで始まった気がしますが、今回は夏メイン。

ブッダが商店街のくじ引きで修善寺温泉ツアーお二人様をあてちゃった、というエピソードが心底可笑しかったです。

登場人物の特異性が高すぎるがため、ささやかな日常ライフがいきなり世界の終末へと直結しそうになるあたり、やっぱスケールが違うなあ。

今回はイエスの護衛役四大天使も登場して、コメディアンとして大活躍。
つーか、ミカエル様どうして「セイ、イエス」が歌えるのですか?(笑。

そういえば、この間の読書で「キリスト教が時間に未来へのベクトルを与えた」という話を読んでなるほどーと感心したのですが、仏教的には時間の観念はどうなっているのだろう?

最近、自分の仏教についての無知さ加減を思い知らされることが多くて、これは一度基本をお勉強した方がよいのかもと思っているところです。

私に限らず、日本人って仏教の教義をあんまり知らない人が多いんじゃないかなー。
キリスト教については言わずもがなですが。
けっきょく、日本人っていまだに無意識的には八百万の神様のなかにいるんじゃないかという気がします。

だから贈収賄がなくならないという結論は短絡的か。
贈収賄事件は、受けとった側が便宜を図る時に税金を使ってるのが問題なんだと思います。自腹でお返しすればいいのよ。うん。

話が逸れましたが、今回もたいへん愉快に読みました。

余談ですが、先日一巻を妹に貸したときすごく喜んだので昨日二巻を渡そうとしたら、すでに自腹で二巻まで揃えて友人にも貸したそうな。
よほど誰かと喜びを分かち合いたかったらしいです。
でも「これ三巻?」と喜色満面で訊ねてきたと言うことは、三巻は自腹する気がないのだろうか。

聖☆おにいさん 1 (1) (モーニングKC)
中村 光
4063726622


聖☆おにいさん (2) (モーニングKC)
中村 光
4063727203

『毎日かあさん 2 お入学編』

毎日かあさん2 お入学編
西原 理恵子
4620770558



借りて読了。

毎日新聞連載の日常子育てマンガ。第二巻。

あーー、可笑しかったあ!
今回もたいそう笑わせていただきました。

この連載を始めてから、作者さんには男の子のお母さんからよく声がかかるようになったそうです。

いや、その気持ちはよくわかるよ……。
西原家の長男君の野生児っぷりというか、調教の必要性ってすごいもん。
甥っ子をみていても思うのですが、男の子ってほんとうに文化的な躾が欠かせない生き物だなあ。
まさしく、人類にとってのベーシックは女で、男はベースを少々犠牲にしてオプションつけてみた、みたいな存在なんだなーと感じます。

お母さんはそんな未知の機能のついた生き物を育てなきゃならないわけで、そのわからなさ加減が可愛いというか楽しいというかそういう側面ももちろんあるだろうけど、あんまり意外な出来事が頻発すると疲れますよね(苦笑。

そして西原家の長女である妹は、これまた典型的な女の子。
保育園児にしてすでにその生態は女そのもの。おませといって笑っていられるのも幼いうちだけのような気がします(汗。

その手練手管にころっといってしまうお父さんの姿がもの悲しくもほほえましいです(苦笑。

この作品がすごいなーと思うのは、そんな阿鼻叫喚でほのぼのな日常を描きつつ、シビアな現実がじつにスマートにすべりこませてあるところ、さらに哀しいような切ないような心情が詩のようにふわっと感じられるところです。

こういうところに出逢うとうーん、、、、と唸ってしまう。

しかし、一巻でも思ったけどこんなにセキララに描いていいのかどうか。
西原家の子どもたちが自意識を持ってこの作品に接した時、どう感じるのだろうかと思うとちょっと心配ですね。

西原理恵子は女性マンガ家の「無頼派」と呼ばれているそうなのですが、たしかに無頼派の家族はしんどそうな気がする……。

とかいいつつ結局楽しんで読んでいるのですが。

毎日かあさん3 背脂編
西原 理恵子
4620770566


20090326の購入

昨日は二ヶ月ぶりの通院でした。
朝、起きたら雪がちらついてて出るときにもまだ降ってたので、ひえ~と思いながら出かけました。風邪っぴきなのに~。

聖☆おにいさん 3 (3) (モーニングKC)
中村 光
406372784X


鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫―ホワイトハート)
睦月 ムンク
4062865874


以上、購入。

大都会のビル街を吹きぬける風があまりにも冷たく体を縮こまらせたうえ、屋外にいる時間を速く終わらせたくて猛スピードで歩いたため、帰り着いた時には身体中がぎしぎしいっていたという……。

おかげで不織布マスクは防寒には役立たないということを発見。
寒い時の風邪予防にはガーゼマスクだな。

問題は各種施設内と交通機関の内部には相当な暖房が施されているということで、屋内に入ると汗まみれになりそうに。
あわてて防寒具を取り去るとこれがまた荷物になって面倒なんですよ~。

「にわか雨があるかも」という予報に折りたたみ傘も持参したため、帰路は荷物が増えて大変に困りました。

『ナイチンゲールの沈黙 上』

ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
4796663584



[Amazon]


借りて読了。

不定愁訴外来の担当医が主人公のラノベ風医療ミステリ。
映画化、ドラマ化された『チーム・バチスタの栄光』の続編の上巻。

『チーム・バチスタ』は心臓外科の最先端で起きた事件をテーマにしてましたが、今回の主な舞台は小児外科病棟。深夜のシークレットライブから始まったのでもっと派手な世界が展開されるのかと思いましたが、意外と堅実。

しかも事件はなかなか発生せず、仕込みがけっこう長いのです。
事件の背景にあるいろんなことを徐々に読み手に浸透させて、ついに! というところで上巻は終わりです。

『バチスタ』のときも思ったのですが、この分量で二冊に分ける必要があるのか。営業的な思惑なのでしょうが。

それと、シリーズといいながら今回は主役のはずの愚痴外来の田口先生はまだ前面には出てきません。
タイトルからもわかりますが、この話はナイチンゲールが主役なのでしょう。
ナイチンゲールのダブルミーニング、つまり歌うナースです。

あいかわらず話のテンポが良くて、すらすらと読める小説です。
医療ミステリという言葉から受ける社会派のイメージとはかなり違う印象。
キャラクターが強烈に立ってて、ライトノベルに近い雰囲気。
人間関係は描いてあるけれども、描写で叙情をかもしだすという作風ではありません。
そのあたりでもう少し深みが欲しいなと、前作では思ったものですが、これはキャラクターノベルだと気がついた今回はかなりスムーズに作品内に入っていくことができました。

今回秀逸なのは、小児科病棟の猫田師長。
師長ってなんとなく軍隊みたいだなと思いましたが、かつて婦長と呼ばれていた役職なんですねー。

こんな師長、現実にいるかあ? と思いつつ、この方の登場シーンにはかなり楽しませていただきました。

あと、小児科の入院患児たち。
五歳のアツシ君のケロロ口調にはバカウケしてしまいました。
検査技師には散々言われてましたが、五歳児のわりには大人だと思うですよかれは。
ママと離れて夜を過ごしつづけているのだから。

それから、MRIが「がんがんトンネル」と名づけられているのには激しくうなずいた。
でも、がんがんトンネルに入っての検査中に手を握って貰ったりできるのだろうか、という疑問が。
気分が悪くなった時に握るブザーみたいなのは持たされていたけれども。

ともあれ、医療従事者には患者の不安な心中を察して欲しいなあとしみじみ思うものでした。検査なんて自分がまず受けてみるがいいよ。

ところで、厚労省の白鳥くんは今回出てこないのかしら?
もしかして、そのせいで映画化第二作が刊行順では三作目の『ジェネラル・ルージュの凱旋』なのかも。

つづきはこちら。

ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
4796663606


接続障害(追記あり)

本日、2009年3月25日8:56現在、本館サイトの閲覧が困難となっている模様です。

レンタル元のサーバー状態では正常と表示されるのですが……。

しばらく様子を見ます。




追記。

2009年3月25日10:37現在、復旧した模様です。

とりあえずほっとしました。

しかし最近になって二回目の障害です。
アナウンスもまったくないので不安だ。
そろそろ移転を考えるべきなのか……。

『中世賤民の宇宙 ヨーロッパ原点への旅』

中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫)
阿部 謹也
4480090479



[Amazon]


読了。

日本人専門家による中世ヨーロッパ社会の意識変遷論。

これはたいそう興味深い本でした。
現在世界中を支配しているヨーロッパ文明がどのようにして成立したのか、人間の宇宙観の変化という根本部分から考察するという困難なことに挑戦しています。

おかげで、古代人~中世人の世界観がキリスト教化によって画期的な変革を果たしたことがよくわかりました。キリスト教はそれまで円環というか循環をなしていた人間の世界を未来へ一直線に向かうベクトルに変えてしまったんですねえ。うーむ、なるほど。

それですっかり人間中心主義が定着して、大宇宙の中の小さな存在であるという謙虚さが失われてしまったのか。

人間が一番、すべては人間のためにあるという思想が全世界にまで広がった結果が、文明としての進化を促進し、現在のかなりこまった状況をも生み出しているのですね。

私には、時代はふたたび古代の宇宙観を取り戻そうとしているように感じられますが、ほんとうのところ、どうなっていくのかはまったくわかりません(苦笑。

ところで、日本の場合、ほとんど古代のままの宇宙観にいきなり合理的な西洋文明を接ぎ木したため、あちこちに軋轢が生まれているというくだりがありますが、その最たるモノが贈収賄なのがなんともいえませぬ。

世界観の歴史みたいな本を読むとかならずといってよいほど日本の極端な例が出てくるのですが、日本人はまだヨーロッパ文明の精神を十分に咀嚼していないのでしょうね。

それが悪と思えることもありますが、よいと思えるところもあり、一概に論じることはできないと思うのではありますが。

ヨーロッパを専門に研究して大家となっても、日本人は最後には日本のことを考えることになるのだなと感じました。

目次は以下の通り。


私たちにとってヨーロッパ中世とは何か

ヨーロッパ・原点への旅――時間・空間・モノ
 一 中世社会史研究の方法によせて――出発点としての自己省察
 二 原点としての中世後期(十一―十五世紀)ヨーロッパの意味
 三 過ぎゆかぬものを見る目――二人の歴史家
 四 初期中世ヨーロッパにおける時間意識
 五 初期中世ヨーロッパにおける贈与慣行
 六 ヨーロッパにおける「公的」なるものの成立――贈与から売買へ

死者の社会史――中世ヨーロッパにおける死生観の転換
 一 死生観の変化
 二 初期中世における死者と生者
 三 キリスト教の浸透と死者
 四 遺言書の成立
 五 現世観の変化

ヨーロッパ中世賤民成立論
 一 賤民研究の問題点
 二 人間狼について
 三 二つの宇宙
 四 小宇宙としての共同体
 五 賤民の成立と解体

中世ヨーロッパにおける怪異なるもの

ヨーロッパの音と日本の音


あとがき

解説(大黒俊二)




個人的には、これはファンタジー世界の解説としても読めるなあと思いました。
ファンタジーの描くことというのは、ここでいう二つの宇宙の狭間の出来事、二つの宇宙を往還する出来事だし、そこに住む人びとの意識は中世のひとびとのものにかなり近いような気がする。

中世的な異世界を構築するためにはかなりお勉強になる本ではないかと思います。

文章がちと難解なのできちんと理解できたかどうか不安ですが、たいそう面白かったと書いておきます(苦笑。

『毎日かあさん カニ母編』

毎日かあさん カニ母編
西原 理恵子
462077054X



借りて読了。

『毎日新聞』で連載中の日常子育てマンガ(?)。

基本的に一ページでひとつの話。
オールカラーでハードカバーという豪華なこしらえが惜しくないと思えるほどに楽しかったです。といっても借りて読んでるのですが(汗。

とにかく笑える。笑って笑って、不意打ちにやってくる切ない情景にうるっとくる。
破天荒で体当たりな日常のお話ですが、明るくて善人なマンガなので読んでいてハラハラすることがありません。

以前『ぼくんち』を読んでた時はブラックなところがかなりあったと思うのですが、年齢とか経験とか媒体とかいろいろあるのでしょうねえ。

エッセイマンガでこれだけ赤裸々書いて大丈夫なのかとハラハラするところもありますが(苦笑。

子どもたちの予想外な行動ってどうしてこんなに楽しいんだろうと、しみじみ感じます。
西原さんのとこの長男くんは楽しいレベルが基準以上という気はしますが。
楽しいレベルって親にとっては迷惑レベルと同じなので面倒見るのも大変だと思いますが、こういうことがのちのち楽しい思い出になるような子育てであれかしと願います。

読んでいてたいそう楽しくおかしく、いいのかこれでという不安に、いいのです!と強く応えてしまいたい、そんな前向きなマンガです。

二巻も借りたのでしばらく楽しめそうです。
じつは、一巻読むのに四日もかけちゃったんです。風邪のせいだと思うのですが(汗。

毎日かあさん2 お入学編
西原 理恵子
4620770558

『封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 3』

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈3〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ
4094520619


[Amazon]


読了。


昭和初期を舞台に陰陽師の家系・神島家の若き当主神島桐子と彼女のふたりの使役鬼の活躍を描く、伝奇シリーズ。第三巻。

軍部の台頭するきな臭い時代。日本を神国とする危うい思想のもとに集うものたちを操りながら復讐を果たそうとする何者かがいた。
標的とされたのはこの国の影の部分を採りしきってきた神島家。
突然の襲撃に打撃を受けた神島家の当主・桐子は、ついに逆襲を開始することを宣言した。

という感じで物語は進んで参ります。

若さを弱さとして糾弾される立場にいる桐子ちゃんが、精一杯虚勢を張りつづけて、そのあげくに周囲が負った深傷にいたくへこんでいたのが前巻。

遠縁の武見志郎に不本意ながら励まされていたシーンがたいそう可愛かった桐子ちゃんですが、この巻は強気な姿勢でがんがんと押しまくりです。

真術会と軍部がつるんで企んでいるアブナイ事と食人鬼事件とのつながりが明らかになり、その背後にいる鵺と魔人の存在もまた影から姿をあらわします。

あやかしと神島を敵視するかれらの正体とは?

透明な水のしたたる闇にぎらつく脂が浮かんでいるような、そんなイメージのわいてくる展開でした。こんなことを書いても何言ってるのかわからないですね(苦笑。

着実に進んでいくストーリーの中で、それぞれの登場人物が自分らしく動いて個性を発揮するのが読んでいて楽しいなーと思います。

二人の鬼はもう阿吽の呼吸だし、桐子ちゃんを挟んでのやりとりもたいへんにほほえましい。
ほほえましいといえば、桐子ちゃんと武見君のシーンは桐子ちゃんのツンっぷりが全開で笑いが止まりません。
著者あとがきに、武見君は桐子の将来の○とあったので、ああ、やっぱりーと思いました。

この「鵺子ドリ鳴イタ」のエピソードは次巻で完結の模様ですが、ぜひつづきも出してもらいたいものだと思います。

その前に完結編を読まないとな。
第四巻はこちら。

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈4〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ
4094520910


『とめはねっ! 鈴里高校書道部 4』

とめはねっ! 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091514049



借りて読了。

高校の書道部を舞台にした文化系青春コメディーの第四巻。

あいかわらず楽しく読んでます、『とめはねっ!』。

「書の甲子園」をめざすことになった鈴里高校書道部ですが、お盆期間中は皆忙しいということで、主役(と書いておかないと忘れそう)なユカリ君はお蕎麦屋さんでアルバイトをすることに。

で、ここでいままで完璧に陰に隠れていたユカリ君の得意技が一気に脚光を浴びることになります。
おかげでとある女の子に気になる存在として認められ、そのおかげでさらに片想いの望月由希ちゃんにも男として存在を認められることになりました!

人から気づかれないとヒロインに認めてもらえない主人公って……(苦笑。

さらに今度は当人が気づかないうちに女の子同士の鞘当てがくり広げられることに……なるのかな?

ともあれ、ユカリ君の青春ライフがようやく始まったみたいだよーという展開でした。

書道部の方は、「書の甲子園」に提出する作品に関するいろいろな人間模様が描かれます。

作品に押す落款のための篆刻作業とか。
美術作品としての書の意味とか。

ユカリ君のおばあちゃんはやはり「先生」役で登場。

そのあいまにコメディーエピソードがバランスよく配置されていて読んでいて飽きません。
楽しいなあ。

個人的にはいまだ柔道部と掛け持ちをつづける望月由希ちゃんとその周辺エピソードが楽しみです。
全国第二位の実力を持つ彼女をなんとか柔道に専念させようとあの手この手でひきとめようとするけれど、かなり自己主張の強い由希ちゃんには逆効果なんですよね(苦笑。

柔道のシーンは柔道ものを書いていた作者さんからするとお手の物でしょうが、なにかと動きの少ない書道をモチーフにしている作品にあってスピード感あふれるシーンは良いアクセントになっていると思います。

「書の甲子園」に作品を提出したあとは文化祭が目標となる模様です。

つづきはまだ出ていないみたいですがとっても楽しみですv

第一巻はこちら。

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
409151197X


『犬夜叉 28』

犬夜叉 (28) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256481



読了。


戦国時代にトリップした女子中学生・日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスコミック。シリーズ二十八巻。

この巻で七人隊と白霊山のエピソードが完結です。

七人隊とのバトルはなかなか衝撃的なシーンが続きましたね。読んでいて「うわー、いいのか。こんなに血がどばどば吹いても!」と叫んでました。これまでのストーリー中でもかなり上位に入る過激さだったのではと思います。七人隊それぞれの個性も楽しめたし、おもしろかった。

それに白霊山の清浄な結界を守る上人の存在がうわべだけのものではない深みをあたえてくれました。桔梗姉さんがここで大きな役割を果たしているのは、彼女も救いを求めているからだと思う。

犬夜叉は蛮骨との戦いでまたひとつ成長したなと思える活躍を見せ、弥勒様と珊瑚ちゃんの関係も進展度大。

さんざんじらしてご登場の奈落は雌伏の時を経てさらにパワーアップ?
奈落って本当にはかりごとが得意ですね。
かれの頭脳はどこで成長したんでしょう。そもそも自我がどこで生まれてきたのか。鬼蜘蛛であった過去をあんなに否定するわけだから、鬼蜘蛛がベースなのは間違いないとして、ただの野盗だった鬼蜘蛛にこんな頭はなかったんじゃないかと思うのですが。

奈落の謎が解けたときに話は終わりへと向かいだすのかも知れません。

ところで、このエピソードでもっとも目立たなかったのはかごめちゃんでした。四魂の欠片探知機以外の役割がなかったような……。ヒロインなんだから、もうすこし目立ってくれてもいいと思うよ。

ま、そのうちちゃんとした出番がやって来るとは思いますが。

というわけでつづきはこちら。

犬夜叉 (29) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
409125649X


『とめはねっ! 鈴里高校書道部 3』

とめはねっ! 3 (3) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091513174



借りて読了。

高校の書道部を舞台にした文化系青春コメディー、第三巻。

二巻と一緒に借りてきた第三巻です。つづけて読めばいいのにぽろぽろ読んでいるのは、図書館本を読み進めなければいけないからです。

第二巻で鵠沼学園書道部とライバル関係になった鈴里高校書道部。
今回はお寺での合同合宿編です。

書道でも合宿ができるのねーと一瞬感心したりもしましたが、考えてみれば、人間練習を必要とするものならばなんでも一緒に頑張ればそれなりに成果も上がるものなのかも。

書家の三浦じいちゃんのつてで大きなお寺で実施されることになった夏合宿。
食事は精進料理ばかりで娯楽も大してなく、なかなかにストイックな環境でここにも感心いたしました。

余談ですが、モデルとなってる建長寺、私行ったことあります高校の遠足で。
あすこは本当に大きいですよね。といっても敷地内を見て回ったり座禅を組んだりということはなく、たんに雨宿りに大きな門を利用させてもらっただけなんですが、ハハハ(汗。

閑話休題。

最終的には両校の書道部で対決をするという目的で続く合宿ですが、あいかわらず書道についてのいろいろが面白い。

姿勢の定め方から筆運びのノウハウとか、そんなこといままで教えてもらったことなかったよ、何年も書道教室に通ってたのに! という目から鱗の真実が次々と明らかに(大げさ。

やっぱりさ、見て覚えろだの体で覚えろだの言う前に理屈を教えてもらった方が納得して取り組めるよねー。と私は思うのですが、いかがなものでしょうか。

青春ものとしてはユカリ君がひそかに思っている由希ちゃんが鵠沼の黒一点、勅使河原くんと急接近で、ユカリ君は心中穏やかではありません。という展開。

柔道少女の由希ちゃんには色気の欠片もなく、ひたすら元気いっぱいなのがよりいっそう哀れを誘うなあ(笑。

鈴里高校の先輩たち、加茂ちゃんと三輪ちゃんはあいかわらず横暴で楽しいし。
二つの学校の部長さん、双子の日野姉妹のコントラストもおかしいし。
書道部顧問の影山先生も次第に存在感を発揮しはじめ、早速失恋しているし。

ほんとに楽しいなーと思えるマンガです。

おかしいといえば、女子の入浴シーンがけっこう出てくるのにぜんぜんサービスカットに見えない色気のなさにはなんとなく笑えてしまいます。

登場人物の男性比率はすごく低いのに、ぜんぜんハーレム状態に見えないのが、私にとってのこのマンガの好ましいところかな(笑。

夏合宿が終わったら今度は書の甲子園をめざすんだそうです。
つぎは篆刻。
そういえばはんこを作るのも書道のうちなんでしたね。
どんな落款ができるのか、いまからワクワクしています。とくに由希ちゃんのね。

つづきはこちら。
とめはねっ! 4 (4) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091514049


『天翔の矢 ヴァルデマールの使者3』

天翔の矢―ヴァルデマールの使者〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)
Mercedes Lacky 澤田 澄江
4125010633



[Amazon]


読了。

アメリカ人作家による異世界ファンタジー、「ヴァルデマールの使者」三部作の完結編。

日本で最初に翻訳されたマーセデス・ラッキーのシリーズ、ようやく完結編を読むことができました。
最初に第一巻を読んだのが1991年のことだったらしいので、ここまでくるのにかれこれ十八年間もかかったのですねえ。
途中、出版社が倒産した時にはもう永遠に続きは読めないのかと思いましたが、会社を変えてあらたな訳で刊行されはじめた時にはたいそう感動したものでした。

うーーーん、長かった。

長かったといえば、この歳月のあいだにどうやら私の中身も少し変質してしまったらしく、はじめに読んだ時のときめきがなかなかよみがえらないという問題が発生してちと寂しい思いをしました。

十八年のあいだにラッキーの別の作品をいくつか読んできて、そのなかにこの話のつづきみたいな話が含まれていたのも不運だったような気がします。

だいたいの先が見えているという状態で読む場合、私はものすごい突っ込み魔になってしまうので(汗。

この作品は多分ラッキーの著作の中でも早い時期に書かれたものだと思われるため、その点もアンラッキーだったかなー。

物語世界としてヴァルデマールはすでに目新しいものではなく、敵国アンカー王子の性質もすでにわかってるという前提で読むにはちと苦しかったです。

読んでいる間中体調が悪かったせいか、登場人物にまったく感情移入できなかったのも哀しかった。

思うにラッキーは緻密な作家ではなく、流れで書く作家なんですよね。
ロマンス小説の傾向がつよく、敵方の人物造詣に凝らないのでどちらかというと勧善懲悪。
さらにファンタジーとしてのしばりというか掟というかが、かなりゆるいように思えます。

ファンタジーについてのことは「タルマ&ケスリー」の時には感じなかったことなので、初期の作品故の未熟さということなのかな。

この話、アンカーに期待できない分、私としてはオーサレン卿の事情に期待していたんですが。ラッキーはそこに深く踏み込む気はなかったらしく、その代わりひたすら三角関係にページを割いているのが残念でした。

やはりロマンスよりも人間ドラマの方が好きなんだ、私って。
ということはロマンス好きにはこういう展開の方が楽しいのかも知れません。
たしかに深く思い煩わず気楽に読め、といわれてから読んだらそれなりに楽しかったかもしれないとも思う。

というわけで、すごく楽しみに待ってきたシリーズなのに楽しめなかったのでしょぼんでした。

原書の巻末にあったという歌詞がページの関係で割愛されたのも残念です。


三部作の前二巻はこちら。

新訳 女王の矢―ヴァルデマールの使者 (C・NOVELSファンタジア)
Mercedes Lackey 澤田 澄江
4125009996


宿縁の矢―ヴァルデマールの使者〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)
Mercedes Lackey 澤田 澄江
4125010285

『とめはねっ! 鈴里高校書道部 2』

とめはねっ! 鈴里高校書道部 2 (2) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091512399



借りて読了。

高校の書道部を舞台にした、青春熱血コメディーマンガ。第二巻。

貸してくれた人がつづきを買ってくれたので読めました。
やっぱり面白いです、このマンガ。

書道というと静かに墨をすって意識を集中し、個人個人で作品を仕上げていく、という印象がありますが、この書道部ストーリーは何故か熱血展開(苦笑。

部長さんの双子の姉妹が所属する別の高校の書道部と個人的な確執からライバル関係となり、互いに競い合うことになってしまいました。

あの、書道ってそういうものじゃないのでは……と口を挟もう物ならば先輩達に有無をいわさず使いっ走りをさせられそうな雰囲気です(笑。

ぼんやりな新入部員大江縁(注意・男子)にははるかにおよばぬ遠いところで、すべての意志決定はなされ、かれはおっかなびっくり後を追いかけているだけです、いまのところ。

でもそんな中でもときおりピカリと光るアイデアを出したりもする。そこが彼の意外性かな。あと家庭環境も個性的かも知れない。日本に帰国する前はプリンス・エドワード島に暮らしていたというわりに、まったく帰国子女っぽくないユカリくんでした。

いっぽう、もうひとりの新入部員望月由希ちゃんはなんと柔道部とかけもち。文化部に運動部のテンションのままやってきてなにかと音頭をとりたがる、しかし書道の腕どころかふだんの字そのものからしてへたくそな女の子。

部長さんはいたってまともだけど、他の二人の先輩がまたイケイケドンドンであるという、なんとも普通でないのが鈴里高校書道部なのでした。

今回のメインは藤沢駅前での揮毫パフォーマンス。
揮毫っていうのはえーと、説明が良くできないので各自調べてください(オイ)。

それとユカリちゃんの父上とおばあさまがご登場です。このふたり、これからもなんやかやと話に絡んできそうな予感です。

熱血運動部みたいなノリの展開ですが、話の雰囲気自体はいたって日常、ふつーの高校生活というたたずまいで、体調不良でテンション下がりまくりの私でもすんなりと話について行けてありがたかったです。

そして書道豆知識も手に入る。

充実の(?)読み応えで、さあつづきは三巻です。

とめはねっ! 3 (3) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091513174


『神様が用意してくれた場所』

神様が用意してくれた場所 (GA文庫)
矢崎存美 Fuzzy
479733715X


[Amazon]


読了。

女の子が主人公のちょっぴり苦いけれどハートフルで不思議テイストな連作短編集。

私の大好きな「ぶたぶた」シリーズの作者さんの、ラノベレーベル作品。
存在は知っていたのですがあのスロー刊行な「ぶたぶた」にも追いついていないのに、と手を出してませんでいた。

読んでみて、ああ、この方の作品はみんな地に足がついているなーと思いました。
どこか一点で大きく現実離れしているんだけど、それを除くととても日常的なシーンの連続なのです。

日常だから大冒険というのはなく、事件といっても本人にとってのみの一大事が多いです。個人的な一大事をこぢんまりと丁寧にひとつの話に仕立てるのが上手いなあと関心。そのまとめかたがとても人情的で、と書くとやや土臭いですが、ひとの心の温かさをかんじられるテイストなのが心地よいのですね。


第一話 まぼろしの十字路
第二話 脆い女
第三話 すれちがいの気配
第四話 湖の秘密
第五話 神様が用意してくれた場所



今回のシリーズは主人公が香絵ちゃんという高校を卒業したばかりで探偵事務所に勤める女の子に固定されていることと、彼女が奇妙な事件に出逢いやすい不思議体質である、というところがぶたぶたと違うところ。

ぶたぶたはそれこそぶたぶた以外は現実そのものでしたが、香絵ちゃんの体質のおかげで起きる事件がほんのりと不思議テイストになっています。

ミステリ風味もあれば、ファンタジー風味もありますが、全体を通してみるとお伽噺っぽい雰囲気だなあと思われました。

そしてすこし感傷的かなと。

この雰囲気も好きですがもうすこし早く、そう、このレーベルの対象読者年齢の頃に読めたらもっと好きになったかも。

今の私には、ぶたぶたの現実的で奥ゆかしい懐の深さの方が読んでいて安心できるなと感じる。
それだけ歳を食ったということでしょうか、ははは。

このシリーズ、けっこう好評みたいで続刊が二冊、出ています。

神様が用意してくれた場所2 明日をほんの少し (GA文庫 や 1-2) (GA文庫)
矢崎存美 Fuzzy
479734296X


神様が用意してくれた場所 3 いつかの少年 (GA文庫)
矢崎存美 Fuzzy
4797348666


『マーベラス・ツインズ契 2 めぐり逢い』

マーベラス・ツインズ契 (2)めぐり逢い (GAMECITY文庫)
古龍 藤田 香 川合 章子
4775806742



[Amazon]


読了。

近世中国を舞台に陰謀活劇と少年の成長を描く、武侠小説。シリーズ二冊目(通しでは五冊目)。

十七歳になった小魚児。独自の鍛錬のもと武術では多大な成長を遂げたものの、いまだに花無缼に対するコンプレックスがぬぐいきれず、正体を隠したまま暗躍しております。

花無缼以外には強気なのにねえ。
花無缼の高潔さとかれによりそう鉄心蘭の存在にどうしても腰がひけてしまうらしいです。

今回は敵である江別鶴にたいして姑息に立ち回る小魚児のまわりに、かつての敵や知り合いやなにやらが集結してくる、という展開になりました。

だからサブタイトルが「めぐり逢い」なのですね。

読んでいて、育ての親の十大悪人の愛嬌と残酷さの同居する性格がなんとも不気味でした。
小魚児との旧交を温めながら、片手間に行ってることの残虐なこと。
あっけらかんと書いてあるのですうっと読み流してしまうかもしれないけれど、画をみるようにして読んでる私にはとんでもないグロなシーンでうえっやめてくれーと思いました(汗。

だから余計にとある御方の偉大さが際だつというわけなのでしょうが、ほんとそういう理由がなければこんなシーンはあんまり読みたくないなー。心理的に痛いのより、物理的に痛い方に弱い私であった。

というわけで強引に話を変えますが、どうして誰も江別鶴の悪辣さに気づかないのかなーと思います。

どれだけ表向き立派でも、これだけ悪行を重ねていればどこからか噂が立ってもおかしくないと思うのに。敵をすべて抹殺してきたとしてもどこかに穴があるはずだし、だいたい息子もあんな奴なのにそこからなにももれていかないというのも不思議。

いや、それは娯楽小説にそんなリアリティーを求めるな、ということだろうか。うむ、たぶんそうなんだろう。

深く考えないで楽しむ本なのだから、素直に読まないと。

あ、そうだ。花無缼が甘党だという設定はちょっと楽しかったです。

そういえば、いまさらですが小魚児ってツンデレだったんだね……。
女の子がツンデレだと可愛いのに、女の子がツンデレされると可哀想に感じるのは何故なのでしょうか。

とりあえず、つづきを予約。

マーベラス・ツインズ契 (3)いつわりの仮面 (GAMECITY文庫)
古 龍 藤田 香 川合 章子
4775806750


『犬夜叉 27』

犬夜叉 (27) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256473



読了。


現代の女子中学生・日暮かごめが戦国時代へトリップ。半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスコミック。シリーズ二十七巻。

この巻は前巻にひきつづき、七人隊との戦いと奈落の探索がメインです。

七人隊は奈落から四魂の玉の欠片を分け与えられて復活した死者たちですが、首領の蛮骨以外は奈落との面識はないらしい。
それぞれに個性的な悪人達ですが、どうやら一枚岩でもない模様です。
これが四魂の玉の欠片の影響力なのか、かれらの行動にも様々な影を落としている気がします。
とくに二重人格の睡骨のエピソードはかなり壮絶でした。

七人隊のドラマチックな展開に比べて、犬夜叉たちの陣営は今回は息抜きっぽいエピソードがつづき、ほのぼのした雰囲気だったような気が。

殺生丸とりんちゃんの関係と、犬夜叉と鋼牙とかごめちゃんの三角関係と、弥勒様と珊瑚ちゃんの関係がちらりちらりとからんで楽しいです。実際は命のやりとりとか、絶体絶命のピンチに陥っていたりとか、けっこういろいろと大変なのですが、みんな精神的に安定しているので気楽に読んでしまったのでした。

夢中になって叫んだ言葉を忘れてしまった珊瑚ちゃんが可愛いですv

白霊山の結界に侵入を試みた犬夜叉の顛末を見て、奈落がこの聖域に身をひそめられた理由がわかった気がしました。……にしても人間の体はほとんどなきがごとしの奈落がお引っ越ししているリアル映像はどうしても浮かんでこないんですけども。

ラストに出てきた即神仏様が怖い(汗。

つづきはこちら。

犬夜叉 (28) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256481


『イスタンブールの群狼』

イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジェイソン・グッドウィン 和爾桃子
4151775013



[Amazon]


読了。

十九世紀のイスタンブールを舞台にした歴史ミステリ。

 十九世紀。長く繁栄の続いたオスマン・トルコ帝国は斜陽の時代を迎えていた。ヨーロッパ列強と戦ったクリミア戦争敗北後、急激な近代化政策に体質が追いつかず、あちこちで軋轢を生んでいた。かつて名声をとどろかせたイェニチェリ軍団は近代化に対する強力な抵抗勢力となったためスルタン命令で壊滅させられ、代わりに創設された軍隊がスルタン臨席の閲兵式を間近に控えたある日。帝国近衛進軍の将校四人が行方不明となり、つぎつぎに惨殺死体となって発見。
 事件の発覚を恐れ早期解決のために司令官がとったのは、賢いという評判の宦官ヤシムに調査をさせることだった。
 折しも後宮ではスルタンの褥に上がる直前の娘が殺害されており、母后の肝いりでこちらもヤシムに調査が依頼された。
 与えられた猶予は十日間。ヤシムはイスタンブール市内と宮廷を駆けずり回ることになる。




というわけで久しぶりのミステリです。

タイトルを見て「おお、これは!」と思ったのですがあるひとつの懸念材料と倹約精神に則り、図書館で借りられるのを待っていました。というか、もう忘れかけていたのですがふと思い出したらだれも予約がいなかったので借りてみた。

目当てであるイスタンブール描写は大変に満足のいくものでした。
著者はもともとは歴史学者である由。
街並みや地形的な要素、さらに当時の風俗をふんだんにとりいれた、じつに豊かな情景描写で堪能しました。

オスマン帝国の王宮の雰囲気や謎めいたハレムに関する身も蓋もない事実など、歴史的な逸話の数々なども楽しみました。

さらにヨーロッパ列強の拡張の影で苦渋の日々を送っていたポーランドの悲哀や、新興国のアメリカがいかに認識されていたかという国際情勢の機微もあり。

かなり読み応えのある本でした。歴史風俗関係的には。

ミステリ的にはどうなんでしょうかね。私はミステリにはあまり関心がないのでなんともいえないんだけれども、なんだかあっけないなーというか、ええーそういう展開なの? という気分になりました。

どうも私は宦官ヤシムくんの捜査活動よりも料理活動の方に関心が向かいがちだった。
かれのお料理シーンは読んでいてわくわく。とっても美味しそうなんだもの。

それにポーランド大使パレフスキー氏とのエピソードは、こんな友人がいていいなあと思わされました。

結局、イスタンブールが舞台だったから楽しかった、みたいな本でした。

ところで、ひとつの懸念材料ですが……。
やはり当たっていた。私、この翻訳者さんの文章とはリズムが合いません。ときどき意味がわからなくなる。
それでも以前よりはだいぶ普通に読めるようになってきたので、慣れてきたのかなーとも思いました。

オスマントルコとイスタンブールに興味がある方は読んでみても良いかも。

『とめはねっ! 鈴里高校書道部 1』

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
409151197X



借りて読了。

帰国子女で習字もしたことのない高校一年生男子・大江縁が、部員不足に苦しむ書道部に脅されて入部する。個性的な先輩達と美人の同級生、ヘタレな顧問。そんな人びとの中で「文化系青春コメディー」マンガ。シリーズ開幕編。

面白かったー!

めずらしい書道マンガということでちと気になっていたシリーズ。
読んでみたらとても楽しかったです。
青春ものとして面白くて、ちょっと専門的な知識も得ることができる、一粒で二度美味しいマンガでした。
書道ってそういうものだったのねーと、目から鱗が落ちました。

作者さんは柔道マンガ『帯をギュッとね!』の方。
あのシリーズも面白かったよなー。どんどん忘れる私の脳内ではもうキャラクターの名前も展開もとおく過ぎ去った霞みになっているけれど。

あいかわらずシンプルかつ無駄なく丁寧な線で描かれる、いい意味で色気のないポップな絵を描かれるひとだなーと感じました。

おかげで女の子のキャラクターがさばさばとしていて実に等身大な感じ。ストーリーも平熱展開なので好感が持てます。

そういえばこの話、考えてみると構図的にはハーレム状態なんですが、主人公的にはひとり下僕状態ですな(苦笑。

顧問の先生までいぢめている書道部の先輩達は言わずもがなとして、同級生の望月由希ちゃんにも押されっぱなし。

そもそも大江縁君というキャラクターが、いつも眠たげな外見からしてたよりなさそうな雰囲気ただよう受動的な性格だからなー。

しかも男の子なのに字が上手いときた。といっても帰国子女なので筆は持ったことがないという設定。

というわけでこの話はより初心者に寄り添った展開となっています。
ちなみに由希ちゃんに至っては字そのものが下手! なので彼女の苦労が一般市民には一番共感できるのではないかと思われます。

作品内で使用されている書は、いずれもかなりの経験者の手になるもののようです。
高校生の作品とは思えないと思ったら、そういうことだったのね。

それにしても体育系のマンガ家だと思っていた方がいきなり書道とは。
プロとしてつづけるためには自分の引き出しを沢山持たなければならないのだなーと感心しました。

買った人の都合によりますが、できますればつづきも読んでみたいと思うものでありました。

つづきはこちら。

とめはねっ! 鈴里高校書道部 2 (2) (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091512399


『マーベラス・ツインズ契 1 だましあい』

マーベラス・ツインズ契 (1)だましあい (GAME CITY文庫 こ 2-4) (GAMECITY文庫)
古 龍 藤田 香 川合 章子
4775806734



[Amazon]


読了。

近世中国を舞台にした、陰謀因縁アクション小説シリーズ「マーベラス・ツインズ」の新シリーズ。

ですがタイトルに「契(ちぎり)」がついただけのまったくのつづきです。

前巻『マーベラス・ツインズ 3』では小魚児と花無缼の誕生秘話と小魚児の生い立ちという、番外編的なエピソードでしたが、「新シリーズ」は時間的に第二巻おわりから始まります。

花無缼の無傷の強さにおおいに矜持を傷つけられた小魚児のその後の三年間のち、新キャラクターを交えての仇敵との戦いがあらためて展開されるという案配。

ところで主人公の小魚児ですが、冒頭ではかなりへこんでいて、それはまあ二巻の終わりが終わりだっただけに仕方がないよねえと納得なのですが、それから三年間もどん底で落ち込みつづけたくせに、花無缼と鉄心蘭をみつけたとたんにいきなり復活するのはどうなのか(苦笑。

花無缼に対してこそまだ弱気ですが、その他の人物にはあきれるほど強気です。身を隠してこそこそ動いているくせに、どうしてそんなに大胆なんですか、あんたは、と言いたいです。

不潔で陰気な三年間だったのに、その間にもなぜか女の子に好かれている小魚児なので、かれの自己肯定意識はかなりしぶとく形成されているのでしょう。そうとしか思えない。

宿命の敵、花無缼と、かれに寄り添う鉄心蘭の姿に心をゆらしつつ、やってることは基本的に化かし合いなのでいままでと大差がない模様。ただ、アクションシーンの趣がすこし変化したかなと思いました。三年間のあいだに鍛錬だけは欠かさなかった小魚児はかなりの手練れに成長している模様です。

展開はいつもながらに迅速で、つぎからつぎへと悪のエピソードが連続。
小魚児の成長に合わせて、事件も悪辣なものが増えてきたような気がします。

個人的には、大侠と尊敬される裏で卑劣の限りを尽くす江別鶴を、はやく何とかしてくれないかなーと思います。

濡れ衣を着せられた上に裏切られた爺様がかわいそうでなりませんよ。

それから、文中ではほとんどわからないですが、挿画の小魚児の姿が凛々しくて素晴らしいです。
花無缼は文中でもかっこよく書かれていますが、こちらの絵も素敵v

というわけでつづきを予約します。

マーベラス・ツインズ契 (2)めぐり逢い (GAMECITY文庫)
古 龍 藤田 香 川合 章子
4775806742


20090309の購入

ケルトの神話・伝説
Frank Delaney 鶴岡 真弓
4422230069


bk1ポイントで購入。

このままほっておくとbk1ポイントが使えなくなりますよーというお知らせを受けとって、やばいと注文したものです。

じつは私、bk1で買い物をするのはこれで二回目。
なのにどうしてこんなにポイントが、という謎にはブリーダー時代にたまってたという理由がありました。
お知らせがあるまでぜんぜん気がついてなかったわ。
これだけたまっていたことにも、使用期限があることにも。

だからお礼を言います。お知らせしてくれてありがとう、bk1。

でももうこれ以上たまることもないでしょう。そんな気がする。


『魔法使いの娘 7』

魔法使いの娘 (7) (WINGS COMICS) (WINGS COMICS)
那州 雪絵
4403619258



借りて読了。

日常的なスキルは壊滅状態だけど日本一の陰陽師であるパパに育てられた少女が、怪異な事件に遭遇する、日常ほのぼのホラーマンガ。シリーズ七冊目。

「少女」といってももう初音ちゃんは高校も卒業したんですよね。娘と呼んだほうがいいか。

進学も就職もせずに専業主婦になってしまってる初音ちゃん。
自分でもなぜそうなってしまったのか、よくわかっていなかった、らしい。
よくわからないまま、パパ関連の事件に巻き込まれたり、自分の体質で巻き込まれたりしているうちに、毛嫌いしていたその方向にずぶずぶと沈んでいっている。

そのことの異様さにようやく気がついた、というのがこの巻の顛末です。
帯には、


初音ちゃん、
パパの『秘密』を見る……!!!



と煽ってあります(苦笑。

それにしても、のんきなホラーマンガだなー。
怖いところはホントに怖いんだけど、怖さが持続しないというかいつのまにか日常と馴染んでしまってる。

これは持ち味というものでしょうね。
でも普段がのほほんだからいきなりのシーンにドキッとなります。
あるところでは心臓が止まるかと思ったですよ、あー、怖っ。

とうとうパパの本性を初音ちゃんはこれからどうするのでしょう。
パパの事務所……そんなものあったのか……のひとの行動も気になります。

とか書いても、どうせ次の巻を読む時には忘れてるんだろうなあと思う。
今回、Jr.さんのことがどうしても思い出せなくてそのまま最後まで読んでしまったことは秘密です。
こんなに個性的な御方なのに、なぜだろう……。

魔法使いの娘 (1) (Wings comics)
那州 雪絵
4403617263


『薄妃の恋 僕僕先生』

薄妃の恋―僕僕先生
仁木 英之
4103030526



[Amazon]


読了。

唐の時代を舞台にした中華ほのぼのファンタジー連作短篇。萌え風味? 「僕僕先生」の二冊目。

かわいい少女仙人・僕僕と彼女を慕う弟子・王弁が目的もなく各地を訪れ、そこで怪異や神様がらみの奇天烈な事件に巻き込まれるシリーズです。一作目は日本ファンタジー小説大賞の受賞作でした。

このシリーズの魅力は、飄飄として軽やかな文章でつづられる、僕僕と王弁の漫才風な道中かなーと思います。

王弁は僕僕について修行を(たしか仙人になるための)しているのですが、心の中は僕僕に対して恋の妄想ばかりを育てていて、それを僕僕にいちいちからかわれて真っ赤になる、という素朴な青年です。

僕僕はふだんはほとんど色気がないのですが、ここぞというところでふんわりとした少女の甘酸っぱさをまき散らし、王弁の懊悩をかきたてて止みません。

でも、品よくまとめられているのでいやらしさがなく、大変に読みやすいです。

それから毎回出てくるゲストキャラも、個性豊かで楽しいのです。

今回秀逸だったのは、やっぱりタイトルにもなっている薄妃。
どんなキャラか書いてしまうとまるごとネタバレになるので避けますが、こんなに奇天烈な恋愛もののヒロインってみたことありません。元ネタがあるのでしょうか、あるのならぜひ読んでみたいです。

収録作品は以下の通り。


羊羹比賽 王弁、料理勝負に出る
陽児雷児 雷神の子、友を得る
飄飄薄妃 王弁、熱愛現場を目撃する
健忘収支 王弁、女神の厠で妙薬を探す
黒髪黒卵 僕僕、異界の剣を仇討ちに貸し出す
奪心之歌 僕僕、歌姫にはまる



お話のひとつひとつが綺麗にまとまっているのですが、それぞれになんとなく繋がりが感じられて、順番に読んでいくことに楽しみがあります。

人物同士もそうですが、人物と語りの距離感が好きだなーと思います。
固定視点でもなく、神視点でもない、なんとなくふわふわ漂っている感じ。
でも読んでいて混乱しない。いいなあ、こういうの。最近の私の憧れです。

前巻はきれいに完結していたのですが、今回はまだ続きそうな雰囲気で終わっています。
でもまだ刊行されてはいないんですよね。

シリーズ第一巻はこちら。

僕僕先生
仁木 英之
4103030518

『犬夜叉 26』

犬夜叉 (26) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256465



読了。

現代の女子中学生日暮かごめが戦国時代へトリップし、半妖の少年犬夜叉や仲間達とともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスコミック。シリーズ第二十六巻。

この巻には、

白霊山の浄化作用に倒れた桔梗をきづかう犬夜叉が無神経さでかごめちゃんの怒りを買うエピソードと、
亡霊集団七人隊の首領・蛮骨が登場、散々暴れまわるかれらと犬夜叉たちが激突するエピソードと、
珊瑚ちゃんの弟で奈落の手下になっている琥珀くんを追いかけたりんちゃんが、白霊山の山中に妖怪の隠れる洞窟を見つけるエピソードと、
突然現れた奈落の傀儡を手がかりに聖島へと向かった犬夜叉たちが、聖島の清浄なる結界にまもられた蛮骨達に苦戦するエピソード、

が収録されています。

前巻からひきつづき七人隊との連続したストーリーですね。
スピーディーに展開するわりにけっこういろんな伏線が仕込んであるため、エピソードに切り分けるのがちょっと大変でした(苦笑。

読むぶんにはとても面白かったので文句はありませんが。

ひとつにまとめてしまうと、すべての汚れを浄化してしまう白霊山には奈落は隠れられるはずがない、と思ったはずがじつはそこが盲点だった、という話でしょうか。

しかも、穢れているはずの七人隊が浄化の結界に守られて、犬夜叉たちの妖力は失われてしまうという皮肉さ加減。

同じ死人のはずの桔梗が倒れるほどなのに七人隊が元気なのは、やっぱり奈落から与えられた四魂の玉の欠片のおかげなのか。

奈落の時間稼ぎのえげつなさには参りますねー。

おかしかったのは、聖域を守る結界の清らかさに居心地が悪いと告白する弥勒様と、それに対する珊瑚ちゃんとかごめちゃんの反応です。

あと犬夜叉の鈍感ぶり(苦笑)と犬座り。
かごめちゃんの側におすわりして文句垂れてる犬夜叉って可愛いなーと思うのでした。

つづきはこちら。

犬夜叉 (27) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256473


『ジプシー 歴史・社会・文化』

ジプシー 歴史・社会・文化 (平凡社新書)
水谷 驍
4582853277



[Amazon]


読了。

世界中に一〇〇〇万人いるともいわれるジプシーと呼ばれる人びとは、何者なのか?
イメージと現実の乖離とそれを生み出した主流社会との関係を重視して、全体像を描いてみせる、〈ジプシー〉入門書。

旅芸人に関する本を探していてなかなかみつからないのでこれはやはりジプシーから攻めるべきかなと思い、とりあえず概論をと借りてみた本です。

面白かったけど、疲れた。
理由はジプシーではない人びとからジプシーと規定された人びとが、つねに差別から生まれる困難・災難・悲劇に見舞われているから。

この本は、〈ジプシー〉といわれるひとびとに対するイメージ、たとえばロマンティックな漂泊の民だったり自由を求める自然人だったりといったものや、排斥的な生まれつきの犯罪者の集団といったものが、どれほど実態とかけ離れているかを正しながら、かれらの歴史、現在を描いてゆこうとする試みです。

読んでいて驚くのは〈ジプシー〉の内実の多種多様なこと。
ジプシーは単一の民族ではなく、ユダヤ人のようなひとつの宗教のもとに結束する人びとでもない、ただたんに主流社会から〈ジプシー〉と呼ばれているというだけの繋がりしか持たない人びとなのですね。

一時定説となっていたインド起源という説も、資料によって跡づけられたことがない仮説に留まるものだそうな。

ジプシー自身からでてくる資料がないために、主流社会の、しかも学者などではない素人がみずからの偏見や思いこみ、空想で創りあげた説が、何世紀にもわたって流布し一般化されているという事態には薄ら寒いものを感じます。

そして〈ジプシー〉が存在しないといわれる日本でも、欧米でできあがったイメージを鵜呑みにしてしまっていたわけです。私を含めて。

歴史的経緯の後に現在の状況を地方別に書いた章で、いまだに差別され敵視される存在でありつづけているのを読んで、暗澹たる気持ちになりました。

目次は以下の通り。


はじめに

第一章 ジプシーと呼ばれる人びと
 1人口と分布
  人口統計の問題点/約一〇〇〇万人が世界各国に
 2ジプシーとは誰か
  ジプシー、ツィゴイナー、トラヴェラー、ロマ、……/外見、言語、宗教/職業、誘導と定住、文化と伝統
 3ジプシーという呼称
  ジプシーと呼んではいけない?/ロマという呼称/安易な言い換え

第二章 ジプシー像の変遷
 1ヨーロッパへの登場――「エジプト人」として(一五世紀)
  異形の放浪者集団/なぜ「エジプト人」なのか
 2セルバンテスの『ジプシー娘』(一七世紀はじめ)
  「盗っ人となるために生まれてきた」ジプシー/あいまいな境界線
 3グレルマンの「科学的」ジプシー像(一八世紀末)
  「インド起源の放浪の民族」/主観的かつ恣意的な議論
 4ロマン主義的ジプシー像の確立と普及(一九世紀)
  ジョージ・ボローの作品/現代社会に生きる自然人/古きよき時代のノスタルジア
 5新しいジプシー像の探求(二〇世紀末以降)
  伝統的ジプシー像の見直し/科学的ジプシー像の追求/「烙印押捺」のプロセス

第三章 歴史――主流社会のはざまで
 1インド起源説の現段階とその意味
  定説/突き止められた起源?/インド起源説の意味
 2バルカン半島への進出と定着
  ビザンツ帝国のもとで/オスマン帝国とジプシー
 3ヨーロッパ中心部への登場と迫害
  「エジプト人」は誰だったのか?/一五世紀前後のヨーロッパ――貧民・流民層の大量発生/迫害と排斥
 4ルーマニアのジプシー奴隷制
  ジプシー奴隷制の歴史/一九世紀の奴隷解放
 5「カルデラリの大侵攻」――一九世紀後半の世界的移動
  バルカン半島からアメリカへ/「移民の世紀」
 6ポライモス――ナチス・ドイツによるジプシー絶滅政策
  「食らい尽くされた」五〇万人/ナチス・ドイツのジプシー政策/ジェノサイドを支えたリッターの「学説」
 7社会主義の経験
  期待と幻滅/苛酷な定住・同化政策/社会主義崩壊後の新たな苦難
 8自己組織化の試み
  先駆的な試み/世界ロマ会議の運動/運動の組織と戦略

第四章 ジプシーの現在――いくつかの事例
 1バルカン半島のモザイク模様
  複雑な分布と構造/ルーマニア、ブルガリア、アルバニア/流動的な自己認識
 2旧チェコスロバキアのロマ問題
  少数が遊動したチェコ、多数が定住したスロヴァキア/「移転と分散」の政策/転機となるか、EU加盟
 3オランダのヴーンヴァーゲンベヴォーナー
  新たな移動生活者集団の登場/主流社会からの隔離と封じ込め
 4スペインのヒターノとフラメンコ
  絶滅政策と同化政策/フラメンコをはぐくんだアンダルシアの風土
 5イギリスの多様なトラヴェラー集団
  ジプシーとティンカー/「ニューエージトラヴェラー」の登場
 6フィンランドのカーロ
  存在しない結婚の制度/決闘と血讐
 7アメリカのヴラフ系ロマ
  主流社会との関係/福祉制度の徹底した活用

第五章 日本とジプシー
 1日本人のジプシー認識
  国語辞典の記述/鴎外、漱石のジプシー観/グレルマン/ボローの影
 2サンカは日本のジプシーか
  サンカとジプシー/主流社会と結んだ関係/実態を離れたイメージの形成/サンカの起源

 おわりに

 主要参照文献一覧
 あとがき
 ジプシー関連年表




自分の無知をこれでもかと突きつけられる本だったわけですが、読んでいて、以前読んだ中世末から近世の始まりにかけてのヨーロッパに大量発生した放浪者のことが思い浮かびました。あのひとたちってほとんどジプシーそのものなのではという気がする。

それから、ひとびとは定住生活を成り立たせられないから放浪しはじめるのですが、ある場所に定住するかどうかは放浪している人の決めることなので、むりやり定住させるのは無意味なのだということも感じた。住む場所を他人に強制されるなんて人権問題だと思います。

社会機構を運営する側にとっては動きつづける人びとが厄介なのはわかりますが。なにかよい解決方法はないものなのでしょうか。

その存在について知らない、わからないという事態が勝手な憶測をよぶことは明白なので、ジプシー自身からの情報発信も必要なのではないかとも感じました。

最後に、あまり広範囲にわたっての内容だったため、入り口のところで終わってしまった感じです。というか、これを踏み台としてさらに詳細な資料へ誘導する書なのでしょう。

問題は、どのあたりがバイアスのかかっていない本なのかを見極めるところかなー。
なんだか、旅芸人に絞るとバイアスだらけのような気がするの(汗。

『あたしと魔女の扉』

あたしと魔女の扉 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-1) (ハヤカワ文庫FT)
ジャスティーン・ラーバレスティア 大谷 真弓
4150204799



[Amazon]


読了。


オーストラリア作家による現代ファンタジー、三部作の開幕編。


 十五歳の少女リーズンは、生まれた時から母サラフィナとともにオーストラリアの僻地を転々としてきた。理由はサラフィナの母つまりリーズンにとって祖母であるエズメラルダから逃げるためだ。サラフィナはリーズンに、魔法など存在しないのにエズメラルダは悪い魔女を自称している邪悪な人物だと教えており、その魔の手から逃れるための対抗手段として数学をもちいることを仕込んだ。リーズンはサラフィナとの放浪人生を楽しんでいた。ある日サラフィナが自分を見失い精神病院に収容されるまでは。それまで逃げてきた祖母の保護下にはいることになってしまったリーズンは、シドニーのエズメラルダの家から逃げ出そうとして、偶然ひとつの扉をあけてしまう。その扉の向こうには、なにもかも真夏のシドニーとは違う世界がひろがっていた。




はー、面白かった。

オーストラリアの自然あふれる環境と、突然開ける大都会の光景と、
あくまでも理性に従えと数学を教え込まれた少女と、魔法の力を信じるひとびとと、
他人から搾取しようとするものと、与えようとするものと、

対照的な価値観のぶつかり合う、精神的にすこしばかり緊張する場面の多いお話でした。

とくにヒロインであるリーズンの心中が過激です。
母親に植えつけられたフィルターを通して見ているのだから仕方がないのですが、とにかく自分の祖母を敵視しつづけてそれを態度に表しつづける姿が痛かった。
おばあちゃんは一生懸命に友好関係を築こうとしているのに、その態度はなんだとイライラしてしまいます。特殊な育ちだからと言い聞かせても、どうしてもおばあちゃんに感情移入してしまうのは、私の歳のせいでしょうか(苦笑。

しかも、平静を取り戻すための呪文がフィボナッチ数列ときた。
なんですか、フィボナッチ数列って?
ちょっと調べてみましたが何が何やらまったく理解不能でした。(参考「フィボナッチ数-Wikipedia」)
そんな数学的に普通でない才能を持っている少女に感情移入するのは、私にとってはなんだか難しいような気がするものでした。

それでも、リーズン=理性という名がダテではないあかしに、物事を観察する視線はけっこう公平なのが救いです。

母親のいったことと違う、ということをきちんと認める彼女だから、そのあとの事態にもわりと速く対応できたんだろうなと、思う。

物語はリーズンが巻き込まれるトラブルによって母親によって隠されてきた真実があきらかになっていく、というあたりが、この巻の読みどころか。

書けば書いただけネタバレになるという状況で、ほんのすこしだけ書いてみますが、この話に出てくる魔法の設定はかなりシビアーなもののようです。
魔法に対する態度によって、みずからの立つ位置、ひいては人生そのものが定まってしまうような、深刻さを感じました。

原書タイトルを見たときには「うわお!」と思いましたですよ(苦笑。

かわいげのなかったリーズンも、二人の友人のおかげでとっつきやすくなってきたし、この先の展開がとってもたのしみです。

三部作の残りはこちら。

あたしをとらえた光 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-2) (ハヤカワ文庫FT)
ジャスティーン・ラーバレスティア 結布 大谷 真弓
4150204837


あたしのなかの魔法 (ハヤカワ文庫FT)
Justine Larbalestier 大谷 真弓
4150204888


『封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 2』

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈2〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ
4094520279



[Amazon]


読了。


安倍晴明からつらなる陰陽師の家系であり、明治維新により表の土御門家から分かれて闇の部分を請け負うこととなった神島家。その若き当主・桐子と使役鬼ふたりがあやかしがらみの事件に挑む伝奇ファンタジー、シリーズの第二巻。

昭和初期を舞台にした封殺鬼シリーズ、大変面白いです。

なんといっても十歳にして当主となり現在十四歳の桐子ちゃんのツンデレっぷりが可愛い。
当主として下から仰ぎ見られたり、敬遠されたりと距離を置かれることには慣れている彼女ですが、対等にひとりの個人としてつきあうことに経験がなく、裏のない好意にとことんとまどう姿が愛らしいです。

ふたりの鬼達はそんな桐子に保護者のように接してきたようですが、そのふたりにも苦手意識を持つ桐子ちゃん、東京の家人たちと武見志郎の存在は謎そのものと感じている模様。

今回は、謎の人食い事件と鵺来襲の合間にあった、武見君との邂逅シーンが強く印象に残りました。

かわいいなあ、桐子ちゃん……v

この不器用な姿をみたら、武見君が放っておけない気分になるのも当然だと思われます。

物語はどんどんきな臭い方向に進んでおります。
小説に日本帝国陸軍がでてくるとそれだけでアブナイ話であるような気がしますが、それはあの組織がなんとなく狂信者の集団のような気がするからでしょうか。

日本人って理性よりも感性に動かされることの多いひとびとなのかなと、つねづね感じているのですが、その極まったところがあの大戦であるような。

この話は時代的にアブナイ方向に進んでいるところを描いているので、先行きがどんどん暗くなりそうで危ぶまれまする。

こんな展開で聖の明るさがどれほど救いになっていることか。
彼にはどんどん無駄な活躍をしていただきたいものですね。

つづきはこちら。

封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈3〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ
4094520619


『犬夜叉 25』

犬夜叉 (25) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256457



読了。

戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間達とともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスマンガ。シリーズ第二十五巻。

この巻は、まるごと謎の亡霊集団(とこれまでのあらすじに書いてあった)七人隊とのエピソードで構成されています。

これだけでは私が忘れるのでちょっとつけ加えておくと、蛇骨と出逢ったあとで奈落のにおいを追いかけた犬夜叉とは別に、霧骨の毒攻撃を受けたかごめちゃんが弥勒様と珊瑚ちゃんとともに危機に陥っておりまして、七宝ちゃんが泣きながら犬夜叉に報せに走ったところまでが前巻。

かごめちゃん絶体絶命の危機に犬夜叉が間に合わない――!
てところで意外な助け手が。
助けてくれないかなあと思ったけどまさかほんとうに助けてくれるとは思わなかったあの方が現れましたよ。

本人は助けてるという意識はなかったと思うけどね(苦笑。

というわけで、今回は七人隊が次々に現れて得意技を披露し、そのたびにかごめちゃんたちは散々な目に遭わされる、という展開。

七人隊は奈落が四魂の玉の欠片でよみがえらせたものと思われますが、当人達はそのことを知らなかった模様。

そして七人隊のお頭が意外なところから見参。
これには霊山の麓という地理的な理由があったとされていますが、おかげで死人である桔梗姉さんも影響を受けてかごめちゃんのジェラシーを誘います。

ということは桔梗も墓土のにおいがするのだろうか。

奈落復活への繋ぎに、わざわざ七人も個性ある化け物をつくってそれぞれに見せ場を用意するというのも、大変なことだなあと思わされました。

今回楽しかったのは、かごめちゃんたちが息をしていないと告げられてからのエピソード。
冥加じいちゃんが活躍して事なきを得るんだけど、ぱんぱんに膨れあがった冥加じいちゃんとホッとしたあとの犬夜叉がかわいかったです。

犬夜叉 (26) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256465


『マーベラス・ツインズ 3 双子の運命』

マーベラス・ツインズ (3)双子の運命 (GAME CITY文庫 こ 2-3) (GAMECITY文庫)
川合 章子
4775806572



[Amazon]


読了。

中国近世を舞台にした武侠小説、『マーベラス・ツインズ』の第三巻。

この巻は前巻から十四年遡り、これまで謎に包まれていた主人公・小魚児の出生の秘密が語られます。

小魚児の父親と母親は何者だったのか。
なにゆえ、小魚児を手放すことになったのか。
小魚児の恩人・燕南天とはいかなる人物か。
何故、小魚児は悪人谷で育つことになったのか。
そして、小魚児と対決する花無缼との関係は。

うっすらと推測はしていても具体的にはわからなかったこれらの謎が、一気に解明される巻です。

ついでに悪人谷に住まう十大悪人のうちの五人が登場。これがまた、ひどい個性の持ち主ばかりでして、しかも情け容赦のないまったくの悪人。

けれどもかれらがいないことには小魚児の個性はできあがらないわけで、どれだけ常軌を逸していてもこの話にとってはたいそう重要な役割を果たしている悪人といえましょう。

小魚児の両親のいきさつは、この悪人達に比べればいたってまともでございます。
移花宮の宮主様がたが桁外れに暴力的なツンデレであるだけです……よね?(苦笑。

あと普通じゃないとおもわれるのは、燕南天さまの運命ですか。
かれの状態を真面目に考えるととてつもない悪寒に襲われそうなわけですが、そういう具体的なことは娯楽小説であるところのこの話ではさらりと描かれているだけなので、深く考えないことにします。

そして、この巻のラストが第一巻に繋がる、というわけですね。

あとがきによれば第四巻はいよいよ十七歳になった小魚児が登場する模様です。
というわけで第四巻を探してみたのですが、みつからず。

代わりに『マーベラス・ツインズ契 1』なるタイトルを発見しました。
なに? つづきなのに別シリーズ扱いなの?
困るなあ、こういうことされると。とぼやきつつ、予約を入れたいと思います。

マーベラス・ツインズ契 (1)だましあい (GAME CITY文庫 こ 2-4) (GAMECITY文庫)
藤田 香 川合 章子
4775806734