「天の庭 地の海」

古茶さん作「天の庭 地の海」読了。

異世界SFファンタジー長編、完結済み。

文明崩壊後の世界を舞台にしたシリアスなおはなしです。宮崎アニメぽい映像を思い浮かべながら読みました。
丁寧で安定した筆致で、何も知らなかった少女と彼女を見つけた少年、ひとびとの絆を中心に滅びゆく世界の動乱を描いてます。

わたしは番外短編「ディナス・ノウに告ぐ」がいたく気に入っております。

『嘘つきは姫君のはじまり 東宮の求婚』

嘘つきは姫君のはじまり 東宮の求婚 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086013940


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いただいて読了。

平安時代、あるじの身代わりに姫君として後宮にあがった女の子の恋と後宮を巡る事件を描く、ロマンティックミステリ。シリーズ七冊目。


東宮から熱い想いをうち明けられて、身代わり姫であることに罪悪感を抱くようになっていた宮子は、行方不明だった一条の大姫が東宮妃をめぐる争いに名乗りをあげたことに混乱していた。駆け落ちした大姫は恋人を失って実家に戻ったと聞くが、初めて顔を合わせた彼女は予想とは裏腹に積極的に東宮の寵愛を勝ち取ろうとしていた。不安に陥った宮子に追い打ちをかけたのは大姫に貸した扇。返されたそこには、「乳姉妹の秘密を知っているから東宮妃を辞退するように」という文章が書かれていた。




話は急展開、です。

大姫の想像以上のうつくしさ、かしこさ、優雅さに圧倒されて混乱する宮子は、大姫と東宮の親しげな様子に嫉妬に身を焦がすことになり、とうとう自分の次郎君への想いがなんであるかを自覚します。

そこに返された扇に脅迫文。
さらに、後宮に潜んだ賊に宮子が手荒な脅迫を受けるにいたり、馨子を筆頭とした九条家陣営は強く意志を持って迅速に体勢を整え始めます。

東宮妃候補をめぐる駆け引きは、大姫が駆け落ちした相手が属していた盗賊集団・鬼人党の内幕から、九条家の内輪もめ、源氏の大臣や蛍の宮、さらに女の子好きの女一の宮、藤壺の中宮を巻き込んで錯綜していきます。

いやー、すごいなこの構成力。
よくこの分量でまとまったものです。すごい濃縮展開。
そして気がついてみると、どのページも字で黒く埋まってる……。
この雰囲気、何かに似ていると思ったら、須賀しのぶ『アンゲルゼ』でした。

もしかして、このシリーズあんまり売れてないのかしらと、いらぬ心配をしてしまったりしました。

かなりぎゅうぎゅうに詰め込まれた話なので、緩急があまりなく、ラストまで緊張状態が続きます。面白いのですが、どんどん続きが読みたくなるのですが、それがやっぱりわたしには疲れます。集中力が減衰気味なので。

それと、つめこんだせいなのか、あるいは読者層を広げようとしているのかもしくはその反対なのか、わたしには判断つきかねますが、話の導入部には吃驚しました。男同士の濡れ場、しかもかなりあけすけ……(汗。

そういう話なんだと思って読めばなんてことはないのですが、そういう話だと思ってなかったのでショックでした。しかも、その後の展開にはあんまり関係なかったような気もするので、よけいに「あれにはなんの意図があったのだろう」と最後まで引きずってしまいました。

ネット小説なら、R18だろうと感じました。

最近、コバルトでもいろいろ色っぽい話が出てますが、話の流れでというならともかく、冒頭にこれは、ないんじゃないかな……わたしが几帳面すぎるのかな。

面白かったのにもやもやとしてしまったのが残念です。

わたしとしては珍しくミステリ部分でもやられたと思いましたし。

ところで、この話で一番楽しいのは女一の宮でございます!
蛍の宮もなかなか良かったけど、ちょっと演技過多だったかな。
そしてわたしは、次郎君のいとけない弟君が出てこないかなと思ってます。以前の「抱いてもよいぞ」には大受けしましたw


平安ロマンティック・ミステリー 嘘つきは姫君のはじまり 寵愛の終焉 (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086014378

『嘘つきは姫君のはじまり ふたりの東宮妃』

嘘つきは姫君のはじまり ふたりの東宮妃 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086013665


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いただいて読了。

平安時代を舞台に、あるじの身代わりに姫君として後宮に参内してしまった女の子と東宮の恋を、続発する騒動や事件に絡めて軽快に描く、ロマンティックミステリシリーズ。第六巻。

この巻は前巻の盗賊跡目争いの後日譚と、これからの東宮妃の地位獲得戦への大姫の参加表明という、なんとなくインターバル的な話でした。

読んでいて、「いつまで過去のおさらいをしているの、はやく次に行きなさーい!」とじりじりしていたのですが、ようやくというところで次巻へつづくとなってしまい、がくんと足もとを外された心地になりました。

もともと、大姫が行方不明になったおかげで、宮子は姫君を詐称する羽目に陥ったのですよね。
なのに、大姫が行方不明になった理由とその後が、こんな第三者視点で簡単にまとめられて説明されてしまうなんて……ちょっとがっかり。

たぶん、核心部分はまだ明らかにしていないのだと思うのですが、それも開き直ったような大姫の東宮妃への意欲満々な姿に、なんとなく察せられるような気がします。きっと早急に結婚しなければならない理由があるのだとわたしは推測していますが、さて。

ところで、そんなストーリーの不満を吹き飛ばすような次郎君の口説き責めでした。
これって、宮子にもそうとうきついだろうけど、読んでる私にも苛酷な拷問のように思えました。
身もだえするというより、歯が浮く……(汗。
数え十五の男の子が、欲求を素直に表しまくっているのだとおもって耐えてますが、ときどき本を降ろして溜息をついてました。いい加減にしろw

併録された短編「東宮さまの甘い生活」は、口説きのうえに甘いお菓子を作るという劇甘展開で、もうどうにかして欲しかったです。

ミステリがなければ読めないよ~。

それに、次郎君は、振りまわしてる分は確実に振りまわされてるから許すことにします。

さあ、つぎはとうとう大姫との対決ですねv

嘘つきは姫君のはじまり 東宮の求婚 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086013940

20100925の購入

久しぶりに発売日に突撃。目標本屋。

夢の上 1 (C・NovelsFantasia た 3-6)
多崎 礼 天野 英
4125011230


以上、ぶじに購入。

お高いと思ったらボリュームもありました。読むのが楽しみです。


帰りにこれまたお久で妹宅へ。
たくさんのお喋りの合間に甥っ子とマリカーで遊んできました。
ストレス発散w

『犬夜叉 50』

犬夜叉 (50) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091211569


読了。

女子中学生日暮かごめが戦国時代へトリップ。半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに、四魂の玉の欠片をもとめて奈落との戦いをつづける、伝奇アクションコミック。シリーズ第五十巻。

うわー、とうとう五十巻かあ……。

この巻には主に、鉄砕牙と天生牙の関係と、二振りの刀をつくらせた犬夜叉と殺生丸の父親がクローズアップされています。

冥道残月波のもともとの持ち主・死神鬼に、弟・犬夜叉に残した鉄砕牙のためにつくられたという天生牙の由来を聞かされた殺生丸の動揺がせつないような苦しいような。でもきっと、おやじ殿にはもっと深い親心があったはずということも示唆されてます。

このふたりのおやじ殿、かなりの傑物だった模様ですが、名前、でてきましたっけ?
ちょっと悩んだ……w

それから、琥珀くんに埋め込まれた四魂の玉の欠片を取り戻そうとする奈落が、桔梗の残した仕掛けに気がつくエピソード。

そして、ひさしぶりに実家(笑)にもどったかごめちゃんのエピソード。
ついに、とうとう、クライマックスの始まる予感です。なんて、すでにあと六冊で完結だということはわかってるんですけどね。

でもようやく、かごめちゃんと犬夜叉がどうなって終わるのかという最終目標が見えてきたので、感慨深いです。

わたしの予想は……いまさらなので書くのは止めときます(苦笑。


犬夜叉 51 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091211984

20100924の購入

他人用の本を物色しているはずだったのにいつのまにか自分用の本を買っていた……。


失はれる物語 (角川文庫)
乙一
4044253064


以上、購入。

他人用ってじつは姪っ子用だったのですが。
ジュニア向け新書に乙一のタイトルがあってですね、その表題作は既読だったのだけど併録されてた短編が未読で、あ、これどんな話だろ、と思ったら矢も楯もたまらず。本の後ろを見て初出を見つけ、収録短篇集を探し、三軒目の本屋でレジに走ってましたよ……。

あとになって、もともとのジュニア向け新書を買えばよかったんじゃない? と思いました。
でも姪っ子に乙一はまだ早いような気がするのさ。

『狩られるものの生活 シートン動物記2』

狩られるものの生活 シートン動物記 (2) (シートン動物記)
アーネスト・T・シートン 藤原 英司
4081330026


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読了。

シートン動物記全集の第二巻。
「狩られるものの生活」と「タラク山の熊王」を収録しています。
目次は以下の通り。



狩られるものの生活
  読者への覚え書き
 クラッグ――クートネー山の雄山羊
 町の吟遊詩人――ある雄スズメの冒険物語
 ジョニー熊
 マガモの母さんと陸の旅
 チンク――子犬の成長
 カンガルー・ネズミ
 ティトー――りこうになったコヨーテの話
 コガラは、なぜ年に一回気が狂うのか

タラク山の熊王
 献辞
 タラク山の熊王



シートンが書いているのは完全なノンフィクションではない、とシートンみずからが記しています。
かれは、ある傑出した個体の一生を書きあげるためにいくつかの個体のエピソードをまとめてひとつのものとして表現する、という方法をとっているそうな。

ひとつの個体の一生をすべて目撃することは、自然状態で生きる野性の生き物であるならなおさら、不可能。とすれば、たしかな断片の間に生じる空白をできるだけ自然に埋めようとすれば、おなじ種族の個体のそれらしきものを使うのがベターだよなと思う。

そして、できるなら見栄えのするエピソードを使いたいというのは物語を語る者としては当然の気持ちだろうなと。

ノンフィクションの手法としてはいかがなものかとは思いますが、それって人間の英雄伝説の成立過程に似ているような気がします。

だから、シートンの話は叙事詩みたいな気高い雰囲気を持つものが多いのかな。

それと、野生の生き物たちには必要不可欠な大自然の描写の雄大でなおかつ細やかで具体的なのが、世界そのものとの一体感を強く印象づけてくれるのも、わたしのツボを直撃しています。

一巻で受けた衝撃ほどではないにしろ、この「世界とともに生きている」雰囲気があるかぎり、わたしはこの全集を読み続けるような気がします。

けっきょく、なんだ。
世界そのものを描くファンタジーが好きなのと根っこはおなじですね(苦笑。

『嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人 後編』

嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(後編) 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086013401


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いただいて読了。

平安朝を舞台に身代わりで姫君になった女の子がいろんな事件に巻き込まれる、ロマンティックミステリ。シリーズ第五巻。

京の都を二分する盗賊集団のひとつ、春秋党の跡目争いから起きた連続殺人事件の解決編です。

ひとりで後宮にあるという鏡を探す宮子があれよあれよと東宮たちを巻き込んで、探索と陰謀のなかで糖度の高いやりとりを繰り返す後宮パート。

盗賊親分の別宅・百舌殿で起きる連続殺人に戦々恐々、スリルとサスペンスと謎解きと意外な人物の意外な行動に驚いたりできる盗賊パート。

ダブルプロットでいっきに駆けぬける、密度の高い展開でした。
面白くてとんどん進んで息を抜く暇がないので、読後はちょっと放心。

ミステリとしてサスペンスとしてロマンスとして、いろいろとたのしめる一冊です。

ここに空気感とか雰囲気とかをつたえてくれるような情景描写があればいいのになあ。
あまりにも詰め込まれているので、わたしのような古い人間は息抜きとかインターバルが欲しくなったりするのですね。

そういえば、先頃読んだ米国産ロマンスやファンタジーにもそんな感想を抱きました。
描写を切り詰めて、展開をはやく、というのは世界的な流れなのでしょうか。
映像で育った世代の共通感覚なのかな、もしかして。
もしくは、そういうのじゃないと受け入れてもらえない、というのもあるかもしれない。

行間を読んだり、情景にひたったり、そういうことが好きな人間には少し寂しいです。

というのは置いておいて。

宮子が後宮で東宮とあんなこんなをしているうちに、真幸は有子姫と接近していたのですね。
本人たちはぜんぜん認識してないようだけどw
馨子に臆面もなく求愛する源氏の若者も面白いです。
どんなちょい役にもちゃんと個性があって、愛情が感じられるのが好きです。

そして、前編同様、貴族だけではない平安期の生活がうかがえるさまざまな文章がたいへん興味深かったです。

見たて殺人だけはあんまり好きじゃなかったですが……。

ともあれ、大変楽しみました。
つづきも読みます。


嘘つきは姫君のはじまり ふたりの東宮妃 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086013665

『嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人 前編』

嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(前編) 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
408601310X


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いただいて読了。

平安朝の京の都を舞台に、乳姉妹のあるじの身代わりに姫君を演じることになった女の子の、冒険と恋を描く、ロマンティックミステリシリーズ。第四巻。


行方不明の大姫を見かけたという有子姫の言葉をもとに、後宮から急きょ里下がりをした馨子と宮子、有子姫に真幸の四人は市へと向かった。混雑する市で慣れない宮子姫と馨子を休みどころに残し、主な探索は宮子と真幸が受け持っていたのだが、なんとか情報を得ようとした有子姫がたちの悪い男たちに絡まれてしまう。窮地に陥った四人を救ってくれたのは、以前の事件で顔を合わせた女盗賊・竜田だった。




「白雪姫と七人の小人」?
なんて阿呆なことを連想しながら読み始めた巻ですが、初の二分冊とあって話が大きくなってます。
後宮恋愛ミステリじゃなくて、盗賊の跡目争いに端を発した連続殺人ミステリになってますよ。
しかも、失われた鏡を探し出すという冒険サスペンスつき。

なぜに宮子たちが巻き込まれることになったのかは読んでくださればわかります。
導入部が多少強引かなと思いましたが(しろうと女三人に警護がひとりのお忍びってどうよ)、盗賊たちの巣窟に迷い込んでからの展開が速くって、うわうわうわ、と猛スピードで進むストーリーに翻弄されてしまいました。

面白かったです。

今回、舞台が一時的に後宮を出たうえ、庶民の行き交う市など出てきていろいろと面白かったです。
馨子と有子姫が聞き込みをする女房斡旋所とか、ほんとうにあったのかなとおもうのですが、あってもおかしくはないなと。この時代、女房と遊女に境目はない模様なので、斡旋された職場で頭角を現して、貴人の目にとまってときめいてしまう女がいたかもしれませんよね。うん。

それと盗賊たちに刀を渡しに来た源家の若侍。
ふらふらと視界をよぎる男だなあと思ったら、とんでもないヤツでしたw
本名が明らかになった時はびっくりしたあ。
これがあの鬼退治の……むにゃむにゃ。

武士が盗賊とつながっているという設定も、このところ読んでいた歴史関係の本を思い出させます。
盗賊といったら非人。
春秋党の親分の愛人だったという自称巫女の愛姫の出自も非人。

こんなあれこれがさらりと書かれているあたり、この作者さん、ただの後宮恋愛ものを書きたいわけじゃないんだな。社会の描き方が奥深い。生活感があふれているし、キャラクターの描き方も距離を置きつつ愛情が感じられて、人生経験を感じます。とくに幼い子への視線があったかい。

と、細部に感心しつつ、物語の行方にも興味津々です。
果たして宮子は後宮での探索を成功させることができるのか。
ひきつづき、後編を読みたいと思います。

あ、白雪姫も七人の小人もまったく関係ありませんでしたので、念のため。


嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(後編) 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086013401

『嘘つきは姫君のはじまり 恋する後宮』

嘘つきは姫君のはじまり 恋する後宮 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086012693


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いただいて読了。

平安時代を舞台に、あるじの身代わりにいまをときめく藤原家の姫君として後宮にあがることになってしまった女の子の、恋と事件を描く、ロマンティック・ミステリシリーズ、第三巻。


藤原家の妾腹の姫君馨子の身代わりとして、とうとう御匣殿として後宮にあがった宮子。東宮のやさしい気遣いもあって貞観殿におちついた彼女は、後宮には様々な女人が住んでいることを知る。東宮の妃候補でもある帝の姪の女一の宮の度重なる誘いに弘徽殿を訪れた宮子たち。女一の宮付きの女房・宣旨と馨子との間に始まった言い合いは、なぜかその場に現れた藤壺の中宮によって、貞観殿対弘徽殿の物あわせで決着をつけることになってしまった。いっぽう、宮中では不審火がつづいていたが、その理由はいまだに不明のままだった。




ふー、面白かったw

て読んでる時はただそれだけだったのですが、あらすじ書くのにてこずりました。
この話、結構複雑な構成だったのね、ミステリだしな。

著者あとがきに「謎少なめ・ロマンティック多め」を目指したと書かれていまして、たしかにものすごく糖度は高かったですが、やっぱり謎も結構あると思う……。

それに登場人物が多くて、それがまたなかなか漢字変換がさくっとできない方たちばかりなんですよね(苦笑。

ミステリとしてはいつものとおりわたしには評価できませんけど(謎解きをしようという気が端から欠けているので)、次郎君=東宮の積極的な態度には、おおう! と感動しましたv

こんなに熱烈に想いをうち明けられて、ぐらぐらこないはずがない。
それでも真幸が好きだという、宮子のその自信の根拠がどこからくるのかを私は知りたいです。蛍の宮もさりげなく存在感を増しているしねえ。
とはいえ、真幸君はほとんど出番ないから株のあがりようもないんですよね、とっても哀れですが!(苦笑。

わたしとしては、九条家の一族たちの揃いも揃って策略好きの仕切りたがりな人たちが宮子に「さすがは血族」と溜息つかせるのがたまらなくおかしいです。

あと、有子姫のぶっきらぼうな親切が好きw
彼女、ぜったいに真幸をおもちゃにしてますよ、うん。

それと、後宮のようすがこんなに日常的にかんじられる文章を読んだのは初めてかもしれません。
夕暮れ時の、灯台に火を入れたり、滝口の武士の弦打ちするのとかが、とても臨場感があって好きです。

後宮の女たちはこんなふうに日常的にあっちこっちに遊びに行って、雅やかなおしゃべりを楽しんでたりしたのかなあ。
当時の平民にとってはまったくの別世界だったろうなあ。

そういえば、この話、僧侶は出てくるけど陰陽寮のかたがたはお目見えなさいませんね。
宣耀殿の女御が嫌がらせにあったところとか、物忌みしたりしなくていいのかしらと思ったり。

そうじて文章はとても地に着いていて不安なく読めます。
いきなり現代用語が混じってもそれが浮かないだけの下地があるなあと感じます。

というわけで安心して楽しめるシリーズです。
つづきも順次読み進めたいと思います。

嘘つきは姫君のはじまり 姫盗賊と黄金の七人(前編) 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
408601310X

『トゥルーブラッド 1 闇夜の訪問者』

トゥルーブラッド1 闇夜の訪問者 (ソフトバンク文庫NV)
シャーレイン・ハリス 多田 由美
479735383X


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読了。

現代アメリカ南部の田舎町を舞台に、テレパスの若い女性とヴァンパイア男性の出会いと連続殺人事件を描く、ロマンス風味のミステリシリーズ。開幕編。


退屈な南部の町ボン・タンで祖母と暮らし、ウェイトレスをしているスーキーは二十六歳。生まれ持ったある障害=能力のために、それなりの容姿を持つにも関わらずほとんど男性とは無縁の生活を送っていた。スーキーは思っていた――わたしのヴァンパイアに会いたい。いまやヴァンパイアは特殊な感染症患者として市民権を得るに至っていたのだ。しかし、旧弊な田舎町に実物がやってくるはずもない。ところがそんなある日、スーキーの勤めるバー〈マーロッテ〉にヴァンパイアの男性ビルが訪れた。驚きながらも客のなかにヴァンパイアに対する暴力行為に及ぼうとする気配を察知したスーキーは、なんとかビルを救おうと行動を開始する。




おお、面白かった!

ツイッター的におすすめされて衝動的に購入したところ、期待以上に楽しかったので嬉しいです。

レーベル的にロマンスなのかなと思っていたのですが、まあロマンスはあるけれどヒロインの妄想が広がることもそれほどなく、むしろたくさんの人間が入れかわり立ち替わり出てきてヒロインにからみ、それはめまぐるしくスピーディーに展開するドラマに、えええっ、なに、今度はなに、どこへ行くの~って感じで突き進んでいくのに身を任せていく感じ。

翻訳物に多いロケーション描写が驚くほどに少なくて、南部というわりにその雰囲気は感じません。そのぶん会話が多い。会話でフクザツな人間背景の描写と人物描写をしているぶん、展開が速いみたいです。

ヒロインは年齢のわりに奥手ですが、十分な理由があるので嫌味になりません。むしろ、こんなんでよく普通に生きてこられたなと思うほど、苛酷な過去を持ってます。

その彼女が出会った運命のひとが、かれなのでしょうか。

ヴァンパイアが市民権を持ってる、というイフの設定部分はまだちょっと触れたという感じでそんなに詳しくは説明されていませんが、おかげでこの話はホラーでもオカルトでもない、一般人の思う常識からはみ出た人びとが一般社会で生きていく姿を描く、マイノリティーものになってる、ような気がします。

ビルに南北戦争従軍という妙に現実的な過去があるのも、ファンタジー的なあるいは伝説的な存在としてよりも、ひとつの人間の個性としてのヴァンパイアを書こうとしているのかなという印象を受けました。

スーキーとビルの関係にもリアリティーがあり、ロマンスのふわふわとした雰囲気は感じなかったです。

メインになってるのは超常現象やエロではなく、自分らしく生きていく場所を得るための戦い。そこに燃えます。

なのでジャンル分けが難しい。
この巻はいちおう連続殺人が起きてるからミステリかな、とそれくらいのノリです。

スーキーがビルと幸せになるためには大きな障害があることは目に見えているので、それをクリアするまでにはそうとうな紆余曲折や波乱がありそうですね。

ほんとにそういう話かどうかは知りませんが、それを知るためにも続きが読みたいです。

ヴァンパイア以外の人ならぬものも存在すると判明したので、まだ他にも出てくるかもしれませんし。個人的に出てきて欲しいのは狼男です。ドキドキ。

ああ、どうしてこのシリーズは図書館に入ってないの(涙)←衝動買いした理由。


トゥルーブラッド2 歪んだ儀式 (ソフトバンク文庫NV)
シャーレイン・ハリス 多田 由美
4797353848

『狼と香辛料 V』

狼と香辛料〈5〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂 文倉 十
4840239339


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読了。

ヨーロッパ中世ぽい異世界で、行商人の若者が妙齢の美女じつは狼と旅をする、商業ファンタジー。シリーズ第五巻。


テレオの村を出立したロレンスとホロ。ふたりはホロの伝説が伝えられていると聞いたレノスの町を訪れたが、町の前には奇妙なひとだかりがたくさんいた。市壁を越えて入る時に“外地商人証明札”なるものを手渡されたロレンスは、毛皮と材木の町には普通ではないなにかが起きていると感じる。はやく故郷の情報を得たいと逸るホロは、そんなロレンスに冷たい視線を投げる。金儲けに来たのではないと言い聞かせて目を塞ごうとしたロレンスに、同宿の商人が声をかけてきた。



今回もいちゃいちゃな二人とスリリングな商売駆け引きの話でした。
しかし、うーん、長い……。

前巻ではいちゃいちゃにひっぱられて読んだくせにこんなことを書くのもなんですが、ちょっと食傷気味かなあ。
たしかに恋する二人の機微がこまやかで読ませるのですが、その分本格的な話に入る前にもうお腹がいっぱいというか、そんな感じになってしまって、金儲けの話はどうでもよくなってしまうのです。

ホントはそこをメインに読むべきだと思うのですが。
たんにわたしの集中力が続かないせいかしら(汗。

人びとの生活とかの描写は安定していてその点は安心しています。
この世界の住人はちゃんと暮らしてますね。

ということで、つづきはまた機会があればということで。

ところで、そんなにクッキーばかり食べつづけたら喉に詰まらないか、ホロ。


狼と香辛料〈6〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂 文倉 十
4840241147

「聖女と騎士のはなし」

bokuさん作「聖女と騎士のはなし」より「そして嵐はながれを運び」読了。

異世界ロマンティックファンタジー短編連作シリーズ。
ほのぼの楽しくせつないお話集。
品のあるていねいな語りの文章があたたかいです。

今作はいくつもの伏線がしこまれているフクザツ展開ですが、いつもよりぶっとんだキャラクターが登場してよりドタバタお笑い風味が濃厚。

堅物仏頂面騎士の意外な一面が見られます。
砦の老賢者様がたがラヴリーv

『聖人と悪魔 呪われた修道院』

聖人と悪魔―呪われた修道院
メアリ ホフマン Mary Hoffman
409290374X


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読了。

十四世紀イタリアはアッシジの修道院を舞台に、少年少女の成長を謎の連続殺人を軸に描く、歴史ミステリ。


馬と鷹を愛する男爵の跡取り息子シルヴァーノは、恋をしていた。相手は富裕な羊農場主の若き妻アンジェリカ。シルヴァーノが想いを託した詩は、友人のジェルヴァシオによって窓辺のアンジェリカへと捧げられた。ところが、ある日アンジェリカの夫トンマーゾがナイフで刺されて殺された。犯人逃走直後の現場に居合わせたシルヴァーノは、凶器が自分のナイフであったため犯人として手配されてしまう。いっぽう、父親を失った少女キアーラは、兄によって女子修道院に押し込められようとしていた。かつては裕福だったキアーラの家はいまはおちぶれ、置いておくには費用がかかりすぎ、結婚させようにも持参金が用意できないというのだった。怒りと孤独を抱えてジャルディネットの清貧のキアーラ女子修道院で見習い修道女として暮らすことになったキアーラは、となりの聖フランチェスコ修道院に見習い修道士らしからぬ少年の姿を目撃する。少年はシルヴァーノ。羊農場主殺しとして追われる身を、かくまってもらうためにやってきたのだった。




面白かった~!!

ルネッサンス期のイタリア諸都市を舞台にしたファンタジーシリーズ「ストラヴァガンザ」の作者さんの、ファンタジー要素のないミステリです。

この本を読んで、あのファンタジー要素はやっぱりなくてもよかったんだ、というかほんとうはファンタジー要素はただの導入要素だったんじゃ……と感じました。
十四世紀のイタリアのみを舞台にしても、まったく遜色ないドラマが描かれてますから。

そして、舞台を限定したおかげでよりじっくりと、この時代の事物に触れることができる展開になってます。

今回の舞台は修道院と女子修道院、そして大聖堂。
登場人物は貴族の若者と商家の娘、たくさんの修道士に修道女。そしてとくべつな存在感を放つ画家。

修道院の日常生活やそこにくらすひとびとのこまやかなディテールが楽しくて、ピーターズの「修道士カドフェル」を彷彿とさせました。

その明暗や陰影であらわされるような穏やかな生活が、ときならぬ暴力によってさんざんに打ち壊されていく展開に、そうかこれって連続殺人ミステリなんだと遅まきながら気づいたわたし←どんくさ!

聖フランチェスコ修道院長ファーザー・ボンシニョーレの憔悴に、胸がふさがれるような想いがしましたよ。

若者たちの活力にあふれるあまりに自分勝手な行動もハラハラどきどきの原因でしたが、かつての恋人と再会した中年男女のドラマに目が離せませんでした。この作者さんの話って、ちゃんと大人にも人生があることをきちんと書いてくれるのがいいなーと思います。

そんな劇的な展開の中で、大聖堂で壁画を描いている画家シモーネ・マルティーニさん(実在の人物)関連のさまざまにはその素晴らしいお仕事を含め、顔料の話やモデルの話やらで楽しませていただきました。

それと、シルヴァーノのお鷹さまやお馬さまが何気なく活躍してくれたのも嬉しかったです。

ミステリとしてはどうなのはわたしにはわかりませんが、ドラマティックな物語、あとあじのよいお話として、とても面白かったです。

タイトルに躊躇してこれまで手にとらなかったことを後悔しました。
このタイトル、ぜんぜんキャッチーじゃないですよね。
なにかもっと眼を惹くようなものにすればよかったのにと思います。
といって、代案も思い浮かばないのですが。

原題は"The Falconer's knot"。
「鷹の結び目」?

うーん。これは謎解きの核心部分を表してるんだろうけど、日本語だと意味不明だなあ。


「ストラヴァガンザ」シリーズの開幕編はこちら。

ストラヴァガンザ―仮面の都
メアリ ホフマン Mary Hoffman
4092903715

「ビスカリアの星」

汐崎雪野さん作「ビスカリアの星」読了。

異世界ファンタジー長編完結済み。
散文詩のような詩情あふれる文章でつづられる、憧憬と追想と伝説の物語。

美しい言葉による追想シーンから、臨場感あふれる合戦シーンまで、幅の広い文章を堪能しました。
マニアックで読み手を選ぶお話かと思いますが、わたしは大好きです。

お気に入りはヘタレな貴公子パトロベリ・テラとかれの名をつけられたお馬さま。
そして苦労性のグラナン・バレスくんですw

20100914の購入

ネットで頼んでいた本が届きました。

白鳥のひなと火の鳥 (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
4488520138


トゥルーブラッド1 闇夜の訪問者 (ソフトバンク文庫NV)
シャーレイン・ハリス 多田 由美
479735383X



以上、購入。

できるだけ手元に置きたい本だけを買うようしてもう幾星霜(ズバリお金がないから。でもやっぱり衝動買いもする)。
それでも毎月結構な金額が出ていきますが、ふと今月の支払いを見てボーゼン。
すでに三千円を超えています、三冊しか買ってないのに……!
しかも、この三冊どれもそれほど分厚いという本ではないのですよ。

文庫を買い始めた頃はほぼ三百円台でほとんど買えたのに。たまに二百円台とかもあったのに。

とうとう一冊千円の時代が到来したのでしょうか。
それってわたしの感覚ではすでに文庫ではないんですが……(汗。

というか、創元推理文庫、高っ。
マキリップだから買ってるけど、ただの好奇心だったら棚に戻してます。しくしく。

『狼と香辛料 IV』

狼と香辛料〈4〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂 文倉 十
4840237239


[Amazon]

読了。

行商人の青年が実は狼の妙齢の女性とともに旅をする、ヨーロッパ中世風異世界ファンタジー。シリーズ第四巻。


狼の収穫神の故郷ヨイツを探して旅をする行商人ロレンスとホロは、異教の神々の言い伝えを収拾しているという修道院の情報を求めて田舎町のテレオにいるはずのフランツ司祭を訪ねた。ところが町の教会ではフランツ司祭は夏に死去し、いまの司祭だと名乗る少女エルサに拒絶される。テレオのひとびとは土着の蛇神を信仰しており、教会を軽んじていた。おまけに農閑期なのにのんびりと日々を過ごすひとびとを不審に思ったロレンスは、テレオが近隣の町エンベルグと不自然な契約関係にあることを嗅ぎつける。




ずいぶん久しぶりなこのシリーズ。
これまた久しぶりに出かけたリアル図書館で、時間がなかったのでとりあえず目に着いたものをと探したら飛びこんできたので借りてきました。

あんまり久しぶりだったのでこれまでのお話がほとんど思い出せませんでした……(汗。
散発的に見ていたアニメの記憶でも追いつけなかったので、三巻読んだのか自分、と調べたけど、ちゃんと読んでいてまた頭を抱えました。

記録によると三巻を読んだのは二年前。
わたしの記憶は二年で風化するらしいです。

そんな土台がぐずぐずの状態で読んだわりには楽しめました。

おもに主人公の行商人ロレンスと狼神ホロの、いちゃいちゃシーンで。

そのほかというと、古き土着の神々と後からやってきた一神教のせめぎ合いとか、余所者に対する田舎の人びとの認識とか、村と町の経済関係とかが興味深かったです。

このシリーズの特色は、商売的なかけひきが話の見せ場になってるというところですね。

でも、今回はそこにいたるまでがちょっとのんびりしすぎていて、読んでいて疲れてしまいました。
ホロとロレンスのやりとりにひっぱられてなんとか読み終えたというかんじ。うーむ。

五巻も一緒に借りてきたので続きも読みます。

狼と香辛料〈5〉 (電撃文庫)
支倉 凍砂 文倉 十
4840239339

『時の旅人クレア 1 アウトランダー1』

時の旅人クレア〈1〉―アウトランダー〈1〉 (ヴィレッジブックス)
ダイアナ ガバルドン Diana Gabaldon
4789719812


[Amazon]


読了。

第二次世界大戦後、ストーンサークルから十八世紀スコットランドへとトリップしてしまった27歳女性の、波瀾万丈な冒険と恋の物語。シリーズ開幕編。


従軍看護婦だったクレアは、戦後にとれた休暇を夫フランクと過ごすためハイランド地方を訪れていた。考古学が専門で、祖先がこの地方にゆかりがあるというフランクは郷土史に並々ならぬ情熱を傾けていたが、クレアは純粋に土地の習俗を楽しみ、あるいは嫌悪して過ごしていた。ある日、地元にあるストーンサークルをおとずれたふたりは秘密の儀式が行われるのを目撃し、その直後、クレアは異変に巻き込まれ、気がつくと大勢が争い合う暴力の現場に居合わせていた。混乱する彼女を捕らえたのはジョナサン・ランダル。夫フランクそっくりの男はイングランド軍大尉でフランクの祖先その人だった。




「世界中で人気沸騰のロマンティック・アドベンチャー巨編」だそうです。

ロマンス系の文庫から出ているのでなんとなく敬遠していたのですが、このたび縁あって読んでみました。

現代の、といっても第二次大戦直後なので65年前なわけですがなハイランド地方をおとずれた若い夫婦の休暇の様子が描かれる冒頭は、ちょっと面倒くさかったですが、それを乗り切った後にひらけてくる十八世紀スコットランドの世界が臨場感満点ですばらしかったです。

すでに近世になっているグレートブリテンですが、スコットランドはいまだに中世の無法地帯っぽく、氏族の男たちの豪放磊落なさまや、氏族社会におけるさまざまな人間関係から、ひとびとの一日の過ごし方、城内の様子、衣食住、と細々と描かれるディテールを堪能しました。

わたしが特に萌えたのは、あまり科学的でなく理屈にも合ってない理論を元に治療を施していた治療者の残した、治療室のようす!

ヒロインが従軍看護婦だったという設定は様々な場所で生きてきます。

さらに、十八世紀で出会った夫の祖先との予想外の展開と、ヒロインが深く関わることになりそうな魅力的な若者との出会いがあります。

いやはや、この若者ジェイミーの描写といったらまあまあまあv

たしかにロマンス小説だわーと思いましたw

何度も言うようですが、舞台は十八世紀スコットランド。
その複雑な歴史的背景は、ヒロインの夫の祖先ともヒロインを保護した氏族とも若者の過去とも深く関わっていて、これからの展開にも大いに影響がありそうです。

タイムトリップものなのにファンタジーともSFとも違う雰囲気は、この話が歴史的な視点から描かれているからかな。作者さんは現代人(といっていいのかわからないけど)が体験する十八世紀スコットランドを書きたいのかもと感じました。

現代人といっても1945年なのは、従軍看護婦だった若い女性を書けるぎりぎりの時代だからかなと思ったりしました。

ところで、この巻は原作を三分冊した一冊目でした。
おかげでたいそう極道なシーンでぶち切れております。
つづきを早く読みたい! と叫びつつ、我慢してしばし待ちたいと思います。

時の旅人クレア〈2〉―アウトランダー〈2〉 (ヴィレッジブックス)
ダイアナ ガバルドン Diana Gabaldon
4863326734

『私が知っている野生動物 シートン動物記1』

私が知っている野生動物 シートン動物記 (1) (シートン動物記)
アーネスト・T・シートン 藤原 英司
4081330018



読了。

カナダ作家アーネスト・T・シートンの表した動物に関する著作をあつめ、完訳として出版された「シートン動物記」全集の第一巻。

『私が知っている野生動物』『灰色グマの伝記』『サンドヒル雄鹿の追跡』の合本です。
原題に刊行年が記されていないので、何年の作品かは不明。

あまりにも有名なシートン動物記ですが、わたしはたぶん子ども向けの抄訳かこれをもとにつくられたテレビ番組を見たかしているだけで、原作はまったく触れていませんでした。

家にずっと全集が眠っていたのにも関わらず。

このたび、思い立って読み始めたのですが、これがたいそうおもしろく「なんでいままで読まなかったの、バカバカわたし!!!」状態になりました。

短編がほとんどなのですが、どれもこれも動物の一生を生き生きと描きだして、対象との間に距離を置いた冷静な筆致がらも情に訴えてくるものがあり、しみじみとした余韻の残るものが多かったです。

とくに名を知られた狼王ロボのはなしと、だく足のマスタングには心の中で泣きました。
まるで伝説の英雄譚のようなんです。

一編一編に動物の生とおなじだけの重みがあって、読み捨てにはできない、すぐさま次にもかかれない、ということでかなり時間がかかりましたが、それだけ充実した読書の時間が送れましたv

巻頭にはシートンの娘さんによるメッセージが寄稿されています。

目次は以下の通りです。


発刊に寄せて
読者への覚え書き

私が知っている野生動物

 ロボ――コランポーの王様
 銀の星《シルバー・スポット》――あるカラスの物語
 ぎざ耳坊や――綿尾ウサギの物語
 ビンゴ――私の犬の話
 スプリングフィールドのキツネ
 だく足の野生馬《マスタング》
 ワリー――キツネ犬の話
 赤襟さん――ドン谷のアメリカウズラの物語

灰色グマの伝記

 第一部ワーブの子ども時代
 第二部ワーブの壮年時代
 第三部ワーブの老衰時代

サンドヒル雄鹿の足跡

訳者あとがき



ずっと眠っていた本なのでとても古くて、発行年は1971。
訳者の方は翻訳に正確を期すために並々ならぬ準備を重ねられたそうで、シートンの足跡や作品の舞台となった場所をほとんどご自分で見て歩かれたそうです。刊行された年から推測すれば1960年代のことです。その時代に外国を歩きまわるのはものすごく大変だったに違いないです。それだけの決意をもってあらわされた翻訳は、とても読みやすくわかりやすく、しかも格調高い文章で、たいへんにすばらしかったです。

というわけで、古いのでやっぱりこの本はすでになく、おなじ出版社から訳文もおなじで刊行されている『シートン動物記』シリーズがありますが、どうやら内容がいくぶん変更されている模様。

全七巻だったのが全九巻になって、先頃イギリスで客死された増井光子さんの解説が付されているようです。

オオカミ王ロボ/ぎざ耳坊やの冒険/ほか4編 シートン動物記 (1) (シートン動物記 全9巻)
アーネスト・T・シートン 増井 光子
4082300015

『犬夜叉 49』

犬夜叉 49 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091210279


読了。

戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに四魂の玉の欠片をもとめて旅をする、伝奇アクションマンガ。シリーズ第四十九巻。

前巻を読んでから一週間で続きが読めた……びっくり。

この巻は、鏡のあやかし神無との対決エピソードの完結編に、珊瑚ちゃんと弥勒様の覚悟のエピソードが収録されています。

ところで、神無と神楽ってなぜ姉妹だったのでしょう。
そこいらへんはぜんぜんわかんないままだったなー。

そして珊瑚ちゃんと弥勒様は、本当に強い絆で結ばれたんだなと感慨深かったです。

ところで、珊瑚ちゃんの武器、飛来骨は幾多の妖怪の骨をもって作られた物だそうです。
いったい、どうすればそんなことができるのか、知りたいと思う私はヘンでしょうか(苦笑。

壊れた飛来骨を治してくれるという薬老毒仙のじいさまの存在感は、これまでこのシリーズに登場した、すっとぼけた賢人たちの系譜だなーと思わされました。

斜めに構えて相手を突き放しながらじつは結構親切なじいさまたち。
刀鍛冶のじいさん以外は忘れてしまったけど、なんとなくすべて同一人物なのではと思わされるようなたたずまいであります。

そして、じいさんはたくさん出てくるけどばあさんは出てこないなあと気がついた。
なぜだろう?
楓ばあちゃんがいるから他には必要ないのかしら。

巻の終わりには殺生丸がふたたびぴりぴりと登場。
なんでも天生牙のひらく冥道がいまだに真円にいたらないそうで、これからはその話になりそうです。

つづきもすみやかに読めるといいなー。

犬夜叉 (50) (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091211569

20100907の購入

近場のリアル書店で買えなかったためネットで頼んでいた本が届きました。


女魔法使いと白鳥のひな (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
448852012X


以上、購入。

この本、じつは二部作でして次作は今月の十日に出る予定。刊行された時に二冊まとめて注文しようと考えていたのにいきなり一冊になってしまったのは、積ん読本が消え失せてしまったからです。

しばらくネット小説と未読の家族の本でしのいでました。
猛暑つづきで体調も読書速度もへろへろだったので、それほど苦にはなりませんでしたが。

感想ペースが落ちているのも夏のせいです。
暑くて暑くて頭が爆発しそう……。
こうして文章を入力しているとなぜか漢字変換までが奇妙な字を出してくるんですが、変換ソフトも暑さでおかしくなっているのかしら←いやそれはあんたの錯覚です。

『身代わり伯爵の挑戦』

身代わり伯爵の挑戦 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524033


[Amazon]


読了。

元気で短気な女の子の冒険と恋を描く、ヨーロッパ宮廷ふう異世界ロマンティックコメディー、シリーズ第三作。


幼なじみロイとの後継者争いに敗北したパン屋の娘ミレーユは、放心状態のままアルテマリス王国の伯爵である兄のフレッドの元にやってきた。降誕祭をひと月後に控えたアルテマリスでは、建国伝説にちなんで思い人のためにショールを編む若い女性たちの騒ぎが沸騰していた。皇太子の婚約者リディエンヌの口車に乗せられたミレーユは、兄の友人で副官のリヒャルトのためのショール編みを承諾させられてしまう。ところが、リヒャルトはアルテマリスに滞在中のシアラン大公の妹マリルーシャの護衛に指名されて謀殺中。そしてミレーユはアルテマリス王女セシリアの秘密日記を目にしたために王女の部屋に監禁されることになってしまった。




無自覚につっぱしる無謀なお嬢さんと、慎重派で天然ヘタレぽいハンサム騎士の、なかなか距離の縮まらない恋を宮廷陰謀劇を絡めて描く、元気で明るいコメディーです。

とにかく、ミレーユとリヒャルトのツーショットシーンの笑えること。
鈍感で早合点なミレーユのとんちんかんな誤解にふりまわされるリヒャルトが、とってもとっても哀れなお話ですw

今回の陰謀は、そのリヒャルトの出身国である大公国シアランがらみ。
セシリア王女の騎士団所属のはずのリヒャルトが、シアラン大公妹のマリールーシャにご指名でひき抜かれ、不機嫌なセシリア王女の秘密を知ってしまったミレーユが、セシリア王女のために奔走してしまい、そのためにひきおこされるてんやわんやな騒動がてんこもり。

冷静に考えると、ふつうは秘密を見られた方が立場が悪くなるのではないかと思うのですが、お人好しなミレーユは高圧的なセシリア姫に気圧されっぱなし。そのうち高飛車な王女がじつはツンデレなんだと知り、そしてまたあらぬ誤解をして余計なおせっかいをするようになってしまうという。

そのあいだに、将来のハーレム構想に余念のない皇太子とその婚約者や、フレッドとミレーユの入れかわりに気づいたうえでミレーユにホの字な着ぐるみヴィルフリート王子や、娘ラブでヘタレなミレーユ父ベルンハルト公爵や、きっぷのよい姐さん女房なミレーユの母上ジュリアといった、個性的な面々が走りまわってます。

にぎやかでテンポのよい、たいそう後味のいいお話でした。

ちょっとリヒャルトの過去とか、シアラン大公家の因縁とかがわたしには把握しにくかったのですが、まあいいか、と放っておける楽しさでした。

初登場のリヒャルトのじいちゃんもいい味出してるなあ。
義賊ランスロットとかいうのも登場したし、女装占い師ルーディもいたし、なんやかやと登場キャラクターがどんどん増えていくのが楽しくもあり、次作を読む時に混乱しそうなので困ったなあでもあります。

ま、たぶんそんな瑣末事は読んでいるとどうでもよくなりそうでもあります。

ようやくミレーユに向かって一歩踏み出したリヒャルトの努力がいつ報われるのか。
恋の行方を楽しみにしたいと思いますw

ところで、タイトルの「挑戦」て何に対する挑戦だったんだろ?


身代わり伯爵の決闘 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524041

『銃・病原菌・鉄 下 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド 倉骨 彰
479421006X


[Amazon]

読了。

地球上に生まれた文明の辿ったみちのりはどのように決定されたのかを、科学的な証拠とフラットな立場で考察する、人類史の下巻。

目から鱗が落ちまくりだった上巻を読み終えてから二ヶ月。
ようやく下巻を読みました。

著者の展開する考察の拠り所は、上巻と変わらず、考古学的な証拠です。格段に進歩した現代の技術によって年代の特定された遺物によって、できるだけバイアスをなくした視点に立って、論理を組み立てる。

そのやりかたを、歴史的に問題となってきた、あるいは問題にもされずに決めつけられてきた、様々な事柄に当てはめて文明史を読み直そうとする試みが、下巻でも展開されています。

目次は以下の通り。


第3部 銃・病原菌・鉄の謎(承前)

 第12章 文字をつくった人と借りた人
  文字の誕生と発展
  三つの戦略
  シュメール文字とマヤ文字
  文字の伝播
  既存文字の借用
  インディアンが作った文字
  古代の文字表記
  文字を使える人びと
  地形と自然環境の障壁

 第13章 発明は必要の母である
  ファイストスの円盤
  発明が用途を生む
  誇張された「天才発明家」
  先史時代の発明
  受容されなかった発明
  社会によって異なる技術の受容
  同じ大陸で見られる技術の受容のちがい
  技術の伝播
  地理上の位置の役割
  技術は自己触媒的に発達する
  技術における二つの大躍進

 第14章 平等な社会から集権的な社会へ
  ファユ族と宗教
  小規模血縁集団
  部族社会
  首長社会
  富の分配
  首長社会から国家へ
  宗教と愛国心
  国家の形成
  食料生産と国家
  集権化
  外圧と征服

第4部 世界に横たわる謎

 第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー
  オーストラリア大陸の特異性
  オーストラリア大陸はなぜ発展しなかったのか
  近くて遠いオーストラリアとニューギニア
  ニューギニア高地での食料生産
  金属器、文字、国家を持たなかったニューギニア
  オーストラリア・アボリジニの生活様式
  地理的孤立にともなう後退
  トレス海峡をはさんだ文化の伝達
  ヨーロッパ人はなぜニューギニアに定住できなかったか
  白人はなぜオーストラリアに入植できたか
  白人入植者が持ち込んだ最終産物

 第16章 中国はいかにして中国になったのか
  中国の「中国化」
  南方への拡散
  東アジア文明と中国の役割

 第17章 太平洋に広がっていった人びと
  オーストロネシア人の拡散
  オーストロネシア語と台湾
  画期的なカヌーの発明
  オーストロネシア語の祖語
  ニューギニアでの拡散
  ラピタ式土器
  太平洋の島々への進出
  ヨーロッパ人の定住をさまたげたもの

 第18章 旧世界と新世界の遭遇
  アメリカ先住民はなぜ旧世界を征服できなかったのか
  アメリカ先住民の食料生産
  免疫・技術のちがい
  政治機構のちがい
  主要な発明・技術の登場
  地理的分断の影響
  旧世界と新世界の遭遇
  アメリカ大陸への入植の結果

 第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか
  アフリカ民族の多様性
  アフリカ大陸の五つのグループ
  アフリカの言語が教えてくれること
  アフリカにおける食料生産
  アフリカの農耕・牧畜の起源
  オーストロネシア人のマダガスカル島への拡散
  バンツー族の拡散
  アフリカとヨーロッパの衝突

エピローグ 科学としての人類史
  環境上の四つの要因
  考察すべき今後の課題
  なぜ中国ではなくヨーロッパだったのか
  文化の特異性が果たす役割
  歴史に影響を与える「個人」とは
  科学としての人類史

  訳者あとがき
  索引




上巻とやってることは同じなので、資料が挙げられた時点でどのような結論が出るのかはだいたい想像通りになります。

なので、上巻ほどのインパクトはなかったですが、オーストロネシア人やアフリカのことは、そのこと自体をあまり知らなかったので、そうだったのかと思いました。

オーストロネシア人のところでは、インド洋の大津波のことを思い出しました。
東南アジアで発生した地震による津波が、マダガスカル島まで達したという現実に茫然としたあの出来事。
そうか、インド洋で繋がっているんだ、と気がついたあのときのショックが歴史的に裏書きされたような、そんな心地でした。たんにわたしの視野が狭かっただけなんだけどもね。

アフリカについては高校までの世界史ではほとんどなにも習わなかったような気がします。
その後、イスラーム関係は囓ったけれど、それ以外のことはぜんぜん知らなかったんだな。人類発祥の地はアフリカなのに、なんという知識の欠落だろうか。そのことにもまた吃驚。

古代から統一されてきた中国と、いまだに統一されないヨーロッパの比較も、面白かったです。
競い合ってこそ、技術は進歩していくんですねえ。

あと、あまり内容に関係ないけど印象的だったのは、「日本語を表記するのにまったく向いてない漢字を、日本人が使いつづけている」ことに関する文章でした。
アルファベット文化圏の人間には、漢字はとても効率の悪いめんどうな文字と映るのでしょうか。
わたしは日本人は漢字、カナ、かなの三種をもっているからこそ、豊かな表現をすることができているとおもっているのだけど。

というわけで、下巻はちょっとだれましたが、上下巻あわせてみれば知的興奮にドキドキするたいそう面白い本でした。

人間の技術の発展は、けっきょくのところ環境とタイミングによって左右されてきたのかなあと思いました。


銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド 倉骨 彰
4794210051

『虐殺器官』

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
伊藤 計劃
4150309841


[Amazon]

読了。


骨太でハードな物語世界を繊細な筆致と深い思索で描く、近未来SF軍事サスペンス。


9.11以降、テロとの戦いのために個人情報を管理し尽くした近未来。神経質なまでの先進国の対策とは裏腹に後進国の治安は不安定なまま、世界各地で内戦や凄惨な大規模虐殺が多発するようになっていた。米国情報軍で要人暗殺を専門とする特殊検索軍i分遣隊に所属するクラヴィス・シェパード大尉は、ヨーロッパとロシアの境界で殺害する予定だったふたりのうちのひとりを取り逃してしまう。逃げた容疑者はアメリカ人ジョン・ポール。大規模虐殺に関与していた可能性があった男は、理由不明な大規模虐殺の陰で暗躍しつづけた。謎の男の拘束するために、シェパードは男の足跡が消えたというチェコへと向かう。




圧倒的、でした。

核が使用され、ヒロシマ、ナガサキが象徴ではなくなってしまった近未来。
情報管理社会の閉塞感と引き替えに得た安全と、対極に位置する混沌のなかでの大量虐殺。
高度なテクノロジーによる生と死の狭間の曖昧化。
生と死はどこでどのように区別されるのか。
他人に死をもたらす人間の罪は、なにをもって正当化されるのか。
軍人の任務と、親族の死を決定することにちがいはあるのか。

生の価値がかぎりなく低い土地で、高価な部品として働きつづけるアメリカ軍人たちへの好待遇。
それでもなお、壊れていってしまうかれらのこころ。

陰鬱な雰囲気の中で展開される、近未来戦のディテール豊かで臨場感たっぷりな描写と、シェパード大尉のプライベート的回想を交えながらのひどく傷つきやすい繊細な心理描写、目の前の状況にめぐらされる深い思索、考察と、ものすごい密度の世界を圧力として感じつづけながら読みました。

これは生と死についての話です。
生と死について考える話。
他人の生と死をどう受けとめるかの話。
親しい人間の死とそうでない人間の死についての話。
それを語る言葉についての話。

わたしは物語をつづる文章が語る深い思索、静かで熱い感情に圧倒されつづけ、読み終えてしばらく放心してました。

体裁としてはミステリであり、軍事サスペンスであり、SFであり、そのすべてで素晴らしい完成度をもっていますが、娯楽小説として割り切ることのできないものをたくさん抱えている作品だと思います。

文章の雰囲気だけだとわたしが思い浮かべたのはなぜかポール・オースターでした。個人的な印象ですが。

作者さんは闘病生活の間にこの作品を書きあげ、二年ほどの作家生活ののちに鬼籍に入られています。
書かれた状況を想像することは困難ですが、ここには作家さんの命が血が濃密に激しく刻みこまれているようだと感じました。生きた証だなと。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

ところで、シリアスダークで陰鬱な雰囲気の世界で異彩を放つのが、軍事用に展開される先端テクノロジーでした。降下部隊を運ぶフライングシーウィード(空とぶ海苔)とか、隊員たちが乗り込んで降下するさや(ポッド)に自然筋肉による脚が着いていたり。

ただ読んでいる分にはふーん、ですむのですが、頭の中に影像を描くとものすごくヘンなんですよね。ポッドが着地する時に脚が踏ん張ってる図とかね。つらなる言葉がおおむねスタイリッシュなので、脚とのギャップが……。これって笑っていい所なんでしょうかと不安になってしまいました。

『犬夜叉 48』

犬夜叉 48 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
409120810X



読了。

女子中学生日暮かごめが戦国時代へトリップ。半妖の少年犬夜叉ら仲間たちと四魂の玉の欠片を求めて旅をする、伝奇アクションファンタジーシリーズ。第四十八巻。

六月に予約したのがようやく届きました。

この巻は、殺生丸がりんちゃんへの執着を慈悲の心にまで昇華して、天生牙をふるう資格を手に入れるエピソード。

人の哀しみ苦しみを養分にして花を咲かせる妖怪と出会い、犬夜叉が桔梗の死から我に返る(苦笑)エピソード。

そして、ついに奈落の命令で神無が犬夜叉との対決を開始するエピソードのはじまり、というところでおわりです。

この巻でこころに残るのは、殺生丸がりんちゃんに抱いている想いと、殺生丸のお母上の存在感でした。

このやりとりが好きです。↓

「殺生丸は喜んでいるのか」
「おそらくものすごく」



お母上には小妖怪としか認識されなかった邪見さまーw 楽しいよ、あんたが出てくれると!

神無の使役する鏡のあやかしとの対決は、あらたな何かをあきらかにしてくれるのでしょうか。

いつ読めるかわからないけど、つづきを待っています。

犬夜叉 49 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091210279