『神の棘』全二巻

神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)
須賀 しのぶ
4152090545


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いただいて読了。

ナチスドイツによる粛清の嵐と戦乱の中、SSと修道僧と立場の別れたふたりの青年の葛藤と波乱の道のりを、信仰の問題を中心に、スパイ陰謀もの、軍事戦場もの、裏切りと信頼の狭間で展開する人間ドラマとして描く、濃厚なミステリ。全二巻。



第一次世界大戦後、敗戦国ドイツは世界的な不況の中、戦勝国への多大な賠償金を背負わされて未曾有の貧困にあえいでいた。そんななか、ヒトラー率いるNSDAP、通称ナチが民衆の支持を得て台頭し、ドイツの純化・反カトリックを掲げてドイツ社会は激変してゆくことになる。法律家を目指していた若者アルベルトは、生活のためにナチス親衛隊保安部に入った。結婚を控えたある日、アルベルトは上官ハイドリヒから、カトリック教会の大物ベールゼンを陥れるために、ひとりの修道司祭の死の調査を装い、ひとりの修道士に接近するよう命令を受けた。修道士はアルベルトの幼なじみマティアス・シェルノー。そして死んだ修道僧はアルベルトの兄テオドールだった。




うはー、すごかった。圧倒的でした。

I巻の裏切りに継ぐ裏切りのスパイ冒険小説的な展開も、II巻の殺戮に継ぐ殺戮の戦場ものの悲惨さとスピード感も、どちらもハードで、人間ドラマとしての重量感もあり、冷静な筆致で描かれるヒステリックな世情がえらく身に応える臨場感を醸し出していて、青息吐息で読みました。

ナチスドイツの行為の残虐性はよく語られるところですが、それが民衆の支持を得て実現したというところは、あまり理解の出来ていない部分ではないかと思います。

この作品では、なぜドイツ人がナチを選択してしまったのかをきちんと描いていて、他人事ではないなと思わせられました。

先の見えない貧困は人間の理性を吹き飛ばしてしまうこと、寛容性を奪うこと、無力感は刹那的なしあわせを求めさせ、強力なリーダーシップを待望させ、他者依頼性を高めること。

そうして出現してしまった大きな暴力的な流れに、人びとはもう抵抗する気力を持ちえないのだということ。

運悪くドイツ人が選んでしまったヒトラーの歪みが、外部の想像を遥かに超えた地獄を現実化していく過程が、とてもとてもおそろしかったです。

とくにユダヤ人の迫害には、心臓が痛くなりました。
外国に侵攻した先でもやってたとは……知らなかったです。

あまりにも規格外の現象にとまどっているうちに、つぎつぎに後手後手に回ってしまったヴァチカンを頂点とするカトリックが、信徒を人質に取られた状況で反ナチの可能性をさぐりつづける姿も、その及び腰の与える失望とそれでも最期には神を求めるひとびとの姿とともに強烈に焼きつきました。

ふたりの主人公、ナチの悪の象徴とされるSSの将校アルベルトと、反ナチのレジスタンスに荷担する修道僧マティアスは、社会的な立場だけではなく信仰的にも完全に違う立場にあり、かれらがなんども出会い、すれ違っていく場に生み出されていく、感情的な思索的な葛藤と狂おしいようなドラマには、熱く滾るような血潮を感じました。

渾身の力作です。

ラストで明らかになるミステリ的な仕掛けは必要ないのではと思ってしまうほどに、濃密な読書体験になりました。

や、なんというかミステリの仕掛けの分、物語の重みが軽くなったような気がしたのですね。

でも、話のまとめとしてはうつくしいやり方と思いましたし、旅立ちを前にしてのかれの孤高の姿には、じんわりと熱いものがこみあげてきてしまいました。

読み終えて、日本人が敗戦国ドイツを書くことには、意味があると思いました。
本来は、敗戦国日本を客観視するべきなのでしょうが、いまだにそれは難しいようなので。

そしてつよく思いました。
人は、自分で考えることを諦めてはだめだ。自分の行為には責任をとらねばならないと。

ナチスドイツについては高校世界史どまりのわたしにもちゃんと理解できるように書かれていてたいそう勉強になりました。第二次大戦後に重い罪を背負ったドイツがたどってきた苦難の道のりがようやくわかって、なるほどと思いました。

それにくらべてわが日本は。
これって宗教に無自覚な国民性もあるのかしら……

なにかフェアのためにカバーが写真に変わるそうなので、これまでカバー絵で敬遠されていた方はぜひ手にして欲しいなと思います。

読んでよかったです。

ただひとつ、残念だったのは誤植が満載だったこと。
誤字はまだいいのですが、人物名の入れかわりには混乱してしまった。

時間がなくていろいろたいへんだったそうですが、作者さんがしたチェックをスルーして刊行するのはやめて欲しいものだと思いました。


神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)
須賀 しのぶ
4152091517

20101127の購入

ネットで頼んでいたものがようやく届きました。


Wind That Shakes the Barley
Loreena Mckennitt
B0043ZDU1E


以上、購入。

カナダ人のケルト系ミュージシャン、ロリーナ・マッケニットの新譜です。
予約した方には密林から「入荷しなかったらキャンセルになる」旨のメールが届いたらしいのですが、発売日にぽちしたわたしにはなぜか「お届け予定日がはやくなりました」メールが来てあれれ?

申し訳ないけどありがたく買わせていただき、さっそくヘビーローテーションしています。

うふふ、うふふと、嬉しさに口元から笑みが消えないのでありましたv

20101126の購入

発売日に手に入らなかった新刊、翌日無事にゲットしました。

“呪肉”の徴―グウィノール年代記〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011311



以上、購入。


久しぶりに妹と買い物に出かけて、その合間に本屋に行ったり、図書館の予約本を受け取りに行ったりするのに、おんなじ道を何度も何度も往復してしまいました。
予約本の受付窓口は午後からしか開かないし、新刊は早めに行かないとなくなってしまうかもしれないし、と自分に言い聞かせ。

しかし、その後インスタント味噌汁の半額セールのために別のスーパーマーケットに行く羽目に陥ろうとは。
その道もまた、前記の道とおなじ道……。

おかげで歩数計の数字は飛躍的にのびましたが、自分の要領の悪さに頭を抱える出来事でした;

『それでも町は廻っている』1~2

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
478592604X


借りて読了。

東京下町のとある商店街にある「メイド喫茶シーサイド」を中心に、元気な女子高生・歩鳥の日常を描く、ほのぼのながらちょっと不思議テイストもありのコメディーコミック。

深夜にやってるアニメがとても楽しかったので、某親族に話したら原作マンガを持ってるというので強奪してきました。

ほとんどが歩鳥の巻き起こす日常出来事の連作読み切り。

なかにときどき、SF心を刺激されるようなエピソードがあり、恋する少年の微妙な男心があり、恋する少女のツンデレな行動があり、商店街のみなさんのわいわいがやがやがあり、兄弟同士の気の置けないやりとりがあり、数学教師と数学ぎらいの攻防戦があり、タヌキみたいな飼い犬と影の薄いお父さんがいて、といろんな人たちがたのしく生きている賑やかなマンガです。

面白かった!

どの話も楽しみましたが、わたしは真田くんが歩鳥と通学バスで終点まで行っちゃう話と、歩鳥と弟の猛くんの深夜散歩の話が好きだなー。

キャラクターとしては歩鳥の担任で数学教師の森秋先生が可哀想で好きw

ときどき、なんとなくドラえもんのテイストを感じることがあるのですが、ケロロ軍曹を感じることもある。わたしの錯覚かもしれませんが;

すごく楽しいのでつづきも絶対に貸してもらいます!

ふふふふふ……www

それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
4785927070

『もやしもん』1~4

もやしもん(1) (イブニングKC (106))
石川 雅之
4063521060


借りて読了。

菌の見える一年生・沢木と愉快な仲間たちの農業大学ライフコミック。

すごく面白かったです!

という以外に何を書けばいいのかわからなくなってしまった本でもあります。

農業大学の日常、という時点で現代日本人にとってのふつうの日常ではないことは約束されているわけですが、そこにもうひとつ、菌が肉眼で見える少年というファクターが加わってさらに非日常な日常がのんびりまったりと描かれていくという、そういう話。

キャラクターもけっこう強烈です。

まず、某農大教授の樹先生。地球規模の環境整備を菌類で成し遂げようというおおきな野望を飄飄と語る、菌の権威。

樹ゼミの院生である長谷川遙。ボンデージファッションで身を固めた研究命できっつい性格の美女。

樹ゼミのある建物で違法行為をえんえんとつづけていた個性的風貌の二人の二年生。美里と川浜。

そして、特殊能力の持ち主で樹ゼミ期待のエースでありながら、ものすごく存在感の薄い主人公・沢木直保と、沢木の幼なじみで造り酒屋の息子・結城蛍。

なんといっても、沢木のお友達のたくさんの菌たちにいろどられた画面がたいそうラヴリーw
ひとの知らないところでわらわらと会話を繰り広げている姿が楽しいのです。

人間たちの多くはだらしない大学生活を送ってますが、菌たちの活躍でいろんな事件が起き、いろいろな知識が学べる教養マンガでもあります。

あーー、われながら書いててぜんぜん楽しさが伝わらないので絶望しそう……orz

とにかく、菌や発酵ってほんとうに人間に深く関わってきた、というか人間は深くお世話になってきたんだなあということが実感されました。

連載当初のタイトルは「農大物語」だったらしいですが、その連載一回目の学長の訓辞?を読んでいて深々とうなずいてしまいました。

そういうわたしは樹教授の蘊蓄と野望も全部読んでおりますよ、フフフ。

つづきを読むのが楽しみですーwww

もやしもん(2) (イブニングKC (126))
石川 雅之
4063521265


もやしもん(3) (イブニングKC (151))
石川 雅之
4063521516


もやしもん(4) (イブニングKC (171))
石川 雅之
4063521710


単行本、毎回フォーマットが違いますね。

『時の旅人クレア 3 アウトランダー3』

時の旅人クレア〈3〉アウトランダー〈3〉 (ヴィレッジブックス)
ダイアナ ガバルドン Diana Gabaldon
4863326777


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第二次大戦直後から十八世紀のスコットランドへタイムトリップした女性の、波瀾万丈冒険ロマンス小説。シリーズ第三作で第一部完結編。

ネタばれすぎるのであらすじは省きます。

なんというジェットコースター展開!
ジェイミーの故郷にてつかの間に安らぎを得たふたりに、突如として襲いかかる危機に唖然茫然です。

ここまでは多少使命感と責任感と気が強いヒロイン、という印象のクレアでしたが、この巻ではまるでヒーローのような強いヒロインに変身します。

そして彼女を守るつもりでいたはずのジェイミー……すっかり形無し……(苦笑。

相変わらず、時代の風俗を描くディテールがすばらしく、ジェイミーの故郷でのエピソードは生活感がたっぷりです。ジェイミーの帰還にはしゃぎまわる犬たちに、弟ジェイミーそっくりの頑固者ジェニーと穏やかなイアンの仲むつまじい夫婦。かれらの息子小さいジェイミー。

ジェイミーとジェニーの兄弟げんかには圧倒されますが、その後ジェニーの語るエピソードは弟への愛にあふれていてほんわかとします。眠ってる赤ちゃんがなぜると微笑むなんて、それだけでううっ、可愛さが爆発してしまいます。

わたしはこの田舎生活のパートがとっても好きだー。

なのでその後の展開のハードさにちと着いていけなかったりしました。

案の定、敵はランダル中尉なわけですが……。
ここまで虐待される姫を読むのは久しぶりかもしれません。
姫といっても男だからかもしれませんが。

その後のクレアの奮闘ぶりには涙ぐましいものがありました。
ここまで虐げられた人がこんなに短期間に回復するかーという疑問が湧いたりもしましたが、まあこれはお話なので……と受け入れるしかないんだろうなー。

心に残るのは、身を寄せた修道院で告解するクレアの姿です。
ひとりで背負うには荷が勝ちすぎる責任感や義務感、不安やおそれにおののく彼女に、ちゃんと救いが用意されていたこと。
激動する状況に流されてうやむやにならず、最初の疑問にたちかえってくれたことが読み手のわたしにも救いとなりました。

しかし、この終わり方はどうなのでしょう。
もしかするとこれがロマンス小説のお約束なのでしょうか。
緊張感が緩むにしても、脱力方向にいってしまうとは……いや、わたしだけがそう感じるのか?

いずれにしろ、第一部完というにはちょっと、あれれ~な終わり方でした。

その代わりなのか、翻訳者さんがあとがきでさかんに煽ってくれておりますがw
だけどこの煽りでわたしが続きを読みたくなるなんて片腹痛いのよw といいたくなってしまう展開のようです。

やはりわたしには欧米ロマンス小説は体質的に合わないのかな~。
面白いところは面白いんだけど、うーん。
つづきをどうしようか、未だに悩んでおりますw


悩む理由は、第二部のこのタイトルにもある……。

ジェイミーの墓標 1 (ヴィレッジブックス F カ 3-4 アウトランダーシリーズ 4)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327048

「祈り人の指先」

塩さん作「祈り人の指先」読了。

中央アジア騎馬民族風異世界ファンタジー短編。
「渡り鳥の心臓」の続編。

喪失と誕生。鎮魂と未来の希望へ繋がる物語。
作者さんは詩人だなあと思います。
読んでいて涙がにじみそうになりました。
前作でも言いましたが、わたしはこのお話が大好きです。

『wonder wonderfull 君がくれた世界』

wonder wonderful 君がくれた世界 (Regalo)
河上 朔 結布
4781603289


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いただいて読了。

異世界トリップファンタジー『wonder wonderfull』の番外中短篇集。

収録作品は以下の通りです。


信じるならば君の心を
何度でも
さても楽しき
だからひそやかに祈るよ

あとがき



OLのコカゲが王の恋人になった妹のために奮闘する、という内容だった本編。
視点人物はヒロインのコカゲで、それ以外の人びとはコカゲの眼を通してしか描かれていません。だからコカゲの知らないことは出てこない。

この本には、コカゲ以外の視点でコカゲの知らない出来事が描かれた作品が収録されています。

主役は、コカゲが隊長と呼んだルカナート、コカゲの親友になったシルヴィアナ、コカゲの護衛役になった近衛隊隊士三人組のうちのヨーサム、の三人です。

メインはシルヴィアナ視点の「何度でも」でしょう。これは中編といっても薄い本なら一冊作れるくらいのボリュームがあり、読み応えもありました。
本編で触れられたシルヴィアナがルカナートにされた狼藉から、外の世界に目覚め、孤独と苦しみのなかで辛い恋をして成長していく過程が、ていねいな心理描写で堅実かつドラマティックに描かれてます。

こういうのが心理描写というのねと、優しい手つきで微妙な動きまでをすくいとってゆく文章に浸りつつ読みました。

ルカナート視点のふたつは、本編の補足、もしくは裏話的な要素が一番色濃いようでした。
「信じるならば君の心を」は前日譚なのでふつうに読めました。
「だからひそやかに祈るよ」は本編ラストの裏返しバージョンなので細部を忘れている人(つまりわたし;)ちょっと話を把握しにくかったですが、それでもコカゲったらルカナートにこんなところまで把握されている、恋心ってすげー! と思いましたw

「さても楽しき」は近衛隊三人組の出会い篇とでもいうような趣。
本編ではぼんやりしていたそれぞれの立ち位置が明瞭になって、とても楽しかったです。
わたしはヨーサムくんのキャラがとくに好きですv

本編は、異世界ものといっても魔法がでてくるわけではなく、一度しか行けない外国に行く話、とでもいうような雰囲気の恋愛冒険譚。
人生経験をすこしは積んだ若い女性が、見知らぬ世界で解決手段を現実的に見いだしていく姿がすがすがしい物語です。

ちょっと薹のたった乙女のかたに読んでいただきたいお話だなーと思います。

この本はタイトル通り、他人との出会いは知らない価値観の支配する新しい世界との出会いだなーとしみじみ感じるよい本でした。
楽しかったv

wonder wonderful 上
河上 朔 結布
4872579445


wonder wonderful 下
河上 朔 結布
4872579453

『シュトヘル』1~3

シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
伊藤 悠
409182529X


借りて読了。

十三世紀、モンゴルが大征服を開始したアジアを舞台に、悪霊と恐れられる女戦士と敵対する国・タングートの文字に魅せられたモンゴルの王子の、波乱の運命を描く、歴史サバイバルコミックシリーズ。



現代の高校生・須藤は、毎晩悪夢にうなされていた。夢の中は戦乱の時代で、かれは敗走する国の兵士として火の粉の降るなか味方の死に目を看取っていた。そんなある日、須藤は転校生だという女子生徒・鈴木と出会う。深刻な顔をした鈴木は須藤の家に訪れ、かれのつくった弦のない楽器を涙を流して奏で始めた。すると、須藤は突然夢の世界へと移動する。絞首刑にされた須藤がなんとか死から逃れてはじめて出会ったのは、鈴木とそっくりの少年・ユルールだった。ユルールは須藤をシュトヘル(悪霊)と呼び、また会えてよかったとよろこぶ。そしてこれまでの出来事を語りはじめるのだった。




すごかったです。
なんといっても画力が凄い。
十三世紀アジア大陸の戦乱の世界を、迫力ある戦闘シーンとともに臨場感をもって描ききるちからは並大抵ではありません。

殺伐としたシーンがつづきますが、スピード感あふれる展開にだれることなく、熱い思いに突き動かされるようにページを繰りました。

国や集団、個人の思惑が絡み合う陰謀めいたかけひきなどもえがきながら、今、この場の利益のためならすべてを正当化できるとするものたちと、未来へ営みをつないでゆこうとするものたちのせめぎ合いが、文字というひとつの象徴を巡るものがたりが展開されるのかなあと、想像しました。

それに、登場人物の容姿もそれぞれに生気にあふれて魅力的で、とても力強い。
ほれぼれと見ほれてしまう、骨太感と肉感があります。

とくにタイトルロールのシュトヘル=悪霊。
おんならしくどっしりとした下半身の強靱さに惚れてしまいましたw
これで彼女、いくつなんでしょうか。
というか、なぜ彼女は女ひとりで従軍していたんでしょうか。
苛酷な敗戦の後、超常体験をして超戦士となった彼女の存在感は、生きながらにしてすでに伝説的なものがあるなあと思います。

彼女の常軌を逸した在り方に執着する、十字軍に人生を破壊された商人アルファルド。
彼女に仇としてつけ狙われる、ツォグ族の跡取りでユルールの兄ハラバル。
ユルールの義母の侍従でユルールを西夏文字の庇護者にえらび導く、ボルドゥ。

復讐に心を縛られていたシュトヘルに別の生き方を見せる少年、ユルール。

だれもが血肉をそなえ体温のある人間として生きている姿が、たまらなく熱かったです。

と、十三世紀のストーリーはとても魅力的なのですが、この話の大枠には大きな謎がありまして、そこのところが判然としないため、どっかりと腰を据えられない、居心地の悪さがぬぐえないのがなんとも言えないところ。

おそらくわたしは作者さんの思惑通りに悩んでいるのだと思うのですが、すごく、気になる。
気になるぞー。
と気になって仕方ないのですがネタバレになりそうなのでここには書けません(苦。

借りた分を一気に読んでしまいましたが、既刊も三巻までなのですね。
こういう話は完結してから一気読みしたいものです。

この気持ちが、続きを読む時まで持続していますように……


シュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
伊藤 悠
4091827993


シュトヘル 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
伊藤 悠
4091834205

『時の旅人クレア 2 アウトランダー2』

時の旅人クレア〈2〉―アウトランダー〈2〉 (ヴィレッジブックス)
ダイアナ ガバルドン Diana Gabaldon
4863326734


[Amazon]

読了。

第二次大戦直後のスコットランドから十七世紀にタイムトリップした女性の、波瀾万丈な運命を描く、歴史ロマンス小説。シリーズ第二巻。

細やかな描写で臨場感たっぷりに十七世紀のスコットランド野蛮人たちの生活を描き出す、骨太でなおかつ脂肪もたっぷりの、ロマンス小説です。

戦場看護婦だったクレアは、戦後、夫とともに訪れたスコットランドのストーンサークルで不思議な現象に遭い、気がついたら十七世紀で夫そっくりのイングランド人に捕らえられそうになったところを、逆にスコットランド人達に捕らえられ、そのまま余所者の客人としてスコットランド人のコラムを領主とするリアフ城に連行されます。

クレアはそこで出会った若者ジェイミーと、どうやら運命の絆で結ばれていたらしいです。

どうやらというのは、前巻を読んでからしばらく経ってしまったので、この巻の冒頭のエピソードの理由を忘れてしまいました……(汗。

ネタバレになるのでこれ以上のあらすじを書くのは控えますが、やーー、なんというか、ものすごくたくさんのディテールに圧倒されます。

これを読んでるだけで十七世紀のスコットランド人が城でどういう生活を送っていたのかがなんとなくわかるような気がしてくる。

クレアは知識を活かして治療師となり人びとの治療に精を出し、馬の世話をしているジェイミーのおかげで馬のお産に立ち会ったり、貴婦人として城主の晩餐に出席したり、城主の書斎にお邪魔したり、若い女の嫉妬を買って呪詛を受けたり、魔女と噂される夫人の仕事場に入ったり、とそれはもう、様々な体験をしてくれるのでなおさらです。

なんといいますか、このエピソードの奔流にひたっていると、クレアの運命なんてどうでもよくなってきてしまい、このまま城の日常を書いてくれてもいいのにと思ってしまいました。

それはそのまま、自分の境遇から眼を背けているクレアの心境と重なっているのかもしれませんが。

クレアとジェイミーの関係は、正直言ってわたしにはあまり興味がわかなくて。
ラヴシーンを読んでいてもぜんぜんドキドキしないので、それにつきあうのが面倒くさくなってしまった。

それよりも、プライドの高いお馬さまドナスの話のほうがずっとわくわくしました。
巻のラスト近くでのクライマックスであらわれるドナスに、きゃー、と心の中で歓声を送ってましたw

と、このようにわたしはロマンス小説の読者としては大失格なのでありまして、だからこんなことを言う資格はないとも思うのですが、でも、中心のストーリーから注意が逸れてしまうほどの膨大な描写は、ちょっとはしょったほうがよくはないかという印象が残りました。

あまりにも横道に逸れ度が大きいので、ストーリーが動きだすときの唐突感もおおきくて、作者の思惑がみえみえになってしまう。それって、ちょっと興ざめです。

それとクレアの人の忠告を無視する度合いが甚だしいのも、ちょっとなあ。
だから余計に、ストーリーよりも日常生活を読んでいたく思ってしまったわけですね。

うーん。うーん。
十七世紀スコットランドは楽しいけど、クレアの人生につき合っていけるのかのほうがわたしには問題のような気がしてきました。

とりあえず、三巻は予約したのでシリーズのことについてはそれから考えよう。


時の旅人クレア〈3〉アウトランダー〈3〉 (ヴィレッジブックス)
ダイアナ ガバルドン Diana Gabaldon
4863326777

20101113の購入

買い物に出かけたさきで本屋に寄りました。

聖なる花嫁の反乱~亡国の御使いたち~ ⑥ (フレックスコミックス フレア)
紫堂 恭子
4797362405


以上、購入。

出版社が変わって出し直されていたシリーズの、最新刊。
この巻から移籍してからの連載が収録された本当の新刊になります。
そのはずです……。

発売日のはずなのに新刊コーナーになくてちと焦りました。
リアル書店で見つけられなかった同著者の『王子の優雅な生活(仮)』三巻が脳裏をよぎりまして。
でも新刊コーナーにないだけで、シリーズが置いてある棚のほうに一冊ささってたのを発見。
無事にゲットできました。

もしかして発売日が偶然早くなってたから移動したのかな。
新刊なのにコーナーに置かれないなんてことはないよね、ふつう……。
でも、新刊はだいたい一週間くらいはコーナーにおいてあるんだけど、あの本屋。
ちょっとした謎です。

『南の子供が夜いくところ』

南の子供が夜いくところ
恒川 光太郎
4048740326


[Amazon]

読了。

東南アジアっぽい南の島々を舞台にしたホラーテイストあり、ファンタジーテイストありの幻想連作短篇集。



南の子供が夜いくところ
紫焰樹の島
十字路のピンクの廟
雲の眠る海
蛸漁師
まどろみのティユルさん
夜の果樹園




『夜市』の作者さんの本。
今回は冒頭の一編が少しだけ日本で、あとはときどき日本人の男の子が絡んできますが、たぷん東南アジアかどこかなんだろうなあと思われる南の島を中心したお話集です。

魔女と呼ばれるユナという女性がときどきでてきて、時代は現代だけでなく、十六、七世紀くらいまで遡ることもあります。

これまではほとんど日本だろうなと思われる所が舞台で、時代が遡ることもなかったので、ちょっと変わったかなと思いました。

でも、あいかわらず、ちょっとそっけないような文章で、平然と現実を超越する出来事を書いていってます。

話の展開はやはりけっこうグロかったり、怖かったり、謎だったり、奇想天外だったりで、それほど変わってはいないような。これまでどおり、人の悪意もあります。

けど、いままでずっと曇り空のようにつきまとっていた重苦しい閉塞感があまりないのは、どこまでもひらけていく海や空がみえる舞台のおかげなのかな。

読んでいて、あ、この作者さん『銃・病原菌・鉄』を読まれたんじゃないかしらんと思われるところ、多々あり。

それから、五十嵐大介『海獣の子供』ぽいイメージがわきあがるお話があったりもしました。

ずっとつづいていた冒頭の謎は、けっきょくのところなんだったのかな、あれだったのかなと、すべてを突き詰めずに曖昧なままに余韻を残して終わるのも、わたしにとっては好みでした。

凄い盛りあがりはないけれど、淡々と不思議がつらなってる、そんな短篇集でした。
面白かったです。

しかし、フルーツ頭の怪物って……どうしてそういう発想が出てくるのか、謎ですわw

わたしが好きなのは「紫焰樹の島」と「雲の眠る海」です。
いかにもな好みで恐縮です。


銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド ダイアモンド 倉骨 彰
479421006X

『犬夜叉 52』

犬夜叉 52 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091212670


読了。


戦国時代へトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに、四魂の玉を巡り奈落と戦う、伝奇アクションコミック。シリーズ第五十二巻。


この巻には、

巫女・瞳子との対決からかごめちゃんの力が封印されていることが判明するエピソード。
現代に帰って四魂の玉の由来をあらためて知るエピソード。
四魂の玉の穢れのかたまり曲霊(まがつひ)があらわれて、まず殺生丸に、さらにかごめちゃんたちに襲いかかるエピソード。
殺生丸が自分の剣・爆砕牙を見いだすエピソード。

が収録されています。

ううむ。
どんどんクライマックスて感じですね。
とくに、初心に戻って四魂の玉情報をおさらいしたあたり。
あらためて、四魂の玉を浄化できたとして、その後の四魂の玉をどう処理するのか、という問題が提示されたことにより、かごめちゃんと犬夜叉の未来がどうなるのかに焦点が当たってきたように思われます。

五十年前、桔梗は犬夜叉を人間にするために四魂の玉を使えば、四魂の玉もなくなる、そして自分も巫女ではなくなると信じてました。

四魂の玉をどうやって浄化するのかもかなりの問題なのに、それでめでたしめでたしにならない。
たぶん、そこで辛い選択を迫られるんじゃないかという予感がひしひしとしてきました。

うらめしいのは、緊迫しているはずの物語を緊張感もって読めないわたしです。
途中のよりみちゆるゆる展開でゆるみきってしまって、元に戻らないようなんですよね(汗。

物語を強くするにはあるていどの緊張感をつづけることが必要なのだなあと、感じます。

とはいうものの、さすがにここまで来たので最期まで見届ける気は満々。
つづきがはやく読みたいです。


犬夜叉 53 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091213391

20101109の購入

密林からギフト券をもらったのでいそいそと購入しました。
うちから購入くださった方々、どうもありがとうございます。感謝しております。深々。

初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫)
ジェイムズ・ジョージ フレイザー James George Frazer
4480087370


王子の優雅な生活(仮) 3 (ASAHIコミックス)
紫堂 恭子
4022140496



「金枝篇」は何度か図書館で借りようと思ったのですが、二週間で読み通せる自信がなくて、でも読みたいという欲望が勝りました。ページを開いたら活字がぎっしり詰まってて嬉しい悲鳴です。全部読めなくても拾い読みでも勉強になりそうです。

マンガはリアル書店で買えなかったので……w


ぽちりしたあとでロリーナ・マッケニットの新譜の予約を受け付けてることに気づいて、ちょっとしょんぼりしましたが、自分で買えよ、ということで買うつもりです。

Wind That Shakes the Barley
Loreena Mckennitt
B0043ZDU1E

『身代わり伯爵の誓約』

身代わり伯爵の誓約 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524114


[Amazon]

いただいて読了。

元気で鈍感な女の子とヘタレ貴公子の、近世ヨーロッパ風冒険ロマンスコメディー。シリーズ十一冊目はシアラン篇完結編。

もうさすがにネタバレなしあらすじ書くのは不可能なので、やめておきます……。

おもしろかったあ!!!

わたしの好き度では『告白』の方が上ですが、クライマックスとしてすばらしい盛り上がりでした。
お約束エピソードをぞくぞくと盛り込みつつ、謎のふたつ名「ブリギッタの野獣」の意味も判明しましたし、スリルとサスペンスな逃亡劇やら大公との対決シーンやらと、リヒャルトの格好良さマックス。

ミレーユは記憶を失い泣きまくりながらも生来のしたたかさを忘れず、いろんなところで笑わせてくれます。

そんなふたりは、こんなところでこんなことしている状況か! という突っ込みはナシで糖度もマックス。

全編、娯楽作品ならではのサービス精神に満ちあふれていて、読んでいてたいそう心地よかったです。
周囲の人びともそれぞれにきちんと活躍(?)の場があるのも、嬉しかったです。

ああ、この一週間、このシリーズを読んで心がどれほど癒されたことか。
お約束をはずさない王道展開の心地よさを堪能させていただきました。
安心して楽しめるって、結構大切なことなんだなということが、歳をとってようやくわかってきたわたしですが、このシリーズはその心地よさが半端でなかったです。

心理劇としての筋が通ってるから、その他のところですこし無理があっても、しらけさせないんですね。

一番の象徴は、あまり表に出てこなかったけど公爵家に行ってから凄く苦労をしていたはずのフレッド。
ラスト付近のフレッドのシーンにはじわっときてしまいました。フレッドはこのシリーズの一番の功労者だと思います。

さて、大公位をめぐるシアランの政変はこれでいちおう落着しました。
でもシリーズはまだつづいている模様です。

つづきは読みたいような、読みたくないような……、いや読んだら面白いんだろうなと思うのですが、手元にないのでここでわたしもひとまず区切ります。

一気読みの楽しさを経験させてくれたSさんに、こころからの感謝を捧げます。


シリーズつづき。タイトルを見ると「誓約」のネタが割れてしまうというw

身代わり伯爵の花嫁修業 I 消えた結婚契約書 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524122


シリーズ開幕編はこちら。

身代わり伯爵の冒険 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524017

『身代わり伯爵の告白』

身代わり伯爵の告白 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524106


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いただいて読了。

元気で鈍感な女の子とヘタレ貴公子の近世ヨーロッパ風異世界冒険ロマンスコメディー、十冊目。


シアラン編も佳境に入ったところで、以下のあらすじはこれまでのネタバレ含みです。


パン屋の娘ミレーユはじつはアルテマリスの公爵令嬢だった。兄の伯爵の身代わりを務めるうちに副官リヒャルトを無自覚な恋をするようになった彼女は、故郷シアランの大公を打倒しようとするリヒャルトの手助けをするためにシアラン騎士団に男として潜入し、公女エルミアーナと宝剣を救うことに成功する。危険を顧みない献身にリヒャルトはついに彼女に真情を告白するが、リヒャルトの侍者ルドヴィックの嘘を真に受けたミレーユは身を退くことを決意。ウォルター伯からの誘いに単身公都の王宮へと乗り込んでいく。




怒濤のクライマックス展開でした。

第五師団団長の紹介でついに王宮へと潜り込んだミレーユは、なぜか花嫁の身代わりの身代わりに。
これまでフレッド付きだった白百合騎士団のユーシスくん、リヒャルトの乳兄弟アンジェリカと共同戦線を張ることになります。

いっぽう、ミレーユの作戦にまんまとはまってしまったリヒャルトは、見当違いの方向を探索してミレーユを見失い、後悔の嵐のどん底に。

その間にも神殿の解放劇やらフレッドのウォルター伯裏側探索と、着々とストーリーは展開。

さらに第五師団の面々のミシェルの身元推理雑談、王太子禁断の愛発覚に懊悩する団長などのネタエピソードも満載です。

第五師団てはぐれ者の集まりなんじゃなくて鈍感うぶうぶ師団なんじゃなかろうか。
ミレーユの状況が悪化の一途を辿っているあいだになんて能天気なかたがたなんだろう(苦笑。

今回はあちこちでいろんなひとがいろんな告白をしてますが、いちばんインパクトが強かったのはリヒャルトの第五師団へのものでしょうね。「死ぬほど動揺している」リヒャルトの口走る赤裸々な真情にみなが度肝を抜かれるこのシーン、読んでいてニヤニヤが止まりませんでした。ニヤニヤしたくて何度も読み返してしまった、フフフw

二番目はアンジェリカので、これでリヒャルトが崩壊。

三番目は大公ギルフォードの誇大妄想告白。政争的にはこれが一番重要だったはずだけど、物語的にはそれほどでもなくスルーしてしまいました。

四番目がエルミアーナ姫の副長王子様発言。

本来ならばメインの筈のミレーユの告白ったら、あまりにも当然のことなので今さら聞いても何ともないよw

今回のお気には、先にも書いたけど動揺しまくり喋りまくるリヒャルトのシーン。
ロジオンに嫉妬するリヒャルトのシーン。
副長とロジオンに生ぬるく見守られてる第五師団団長のシーン。
ミレーユを嫌いだといったキリルと、ヒースの再会シーン。
第五師団壊滅シーン。
冒頭、ミレーユ母の「何やってんの、あの子たち」発言。

かなあ。

いつになくリヒャルト単独のシーンが多いです。わたしはかなりかれが好きなんだなあとあらためて思いました。好きなのは動揺しているかれなのは言うまでもありません。

ミレーユ本人の言動はたしかに面白くて可愛いけど、それに振りまわされる周囲の反応が何倍も楽しいなあと毎回思います。

設定と展開はぶっ飛んでて、ご都合主義もありますが、心理劇としてしっかりしているから安心して読めるのですね。

なんにも考えずにうふふあははと笑って楽しめるシリーズは、とても素敵だと思います。
心の癒しです。

というわけで、決意したリヒャルトはミレーユを救えるのか(救えるに決まってるけど、どうやって? どうなって?)。
ドキドキしながらつづきに参ります。


身代わり伯爵の誓約 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524114

『身代わり伯爵の失恋』

身代わり伯爵の失恋 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524092


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いただいて読了。

元気で鈍感な女の子とヘタレ貴公子の、近世ヨーロッパ風異世界冒険ロマンスコメディー、シリーズ九冊目。


パン屋の娘ミレーユはじつはアルテマリス公爵の隠し子。兄フレッドの身代わりを幾度か務めるうちに兄の副官リヒャルトに無自覚な恋をしたミレーユは、隣国シアランに帰国したリヒャルトを追いかけ、大公位を継ごうとするかれのために尽力したいとのぞんで身元と性別を隠しシアラン騎士団第五師団に潜入する。現大公への謀反の疑いをかけられ、親衛隊に取り囲まれた第五師団の隊長ジャックは、リヒャルトの妹でかれに宝剣を渡したいという公女エルミアーナの救出をミレーユに命じるが。




窮地に陥った第五師団とミレーユ。
遠く離れた水上の神殿で急を知らされたリヒャルト。
大公一家の思い出の詰まった離宮が炎上するなか、繰り広げられる一大スペクタクル!

そして、姫君の危機に風のように駆けつけて、命がけで救い出してくれる王子様(エルミアーナ言)

とうとう、とうとう、このときがやってきたのねーーー!!!

開き直ったリヒャルトのなんと凛々しいこと。
いきなり変身したあげくリミッター解除して最終形態までいっちゃったヒーローみたいにかっこよく。

そしてヘタレ返上、押して押してどこまでも押しまくったあげく、ようやくたどりつきました。

ああ、長かった。何度も間違えてやり過ぎて誤解されて、その度に後悔し反省し消極的になったり考えなおしたり迷ったりしながら、とうとうここまで……感無量!!



と盛り上がりつづけた前半のあとで、なんですかこの展開は(脱力。

たしかに大公妃になったミレーユは想像が難しい、というかあまりに危なっかしすぎて心臓に悪い。
分別盛りの人間にとってはとても心配なのはよくわかりますが、あれはリヒャルトを大公位を継ぐ存在としてしか見ていない、ひとりの人間として認めていない行為ですよね。ムカムカ。

さらに、ミレーユがまた持って回った思考をしてとんでもない方向に突撃しているのが心配。
彼女の行動を的確に推理するヴィルフリート王子に、やはりこのふたり似ているんだわとニヤリ。

ウォルター伯の不気味さの原因がわかってぎょっとなったあげくに、いつも華麗に立ち回るフレッドまでがまさかの大ピンチ。

わわわ、このあといったいどうなるのー!?

てところで次巻に続くです。ひいいいいい(悲鳴。

ところで、代表ジャックの第五師団のひとびと。
ここまできてもまだ誤解をつづけられるのですか。いくら女性に免疫がないからって鈍感過ぎじゃないですか。
副隊長イゼルスくんの気苦労がしのばれました。

そういえば、ミレーユがおばさんたちに吹き込まれてきた「顔がよくて甘い言葉ばかり言う男は信用するな」というのは、きっとミレーユ父のことですよね。
ミレーユがいろいろと鈍感に育ったのは、素質もあるけど環境に負うところも多いんだろなあと思いました。

今回のお気に入りシーンは、置いていかれたリヒャルトとロジオンがぼうぜんとしてるところかな~。
ロジオンがいちいちミレーユにしたことを報告するシーンも好きですw

さあ、つづきつづき。


身代わり伯爵の告白 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524106

『身代わり伯爵と伝説の勇者』

身代わり伯爵と伝説の勇者 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524084


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いただいて読了。

元気で鈍感な女の子とヘタレ貴公子の、近世ヨーロッパ風冒険ロマンスコメディー。シリーズ八冊目は番外短篇集です。

収録作品は以下の通り。


身代わり伯爵と運命の鏡
身代わり伯爵と伝説の勇者
身代わり伯爵と秘密のデート
身代わり伯爵と薔薇園の迷い子

あとがき



七冊目がとてもいいところで終わったのですごくつづきが気になるのに……シリーズ全体で焦らし作戦に来られたような気がしますw

作品はそれぞれアルテマリス編のあちこちを補完するような内容になってますね

「運命の鏡」は不思議な鏡をめぐるセシリア王女のツンデレエピソードの影で、ミレーユたちが運命を告げられてたのにふたりしてスルーしてしまったという話。なんと彼ららしい……w

「伝説の勇者」はこれまではあまり読めなかったフレッドの単独エピソード。
フレッドって怪奇幽霊譚が大好物なんですね、妹のほうは大の苦手なのに。つくづく正反対の双子です。
お付きの白百合騎士団ユーシス、アンジェリカとルドヴィックはこれが初登場だった模様。
アンジェリカとルドヴィックが兄妹ということはこれにロジオンを加えて三兄弟なのか……面白い。

「秘密のデート」はヴィルフリート王子がミレーユへの恋を自覚した直後のエピソード。
ルーディーが身代わりの事実を知らないことと、ヴィルフリートの失策が原因で、ミレーユが誤解をしているのをしらずふたりで楽しく城下周遊を楽しんでます。
ヴィルフリートとミレーユって思考回路がちょっと似てるかも。ヴィルフリートのミスは後でミレーユがまったく同じミスをやらかしてますしね。そもそも果たし状なんてものを書いてしまうあたりからして似ているなと。
ふたりに振りまわされるリヒャルトが哀れです、ぷらす意外に強面な顔を見せてくれたりして、ワタシ的には楽しみました。

「薔薇園の迷い子」はアルテマリスの王太子ジークと婚約者リディエンヌ嬢とのなれそめエピソード。
これまたふだんは見られない軽薄ジークの素顔がみられて興味深かったです。
かれはリヒャルトへの思いをいつもイジメとして表しているんですねえ。
このときいくら揺さぶっても崩れなかったリヒャルトが、ミレーユひとりであれだけ壊れるのだから、面白がるのは当然だなと思いました。

王太子のハーレム計画に邁進されるリディエンヌさまの不思議なキャラクターの謎も、これで解けました。
乙女の熱い思いを鷲づかみにされてるリゼランドの女王陛下ってどんな方なんだろう……どきどき。

あと、フレッドはほんとにリディエンヌさまが好きだったのね……しみじみ。

と、おさらいしたところではやく本編のつづきに行こうと思います。

……あれ? いったいどういうところでつづいてたんでしたっけ?
やだなまさか忘れてるのか、わたし?


身代わり伯爵の失恋 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524092

『身代わり伯爵の求婚』

身代わり伯爵の求婚 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524076


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いただいて読了。

元気で鈍感な女の子とヘタレ貴公子の、近世ヨーロッパ風異世界冒険ロマンスコメディー。シリーズ七冊目。


パン屋の娘として育ったミレーユはじつはアルテマリスの公爵令嬢。兄の身代わりを務めるうちにであった騎士リヒャルトに特別な感情を抱きつつあった彼女は、シアラン大公国へと姿を消した彼を追いかけたのち、役に立ちたいとシアランの騎士団第五師団に男として潜入した。危険を意識しないミレーユを発見したリヒャルトはなんとか思いとどまらせて故郷へ戻そうとするが失敗、必死ですがりつく彼女についにぶちきれてしまう。リヒャルトにされた行為に茫然自失になったミレーユだったが、気をとりなおしてかれへの復讐を胸に誓った。そんな彼女の身元を怪しむ第五分隊の隊長ジャックは、大公の間者ではないかと疑っていた。いっぽうミレーユを名乗る彼女の兄フレッドは遂にシアラン大公ギルフォードとの顔合わせを行っていた。




あいかわらず、ミレーユとリヒャルトのツーショットシーンはテンションが高くて笑えますw
ほんとうにおかしくて楽しくて、ミレーユの思考の飛躍がとんでもなくて、ふりまわされるリヒャルトが哀れでなりません。

いっぽう、物語は着実に進行しています。

シアラン編に入ってもう三冊目なので、だいぶ新しい登場人物の背景にも馴染んできました。

かつてアルテマリス王太子の婚約者だったサラ嬢の兄・ウォルター伯がいまのところ一番の黒い人ですね。
サラを殺したのはリヒャルトだと思いこんでいて、一見リヒャルトを擁護しているようで傷つける機会を最大限に活用するためミレーユも利用しようとしている、ネチネチした危ない御仁です。

義賊ランスロットこと旅の奇術師ことシアラン神官ヒースは、ウォルター伯に雇われつつ神殿側の間諜としても働いている模様。基本的に幼なじみのミレーユには健全な人生を歩ませたいと思っているけど、忠誠は神殿第一。

さらにシアラン騎士団第五師団の面々は。
女顔の親近感からなにかと面倒を見てくれるアレックス。
優秀でスパルタな書記官ラウール。
ミレーユをアニキと慕う不良騎士テオドルとその護衛役の騎士たち。
どこかぬけてるけど有能ではあるらしい隊長ジャックに、冷静沈着で普通に観察力のある(苦笑)副官イゼルス。

リヒャルトの乳母の息子でミレーユにも忠誠を捧げてくれるロジオン。
その妹でどうみても腐女子のアンジェリカ。

シアラン大公の同母妹だけど諍いを嫌い、兄に嫁ぐために来たベルンハルト公爵令嬢にシアランの宝剣を託そうとまでした、夢見る乙女エルミアーナ姫。

そして、シアラン神殿とそこに集う異能者をまとめる神官長。

こんなところが主な登場人物でしょうか。

あ、忘れてた。
ミレーユの幼なじみでヴァイオリンを教えてくれたという少年キリルがいた。
かれの登場シーンはとても意外で、波乱の予感を秘めたものでした。

ウォルター伯と神殿は、いったいどう繋がっているのか。
シアラン大公ギルフォードが○○ってのは何事?
自分はリヒャルトの味方だと言い切ったかの御方がとたんにあやしくなってきました。

ミレーユには見えないところでの陰謀や暗闘がさらに激しさを増す中、リヒャルトの決意にミレーユがどういう答えをだすのかに興味津々です。

今回、リヒャルトは凄く頑張ったと思う。うん。
だけど、ミレーユはこの頑張りを無意識にスルーしてるようなんですけど気のせいかな(苦笑。

ラストでとつぜん窮地に陥った第五分隊の運命やいかに。

てことで続きを読みますw


身代わり伯爵と伝説の勇者 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524084

『身代わり伯爵の潜入』

身代わり伯爵の潜入 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524068


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いただいて読了。

元気な女の子とヘタレ貴公子の近世ヨーロッパ風異世界冒険ロマンスコメディー、シリーズ第六巻。


リヒャルトに耳飾りをわたしそびれたミレーユは、義賊ランスロットこと幼なじみの奇術師しかしてその実態は異能を持つ神官ヒースに誘拐されてしまう。自分の活動動機を明かしたヒースに、ミレーユはリヒャルトの助けになれるかもしれないとそのままくっついていくことにする。ところが、ヒースの雇い主は約束の場所におらず、ミレーユはいまは亡きリヒャルトの従姉妹サラと間違えられて殺されそうになる。いっぽう、リヒャルトはかつての側近ウォルター伯にミレーユの身柄とひき換えに間違いなくシアランの大公位を目指すことを脅迫されるが、その会談中にミレーユの行方不明を知らさせて激怒する。




風雲急を告げる急展開……のはずが、なんだろう、この的外れな形容詞(苦笑。

リヒャルトに置いていかれてショックだったミレーユは、それでもリヒャルトを放っておけず、なんとか役に立ちたいとない知恵を振り絞ってそれはもう一生懸命に視野狭窄な猪突猛進を繰り返しておりました。

ちょっと、無謀にもほどがあるよ、すこしは身に危険を感じなさーい!
リヒャルトならずともハラハラしますね、この無鉄砲っぷり(汗。

川に流されて意識を失ったのは不可抗力とはいえ、なぜそこでそんなところに潜入を決めるのか。
まったく性別を怪しまれないのもどうかと思いますが、確実に身元を不審視されていることにも気づかずに、ああもう……。

フレッドの言う「元気もりもり」で負けず嫌いの本領も発揮。
どんな窮地でも仲間はずれになりたくないとしがみついていく執念にはあきれ果てましたw

リヒャルトがぶち切れたのも無理はないです。
かれの場合ぶち切れたその後が問題でしたが。

それにしてもこれだけさんざんそういう意味の言葉を撒き散らしておいて、それでもまだ「好きかどうかわからない」とは、これにもあきれ果てたよミレーユ……

この話、毎回じらしてかわすラヴシーンが山場になってるわけですが、今回のはかなり糖度が高かったですね。
このシーンを盛り上げるためのさまざまな仕掛けに毎回感心します。
おばかなエピソードとシリアスな構成力がすばらしい。

そしてミレーユという女の子のキャラクターも素晴らしい。
リヒャルトの狼藉を嫌だと思わなかったくせに、なんでいきなり方向転換してそっち方面に走るのでしょうか。
その一文におもわず吹きましたよ。

もうリヒャルトは観念したほうがいい、そう思いましたしみじみとw
サラ嬢の言われたとおり、かれは女の尻に敷かれるタイプなのです、あきらめなさい。

今回は、文句を言いつつミレーユの面倒を見てくれるルーディーの、げんこつシーンがお気にでした。
ヴィルフリート王子、あいかわらずお約束展開ありがとうw
ヒースの本名ヒースクリフに笑い。

アニキとして舎弟まで持つようになったミレーユの進撃はどちらに向かうのか。
次巻ではシアラン騎士団でのお守り役ロジオンくんの辛抱強さが試されるような気がしてなりません。

さあ、続きを読むぞー。


身代わり伯爵の求婚 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524076

『身代わり伯爵の脱走』

身代わり伯爵の脱走 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
404452405X


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いただいて読了。

元気で鈍感な女の子とヘタレ貴公子の恋を描く、近世ヨーロッパ風異世界ロマンスコメディー、陰謀付。シリーズ第五巻。



リゼランドのパン屋の娘ミレーユは、隣国アルテマリスのベルンハルト公爵の隠し子だった。ひょんなことから双子の兄フレデリックの身代わりをつとめたりしているうちに、ミレーユは兄の副官リヒャルトに微妙な想いを抱くようになっていた。リヒャルトはだれに想いを寄せているのか、自分は何を求められているのか。悩みを小麦粉にぶつけつづけて三日後、兄とともに王太子の呼び出しを受けたミレーユは、自分の存在が国内外にもれてしまい、シアラン公国の大公から政略結婚を申し込まれたことを知らされる。シアランとの関係を安定させたいアルテマリスの事情から、王太子ジークは、ミレーユに大公の求婚を拒否するなら自分の後宮にはいるようにと命じられる。




シアラン編の開幕です。
というほどのことはなかったかしら。
いままでのおさらいと種明かし、プラス大きな流れへの序章という感じでした。

つまり、いままでほのめかされてきたリヒャルトの個人的な歴史が白日の下に! というわけ。
かれが辛い過去を持っていることはこれまでも何度も示唆されてきましたが、ほんとにハードだったんですねえ。
とくに幾度か名前の出てきたサラ嬢の話にはわたしもかなり堪えました。

おかげでリヒャルトがヘタレな理由がよーくわかりましたよ。
これはミレーユから押さないとダメですねきっと。
なのに、ミレーユはいまだに思いを認めてないときた。

ここまで行動で表しながらそれでも気持ちを否定してしまうミレーユにも、それなりに過去がある模様で、それはそうなってしまうかもなあと納得。

その後の、ミレーユ母の気まずそうなのには同情しました。

で、タイトルどうりにミレーユは脱走してシアランに行きます。
これからは主な舞台はシアランに移るのでしょうか。

今回、個人的には白百合騎士団の守護霊と猫のお友達カインくんがお気にです。
ヴィルフリート王子はいちいちツボな怪演ありがとうございます、という気持ちw
男嫌いの女装マニアで魔女のルーディーの意外な出自には驚きました。
淡々とミレーユとリヒャルトをたきつけるコンフィールドのシルフレイア姫、万歳w

そして活躍度を増す義賊ランスロットこと奇術師こと神官のヒース。
なかなか手の内を明かさないかれは、いままでのフレッドやジークの役回りを演じてくれるのかなあと予想。

まだこれからの展開はわかりませんが(結末はだいたいわかってるけど(笑)どういう道筋を辿るのかが問題)、波乱の幕開けとなったシアラン編、今後に期待です。


身代わり伯爵の潜入 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524068

『身代わり伯爵の決闘』

身代わり伯爵の決闘 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524041


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いただいて読了。

元気な女の子が兄の伯爵の身代わりになって大混乱を呼ぶ、近世ヨーロッパ風異世界ロマコメ。シリーズ第四巻。


パン屋の後継者争いに敗れたミレーユは、実家に帰りそびれてそのままアルテマリスの父親の元に留まりつづけていた。そんなある日、父親の母方の親戚だというリゼランドのグレンデル公爵がやってきた。かれは娘をアルテマリスの王太子に嫁がせようとして陰謀をしていた人物だったが、今度は第二王子を標的にしようとしていたのだ。絶対に正体を知られてはいけないとフレッドに言い含められたミレーユは、身を隠すためにリヒャルトとともに王宮へと向かう途中、画材屋の前で男たちに絡まれている少女を助けた。リヒャルトを見ていきなりかよわい娘を演じ始めたその少女は、なんとグレンデル公爵の娘シャルロットだった。




パン屋の娘の華麗なるかわしと絶妙な焦らしに、とんでもない早合点。
笑いの止まらないロマンスコメディーシリーズの第四巻です。

今回は、リゼランドからきたシャルロットのおかげで王太子の婚約者リディエンヌさまの意外な過去があきらかに。

シャルロットになぜか弱みを握られてしまったミレーユは、宝塚ばりの少女劇を上演するために奔走させられることになるのでした。

女優シャルロットの隠された恋に、夢見るツンデレ・セシリア王女のまったく隠れてない恋心、そして天然鈍感娘ミレーユと彼女に振りまわされるへたれリヒャルトの恋が、ひとつのイベントに重なりあい、ひびきあうさまが見事でした。

もちろん、メインはミレーユとリヒャルトなのですがw
何度もミレーユの呼吸が止まりそうになるまで攻め込むのに、最後には寸止めされて落とされるリヒャルトの心中如何ばかり……(苦笑。

リヒャルトの周辺は以前からシアランがらみでかなり不穏になってきているのですが、そのこともあって周囲から発破をかけられ通しなのに、けっきょくこうなってしまうのはそれだけミレーユが手強いのか、あるいはリヒャルトがヘタレなのか。

たぶんどっちもどっちなんでしょう。

最近ではミレーユに去られた後で自己嫌悪に疲労困憊しているリヒャルトを読むのが楽しみです。

それから、着ぐるみ愛好家ヴィルフリート王子の人知れぬ苦悩はようやくひとつの節目を迎えたようです。

義賊ランスロットことシアラン神官こと流しの劇団員ヒースが的確なことを言ってましたが、本人が自覚しないだけでミレーユってかなり男性に好かれてたんですねえ。パン屋の跡目争いに勝ったロイもそうだったし。

というわけなので、リヒャルトは自分の境遇とミレーユを掠われる不安とにひき裂かれつつあります。
リヒャルトが押し切れないのはきっとかわされることにどこかで安堵しているからだろうなと思いますが、どこまでそれで我慢できるのか。

リヒャルトのこれからがとっても楽しみになってきましたよ!
そうです、わたしはきっとサドw

つづきも手元にあるのですみやかに読みたいと思います。

身代わり伯爵の脱走 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
404452405X


シリーズ開幕編はこちら。
身代わり伯爵の冒険 (角川ビーンズ文庫)
清家 未森 ねぎし きょうこ
4044524017