『寒雷ノ坂 居眠り磐音 江戸双紙2』

寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英
4575661309


[Amazon]

読了。

藩内のいざこざから浪人になった坂崎磐音が、江戸の下町で用心棒稼業をする時代小説シリーズ。第二巻。

一巻が面白かったので借りてみました。

……なんかすごく疲れた。
テンポは変わらないと思うんだけど、なんだかだれてしまうのです。
どうしてかなあと考えたんですが、一冊の中の軸となる話がなかなか判明しないからかな。
収穫のない進展もない話が連続したので、意識が散漫になってしまった気がする。

とくに途中の元遊女の話はなー。
なんのために入れてあるのか、わかんなかったです。

最後にはものすごい引きが仕込んであるのですが、そこに至るまでが長かった。
この引きがなければつづきも読もうという気は起きなかったと思います。

えーと、確かめたいことはわかった気がするのですが、目当ての話まで進んでいないのでやっぱり続きも読むことにします。


花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
4575661341

『聖なる花嫁の反乱 5』

聖なる花嫁の反乱(5) (KCデラックス)
紫堂 恭子
4063758656



読了。

神に捧げられる九番目の花嫁として選ばれた少女が、追放された恋人を追って楽園エーレを出て厳しい現実に立ち向かう、異世界冒険ファンタジー。シリーズ第五巻。

サド貴婦人に囚われていたリオンとかれを救い出した流れ者のヴァンの逃避行とヴァンの背景にあるある事実。
神の花嫁を追う各国の傭兵部隊を逃れてエーレの末裔の村に連れていかれたエリセが直面する、神の花嫁の真実。
エリセを連れ戻す命をおびて楽園を出た神官ザディアスの苛酷な回想。

いろんな話が同時進行でしたが、だんだん共通したひとつの事項によって収束しつつある感じ。
かなり佳境に入ってるようなのですが、このシリーズには一応の完結マークがついてます。
そのことについては購入時の記事にも書きましたが、出版社を移動して継続される模様です。
こんなところで終わったら、はっきりいって非難ごうごうだ。
よかった、続いてくれて、というのが正直な気持ちです。

それはそれとして、このマンガ家さんのお話は伏線の張り方が抜群に上手いよなーと思います。
そしてその伏線が感情的なものではなく、物語世界の根幹に関わっていたり、ストーリーの鍵となる部分だったりする、システム的な部分なのが印象的です。

この話の場合は、神話伝説のある部分。
途中で欠けてしまったのか、あるいは故意に伝えなかったのかわからないけれど、その部分が謎解きとともにバラバラだったキャラクターをあつめる役割を果たしている。
いつもより関わる人数が多い分、期待も高まろうというものです。

このシビアーな状況下で、つねに前向き、元気いっぱいのエリセのキャラクターは、ヒロインというよりヒーローといった趣がありますね。

登場するキャラクターには過去作品の面影が垣間見えるものが多いのですが、アレンジと配置が絶妙であるのと、なんとなく作者による二次創作みたいな感じが味わえるのとで、私にとっては楽しい部分だったりします。えへ。

このあと、きっと遊びもなくクライマックスへと突入するんだろうなあ。
そういう作風なんですよねこの御方は。
唯一、サド貴婦人の役割に疑問があるんだけど……えーとあの方にも痣があったりしましたっけ?

つづきはフレックスコミックのサイトで2010年夏頃から連載開始されるそうです。
期待しながら待ってますw

『嵐が丘 グラスハート4』

嵐が丘―グラスハート〈4〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086142724


[Amazon]


読了。

女の子の一人称による青春バンド小説。シリーズ第四巻。


走り始めたプロ活動はもう止まらない。アルバム録音がようやく終わろうという時、マネージャーの甲斐が持ち込んだテレビ出演の話に、テン・ブランクのリーダー藤谷直季はより効果的なやり方をしろと注文をつける。いっぽう、自然体を取り戻した西条朱音のドラムスに、いまやメジャー路線を突き進みつつあるオーヴァークロームの真崎桐哉が興味を示し、音源使用の依頼が入った。おなじ人物に恋する女として甲斐をライバル視してしまう朱音は、甲斐から桐哉と藤谷の複雑な関係をほのめかす話を聞かされて不愉快になるが、助けを求められた鮎見のその後を知りたくもあり、けっきょくは話を受けてオーヴァークロームのスタジオに向かう。そこで出会った桐哉は疲労しきって夜も眠れないありさまになっていた。




こうしてあらすじを書き出そうとしてもなかなかうまくすくいだせないのが、この話の最大の特徴のような気がする。

朱音ちゃんの感情と感覚が全開の一人称小説。
そのときどきの空気がリアルに伝わってくる反面、じっさいどういうことが起きているのかを理解するのにちょっとてこずるというか、現実には解説なんてつかないのだからこれがよりリアルなんだというか、とにかく、俯瞰して眺める視点が一切無く、この人物は全体を見守っているという安心感のある人物も一切登場しない、このさきどうなるのか全然予測できない、娯楽小説的なお約束展開がどこにもないスリリングな青春小説です。

だからこれはラノベとは違うよと私は思うのでした。
コバルトでは昔はこういう小説が主流だったんだよねえ……遠い目。

私は、ラノベというのは娯楽小説の一種だと思うです。
キャラクターが記号的ですぐに理解でき、話運びに定型があってなんとなく筋書きが読める。
ハーレクイン的なロマンス小説よりは自由度が高いけど、わりと不自由な形式なんじゃないかな、書き手によっては。話をコントロールしきってしまう職人的な書き手には腕の見せ所なんだろうけれども。

と、関係ない話は置いておいて。

恋する少女でバンド少女の朱音ちゃん、まわりに追いつこうとぎりぎりのところでテンパッているのが辛そうであり、またうらやましくもある、そんな読後感でした。
こんなに密度の濃い時間を青春時代に送れたら、それってとっても大切な宝物になるよね。どんな結果が待ち受けてといようとも。

なんて不吉なことを書いてしまいましたが、このテン・ブランクの方々、自分たちがしあわせになるために音楽やってないというか、音楽を極めた末に訪れる至福しか追い求めていないんだ。
ゆとりまったくなし、すべてが綱渡り。

必然的にひりひりするような痛々しいシーンが続出。
書いてる方にも余裕無い感じがひしひしと伝わってくるという。

でも、そこがこのシリーズの、生でリアルタイムで刻まれていく「今」という時間を描いていく物語であるという美点に最終的に繋がっているんだなと思いました。

これは回想録なんかじゃない、今、現在の話。

だからこの先どうなるのかはつぎの瞬間が訪れてみないことにはわからないんだろうと思うわけです。

というわけで、つづき行きます。

あ、完結編が出たところからシリーズが再刊行される模様。
もうじき第一巻が出るらしいです。

いくつかの太陽―グラスハート〈5〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086145928


GLASS HEART 「グラスハート」
若木 未生
4344819063

『さよならピアノソナタ2』

さよならピアノソナタ〈2〉 (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮
4840241953


[Amazon]


読了。

青春バンド小説のシリーズ第二巻。


ナオが出会ったのは世界的なピアニストだったが片手が動かなくなった少女・蛯沢真冬。他人を拒絶して周囲から孤立する彼女をギタリスト、ナオをベーシストとしてひきこんではじめられた高校でのバンド活動は、真冬がアメリカから帰国することで無事に再開された。しかし、四人のバンド演奏はなかなか上手くいかなかった。初めて合わせた時の絶妙なアンサンブルが戻ってこないのは真冬の演奏に違和感があるからだった。そんなおり、音楽による革命をめざす民俗音楽研究部部長神楽坂響子は夏休みに海辺の別荘で合宿をすることを宣言する。ナオの幼なじみでドラムスの千晶は一も二もなく賛成するが、真冬は拒絶の言葉を発して飛び出してしまう。




クラシックからロックまで、幅広くふかい知識をふんだんにおりまぜながら、ボーイミーツガールの青春の一ページを描く、みずみずしい青春小説です。

真冬のいまだ自分の居場所を疑っている猫のような反応に、どこまでも正直かつ鈍感な直巳くん。
読んでいれば真冬の気持ちが一目瞭然なのに、一人称の語り手がまったく気づかないこの状況を何といえばいいのでしょうか……溜息ついちゃう(苦笑。

思うに、直巳くんの自己評価はとても低いのでしょうな。
自分が恋愛の対象となることを考えてみたこともないのでしょう。
たとえば一度トライしたギターをすぐに投げ出してしまったように、ひそかにプライドが高いからこそ現状の自分への点がとても辛くなる。

真冬と直巳くんはそうやって青春してますが、それを目の前で他人として見せつけられつづける千晶ちゃんがとてもいい子で泣かせます。

あと、謎の神楽坂先輩の過去話にふーんとそうなんだーとおもったり。

相変わらず、話そのものにはあんまり共感できていない私がいるわけですが、この本の音楽関係の文章にはほんとうにドキドキワクワクさせられます。

同時進行で若木未生の「グラスハート」シリーズを読んでいるのですが、こちらの音楽描写の方が客観性があるなあと感じます。
一人称なのに音楽的な視野はひらけている感じがする。
蘊蓄が多いのも要因のひとつかと思うけど、冷静に分析して書いているような感じも受けます。
自分たちの出している音に関するところはけっこう感覚的なんだけれど、それでも他人の耳にどう伝わっているかも念頭においた書き方がされているような気がするのです。

だから、読みながら頭がぐちゃぐちゃになったりせず、スムーズに話は展開し、クライマックスに入るサスペンスなシーンで違和感なくラストへと収まるんだと思う。

娯楽小説として、より練られている、感じかなー。

だから話として面白い、と思う。
このあとどうなるのかなと好奇心がわく。

のですが、図書館に三巻がなかったりする……。四巻はあるのに……。

買おうかどうしようか、今悩んでいるところです。

さよならピアノソナタ〈3〉 (電撃文庫)
杉井 光 植田 亮
4048671820

『陽炎ノ辻 居眠り磐音 江戸双紙』

陽炎ノ辻―居眠り磐音 江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英
4575661260


[Amazon]


読了。

江戸時代の明和年間を始まりに居眠り磐音と異名をとる浪人を主役とした時代小説シリーズ、開幕編。



豊後関前藩の重心の嫡男・坂崎磐音は江戸から帰国したばかりで事件に巻き込まれ、浪人となり江戸へ戻ってきた。日雇いの口もつづかず貧乏長屋の家賃の支払いにも苦労する磐音を見かねた大家の金兵衛は、磐音に両替商の用心棒の仕事を持ちかける。金兵衛の紹介した今津屋はたちの悪い浪人達による嫌がらせを受けていた。その背景には老中田沼意次による貨幣改革への反発があるらしいという。




今をときめく(死語?)時代小説シリーズの第一巻です。
ドラマになったのを見て興味があったのと、先日本屋にて発売日買いをしにきたお年寄りに遭遇した(一日早すぎて買えずにお帰りになった)のと、確かめたいことがあるのとでちょっと読んでみようかという気持ちになり、借りてみました。

これは大変に読みやすかった。
時代小説の文庫はいま花盛りでそれはもうたくさんあちこちからレーベルが出てますが、字は大きく字間は広めで、改行がたくさん。購買層をはっきりと意識したつくりになってますが、文章と展開のスピード感もあいまって、さくさくっと読んでしまいました。

スピーディーなわりに内容的にも深みがあり、登場人物の造形こそシンプルですが、そこがまた読みやすさの要因でもあるのだと思います。

ワタシ的にはもうすこしお江戸の空気感を味わいたいかなと思いましたが、これはアクションもといチャンバラが目玉の話でもあるので、だらだらとしがちな情景描写はカットでよし、なのでしょう。

うーん。
これは中高年向けのライトノベルと言ってもいいのでは。

主人公のふだんは眠たい顔をしている坂崎磐音さんは御年二十七。
そのほかの登場人物も平均年齢が高めなため、思春期のエキセントリックからはすでに卒業、なんとはなしに話に安定感がありますし。
なにより勧善懲悪な話というのは安心して読めます。

じつに娯楽小説。まさに娯楽小説。そんな感じでなんにも考えずに楽しめました。

ええ、磐音さんが強すぎるのはお約束、なのです。

ドラマを見た限りではどうして「居眠り磐音」なのかさっぱりわかりませんでしたが(苦笑、原作を読んでなんとなく意図するところはわかりました。

つまり昼行灯型主人公を書きたかったんだろうなあ。
その点についてはあんまり成功しているとは言えない気がします。
磐音が江戸に舞い戻った理由が初めから明らかになっているせいもあるかも。
こういう設定は、たぶん若者向けラノベなら秘したまま話を進めて、あとで小出しに明らかにすると思うのですが、さすがせっかちな中高年向け。あっけらかんと書いてあってちょっとたまげました。

というか、この冒頭がもっともリアリティーがうすくて読み始めたばかりでどうしようかと思ったんだけど、最後まで読んでよかったです。

おもしろかったのでつづきも予約しました。
私の確かめたいことはこの巻には載ってなかったしな。

寒雷ノ坂―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
4575661309

『エロイカより愛をこめて 36』

エロイカより愛をこめて 36 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194567



読了。

美術品専門の泥棒伯爵エロイカと、NATOの情報将校少佐たちが繰り広げる国際陰謀サスペンスコメディーコミック。シリーズ第三十六巻。


この巻は前巻よりひきつづいての「聖ヨハネの帰還」エピソードパート2です。

たしか伯爵たちがネットの闇オークションでみつけた聖ヨハネ像から導かれてビザンチンの象牙トリプティックを盗む計画を立て、イタリアへ飛んだところ、ロシアの武器密輸ルートを追っている少佐の部下達とニアミス、というところまでだったように思います。ちと前巻が見つからないのでそのあたりはなんとなく……(汗。

伯爵を見つけてしまったGとZのやりとりが笑えるw
女装が全然ばれない伯爵とG。つぎつぎに変装を変える伯爵。あいかわらずというかどんどん常軌を逸していくジェイムズ君。伯爵を追う謎の市民組織の登場。

息をつく間もなく展開するストーリーにいちいち絡むお笑いがとても楽しいです。

しかしなんといっても今回のハイライトは仔熊のミーシャの登場シーンかとw

ロシアの武器密輸事件なんだからかれが出てこないわけはなかった……けど、この方も相変わらずで圧倒的な迫力のわりにどこかぬけているw

密輸されている小銃がどうやらカラシニコフらしいとか、バブル崩壊後にどんどん撤退しているロシア企業とか、現代的な世界情勢をおりまぜつつのスパイ戦はリアリティーたっぷり。なのにどうにも笑いのとまらない話になるのはやはりキャラクターの個性がずば抜けているからだろうなあ。

イタリア国家警察のジュリアー二との因縁とか、長いシリーズならではの人間関係もフル活用で、ほんとうに奥深いコメディーです。

さしあたって笑い要素以外で私が気になっているのは、象牙トリプティックの謎と正教会の秘密結社の狙いです。

すべてを集めると何かいいことがあるのだろうか?
銀なら五枚、金なら一枚?>いや、象牙だから。

つづきもお待ちしていますw

『イムリ 7』

イムリ 7 (BEAM COMIX)
三宅 乱丈
4047262773



読了。

精神操作力をもつ支配者階級として育ちながら、被支配者として蔑まれ虐待される民イムリの出身であることを知った主人公が巻き込まれる、陰謀からの逃走劇を描く、SFコミック。シリーズ第七巻。

支配者・被支配者の来し方行く末にシリアスハードな人間劇をからめて描かれる、迫力の物語です。
洗練されていない生々しい描線が血みどろの人間関係やきれい事だけではない世界を描き出すのに相応しく、さらに目に見えない力の存在をもたしかに感じさせてくれる。読んでいて手に汗握ってしまうマンガです。

今回は主人公デュルクの逃走劇がますます切迫感を増し、デュルクの双子の弟(!)ミューバが支配民族カーマに利用されるさま、さらにかれらの母親の過去があきらかになったりと、またもやめまぐるしい展開。

デュルクがカーマに追われていくなかで、次第にイムリ側の視点でのシーンが多くなっていくところにわくわくしました。

カーマとイムリの関係って、はじめはどういうものだったんだろうなー。
母なる星ルーンに現在暮らしているのがイムリで、カーマはほとんど地上には暮らしていないということを考えると、うーむ。
物語世界の全貌があきらかになるのはまだまだ先なのか。

興味の尽きない話です。
どんどん読みたいとは思わない(かなり重苦しいので)けど、絶対に完結してほしいシリーズのひとつです。

だからもっと売れて欲しい。
話が話だからそんなに爆発的に人気が出るとは思えないんですが、打ちきりにならない程度には。
最近、近所の本屋に入らないので今回またもやネットで注文してしまいました。
本屋に一冊ずつ配本されるくらいの人気は出て欲しいと思うのでした。

20100217の購入

極寒の中、図書館本の返却のついでに本屋に寄りました。

エロイカより愛をこめて 36 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194567


以上、購入。
『エロイカ』を手に入れた後はどうしてもニヤニヤしてしまいます。ふふふ。


ところで近況。

ここ数日、周辺ではずっと曇りか雨かという天気で、太陽が拝めないぶんとても寒いのです。
あまりの寒さに思いっきり着ぶくれて出かけましたが、それでも寒かった。
そしたら、その時の外気温が4.4度……。
冷蔵庫より寒いではありませんか。
なんですか、私はナマモノだとでも、冷蔵されろとでも。
そんなふうに愚痴愚痴してしまうほど寒いのでした。

そして今朝はとうとう雪が降り出してしまいましたよ。

いつまでつづくのか冷蔵庫状態。ちょっとどうしてこんなときにお腹が痛くなるの愚痴愚痴。

『中世ヨーロッパの都市世界』

中世ヨーロッパの都市世界 (世界史リブレット)
河原 温
4634342308


[Amazon]


読了。

ヨーロッパにおける中世都市のイメージと実態についての基本的な事柄について、平易な文章で解説する。

入門書という感じのとても教科書的な本ですが、基本的根源的なテーマを押さえてあり、とても勉強になった一冊です。

この本から読むのもいいですけど、ある程度の知識をもってから読むとなおさら「ああ、そうだったのか」感が強くなる気がします。
その点、とても抽象度が高い本ともいえるかも。
具体例も挙げてあるんですけど、実感をもってうけいれるためにはそのほうがいいんじゃないかと、そういう読み方をした私は思いました。

以下、目次です。


都市イメージの再考
1 中世都市の生成
2 中世都市のコスモロジー
3 中世の都市空間
4 中世都市生活の枠組みと人的絆
5 中世末期の都市と社会



私が目から鱗が落ちたと感じたのは、中世の人々が都市に対して抱いていたイメージというか理想の部分でして、キリスト教徒であるかれらがいかにイェルサレムを理想化して深い思い入れを抱いていたか、という事実を知った時、腑に落ちすぎてめまいがしたくらいです。


キリスト教徒の思い描いていたイェルサレムは現実のイェルサレムではなかったんですねえ。
そうか。だから十字軍なんて実態は侵略掠奪でしかない戦に、信念を抱いて参加することもできたんだなあ……。

宗教的な象徴と現実をわざと混乱させた先導者に猛烈に腹が立ちますが、その先導にのせられてしまうくらい、北西ヨーロッパのキリスト教徒って世間知らずだったんだな。

無知なることがいかなる惨状を生み出すかにしみじみと思いを馳せてしまうのでありました。

それから、中世の自治都市の実態について。
本当の意味で自由自治を得ていた都市はごく僅かであり、ほとんどが王や貴族の勢力下にあったという事実。
自由自治を謳歌していた都市が多いほどのちの中央集権化が遅れて、内乱状態が長びいてしまったというあたりにも、なるほどそういえばと思いました。ルネッサンス以降のイタリアなんて酷いものですもんねー。

都市があくまでも王権の元にあったフランスやイギリスがいちはやく大国になっていったのとは対照的。

と、こんなふうに大まかな流れをつかむのにとてもよい本だとおもいます。
ディテールを知りたいというむきには大まかすぎると思いますが、とても面白かったです。

中世ヨーロッパの農村世界 (世界史リブレット)
4634342405

『バガボンド 10』

バガボンド(10)(モーニングKC)
井上 雄彦 吉川 英治
4063287556



借りて読了。

江戸時代の剣豪・宮本武蔵の若き日を描く時代アクションコミック。シリーズ第十巻。

柳生の元締め(?)柳生石舟斎と仕合うために弟子のトラブルを利用するなんて、武蔵のくせにっ。
とか叫びつつ読み始めた十冊目です。

石舟斎が病を患う老人であることは武蔵の意識にはまったくなくて、とにかく強い柳生と戦って自分のつよさを確かめたいの一念だけなんだということが、よくよく伝わってくる一冊でした。

武蔵の前に立ちはだかる柳生の四高弟の眼には、なんとむちゃくちゃに男だろうと映っただろうなー。じっさいそう描いてあるし。

四人と武蔵が戦うシーンは、とてもスリリングで肉体的な重量感にあふれて、ドキドキしながら読みました。
武蔵の行動に驚く四人がいちいち楽しかった。
破天荒な男、武蔵の存在の際だつシーンでもありました。

しかし、そのむちゃくちゃはやりたって戦いに昂揚してほとんど狂戦士化している武蔵が、おつうちゃんに会ったとたん日常感覚を取り戻すところが、今回のワタシ的な読みどころでした。

おつうちゃんがいるから武蔵は人間でいられるのですねえ。

ただのニアミスにならず、ちゃんと言葉を交わしてくれたのがよかったと思いました。

ということでつづきも借りて読みます。

バガボンド(11)(モーニングKC)
井上 雄彦 吉川 英治
4063287637

『砂の本』

砂の本 (集英社文庫)
Jorge Luis Borges
4087602400


[Amazon]


読了。

アルゼンチン出身の作家ボルヘスの幻想短篇集。
十三編と後書きを収録。



他者
ウルリーケ
会議
人智の思い及ばぬこと
三十派
恵みの夜
鏡と仮面
ウンドル
疲れた男のユートピア
贈賄
アベリーノ・アレドンド
円盤
砂の本

後書き

訳者あとがき



ついったーのTLに流れてきたのを見て興味を持ち、借りてみました。
私の手には余るなあと……というのが正直な気持ちです。
とくに著者の自伝的な要素が濃いもの、現実とのかかわりが強いものほど、読みにくかった気がします。
当時の状況について無知なのもあると思うけど、とにかく難しかった。
なにが起きているのかわからない話まであったし「会議」とか(汗。
でも、それでもけっこう面白いとおもえるのはどうしてなのかなー。

なかで、舞台があきらかに今ここではない話は比較的すんなりと読むことができました。

古代から中世にかけてのアイルランドにおける王様と吟遊詩人の話である「鏡と仮面」とか。
中世ヨーロッパに実在したらしいブレーメンのアダムなる人物の架空の記述という体裁でかかれた「ウンドル」とか。
このふたつはすんなり読めたうえに「おお。これはすごい!」と思える作品でした。
どうしてアルゼンチンの作家が題材にするのかなと不思議に思うほど、英米文学ファンタジーの雰囲気に似てました。
だから読みやすかったのでしょうけどね。

それから最後の「砂の本」は、奇妙な物語として普通に読めました。普通というか、ちゃんと受けとめられたというほうが正しいのか。

巻末にいくごとに読みやすくなった気はします。
そして受けとめられたものはみんな素直にすごいと感じる話でした。

しかし、この本で私が普通に読めた作品より、理解できなかった巻頭の作品の方に作家の真髄があるんじゃないかと思えるのですね……。

私はこの本を何十年か後にまた読むべきなのかもしれないと思いました。

ところで、上にはったのは文庫版へのリンクですが、図書館には単行本しかなかったので私が読んだのはこちらです。↓

砂の本 (現代の世界文学)
ホルヘ・ルイス・ボルヘス 篠田 一士
4087730891

『バガボンド 9』

バガボンド(9)(モーニングKC)
井上 雄彦 吉川 英治
406328736X


借りて読了。


江戸時代の剣豪・宮本武蔵の若き日々を描く、時代アクションコミック。シリーズ第九巻。


この巻は「武蔵、柳生に挑む」と帯にあります。
そのまんまだーw

まだ挑んでるだけで相手にはされていないんですけどね。

相手にはされていないけど、花の茎の切り口エピソードなどで武蔵がただ者ではなくなってきてる、という部分がうんうん、と楽しめます。

それに柳生には武蔵の幼なじみでまだ無自覚な恋の相手、おつうちゃんが身を寄せている。
おつうちゃんが戦う男たちに「たけしゃん」を重ねみている姿に、武蔵、罪な奴! とどついてやりたくなります。

柳生はとても強そうです。
武蔵と柳生はどのように相対するのでしょうか。

どうでもいいけど、湯船に浸かる前に身を清めろ武蔵。そこは共同風呂なんだぞ、ぷんぷん。
そこが今回一番気になったところでした(汗。

そういえば又八君はどこにいったのかしら……?

つづきも借りてあるのですみやかに読みたいと思います。

バガボンド(10)(モーニングKC)
井上 雄彦 吉川 英治
4063287556

20100212の購入

発売日なので本屋に出撃しました。

聖なる花嫁の反乱 5 (KCデラックス)
紫堂 恭子
4063758656



以上、なんとかゲット。
(三軒めでした。ちなみに既にネットで頼んだ『イムリ』が今頃並んでるところを見つけてキイッとなった)


ところで、このシリーズ、連載されていた講談社のコミックサイトが閉鎖になり心配していたのですが、これからは別会社のサイトで連載が継続される模様です。

作者様のブログ記事。
紫堂のとりあえず日記:「聖なる花嫁の反乱」5巻、本日発売です!!

移籍先へのリンク。
FlexComix】>「紫堂恭子「聖なる花嫁の反乱」の続きを、「FlexComix フレア」で連載決定!

FlexComixてどういう会社なのかと見てみたら、ソフトバンク系列なんですね。
とりあえず、打ち切り未完ということにならなくてよかったですw

『チャンネルはそのまま! 2』

チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル) (ビッグ コミックス〔スペシャル)
佐々木 倫子
4091831052



借りて読了。

北海道ローカルのテレビ局に報道記者として採用されたおバカヒロイン雪丸花子。彼女の巻き起こすトラブルに周囲の人が大変な思いをするコメディーマンガ。

あーおかしかった。
前回ほど雪丸が前面に出てこないせいか吹きだすところは減りましたが、まわりの人たちの苦労にくすくす笑えました。

不本意ながらフォロー役を仰せつかった山根君はいつもどおりにご苦労様でしたが、今回最も心に残ったのは、二十三に見えない編成の北上君。
北上君はある意味、局中のフォローをさせられる編成担当なんですが、だからってどこででも「編成判断」を求められても……まだ入局一年目なのに老け顔のせいでものすごく頼りにされてしまって大変そうだなあと。でもその信頼に応えている姿がとても輝いていたぞ。かれは懐深い人間に成長しそうでいいなあとおもいました。

あとは北海道☆テレビのマスコット、ホシイさんは以前からホッシーに似ているなと思っていたのですがホッシーよりも取り扱いが大変そう(中身が一定しないところとか)だとか。

雪丸花子の祖母は雪丸たねで母は雪丸早苗なのか、とか。

本編とは全く関係ないところでもいろいろと楽しめるマンガです。相変わらずw

上司のキャラクターが濃いのも楽しい要因だろうなー。
雪丸だけなら鼻につくような話も、上司の絶妙な突き放しとフォローで、雪丸に巻き添えにされている現場の人たちもそれなりに救われているところが後味の良さにつながってる、と思う。

このままのペースで続くのならづきもぜひ借りたいです。

チャンネルはそのまま! 1―HHTV北海道★テレビ (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
佐々木 倫子
4091824501

『ムーン・シャイン グラスハート3』

ムーン・シャイン―グラスハート〈3〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086141787


[Amazon]


読了。

青春バンド小説の第三巻。
短編一作を併録。


デビューシングルを発表し、本格的に始動したテン・ブランク。タイアップのおかげであっというまに知名度が上がり世間でも認知されはじめた。朱音の周囲でもささやかながら変化が始まっていたが、朱音本人はそれどころではなかった。ファースト・アルバムの収録が始まったのに、何度ドラムを叩いてもオーケーをもらえないのだ。どこまでも上を目指してやまない藤谷先生の追求姿勢に、バンドメンバーは精神的にも肉体的にも追い詰められて、一触即発状態にまで陥る。そんなおり、朱音は真崎桐哉のファン国東あゆみから助けを求める電話を受けとる。




天才藤谷直季がバンドに求めているのは自分だけでは作りえない音楽であり、他人を交えるからにはその個性を衝突ギリギリの限界までひきだしたすえに生まれる究極のアンサンブル、なのかなーと思わされた巻でありました。

愛するがゆえに殺す。

そんなことまで求められてしまうギタリスト高岡君の、それでもその要求を受けとめきってみせたつよさにカンドーしました。

藤谷先生はほんとうに音楽の世界の人なんだなー。
わかっていたけどあらためてそう感じた。
音楽にのめり込んでその世界ではけして妥協を許さない。
とことんつきつめて、自分の体を省みることなく突っ走ってしまう。
真性の芸術家。

なのにその音楽を自由にするために必要だからと、音楽以外のごたごたをもすべて自分でひきうけてしまうのは、井鷺氏に関わることなどの過去の苦い経験のせいなのかもしれません。
でも、藤谷先生には音楽以外のことで煩わされて欲しくないと、かれの庇護者達はみんな思っている。

藤谷先生には、実務家とパトロンをかねた大人の理解者が必要だと思ってしまう今日この頃です。
そういえば、この話、デキる大人がいないよね……。


同時収録された短編「ムーン・シャイン」は坂本君視点の話。
本編よりも時系列的には前の話で、坂本君の家庭環境とそれによって育まれた性格、藤谷先生や高岡君との距離感などがいろいろと興味深かったです。

ようするにだ。坂本君は自分はお子様だと知っていて誰にも寄りかからずに生きていける大人になりたいと願っているけれども、なかなか思うにまかせずあがき苦しんでいる青少年なんだってことかな。

他人を自分の言動で傷つけることに苛立って、自分をも傷つけている。
でも、どうしたらいいのかまだよくわからない。余裕がない。視野も狭い。経験が不足している。

そんなささくれだった若い心に、朱音ちゃんの存在が救いになっている。
自分のふがいなさを見せつけられない、見あげなくていい、でも見下ろすこともない、対等の立場だからかもしれません。

朱音ちゃんが前向きで元気いっぱいで裏表のない、余計な勘ぐりをしない女の子だからということもあるかな。

このお話はとても若いというか青いというか、思春期の葛藤を鋭く描いていて、いいなあと思います。

若い時にしか書けない話というものはあるよねーとこのシリーズを読んでいてひしひしと感じます。

さて、この巻ではまったく出番のなかった真崎桐哉君はどうしているのでしょうか。
というところで次巻にゴー、です。

嵐が丘―グラスハート〈4〉 (コバルト文庫)
若木 未生 橋本 みつる
4086142724

『高校球児 ザワさん 3』

高校球児 ザワさん 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
三島 衛里子
4091828647



借りて読了。


女の子ながら高校の硬式野球部に所属する“ザワさん”こと都澤理紗の日常を、他者視点で描く短編連作コミックシリーズ。第三巻。

私の期待とはちょっとちがう雰囲気になってきた第三巻でした。
いままでよりも視点の距離がザワさんに近くなってきたせいかなと思う。
完全な第三者視点の話の方が私には面白いんですけど、そういうネタには限りがあるんでしょうね。

今回はザワさんの家庭環境が推測されるような話が出てきたり、部内の人間関係とかが垣間見えるような話があったりと、だんだん第三者の抱くザワさんというイメージ像からはなれて、ザワさん自身が描かれるようになってきた感じです。

それでもかなり遠回しからの描写なので、ディテールから読みとる楽しさは健在なんですけどね。

読んでいる時はけっこう面白かったのですが、そんなことを感じた第三巻でした。

『ピアノの森 15』

ピアノの森 15 (モーニングKC)
一色 まこと
4063726754



借りて読了。

劣悪な環境に生まれ育ったピアノの天才少年一ノ瀬海と、かれをめぐるひとびとの人生を描く、音楽コミック。シリーズ第十五巻。

この巻では、ポーランドで行われているショパン・コンクール第一次予選の模様が前巻よりひきつづいて描かれています。
最終日に演奏する海くんの出番に至るまでに多くのライバルが顔見せするという構成で、なかでも超ビビリと認識されていたレフ・シマノフスキの豹変ぶりに聴衆はあっけにとられます。

これまで海とは森でちょくちょく出会っていたので、それなりに存在感があったかれですが、まさかここまですごい演奏をするとは思わなかった。

でも、この巻はそのあとが本番なのです。
そう、一ノ瀬海が公の場で本領を発揮する、初めての舞台がとうとう訪れたのです。

一次予選の一人あたりの時間は四十五分あるそうですが、ここではコンクールをそのまま再現したような濃密な時間が描かれてます。

海の弾くピアノの表情、導き出される音色。
否応なく惹きつけられた聴衆が誘われていくのは、海の心にあるあの大切な場所。

実際には聴くことのできないピアノの音色ですが、描く者の力によってここまで雄弁にかたることができるのですね。

実際は海のピアノを描いているわけではなく、聴衆の反応とそこに生み出された空気感を描いているのですが、眼には見えない音というものを伝えるにはそれが一番大事な所なんだろうな。音楽というものは受け手がいなければ成立しないものなのだから。

というわけで、初めての衝撃にうちふるえる聴衆の皆さんにほくそ笑みつつ、次巻を楽しみにしています。

ところで、この巻には特別限定版が出ていまして、貸してもらったのはCDつきのそれだったのですが、いったい誰が海くんのピアノを演奏しているのかと思ったら……ウラディーミル・アシュケナージですと!

そうなんだ……という思いと、こんな巨匠を……という思いでちょっと混乱してしまいました(汗。

ピアノの森 16 (モーニングKC)
4063727521

『風の王国 うつつの夢』

風の王国―うつつの夢 (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086012944



[Amazon]


読了。

吐蕃王に嫁いだ唐の公主の人生と吐蕃をめぐる国家の動乱を描く、歴史小説。シリーズ十九冊目。



吐蕃王ソンツェン・ガムポの命で隣国シャンシュンに赴いた翠蘭を待ち受けていたのは、王国末期の混乱状態だった。いくつもの異なる陣営の勢力争いに盲状態のままに巻き込まれた翠蘭たちは、反逆者に追われる国王リク・ミギャ達と合流し、逃避行の果てに王太后の陣取るガカリダの砦へと向かう。そのころ、シャンシュン南部の小領主ドンモ・オルパは、シャンシュン攻略のため大軍を率いた吐蕃宰相ガルの訪問を受けていた。




ふーっ。
息もつかせぬ怒濤の展開でした。
ゆっくり読もうと努力していたのにもかかわらず、まったく報われず。つぎつぎと現れる新局面にハラハラドキドキしながら、二日で読んでしまいました。

物語はもうすっかり歴史動乱物の様相です。
歪み腐れたシャンシュンの内部状況と吐蕃の侵攻がからみあうこの巻で、ソンツェン・ガムポの深謀遠慮とリク・ミギャの行ってきた消極的ながらとても有効だった策がどれほどこの状況に作用してきたかがあきらかになるくだりには、息を呑みました。

戦によって生み出される悲惨な状況に痛ましさを覚えつつ、無能な為政者の生み出す死者の数には憤りを感じずにはいられません。

私利私欲のみを追求する者が権力を握るとどうなるか。その最悪の例がここに提示されているように思えました。

その状況を作り出した王太后の捻れた思いは、政略結婚の生みだした物。
彼女のした行為は責められてしかるべきですが、その根底にあった心情に翠蘭は自分を重ね見てしまいます。もしかしたら、王太后の立場は自分の立場だったかもしれないと。

複雑な人間関係と政治情勢を緊密にからませて、さらに戦の悲惨さを描き出す。
様々な要素がぎゅうぎゅうに詰め込まれた濃密な物語でした。

読みおえたらしばらく放心状態になりました。

とても面白かった。
あえて注文をつけるとすると、あまりにも内容が詰め込まれているので余韻に浸るシーンがないってことでしょうか。
情景描写がほとんど存在しない。
シャンシュンの空気を風を感じるようなシーンがもう少しあると嬉しかったのになと個人的には思います。

そんな緊迫つづきの話で、ほっとできるのは犬のヤブリムの登場シーン。
翠蘭がヤブリムに腹を踏まれるところは楽しかったです。肉球のついた足という文章だけでにやっとできましたw

ところで、このあとシリーズは刊行されていない模様ですが、もしかして打ち切りになってしまったのでしょうか。
ラブが全然無い殺伐歴史ものになってしまったから心配していたのですが、とても面白いのでぜひつづきも読みたいです。

翠蘭が子どもたちと離ればなれのままなんて可哀想すぎるし、ガルがとっても頼もしくなってきたのでw

しかし翠蘭ってほんとうに丈夫な人だと思います。こんなに掠われまくって逃げだしまくって、強行軍つづきで、熱出して寝込んでたりしてたのに、最後のチャンバラシーンに参加している姿にはちょっと呆れました。

翠蘭がスーパーウーマン過ぎるのがこのシリーズの唯一、現実離れしている点だと思いますw

『ミストボーン 霧の落とし子 3 白き海の踊り手』

ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)
Brandon Sanderson
4150205027


[Amazon]


読了。


緻密な世界設定に切れ味の良いアクションが楽しい、スピード感あふれる異世界ファンタジー。三部作の第一部、完結編。



スカーと呼ばれる奴隷階級を虐げ続ける〈終の帝国〉。支配王を神と奉じるそれをひっくり返すために集った、スカー出身の百戦錬磨の盗賊達。だが、反乱軍は準備が整わないうちに都の守備兵と激突して大半が失われてしまった。意気消沈するチームに、首領のケルシャーは多大な犠牲によって生じた都の警備の隙を突くと宣言し、あらたな作戦を始動する。ケルシャーに〈霧の落とし子〉であることを見いだされ、貴族の令嬢に扮して情報収集の任務に就いた少女ヴィンは、大貴族ヴェンチャー家の令息エレンドに想いを寄せるようになっていた。エレンドと任務の間でゆれるヴィン。だが、エレンドはヴィンの素性に疑問を持ち始めていた。




面白かったですー。

なにが面白かったかというと、合金術のシステム的にきちんと整合性の取れた設定と、それによって生み出される現象をもちいて描き出されるアクションシーン。
まるでコンピュータゲームみたいなシステムだと思うのですが、ゲームと違うのは実際に使っている人がそのときどういう体験をしているか、コンピュータゲームでは絶対に味わえない感覚の部分で追体験できるところです。

体の中で合金を燃やして生み出される力がどのように肉体に作用するか、物質に働きかけるか。
熱さ冷たさ、肌がそそけだつような鋭敏さ、視界のひらけるようす、物を押したり引いたりして自分の体を飛ばしてゆく感覚、相手の力を感じとる感覚。

こういう感覚は映像では絶対に受け取れないものだなと思います。今は現実ではありえないのにものすごくリアリティーのある映像をいくらでも見ることができますが、文章だけに出来ること、文章を読む意味はここにあると思う。

それがすばやいテンポでどんどん切り替わっていくさまは、ほんとうにスピーディーで格好良くて、読んでいてワクワクしました。それくらい楽しかった。

ストーリーは、展開がはやいぶんだけ意表を衝かれつづけましたが、振り返ってみるとそれほど奇抜なものではないと思います。

登場人物達それぞれに付された背景もほのめかすだけでそれほど踏み込まず、ストーリーを進めることに絞った描写で、緊張感を持続したままいっきにラストまで駆けぬけた、という感じでした。

ヴィンの心情が内面から描かれていくのにケルシャーは外側からしか描かれなかった理由が、クライマックスでよくわかりました。

ケルシャーは……書くとネタバレなので自重します……。

怒濤の進み方なのに最後に余韻が残ったのは、大部分がかれの行動のためだったと思います。


このあと、第二部の刊行がすぐに開始されるそうですが、いったいどういう話になるのでしょう。全然予測できない。でもとても楽しみです。


ミストスピリット 1―霧のうつし身 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-6)
ブランドン・サンダースン 金子 司
4150205094

『とめはねっ! 鈴里高校書道部 6』

とめはねっ! 6 (ヤングサンデーコミックス)
河合 克敏
4091514804



借りて読了。


青春書道マンガの最新刊。

やっぱり面白いなーと思うマンガでした。
書道なんて文化部の極みみたいな部活を、体育会系のノリと深い蘊蓄で次々とページを繰らせてしまう。キャラクターの立ち方もどんどん強くなってきて、ほんとに楽しいです。

主人公の影の薄い少年大江縁君の影がさらに薄くなっていってるのが気がかりですが、でもかれもきちんと出るべきところは押さえているので、大丈夫でしょう。

私は、縁君の片想い相手の望月結希ちゃんがとっても好きだなあ、と思う。
元気で明るくて熱血で負けず嫌いで真っ直ぐで大ざっぱで全然色気がないの、可愛いなあ。しみじみ。
小学生の時の結希ちゃんなんて、抱きしめてほおずりしてあげたいです。男の子みたいなんだもんw

彼女のラブレターエピソードも、縁君が思い悩むようなものじゃないと思うんですが。恋する少年の心は揺れるのですね。
このマンガ、ヒロインとヒーローの関係が従来とは完全に逆転してますね。そこも好きw

書道は初心者だけど柔道ではインターハイ優勝者という結希ちゃんのおかげで、書道甲子園に行ったり、ライバルと出会ったり、という体育会系のノリが唐突じゃなくなり、いつのまにか強豪校と戦うという展開が自然に思えてくるので楽しいです。

書道って勝ち負けじゃないと思うんですが……(苦笑。
まあ、見下された相手を見返したいというのは、モチベーションとしては最強なんだろうな。恋愛以外でいうと。

ところで書道に強豪校なんてものがあるなんて、私初めて知りました。
書道甲子園というものがあることも。
こうやって競い合うからライバル心が生まれるんでしょうね。
にしても、強豪校の練習がほんとうに体育会系なので驚いたです。
それだけ一生懸命にやることがあるのはいいことだなと思いますが(汗。

余談。

NHKでドラマ化されたのをときどき見てるんですが、基本キャラクターを押さえつつ、かなり設定も展開も変えてありますね。全五回でケリをつけなければならないのでしょうがないと思うけど、結希ちゃんのラブレター話がぜんぜん違う話になっていたのでありゃりゃと思いました。
それと結希ちゃんママ役で葉月里緒奈が出てたのにびっくり。もう母親役をするような年になってたんですねえ。

うーむ、感慨深いです。

『神々の夢は迷宮』

神々の夢は迷宮 (講談社X文庫―ホワイトハート)
西東 行 睦月 ムンク
406286617X


[Amazon]


読了。


天涯孤独になった海人の少年と有能だが人から孤立しがちな若者のぎこちない出会いを、神々の至宝を収めたという迷宮の謎とともに描く、異世界ファンタジー。



海の上で生涯を送る海人の一族に生まれ育ったワツレンは、大嵐で一族の全てを失った。かれを漂流の身から救ってくれた大国フィリグラーナの海軍将校ルーザ=ルーザは、ワツレンを養子にし、王都ディアマンティーナの友人にその身を預けた。ルーザ=ルーザの友人は神々の至宝を守る迷宮の管理庁で若くして管理者に任ぜられたエトだ。ワツレンはエトの助手として迷宮管理庁で寝起きすることになった。成人するために必要な刺青を刻み終えないまま、海人としての未来が無くなったワツレンは、陸地での生活に馴染もうと努力するが、親切に接してくれるエトにどうしてもうち解けさせてくれない一線を感じていた。




同著者の『鳥は星形の庭におりる』が面白かったので読みました。
こちらもたいそう面白かったです。
精緻な構成に過不足無く描かれた世界設定。登場キャラクターのさりげない存在感。素直に物語全体をひとつの作品として楽しめる逸品だと思う。

前作でもそうでしたが、作者さんはとても理知的な考え方をされるかたなんだなー。
今回のメインの舞台である迷宮は、魔法は魔法でも数学的な理屈っぽい魔法がかけられています。
ファンタジーの幻想は輪郭の曖昧な、説明のつかないものであることが多いのに、この作品の場合は曖昧なものをひとつの理屈によってすっきりと説明してしまう数学の力が不思議な力を持つものとして扱われているのですね。

たしかに数学はわからない者にはとても不思議で神秘的なものです。わからない私が言うのだから間違いありません(笑。
それでもって、そのわからない数学をすらすらと解き明かしてしまう人は、魔法使いとおなじくらい底の知れない、謎の人に見えるかもしれません。
このひとの頭の中はいったいどうなっているんだ~という感じでしょうか。

というわけで、作中にぽこぽこ出てくる数学用語が魔法の呪文のように感じられた私……。
もはや中学レベルの数学も理解できないような気がしてボーゼンとしました。

が、話は数学を理解できなくてもちゃんと理解できます。
メインテーマは、否応なく襲いかかってきた哀しみ苦しみとどう向かい合い、折り合いをつけていくか。そして、人間はひとりじゃないんだよ、ということかなーと思います。

作品世界は『鳥は星形の庭におりる』とおなじで、蒼い衣の吟遊詩人氏がちょい役(でもかなり重要な役)で登場しています。
私にとっての吟遊詩人は物語の枠に近い部分にいる存在そのものが憧れで、この作品でもその憧れを体現するような人物像で描かれているのでそのあたりがとても好きです。

それから、美形の平民出身将校ルーザ=ルーザくんの人を食ったような名前にウケました。
名前を見るだけで漫才コンビが出てきたような気分になる美形キャラって、珍しいと思う……。
本人はいたって爽やかなお兄さんなんですがねー(苦笑。


鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫―ホワイトハート)
西東 行 睦月 ムンク
4062865874

20100202の購入

近隣書店でとうとう入手できなかった本をネットで注文。
ようやく店に届いたので受けとってきました。

黄金の狩人1 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562078


黄金の狩人2 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562086


黄金の狩人3 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562094


イムリ 7 (BEAM COMIX)
三宅 乱丈
4047262773


以上、購入。

『黄金の狩人』は大好きな「ファーシーアの一族」の続編。ずっと刊行を待ちわびていたものです。
まさか一冊千円の三分冊で出るとは思いませんでしたが……でも買ったw

『イムリ』もつづきが楽しみだったシリーズ。マンガも本屋で見つからなくなるとは無念です。でもそういえば六巻もネット経由で入手したような記憶がよみがえってきた。あんまり売れてないのかな。とっても面白いのに。

一月分に計算していたのが二月に出ていってしまいましたが、二月もけっこう目当ての本が出るのではみ出し分を二月に計上すべきか否かで悩んでいます。
どっちにしろ出所はおなじ自分の財布なんですが、気分が違うんですよ。うむ。

『ミストボーン 霧の落とし子 2 赤き血の太陽』

ミストボーン―霧の落とし子〈2〉赤き血の太陽 (ハヤカワ文庫FT)
Brandon Sanderson
4150204993



[Amazon]


読了。


終末期の世界。絶対的な支配者を頂点とし、被支配民スカーの虐げられている帝国で、カリスマ性を備えた首領とともに打倒帝国を目指すスカー出身の盗賊達の活躍をスピード感たっぷりに描く、異世界ファンタジー、第二巻。



〈終の帝国〉をひっくり返すという目的のために首領ケルシャーのもとに集結した盗賊達。かれらは綿密に立てた計画に従い、それぞれの任務を遂行し始める。ケルシャーによってすべての合金を扱える合金使い〈霧の落とし子〉であることを見いだされた少女ヴィンは、情報収集を命じられ、従僕で〈たもちびと〉でもあるセイズドの指導のもと、貴婦人を装って貴族達のもよおすパーティーへの参加を始める。そこで彼女はルサデル一の有力貴族ヴェンチャー家の跡継ぎ、エレンドと知り合いになった。




面白かったー。

めまぐるしく変転するストーリーに個性豊かな登場人物。ディテールを省いた世界描写は、まるで本邦のライトノベルみたいです。

ヴィン視点では、なりゆきから社交界デビューしてしまった少女の、なかなか他人への不審を消せずにいながらも、次第に仲間とのふれあいや豊かな生活に馴染み、社交界では貴族的な文化に辟易しながらやっぱりいつの間にかかれらに感情移入してしまう、順応性の高い若い精神と不安定にゆらゆらゆれる乙女心を満喫。

ケルシャー観測視点では、誰もが不可能と思いこんでいる計画が、ひとりのカリスマによって一縷の希望を生みだし、予想外の展開を呼び込む過程が、ストーリーの主軸として急展開。

合間に繰り出される合金術のアクションの切れ味が素晴らしく、それがまたストーリーから浮かびあがることなくしっかりと絡み合って、合金術のもたらすプラスマイナスもきちんと描き、スリリングな読み物となっています。

そんななかで私の個人的な萌えは、〈たもちびと〉のセイズド。
皇帝によって根絶やしにされかけ、今は出産制限をされて生まれたときから従僕として育てられるというテリス族の生き残りです。
従僕という属性も、一部の人には強力なアピール点かと思いますが、情報を蓄積し保持し続ける特異な能力を持つ〈たもちびと〉という設定に、心を打ち抜かれましたv

セイズドの専門は宗教で、かつて世界に存在したことのあるひとつを除いたすべての教えを記憶し、自在にひきだしてくるかれの姿に、陶然としてしまいます……物知りなひとって憧れなんですよ。
それに支配王に目の仇にされているというからには、彼の存在はのちのち大きな要素になってくると思うのですよね。いや、そうなったらいいなあという期待八割なんですがw

それから、各章の冒頭にひかれている文章ですが、これって支配王の日記だったんですねー。
気づいていれば真面目に読んだのに、初めの頃はなんだこれよくわからんと思って読み飛ばしていた。がくり。私のバカ。

ストーリーは急展開をして、ええっ、何が起こったの、これからどうするの、でも頑張るんだよね、よし行け! てところで次巻へつづくです。

この巻は思いがけずはやく読めたのですが、次はどうかなー。
できればこれまでの分を忘れる前に読みたいなと思っておりますが、自分の力ではどうにもならない……。


ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)
Brandon Sanderson
4150205027