『墨攻』

墨攻 [DVD]
ジェイコブ・チャン 森秀樹
B001MC02TE



久しぶりに見た映画です。といっても借りたDVDなんですが。

ちょっと前から宮城谷作品読みたい気分が盛りあがってまして、でも買う余裕がないので、しかし図書館で借りて読むのはせかせかするから嫌だなー、もういいや中国ものなら何でも!

という感じで見てみた。

暗い映画だった。

大元原作の酒見賢一『墨攻』はこんなに暗くなかった気がするんですが、あれは作風がかろやかなせいかしら。

それと導入部がちょっと。原作読んでるといっても設定の大方は忘れ去っているので、主人公の革離が墨家の一員であってもその意向を反映した人物ではない、というあたりがなかなかのみこめず。

墨家の教えに忠実な革離が専守防衛によって梁国を守り抜くというのが本筋のお話だということはわかっていても、それでも混乱するあたり、ちょっとわかりにくいなーと。

それ以外を除けば、映画そのものはわりあいと面白く見ました。
古代中国の風俗などはやはり映像で見るのが一番。王族の豪華絢爛な暮らしなんか、いくら小説読んでも推測不能なあたりが感覚として理解できるのがよかったです。

それでも画面の暗さが非常に目立つ映画でしたが。
とにかく荒野にたつ城砦そのものが暗いんですよね。
大国の軍隊にかこまれて絶体絶命の危機つづきなんで、緊迫感の解けない二時間でした。

中国古代の戦争シーンは、迫力があって興味深かったです。
なりふりかまわない墨家の戦い方がすごい。
これって紀元前の話なんですよね。日本なんて影も形もない時代。
その時代にこれだけの攻城戦をしているとは……やはり中国はすごいなあと思いましたことです。

原作には出てこない革離のロマンスは、まあ、べつにあってもいいんじゃないかなー。なにしろ彼女がいないと暗いばかりの画面ですから。

最後まで「理想を実現するのはむずかしいけれど追い求めることには価値がある」というようなシビアーな展開で、ぜんぜんハッピーエンドじゃないけれど希望の光が残されたような印象が残りました。

映画は漫画化された方をもとにしている模様ですが、残念ながら私は読んでいません。
原作小説はこちら。

墨攻 (新潮文庫)
酒見 賢一
4101281122



しかし、当然のことながら宮城谷昌光禁断症状は癒されませんでした。
ああ、『晏子』読みたいよ、『晏子』。

『スプライトシュピーゲル IV テンペスト』

スプライトシュピーゲルIV テンペスト (富士見ファンタジア文庫)
冲方 丁 はいむら きよたか
4829132817



[Amazon]


借りて読了。

近未来のウィーンを舞台に、暗い過去を背負いながらテロと戦い続ける少女達の物語。シリーズ第四巻。

分厚い本です。
中身は標題作の「テンペスト」に短編「フロム・ディスタンス 彼/彼女までの距離」、おまけ小劇場とあとがきでなっています。

短編が日常風味のほのぼのしんみりなお話だったのは意外。
でもかなり楽しかった。
鳳(アゲハ)ちゃんと冬真君の、なんちゃってデートの顛末なんですが、いままで純真な青少年だと思っていた冬真君がおどろきの資質をそなえていたことにびっくり仰天。

いっぽう長編は、大虐殺の罪を問う国際法廷で七人の証人を護るという、今までにも増してハードな暴力と破壊と生と死のサスペンス大劇場でした。

読んでいて、このシリーズって『マルドゥック・スクランブル』の進化形なのではと感じました。
三人の少女達の原型はおそらくバロットだと思う。
で、今回の証人達はおそらく彼女たちの精神的な師匠になるのではなかろうか。
残念ながら、ウフコックが原型のキャラクターはいないみたいですが。
冬真君が半分くらい役割を果たしている気はするけど、かれはまだ全面的な拠り所ではないので。

とにかく危うく夜更かしして一気読みしそうになりました。
最後まで読んだら興奮して寝つけそうにないので、気づいたときに強制停止をかけました。
それくらい面白かった!

だけどこの次は未だに刊行されていない模様。
ううう、気になるなー。
いつ出るんでしょう。

それまでに『オイレンシュピーゲル』シリーズを読んでおこうと思います。
なんとかして(多分図書館に頼って)。

オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)(角川スニーカー文庫 200-1)
冲方 丁 白亜 右月
4044729018


『精神科医がものを書くとき』

精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)
中井 久夫
4480092048



[Amazon]


読了。

精神医学者でギリシャ詩の翻訳者でもある著者の、比較的短い文章をまとめたエッセイ集。

私がその平熱で穏やかかつ明晰な文章に魅せられている著者の、初文庫本です。
目次は以下の通り。



精神科医がものを書くとき
わが精神医学読書事始め
宗教と精神医学
私に影響を与えた人たちのことなど
近代精神医療のなりたち
知られざるサリヴァン

II
統合失調症問答
統合失調症についての自問自答
公的病院における精神科医療のあり方
精神保健の将来について

III
微視的群れ論
危機と事故の管理
エピソード記憶といわゆるボケ老人
「いいところを探そう」という問題
家族の方々にお伝えしたいこと
ストレスをこなすこと
成長と危機の境界――相互作用とカタストロフィーの力学

あとがき
解説 「システム」に拮抗する「箴言知」 斎藤環




エッセイとしては、最初のほうはかなり精神医学に専門的でとっつきにくいですが読みでがあり、だんだん短くなって対象が一般向けになってわかりやすいけれどもどこかパンフレットに掲載された一文みたいな印象のものになっていきます。

それでも、まだまだ社会的に認知されているとはいいがたい精神病についての知識を深めるには役に立つ文章だとおもいます。

そして最後の方になると今度はテーマが精神医学には留まらず、現代社会に対する考察めいたところまでひろがります。

実際、最後に掲載された「成長と危機の境界」は今現在の世界状況について言及しているように思われ、ひゃーと思いながら読んでいたのですが、1989年のインタビューをまとめたものだと知って二度びっくりでした。

エッセイ集としてはちょっと物足りないかなあという感じでしたが、中身はとても充実していると思う。

けど千二百円は高いよなー、文庫本として。
著者の他のエッセイがハードカバーで軒並み三千円台なのを考えれば、入門編としては最適なのかなとも思いますが……。

私としては、岩波書店のPR誌で連載されていたエッセイが早く本になってくれないかなと期待するところです。

訃報 栗本薫

作家の栗本薫さんが膵臓癌のために亡くなったそうです。

闘病されているのは知っていましたが、毎月のように新刊棚にグイン・サーガが並んでいるので、まだ大丈夫なのだろうと勝手に思いこんでいました。

中学生の頃からグイン・サーガを読んできたものとして、あの長大で豊かな物語がついに完結に至らなかったという現実がなんともやるせないです。

去年亡くなった氷室冴子さんにつづき、私の読書歴の冒頭において燦然たる輝きを放っていた作家さんがふたりも失われたことになります。そのことを思うと愕然とします。

まだお若かったのに、グインを完結させたかっただろうな。
まだ読んでいないグインの続きを読もうかなと思ったりもしました。
どこまで読んだか思い出せないのが何ですが……。

謹んでご冥福をお祈りします。

『ヴァムピール 3』

ヴァムピール 3 (アフタヌーンKC)
樹 なつみ
4063145611



借りて読了。

死者に依りつくヴァムピールと、生と死の狭間にある人間達の葛藤を描く、ホラーサスペンスコミック。シリーズ第三巻。

今回はヴァムピール・男爵の言葉に丸め込まれた伶くんが、一時だけという言葉を信じて完全同化をしたあげく、あやうく本物のヴァムピールと化してしまいそうになるお話。

ヴァムピールと完全同化した人間がどういう変化を起こすか、という具体例が両君の身体を張った体験談で描かれることになります(苦笑。

ここで重要となるのはヴァムピールと同化する→ヴァムピールとして食餌をとる→人間に戻れなくなる、という約束です。
ようするに冥界でものを食べると戻ってこられなくなるという、イザナミやペルセポネーのアレですね。

そこで、魔女の異名を持つ強力なヴァムピールをその身に宿しながらも、完全同化には至っていない笙の存在の謎がクローズアップされてくるわけですね。

ダイナミックな展開で読み手を飽きさせず、ぐいぐいと物語にひきこんでくれるので、読んでいるときには感じないんだけど、読み終えると釈然としないもやもや感の残るお話だなー。

どこが釈然としないのかよくわからないんですが、笙の存在が未だ謎なのと関係があるのでしょうか。
それにストーリーの目的もまだよくわかりません。
三巻費やしていまだに導入部だったらどうしよう、不安だ、というもやもやなのかもしれませんね。

どうやら私は、作品の方向性をはやく見極めたい、と思っているようです。
最近、気が短くなってるなーと自分でも思います(汗。

つづきはまだ連載中……なのかな?

『羊のうた 2』

羊のうた (第2巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800230



借りて読了。

貧血から他人の血が欲しくなる発作を起こした男子高校生が、混乱と不安、孤独のなかで生き別れになっていた姉と出会う。叙情的な心理サスペンスコミック。シリーズ第二巻。

大きな事件は起こらないけれど、日常のこまかい部分を丁寧に描いて登場人物の心理を描写する、静かなたたずまいが印象的な作品です。

したがってストーリーの展開はかなりゆっくり。
そのときどきの登場人物の心に寄り添って、雰囲気を味わいながら読むのが好きな私にはたまらないお話です。

主人公の、父親の親友に育てられてきた少年高城一砂。
ミステリアスな一砂の姉、千砂。
千砂の後見人(?)、水無瀬。
一砂を想う少女、葉。

物語世界はとても狭いんですが、そのぶん深く濃厚。
世界から見た自分ではなく、自分の中に深く潜って探求していくような雰囲気のあるおはなしだなーと感じます。

だから、樹なつみの『ヴァムピール』が進むにつれて世界を広げていくのと反対に、どんどん内部に凝縮されてゆきそうな予感がするのでした。

展開を予想すると不安になるので、このシーン、この台詞に傾注しつつ、味わって読みたいと思います。

ところで。
話の展開は丁寧なんですが、描線が途中でがらりと変わったのにちと驚いた。
最初のうちはペンで描いてたと思うのですが、八話で一部筆ペンかと思われるようなところがあり、九話からはなんだろう、鉛筆になっているのかなあ……。
なんとなく安定してないし、画面がうつくしくないので気になりました。

羊のうた (第3巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800249


『風の王国 嵐の夜 上』

風の王国―嵐の夜〈上〉 (コバルト文庫)
毛利 志生子
408601145X



[Amazon]


読了。

国の政略として吐蕃王のもとに嫁いだ唐の公主の波瀾万丈の生を描く、少女向け歴史ロマン。シリーズ十四冊目。

前巻『風の王国 金の鈴』からまたえらく間が空いてしまいましたが、あのラストの後で続きを読むのには勇気がいります。
それ以前に予約が詰まっていて借りられなかったという理由もありますが。

そして予想通りというか予想以上に冒頭の雰囲気が重くて暗くて、読み進めるのがとても辛かったです。

主要な登場人物がいなくなったというだけでなく、絶妙な均衡をとるために重大な役割を果たしていた人物が欠落した事態が、どれほど周囲に動揺と不安を与えるか、均衡を崩してゆくかを目の当たりにさせられるような展開に、ああもう、どうしてという気分になってしまいまして、はかどらなかった。

ヒロインの翠蘭にとっては、ようやく手に入れたはずのホームが失われた。もう吐蕃は自分のホームではなく、かといって唐にそれがあったわけでもないわけで、依ってたつ場所が無くなってしまったに等しい状態。

でも、それは実は彼女だけではなく、吐蕃の人びとすべてに多かれ少なかれ降りかかってきた状況なんだなあ、というのが実感される巻でした。

失われてから初めてわかる、王の偉大さ、というところでしょうか。

かれという保険があったればこそ信頼しあえていたお互いが、疑心暗鬼に駆られて勝手に動きだす状況がとても歯がゆかったです。

とくにロナアルワの行動には、ムッときた。
でも彼女には彼女なりの理由があるのでしょう。しかし、彼女のクッション役を果たしていたのもリジムなんですね。むー。

器の大きな人にも困ったものだな。

王がいなければ部外者として扱われる現実をつきつけられつづける翠蘭の孤独は、当分和らぐことはないような気がします。

ああ、つらいなあこの続きを読むの。
作者さん、ぜんぜん手加減なしでどこまでもハード展開なんだもの。
客観的にいえば密度が濃くてすごいなーと思うのですが、肉体的にハードなのより、精神的なハードのほうが辛い。
それも、味方と思って信頼していた相手に裏切られる展開ほどつらいものはないと、今回初めて感じました。

(アーサー王の円卓の騎士がばらばらになっていく過程というのも、こんな感じだった気がしますが。あれは王自身が生存中なのであんまり悲劇性を感じなかったというか、自業自得な感じがしていまいち共感できなかったんですけれどね。)

でもこんな緊迫したところで放り出すわけにはいかないという気がひしひしとするので、続きも読みます。

個人的には生まれたばかりの赤ちゃんの出番が少なかったのが残念。

風の王国嵐の夜 下 (2) (コバルト文庫 も 2-32)
毛利志生子 増田 メグミ
4086011670

『ヴァムピール 2』

ヴァムピール 2 (アフタヌーンKC)
樹 なつみ
4063145336



借りて読了。

ヴァムピールに寄生されかけたせいで幽霊が見えるようになった男子高校生が、人の暗部に関わる事件に巻き込まれていくホラー心理サスペンスコミック。シリーズ第二巻。


冒頭の男子高校生・伶のほかに、ヴァムピールに寄生されてよみがえった少女・笙。身体を得ていないヴァムピール・男爵(バロン)。ヴァムピールの「吸血行動」によって肉体に溜まっていく澱を浄化する力を持つ臨床心理士・笛吹、の四人が主な登場人物。

どうやら伶君は導入部案内役で、ほんとうの主人公は笙みたいです。
ということは、これは『花咲ける青少年』のダークバージョン?

キャストが揃って、だんだんストーリーに大きな流れが出てきたように思います。
テーマは……生と死の狭間、なのかなと思ってしまうのは私のいまの個人的なテーマだからだと思う(苦笑。

個人的には、笙と肉体を共用している魔女の異名を持つヴァムピール、カンタレッラ様が強烈です。

彼女の、


あなた
…すてきよ……


という台詞のインパクトが凄かった!

けどなにかとても既視感もあるのですね。
記憶をさらってみたところ、樹なつみが大昔に書いた画家の卵達のシリーズに、こういう台詞が出てきた気がする。それと、『マルチェロ物語』のマルチェロが姿を消すまえのエピソードにも、あった気がする。

もしかして、「あなた、すてきよ」という台詞とシーンはこの作者さんの……なんだ、モチーフ? なのかも?

ま、だれに「すてきよ」と言われるか、というあたり大いなる問題だと思いますが。
それがすてきで善良な美女ならただフフ、と思えるだけですが、悪意を好物とする魔女に言われた場合はおそろしいことになりそうです。このシリーズの「すてきよ」は破滅フラグとして警戒した方が良さそうです。おお、こわ!

……いったい何を書いているのか自分。

とりあえず、続きを読みます。

ヴァムピール 3 (アフタヌーンKC)
樹 なつみ
4063145611


「夢の湊」移転

本日、管理人の創作サイト『夢の湊』を移転しました。
移転先はこちらです。


サーバーのレンタル元が不安になってきたので、思い切って借り換えました。
更新なしの移転のみなので特筆すべきことはなんにもありません。
……更新停止してからもう何年も経ってるのに今更という気もしますが、とりあえずサイト止めたわけじゃありませんよ、というお知らせというか。

移転にあたりhtmをちょっとだけいじりましたので、閲覧に不都合がありましたらお知らせ下さい。
できるだけ善処いたします。

感想日記サイトの方はログ移動が大変なのでとりあえずそのまま放っておきます。
ブログに移動させればいいんですけどね、その気力と体力が……。

『幻月楼奇譚 2』

幻月楼奇譚 (2) (キャラコミックス)
今 市子
4199603557



借りて読了。

かぎりなく昭和初期に近い日本を舞台にした、時代もの人情連作コミック。BL風味。

吉原の料亭での出来事を老舗味噌屋の変わり者の若だんなと幇間(たいこもち)の関係を絡めて描くシリーズ。二冊目です。

一巻についての記事で「妓楼」の幇間と書いてしまったのですが、明治時代には遊郭はすでに無くなってるんでしたよね、すみません、間違えました。

かつて遊郭が果たしていた役割は場所と人間とで分裂し、料亭と芸者さんが登場したのかなあ……というのは調べたわけではなく私の勝手な推測です。

芸者さんは場所から自由になったので、注文を受ければ自由に赴くことが出来るようになったのかも。幇間というのはたいこもちと呼ばれるから伴奏や裏方作業をするひとなんだろうと思うのだけど、マネージャーみたいなこともしているのかなあ……。こういうことにはまるで知識がない私は日本のことをもっと知るべきだと思われます(汗。

マンガの方はそんな堅苦しいことを考えずとも楽しく読めます。
作者さんが資料を当たっていないということで時代物と呼ばれることに不安を感じていらっしゃるようですが、これが時代物でなければ他のなんなのか(苦笑。

どのエピソードも人間の情と業の深さみたいなものをさらりと描いていて洒脱。

若だんなのボケにもいっそう年季が入ってきた模様です。

『百鬼夜行抄』もどこか古めかしい雰囲気のするお話ですが、こちらはよりいっそうノスタルジーを感じさせてくれるシリーズだと思います。

ところで、日本の文化には二回の大転換期があって、それは応仁の乱と第二次世界大戦なんだとか。
室町時代から戦前までは文化的にずっと繋がっているそうなんです。
なので第二次大戦のまえに生まれた人はそのまま室町時代にスリップしても戸惑わずに生きてゆけるらしい。

であるからして、この話の登場人物達は、その連綿と続いた日本文化の最後の時代を生きているんだなーと思ってちょっと感慨深かったです。

シリーズ、まだ続いているなら第三巻の刊行をお待ちしています。

幻月楼奇譚(キャラコミックス)
今 市子
4199602615


『ケロロ軍曹 12』

ケロロ軍曹 (12) (カドカワコミックスAエース)
吉崎 観音
404713791X



借りて読了。

地球侵略にやってきたカエル型異星人たちと、かれらを居候させる羽目に陥った日向家の、非日常的な日常を描く、SFギャグマンガ。シリーズ十二巻。

一巻を読んだ時には二次ネタばかりが目についたマンガですが、キャラクターも物語世界もすっかり成熟して、独り立ちしたなーと感じ。

読んでいて楽しくほほえましく、ときにはじーんと来たりもする上質な子供向けギャグマンガになってます。

この巻もとってもおもしろく読めました。

今回目についたのは怪物くんネタくらいかなー。

夏美ちゃんの活躍が多いのはおそらく彼女がもっとも作者さんに愛されているからではなかろうかと推測。可愛いからねー。

いま気づいたんですが、ケロロってアニメ化もされてるんですよね。
それも何年も前から。
ネタは足りているのでしょうか……オリジナルもたくさんあるのかな。


ケロロ軍曹 (13) (角川コミックス・エース (KCA21-22))
吉崎 観音
4047138371


『犬夜叉 33』

犬夜叉 (33) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266630



読了。

戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉と仲間達とともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションコミック。シリーズ第三十三巻。

ふわー。もう三十三巻なのか。でもあと二十巻くらい残ってるんですよね。
いろいろとよく思いつくなあー。プロだからかもしれないけど。

この世とあの世の間にある四魂の玉の欠片の最後のひとつを追って、鉄鶏の血の河を遡っていった犬夜叉たち。かれらがたどり着いたのは犬夜叉の父親の墓場だった。

というところで終わったのが前巻。

この巻は犬夜叉の父の墓前で、欠片を守る父の友人と奈落を交えての大乱闘という展開です。

このエピソードで話が終わってしまってもまったく不思議じゃない、というクライマックスなんですが、そうきたかーというわけでまだつづきます。

そのことは、桔梗がかごめちゃんにと矢を託した時点で気がついていてもよかったような気がする(汗。

それと、殺生丸の天生牙の存在理由がようやく判明したのが収穫かな。

奈落はその存在に一番大事なものを、しっかりと現世に残してきたのでまだ生きてます。

このあとはいったいどうなるんかいな。
まったく想像がつかないので黙って続きを読むことにします(苦笑。


犬夜叉 (34) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266649


「まだ見ぬ君に」

苳子さん作「まだ見ぬ君に」、最新更新分まで読了。

異世界恋愛ファンタジー長編。終章途中まで公開済み。

キーワードは政略結婚、身分詐称、入れ替わり、かな。
とにかくつづきが楽しみなのですv

『幻月楼奇譚』

幻月楼奇譚(キャラコミックス)
今 市子
4199602615



借りて読了。

「かぎりなく昭和初期に近いとある時代」の日本。老舗味噌屋の若だんなと妓楼の幇間(たいこもち)のつかずはなれずの関係と人情味あふれるミステリ風味の短編連作集。

『百鬼夜行抄』の今市子のホラーでない作品。
とあるつてからとある話のついでに教えて貰ったところ、とあるところに所有者がいたので、借りて読んでみました(伏せ字だらけでわけがわからないですな)。

面白かったです。
貸してくれた人が「中身がぎゅうぎゅうだからわかりにくいかもデスよ」
と忠告してくれましたが、そういうわかりにくさは『百鬼夜行抄』で経験済みです。

道楽者と名高い若だんなとかれに関わる人びとの関係が、つかずはなれずひょうひょうとしていて、古きよき日本の光景、という感じ。
謎解きめいた事件に巻き込まれて、というのは『百鬼夜行』と似ていますが、あくまで人間達の出来事である点がこのシリーズのポイントなのでしょう。

お話も面白かったけど、近世からめんめんと受け継がれてきた日本の伝統芸能をになう人びとの周辺の空気を垣間見せて貰ったような、そんなところも興味深かったです。

なかに「こんな悪所で」という台詞があって、それに萌えた(笑。
先日から読み続けている旅芸人に関連づけて読んでいることがバレバレです。
そういう絡みで読むつもりではなかったのですが、自然とそうなってしまうのですね。

最初にレーベルを確認しなかったので、受けとった時にはちょっとびびりましたが、大丈夫でした。
今市子というと飯嶋家シリーズの他にはあんまり手を出さずにおりましたが、その理由はBLだからというものでした。
腐女子資質がかぎりなく低い私が読んでも、作者もファンの方もおもしろくなかろうと思ってたのですが、これくらいなら読めます。

でも、ラストシーンに男同士のシルエットとか見せられたりすると、釈然としないのも現実なのでして。

そういう関係だということをどうも私がしっかりと認識できてないからなんだろうなー。
絵に色気が少ないことも理由のひとつかも知れません。
美しくて、でもどこか庶民的なんですよね。日常的というか。
親しみが持てるし、後味がすっきりとして絵柄としては大好きなのですが。
与三郎がそういう対象にはどうしてもみえないんですよ(汗。

でも面白かったので!
二巻も借りているのでひきつづき読みます。

幻月楼奇譚 (2) (キャラコミックス)
今 市子
4199603557


『世界画廊の住人』

世界画廊の住人 (幻狼ファンタジアノベルス)
栗原 ちひろ
4344816323



[Amazon]


読了。

「オペラ」シリーズの作者さんの、絵に魔力の宿る中世ヨーロッパ風の都市を舞台にした異世界ファンタジー。


 セツリ・ヨクレンは孤児で錬金術師見習いの青年。提出した論文が協会に認められれば、晴れて一人前の錬金術師となる晩に、死体と絵に遭遇してしまう。この世界で絵は描かれるものではなくどこかから掘り出されてくる宝物であり、つよい魔力の宿るものだ。驚いているとその絵は自分のものだと主張するよれよれの男があらわれ、自分は画家だと名乗る。セツリは本気にしなかったが、今にものたれ死にしそうな自称画家に一晩の宿を与えた。翌日、セツリの下宿の天井には『汝、セツリを世界画廊の管理人に任ずる』と絵の具で書かれた文字があった。それからセツリは画家と共にテロ組織『深淵派』に狙われることになる。




設定に凝った物語世界を美しい言葉で美麗に描く作家さん、というイメージの強い栗原ちひろさんの作品。

今回は普段よりもターゲット年齢の高いレーベルということで、そうか、これが作者さんの描きたい世界なのかと納得の出来るお話でした。

以前からキャラクター重視ではないのだろうなと推測していたけど、やはりこの方はまず世界を、それからそこに生きる人びとを描きたいのだなと思いました。
この話はとても入り組んだ仕組みがあって、その特異な仕組みの上にのみなりたつ物語が展開されてます。

この物語では世界の仕組みを明らかにすることが主人公の使命。
よって、ヒーローであるセツリ君は真理を追究し思索する錬金術師であり、かれに敵対する『深淵派』とその幹部でありかつての兄弟子だったカルヴァスは、世界の真理を認めずに抵抗する者たちなのです。

これは情動よりも知的な興奮を味わうお話。

文章もオペラシリーズのこれでもか、という美麗文ではなく、硬いイメージはそのままですがより堅実に足が地に着いているという印象が強かったです。

物語世界の存在が際だっているため、キャラクターはすこし薄めですが、それでもちょっとしたことにお遊びめいた仕掛けがあってくすりと笑えるシーンもあり、楽しく読めました。

長大なシリーズも好きですが、一冊完結のすっきりとした作品の美しさはやはりよいものですね。

『聖なる花嫁の反乱 4』

聖なる花嫁の反乱(4) MiChao!KC (KCデラックス)
紫堂 恭子
406375734X



読了。

恋人を救おうとして楽園を追放になった青年の苦悩と、かれを追って外界へと踏み出した女の子の冒険を描く、異世界ファンタジーコミック。シリーズ四冊目。

シリアスダークハードな物語を生き生きと元気なヒロインで明るく描く、古風だけれど美麗な絵柄の少女マンガ。

この話、物語世界の設定やストーリー展開は艱難辛苦きわまりないんですが、実際ヒーローのリオンは散々な困難に陥っているのですが、なんといってもヒロイン、エリセちゃんのパワーみなぎる活躍が効いてます。

この前向きなヒロインのおかげでテンポが良く、それほど悲劇に落ち込まずにストーリーが進んでいくんだと思う。

能天気で無邪気なのに、いやだからこそなのか陽のかたまりみたいな存在感は、やっぱりかなり普通ではないのではないかと感じますねー。

このヒロインの存在感が、彼女を取りまく人びとにいろいろな影響を与えていくのがよくわかる。リオンがエリセを守りたいと願った理由も納得できる気がします。

いっぽう、「神の花嫁」をめぐるしきたりの裏にどんな理由があるのか、その歴史的な経緯が次第に明らかになっていく過程もスリリングで面白いです。

いやー、つづきが楽しみ楽しみ。

しかし、この巻の表紙絵には何か意味があるのでしょうか。
中身では別段活躍しているようすもないのに、美しく着飾ったザディアス君。
不気味……(汗。

『羊のうた 1』

羊のうた (第1巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800222



借りて読了。

世間と離れた仄暗い世界で生きる人びとの孤独と哀切を描く、えーとこれはホラー? なコミック。シリーズ一冊目。

十数年前、母親の死とともに父親の友人に育てられてきた少年が主人公。
高校二年生になって体調不良に悩まされるようになった少年は、かつて家族と暮らしていた家を訪ねたところ、年上の美少女と出会う。それは生き別れとなっていた少年の姉で、不治の病に侵されているという。

という感じで始まるストーリー。

この作者さんの作品は先日『ももんち』を読んだばかりですが、えらく違うタッチのお話です。
提供者によれば『ももんち』が異色なんだそうですが。
私としては『ももんち』も好きだけどこっちも好きー。

奇しくも昨日読んだマンガと題材が似ているんですが、あちらは手練れが狙いを定めて作りあげた作品という感じを受けるのに対して、こちらは苦労しながら生み出している感のつよい作品という印象を受けました。

狙ってつくったのではなく、一応の目標を定めて掘り進めていったらこんな風なものが生まれ出た、みたいな感じ?

不器用なのかもしれないけれど、過程を大切に丁寧に描いていく展開は私にとってはとても親近感のある好ましいものなんですね。

読んでいてこの作品のアレはラーバレスティアの魔法と似ているかもと思ったりしましたが、それのもたらす苦悩や孤独はこの作品の方がつよく印象に残ると感じました。

雰囲気と感情を味わう作品だと思います。

たいへん気に入ったのでつづきも借ります。

ところで、私が借りたのは「完全版」というのなんですが、多分初版限定なんですね。
もう流通はしていない模様です。巻数は普及版とおなじなので書影リンクは普及版にしました。

羊のうた (第2巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800230


『ヴァムピール 1』

ヴァムピール 1 (1) (アフタヌーンKC)
樹 なつみ
4063145034



借りて読了。

飛び降り自殺の巻き添えを食って九死に一生を得た男子高校生、宗近伶。
しかし、一度死んでよみがえった彼の身にはとてつもない異変が起きていたのだった。

という、お話。
タイトルからバレバレなので言ってしまいますが、主人公はヴァムピールと呼ばれる存在になりかけ状態、になっていたのでした。

この話のヴァムピールは、新鮮な死体からから死体へと寄生して生きている化け物。
血ではなく、人間の生命力を糧としている。
かれらに生命の力を吸われた人間は廃人同然になる、らしい。

で、それになりかけた伶君はというと、目をつけられた吸血鬼につきまとわれているのは当然として、どうやら常人には見えないものが見えるようになっていたのでした。

というわけで、これは『八雲立つ』系の、人間の暗部に関わる事件に巻き込まれるストーリーになりそうかなー。

ストーリーの案内人でヒロインは無表情美少女で、これはいつもの性格歪んだ黒髪美少年の変形バージョン。

なので主人公はけっこう素朴ないいやつ、です。

樹なつみのマンガらしくそこかしこに現金な人物が配されていて、テンポ良くどんどんストーリーが進んでいきます。

暗い話のはずなのに雰囲気は明るいなーという印象で、絵もちょっとぎこちないかなと思いましたが、面白かったです。

供給元にはつづきがあったので借りてこようと思います。

ヴァムピール 2 (2) (アフタヌーンKC)
樹 なつみ
4063145336


『旅芸人のいた風景 遍歴・流浪・渡世』

旅芸人のいた風景―遍歴・流浪・渡世 (文春新書)
沖浦 和光
4166605879



[Amazon]


読了。
日本の中世から存在した「旅芸人」の変遷と実態をエッセイ風に描く本。

旅芸人というタイトルに惹かれて読みました。

旅芸人が出てくる小説はたくさんあるんですけど、旅芸人そのものについて書かれた本って意外に少ないんです。

流浪する被差別民のことについてはもともと資料が少なく、それも体制側からの物が大半であるという理由は、考えてみればすぐにわかることですが。以前に探したジプシーもそんな感じだったし。

というわけで若干期待しながら読んだんですが、なんとなく著者の体験談がベースでそれから先は推測という雰囲気。

元々資料が少ないから推測するしかないんだろうけど、その推測が自信たっぷりに書かれているのを見るとちと疑念を抱いてしまうのは何故でしょう。

話が回想風であちこちに飛ぶので、そのときは「ふーんそうなんだ」と思っても次の瞬間には忘れてしまったり。

なんだか読むのにつかれる本でした。

いっそのこと、最初からエッセイとして読めば良かったのかも知れません。
旅芸人と実際に出会った体験は、第二次大戦後から下の世代にはないもので、それは貴重なものですし。
それがこんなに細部まで豊かにつづられているだけでもこの本は価値があると思うので。

読んでいて、私の母の思い出話の意味がわかったりして、それなりに楽しみましたし。
(母は九州出身なんですが、ドサ回りの人形浄瑠璃一座を見たことがあるらしいんです、それも戦後のことらしいです)。

以下、目次を記しておきます。


はじめに――近世文化の残影を求めて

第一章 街道に生きる遊芸民
 一 遊行する渡世人
 二 乞食巡礼と御詠歌
 三 「辻芸能」としての大道芸

第二章 「物乞い、旅芸人、村に入るべからず」
 一 川端康成の『伊豆の踊子』
 二 宝塚歌劇、温泉、箕面の滝
 三 修験道の行場と西国三十三所巡礼

第三章 ドサ回りの一座と役者村
 一 芝居小屋と活動写真館
 二 最後の役者村・播州高室
 三 村に旅の一座がやってきた

第四章 香具師は縁日の花形だった
 一 一晩で出現する祝祭空間
 二 舌先三寸の啖呵売
 三 大道芸の王者「ガマの膏売り」
 四 ひとり旅の「フーテンの寅さん」

第五章 医薬行と呪術の世界
 一 香具師の本義は愛嬌芸術
 二 市川団十郎のお家芸「外郎売り」
 三 大江戸の辻芸――非人・乞胸・願人坊主・香具師

第六章 遊芸民を抑圧した明治新政府
 一 近背の身分制と芸人
 二 香具師からテキヤへの「渡世替え」
 三 ヤブ医者・渡医師・辻医師

まとめ 旅芸人の生きてきた世界

おわりに――「道々の者」への挽歌





『魔使いの戦い 下』

魔使いの戦い〈下〉 (sogen bookland)
Joseph Delaney 金原 瑞人 田中 亜希子
4488019668



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読了。

中世イングランド?な世界を舞台に、魔使いに弟子入りした少年の苦闘と成長を描くファンタジー。シリーズ第四巻の下巻。『魔使いの戦い 上』のつづき。

七番目の息子の七番目の息子トム君の魔使い修行ファンタジーも第四巻の完結となりました。
修行といってもその内実はかなりのスパルタ実践式。
徒弟なのにほぼ片腕としての働きを求められているといっても過言ではないと私には思われます。

またトム君がこの要求に応えてしまうんですよね。
なんだかだと回り道して転んだり足を挫いたり(比喩です)してますが、最終的には魔使いも思ってもみない成果を得ているのではないかと感じます。

それもこれも性格もふくめて生まれ持った資質のおかげなんですけど。
それもこれもどうやらトム君のお母さんの関与が大みたいなんですけど。

それでも実際に魔女と最前線で戦って傷ついているのはトム君であることに変わりないし、魔女なりかけのアリスと親しくなっているのもトム君なんですから、やっぱりどんな条件を与えられても最終的には自分の意志が物を言うのだなと思ったりしました。

今回は、ペンドルの魔女達が一時的に内部の反目を棚上げして結束した集会の邪悪な目的を阻止できるのか、という一点に向かって収束していくスリリングなお話。

トムの家族達も巻き込まれてのつらい戦いですが、そのつらさも厳しさもきちんと描いてあるところがいいなあと思います。

それにこのシリーズに出てくる魔女達は本当に不気味。
魔女ってイコール大自然と人間の仲立ちをする者、なんじゃないかと思うんだけど。
どうもこの世界では徹底的に悪なんですよねえ。

よいラミア魔女ってのも出てくるんだけど、それが例外的な存在として位置づけられていることが、この世界の謎だと私は感じてます。

それと、この作品はキリスト教圏で書かれたにしてはキリスト教臭が薄いですね。
教会の神父さんも出てくるんですが、なんかあんまり役に立っていないし(苦笑。

いろいろと考える要素がある作品って、思い出しては楽しむことが出来るので私は好きです。

ものすごいクライマックスだったので、もしやこの巻で完結かと思ったのですが、まだ続きますようで。

つづきは『魔使いの過ち(仮題)』となるそうな。
ギリシアに行っちゃったままのトムママの行方も気になるし、刊行が楽しみです。

魔使いの戦い〈上〉 (sogen bookland)
Joseph Delaney 金原 瑞人 田中 亜希子
448801965X


『スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝』

スプライトシュピーゲル III いかづちの日と自由の朝 (3) (富士見ファンタジア文庫 136-10)
冲方 丁 はいむら きよたか
482911973X



[Amazon]


借りて読了。


近未来の国際都市ウィーンで、テロと戦う少女達を描くスリリングなSFサスペンスアクション。シリーズ三冊目。

怒濤の勢いで読み終えました。
おもしろかったー!

独特の文章や決めゼリフやお約束などに慣れてきたので、今度こそ、物語そのものの面白さを堪能できたと思います。
私って小説に関してはかなり融通のきかない読み手だったんだなー、以前から感じていたけどこれを読んでいてしみじみと感じました。
たぶん、これをこのままアニメで見てたらこんなに苦労することもなかったと思うので。

仕事という名の使命を帯びてなんの報酬も受けられず、社会的には体制の犬と蔑まれる人びとにだって、頑張ってるひとはたくさんいるんだよーというお話なのか。

自分の無力さに怒りを覚えつつ、彼女たちの背中を見送ることしかできないやさしい冬真君の存在が、どれだけ彼女たちの心の支えとなっているか。

そんな心の交流を描きながらも、展開はひたすらハードで容赦なく。
敵味方入り乱れての戦いは、壮絶極まる様相を呈してラストへとなだれ込んでゆくのです。

待合室や電車で読んだので、細かいところを読み飛ばしてしまったかなーという少しの心残りはありますが、圧倒的なパワーを受けてめずらしく一日で読み切りました。

さて、このつづきはどうなるのか。
私が読めるかどうかは供給元のお考え次第です(苦笑。

スプライトシュピーゲルIV テンペスト (富士見ファンタジア文庫)
冲方 丁 はいむら きよたか
4829132817


20090514の購入

昨日は病院に行ってきました。
通院帰りには当然本屋へ。

聖なる花嫁の反乱(4) MiChao!KC (KCデラックス)
紫堂 恭子
406375734X



以上、購入。


以下、赤っ恥体験談。

昨日行った病院は二ヶ月に一回予約して通ってる所なんですが、わたし、ナチュラルに予約日を間違えて行ってしまいました。
気がついたの、受付の事務のお姉さんです。
名前を呼ばれて行ってみたら、予約日が違いますけど診察受けますか? と聞かれて、「はい?」となりました。
予約日、一週間後だったのです………。

一週間後にまた二時間かけて出てくるのも面倒なので、午前の部の一番最後に突っ込んで貰いました。
だから待合室で延々と待つことに。
そしてようやく呼ばれて診察室に入ったら、医師の先生に「あ、間違えたんでしたね」とにこやかに言われてしまいました。
はい、間違えましたと応える顔はべつにひきつってはおりませんでしたが。
歳をとるとこういうところ、図太くなりますよね。

しかし本気で思いこんでいたという事実にとほほです。
今度はちゃんと確認していくぞ、おー!

『GO』

GO (講談社文庫)
金城 一紀
4062736837



借りて読了。

直木賞受賞の青春恋愛小説。

「在日」と呼ばれる主人公の少年の日常がたいへんに興味深い一作でしたが、とにかく、熱い青春小説という印象が強く残りました。

さすがに直木賞。
直木賞に思い入れはまったくないんですが、とにかく従来からある文学の世界で認められたというだけに、文章や表現やらでひっかかることはまったくなく、作品世界にすっぽりと入り込んで読める作品でした。

そしてまっとうに熱い。

この熱さは、今ふつーの日本人の少年を書いても得られない熱さなんじゃないかと思う。
自分が何者であるかがわからなくて生の意味すら見失いがちな日本人と異なり、「在日」と呼ばれる人びとはつねに自分が何者であるかを確認し、確認させられて日々を送っている。

強制的に枠をはめられたことに反発を感じながら、それでも現実的に自分の帰属する場所を認識せざるを得ない日常によって、主人公は自分は自分だ、自分が自分を決める、と言い放つまでに鍛えられていったのだと思うのです。

仲間との濃密な関係や、家族との強い絆、社会生活や恋愛におけるハードルの高さ。

すべてがマイナスではないし、かといってプラスであるとは絶対にいえない状況において、かれらは間違いなくそこらの日本人よりも身の詰まった生を生きていると感じました。

良質の青春小説だと思います。

なによりも、少年のアボジ(父ちゃん)が格好良くて格好悪くて、ほんとに素晴らしかった!
息子を愛情を持ってたたきのめすことが出来る関係をつくるのってけっこう難しいことなんじゃないかと思うのです。
真正面から父親を超えてやる! と誓うことが大人になる第一歩だっていうの、男の子としては理想的だよね。

少年が恋する女の子は、はじめのうちはハルヒみたいだなーとちと呆れてました。ハルヒほどぶっ飛んではいないけど。でも言葉遣いがいつの時代の女の子?って感じで違和感。
少年的には自分の属する世界を強烈に意識するきっかけになるエピソードだし、「青春恋愛小説」には欠かせない存在ですが、私にはこの恋愛関係の話はどうでもよかった(汗。
カッコイイ物を探して共有するのはいいことだと思うけど。

つまり親子愛と友情。
私的にはこの話はそこに尽きます。

ところで。
私が読んだのは講談社文庫版ですが、どうやらすでに絶版。
いまは角川文庫版が手に入りやすい模様です。

GO (角川文庫)
金城 一紀
4043852010


『犬夜叉 32』

犬夜叉 (32) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266622



読了。

戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間達と共に四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇アクションロマンスコメディーコミック。シリーズ三十二冊目。

ゴールデンウィークで予約本が回ってこず、しばらくの間をおいて読んだ三十二巻です。
……えーと、これまでのお話を大分忘れてしまいましたよ?(汗。

そういえば前巻の終わりではかごめちゃんが桔梗と会ったのでしたね。

この巻では、かごめちゃんが死にかけていた(?)桔梗から奈落の瘴気を浄化するエピソード。

奈落の落とし子の赤ん坊が託された城が阿毘姫に襲われ、赤子を守れと命じられた琥珀くんがまたしても奈落の命令通りに城の住人達を手にかけているところに、珊瑚ちゃんが出会ってしまうエピソード。

桔梗に呼び寄せられた犬夜叉が、まもなくこの世とあの世の境への道が開かれるだろうが、そこへかごめは連れていくなと忠告されるエピソード。

阿毘姫が集めた人間達の血で母親である鉄鶏の蝕まれた身体を癒した時、現れた奈落が阿毘姫と鉄鶏を亡き者とし、鉄鶏からあふれでた血の河によってこの世とあの世の境への道をひらくエピソード。

血の河の道に飛び込んだ犬夜叉たちがつぎつぎと放たれてくる金剛石の矢に襲われるエピソード。

までが収録されています。

この巻のクライマックスは、奈落に記憶を封印されて操られていた琥珀くんが、珊瑚ちゃんを目の前にしてとうとう自分の犯した罪を思い出したシーンでしょう。
テンポの良さにともすると読み流してしまいそうになる高橋留美子作品ですが、ひとつひとつのコマやキャラクターの表情に万感の思いがあふれてて、ううっ、なんてこんなにひどいことにと泣きそうになってしまいます。

途方に暮れる珊瑚ちゃんに弥勒様がいてくれてよかったなー。
「いまはやめてね」という台詞が可笑しくて可愛かったです。

それから、かごめちゃんが桔梗とふたりきりで会うシーンというのも初めてじゃないかな。
おなじ魂の持ち主でおなじ男を愛していて、それゆえに立場の違う二人の巫女。
このふたりの存在が、どういうふうにそれぞれの場所におちつくのかがこの物語の最大の問題かもしれないと感じました。

けっきょくこの話は犬夜叉の話ではなく、彼女たちの話なのかも。

阿毘姫母の鉄鶏にはびっくりしました。
こんなに巨大なのに鶏なのか。しかも地獄に棲んでいるらしい。

奈落はこういう知識をどこで仕入れてくるんだろう。
ところで、変化してからの奈落の衣装が見る度に可笑しくて、ついつい笑ってしまいます。
なんというか、特撮物の怪人みたいなんだもの。

つづきはもうすこしはやく読みたいです。

犬夜叉 (33) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266630


『ももんち』

ももんち (ビッグコミックススペシャル)
冬目 景
4091825508



借りて読了。


美術予備校に通うほんわり系女の子の日常をほのぼのと描く連作シリーズ。
一巻で完結。

「ビッグコミックスピリッツ」で連載されていたものらしい。
スピリッツにこんなマンガが載ってるのか……。

ヒロインの岡本桃寧は美大を目指している一浪中の女の子。
父親は行方不明だけど兄と姉に過保護気味に甘やかされていた彼女は、このたび自立を目指してひとり暮らしを始めることに。

しかしかれらが過保護なのには理由があって、桃寧ちゃん、ちょっとおっとりマイペースな引っ込み思案の性格でどうも危なっかしい。

同い年の友人達もそんな彼女を可愛がり、なんとなく妹扱い。

そんな彼女にもいろんな出会いや悩みやあわい恋があるのでした。

とこんな感じのストーリー。
なんとなく私が昔読んでたころの少女マンガっぽい雰囲気です。
と思っていたら、作者さんご本人があとがきで「70年代から80年代初頭の少女マンガ」を書きたかったと明かしておいででした。
なんだ、そのまんまじゃん!

それで今はこういう話は少女漫画誌では絶滅していると思ってました。
それが青年誌に載ると受けるのですね。不思議な気持ち。
かつての奥ゆかしい乙女心が、男性にはいまや求めても得られない夢まぼろしなのかも……?

作品そのものはとっても楽しく読みました。
ももちゃん、癒し系のかわいい女の子で一生懸命なところに好感もてます。
お兄ちゃんとお姉ちゃんとお母さんがいい味出してます。
最後まで顔が見られないお父さんも、得体の知れない存在感。
同性友人二人もべたべたしてない気が置けない感がよし。
松本君、登場時の目つき悪すぎ(苦笑。

個人的にはミイラになってたというモルモットに同情を覚えました。
キューキュー鳴いてただろうに……。ううっ。

『恋のドレスと宵の明け星 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

恋のドレスと宵の明け星―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
青木 祐子
4086012871



[Amazon]


読了。

ヴィクトリア朝イングランドのロンドン近郊を舞台に、公爵家の跡取りと仕立屋の女の子の恋愛を描く、時代物ロマンス。シリーズ十五冊目。

今回は、恋の不安に苛まれたクリスがお仕事に支障を来してしまうお話。
シャーロックの手紙に一喜一憂して、浮き沈みの激しいことこの上なしのクリスちゃんです。

クリスにとってドレスづくりはお客様のためにする仕事なのではなく、お客様を素材にして作る作品なのだなーと感じるお話でした。

だから自分と作品の距離を保てず、迷いが出てしまう素材とは向かい合えないのですね。

ゆれうごくクリスは、迷いの中でそれでも過去に決着をつけなければと決意をしている模様です。

だんだんクリスと母親の過去が明らかになってきて、さらにジャレッドに思いもかけない人にひきあわされたりして、この巻は小さな盛りあがりがいくつかあって、でもテーマはクリスの不安にシャーロックがいつ気がつくか、だったような気がしました。

そしてクリスから離れたロンドンで何にも知らないシャーロックは……いやはや、もうなにも言いません。かれにはかれの事情があることはわかってますから。しかしやはりなんというか、行間読みとれ! と言いたくなりますね(苦笑。

装画がいくぶん地味だったからかお話も地味だったように感じましたが、最後のクリスの爆発でかなり嬉しく読み終えました。

とくに時々無神経な母と息子が笑えました。

ずっと心配のし通しだったパメラちゃんには、もっといい思いをさせてあげたいです。

『薬王樹の書 暁と黄昏の狭間II』

暁と黄昏の狭間〈2〉薬王樹の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ
4198507791



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読了。

各国の思惑の中で翻弄されながらも懸命に生きていく少女の運命と、神々の絶えようとしている世界を描く、異世界ファンタジー。シリーズ二冊目。

この世界では、人がそれぞれ七つのワンと呼ばれる気のようなものをもち、強力なそれを駆使して生命魔術を使うものを魔術師(ジーヴァ)と呼びます。

主人公の少女セフルはもともと鍛冶師の村の出身でしたが、とある事情により強いワンを持つことになり、今回は大国オラにある魔術師の学校(?だったっけ)で大魔術師サイヤーレの研究対象になってます。

前巻でもかなり孤独な状況にあったセフルですが、知人は増えてもそれがほとんど敵ばかりというのが哀れを誘います。

こんなに哀しい状況なのにセフルはいじけることなく耐えつづけ、おなじ苦境に陥っている唯一の友人といってもおっさんなんですがのエイメの心配もしていたりします。

彼女が心の支えとしているのは故国ドムオイの若き近衛騎士隊長ギルダン・レイ。
かれの誇り高く不屈な精神に憧れているセフルは、おそらく恋をしているのだと思います。

しかしレイ卿はオラの影響力に屈しつつある国王家からうとまれて、左遷され、さらに苦境へと追いやられていたのでした。

この巻では、オラの信仰対象である薬王樹とそれを護りつづけてきたオラの最高位貴族サンダーキニ皇爵をめぐる出来事が描かれてます。

生命魔術の祖と言われるサンダーキニ家と薬王樹の秘密が、魔術師の欲望の対象となり、黒い陰謀が展開されるのです。

相変わらず、ハードな話です。

ファンタジーには美しさを武器としてつねに空を飛ぶように幻想を描くものがありますが、それとは別に地を這うように人間のリアルさを追求していったさきに飛び立ちひらけた光景の美しさとして幻想を描くものがあると私は感じています。

そういう観点から見れば、この話はあきらかに後者。

地味で苛酷でときに不潔ですらある現実と真正面から向かいあう、生真面目な描写に共感しながら読みました。

うん、いいですこの雰囲気。

華麗で舞うような文章も好きだけれど、こういう地に足のついた土臭い話も大好き。

この巻では白トカゲという雪泥の土地を行くための騎乗獣が出てくるんだけど、この白トカゲと人の関わりの部分だけでもいいなあと思います。

私には、違う土地で生きている人たちの生活を見たい、という願望がいつまでもあるようで、こういうディテールにすぐに惚れてしまうんですよね。

つぎはどこに行くんだろうかと、すでに頭は三巻へと飛んでいます。

いや、サンダーキニ皇爵のツンデレっぷりは楽しかったですよ。
かれはかれなりに愛すべき人物であったと思います。

暁と黄昏の狭間〈3〉角獣の書 (トクマ・ノベルズEdge)
西魚 リツコ
4198507848


『ラギッド・ガール 廃園の天使II』

ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)
飛 浩隆
4152087676



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読了。

仮想のリゾート空間〈数値海岸〉に生きるAIたちの運命と、〈数値海岸〉を開発した人びとの歪みを描く、近未来SF中編集。『グラン・ヴァカンス 廃園の天使1』の続編。

『グラン・ヴァカンス』では〈数値海岸〉の内部、つまり仮想空間のみで話が展開されましたが、今回は現実で〈数値海岸〉にかかわった人間とその周辺にもスポットがあてられ、〈数値海岸〉開発秘話や〈大途絶〉の原因などがあきらかになります。

『グラン・ヴァカンス』だけを読むと異世界ファンタジーもかくやという雰囲気なのですが、仮想リゾートのテクノロジー的な裏付けが現実側から書かれると、これはやはりSFだなあと感じざるを得ません。

物語世界の設定が相当緻密でハードなのがよくわかる。そのうえに硬質で透明で曖昧さの少ない、まるで透明硝子の上にとろりとした液体(凍る寸前の水に多少の粘度あり?)がつたわるような文章がものすごく五感に訴えてくるのに圧倒されます。

しかも、たいそう精神的に痛い。

『グラン・ヴァカンス』も相当痛かったけど、現実を舞台にしている分、痛さが心に食い込んできて身体に刻みつけられるような気がしました。

収録作品は以下の通り。


夏の硝視体(グラス・アイ) Air des Bijoux

ラギッド・ガール Unweaving the Humanbeing
クローゼット Close it.
魔述師 Laterma Magika

蜘蛛(ちちゅう)の王 Lord of Spinners

ノート




表題作の「ラギッド・ガール」の痛さは半端じゃないです。
突出したものを作り出す人間って、なにかしら欠落しているような気がしますが、この話のヒロインは生まれたときから背負っている痛みを黒い感情でもって作品に昇華していたんですね。

美しいとすら思わせる明晰な文章で描かれる世界は歪みと痛みが満載。
正直、つらくてときどき放り出したくなりましたが、それでも惹きつけて最後まで読ませる力は尋常じゃないと思います。

〈大途絶〉の前後を描く、「蜘蛛の王」も凄かった。

この作家さんは寡作でもってしられてますが、こんな話を量産する人がいたらちょっと危険なのではと感じました。

面白かったです。
けどハードです。
精神的なゆとりのある時に読むことをお薦めします。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)
飛 浩隆
4150308616


『毎日かあさん 5 黒潮家族編』

毎日かあさん 5 黒潮家族編
西原 理恵子
4620770582



借りて読了。

マンガ家西原理恵子によるセキララ日常育児日記マンガ。
毎日新聞にて連載中。

この巻がいまのところの最新刊のようです。

子どもたちもどんどん大きくなって、開始時にはおにいちゃんが保育園児だったのに、妹の卒園が描かれてました。
子供って気がつくと育っているのよね……。

西原家の子どもたちは人としての最低限の躾をびしっとうけて、その他はかなり奔放に生きている模様。
野生児のお兄ちゃんも、いい子で素直だけど腹黒の妹も、母親思いの子供に育ってます。
おかあさんが決めるとこは決めるひとだからだろう。
世間体に振りまわされて、基本をちゃんと押さえられない親が多い中で、この子たちは幸せだなあと思います。

しかし日常のぐだぐだ感はあいわらず可笑しいです。

これまであんまり出てこなかったので気づかなかったけど、お兄ちゃんは昨今の男の子の例にもれずゲームにかなりハマっているもよう。
小さいお友達は普通の光景ですが、母繋がりの大きいお友達の大人げなさに呆れ笑いしました。

子供に向かって大人買いしたゲームのカード見せてえばるな!
自分の開発したゲームで子供に勝ってえばるな!

……モンハンってそんなに面白いんですね。

弟がもってたのでどうなのか訊いたところ「面白いよー」と言われました。アクションだから私には「無理だね」と一言の下に切り捨てられましたけど。

最近、以前から広かった私の知らない世界がさらに肥大化している気がします;

「ZERO 可能性の獣」

袋小路はまるさん作、「ZERO 可能性の獣」読了。

現代SFサスペンス長編、完結済み。
硬質で饒舌な文章。あざやかな動的描写。

トップページの紹介には「現代心理FT 」とありますが、私的にはSFのほうが近いと感じます。

けっこうハードなのでほのぼの系がお好きな方にはお薦めしません。