『彩雲国物語 黄梁の夢』

彩雲国物語 黄粱の夢 (角川ビーンズ文庫)
雪乃 紗衣
4044499187



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読了。

中華風異世界官僚ファンタジー(?)、シリーズ十八冊目は番外中編集。

元気で前向きな女の子が理想の官僚を目指して奮闘するファンタジーの最新刊。
今回は番外編で、なんと、秀麗ちゃんの出番がほとんどありません。

でも面白かったー。
楽しいのとは違う面白さですが、でもすごく面白かった。
本シリーズよりもかなり凄惨な物語がほとんどですが、彩雲国の実態と秀麗ちゃんがどれだけ大切に育てられてきたかにしみじみとしてしまうお話ばかりでした。

収録作品は以下の通り。


鈴蘭の咲く頃に
空の青、風の呼ぶ声
千一夜

あとがき

千一夜のそのあとに



「鈴蘭……」は静蘭こと清苑公子、十三歳のみぎりのお話。
第二公子として生まれた清苑の、それはそれは殺伐とした子供時代がせつなく語られます。
母親の実家の後ろ盾がきちんとある生まれなのに、なぜにここまで孤立無援かと哀しくなってしまう展開ですが、そのぶん末の弟・劉輝(三歳)との出会いと交流がこころ温まるシーンとなって心に残ります。

この話で初めて出てきた先王・戩華さまは懐は深いんだろうけど、じつに子供に対して中途半端な御方。きっちり子どもたちに責任持って教育を施せよ、補佐もつけろよ、ご学友もなしかよ、と言いたくなりましたが、後宮のあるシステムでは王様の権限外のことなのかもなー。

「空の青……」は、やはり十三歳の燕青の話。
燕青の過去は以前の話で明かされてましたが、なにぶん、この作者さんは出来事の輪郭をくっきりと書かれない方なので、曖昧模糊としたまま漠然と「燕青にも暗い過去があったのねえ」くらいにしか感じておりませんでしたが、実態はこんな残酷な話だったのですねえ。はあ。

とても辛い話ですが、読んで燕青がいかに強くて明るく優しいかについて再認識いたしました。
燕青と出会った人は多かれ少なかれ救われるようです。かれと出会えたおかげで清苑公子も人間界に戻ってきましたしね。秀麗ちゃんは燕青の存在を大切にしないとダメだよ、と言いたくなりました。言われなくても彼女ならきちんとわかってると思いますが。

やっぱり燕青はイイオトコだ!

燕青のお師匠様・南老師の破天荒なお茶目ぶりも楽しかったです。後の借金地獄の発端が笑えた。
銀色狼はただひたすらにかっこよく、愛おしいです。しかし何故にネーミングが銀次郎……。

「千一夜」は秀麗ちゃんの両親のお話。
紅家のぼんくらな長男を演じつつ、影では兇手・黒狼だった邵可が、最後のターゲットとして臨んだ薔薇姫との恋が描かれてます。

薔薇姫=紅仙の図式は過去に何度もほのめかされてきましたが、きちんと明かされるのは多分これが初めてではないでしょうか。

さきのふたりに負けずおとらずの凄惨な人生を送ってきた邵可が、ひととしてのしあわせを勝ち取るお話として、この話だけはせつなさだけではないあたたかさの感じられる結末で、ああ良かったなーと思える本となりました。

あとがきの後に載ってるおまけ短編は、さらにほのぼの感たっぷりでした。
紅家のおじさま達と秀麗ちゃんの関係は、こんなふうに始まったのですねv

秀麗ちゃんを中心とした本編では描かれなかった、彩雲国の現実という感じの一冊でしたが、これだけの犠牲を払ってきた上で秀麗ちゃんが平和に育つ土壌が生まれたのだと思うと感慨深いです。

そして、守られてきたことを理解した秀麗ちゃんが向かいあうことになった現実のシビアさがどれほどのものか、ということがこれで読み手にもようやく伝わった、気がします。

本編だと、ほのぼのおバカなだったテイストがいきなり変化したような気持ちがしたのですが、これでようやく世界が見渡せたという気分になりました。

購入する時に本の分厚さに怯みましたが、いままでで一番充実度の高い巻だったと、私は思います。

本編のつづきが楽しみです。

前巻はこちら。
彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる (角川ビーンズ文庫)
雪乃 紗衣
4044499179


20090428の購入

今月末の新刊をゲットするべく出陣しました。

伯爵と妖精魔都に誘われた新婚旅行 (コバルト文庫 た 16-40)
谷 瑞恵
4086012847


彩雲国物語 黄粱の夢 (角川ビーンズ文庫)
雪乃 紗衣
4044499187


恋のドレスと宵の明け星 (コバルト文庫 あ 16-25 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子
4086012871


以上、購入。

これだけ買うのに本屋を四軒もハシゴしました。
一軒めはすでに入荷したものがほとんど売れてしまっていたので二冊だけゲット。
二軒めも同じく。同じものしかないので買えず。
三軒め。まだ入荷してなかった。先月の新刊が大きな顔して新刊棚に収まってた。
四軒め、ようやく新刊が揃っているところを発見。最後の一冊をゲット。

同じ駅の周辺にあるのに、入荷時期がバラバラなんですね。
というより、最初の二軒!
いつもは公式発売日にしか入荷しない&コバルトは入荷しない店のくせに、なんで今回だけ張りきってるんだ。
三軒めは論外ですが。

しかしいずれも同時に買おうと思っていた幻冬舎コミックス刊の新書は入荷しておらず。
いつ入荷するんですか状態なのが哀しい。
入荷はすると信じているんですが、先月刊の本が鎮座ましましていましたから。

入手できなかった本↓。

世界画廊の住人 (幻狼FANTASIA NOVELS K 3-1)
栗原 ちひろ
4344816323


最近、根性が無くなってきてるので一回買い逃すとそのままということになりかねないんですよね……。はあ。

『りんご畑の樹の下で』

りんご畑の樹の下で (コバルト文庫)
香山 暁子
408614235X



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読了。

コバルトノベル大賞受賞作の表題作と書き下ろし二作を収録した、乙女向け短編集。

ネットでふらふらしているときに見かけてなんとなく惹かれ、図書館で検索したらたまたま予約がなかったので借りてみた、という本。

えーと、ここで言い訳しておきますと、私、本の感想ページってあんまり精読しない質なんですよ。いきつけの感想サイトでなんとなく評判がよさそう、という雰囲気だけをインプットしております。

だから基本ファンタジー読みのくせにときどき畑違いの本にも手を出してしまうのですが。

というわけで、今回、読み始めてありゃー、と思いました。
典型的少女向けロマコメって感じのはじまりだったので。
文章的にも私の好みとはすこしずれているし、これはちょっと選択を誤ったかしらと思いつつ読んでおりましたのですが……。

いや、これ面白かったです。

典型的な少女向けロマコメ、といっても上質な部類でした。
昔の少女マンガ風、というのは私としては褒め言葉なんですが、はじけたヒロインの行動の背景に透きとおった空気と甘酸っぱさを感じる作品集だった。

収録作品は、以下の通り。


楽園の二人
りんご畑の樹の下で
雨の日はブラームスを

あとがき



おそらく近代イングランド、昭和初期の東北、現代日本、と三作すべて舞台が異なりますが、りんごの樹というテーマで統一されています。
一作目と二作目は、微妙に繋がってたりします。
三作目だけほんのちょっとファンタジー風味です。

とくにいいなあと思ったのは表題作。
昭和の初めの東北の少女達のお話なんだけど、じつに繊細でみずみずしい感性で描かれていて、ちょっと百合風味なところがゾクゾクしました(笑。

赤毛のアンをもちょっと危なげにしたような作品だなーと思います。

もっと落ち着いた文章で書かれていたらイチコロだったような気がするのです……。
私的にはそこのところがかなり惜しい! という本でした。

『あたしのなかの魔法』

あたしのなかの魔法 (ハヤカワ文庫FT)
Justine Larbalestier 大谷 真弓
4150204888



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読了。

オーストラリア出身作家の現代ファンタジー三部作の完結編。

魔法なんか存在しないと母親に躾けられた女の子が、突然襲ってきた苦難のためにじつは自分も母親も祖母も魔女だったと知らされて、疑心暗鬼のなかで奮闘するお話。

面白かったです。

前巻では絶体絶命、阿鼻叫喚、なところで終わっていた……ような気がするんですが、鳥頭の私はすでにそのあたりの事情を忘れ去っていた……。まだ読み終えてからひと月経っていなかったみたいなのに。

記憶を掘り起こしてみると、たしか遠い祖先と出会ってヒロインのリーズンがなにか操作をされたんですよね。それでリーズンはとんでもない力を身につけるにいたった……ような気がする。

ま、それはとにかく、この巻ではリーズンが世界中、というと語弊がありますが、とにかく地球上のあちこちへと行ったり来たりして、泣きながらお母さんのサラフィナを探す話でした。

不思議なのは話の地理的スケールはどんどん大きくなっていくのに、話そのものはどんどん家族内の出来事に集約されていくところ。

つまるところ、この話は家族内のいろんな感情や関係の話なんだなーと思いました。魔法というものが介在していなければ、フツーに家族とのもめ事を抱えた少女の成長物語になったんじゃないかと。

魔法の設定がかなりユニークなのでそのあたりが不思議好きとしては読みどころかな。
こんな魔法が描けるのは科学の発達した現代ならではないかと思います。
そのぶん、魔法の神秘性が薄れて、どことなくSFっぽい雰囲気が漂ってるような気がしましたが。

なので神秘的なファンタジーを期待して読むとすこし肩すかしを食らうかもしれません。
というか、私がそうだった。

物語的には、こんな極限状態をどうやって収拾するんだ、的なところをすごく綺麗にまとめてあるなーと感心しました。
ハード好きな私の場合、この結末はきれいすぎる気がしないでもないのですが。
でも、最後の最後の出来事のせいで帳消しになりました。

まとめていうと、面白かったんだけどちょっと明るすぎな結末。しかし最後にどんでん返しが、というところでしょうか。

もうこれ以上書くと本気でネタバレになるから書きません。

ところで、現代ファンタジーってホラーっぽい話が多い気がする。

あたしと魔女の扉 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-1)
ジャスティーン・ラーバレスティア 大谷 真弓
4150204799


あたしをとらえた光 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-2)
ジャスティーン・ラーバレスティア 結布 大谷 真弓
4150204837


20090424の購入

イナンナ 上弦の巻 (モーニングKCDX)
岡野 玲子
4063756858



ものすごく久しぶりに本を買った気がする……。
今月予定の中には入ってなかったんですが、本屋の中でばったりと出会ってしまった。
岡野玲子の新刊? えっ、ベリーダンス? 表紙にアラビア語?
どうしよう、どうしよう、と思いながらもレジに運んでおりました。
『陰陽師』みたいに高尚じゃなければいいんですが……。
あのシリーズとても好きだったんだけど途中から難しくてついていけなくなったんですよね(汗。

これから月末にかけて新刊を買う予定がずらりと並んでいるのに、出会いというものは恐ろしいものです。

図書館本を借りに出かけた時に本屋に寄るのは止めたいなーと、何度も思うが我慢できない。

『魔使いの戦い 上』

魔使いの戦い〈上〉 (sogen bookland)
Joseph Delaney 金原 瑞人 田中 亜希子
448801965X



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読了。

七番目の息子の七番目の息子である少年トムが、魔使いの弟子となって人の世界を脅かす魔と戦う、イングランド風異世界ファンタジー。シリーズの四作目。

魔物を見分けるセカンドサイトこそ持っているものの、ほかには特殊な能力はなく、もっぱら民俗学的なあれこれをベースとしたと思われる対処法によって魔物を退治する魔使い。
その見習いとなった少年トムの奮闘記といった趣の四作目は、上下二巻分冊となりました。

今回はついに邪悪な魔女達の本拠地に乗りこんでいこうと魔使いが決断したところから話がスタート。
しかし、そのまえに休暇を貰ったトムが実家にもどってみると、兄さん夫婦が行方不明。トムが母親から受け継いだ三つのトランクもなくなっている、ということが判明。
どうやらそれは魔女達の犯行らしい。ということで、トムと友人のアリス、魔使いの一行は、魔女達の本拠地ペンドルへと急きょ乗り込むことになったのですが……。

ドキドキハラハラ、ギャーな展開はいつも通りでとっても楽しめました。
このシリーズの魔女の怖さは半端じゃないです。
外見からしてすでに怪物だ。しかも、死んでも死なない……ってどういうことだと思いますが、肉体は死んでも意志はあり活動も可能といえばいいのでしょうか。ということは意志を持った力あるゾンビーなのか。ひー。ぶるぶる。

そんな恐ろしい存在を相手にしているというのに、トム君、素質はあるんだけど師匠のいうこと聞かなすぎ!
このことは毎回感じるんだけど、それで一定の理由は納得しているんだけど、やっぱり「あんたどうしてそんなに勝手に動きまわるの~」といいたくなります。
話の展開的には、指示待ち人間だとすぐにお陀仏になりそうな危険な場面の連続で、トムの迅速な判断がなんども窮地を逃れるために効果を上げてるんだけど、そのためにさらに危険を冒さなければならない、というパターンもやっぱりおんなじ。

個人的にはトムが暴走しなかった場合の話を読んでみたくなったりするほど、トム君本人にハラハラさせられます。

あとは魔女になりかけの女の子アリスの存在も怖い。
彼女はトムには好意を持っていてトムのためになるように考えて行動しているんだけど、その思考回路がすでに魔女なので、トムが無事なら何をやってもいいという雰囲気がにじみ出ていてその不安定さがめちゃくちゃ怖いんです。

魔使いの友人だという今回初登場の神父さんも、こいつ本当に過去に魔使いの修行をしたのかと疑いたくなるほど頼りにならないし。

魔使いのグレゴリーじいさんは今回ほとんど活躍せず、そういえばあんまり出番もなかったような。

そんなこんなでトムは絶体絶命。
みんなみんな絶体絶命のまま、下巻に続くです。

うわー、なんてところで終わるんだーと悲鳴をあげてもまだ下巻は手元にありません。

はやく予約が回ってきますように、とトムの無事を祈りつつ下巻の到着を待ちたいと思います。

魔使いの戦い〈下〉 (sogen bookland)
Joseph Delaney 金原 瑞人 田中 亜希子
4488019668


『毎日かあさん 3 背脂編』

毎日かあさん3 背脂編
西原 理恵子
4620770566



借りて読了。

毎日新聞連載中。西原理恵子の子育て日常マンガ。シリーズ第三巻。

いやー、男の子ってホントに楽しい生き物ですね。

どれだけ本能で生きてるんだ、って感じの生態観察がたいそう笑えるマンガです。
これ読んでて、小学生の頃「男子はアホだ」と思っていたことを思い出しましたよ。
あれは女の子がみんな感じていることだったのだなとわかって安心しました。
いま、実際に観察できる甥っ子もそうとうアホな子です。
でも、そこが男の子の可愛い所なんだといまはわかります。
これが大人になるということか(苦笑。

それにくらべて、女の子の可愛いところはおしゃまな所なんだね。
しかし大きくなるにつれてそれがチャームポイントじゃなくてあざとさになってしまうのが哀しいところ。
幸か不幸か、私は女の子的な可愛さをまったくもちあわせず、「かわいげのないヤツ」といわれつづけていたのでありますが。
こういう風にふるまえば可愛がってもらえたんだねえ、といまさら気づいても手遅れです。
すでにそんな芸風を身につけるのは不可能になっているのさ。

そんなわけで親子のやりとりを笑い、親同士のやりとりに苦笑し、人間の弱さと強さにふと気づかされる。
これはそんなマンガです。

毎日かあさん4 出戻り編
西原理恵子
4620770574


『1/2の騎士』

1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)
初野 晴
4061825429



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読了。

日本の地方都市を舞台にした、ちょっと不思議だけどかなりハードなファンタジックミステリ。

うおーー、これは面白かった!

うさぎ屋さんの記事を見て興味を持ち、図書館を見たら予約がなかったので借りてみたんですが、ミステリでこれだけ面白いと思ったのは久しぶりです。

主人公は女子校の三年生。アーチェリー部のキャプテン。国体入賞経験者。
彼女が恋におちたところから話はスタートです。

でも、この話は恋物語ではありません。
彼女のいろいろな事情と、彼女の片想いの相手のいろいろな事情がからみあって、ふたりはいつしかパートナーとして、自分たちの街を襲う事件と立ち向かうことになるのです。

ゆれうごく高校三年生女子のこころと、様々な人たちとの交流がみずみずしく描かれるだけでなく、現代社会のかかえる問題の周辺などが事件を通して描かれ、ただの青春ミステリではない深みを感じることが出来ました。

不思議なタイトルの意味はこの話の重要部分なので明かすことは出来ませんが、ともすると暗い雰囲気に落ち込んでしまいそうな話が明るく爽やかに展開するのに重要な役割を果たしています。

がちがちの本格ミステリ読者にはあまりお勧めできないかもしれないですが、ちょっと不思議な話でも大丈夫な方なら楽しめると思います。

私は読んでいて女子校に通いたくなりました。
いや、女子校じゃなくてこの話に出てくる女子校の園芸部のテリトリーに行ってみたい!
いろんな花を丹誠こめて咲かせて、文化祭をデコレーションして、来校者に分けてあげるなんて、素晴らしい趣向だなーと思います。

さぞかし華やかな文化祭なんだろうなー。うっとり。

事件は短編連作形式ですので、もうすこし突っ込んで欲しいと感じるところもありましたが、全体で一つのお話としてみたらこれは素敵なエンディングなのではないかと思います。

読んでよかった!

『さよなら絶望先生 4』

さよなら絶望先生 第4集 (4) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063637034



借りて読了。

超ネガティブ教師・通称絶望先生と、かれの周囲の変人達が展開するシュールブラックなギャグマンガ。シリーズ第四巻。

あー面白かった。
しかし疲れた。
読んでいて楽しいんだけど何故かすごく疲れるギャグマンガ、それが私にとっての絶望先生です。

たぶん、頭をフル回転させながら読んでいるんだろうなと思う。
ここに描かれるギャグを理解するために。
元ネタはオタクものから歴史もの時事問題、風俗、まで多岐にわたるため、読み手の背景が試されていると感じます。

作者の人、すごいなー。
こんなマンガを週に一回、十何巻も続けて描いているなんて、としみじみ感心します。

しかもです。
こんな入り組んだギャグマンガを書いているだけでもすごいのに、単行本のつくりまで凝っているのです。

表紙をひらいたカバー右側には「前巻までのあらすじ」と称して本編とは何にも関わりない物語が書かれているし、左袖には「絶望文学集」と称して有名文学のネガティブなパロディーが記されているし、本編の後にはあとがきとして「紙ブログ」なる作者の人のエッセイが載っているし、この巻には作者たちによる対談付!

ほとほと呆れ……いや、感服いたします。
この凝りよう、作者さんものすごく神経質な方なのだろうか。
絵も画面もものすごくきっちりと丁寧に描かれていて、いやほんとすごいです。

ところで、先日この作品のアニメ版を見る機会を得たのですが、こちらもえらくきっちりと作ってありました。
おもしろかったです。が、やはり疲れました。
ストーリーはわかっているのになんでやろ。
個人的に画面が切り替わるたびに変化している黒板の書き込みが気になって仕方ありませんでした。
終盤はキャラクターそっちのけで黒板ばかり見ていて、余計に疲れたような気がいたします。

さよなら絶望先生 第5集 (5) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063637239


『鋼の錬金術師 22』

鋼の錬金術師 22 (ガンガンコミックス)
荒川 弘
4757525389



借りて読了。

大切な物を取り戻すために賢者の石を探し求める錬金術師の兄弟の戦いを、国家を揺さぶる巨大な陰謀を舞台に描く、異世界陰謀アクションファンタジーコミック。シリーズの第二十二巻。

エドとアル。ふたりっきりの兄弟が自分たちの過ちを大きな罪として背負いつつ、懸命に困難と闘い続け、仲間が増えて、敵も増えて、陰謀も巨大になっていった物語ですが、どうやらかなり佳境の模様です。

佳境になったのはこの前の巻あたりからなのかな。
エピソードがずっと連続しているので一冊読んだだけでは思い出せないことが多くて、鳥頭の私には厄介な事になってきましたなーという印象です。

ただ読んでも面白いことは面白いんだけど、どうしてこういう状況になってたんだっけと頭をひねってもでてくる過去がほとんど無い(苦。

つい最近に一気読みしてきたのでストーリーの大筋の流れは承知しているんですが、個々のキャラクターをきちんと把握しきってなかったらしい。キャラクターの動きも把握してなかったらしいです。

いやー、困ったものですね。

これは放送の開始されたアニメを見て情報を補完した方がよいかもと思ったのですが、初っぱなから録画を失敗してしまったのでくじけてしまいそうです。
一回目は忘れてたので自業自得としても、二回目は家族がなにも言わずに勝手に他の録画を始めてしまったため、自動的にキャンセルされてしまったという哀しい出来事ですよ。

三回目から見てもわかるだろうか。

いや、でもアルとエドがとーちゃんとなんとなく仲直りしているようなのでそのあたりは嬉しかったです。

『ケロロ軍曹 11』

ケロロ軍曹(11) (カドカワコミックスAエース)
吉崎 観音
4047137626



借りて読了。

地球を侵略しにやってきたカエル型宇宙人たちと、かれらを居候させる羽目に陥った一地球人家族の、非日常的な日常ギャグマンガ。シリーズ第十一巻。

まずはお詫びを。
前巻の感想で、ケロロ小隊存亡の危機を描いたエピソードを完結していると書きましたが、まだ終わってませんでした。完結編はこの巻の冒頭に載ってます。スミマセン。

すっかり終わったとばかり思っていたんですが、本を返却しに行ったらば誤解を指摘されました。読んでみれば、ホントに続いてた。

ああ、恥ずかしい。
……なんて思っていないところが、もうトシだ(苦笑。

というわけで十一巻です。
楽しかったです。笑いましたです。かわいかったです。

ケロロといえばガンプラ。ガンプラといえばケロロ(?)。
対象をそのまま六分の一スケールのフィギュアにしてしまうマシンの話が特に好きです。

あとは夏美ちゃんと喧嘩して家出をするケロロの話。
夏美ちゃんがやっていたゲームを勝手に拝借してセーブデータに上書きをしてしまったのが原因です。
これと同じ事で同じように喧嘩をしていた姪と甥の姿が思い浮かぶ話でした。
ようするに子供の喧嘩なんですよねー。
ケロロっていったい何歳だ?

ケロロってやっぱりドラえもんみたいな存在なんだなーと感じました。
ほんとは大人のはずなのに、なぜかやってることは子供と対等。
宇宙人ということでいろんなオーバーテクノロジーを持っているけれど、日向家の子どもたちと一緒に事件を起こして、一緒に同じ悲劇に見舞われて泣き笑いをする(笑。

そのケロロ達がさらに子供の世話をすることになるエピソードも楽しかったです。

最初はマニア向けっぽかったけど、すっかり安定して楽しめるシリーズになりましたね。
いまでもマニア要素はたくさんあるんですけれど(苦笑。

ケロロ軍曹 (12) (カドカワコミックスAエース)
吉崎 観音
404713791X

『マーベラス・ツインズ契 4 貴公子の涙』

マーベラス・ツインズ契 (4)貴公子の涙 (GAMECITY文庫)
古 龍 藤田 香 川合 章子
4775806769



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読了。


だいたい近世の中国を舞台に青少年と悪人達が暴れまわる、陰謀冒険アクション友情恋愛てんこもりの武侠小説。「マーベラス・ツインズ」契シリーズ第四巻。

十大悪人と恐れられる悪人達に育てられた小魚児。
聖域とまでいわれる武術の最高峰、移花宮の跡継ぎとして育てられた花無缼。

世俗の世界での陰謀に翻弄されるふたりの少年の運命と過去の因縁、友情と恋愛を、スピード感溢れる爽快な筆で描く、日本でいうなら伝奇アクションもの。

続編なのに第二シリーズとして刊行されてきた契シリーズの最終巻です。

内容は、友人となった小魚児と花無缼がそれぞれの事情から再会を約して二手に分かれ、それぞれの事情により魏無牙の本拠地・亀山に向かうことになる顛末。

面白かったー。

なにが面白いといって、これまで小魚児寄りに展開してきた話が、はじめて花無缼視点で語られることになってるところかな。
自由奔放でなんでも口先八丁で渡っていく小魚児に比べて、お行儀の良い花無缼はどんな罠にも無防備に嵌ってしまいます。
生真面目で一生懸命で一途なんだけど、それだけに世間知らずで危なっかしいヤツなんですな。

小魚児を思い続ける鉄心蘭をただひたすら見守り続けて、ホントは気も狂わんばかりに恋しているのに、あなたを義兄として守るなどと口走ってしまう潔癖やさんでもあります。

武術の腕は天下一品。小魚児だって叶わないくらいなのに、心理戦ではころっと負けてしまう花無缼。

おかげでこの巻でかれは本当に散々な目に遭わされます。
窮地に陥って絶体絶命、いまだ助け手もあらわれずなまま。

そんなところでなぜこの巻は終わっているのでしょう。

当然この話は歴然と続いていて、次巻からは絆シリーズと銘打たれている模様です。

しかし。
巻末に絆シリーズは電子書籍として配信としか書かれていない。

てことはなんですか、このつづきは図書館では借りられないと、そういう事ですか。

なんということだ……。

絶望した! せちがらい世の中に絶望した!

というのは嘘ですが、こんな殺生なところで電子書籍のみにしぼるなんてよほど売れてないのでしょうかね、このシリーズ。

はっ、自分も買わずに読んでいる口であった。反省。
でもお金がないからどうしようもないのです。許して。

無惨な罠に落ちた花無缼は、同じところでまったく別な目にあった小魚児が助け出してくれると思います。私はそんなこんなを想像して勝手に楽しむことといたします。

それにしても移花宮の宮主さまたちのご登場を拝見できないなんて、哀しいです。くすん。

『犬夜叉 31』

犬夜叉 (31) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266614



読了。

戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間達とともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションラブロマンスコミック。シリーズ三十一巻。

この巻には、

最後の四魂の玉の欠片があるというあの世とこの世の境目へ至る門についた一行が、門の番人の石像・牛頭と馬頭と出会い、かれらに殺されそうになるエピソードと、

人間の血を集めている鳥妖怪を止めようとした一行が鳥使いの阿毘姫と戦うことになるものの、奈落に三叉戟を貸し与えられた阿毘姫は犬夜叉の風の傷をはじいて逃げ去るエピソードと、

妖怪鳥の巣を探していた一行が鳥に襲われた人々を助けてくれるという聖さまの噂に聖さまは死んだと思っていた桔梗かもしれないと疑い、いつのまにか鳥の巣ではなく聖さまを探すことになっているエピソード、

が収録されています。

そのあいだに、この世とあの世の境目には確かに四魂の玉の欠片があったこととか、真っ二つにされた白童子の片割れがどこかの領主の赤ん坊と入れかわったこととか、奈落の骨で作られた三叉劇の結界は鬼蜘蛛の墓土をつけた矢によって破壊されたこととか、桔梗の墓土を何者かの式が運んでいったこととか、いろいろと伏線があったりします。これだけ書き留めておけば忘れないだろう、いくら私でも(苦笑。

ラストシーンは衝撃的でした。
物語的にはかなり盛りあがってきているなーと思います。
が、このあと二十巻くらいあるんですよね、このシリーズ。
いったいこれからなにがどうなってそうなるんだろう。
期待と不安がよぎります。

それと、個人的に気になるのはこの世とあの世の境目の存在でございます。
これって黄泉比良坂のことですよね。
だから死ななければ門を通れないのです。牛頭馬頭の言うとおりです。
四魂の玉の欠片は死人と共に門を通ったのだろうなー。
死なずに門を通り、また引き返してくるためには、なにか奇跡のようなことが必要なはず。
以前、犬夜叉が父親の墓に辿り着いた時には、それを実現する力を秘めたモノが利用されたと記憶していますが、それが手に入らないとくるとうーん。

もしかして桔梗の存在が鍵になるのかなーと思います。
たとえば桔梗がかごめちゃんに憑依して二人で門を通り抜け、かごめちゃんだけで戻ってくるとか。

いや、ふたりでというのは無理か。多分犬夜叉は同行するだろう。
とすると、そこでまた修羅場がやってきますね。

なんて、勝手に想像して楽しんでますが、本当にそんな展開になるかね?
私はならないと思います。思いきり無責任です。
ええ、読み手なんてそんなものですよ。ハハハ。

というわけで次巻を楽しみに待っています。

犬夜叉 (32) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266622


『辺境のオオカミ』

辺境のオオカミ (岩波少年文庫)
Rosemary Sutcliff 猪熊 葉子
4001145863



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読了。

イギリス人作家による、ローマ帝国支配下のブリテンを舞台にした歴史小説。四部作の最終巻。

再読です。
ハードカバー版を2002年あたりに図書館本で読んでいまして、今回は岩波少年文庫版が出たので購入して読みました。
つまり、それほど好きだということです!

サトクリフのこれまでの再読はほとんど記憶をなくした状態で行われたのですが、さすがに今度は覚えていたことが多かった。多かったというとその程度か、という感じですが。

でもね、ブリテン島北部……というよりは南か、のローマ帝国の辺境の自然描写とか、情景とかって、やっぱり読みながら脳裏に浮かぶ空気感を味わっていくので文章としては記憶に残っていないんですよね。

私にとって、これ好きだーと思う作品は、大抵自分が物語の舞台におりたってその場を歩いているような気分になり、それがとても心地よいと感じる作品なのだということをしみじみと確認いたしました。

この話は、左遷されてきたローマ軍団の若き一将校と、はぐれ者ばかりが集まった辺境の一守備隊との信頼関係、そして守備隊と対峙して時に敵対し時に妥協している異教の部族の長との友情の行く末を静かにかつ熱く描いているのですが、おりおりに描かれる季節の風景がとても印象深く、また物語に深みと必然を与えているようにも思えます。

また、物語の後半部分の生死をかけたシーンの連続は、悲愴で悲哀に満ちてもいますが、スリリングでもあり、なんというか男っぽい話だなあと思いました。

端的に言えば戦場における男の友情物語。
そうだなー、駒崎優の「バンダル・アード=ケナード」をさらに硬派に書いたような感じ。

主人公のアレクシオスと前任者のガブロスの、短い間にすれ違っただけだけれど理解できるとお互いに感じる関係。
族長の息子、クーノリクスとの敵味方の立場を超えた友情。
辺境のオオカミと呼ばれるはぐれ者部隊の部下達と、少しずつ築きあげていく信頼関係。

挙げていくうちに、これって読む人が読んだら相当に萌えるのではと思いました(苦笑。

しかも、女性の登場人物がひとりだけ。しかもすれ違うだけ。
サトクリフの話の中でも女性比率が非常に低い話です。

以前に読んだ時にも思ったんだけど、この話、映画にするといいんじゃないかなーと思います。
でも、ヒロインがいないからなー。
だからってヒロインをねじ込まれたら話が台無しですしね。

そんな余計なことを考えずとも、この本だけでも充分満足できる作品だと思います。

またそのうちに読み返したいと思いますv

『スプライトシュピーゲル II Seven Angels Coming』

スプライトシュピーゲル II Seven Angels Coming (2) (富士見ファンタジア文庫 136-9)
冲方 丁 はいむら きよたか
4829119497



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借りて読了。

近未来のウィーン。それぞれに暗い過去を背負った三人の少女達が、戦闘サイボーグとして敵と戦う、近未来SFサスペンスアクション。シリーズの二作目。

一巻は短編集で鳳(アゲハ)、乙(ツバメ)、雛(ヒビナ)、三人の少女達の紹介編でした。
第二巻はそれを踏まえて、彼女たちの戦いを一つの大きな事件を通して描いていくものになりました。

発端は人工衛星の墜落。
そこから展開されるのは、敵味方入り乱れてのスケールの大きな総力戦です。
味方同士の足の引っ張り合いあり、国際謀略あり、暗号解読あり、先端技術を駆使した兵器の活躍あり、身を犠牲にしたテロルあり、誘拐事件あり、裏切りあり、フェイクあり、何でもあり!

まだ、始まったばかりなのに、すごいハイテンション、すごいスピード感、それこそ疾走する速度で駆けぬけていくストーリーでした。

読んでる時はページを繰るのがもどかしいくらいでしたが、内容をすべて消化しきったかどうかはちと疑問な気がする(汗。

一巻でとまどった文体にはかなり順応できていて、主語=述語は、「主語は述語する」と素早く変換できるようになりました。するとどんどんイメージが具体的に脳裏に浮かんでくるようになりまして、スピード感を殺さない読み方が出来るようになりました。よかったー。

豪華絢爛てんこもりな仕掛けを施しつつも、中心である三人の少女達と彼女たちと立場を同じくする陣営の結束は固く、プロフェッショナルな動きがぐんぐん面白さを増していきます。これがチーム戦の面白さ、なのかしら。

彼女たちが敵対する組織は冒頭ではまだ正体不明ですが、次第に姿が明らかになるにつれ、これらの背景によってこの話の物語世界の状況も明らかになっていくのですが、これがまた驚天動地なんです。けれど実にリアリティーを感じる。とくに一巻で国が無くなったとされた日本の事情なんて、「あー、なんてバカなんだ。でもそうなってもおかしくないよな」と思えるのが哀しいです。

あくまでフィクションなんですが、今現在の世界状況を踏まえての近未来である、というところが作者さんお勉強しているなーと感心しました。

とくに「ロケットと弾道ミサイルの技術は同じものである」という件には、しみじみと感じ入りましたことです。

登場人物も格段に多くなって、立場もいろいろで性格もいろいろで、そのあたりもいろいろと面白く読みました。

ヘルガさんが暗号解読のための助力を請うエピソードは、『羊たちの沈黙』みたいだなーと思ったし。

突如現れる合気道達人の老人モリサンのフルネームには、吹いた(苦笑。
かれと乙(ツバメ)の交流は、この殺伐とした事件の中の数少ない人情エピソードだったなあと思います。

それからこの事件は姉妹編?である『オイレンシュピーゲル』でも視点を変えて展開されている模様です。

古い人間である私は「ダーティ・ペア」と「クラッシャー・ジョウ」の試みを思い出しました。
あんまり本を読み返さない私が、あの二冊は何度も読み返したんですよね。それくらい好きだった。
同じ事件を同じ時空間で、視点を変えて、それぞれに別の話として成立させるのって、読み手はいろいろと楽しめるけど書く方はすごく大変だろうなー。

読んでみたいなーと思いましたが、他人頼みで入手しているシリーズなので多くは望みますまい。

『スプライトシュピーゲル』のつづきはこちら。

スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝 (3) (富士見ファンタジア文庫 136-10)
冲方 丁 はいむら きよたか
482911973X


「毒」

土岐さん作「毒」読了。

異世界短篇。
キーワードは、「豆スープ、革命、空」。
最後にドキリとさせられました。
素敵な作品。大好きです。

『あたしをとらえた光』

あたしをとらえた光 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-2)
ジャスティーン・ラーバレスティア 結布 大谷 真弓
4150204837



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読了。


オーストラリア出身作家による、魔女の家系に生まれた少女がヒロインの現代ファンタジー。三部作の第二巻。『あたしと魔女の扉』のつづき。

前巻で母親から教え込まれたことが真実のすべてではない、と気がついた十五歳の少女リーズン。
この巻では、魔法を受け継いだ者にどんな運命がもたらされるかを理解した上での展開となります。

この話の中で、魔法は一種の遺伝病みたいなものとして描かれています。
しかも、使うたびに命を削るうえ、使わずにいても破滅が待っている。

その具体的な例をふたつとも目の当たりにしつつ、リーズンは葛藤するのですが、そのわりに目先のことにとらわれがちなのが、のんきだなあと時に感じる。

でも段々、これって彼女の中の魔法の血があらたな生け贄を求めてうごめいているみたいじゃないかと思いつき、なんだかファンタジーじゃなくてホラーみたいだなあと、感じたりしました。

魔法のドアも、たんに行き先がニューヨークに固定されたどこでもドアじゃないみたいだし、異様な臭いを放つ化け物がそこから侵入しようとしてきたりと、サスペンス風味が増しています。

魔法を受け継いだ仲間として友人になった、J.Tとトムも、リーズンとはべつにそれぞれの問題に直面していきます。
それは青少年達の指導者として登場した、リーズンの祖母エズメラルダもおなじこと。

この話は勧善懲悪ではない、それぞれに悩みや苦しみを抱えた人々の物語なのだ、ということがわかってきて、俄然面白くなってきました。

ファンタジーでもホラーでももうかまわないので、つづきがはやく読みたいです。

ところで。

この本、シリーズものなのに表紙を見ただけでそれとわからないのは、ちょっと不親切なのではないかと思う。装画はとっても綺麗で大好きなんですが。

さらに、この本の解説は絶対に最後まで読んじゃダメです。
途中で好奇心をおこして巻末解説を読んだ私は、たいそう痛い目にあいました。警告も注意もぼかしもなく、あっけらかんと核心部分をネタバレしているので。

とある作家の方の書かれたものなんですが、きっとこの方は巻末から読んでみるなんて事をしたことがない、そんな人間の存在は思いもつかない方なんだろうなあ。

そら、巻末から読むのは邪道だと言われればそれまでだな。しかし、ホントにびっくりしましたよ。口がぽかんと開きそうになったくらい(苦笑。

この次はぜったいに解説を先に読んだりはしないぞと肝に銘じつつ、粛々とつづきを予約したいと思います。

あたしのなかの魔法 (ハヤカワ文庫FT)
Justine Larbalestier 大谷 真弓
4150204888


『さよなら絶望先生 3』

さよなら絶望先生 第3集 (3) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063636461



借りて読了。


すぐに絶望する超ネガティブ教師絶望先生と、かれの担当する二年へ組の変人達の日常を舞台にした、シュールブラックギャグマンガ。シリーズ三巻目。

というわけで三巻です。
たてつづけなので書くことが無くなってきましたよ(汗。

とりあえず、とても面白い。

それから今回は特異なキャラクターにくわえて社会現象をネタにした話が目につきました。
天下りとか、御輿を担ぐとか、普段からやり過ぎだよだのこれってどうよとだのとおそらくみんなが思っている(少なくとも私は思っている)出来事を痛烈に皮肉っています。愉快です。

あとは絶望先生のいちばん上の兄上の息子、糸色交くんが登場。
名門糸色家の出身らしくかなりのくせ者かと見ましたが、実際はエピソードが一つおわるたびにトラウマを増やしている可哀想な男の子です。

糸色家では絶望先生の元で暮らすことは了解事項のようですが、いいのか、こんな環境で育っても。
そのうちなんにでも「絶交する!」とか叫び出さなければよいのですが。

さよなら絶望先生 第4集 (4) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063637034


『さよなら絶望先生 2』

さよなら絶望先生 第2集 (2) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063636194



借りて読了。

超のつくネガティブ教師、通称絶望先生と彼の受け持つ二年へ組の奇人達のシュールブラックギャグマンガ。第二巻。

前の記事で呟いたのが伝わっていたのか、一巻を返しに行ったら二巻が出てきましたv

この巻からはクラス外からも奇人変人が話に参加するようになりました。
なんでも開かせようとするペリーとか。
絶望先生の兄で医者の絶命先生とか。
絶望先生の妹で華道師範の絶倫先生とか。

絶望先生っていいとこのおぼっちゃんだったんだね。
なのにどうしてこんなにネガティブ。

あとクラスメイトでも数少ない男子の変人、臼井影郎とか。
ごめん、書くの忘れるとこだった。影が薄いから。

読んでいる時はアハアハと笑うばかりなのですが、はたと思うのはこんなに病んでる人ばかりの世界ってちょっと嫌かも(苦笑。ギャグマンガだから極端なんだとはわかっているけれども。いや、もしかしたら現実だってかなり病んでるよ、というか私も病んでる方だからそう思うのかもしれないが(苦笑。

ともあれ、たいそう笑えましたです。
三巻も借りたので続きも読みます。

さよなら絶望先生 第3集 (3) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063636461

『異形の王権』

異形の王権 (イメージ・リーディング叢書)
網野 善彦
458228454X



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読了。

日本中世史専攻の著者が、古代から中世、近世にかけて非人や異形と呼ばれるひとびとが社会からどのように認識されてきたのかを、歴史絵や古文書から、民俗学の成果を取り入れて考察する。

この本、すごーく面白かったです。
以前借りて読んだ阿部謹也氏の著作に触れられていたので読んでみたのですが、なるほど、ヨーロッパ中世史と比べても重なる部分がかなり多いなーという印象です。人間って、やっぱり根っこは一つなんだなあと思いました。


第一部 異形の風景
 摺衣と婆娑羅――『標注 洛中洛外屏風 上杉本』によせて
 童形・鹿杖・門前――再刊『絵引』によせて
 扇の骨の間から見る

第二部 異形の力
 蓑笠と柿帷――一揆の衣装
 飛礫覚書
 中世の飛礫について

第三部 異形の王権――後醍醐・文観・兼光

あとがき
所蔵一覧
初出一覧



なるほどと思ったことをいくつか。

ヨーロッパでもそうですが、古代において聖性を象徴していた存在が、あらたな権威とシステムの導入によって貶められて卑賤視されていく、というところ。

新たな権威にとってはかつての権威が幅をきかせていると困ったことになるので、上からの圧力という面もあるのだろうけれども、そういう意識が速度はどうあれ社会に行き渡ってしまうの庶民の処世術ということなのでしょうか。

異形・非人とされるものの条件、というのも面白かった。
神々によって保証されていた権威の持ち主、というのは予想の範囲内でしたが、成人前の子供は人ではない、というのが目から鱗。
だからあやかしの名前はなんとか丸のように幼名みたいなのが多いのかと。というか、だから幼名を名乗るのか。

そういう権力から見放されたものたちが、みずから異形としての存在を主張して婆娑羅者として世の中を歩きまわっていた、というのが、南北朝から始まる動乱の時代なんですねえ。

それってまさしく『犬夜叉』の時代なんじゃ?

あと蓑笠と柿色の衣のこと。
以前の『封殺鬼』シリーズの重要な部分がようやくここで腑に落ちました。
そうか、そうなんだー。
こんなに時間が経った後、こんなところで理解するなんて、自分の無知がちと哀しいですが、理解できたのだからよしとする。

飛礫のこと。
飛礫を投げつけるのは一揆の時や抗議行動やらだけじゃなく、最高にハレな時にも投げるんですね。
でもって、一種の神意のあらわれなんだ。

ここを読んでいて思いついたのは、不甲斐ないひいきチームに向かって投げつけるメガホンやペットボトルももしや神意の表れなのか、ということだったりした(苦笑。
優勝した時に投げいれる紙テープもその一種なのかも。

それから最後の後醍醐天皇の政治について。
後醍醐天皇は古代の天皇制を復活させた上で中央集権を実現しようとした、みたいなんですけど、これって織田信長の先取りっぽいですよね。
それでもって後醍醐には天皇というアドバンテージがあったので一度は成立したんだけれど、無理が過ぎて政権は崩壊し、天皇の権威までも粉砕してしまったと。

そこで日本にはキリスト教みたいなべつの権威がやってきてあらたな意識や秩序を構築したりせず、混沌としたまま現代に至る、ということらしい。

だから精神的に宙ぶらりんなのかなー、日本人って。
個が確立してなくて、なんにでも日和る。

ヨーロッパではキリスト教と貨幣経済が同時に発展していったけれども、日本では精神的な権威のないままで貨幣経済が発展したので、拝金主義がはびこるようになってしまったのかも。

しかしいまの世の中、何を持って社会的精神の支柱とするか、と問われても難しいよなー。
他人からの押しつけではいけないと考えると、みずから見いだしていかなければならないわけだ。

そうすると全員一致で同じ方向を向いて進めるはずがない。

あんまり考えると暗くなってくるのでこのへんで。

ところで、内容は大変に面白かったですが、やっぱり古文書からの引用文は難しかった。
かなりとばして読んだことをここに告白しておきます。

それから私が読んだのはソフトカバー単行本でしたが、今は平凡社ライブラリー版のほうが手に入りやすいと思われます。というか、たぶんそっちしかないです。
内容がそのままかどうかは知りませんが(汗。

異形の王権 (平凡社ライブラリー)
網野 善彦
4582760104





『犬夜叉 30』

犬夜叉 (30) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091256503



読了。


戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間達と共に四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションラブコメディー。シリーズ三十巻。

この巻では、

鬼女の村で弥勒様の女好きに怒った珊瑚ちゃんが敵に操られてさあ大変、なエピソードと、

奈落から分離した赤ん坊があの世とこの世の境を求めて僧や神官を次々に殺し回ったあげく、さるひとりの高僧に命と引き換えに体を真っ二つにひきさかれるエピソードと、

その高僧が封じていた馬の妖怪・炎蹄が復活したのを犬夜叉たちが追いかけた先で、分断された赤ん坊の片方が白童子として復活しているのに出逢うエピソードと、

父親の頭を白童子に持って行かれたカワウソの子妖怪と出逢った犬夜叉たちが、頭は取り戻したものの死にかけているカワウソ妖怪を殺生丸の天生牙によって救われ、お礼にこの世とあの世の境について聞かされるエピソードと、

この世とあの世の境が犬夜叉の父親の墓があった場所に似ていると気づいてそこに到達する術を探すエピソード、

が収録されています。

この巻の最大の山場は、弥勒様と珊瑚ちゃんのエピソードかなー。
女好きの弥勒様に怒った珊瑚ちゃんが罠に捕らわれて、それを弥勒様が身を挺して救い出す。
シリアスに向かいあうふたり。
どこからどう見てもこれは恋の成就の予感。
……なのに、やっぱり、こうなってしまうのねー(苦笑。

犬夜叉の超弩級の鈍さに笑えます。

あとは、奈落の落とし子だった赤ん坊がぶった切られた時、このあとはどうなるんだー。
と思いましたが、まさか半身だったのがまた完全体になってしかも成長して出てこようとは。

奈落に関しては予想外の展開ばかりで、飽きません。
奈落本人はちっとも登場しなくても、物語全体に奈落のしるしが溢れている、そんな感じです。
白童子の半身は神無のもとでどう変化しているんでしょう。
知りたいです~。

それから殺生丸がほんとにちょこっと出てきましたが、りんちゃんがそばにいなかったので寂しかったです。

というわけでつづきはこちら。
書影がない。なんということだ。

犬夜叉 (31) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266614


『さよなら絶望先生 1』

さよなら絶望先生 第1集 (1) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063635821



借りて読了。

何故か戦前の学生のような服装の自殺願望のある教師・糸色望、通称絶望先生の担当する2年へ組。
そこは極端に病的な性格の生徒達が巣くう、とんでもないサイコなクラスだった。

自虐・二重人格・ひきこもり・DV疑惑。さまざまな問題を抱えたキャラクターが非日常的なエピソードが連続する、なんともいいようのないテイストのギャグマンガ。シリーズの開幕編です。

うーむ、なんと感想を書けばよいのか、わからん。
とりあえず、すごく面白かった。
面白かったんですが、いいのか、これで! という疑問が頭から去らない面白さだった。

ほのぼのとはほど遠いブラックな笑い。
でも絵柄が可愛いのと異様に前向きな生徒が若干一名いるためになんとなくのんびりーと読んでしまう。
絶望先生はすぐに首をつるし、どう考えても修羅場ばっかりなんだけど、おかしいなー。

つぎつぎに出てくる問題生徒がみんな女の子なのが気になる。
二のへ、男の子はいないのか。

ともあれ、自分だったら絶対に買わない雰囲気の話をこうして読めるということは、世界が広がる面白さがあります。

弟に感謝。

で、つづきは買うのかな?

さよなら絶望先生 第2集 (2) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治
4063636194


『ケロロ軍曹 10』

ケロロ軍曹 (10) (角川コミックスエース)
吉崎 観音
4047137057



借りて読了。

地球を侵略に来たケロン星人のケロロ小隊とかれらが居候している日向家の人々の、非日常的な日常を描く、SFギャグマンガ。シリーズ第十巻。


しばらくご無沙汰していたケロロですが、いやーーーー、面白かったです!

クリアーな線で描かれる骨太かつ可愛い絵柄。
ギャグもネタありのものだけじゃなくケロロの世界由来のものもかなり増えた模様。
それはこのケロロの世界がそれだけ成長し、豊かになったということなんだと思います。

個人的には今回は夏美ちゃんがかわいくて。
地縛霊に誘拐されたり、クルルの陰謀に振りまわされたり、果ては最終兵器パワード夏美に変身v

(物語上では)ケロロ発案だけあっていかにも○○○○なライフルとシールドに、普段はメカ萌えなんかしない私ですらキャーと感じてしまいました。

パワード723登場のケロロ的大長編は、ケロロ史上でも指折りの名作だと思います。
ケロン星人同士の熾烈な戦いに痺れました。

この巻でエピソードが完結してくれたのも嬉しいです。
以前にはこの後は次巻へ! なんていう殺生な終わり方をした巻もあったからねえ(苦笑。

いやホント、たいへんに楽しかったです。
うはは(笑。笑いが止まらない(笑。もう一度読み返そう(笑。

ケロロ軍曹(11) (カドカワコミックスAエース)
吉崎 観音
4047137626


『ACONY 1』

ACONY 1 (1) (アフタヌーンKC)
冬目 景
4063145565



借りて読了。

タイトルは「アコニー」と読みます。ヒロインの名前です。十三歳です。
主人公は同い年の少年ですが。

不思議なアパートでの日常のなかでミステリアスなヒロインとの交流を描く、ほのぼのホラーコミック、と呼びましょうか。ちなみに舞台は日本です。

まったく怖くないけれど意志を持つアパートには不思議な空気が漂っていて、ほんのりと心の温まる雰囲気。しみじみとした時間の流れ、人や人ならぬものとの関わり。

の中で、アコニーの秘密がピリリと辛い香辛料となっている。

現代離れした懐かしい風景と、日常離れしたアコニーの謎のコントラストが印象的です。

アコニー自身の本質はツンデレ風味ながらフツーの女の子なので、彼女に振りまわされる主人公・空木基海少年のうろたえぶりを楽しむマンガでもあります。

しかし私としては少年の祖父であるイラストレーターのじいちゃんが楽しかったー。

たいそう時間をかけて書き続けられてきたお話のようですが、このまま急がずにじっくりと描いていただきたいなあと思わせられるシリーズです。

面白かったv

メンテナンス情報(追記あり)

本日、2009年4月5日、8時42分現在、レンタル元のサーバーメンテナンスのため、本家サイト(感想サイト・創作サイト共)の閲覧が不能となっています。

メンテナンスの終了時間は不明です。

詳細が判明次第、またお知らせいたします。

……レンタル元で出しているメンテナンス情報にアクセスが殺到しているらしく、閲覧できないのです……。





追記。

メンテナンスは昨日の午後五時すぎに終了した模様です。
お知らせが遅れましたことをお詫びいたします。

すみませーん。

ちょっとネットから離れていたので更新できませんでした。

『鳥は星形の庭におりる』

鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫―ホワイトハート)
西東 行 睦月 ムンク
4062865874



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読了。

神秘の塔の迷宮を巡る陰謀と子供時代に別れを告げる少女の成長を描いた、異世界ファンタジー。

うさぎ屋さんの記事で興味を持ち、読んでみました。

素敵なファンタジーでした。面白かったー。

理屈っぽく可愛げがないと家族から疎まれて、祖母とのみ親密にしていたオパルス伯爵令嬢、十三歳のプルーデンス。
その祖母を亡くしたプルーデンスは家族と共に旅立とうとしていた。商業の要衝として栄えるアラビニカ島の大公を兄に持つ祖母エヴィケムの遺品を、故国に収める儀式のためだ。オパルス伯爵一家は、嵐のために港で足止めされていた。手配した吟遊詩人も到着が遅れている。いよいよ出港という間際に、蒼い衣の吟遊詩人を名乗る男が伯爵の依頼状を手に現れ、一行の一員となった。
鳥と吟遊詩人の集う島アラビニカでは、祖母の兄である現アラビニカ大公が伯爵一家を歓待してくれた。しかし、その裏では風の霊鳥ナサイアの訪れるという鳥の塔をめぐり、国際的な陰謀が動きだしていた。



背景のきちんと設定された物語世界で描かれる、人間の醜い争いとそれとは無関係に流れていく神々の神秘の時間。
ふたつの流れを同時に感じさせて、なおかつ流れが分離せずに綺麗に収束していく様が見事でした。

一冊の分量で必要十分で大変に満足な物語をつむぎだす手際に感心。

なんといっても詩人さんが素晴らしい!
かれの存在がこの話のファンタジー的な魅力そのものだなーと思います。

名前を持たず、ゆえにどこにも属さず、何からも自由な風のような存在。
世界の始めから世界に存在しているのに、その世界にも属していない。

詩人の存在が魅惑的なのは、それが物語の中で唯一、物語を外から語ることの出来る存在であるからなのではないか、と私は考えているのですが、この作品に出てくる詩人さんはそのことに非常に自覚的で、まさに吟遊詩人の元祖、という感じ。

さらにどこにも属さない、流浪の身であるという状況が、いかほどに孤独で無防備なものであるかをシビアに描いているくだりには唸りました。

でも、どんな暴力にも詩人は屈しない。
かれは歌ですべてに対抗するのです。

これってペンは武器よりも強し、ってのと同じことかしら。

ヒロインのプルーデンスは非常に理知的な現実感覚もある、けれど自分の理想を曲げられるのに怒りを渦巻かせている、その点ではまだ子供です。十三歳だしねえ。

詩人と出会ったことで彼女は世界の広さを認識し、人の温かさを知らされます。
彼女がまだ子供であることが確認されるいくつかのシーンが、とても印象に残りました。

あとがきによると作者さんはパズル好きなのだそうで、確かに緻密に組まれた物語はたいそう理知的に展開してゆきます。

私の好みとしてはもうすこし曖昧にして雰囲気的に描いてもいいんじゃないかなーというところも、クリアに文章にされていましたが、パズルがキーポイントとなるお話だし、ヒロインも賢いし、これはこれで美しいと思いました。

プルーデンスなんて、英米の家庭小説の登場人物みたいな名前だなーなんて思ったことは、もう忘れましたv

新人の第一作だとは信じられないほどに完成度の高い、読み応えのあるファンタジーでした。
次作も期待しています。

『ナイチンゲールの沈黙 下』

ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
4796663606


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借りて読了。

地方の大学病院を舞台にした、ラノベ風ミステリの下巻。

と思って読んでいたんですが、途中からミステリからファンタジーになっていったような。
ファンタジーまでは行かなくても、現実の大地からは多少浮きあがった展開になったような気がします。

まあ、面白ければいいのですけれどね。

基本的にファンタジー読みである私はそこで「おおっ」と面白くなった口なんですが、多分ミステリ読みの人はかなり興が削がれただろうなあと推測はいたします。

医療現場の現実をシリアスにあぶり出す社会派ミステリを予想していたら、歌うたいの性やら歌の魔術的な力とか、そんな話がどうして殺人事件に関係あるのかって、よーく考えたら事件解決の手段としても非常識きわまりない展開なんですけど、私にはそのあたりが興味津々だったのでした。

とはいうものの、最先端医療なんてどこまでが現実でどこまでが夢なのか、素人にはまったくわからないので、まあ、ヒロインの能力は現実的でないとしても、その他のあれこれはあってもおかしくはないのかなーなどと夢想。

ミステリとしてはかなりの変化球だと思いますが、それに話としてもなんとなくとっちらかっている感じがしますが、私は歌姫二人の共演に痺れました。

ので、よしとします。

そういえば厚労省の白鳥君は下巻からのご登場でした。
不定愁訴外来で警察庁所属の天敵・加納と言葉でどつきあいを展開してます。このふたり、子供に対しても非常に大人げない人たちです。読んでいて呆れました(苦笑。

登場人物の掛け合いは、たいそう楽しいです。
ですのでこのシリーズはキャラクターノベルとして読むがいいと私は思います。

余談。

CTかMRIかどっちかわかりませんが、検査のデータを三次元にして展開する画像、私、見たことがあります。自分の頸椎のデータです。だからこの話で取りあげられたデータがどういう風に見えるか、よーくわかりますよー。縦にも横にも斜めにもぐるぐると回転させられるし、ズームアップできるし、うーん、これがあれば私の骨の複製が簡単にできるなあと思ったものでした。

最初に見た時は貧血で倒れてしまいましたが(苦笑。


ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
4796663584


『暁と黄昏の狭間 I 竜魚の書』

暁と黄昏の狭間〈1〉竜魚の書 (トクマ・ノベルズedge)
西魚 リツコ
4198507740



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読了。

厚みを持った描写で物語世界を満喫できる、異世界ファンタジー。シリーズ開幕編。

面白かったー。

久々に新たな鉱脈を発見したと思える作家さんに出会えました。
元々マンガ家だったそうなのですが、眼底出血のために作家に転向された方らしいです。

元マンガ家さんらしく描写が細やか。物語世界の光景がすくっと立ちあがってきます。しかも書きたいことがはっきりとしているからなのだと思うのですが、まったく冗長さのない文章なのがすごい。

すごいと言えば、主人公の少女セフル・アルゴーの出会う現実がいちいちシビアーで、それを容赦なく描ききっているところもすごいです。

読んでいて、現実とは違う場所だけれど彼らは確かに生きていると感じました。

そうだなー、テイストとしては翻訳ファンタジーですね。

物語の展開はファンタジーの王道で、虐げられた主人公が艱難辛苦の果てに自分の弱さを自覚して前へと進む決意をする、その間に人より大きな存在との対話がある、という物なのですが、そんな先読みを許さない強さがひとつひとつの場面に感じられて釘付けでした。

このシリーズは期待できるかも。

はやくつづきを読みたいです、わくわくv

つづきはこちら。

暁と黄昏の狭間〈2〉薬王樹の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ
4198507791


20090331の購入

三月の終わり、自分へのご褒美として購入しました。

スターフィッシュ
カトリオーナ・マッケイ
B001DSP8PA



なんのご褒美かって?
それはひ・み・つ。

嘘です。本代を大幅に節約できたからです。
節約できたからってご褒美を奮発していては意味がないような気も、しないでもないけれど(苦笑。

それはともあれ、ケルティックハープの演奏をそれだけ聴くのはほぼ初めてなのですごーく嬉しいv
いや、何度も試聴してるんだけどねv

これで例のブツの妄想が膨らんでくれるといいなあとか、よこしまな期待も抱いていますv

『アナンシの血脈 下』

アナンシの血脈〈下〉
Neil Gaiman 金原 瑞人
4047915351



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読了。

イギリス人作家の現代ファンタジー、下巻。

冴えない若者ファット・チャーリーが主人公。
死んだ父親が神様と判明し、生き別れていた双子の兄弟に婚約者をとられ、勤める会社でついうっかり不正会計を見つけたおかげで経営者によって罠に陥れられる、という不幸な展開だった上巻から、現状を打破しようと懸命に行動する姿が描かれる下巻です。

神様が父親ってまるでキリスト。ですがファット・チャーリーの父親であるアナンシはキリスト教の唯一絶対神ではさらさらなく、むしろとても遊び好きでお茶目な存在です。死んだというのも多分かれにとってはジョーク。たんにちょっと役目を下りてみたかったからなんではなかろうか。

アナンシはもともとアフリカの神様がモデルらしいですが、実態は蜘蛛の模様です。トラから物語をうばったという神話は、そのあたりからきているのかもしれません。

この話はまだ神様が人とともに地上にいる時代の神話を現代に再現したものなのかなーと思います。
人間が神を遠く感じるようになればなるほど、神様は威厳という鎧で身を飾り立てていくようなので。

物語はファット・チャーリーが双子の分身スパイダーと再び出逢ってからのスピードがものすごくて、あれよあれよというまに読み終わってしまいました。

面白かったのですが、上下と二冊に分ける必要があったのかは疑問に思いました。上巻を読んだのが2007年のことなのであまり断言は出来ないのですが、上巻もそんなに密度が濃かったような記憶がないもので。

いや、もしかするとあまりにスムーズに展開するのでさらさらな印象が残るだけかもしれませんね。

書かれていることには微塵も無駄がなく、彼岸と此岸を行ったり来たりと忙しく、実にファンタジーだなーと実感することが多い話でしたが、臨場感に乏しかったのが私的には残念なところです。

だから一気に読んでいればそれなりの充実感が得られたのかもと思ったのでした。
はい、読まなかった責任は私にありますです。

アナンシの血脈〈上〉
Neil Gaiman 金原 瑞人
4047915343