『Landreaall 16』

Landreaall 16 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがき ちか
4758055041


借りて読了。

王位継承権を持つ若者を中心とした異世界群像劇ファンタジー。シリーズ第十六巻。

新刊が出るというのであわてて借りてみたらまだ新刊は出ておらず、読んでないと思ってた分(十三から十五巻)も既読だったという、おまぬけ展開を演じてしまいました。

まー、どうせ以前の分は全部忘れてるからおさらいできてよかったです。

アトルニア王国前王の甥かなんかの父親のおかげで王位継承権をもってるだけじゃなく、不思議な魅力を持つDXが、王を推挙する玉階と出会ったり、王都のアカデミーに留学したり、そこでいろいろな人と出会ったりして、いろいろと学んでいく物語……でしたよね?

この巻では、主人公DXが物語世界の過去においてかなり重要な秘密を父親からしらされるのがメインイベントでした。

つまり、アトルニアは王国なのになにゆえ現在は国王不在なのか、という謎の肝部分です。

過去の悲惨なあれこれを体現するひとりの玉階クエンティンの登場からの流れでしたが、王とは何か、という根源的な問いを突きつけるような内容の話になりまして、ううむ、深いなーと思いました。

人心をひとつにまとめる旗印のちからと責任、は、スピンドルの襲撃でイオンちゃんがはからずも担わされてその重みに悲鳴をあげたものですが、その重みを私欲にまかせて行使しつづけたのが前王で。

そのことをすでにあるていど理解していて、そんな制御の難しい物はいらないと逃げていたのがDX。

でも、その旗印のおかげで救われる人びとがいて、国をよい方向にむかわせることに必要ならば、そしてそれが自分はできて自分がやる必要があるとおもったら。

もしかしたら、という部分が生まれてきているのが今の状況かなーと思いました。

しかし、このマンガ、ほんとうにさりげなく台詞が深いですよね。
マンガは映像として見ているらしいわたしは、なかなかイオンちゃんの悩みの理由がわからなくて、再々読だったらしい今回でようやく理解にたどり着きました(大汗。

それで、このマンガは基本的に台詞劇、なのかもしれないなーと思いいたった次第です。

DXの同級生たちのぽんぽんとされるやりとりとかを読んでいると、わやわやした雰囲気にまぎれて結構きわどい応酬をしてる。

その緊張感がだらっと絵だけを見ているわたしにはなかなか伝わってこないらしいです。

そしてもどかしいのは、人と人との関係が密な分、物語世界に空間的ひろがりがあまり感じられないようなところ。

一国に一頭の龍がいるという設定で、それなりの地理的な設定も出てきてるんだけど、なんとなく人間の人間による人間の話だなーと、魔法はけっこう道具っぽいあつかいかな。

さりげない言い回しに英語のルビがつくので、この世界は英語が話されているか、話されていた過去があるんだなーとか、リドの国では漢字が使われてるらしいけど、会話は何語なんだろうとか、いろいろと余計なことを思いつつ読んでました。

こうして想像を膨らませられるたくさんの隠された設定が、すべて明らかになることはないんだろうけれども、個人的に勝手に楽しませてもらってます。

さて、この次は最新の十七巻ですね。
いつ読めるかわからないけど、楽しみにしています。


すでに刊行されてる最新刊。

Landreaall 17巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがき ちか
4758055610



シリーズ開幕編。

Landreaall 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
おがき ちか
4758050260

『それでも町は廻っている』3~8

それでも町は廻っている 3 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
4785928271



借りて読了。

アニメに惹かれて借りて読んだ一、二巻がとっても楽しかったのでひきつづき借りて読みました。
これで最新刊に追いついたのかな?

丸子商店街のメイド喫茶シーサイドのアルバイト、女子高生・歩鳥を中心に、普通の人びとの普通の日常を、面白おかしくときにほろりとえがく、基本的には日常コメディーマンガです。

私立探偵志望のヒロイン・歩鳥の単純馬鹿ゆえの素直で楽しい存在感と、彼女をとりまくひとびとのやっぱりちょっとアホっぽいけど、かれらなりに日常を営んでいる姿がいとおしい、ご町内丸ごと主人公みたいな、平和でのんびりなほのぼの感が素敵です。

このマンガが普通の日常マンガとちと違うのは、その平和な日常がタダで与えられているわけではなく、何かをきっかけに崩壊してしまうかもしれない、という不安要素がときどき描かれるところ。それが、平和な日常というものがどれだけ貴重で大切なものかということをあらためて認識させてくれるんですね。

普段はおバカな歩鳥は、そこのそころをきちんとわかってるヒロインです。
だからみんなに愛されるんだろなあー。
商店街のひとびとはみんな歩鳥を小さい頃から見守ってて、全員親戚みたいなかんじです。

とくに喫茶店のオーナーと古物商のおねえさんは、幼い歩鳥に多大な影響を与えた人物として描かれてますが、それもごくさりげなく、連作短編のあちこちにちりばめられるようにして描かれていくので、すこしずつあきらかになる人物関係や過去を味わいながら楽しみました。

青少年が主役らしく、色恋沙汰もそれなりに折り込まれてますが、すべて片想いの一方通行で、誤解とすれ違いがあまたの笑いを生みだす展開になってて、これがまた笑えます。

ヒロイン歩鳥に想いを寄せる魚屋の息子・真田くんと、真田くんに想いを寄せる歩鳥のバイト仲間・タッツンこと辰野俊子の、まったくお互いを理解し合わない様子が、ほんとにおかしくてしようがない。

とくに真田くんの片想いのきっかけエピソードには爆笑しました!!!

歩鳥の家族も年の離れた弟妹や、顔の出てこない「おとうさんとおかあさん」とのやりとりがいかにも家族らしくって笑ってしまうし、最近では親戚関係も増えてきて、ほんとにこの人たち日本のどこかにいるんじゃないかとおもってしまうほど存在感があります。

そしてわたしが中で一番気に入ってるのが、歩鳥のひとつ年上の友人・紺先輩です。
「ひねくれた猫」みたいなたたずまいの美少年のような紺先輩は、歩鳥と正反対の感情が表にでない性格。でも、登場するたびに意外な素顔で楽しませてくれます。
嬉しさを素直に表せない、ちょっと照れた顔がかわいいんですよね~。

歩鳥の行動が周囲を振りまわしたあげく、歩鳥が失敗する話。
もしくは周囲(とくに担任の森秋先生)が災難に遭う話。
ちょっとした冒険をする話。
ご町内のイベント話。
歩鳥の弟が主役の話、などなど。

話はかなりバラエティーがありますね。

ときどき、非日常な不思議話が混じりますが、それがまた、淡々と不思議自体には距離をおいて日常的に描かれてちょっといい話になってたりするのが好きだなー。

やーー、すっかりはまってしまいましたw

読む片端から妹に送ってたけど、いま手元にある分はしばらく読み返して、くすくすと楽しもうと思います。


それでも町は廻っている 4 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
478592926X


それでも町は廻っている 5 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
4785930861


それでも町は廻っている 6 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
4785932562


それでも町は廻っている 7 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
4785933763


それでも町は廻っている 8 (ヤングキングコミックス)
石黒 正数
4785935197

『聖☆おにいさん 6』

聖☆おにいさん(6) (モーニングKC)
中村 光
4063729621



読了。

イエスとブッダが日本の安アパートで休暇を取ってるという、妙な設定の日常ギャグマンガ。シリーズ第六巻。

今回も笑いました。
いきなり「反抗紀」ときたもんですから……一世紀つづくのか、イエスの反抗期!w

そしてお勉強もしました。
ロンギヌスの槍ってずっと謎だったのですよ、そうかそういうものだったのか。
分からないものは分からないままに受け入れてしまう性格って、ぜんぜん物知りになれないですね(汗。

というわけで、聖人ふたりがぜんぜん聖人らしくなく、日本の現代文化の中での生活を味わい楽しむ姿のギャップを楽しむお話です。

今回はあくまでも芸術に生きる(?)弁才天さんが素敵でした。
「HIGAN MUSIC FESTIVAL」のポスターを見て、ちょっと行ってみたいとか思ってしまったw

ひとつひとつの小ネタがいちいちキリスト教と仏教の伝承を踏まえていて、それが絶妙におかしくてたまりません。

最近、さすがにすぐにそれと分かるネタはなくなってきたのか、ちょっとマニアックになってきてるみたいですが、元ネタがどんなことなのかを想像するのも楽しいんです、わたしには。分からないものは分からないままに受け入れるヤツなんで。

くすくす笑いながら、ちょっと物知りになった気分も味わえて、一石二鳥でお得な気持ちになれました。

つぎはもっと大家さんも出して欲しいなー。


シリーズ第一巻はこちら。

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)
中村 光
4063726622

『エロイカより愛をこめて 37』

エロイカより愛をこめて 37 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194575


読了。

泥棒貴族とNATOの情報将校とその部下たち、暗黒街の顔役やもとKGBがくんずほぐれつで世界中を駆けめぐる、スパイアクションコメディー。シリーズ第三十七巻目。

この巻は、ビザンティン帝国の美術品を追い求める伯爵たちと、ロシアンマフィアを追いかける少佐とミーシャ、それにギリシア正教の秘密結社が暗躍して、あっちこっちで混戦状態になる「聖ヨハネの帰還」のパート3が収録されてます。

ロシアマフィアとかれが持つビザンチンの美術品を追って、登場人物たちはおおむね、ヴェネツィアからトリエステへ、トリエステからドイツへと移動していってますね。

そのあいだにもさまざまな誤解や行き違いや偽情報や嫌がらせやなにやらがいりみだれて、少佐とミーシャは怒鳴りっぱなしw

でも、今回の主役は伯爵かな。
プライドを傷つけられた伯爵は、ポリシーをかなぐり捨てた変装でボーナムくんを落胆させてくれます。

それから、素人が半分以上混じってるのかなと想像される秘密結社の、現代のITを武器にしたごく日常的な妨害工作がとてもおかしかった。

少佐の執事のドリームやら、部長の地位をわきまえない嫉妬心とか、随所に笑える遊び心とジェイムズ君をちりばめつつ、物語は二転三転。

とうとうでてきたロシアマフィアの年ふりた悪役顔が、えらいインパクトでございました。
この貫禄はやっぱり若い人には描けないんじゃないかな~。
個性あふれるおじさん、おじいさんたちの活躍が楽しかったですw

カバー絵の少佐がカジュアルな服装をしていたので、もしやバカンス? などと妄想してましたが、少佐は始終働きづめでした。

そういえば、バカンス中も仕事から離れられない御仁でしたね……とロレンス君を思い出して、プッと笑ってしまうわたしでした。

つづきをお待ちしています。


エロイカより愛をこめて 36 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194567

『龍の物語』

龍の物語
島田 雅彦
4880081043


読了。

1987年に刊行された龍についてのアンソロジー集。
存在はずっと知っていたのですが、なかにマキリップの「ホアズブレスの龍追い人」(ここでは「ホアズブレスの龍」)の訳者違いバージョンが収録されていることを知り、あわてて借りてみました。
収録作品は以下の通り。


第一の物語 龍人誕生 人類はいかに進化すべきか 島田雅彦
第二の物語 龍腕球伝 または「素晴らしい日本の小説」 玉木正之
第三の物語 空に白虹、地に喪山 六本木・上野心中 富田均
第四の物語 ホアズブレスの龍 北方の伝説 パトリシア・A・マキリップ 井辻朱美訳
第五の物語 香港映画の狂龍と笑龍 ブルース・リーとジャッキー・チェン 河
第六の物語 龍とは何ぞ クマグス・エンサイクロペディア 南方熊楠
第七の物語 イコノ・ドラゴン 図像構成+文
第八の物語 悪龍と美女 ドラゴン伝説の周辺 種村季弘
第九の物語 龍の本 あるいは出発のためのゆるやかな助走 松浦寿輝
第十の物語 愛のウロボロス 辰歳を言祝ぐ酔中回文詩 武田雅哉
第十一の物語 エルゼビヤ あるいは博物館の夢想 井辻朱美
第十二の物語 龍の棲み家 西洋のドラゴンと東洋の龍 草森紳一



ずいぶんとバラエティーに富んだ作品集です。
純然たる小説の中に、スポーツライターのプロ野球偽ノンフィクション+日本文学における野球について文章や、映画評論家?のカンフー映画についての論考あり、中世ヨーロッパ学者のまじめなドラゴンについての文章、さらに回文詩なんてむちゃくちゃテクニックを要するだろうけどトンデモない内容の長い長い詩、そして古今東西における龍についての図版や文章を集めたページが混じってる。

どれもかなりレベルの高い作品ばかりですが、ばりばりファンタジーのドラゴンとキワモノめいたドラゴン伝説、学術的に考察されたドラゴンと、ドラゴンという共通項がなければ「なんだ、こりゃ」になりかねないバラバラな作風が新鮮でした。

わたしが好きなのはもちろん、マキリップと井辻朱美さんの濃厚ファンタジー。
マキリップの短編は、井辻さんの訳で古めかしくたおやかで、品あるお伽噺のようなたたずまいに仕上がってました。

井辻さん自身の短編は、お得意の博物館を舞台にした幻想譚で、すこし山田ミネコ風の世界が垣間見えるところが印象深かったです。

それと、とても楽しんだのは「龍の本」。
なんと、主役が読書をするハムスターなんですよ!!!
その全身を使ってページをめくる愛らしい姿とは反対に、次第に立ち現れてくる物語世界の全容に慄然としてしまうお話でもありました。
こういう話、好きだなー。

それから「龍腕球伝」。
刊行されたころのプロ野球ペナントレースを知っている人が楽しめるのは当然として、明治以来野球が文学でどのようにあつかわれてきたかという視点からの論考にもなっていて、うわ、と思いました。
とくに正岡子規の野球テーマの俳句がとても新鮮でさわやか。読んだ途端にプレイを見た時の感動が甦ってきてふるえが来ました。
この文章、龍腕投手の存在がなければここにある意味はないのじゃ無かろうか。
超人的な投手の存在を龍になぞらえるのは、龍の荒ぶる存在感をはげしい生き様に重ね見た結果で、所属チーム(ドラゴンズ)からも当然かもしれないなーと感じたりもしたけれど。
が、やっぱり龍そのものとは無関係だな(苦笑。
でも面白かったです。

それから、ものすごく読みにくかったけどその博覧強記ぶりはものすごく伝わってきたのが、南方熊楠。
古今東西の龍伝説について縦横無尽、傍若無人に語っておいでです。

最後の「龍の住み家」はひとの想像上において龍の住み家とされてきたのはどこかという文章。
中国の龍に関するところと、八十年代までに翻訳されたSFが多く取りあげられているのが興味深かったです。

読み終えて、龍もドラゴンもひとには制御不能な巨大な力の象徴であることに変わりはないなーという印象が残りました。

西洋では人が支配者たらんとするから制御できないドラゴンは悪者になり、東洋ではひとも世界の一部だから長いものには巻かれろ的発想で、恐れ敬うものになったのかなとか。

いずれにしても、そうやってさまざまな感情を抱きつつも、ひとは龍・ドラゴンにずっと魅せられてきたんだな。

中国人が恐竜の骨を長寿の薬として使用してきたというエピソードには、ほおおおお、と唸りました。

とても興味深く、面白い本でした。
が、絶版なので図書館で借りるか古本を探すかしないと読めないのが残念です。

『ジェイミーの墓標 3 アウトランダー6』

ジェイミーの墓標 3 (ヴィレッジブックス F カ 3-6 アウトランダーシリーズ 6)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327137


[Amazon]

読了。

十八世紀スコットランドにタイムトリップした女性の波瀾万丈を描く、歴史冒険ロマンスシリーズ。第二部の完結編。


本文最後のページを読んで心の中で叫びました。
「終わってない!!!」

第二部が終わったら続きを読むかどうか決断しようと思っていたわたしをあざ笑うかのようなラスト。
もしかして、このシリーズって三部ずつで区切りなのでしょうか。
それならそうと、最初から書いておいてほしいな。
この裏切られた感をどうしてくれるんだ。むむむむむ。

お話はスコットランドにおけるジャコバイト派の反乱を中心に進みます。
読んでいて、フランスでの出来事はすっかり忘れ去りました。
ハイランダーたち視点から見た戦いの混乱する実態が、あんまりにもひどくて泣けてきます。
ただ、フランス宮廷とおなじくらいの分量しか割かれていないのが不満。

この話、フランスはほのめかすに留めてこちらをメインにしたほうがよかったんじゃないかとすら思いました。
クランたちのまとまりのなさとか、ボニー・プリンス・チャーリーの傲慢さ無謀さとか、どたばたじゃなくもうすこし丁寧に当事者目線で描いてもよかったんじゃないか。

両陣営でいい顔をして得だけとろうとした某人物の存在も、もうすこしはっきりと描いてくれてもよかったんじゃないかしら。

それと、けっきょく、クレアがしたかったのはフランクが生まれる素地を残して罪滅ぼしをすることで、歴史を改変することじゃなかった気がする。
ジェイミーのクランのことはジェイミーをその気にさせる口実だったような気がする。

そんなふうに感じてしまうのは、わたしがクレアにまったく共感できないからとは思いますが。
クレアに、ていうか、そもそも全体的に話の流れにうまく乗っていけてないんですよね。
なにが起きても唐突感がぬぐえない。
おお、こうなったのか、じゃなくて、なんでこうなるのってことが多すぎる。
人物たちがストーリーを進めるためにうごかされている、自立していないという感じがしてしまう。

歴史に関するスタンスが曖昧な気がするのも不満なんですよね。
歴史改変を掲げておきながらけっきょくものごとの周辺を右往左往してただけだったようなのも。
それでいて、ラスト近くでクレアが最もらしいことを言うのもなーと。

これはわたしがロマンス小説の文法に疎いからなのかな。
ロマンス小説という物がよくわからないので、SFやミステリやファンタジーの読み方で読んでしまってるのですが、そうするとすべてが場当たり的な感じがしてストレスがたまるようです。

というわけで、わたしには欧米ロマンス小説は合わない、ということがはっきりしたことが収穫でしょうか。

終わってない話がこのあとどうなるのかはとっても知りたいんですが、続きを読むとまたイライラしそうなんでやめておいたほうが無難かなーと思います。


わたしとちがってロマンス小説を楽しめる方のために、つづきはこちらです。

時の彼方の再会 1 (ヴィレッジブックス F カ 3-7 アウトランダーシリーズ 7)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327617

「シュシャンの竜騙り」

土岐さん作「シュシャンの竜騙り」読了。

異世界ファンタジー短編。
豊かなイメージを洗練された文章でつづる語り口ならぬ騙りくちが素敵ですv

『のだめカンタービレ 25』

のだめカンタービレ(25) <完> (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
4063408264



読了。

爆笑クラシック音楽コメディーシリーズの完結編。

「アンコールオペラ編」と題して描かれたシリーズ番外編というか、これが「のだめ」というマンガのグランドフィナーレだったなあと感じる大団円でした。

のだめと千秋の話は本編で区切りがつきましたが、日本に残してきた面々のその後が気になって仕方がなかったわたしにはうれしいアンコールでした。

それも、のだめの世界の楽しさ、面白さを余すところ無く再現してくれたというか、笑いと音楽のバランスが絶妙だった初期の雰囲気を彷彿とさせる展開で、群像劇としてののだめの集大成って感じでした。

あの、迫力な音楽成長劇のあとからすると気が抜けてると思う向きもあるかもしれませんが、このかるーい感じがもともとののだめテイストだったんですよね。

なんだかんだでいろいろあったけどオペラは成功し、みんな人生におけるひとつの転機を迎えて、それぞれの未来に旅立っていく、という若者たちのお話として見事にまとまったのもよかったです。

モーツァルトの「魔笛」見てみたいなーとか思いました。
峰くんの演出でw

そして本当の番外編、黒木くんとターニャのその後もとてもかれららしくて、微笑ましかった。
最後までほのぼのにやにやできてとっても楽しかったです。

この力の抜けた感じ、いいなあ。
でも、もう少しカバー絵には力を入れてほしかったような気がしましたw


シリーズ開幕編はこちら。

のだめカンタービレ(1)
二ノ宮 知子
4063259684

『鋼の錬金術師 27』

鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)
荒川 弘
4757530544


借りて読了。

禁断のわざによって失った肉体を取り戻そうとする兄弟がたちむかう、試練と絆の物語。異世界アクションファンタジーシリーズ完結編。

ふわー、終わった!

始めから終わりまで緊張感を保ちつつ、広げた風呂敷を完璧にたたみきって、なおかつ、躍動感あふれるアクションと人間ドラマを描ききった作者さまに感謝です。

錬金術そのものが信仰のような異世界において、孤独のために錬金術による力がすべてを解決するのだと思いあがったホムンクルスと、出会ったひとたちの支えによって強くなっていったエルリック兄弟。対照的な存在がこの物語の肝だったんだなと、しみじみとしました。

力強い、物語だったなーと思います。

じつは結末はアニメで一度見てしまっていたのですが、そんなことは関係なく、ドキドキしながら読みました。
マンガとしての最高レベルの迫力あるクライマックスを享受できたことが嬉しかったです。
欲をいえば、絵柄がどんどん丸くなっていったのでラストのウィンリィちゃんがかなりまるまるさんになっちゃってたとこがもうちょっと、どうにかならなかったものかなあと(苦笑。

ストーリーはアニメもほとんど変わりませんでしたが、原作はエルリック兄弟の話で、アニメはより群像劇になってたかなあと。たぶん、空間的な広がりのせいでしょうね。

どの人物にもきちんと物語があって、それぞれがひとつの節目を迎えました。
さわやかな読後感の残る大団円でした。

ホーエンハイムの満足げな顔が、人として生きてきたことのしあわせをおもわせて、胸にしみた……。

そして巻末にはこれまでとおなじように作者さんによるパロディがw
最後までサービス精神にあふれた作品でした。

ものすごく面白かったです。読めてよかった。感動しました。


シリーズ開幕編はこちら。
鋼の錬金術師 (1) (ガンガンコミックス)
荒川 弘
4757506201

『銃姫 11 ~The strongest word in the world~』

銃姫 11 (MF文庫J た)
高殿 円 エナミ カツミ
4840131325


[Amazon]

読了。


魔法を銃で撃つ世界で少年少女とかれらをとりまく人びとの出会いや絆を描く、異世界戦争アクションファンタジー。シリーズ完結編。

ふわあ、終わった!

話の細部をほとんど忘れているというたいへんに質の悪い読者でしたが、それでもクライマックスへ向けて加速していく物語の怒濤の迫力はちゃんと味わったと思います。

大きな世界設定を最後にすぱんと明らかにしてしてくれて、おおお、そうだったのかあ! という驚きも味わいました。
ちょっと、銃姫というネーミングとの違和感は覚えましたが、そのへんは展開の華やかさとスペクタクル感にて帳消しになったかな。

とにかく、セドリックとスラファトの竜王との対決はものすごく映像的な迫力シーンの連続で映画で観たら凄いだろうなあと思わされました。

セドリックは成長したなーとおもいましたが、今回美味しかったのはオリヴァントかな。
前巻で明らかになった正体によって、かれの結末はあるていど予測できましたが、それでもかれが抱いていたセドリックへの思いが熱くて胸がじんとなりました←あ、要らぬ誤解を招きそうな表現(苦笑。

バシリス三兄弟のそれぞれも、ティモシーの大活躍も、バロットとかれらの配下たちも、群像劇ならではの悲喜こもごもで奥行きのある結末を迎えて、ああ、ひとつの時代が終わったんだなあと感慨に浸りました。

この作者さん、文章の疾走感と物語の力が半端ではないですね。
ちょっとご都合主義を感じる部分もないではないのですが、その力業にしてやられるというか、参りましたと白旗を揚げさせてしまう豪腕ぶりに感心します。

そしてそれまで克明に描いてきた主人公からちょっと距離を置いたラストの余韻ある終わり方がしみじみとよかったです。

エル姉ちゃんもしあわせになれたのね……w

セドリックがたどり着いた結論には、子供をもつ親の思いみたいなものを感じてしまいました。
それはラストに出てきた幼児の姿でつよく印象づけられました。

ひとは伝えていく生き物、言葉を持って、絆をむすんでいく生き物なんですね。

読後感のとてもよいお話でした。
面白かったです。


シリーズ開幕編。
カバー絵のアンブローシアがまだ幼いですv

銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty (MF文庫J)
高殿 円 エナミ カツミ
4840110700

20101216の購入

病院帰りに本屋に寄ってきました。


エロイカより愛をこめて 37 (プリンセスコミックス)
青池 保子
4253194575


以上、購入。

同時にこんな本も出てました。

「エロイカより愛をこめて」作品舞台を巡る世界の旅 「エロイカ」の歩き方
青池保子
4048684884


なぜアスキー・メディアワークスから出てるのかは謎ですが、なんか面白そうだなーと思った。
でも、iPodtouch効果で懐が寒いので我慢我慢。

懐ばかりでなく物理的身体的にとても寒い一日でした。
オイルヒーターでは耐えられなくなってファンヒーターのお世話になってしまいました。
秋になったり真冬になったり、今年の天候はホントに不順です。

『犬夜叉 53』

犬夜叉 53 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091213391


読了。

現代の女子中学生日暮かごめが戦国時代にトリップ。半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに四魂の玉を巡って奈落と戦う、伝奇アクションコミック。シリーズ第五十三巻。

前巻からひきつづき、四魂の玉の悪霊・曲霊との対決です。

かごめちゃんの霊力を封じているのは曲霊だったと判明。
命をつなぐ四魂の玉の欠片が穢されてしまった琥珀くんは曲霊にのっとられてしまい、話の焦点は珊瑚ちゃんと弥勒さま、琥珀くんに結ばれます。

風穴を限界まで酷使しつづけて瀕死になっている弥勒さま。
弥勒さまを想いつつ、琥珀くんの身とこころを案じ続ける珊瑚ちゃん。

この緊迫したドラマがこれまで弛緩していた雰囲気に緊張感をもたらし、ああ、クライマックスなのねーーーと感動しました。

そして、奈落に利用されたために犯した大きな罪の意識に苛まれ、苦しみつづけてきた琥珀くんの物語にようやく光が兆してきたそのとき、衝撃の出来事が!

ああ、なんというところで終わるのだー。気になって仕方がないではないですか。はやく続きを読ませてください。無理だけど。

かごめちゃんの封じられた霊力と曲霊の対決が次のメインかな。
怒濤の展開のあいまに息抜きのようにはさまれた現代のエピソードが可愛くて楽しかったです。
よかったねかごめちゃん、受験が出来てw

にしてもかごめちゃんの家族は動じないなあ。
娘が戦国時代にトリップして犬妖怪を連れて戻ってくるのを、当たり前のように受け入れている鷹揚さが好き。
パンダの存在よりもパンダの強さに驚いていたひとびと(たしか『らんま1/2』の冒頭)の意識に通じる物があるなあと思いますw


犬夜叉 54 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091214282

20101213の購入

発売日に気がついたので本屋を襲撃して参りました。

のだめカンタービレ(25) <完> (講談社コミックスキス)
二ノ宮 知子
4063408264


以上、購入。


午前中から雨が降ると予報が出ていたのですが、十時に外を見たらまだ降っていない。
それ今のうちに! とばかりに出かけたら、本屋に着く前に降り出しました。
折りたたみ傘を持っていたので事なきを得ましたが、そこで傘を見て、古いなーと。

思いかえしてみるとこの折りたたみ傘、高校の時から使っているような……。
嘘のような本当の話です(汗。

『ジェイミーの墓標 2 アウトランダー5』

ジェイミーの墓標 2 (ヴィレッジブックス F カ 3-5 アウトランダーシリーズ 5)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327080


[Amazon]

読了。

第二次大戦後から十八世紀にトリップしたヒロインの波瀾万丈を描く、歴史冒険ロマンス。「アウトランダー」シリーズ第二部の二冊目。

前巻ではパリの社交界に食い込みつつ、ジャコバイト派の反乱を潰そうと奮闘するクレアとジェイミーの姿が描かれてきました。
今回は、その「歴史を改変する」という目標がどこかへ霞んでしまいそうなとんでもない事件が立て続けに起こる展開です。

夜のパリがどれだけ危険なところであるか、ということをクレアは身を持って体験することになります。
この時代、すでに辻馬車が存在するような大都市でも、自衛の意識と手段を持たないと生き残れないんですねえ……。
というか、地縁や血縁関係が通用しない大都市だからこそ、秩序がないのかもしれませんが。

そして、クレアに同行していたメアリー・ホーキンズの悲劇がさらりと流されるあたり、この話は些細なことには深入りしない主義なんだなあと感じました。

アップダウンの激しい展開はどんどん連続し、その度合いもどんどん増していきます。

ねえ、ちょっと、こんなものすごいことが起きたっていうのに、もう次に行っちゃうのと、何度もその場にひき留めたくなりました。

しかも、話がジャコバイト派潰しからどんどん遠離っていくので、話の焦点がどこなのかがわからなくなっていく始末。

激しく厳しい現実に翻弄されるヒロインとともに読み手のわたしも翻弄されました。

現実的に、歴史を改変するのは無理なのかもしれないけれど、だからってその試みを目的としていた冒頭がなし崩しになっていく展開ってどうなんだ……;

それと、その試みはクレアが言い出したはずなのに主に動くのはジェイミーで、クレアがお手伝い気分でいるのも、納得がいきません。彼女の癒し手としての使命感はわかりますが、はっきりいって彼女の行動は話を横道に逸れさせているだけという気がする。というか、エピソードが目的を持って結びついていないという感じがしてならない。

なので、パリからスコットランドへ戻ったところで、もうジャコバイトは関係なくなったのかと、錯覚してしまいました。

どのエピソードもひとつひとつはとっても面白いんですが、それぞれがゴロゴロとまとまりなく転がっている気がして、どうも落ち着かないんですよね。

これって、ロマンス小説だから、SFじゃないからと、自分に言い聞かせつつ読み続けて、最後のところで驚愕。

ここでまた最初に戻ってくるのか!

……もうあまりいろいろと考えず読んだほうが精神衛生にいいような気がしてきました(苦笑。
そして、つづきがどうなるのかがとっても知りたいので予約しました。

そのあとのことは、次を読んでから考えます。

ジェイミーの墓標 3 (ヴィレッジブックス F カ 3-6 アウトランダーシリーズ 6)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327137

「シャンクフラウンの左目」

塩さん作「シャンクフラウンの左目」読了。

異世界幻想短編。

めくるめく幻想の描写が素晴らしいです。
読んでいてドキドキワクワクしました。
竜大好き!

最近のわたし

最近更新が滞っています。すみません。

最近のわたしは病院に行ってます。
行くところは病院と相場が決まっていた人生でしたが、ここまで頻繁に通い詰めるのはけっこうめずらしい。

本人だけじゃなく家族の付き添いで行くのもあり、週に二、三回病院通いをしているため、とても気ぜわしくて、余裕がない状態が続いてます。

そんなわけで本もあまり読めておりません。と書いてたらなんか悲しくなって来ちゃったけど、マンガを読んで気晴らししています。感想書いてなくてスミマセン。
読んだマンガ(本も)はメディアマーカーに記録しています。


それから、思い立ってiPod touchを買っちゃいました!
いろいろアプリを仕込んだり、アクセサリを買ったりしてちまちまと散財していますw
ネット小説はこれからtouchで読んでいくと思います。

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そんなこんなであたふたしていたら、年末になってしまいました。
はやく普通の日常生活を取り戻したいものです。

『ジェイミーの墓標 1 アウトランダー4』

ジェイミーの墓標 1 (ヴィレッジブックス F カ 3-4 アウトランダーシリーズ 4)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327048


[Amazon]

読了。

第二次大戦後から十八世紀にタイムトリップしたヒロインの、歴史冒険ロマンスシリーズ「アウトランダー」第二部の開幕編。



1968年、夫フランクが死んだ後、クレアは成長した娘ブリアナを連れてスコットランドを訪れていた。クレアは友人だった牧師の息子で歴史学者になっていたロジャーに、ジャコバイトの反乱カローデンの戦いに参戦したスコットランド人達の生死の調査を依頼する。ブリアナに惹かれたロジャーの尽力によって、クレアたち親子はとある墓地にたどり着く。そこでジョナサン・ランダルの墓を発見したクレアは叫んだ。しかし、もうひとつの墓を見つけた時には血の気を失い倒れそうになった。「ジェイムズ・アレグザンダー・マルコム・マッケンジー・フレイザー、クレアの最愛の夫」。クレアは娘に、この十八世紀の墓のあるじが彼女の父親だと告げる。




序章が思わせぶりすぎてたまりませんw

第一部の終わりでジャコバイトの反乱を未然に防ぐことにしたクレアとジェイミー。
なのに冒頭でクレアは二十世紀にいて、しかも娘が十九歳になっていて、ということは彼女自身は四十代になっていて、夫フランクとは死に別れていて、そしてふたたびハイランドを訪れているって、どういうことですか?

しかもタイトルが『ジェイミーの墓標』。煽りすぎですw

けど大丈夫、茫然自失の序章が終わったら、十八世紀にトリップ。
前作の続きが始まります。

舞台はフランス。あら、ローマには行かなかったの?
そこでふたりはジェイミーの親族を頼り、ボニー・プリンス・チャーリーと呼ばれるジャコバイトの旗印である王子の動向を探るためにフランス宮廷に食い込もうと奮戦していきます。

仲間のスコットランド人達がほとんどジャコバイト派として活動しているのに、クレアの予言を信じてそれを阻止しようとするのだから、苦労は並大抵ではありませんが、ふたりがともにいて同じ方向を向いているかぎりは辛いなんて感じてないんだろうなと思わせられる、楽しげな雰囲気が漂っています。

新婚さんですからねえ……w

十八世紀のフランスの社会風俗がたくさん描きこまれてて、その部分にとても読み応えがありました。ストーリーそのものよりもわたしとしてはこういう部分が楽しいです。

怪しげな薬屋のおっさんや、スリの少年などの無名の脇役たちが愛らしいのも嬉しい。

しかし、今回最もインパクトがあったのは、なんといってもアンジュー病院をとりしきるマザー・ヒルデガルドとその使い魔(笑)。
教会の慈善病院でくりひろげられる十八世紀の医療事情と合わせて、たいへんに楽しませていただきました。

クレアの治療者としての使命感とマザー・ヒルデガルドの天啓を体現したような存在が、ひびきあい、親密さとなっていく過程がよかったです。

ジェイミーのスパイ活動に関連してのフランス王宮のシーンなども面白かったけど、やっぱりわたしは庶民の生活に惹かれるんだなーと思いました。

この作者さん、胸キュンストーリーよりも家族もののほうが向いてるんじゃないかな。
第一部の出会ったばかりのときよりも、夫婦になってからのほうがクレアとジェイミーのやりとりがよい感じです。

さて、さっそくつづきを予約しましたよ。

ジェイミーの墓標 2 (ヴィレッジブックス F カ 3-5 アウトランダーシリーズ 5)
ダイアナ・ガバルドン 加藤 洋子
4863327080



シリーズ開幕編はこちら。

時の旅人クレア〈1〉―アウトランダー〈1〉 (ヴィレッジブックス)
ダイアナ ガバルドン Diana Gabaldon
4789719812

『RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた』

RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた (カドカワ銀のさじシリーズ)
荻原 規子
4048740520


[Amazon]


いただいて読了。

お山で世間知らずに育てられてきた少女の成長と、自分の運命と向かいあっていく姿をえがく、いまのところは学園友情ものファンタジー。シリーズ第三巻。


山伏に大切に守られてきた姫神の憑坐・鈴原泉水子は、ふつうの学校生活を送るという名目で幼なじみの深行とともに東京の鳳凰学園に入学した。しかし、そこでは式神を配下としていた陰陽師の高柳と、忍術の系譜を継ぐ宗田真響による勢力争いが始まっており、泉水子は真響とその弟・真夏、真澄としたしくなったせいでその渦中に巻き込まれてしまう。真響との友人関係を続けたいと願う泉水子は自分から真響の陣営に組みすることになった。生徒会執行部の一員となった真響、真夏、深行、泉水子は、夏休みにおこなわれる文化祭準備のため、真響の実家のある戸隠に合宿に行くことになる。




純粋培養で無垢に育ってきた無自覚な少女・泉水子が、だんだん自分の立場を自覚している途中のお話です。

この話が面白いところは、話を俯瞰してみている存在が近くにいないことでしょうか。
だれもが自分のことで一生懸命で、他人のことがよくわからない。一番身近なはずの人の気持ちがもっともつかめなくて、逆に敵対関係にある人のほうがすっきりとみることができたりする。
そして立場のわからない人たちもいて、その人たちに対するバランスをとるのも難しい。

これって現実の社会生活ではごくふつうのそれこそ常識的なことなんですが、ライトノベルの世界ではかなり異質な気がします。登場人物の明瞭度が低いというか、読み手にもよくわからないまま、流動的に状況が変化していくのですね。

視点がいまだに手探り状態の泉水子だからかもしれませんが、彼女よりも視野が広いと思われる真響でもわからない部分のほうが多い。そして、泉水子について目付みたいな役割を果たしている深行くんは、泉水子よりは情報を持っているけれども“いないよりはマシ”ていどに扱われてる存在で実際にけっこうあちこちで翻弄されている。

そんなよくわからない状況で、よくわからないけれどもよい道と信じて進んでいった先で、警告されてはいたけど予想を遥かに超えた危機に陥る泉水子と深行くんと、真響・真夏と真澄の運命は?

今回の舞台、長野県は戸隠は忍者の里らしいですね。
いままで山伏、陰陽師とでてきてついに忍者がご登場です。
そして戸隠という地名にも隠された秘密が。
真響たち三きょうだいの在りようと、この土地の特殊性が物語に色濃く絡んでくる部分がとても興味深かったです。
このピンチの原因にも吃驚しましたしね。
ネタバレになるのでこれ以上は書けないけど、あああ、そうかあ、そうだんたんだーと思いました。

今回の最大の疑問は、最大ピンチでの深行くんの姿、なのですが、「後で話す」といってたけど気が向かないと話してくれないんだろうな、かれは。

泉水子に意識して距離を置き、わざと冷たくふるまっているようなところのある深行くんですが、泉水子の異変にあたふたと慌てるさまが楽しかったです。
ラストで泉水子の質問の答えの変わりにした深行くんの質問には、ぷっと笑ってしまいましたw

泉水子・母は格好良かったです。

あいかわらず、未来から視点が混じるところにいまいちなじめないのですが、お話はたいへんに楽しかったです。
つづきをお待ちしています。


シリーズ開幕編はこちら。

RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)
荻原 規子 酒井 駒子
4048738496

『倒立する塔の殺人』

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)
皆川 博子
4652086156


[Amazon]

読了。


第二次大戦下の東京の女学校を舞台に、思春期の少女たちの繊細な心理と純粋な悪意を細やかに描く、ミステリ小説。


青物屋の娘・わたしは、都立の女学校の生徒。育ちの異なるクラスメートの中で異分子のイブと呼ばれていたが、それほど気にすることもなく日々を過ごしていた。太平洋戦争の日本の戦況は悪化の一途を辿り、学校の授業は工場での勤労奉仕に切り替えられていた。空襲で一番の親友を失ったわたしは、小柄で華奢な三輪小枝と次第に親しくなった。そのうち、小枝の親しくしていたミッション系の女学院の女子生徒が死んだ。わたしは、小枝に「倒立する塔の殺人」と名づけられた本を手渡される。それは小枝の友人の女学生たちがつづった手記であり、推理小説でもあった。




第二次大戦時のドイツを書いた本の後で、この本を手にとったのはただの偶然なのですが、しかしなんという偶然でしょうか。

しかし、小説としてのたたずまいはかなり隔たった作品です。

米軍による絶え間ない空襲によって生死の境をさまよい、家族を次々に失い、家を焼かれて住むところもなくなり、と悲惨な状況がかかれているのですが、少女たちのこころには時代の悪意の届かない聖域があるようです。

これは時代によって変化することのない普遍的な少女の世界というものかもしれません。
普遍だからこそ、少女たちもたやすく住人の資格を失ってしまう、ある年代の少女特有の精神の世界。

戦時下の混乱のなかでも、少女たちは自分たちの世界で、純粋なあこがれや思慕や悪意を育てている。

生と死が混沌としていつどちらに転ぶかもわからない状況で、少女たちの世界はどこまでも透明で美しく残酷で永遠です。
その落差がとても印象に残りました。

それにしても、戦前戦中の女学校は義務教育ではないから、話す言葉がみなさんインテリでちと着いていけないところがありました(汗。

彼女たちの傾倒するのは、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』などの小説であり、シーレやムンクの絵画なのですね。

ドストエフスキーを小学生で読んだなんて、ええっ、でした。
ちなみにわたしはドストエフスキーを一冊も読んだことがありません。
おかげで、この本を読みながら非常に申し訳ない気持ちになりましたよ。
ごめん、君たちの何倍も生きてるのにドストエフスキー読んでなくて。

それと戦前の女学校では合唱が盛んだったという記述には、個人的な記憶にかかるところがありました。
作中に出てくる「流浪の民」の歌詞に聞き覚えがありまして。

皆川博子さんは1930年生まれでいらっしゃるのですね。
ということは、終戦の年には満で十五歳。
戦中戦後の描写にはご自身の体験が交えられているのでしょうか。
そのお年でこんなに瑞々しくも残酷な少女の物語をつづられる。
心底凄い方だなあと思いました。

ところで、わたしはやはりミステリ読みにはなれません。
ミステリ部分の楽しさがちっともわからなかったです。
倒立する塔がなんだっていいじゃん、とか思ってしまいました。すみません;

私の好きな皆川作品。
南北朝の日本を舞台にしたファンタジーです。

妖桜記〈上〉 (文春文庫)
皆川 博子
4167440032


妖桜記〈下〉 (文春文庫)
皆川 博子
4167440040