『犬夜叉 36』

犬夜叉 (36) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266665



読了。

戦国時代へとトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに四魂の玉の欠片をもとめて旅をする、伝奇アクションロマンスコメディーコミック。シリーズ第三十六巻。

この巻では、

前巻にひきつづいての、白童子につくられた身体に善人の魄をいれられた御霊丸とのエピソードと、

奈落の心臓を追っていった一行が鬼の腹の中に閉じこめられ、絶体絶命の危機を脱するために犬夜叉が四魂の玉の欠片を使うエピソードと、

奈落の毒虫のせいで体調を崩した弥勒を助けようとした珊瑚ちゃんが、幻術を使う薬売りに操られてしまうエピソード、

が収録されています。

目新しい展開というと、ひそかに奈落に反抗している神楽が奈落に捨て駒にされて死に瀕したときの、殺生丸とのエピソード。

りんちゃんがとっても可愛いのと邪見がとってもおかしいのと、神楽のつねならぬ感傷的な台詞が印象的でした。

あとは犬夜叉が四魂の玉の欠片を使おうとして妖怪化しそうになるところ。
犬夜叉が今の状態を保ったまま四魂の玉を使うことはできないんじゃないかなあと思わせられるエピソードでした。

完全に人間になるには四魂の玉がすべて揃う必要があるのかなとか。

そんなふうに進展はしているのですが、話の造り全体がいままであったエピソードを彷彿とさせるところがあり、奈落の時間稼ぎはどこまで伸びるのか、ちょっとだれてきた感は否めません。

読むのは止めませんがだんだん印象が薄まってきたな。
はやく話が進んで欲しいです。

犬夜叉 (37) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266673

『王子の優雅な生活(仮) 2』

王子の優雅な生活(仮) 2
紫堂 恭子
4022131373



読了。

クーデターにより追われる身となった王子が、森に隠れ住みながら庶民の生活を目の当たりにして成長(?)する。異世界政治人情コメディーコミック。シリーズ二冊目。

社会とはかけ離れた生活によりすっかり浮世離れした性格に育っていたアンドレア王子。
かれが庶民の生活を目の当たりにして実地研修をし、生まれながらの施政者としての資質を開花させていく……美形のノーブルな王子様の公正な行動に周囲の人びとが次第に信頼を寄せていく。

でもお付きのひとたちは常識とはかけ離れた王子の言動にハラハラのし通し(笑、というお話。

読みようによってはかなり辛辣な事を書いているのだけど、王子の常識と行動=お笑いが楽しいのですんなりと読めてしまう、うまいなーと思わせる安定した話運びです。

並行連載されている『聖なる花嫁の反乱』とは違って、こちらはファンタジー要素は皆無。でも、王子が人界の法の外にある森に住んでいたり常識から外れていたりするのは、中世風にいえばかれが人ならぬもの、非人であることの象徴で、だから王子はひとにはない行動力を発揮するのだとも解釈できますよね。

ま、いつもはそんな七面倒なことは考えずに楽しく読んでいます。
いまふと思いあたったので書いてみただけです。

ところで、作品が連載されていた雑誌『夢幻館』はWebコミックになるそうです。
連載途中で終わりにならなくてよかったと思うわけですが、掲載されるのがYahoo!なのだそうで。
Macだと読めない……。がっくり。

連載が順調に進んで単行本として刊行されるように切に願います。

王子の優雅な生活(仮) 1
紫堂 恭子
4022131160

『ピアノの森 4』

ピアノの森―The perfect world of KAI (4) (モーニングKC (1436))
一色 まこと
4063724360



借りて読了。

森に忘れ去られたピアノを弾きこなす天才少年海の成長を描く、音楽マンガ。シリーズ第四巻。

読みましたー。

阿字野先生にショパンを教えて貰う代わりにコンクールに出ることになってしまった海。
そのコンクールは、友人雨宮君が目指しているものだと知っている海は、真面目にピアノに取り組んでいる雨宮君に悪いと思い、雨宮君は偶然海の出場を知って、ここに行き違いが生じる……という展開です。

ここで海の雨宮君に対する引け目と、雨宮君の海に対する強烈なライバル意識が浮かびあがるわけですが。

私は阿字野先生のひとことひとことに深い含蓄を感じます。
月明かりのシーンも素敵でした。

そうだよ、音楽は競争するものじゃない。
自分だけのなにかを表現するためのものなんだ。

とはいえ、そのためにはテクニックが不必要というわけではないので。
やはりある程度まではライバル心もあったほうがモチベーションが違うんだろうなあ……。

と、幼児時代から習い続けていまだに譜読みのきちんとできない小六を思うワタクシ……。

そういえば海くんはいつ譜読みを身につけたんだろう?

たぶんつづきも借ります。

ピアノの森―The perfect world of KAI (5) (モーニングKC (1437))
一色 まこと
4063724379

『おせっかいなゴッドマザー (株)魔法製作所』

おせっかいなゴッドマザー―(株)魔法製作所 (創元推理文庫)
Shanna Swendson 今泉 敦子
4488503047



[Amazon]

いただいて読了。

現代ニューヨークを舞台にフツーの女の子が魔法を作ってる会社に就職。さらには超できるハンサム魔法使いに恋をする。現代ファンタジー。シリーズ三巻目。

女の子と呼ぶにはちょっと抵抗のある、でも若くお年頃なヒロイン・ケイティの、ロマンティックコメディーなファンタジーです。それなら女の子と書かなければいいのにと思われるかも知れませんが、本文中に何度も「女の子」と連呼されているので他に呼びようが……(苦笑。いや、もしかしたら女の子という言葉が意味する範囲がここ数年で広がってきているのかも知れませんね。「男子」なんていったいどこまで広がるんだって感じだし。

今回は魔法使いの会社(株)MSIに敵対している元社員のイドリスが、どこからか資金源を得て大々的に対MSIをぶちあげ始めてさあたいへん、なお話でした。

前巻で念願叶ったケイティですが、お相手のオーウェンは恥ずかしがり屋で仕事大好きな王子様もとい魔法使い。会社の危機とあれば全身なげうっての奉仕をいとわず、真面目で責任感の強いケイティも無理だと思われる頼みを引き受けてしまう……ということで、ふたりはなかなか二人の時間を満喫できません。

私としてはオーウェンがどうもタイプではないらしく(ハリー・ポッターみたいと形容されてからは特に;)、どうしても魔法界の住人の行動に興味が向かいがちです。

そんなわけで、今回の傑作はやっぱり、フェアリーゴッドマザー! でしょう。
お節介なのは乙女の恋を成就させる手伝いをする、という性質からしようがないわけですが、そのアドバイスもサポートも頭が痛くなるような時代錯誤にみちみちていて、それでなくともストレスの多いケイティの大いなる頭痛の種となります。しかもまったく空気を読まない唯我独尊、ゴーイングマイウェイで、どうみても険悪になっているのに「ワタシ、やったわv」な盛りあがりっぷりで、これがもう可笑しくてなりません。

あとは、ケイティとオーウェンを迎えに来た車の運転手たち。
これは語ってしまうと面白くないので書きませんが、ニューヨークまでの道中が楽しくてなりませんでした。

あとは生き物を何でも懐かせてしまうオーウェンのエピソードにも笑った。

私にとってのこの話の面白さは、現代に魔法があることに無理がなく、物語に必要不可欠な要素として機能している、きちんとしたファンタジーだってところだと思う。

出てくるのがほとんど欧米産の魔法の住人で、アメリカ土着の精霊たちが蚊帳の外であるのがちょっと残念なのですが、この話にはネイティブの登場人物がひとりもいないので致し方のないところなのでしょう。

さて、話的にはイドリスとの攻防がかなり激しくなってきたところですが、そこでケイティがあることに気づいてある結論に達してしまいます。

そして現実的なケイティならではの行動に走るというところでこの巻は終わりです。
なにしてるんだ、そんなことしても無駄に決まってるのに~。
とやきもきしながら次巻に続く、です。

つづきもいただいているので比較的すみやかに読めそうです。
というか、これを書きおえるまでと我慢していたんですのよ、ようやく書けてホッとしました。
さあ、読もう!

コブの怪しい魔法使い―(株)魔法製作所 (創元推理文庫)
Shanna Swendson 今泉 敦子
4488503055

『羊のうた 6』

羊のうた (第6巻) (バーズコミックス)
冬目 景
434480015X



借りて読了。

血族に伝わる奇病に冒された姉弟の孤独と不安から変化する感情。かれらを気づかう人びとの、せつなさやるせなさを叙情的に描く、心理サスペンスコミック。シリーズ第六巻。

社会と隔てられた狭い世界での濃密な人間関係を静かなエピソードによって積み重ねていく、雰囲気たっぷりの作品です。

この巻はどっぷりと二人の世界に踏み込み始めたかに見えた千砂と一砂が、ふたたび外との関わりを持ち始める展開。

それは千砂が自分に対して感じている猶予の短さからもたらされたものですが、これがまた他人に期待したりさらに溝を浮かびあがらせたりと、これでもかと孤独を暗示する話へと流れていくのが哀しくて……たぶんこのあたりがこの作品の良さなのだと思いますが、読んでいると辛いなあとおもうことしきりです。

並行して、元看護師が姉弟の父親の自殺原因を探し求める姿がかかれていますが、彼女のうちにひそむひそかな思慕の存在が、端から見ると傍若無人な行動に意味を与えて、姉弟の父親への興味をかきたててくれるのも絶妙。

高城家の謎……というか、姉弟の両親の死の謎が解き明かされたときになにが残るのか。

知りたいけれど怖いような気がするなー。

次はたしか完結編。
どんな結末を迎えるのかわからないけれど、なんだか神妙になっている今の私でした。

羊のうた (第7巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344801989

『おおきく振りかぶって 12』

おおきく振りかぶって Vol.12 (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063145700



読了。

日常の中に野球がある。等身大の高校生たちが躍動する高校野球マンガ。シリーズ第十二巻。

おひさしぶりの新刊です。奥付によると2007年の連載分が収録されているそうな。
……出し惜しみ?

刊行の間隔が長いのでまだ主役たちは高校一年生最初の夏の真っ最中です。
埼玉県予選の試合途中から途中まで。

相手高から事前に研究された西浦高校は初回に三点取られてちょっとした呆然状態。
これからどうやって阿部リードを読んでくる敵の攻撃を凌ぐか、さらに相手の裏をかく攻撃で得点することかできるか、が焦点になってきました。

うーん、おもしろいんだけど、なんかフツーの野球マンガになってきたような。
私はこのマンガの野球だけが生活じゃないよ、というところが好きなんですが、今回は選手以外の活躍が少なかったのでちと物足りなかったです。

私はデータ野球は散々見ている(プロ野球ファン)ので、ここでは高校生らしい野球を読みたいんですよ。

そりゃ、県予選も押し詰まってくればみな相手の読みあいになるのはわかってますが、県立のぽっと出の三回戦くらいでもうその壁に突き当たるのか、という哀しさがふつふつと湧いてきてきてしまいました。

まあ、データ野球をうち破るのは並大抵ではなく、高校生としてのその辺がきちんと描かれているのはやっぱり素晴らしいと思うわけですが。

うん、そうですよね。
大きいのが打てないと見切られた子が、大きいのは打てないなりに工夫を凝らしたりアドバイスを受けてモチベーションを維持しようとするあたりが、高校生なんだ。

これがプロなら、即交代だもんなー。

ピッチャーもプロなら交代させられるところでもずっと投げ続けなければいけない。
これはかなりの精神修養になるだろう。

そうか、ベスト8の壁なんだな。これは。
ベスト8に残れば、準々決勝に出られるんだ。

……そんな修羅場をくぐってきたはずの人びとがなぜプロのマウンドではまったく力が出せないのかが謎ですが。もしかしてこの試合はお前と心中だ、とか言われると精神的に違うのか? ほら、マウンドを降ろされたくないという心が打たれたくないという緊張を生み出してかちんこちんになってコントロールを乱し、四球四球でストライク取りに行ったところをガツンと打たれてさらに打たれつづけるわけだから。いやでも巨大なリスクを抱えてそんな無茶はさせられないよな。とくにどこぞの連敗超特急球団の場合(汗。

話が横道に逸れまくりましたが、やっぱりとてもいろいろ考える材料をくれる楽しいマンガです。

試合の決着とその後の日常を読むのが楽しみですw

おおきく振りかぶって Vol.11 (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063145255

20090623の購入

「おお振り」の発売日だよ、というわけで本屋に行ってきました。

おおきく振りかぶって Vol.12 (アフタヌーンKC)
ひぐち アサ
4063145700


蟲師 (6) (アフタヌーンKC)
漆原 友紀
4063143813


新刊ではないけど『蟲師』も購入。

いまBSで再放送をしているのを某アニメを見はじめたときに気づきまして、一緒に録画してみているのですが。
アニメを見ているうちにつづきがどうしても読みたくなりまして。

アニメ版、すごく出来がよくてこんなにいいのは珍しいなーと思います。
ほとんど話を覚えていないこともあって毎回すごく楽しみにしています。

で、見ているうちになんで途中で買うのを止めたんだと思い、一巻から読み返してからにすればいいのにつづきがあったのでつい手に入れてしまったのでした。

帰ってから一巻を読み返してみましたが、見事に内容を忘れきっていてアハハでした。
同時に、やっぱりとっても好きだーと思うお話だったので買ってきてよかったと、買ったのはまだ読んでないけど思いました。

ふふふ。これでしばらく楽しめるぞ。

蟲師 其ノ壱 [DVD]
馬越嘉彦 漆原友紀
B000BWDCT8

『諏訪に落ちる夕陽』

諏訪に落ちる夕陽 (コバルト文庫)
ながと 帰葉
4086010852


[Amazon]


読了。

少女向け歴史小説。
2006年度コバルトノベル大賞読者賞受賞作品である表題作ふくむ短編二編を収録。

読みながら「若いっていいなあ、文章にエネルギーが満ちあふれているよ」と思いました。
この本が刊行された時点で作者さんは十九歳。
受賞作品は高校生のときに書かれたものだそうです。

収録作品は以下の通り。


諏訪に落ちる夕陽
光さす王宮(みあらか)



二編とも、戦国時代の武田家周辺と古代大和王朝を題材にした、ごくごくオーソドックスでロマンチックな歴史恋愛小説なんですが、それをきちんと一般的に読める形で描ききった資質が素晴らしい。

若書きであることは否定できないけれど、それを補ってあまりあるパワーを感じました。

あとがきをうかがうに作者さんの歴史に対する思い入れはひとかたならぬものがあるようです。
だから次作以降も歴史ものを書いているのかと思ったのですが……。

え、異世界ファンタジーなの?

この方の資質はファンタジーにはないように思えるのですが。
でもシリーズ化しているのだから人気があるんですよね、たぶん。
最近少女向けの恋愛はファンタジーでないとリアリティーが出ないからと、そういう流れの中での作品なのでしょうか。

でも今は歴女なる方々もいらっしゃる時代。
ぜひまた歴史ものをとお願いしたい気持ちです。

ファンタジーのシリーズは図書館の予約数がものすごいので、縁があったら借りてみたいと思います。

個人的メモ。
帰葉は「きは」と読む。
「きよう」だと思ってました……。

アルワンドの月の姫―砂漠の王子と銀の杖 (コバルト文庫)
ながと 帰葉
4086011433

「EARTH FANG」

Azurite(藍銅鉱)さん作「EARTH FANG」第二部まで読了。

古代シベリア・ファンタジー。

極寒の厳しい環境に精霊を敬い暮らすひとびとと、太陽神をあがめる開拓者。
不幸な異文化遭遇とシャーマンの物語。

かなりハードな物語ですが自然描写と日常の生活描写の細やかさが同居する硬質な文章に引き込まれてしまいました。

物語の必然として残虐な描写がありますので、ご注意下さい。

『ピアノの森 3』

ピアノの森―The perfect world of KAI (3) (モーニングKC (1431))
一色 まこと
406372431X



借りて読了。

森に捨て置かれたピアノを弾きこなす少年の目覚めと、かれの才能をめぐる人間模様を描く、音楽コミック。シリーズ第三作。

ピアノの天才なのに無欲で無自覚な少年一ノ瀬海。
天才を目の当たりにしてピアノと本気で真向かうことになった少年。
かつての栄光を失い失意のうちに漫然と日々を過ごしていた音楽教師。

いまのところこの三人を軸に描かれている青年マンガです。

今回は海がようやく無欲から前進するストーリー展開。
阿字野先生のひくショパンに魅せられた海は、それが自分にはどうしても弾けないことに苦悩します。

自分流でも弾けるし弾けるのだからそれでいいと思っていた海は、ここではじめて自分だけでは超えられない壁を目の当たりにしたのですね。

阿字野先生の海の操縦法も見事ですが、無味乾燥とも思える練習をショパンを弾きたいという一念でしつづける海の根性には驚きました。

そもそも素質があるのにこれだけ努力を惜しまずすることができるのなら、海の将来の成功はもう約束されたもののように思えます。

これからのかれの本当の問題は、社会との軋轢をどうやって乗り越えていくかに尽きるような気がするほどです。

まあ、これでつねに蔑視されてきた海が阿字野先生を全面的に信頼するとも思えないんですけどね……(苦笑。

というわけで、つづきも借りてあるので読みます。

ピアノの森―The perfect world of KAI (4) (モーニングKC (1436))
一色 まこと
4063724360

『夜市』

夜市 (角川ホラー文庫)
恒川 光太郎
4043892012


[Amazon]


読了。

第十二回日本ホラー大賞大賞受賞作の和風ファンタジーホラーを含む短編集。二作収録。

うお、これはスゴイ。
現代を舞台に日本の民俗学的な要素を使用して仕立てた、叙情的なホラー小説ですが、予想を覆してまったく予定調和にならない。
あっと驚くような結末を迎えつつそれでもどこか哀切な気配の漂う、まさに和風ホラーです。

スプラッタな怖さはないけれど、しんしんとこころに響いてくるような悲痛と孤独がここにはあります。

読んで驚いた後にしみじみと浸ってしまいました。

収録作品は以下の通り。


夜市
風の古道

選評



「選評」というのは日本ホラー大賞の審査委員の選評。
荒俣宏、高橋克彦、林真理子の各氏の評が掲載されています。

大賞受賞作品の「夜市」も、書き下ろしの「風の古道」も、異界に偶然足を踏み入れてさまようお話。
この異界はまだ死の手前の黄泉比良坂にあたる場所ですよね。
ううっ、わくわくしてしまいましたw

惜しいなと思うのは叙情作品にしては描写があっさりとしているところかな。
色がまったく感じられないのはこういう舞台だから当然としても、もうすこし輪郭とか空気感が感じられると「私が」たいそう嬉しいのにと思いました。

この作者さんの他の作品も読んでみようと思います。

雷の季節の終わりに
恒川 光太郎
4048737414

『羊のうた 5』

羊のうた (第5巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800265



借りて読了。

家系に伝わる奇病に冒された二人の姉弟とかれらに関わる人びとの葛藤を叙情的に描く、心理サスペンス。シリーズ第五巻。

息苦しさすらおぼえる千砂と一砂の距離感。
ふたりを見守る人びとの焦燥ともどかしさ。
さらに煮詰まっていく濃密な人間関係に、一石を投じるあらたな存在が現れた。

というところで今回は終わり。
これからは秘められた過去が明らかになっていくのでしょうか。

手に届かないものへの憧れを描くのが切ない物語だという話を先日ネットで目にしました。

それで、この話が切ないのは、それぞれに大切に思っている相手にきちんと存在を認められたい、心を開いてもらいたい、それがなかなか叶わないというひとの心情が描かれているからかなーと思いました。

この話ではその障壁が奇病ということになっているけれど、現実にはいろんな事で人と人とはすれ違うし分かりあえないんだよなー……。

ちょっと疲れた心には辛い話です。

この先どうなるのか、考えただけで辛くなる。
けど先が知りたいので読みます。

羊のうた (第6巻) (バーズコミックス)
冬目 景
434480015X

『狩人と犬、最後の旅』

狩人と犬、最後の旅 コレクターズ・エディション [DVD]
ニコラス・ヴァニエ
B000LXIRH4



カナディアンロッキーで狩人として生きるひとりの男の暮らしを、ゆたかな大自然のなかで描く、ドキュメンタリー映画。

録画して見ました。

ドキュメンタリーといってもまったく作為のないシーンばかりではないんだろうと思うのですが、とにかく現実の迫力に参ってしまう映像でした。

夏はカヌーで川を下りながら、冬は極寒の大地を犬ぞりでゆくひとりの男。
五十年以上もカナディアンロッキーで人里離れて暮らしてきた、生粋の狩人です。

かれの相棒は犬ぞり犬のリーダー。
つれあいはネイティブの女性。
みずからこしらえたログハウスでみずからしとめた獲物を糧に、ときどき町に出て毛皮を卸し、こまごまとしたものを手に入れる他はほとんど人と交わらない暮らし。

これはストーリーを追うことなど考えず、ひたすら目の前にくり広げられる映像をむさぼる映画だと思う。

人の手の触れない自然の中で出会う野生の獣たちのすがたが生き生きと感じられるのも嬉しかったですが、そりを引く犬たちの可愛いこと健気なことといったら!

暗闇にはるか遠くまで響きわたる狼の遠吠えにはゾクゾクしました。

たいへんに堪能しました。
ドキュメンタリー映画なのにちゃんと寝ないで最後まで見られました。

いや、前日べつのドキュメンタリー映画で爆睡してしまったんですよ(汗。

寒くて寒くてなにからなにまで凍りつきそうなところが大好きな人にお勧めw

『犬夜叉 35』

犬夜叉 (35) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266657



読了。

戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉と仲間たちとともに四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションロマンスコメディーコミック。シリーズ三十五巻目。

この巻には、

奈落の分身・白童子が人間の魄をあつめて人間形の妖怪の試作品を作っているエピソード。
その完成形に奈落の分身・神無によって魂がこめられるエピソード。
神楽が殺生丸に、奈落の心臓を隠している妖気を消す守り石・不妖壁を検知器を渡すエピソード。

がからんだ話の後に、弥勒様と珊瑚ちゃんのどでかい痴話げんか話があって。

そのあと、妖気をまといながら妖怪を退治する御霊丸という奇妙な人物が登場するエピソードの冒頭までが収録されています。

うーん、だんだんテンションが下がってきた。

読んでいるときはそれなりに楽しいんですが、ストーリー全体を眺めたときの緊張感がかなり失われている気がします。

いったいなにに迫られて旅をしているのか、私がほとんど忘れそうなのが困りもの。

犬夜叉とかごめと桔梗の三角関係も、最近じゃ痴話げんかの種程度にしかなっていないし。
弥勒様は風穴に喰われて死にそうな人には見えないし。
奈落のウェーブヘアはいつのまにか直毛になってるし(苦笑。

せっかくここまで密度高く進んできたのになー。
はやく話を先に進めて欲しいです。
でもあと二十巻近くあるんですよね……はあ。

犬夜叉 (36) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266665

『エロイカより愛をこめて 35』

エロイカより愛をこめて 35 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194559



美術品専門の泥棒貴族エロイカとNATOの情報将校エーベルバッハ少佐の活躍を描く、国際謀略と美術品の蘊蓄を絡めたストーリーの爆笑コメディー。シリーズ第三十五巻。

久しぶりの『エロイカ』です。ちらしによると前巻から二年半ぶりの刊行だそうな。
でも楽しさ面白さはまったく衰えず、むしろパワーアップ?

収録作品はこちら。


〈番外編〉聖夜の善き訪問者たち
〈番外編〉古城販売作戦
NO.22 聖ヨハネの帰還 Part.1



今回は番外編二作がとんでもない可笑しさで、読みながら笑いころげておりました。
少佐のプライベートがからむとどうしてこんなに可笑しいんだろう……。

クリスマス編は少佐が父親から逃れてロンドンへ行き、ロレンスが留守宅を預かるミスター・Lの自宅で休暇を過ごす話。

伯爵がミスター・Lの家をお仕事の拠点にしていたので、なにも知らない少佐の背後で大騒ぎが展開されます。
なにも知らない少佐の自分は普通だと思ってする行動が周囲に多大な影響(迷惑ともいう)を及ぼすところがポイント。

つぎは少佐が鋼鉄パパ(ロレンス命名)から友人所有の古城販売を命じられ、伯爵に丸投げする話。

ケルティック・スパイラル編に出てきた妄想マダムが再登場で、これまたてんやわんやの大騒ぎです。

そして不動産販売事件の余波を受けての本編スタート。
今回はビザンティン工芸の象牙トリプティックとロシアンマフィアがらみのエピソードみたい。

嫉妬と疎外感にひたるGの猪突猛進の行動力が楽しいです。それに冷静に対処するZくん。大人になったねえ。

それから今回はいままで影の薄かったCとEのキャラが立ってて、おお! と思いました。
どうやらEはイライラキャラのようです(苦笑。

いつもながら豊富な情報量に緻密な構成力。
ひたすら楽しめる娯楽作品。

あー、また読み返したくなってきた。
中学生の頃から読んでるのにぜんぜん飽きないところがすごいです。
最初は絵柄でひいたけど、いまはまったく平気。むしろこうでなければと思う。
大好きなシリーズです。

かつて私にとっては少佐といえばエーベルバッハ少佐。伯爵といえばドリアン・レッド・グローリア伯爵でした。

いまは草薙素子少佐とかいろいろいますけどね。

ところで、少佐っていまいったい何歳なんだろう……?

エロイカより愛をこめて (34) (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194540

20090616の購入

発売日なので本屋に行きました。

エロイカより愛をこめて 35 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194559


王子の優雅な生活(仮) 2
紫堂 恭子
4022131373


以上、購入。

目当ては『エロイカ』だったのですが買い逃していたブツも発見し、嬉々としてレジに運びました。

それから音楽CDも。


タブラトゥーラ
B00005HIAB


中世古楽器のアンサンブル、タブラトゥーラです。
このところこういう感じの曲が聴きたくて仕方なくて。
日がな一日、流しまくってます。

『君の名残を 下』

君の名残を (下) (宝島社文庫 (488))
浅倉 卓弥
4796650776



[Amazon]


いただいて読了。

落雷によって現代から平安末期へとトリップさせられた少年少女が、戦乱の中でみずからの居場所をまもるために戦う、せつない歴史小説。

始めからもの悲しくせつない雰囲気が漂っていた物語は、緊迫感を加速しながらクライマックスへとなだれ込みます。

歴史を知ってなお時代にあらがおうとした友恵。
みずからの最期へのあらがいがたい恐怖とともにどこかそれを待ちこがれるようだった武蔵。

ふたりの邂逅するわずかな間にかようもの、流れた時間の重さと濃厚な感情には胸に迫るものがありました。

読み終えたときには、ああ、このふたりはちゃんと生きて人生をまっとうしたんだな、という感慨にひたってしまった。

とても感情を揺さぶられるお話でした。
深さも厚みもそなえた小説だと思います。

だからこそ、時間の扱いに不満が残りましたが。
うーん、なんでだろ。

物語の自然な要求というより、作者の都合によりできあがった設定という印象を受けるからかも知れません。

感情的にはこれでいいのだとつよく思うのですが、やっぱりご都合主義だとつぶやく私がどこかに残っている。

たぶん、こんなふうに感じるのは私だけなんじゃないかという気がする。
とても面白かった話だけに、そういうところにこだわる自分がかなり嫌でした(汗。

平家物語に重なり、あるいは裏を辿るようなさまざまなエピソードにはそれぞれ思い入れがあり、どこをとっても読みながら「あそこだ!」と痺れていたのに、なんということだ。

素直に読みなさい<自分。

といくら言い聞かせても多分ダメなんだろうなー。溜息。

君の名残を (上) (宝島社文庫 (487))
浅倉 卓弥
479665075X

『ムーミン谷の彗星』

ムーミン谷の彗星 [DVD]
トーベ・ヤンソン ラッセ・ヤンソン
B000JMJWVC



テレビ東京系で放送されていた『楽しいムーミン一家』のスタッフによる劇場用アニメーション。

姪っ子の所望により借りてみました。

やや、これはスンバラシイ!

原作の『ムーミン谷の彗星』はもうどんな話だったか忘れてしまいましたが、たぶん原作よりは明るく楽しくつくられているとは思うのです。
けど、多分この作品は原作の精神を忠実に受け継いでいると感じます。

キャラクターのこまごまとした(愉快な)エピソードを積み重ねながらも、近づく終末への不安と緊迫感はうしなわれず、最後におとずれる開放感がとても幸せでした。

もともと、『楽しいムーミン一家』はとても好きなシリーズでした。

大昔の『ムーミン』も子供のとき楽しく見てたんですが、あれはほんとうに日本の子供向けに翻案された原作とは別物だったので、あとで原作を読んだときには原作者はどんな気持ちでこれを見たんだろうと思って哀しくなった。

『楽しいムーミン一家』は原作を愛している人たちがつくったことが画面全体からあふれていて、とても嬉しかったのです。

でも映画版の存在は知りませんでした。
姪っ子に感謝!

余談。
やっぱり私はちびのミィが大好きですw

『アーサー王ここに眠る』

アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)
フィリップ・リーヴ 羽住 都 井辻 朱美
4488019676



[Amazon]


読了。

古代のブリテン島で、現実の武人アーサーとともに生きながら「アーサー王」の物語を作りあげていく吟遊詩人とかれに拾われた孤児の少女の行く末を描く、「アーサー王物語」と物語についての物語。

この話はとても面白く、興味深かったです。

「アーサー王」を扱った物語はたくさんありますが、こういう視点から描いたものはこれが初めてなんじゃないでしょうか。

主人公は、アーサー一行の焼き討ちにあって命からがら逃げ出したまだ子供といっていい少女、グウェナ。
彼女はアーサーの吟遊詩人であり軍師であるミルディンに拾われて、かれからとんでもない役割を押しつけられます。

それからグウェナは、現実のアーサーとそこからミルディンによってアーサーの物語が作りあげられていく様を目の当たりにしていくことになります。

これは物語がどのように生まれ、育っていくかの物語なんだと思いました。
吟遊詩人の意図的な創作も、受けとめた人びとの期待に叶わなければ伝播していくことはない。

そして、そのようにして定着した物語の中からさらに残っていくのは、時代時代にさまざまな解釈をしうる大きな骨格を持った物語だけなんだなーと、しみじみ感じてしまうお話でした。

この話で魅力的なのは、物語が吟遊詩人と受け手の間につくりだす、時代の空気の一体感みたいなものが感じられること。

これは魔法の出てくるファンタジーではありません。
けれど、語ることの力を書いた物語であることは確か。

吟遊詩人が作為を持ってつくりだした物語も、最後には語り手のもとを離れて飛び立っていってしまいます。

物語は自立する。

そもそも、言葉は表した途端に発し手から切りはなされて独自の道を歩き出してしまうものだから。

アーサー王の物語も、長く世界中で愛されるだけのちからを備えた物語のひとつなのだと思います。

ところで、ここに書かれているアーサーのエピソードは、私の感触からいくとマビノギオンの気配が濃厚な感じでした。

期待していた賢王アーサーの物語ではありませんでしたが、予想外の面白さだったと思います。

これが『移動都市』のフィリップ・リーヴの作品だとは。
たしかに、暗い色調と輪郭のくっきりとした動きのある描写はリーヴなんですが。

既読の作品と比べると、より主人公のこころに寄り添った書き方がされていて、それは一人称だからかも知れませんが、とても読みやすかったです。

あと印象的だったのが訳文。
井辻さんの訳は日本語としてもとても美しいのですが、最近使われる言葉がどんどん日本の時代物っぽくなってきているような気がします。
平家物語テーマの日本ものを同時に読んでいたのですが、それと語彙がほとんど変わらないようで、ちょっと驚きました。固有名詞とか貴婦人とかで翻訳物であることを思い出すのですが、なんだか不思議な空間に連れてゆかれている心地がしました。

移動都市 (創元SF文庫)
安野 玲
4488723012

『仏典を読む 死からはじまる仏教史』

仏典をよむ―死からはじまる仏教史
末木 文美士
4103864028


[Amazon]


読了。

始祖ブッダの死から日本の仏教受容の歴史へ、仏教思想の変遷を仏典をもとにたどる入門書。

最近、自分の仏教知識の貧弱さに呆れることが多かったので、基本を学ぼうと借りてきました。

私の仏教の思い出というと、いまはもう亡き身内が毎日法華経を仏壇の前でがなっていたことと、中高時代に習った日本史に関わるところと、高校の倫社の授業で悪人正機説を習ったこと。それだけ。

だから『聖☆おにいさん』のアーナンダも実は誰なのかわからなかったのだった……。

というわけで、仏教の始祖がブッダだとか、かれはゴータマ・シッダールタという名前だとか、王子様だったけど突然出家しちゃったとかは知ってましたが、かれが唱えていた教えも、その教えが日本に受け入れられてどんなふうに受けとめられてきたのかも、そもそも仏教ってなにを説いてるのってところからよくわかってませんでした。

だからこの本は目から鱗が落ちまくる一冊でした。

なんだ仏教って悟りを開いて仏となるためのハウツー、というと身も蓋もないが、でもつまるところそうなのでは? すくなくともブッダの説いていたのはそういうことだと私は受けとめました。

それが、ブッダを失ったあとで弟子達がいろんな修行方法を考え出して、だんだんその方法で分派ができて、それから中国に行って感覚で漢字に訳されている(三蔵法師が帰ってくるまで原典から訳した教典がなかったらしい)うちにもともとの思想が漢字に染まってしまい、それを受け入れた日本ではさらに日本人的な都合による解釈がつけくわわって……と、どんどん変化していったのですね。

もともとは修行して悟るためのガイダンスで修行する(何回も生まれ変わってその度に修行をすると次第に仏に近づいていく)ことに重きを置かれていたのに、日本にまでやってくるとなぜかいかに修行を省いてすばやく解脱する(生きたまま仏になる)かにむかっていくところが、日本人だなあ……と感じます。

眼にみえる結果をすぐに求めて修行を省くために、ものすごい理屈をこね上げたところが日本仏教の真骨頂、みたい(汗。

念仏を唱えることやお経をあげることが大切になっていくなんとなく神秘主義的な思想の変遷は、原始仏教のシンプルさと比べるとなんだかなあ、なのですが、仏教指導者は真剣なんですよね。

日本人ってもともと現実的じゃないのか、いやすごく現実的なあまり論理的じゃないというのか。現実の苛酷さにあえいでいるとなにかにすがりたくなるものですが、それでもすぐに結果が出ないと信じられないというのか。

これって現金てやつですか……。

かなり日本人に呆れてしまったわけですが、そんなこんなで読んでいてとても面白かったです。

面白かったのですが、正直、鎌倉期以降に日本人が提唱した新仏教は私はよく理解できませんでした。修行を省くための理屈が難しすぎ……(汗。

ともあれ、日本は完全な仏教国にこそならなかったけれど、江戸時代に幕府に方便として使われたので民衆レベルでは仏教が深く浸透していき、そのため仏教の言い回しなどや考えがそこかしこに当然な存在として日常レベルであらわれるのだ、ということはわかりました。

しかしそれも、日本流に解釈した庶民的な仏教で、仏教界の構築した世界とは微妙に違ってるんだなーということもわかりました。

たとえていうなら、キリスト教がヨーロッパに広がっていくに連れてマリア信仰が大きくなっていったようなものかも。

日本人が仏僧や修験者や聖に超人的な力を期待する理由が、なんとなくわかった気がします。

……それと仏と菩薩、僧と聖の違いがようやくわかったよ(汗。

以下に目次を記しておきます。


はじめに

第一部 死からはじまる仏教
 第一章 大いなる死――『遊行経』
 第二章 死と生の協奏――『無量寿経』
 第三章 他者と関わり続ける――『法華経』
 第四章 否定のパワー――『般若心経』
 第五章 心の中の地獄と仏――智ぎ『摩可止観』
 第六章 禅の中の他者と死者――えん悟『碧巌録』

第二部 日本化する仏教
 第七章 現世を超えた秩序――景戒『日本霊異記』
 第八章 仏教は俗世に何をなしうるのか――最澄『山家学生式』
 第九章 この身のままに仏となる――空海『即身成仏義』
 第十章 贈与する他者――親鸞『教行信性』
 第十一章 脱構築から再構築へ――道元『正法眼蔵』
 第十二章 宗教国家は可能か――日蓮『立証安国論』
 第十三章 異教から見た仏教――ハビアン『妙貞問答』

あとがき

『町でうわさの天狗の子 4』

町でうわさの天狗の子 4 (フラワーコミックスアルファ)
岩本 ナオ
4091325181



読了。

父親が天狗で大食いで力持ちだけれどそれ以外はフツーの女子高生・秋姫ちゃんのほのぼの高校ライフファンタジー。シリーズ四巻目。

発売日に出かけてゲットしてきました!

なんというか、お山の非日常が違和感なく日常に溶けこんでいて、キツネやウサギやイノシシが人間になって歩いていてもただの変人としか見えない状況って、凄いよと思う。お面は下げてたけどねw

本当は父親の跡取りで太郎坊なはずの秋姫ちゃんが、フツーに女子高生やってられるのもこの日常感が大きいんだよなあと、しみじみしてしまいます愛らしいマンガです。

彼女の恋愛話もとってもフツーで、フツーであるが故の瑞々しさがとてもよい。

大げさにあからさまに「こうなのよ!」と出来事をふりかざすのではなく、遠回しかも知れないけどさりげない台詞や態度で感情を伝えてくれるところは、映像的でありじつに少女漫画的で、空気感というものも感じさせてくれて私は大好きです。

秋姫ちゃんのあこがれタケルくんがどこまでも日常の代表で、ぜんぜんフツーなところもいいなあ。美形なんだけど、のんきで天然ボケっぽくていいヤツです。

幼なじみの次郎坊・瞬くんは、じつはかれも天然だと思うんだけど真面目な天然で、秋姫ちゃんの面倒を見るのはつとめだと思いこんでいるところがツボ!

というわけで秋姫ちゃんのこれからも気になるんですが、私は三郎坊に「若干」気に入られたらしい赤沢ちゃんがとても気になります(笑。

あと、この作者さん、きらきら美しい、夢の世界を書こうという欲が全然無いようなのも潔くて好きです。
脇役はどこまでも脇役の顔してるけど、存在感がないわけじゃないどころかありまくりなところとか。
ちょっとさくらももこの『ちびまる子ちゃん』に似てるかも……世界の雰囲気が。といっても私はアニメのほうしか知らないので無責任発言。

いや、私はキラキラしい少女マンガも大好きですが。
そういうものばかりじゃなく、こういうテンション低いのも好きなんですよ……。

シリーズの一巻はこちらです。

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091313930

『ピアノの森 2』

ピアノの森―The perfect world of KAI (2) (モーニングKC (1430))
一色 まこと
4063724301



借りて読了。

森に捨て置かれた音のでないピアノを弾きこなす才能を持っていたのは、母親共々蔑視される少年だった。かなり世俗的な部分の多い音楽コミックのシリーズ第二巻。

地域的に蔑まれている水商売女の息子が、じつはものすごいピアノの才能を持っていた、という話……と書くと身も蓋もないんですが、才能発掘の話といえばいいのか。

この巻は森のピアノがなぜいま森にあるのか、その持ち主の過去と現在、さらに元の持ち主が主人公の知られざる天才・一ノ瀬海と出会うところまで、が描かれています。

お話はすごく印象的で面白いです。
絵も描かれている世界もけして美しくはなく、むしろ俗っぽくて青年漫画的な薄汚さすら感じるんですが、だからこそ、音楽のもつ輝きが強くなる気がする。

阿字野先生の孤独と苦悩とあきらめの姿が、森のピアノに関する情報で一変するところが読みどころですね。

でも私には、鍵盤の重いピアノを弾きこなすことがどれほど音楽的に凄いことなのか、よくわからなかった……。
単純にゆびの力が凄いんだなーと思うこと以上に、なにか特別な意味があるのかしら。
たとえば、音の強弱の幅が広がるとか、そういうこと?

でも、そんなピアノを弾き続けていたら、早晩、負荷のために腱鞘炎とか軟骨がすり減って関節炎とかに罹って、ピアニストとしての寿命が短くなるんじゃないかと思うのですが。

いや、こんなことはお話には関係ないんだろう、そうに違いない。

ということにして、またそのうち続きも読むと思います。

一巻を読んだのがいつのことかもう忘れましたが、この巻を貸してくれたときに内容を聞かれたらちゃんと答えられたので貸し主が驚いたという、それだけ私にとっては印象の深い本だったらしいので(苦笑。

ピアノの森―The perfect world of KAI (3) (モーニングKC (1431))
一色 まこと
406372431X

『君の名残を 上』

君の名残を (上) (宝島社文庫 (487))
浅倉 卓弥
479665075X


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いただいて読了。

現代から平安朝末期へとトリップした、少年少女たちの苛酷な運命の物語……かな?
時間SFっぽい歴史小説。上巻。


高校で剣道部の主将を務める幼なじみの二人、白石友恵と原口武蔵は、お互いを意識しつつもその先には進めずにいた。そんなある日、下校途中に雨宿りにとたどり着いた欅の下で、友人の弟・志郎が行方知れずになっていると連絡を受けたとき、ふたりは欅に落ちた落雷で意識を失ってしまう。次に目覚めたとき、友恵は見知らぬ場所で駒王と名乗る少年に介抱されていた。



どことなくぎこちないかなーとおもわれる文章でしたが、読み始めるととても面白かったです!

時代が移った途端に読み手はもちろん登場人物達にすらその後の展開が読めてしまうんですが、それだからこそ流れる無常と哀切というものがありまして、うん、悲劇だと知って読み始める物語をこれだけ臨場感をもって読ませることの出来る作者さんはすごいなーと思いました。

このお話にあっては、歴史上の人物はその時代の価値観と観念を持って生きていてそれは現代とはおよそかけ離れているはずだとか、言葉が何の苦労もなく通じるはずがない、とか考えるだけ野暮というものです。

自分たちの時代から切りはなされて、そこで居場所を求め、得られたものを守るために戦う。それがどれだけ困難なことかは想像するだに恐ろしいくらいですが、運命に真摯に真向かうかれらを見ているとただひたすら、耐えて欲しい、生き抜いて欲しいとおもうのです。

あえて難を言うならば、かれらを手駒のようにあやつって時代の流れを変えようとしているのは何者なのか、ということですが、それこそ物語の最大の理由として最後に明かされるはずだと信じています。

最初は高橋留美子の『炎(ファイヤー)トリッパー』か、と思ったんですが、どうもそうではないらしい。
ここまで読んだ雰囲気だと私としては萩尾望都『銀の三角』を思い浮かべてしまうんだけど、それだけはないだろうと理性は告げている。

ところで、その上位存在の手駒として働かされる阿修羅の物語には個人的にショックを受けました。そのあまりにもな悲劇性だけではなく、なんというか……なんでこのところこんな設定の話ばかり手に取ってしまったんだという、自分の選択の悪魔さに(汗。

同時に三冊並行して読んだりするから、そのシーンを立て続けに読む羽目に陥ったりするんだよと、自分で自分を怒ったりしましたよ。きゅう。

そういうわけで、これからはできるだけ一冊ずつ読んでいこうと思ったのでした。
とか書いてる側から、すでにまた三冊並行してるんですが(汗。

つづきをはやく読みたいので早々に図書館本を片づけることにします。

最後に。
駒王かわいい! かっこいい!w

君の名残を (下) (宝島社文庫 (488))
浅倉 卓弥
4796650776

20090610の購入

通院帰りに寄り道して、本屋に行ってきた。

町でうわさの天狗の子 4 (フラワーコミックスアルファ)
岩本 ナオ
4091325181


以上、購入。

先日出た紫堂恭子の本を買い逃してしまったので、今回は発売日に行くぞと心に決めていたのでした。いや、あっちも発売日にいったはずなんだけどどこにもなかったのよ。一巻はちゃんと本屋で手に入れたはずなのになあ。

通院では今度はお薬手帳を忘れるといううっかりミスをやらかしました。
毎回なにかポカをするな自分。
この次の予約日から木曜日になるのを忘れないようにメモ。

『羊のうた 4』

羊のうた (第4巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800257



借りて読了。

他人の血を欲するという遺伝的病に侵された少年の孤独と、生き別れだった実の姉、仄かな想いを寄せていた少女との微妙な関係を描く、心理サスペンスコミック。シリーズ第四巻。

吸血鬼みたいな発作を起こす、じつは精神病を患う実の姉弟ふたり。
姉の後見人である若い医師。
弟の恋人未満友人以上である女子高生。

のビミョーな関係を静かに深く描いていく、雰囲気たっぷりのマンガです。

この巻では姉・千砂が父親に抱いていた愛憎と彼女がそれを弟である一砂に投影しつつある……ようなないような状況から一歩踏み込んでいくシーンが印象的でした。

この姉弟……アブナイ気がする……。
というか、そのアブナイあたりがこのマンガの主題なのかもしれないです。

千砂の後見人である水無瀬氏はこの事態を憂慮していたのに、皮肉なものです。
かれは千砂と父親との関係に何も投じられなかった自分に歯がゆさを感じていたはずなのに。

そして必死になって一砂を現実につなぎ止めようとする八重樫さん。
部外者であることに寂しさを覚えつつ、それも一砂の好意だと知っているのでなかなか踏み込むことが出来ない。

可哀想な二人です。

主役二人は自分たちの世界で自分たちの運命に酔っているのでもういいや←オイ!

この本を読む前に読んでいたのがアレだったので、よけいにそんなことを思ってしまった。
まあ、置かれた状況がまったく違うので比べるのは間違いとわかってるんですけれどもね。

一砂の養父母も事情を知っていて一生懸命なのに、この病はそれほど精神的に高く分厚い壁なのでしょうか。
いっそのこと、本当に吸血鬼になったという話なら納得できるんですが。
もしくはもうちょい昔の話であるとか。

おそらく作者さんはそういう超常現象的な話にしたくなかったから、こういう設定にしたんだと思いますが、私的にはちょっと説得力を欠いてきたなーと思ってしまう部分でした。

でも話はとても面白いのでつづきも借りますよ!

羊のうた (第5巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800265

『トプカプ宮殿の光と影』

トプカプ宮殿の光と影 (りぶらりあ選書)
N.M. Penzer 岩永 博
4588021303


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読了。

オスマントルコの宮廷であり宮殿、トプカプ宮殿についての概説的解説書。
写真と図版多数有り。

局地的にイスタンブールで盛りあがっていたところで書名を教えていただき、借りて読んでみました。

興味深かった。

本の内容は、まずトプカプ宮殿の最初の門から入って次第に奥の方へ進む、見物者の足どりのような段取りで書かれています。
まず、建物自体の由来、その役割、実際の使用例、それにまつわるエピソードなどなど。

宮殿は奥に進むにつれて重要な施設が多くなるので、内容もだんだん深いものに変化していきます。

図版が多く、文章を読みながら眺めていると位置関係がわかって楽しいかもしれません。
などと他人事のように書くのは、私が本文を追いかけるのに必死でそれを実行できなかったからですが(汗。

印象的だったのは、トプカプ宮殿は長い年月にわたってあちこちを作ったり壊したりをくり返していたこと。
それから、建材的にも建築様式的にもビザンツ帝国の遺産の上に築かれていたということ。

そもそもトルコの支配形態というのが、どこで築かれてももともとの支配者のものを丸呑みしていくようなものだったから、これは当然だなーと思いましたが。

後宮や宦官という存在も、ビザンツ帝国から受け継がれたものだということは初めて知りました。

えっ、ビザンツ帝国に宦官がいたんだ!
トルコと中国のは知ってたけど、ビザンツ帝国は穴だったよ……。

というわけで、いちおう門から入って奥の奥まで、ひととおりの解説がある本書は邦訳タイトルも宮殿全体に関する本のようになっていますが、原題は“THE HARĒM”、つまり『ハレム』で、やはり著者の関心事は皇帝の後宮とその管理者だった黒人宦官にあるようです。

だって記述の質がまるでちがうんです。

おなじ宦官でも白人宦官についての記述は言ってしまえばテキトー(苦笑。
対するに黒人宦官については、差別意識丸出しなんですが興味津々なのも丸わかり。
そしてハレムの主役たる女奴隷達については、部屋は当然として生活から服飾から入浴の仕方、スルタンからの寵の受け方まで書いてありました。

読んでいて一番面白かったのもやはりこの部分。

ハレムの頂点にいるスルタン・ワーリデつまり皇太后と寵妃たちの権力闘争はすさまじいものがあったようで、そのために発生した王子幽閉の慣行は、トルコ帝国衰亡の原因とすら断じられています。

それと非常に強く感じたのは、著者自身の異文化であるトルコ文化への憧憬。
近代化(=西欧化)のために景観が台無しにされたとかいって本気で怒ってるんですが、このあたり、日本を妖精の国として楽園視していた小泉八雲に似ているような気がする。

私自身はトルコ民族の歴史はちらりと教わったことがありますが(ほんとにちらりです突厥からはじまって青年トルコ人まで駆け足で一年間ですから)、オスマントルコについて深く学んだことはなかったので、風俗関係の知識が増えるのが嬉しかったです。

でも、この本、かなり読みにくいので、ある程度予備知識がないと大変かも知れません。
イスラーム関係の用語がトルコなまりで出てくるのには最後まで馴れませんでしたし、すでに普及済みかと思われる単語、たとえばイェニチェリがジャニサリと訳されるのは何故なのか、理由がわからない(汗。

原書が刊行されたのが1937年でも訳本は1992年の刊行。
ということは私がトルコ史の講義をぼんやりと聞いていた頃よりもあとなのに……。

翻訳者がトルコの専門家じゃないからでしょうか。

用語の統一感がどうも……なのもアレなのですが、学術書にありがちなそもそも日本語として文章がわかりにくいという問題もあります。

ので一般にはお薦めいたしかねるというのが正直なところ。
読む場合は、興味があるところだけつまみ読みが一番効率がよろしいのではと思う次第です。

以下に目次を記しておきます。



役者序文

訳者解説
イスタンブルの歴史と主要遺跡
トプカプ宮殿の構造と主要殿館

1 序章
 ハレムの問題性
 セラーリオの語義
 少ないセラーリオの参入者
 ハレムの終焉
 トプカプ宮殿の公開個所

2 セラーリオの探求者の歴史
 ニコライ・ド・ニコライ
 ドメニコ・ヒエロソリミターノ
 トマス・ダラム
 オッタヴィアノ・ボン
 エドモンド・チシュル
 オーブリ・ド・ラ・モトレー
 ジャン・クロード・フレーシャ
 サー・アドルフス・スレード
 マキシム・ド・キャン
 二〇世紀の参観者

3 セラーリオの丘と城壁とキオスクの歴史
 初期の歴史
 城壁とキオスク

4 第一宮殿域
 陛下の門と前庭の静寂
 メリングの挿絵に見る第一宮殿域
 ジャニサリの歴史と組織
 メリングの絵

5 第二宮殿域――ディワーンの前庭
 中央の門
 国政庁の館と宮廷金庫
 死者の門、厩舎、槍斧兵の兵営
 大厨房
 幸福の門
 白人宦官頭
 柱頭装飾の様式

6 黒人宦官
 彼らの館と任務
 トルコでの宦官の使用とその風習の起源
 生理的・心理的様相
 文献

7 ハレムI
 ハレムの諸館
 衣装

8 ハレムII
 スルタン・ワーリデの権力
 黒人宦官頭とハレムの幹部女性
 スルタンの寵を得る途
 女性の支配

9 セラームルク
 陛下の談話室と玉座の間
 オスマン三世のキオスク
 ムラト三世の広間とアフメト一世の図書室
 王子の幽閉所
 接見室と割礼の間

10 浴場
 セラーリオの浴場
 市中にあるその他の陛下の浴場
 公衆浴場
 ブルサの温泉

11 第三宮殿域
 玉座の御殿
 アフメト三世の図書館
 宮廷学校
 遠征の広間の美術品
 食器の広間と財宝の広間
 預言者の外套の御殿

12 第四宮殿域
 第四宮殿域の外観
 レヴァン・キオスクとバグダード・キオスク
 プールと庭園
 ムスタファ・パシャ・キオスクとヘキムバシュ・オダス
 アブデュル・メジドのキオスク
 チューリップの祭

索引 ・巻末・ 

『風の王国 嵐の夜 下』

風の王国嵐の夜 下 (2) (コバルト文庫 も 2-32)
増田 メグミ
4086011670


[Amazon]


読了。


吐蕃王に嫁いだ唐の公主の人生を描く、少女向け歴史ロマン。シリーズ十五冊目。

はーっ。
上巻を読んでいったいどうなるのやらと大変不安でしたが、落ち着くべき所に落ち着いた……といっていいのかどうかまだわかりませんが(汗。

上巻では重心が失われてバランスを欠いた王国の不安と疑心暗鬼が、ついに表面に吹き出した、それこそ火山の噴火のように勢いよく、というところでつづく、だったわけですが。

下巻は混乱を極める事態を収拾するべく奔走する人びと、ひとつだったはずの民が敵味方に分かれて戦ったことで受けた痛手、そして多様な利害関係をもつひとびとをふたたび纏め上げる求心力はいま、ここにはないのだという喪失感が、淡々と厳しく、けれど穏やかに静かに描かれていました。

事の引き金となったロナアルワの件も、できうるかぎり穏やかに解決されたと思います。
ロナアルワの叔父さんティサンは、リジムが生きていればこんなことはしなかったんだろうなと思いましたが、でもそもそも自分の犯した罪が自分にはね返ってきただけのこと。

可哀想なのはロナアルワとトゥンドゥプです。
上巻でムッと来てすみません。

ところで、吐蕃での近親婚はどのくらいの範囲まで許容されるんだろうと思いました。
文中では従兄弟なら大丈夫みたいに書かれていましたが、中国だと同氏婚はダメなんですよね。韓国も。
何故か日本だけがゆるゆるだとどこかで読んだことがありますが、この違いはどこからやってきたんだろう……謎です。

謎といえば、最後に謎となって残ったのはリジムの病です。
いきなり意識を失うような病気って何だろう……。手足のしびれだの言葉のもつれだのがないので脳梗塞じゃないんだろうくらいの推測しかできないんですが、気になります。

それから亡骸と殯を過ごしていた共生の行く末も気になります。
まさかこのまま死を共にするんじゃないでしょうね……(汗。

話は、事態が沈静化してからは翠蘭の出番が極端に減ってしまいましたが、かわりにガルが一気に存在感を大きくしてきました。
これからかれは翠蘭の敵になるのか味方のままなのか。味方という言葉より同志というほうが適当かもしれませんが、この駆け引きはこれからの話の大きな部分を占めそうです。

そうして、翠蘭はふたたび吐蕃に自分のホームを得るために戦い続けるのでしょう。
たいへんな人生です。
ドラマティックですが、体力と精神力をすり減らす日々を決然と選択する翠蘭を尊敬いたします。

事件の発端はこちら。
風の王国―嵐の夜〈上〉 (コバルト文庫)
毛利 志生子
408601145X


シリーズのつづきはこちら。
風の王国―星の宿る湖 (コバルト文庫)
毛利 志生子
4086012154

『犬夜叉 34』

犬夜叉 (34) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266649



読了。

戦国時代へとトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間達と共に四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇冒険アクションラブコミック。シリーズ三十四巻。

この巻では、

奈落の分身白童子が桔梗をあぶり出すために使った大量のネズミたち。その大元を断とうとかけつけた珊瑚ちゃんが弟の琥珀を見つけてしまうエピソード。
休息のために現代へ戻ったかごめちゃんを気にして追いかけてくる犬夜叉のエピソード。
憑きもの妖怪・宿り蛹にとりつかれて七宝ちゃんが大暴れするエピソード。
奈落に守り石である不妖壁を奪われた山妖怪・岳山人と犬夜叉たちが対峙するエピソード。
琥珀くんが桔梗に記憶を取り戻したことを見抜かれ、また奈落に不満を持つ神楽にも知られてしまうエピソード。

不妖壁のために桔梗にも奈落の気配がわからなくなったが、不妖壁のありかがわかる欠片を岳山人にもらいうけ、その痕跡を追いかけるうちに妖怪と戦う鋼牙君と鉢合わせしてしまうエピソードの途中まで。

が収録されています。

うーん、話はそれなりに面白いんですが、奈落はどこまで逃げ隠れをつづけるんでしょうかね。
奈落はいまだに桔梗にこだわっている模様ですが、だとするとかれは桔梗の呪縛から解かれたあと何をするつもりなんでしょう。

いっぽう、犬夜叉ははじめは四魂の玉を手に入れてまったき妖怪になりたいと思っていたはずですが、たぶん今は四魂の玉を復元にして穢れを祓うことのみを考えていて、その後のことは考えていないだろう。

とすると、最後に四魂の玉がだれのどんな願いを叶えるかというのが話のクライマックスなのかしらん……。

琥珀くんと珊瑚ちゃんの絡みと、奈落の隙を狙いつづける神楽の二人以外、関係が変わりそうなところが無くなってきたのでちょっとダレてきましたよ。

まだあと二十巻はあるんですよね~。

あ、七宝ちゃん大活躍の回はとっても楽しかったです。
これは『うる星やつら』のノリで読めました。

でも『犬夜叉』本来のテイストは違うだろうと思うのです。
もっと大きく振幅するダイナミックな展開を読みたいです。

犬夜叉 (35) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091266657

『悪魔のソネット 男子校で秘密の召喚』

悪魔のソネット 男子校で秘密の召喚 (角川ビーンズ文庫)
栗原 ちひろ
4044514100


[Amazon]


いただいて読了。

19世紀のイギリスっぽい異世界を舞台にした、オカルトラブファンタジー。シリーズ二冊目。

小公女みたいな目に遭いながらもなんとか危機を脱出、しかしつきまとう美形悪魔からは逃れられず、それでも明るく前向きに進んでいくヒロイン、ジャスティンのスリルと冒険に満ちた毎日?

悪魔を封じた本を父親から譲り受けられて、ついうっかりと解放してしまったジャスティンにまといつくのは、自分との契約を迫る美形の大悪魔レクス。

美形が大嫌いなジャスティンは冒頭、親の敵のように毛嫌いしていたのですが、その人柄いや悪魔柄に接するうちになんだか情にほだされていくのですが、悪魔が人の敵であることはこの世界でも変わらない。

退魔庁から悪魔を使役して悪魔を倒すという条件でレクスの身をあずけられたジャスティンは、レクスを使役するという考えになじめず、事件の渦中でとんでもない決断をしてしまいます。

うーん、興味深い。
この話では一応キリスト教ぽい宗教が信じられているらしく、悪魔はかつての精霊神のなれの果てみたいな扱いである模様。

それから悪魔は戦闘をその性としてとくに悪魔同士が相争っているものであるらしい。

しかしジャスティンと契約をしたがる悪魔レクスは、戦いの日々に飽いためずらしい悪魔の王。すべてが面倒で昼寝ばかりしている彼なのに、なぜかジャスティンにだけ興味を示している。

なんとなく異文化遭遇ものっぽいところがあったり、悪と善の定義に話がおよんだり、悪魔同士の距離感とか身分の上下とか、人間界との関係とか、いろいろと設定が面白いです。

とくにレクスが文字通り「美貌の悪魔」であるのに対し、ジャスティンが「天使めいた美少女」であるところ。

もしかして彼女、ほんとうに天使なんじゃなかろうか。
そう考えるとこの常軌を逸した善良さと明るさが説明つくんじゃないかと思うのですよ。
この善良さは物語の中では人びとに感銘を与えまくってますが、読み手としての私には違和感だらけで、有り体に言えば気色悪いくらい異常です。
ゆえに、ぜんぜんまったく感情移入できないので、自然と話の構造に意識が向かうのですが、そういえば「オペラシリーズ」も世界の構造が大きな要素になっていたなと思いいたりました。

ヒロインがまったくの天使だったら人間界の話にはならない気がするので、もしかしたらハーフ、なのかも?

間違っていたら大笑いですが(汗。

とはいえ、女王陛下もお出ましになったし、ジャスティン父らしき人物がちょこっと出てきたりしてなにか画策しているようなシーンがあったので、このまま悪魔とのツンデレラヴが真っ正直に続くとは思えない。

ストーリー展開にはちょっと興味が湧いてきたかなというところです。

でもキャラクター小説としては、うーむ。

続刊は今月末に出る予定の模様です。

悪魔のソネット 豪華客船は悪魔と一緒
栗原 ちひろ
4044514119

『羊のうた 3』

羊のうた (第3巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800249



借りて読了。

遺伝性の奇病によって血を渇望するようになったしまった少年と、突然現れた生き別れになった姉。ふたりの微妙な関係を社会から隔絶された孤独とともに描く、心理サスペンス? シリーズ第三巻。

独特な雰囲気に浸って読むマンガ。
予想通り、主人公一砂の世界はどんどん狭くなっています。
淡い思いを抱いていた同級生に対して起きる発作への不安と恐怖。
体調不良が表面化して、育ててくれた両親とも決別のときが。

そんなかれの孤独を理解し、受けとめてくれるのはおなじ両親から生まれて、おなじ病を得ている姉、千砂のみ。

千砂はかれに他の誰かを重ねてみているようですが、同時に以前から一砂自身を特別な存在として意識していたようなふしもあります。

言葉にしては語られない様々なことが、ふたりの行動と台詞によって静かにほのめかされていく。
濃厚な時間の流れているお話だなーと思います。
ストーリー的にはほとんど進んでいないのに、中身がぎゅうとつまっていてちょっとつつくとなにかがあふれてきそうな、そんな緊張がただよっている。

高城家に伝わる奇病は精神的な病らしい。
なにかの拍子に突然血が欲しくなるのは、体が欲しているわけではないみたい。
だから、吸血鬼とは明らかに違う、はずなんですが、でもその発作が起きるのは目の前の相手を好ましい異性と感じているときみたいなんですよね。
やはり、血=生とエロス、なのだろうか。

どう読んでもハッピーエンドが待ち受けているとはとうてい思えないんですが、先を読みたいというつよい気持ちが湧いてくる作品です。

というわけでそのうちつづきも借りてきます。

羊のうた (第4巻) (バーズコミックス)
冬目 景
4344800257