『魔女メガンの弟子 下 エリアナンの魔女2』

エリアナンの魔女2 魔女メガンの弟子(下) (エリアナンの魔女 2)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198631093


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読了。

魔術師と魔女のいる異世界(惑星?)を舞台に、異種族間の争いのなかで翻弄される若者たちとかれらを導く賢者たちの活躍を描く、古代スコットランド風ファンタジー、シリーズ第一部の下巻。

上巻の感想で、別の次元に移っただけで別惑星に移住したわけじゃないと思いますー、なんて書いてしまいましたが、嘘でした。というか大間違いでした。

これ、ほんとうに惑星移民の話だった!

ということは、古代スコットランド文化を保ったまま星間航行の出来る宇宙船を持ってたらしい、〈獅子心王クイン〉率いる人たちって、どういう人たちなんだろう?

〈大横断(グレート・クロッシング)〉ってワープ航法みたいだけど、それを実現したのは魔術なのだろうか。とすると、それはもう地球の古代スコットランド人ではないよね。きっとかれらは異世界でたまたま古代スコットランド風文化を持っていた人びとで、とてつもなく発達した魔術をもってたってことなんだろう。

で、移住した先の惑星にたまたま棲んでいた異種族たちが、たまたま古代スコットランドのあやかし風の特色と文化を持っていて、かれらとの異種族間の争いを根底にした王権争いが古代スコットランド風に継続してる、ってことなのか。

ややこしや……(汗。

しかし、こんな七面倒くさいことをいちいち考えるのは、おそらくわたしくらいのものでしょう。
考えなくても、いや、考えないほうがお話は楽しめます、それはもう十分に。

面白いです、この話!

上巻では、老魔女の孤軍奮闘と彼女に育てられた少女イサボーの無謀な冒険を軸に、エリアナンの人間たちを統べるマックイン王家の衰弱と、女王(バンリー)マヤの専横による魔女や魔法生物たちへの迫害の歴史ときびしい現状があきらかにされました。

下巻では、老魔女メガンとイサボーの双子の姉妹イズールトが反マヤ勢力の筆頭〈足弱〉と合流し、さらにエリアナンにも魔法勢力にも組みしない勢力の登場に、妖術師マヤの事情が明かされるなど、物語は怒濤のごとく進んでいきます。

最近、翻訳物ファンタジーも展開が速くなったような気がするなー。
作者さん、『クシエルの矢』の作者さんと世代がほぼ一緒なんですよね。関係があるのかな。

設定にこだわらなければ、基本的にケルトっぽい剣と魔法のオーソドックスな歴史冒険譚なので、この手の話を読みつけた人なら物語世界に順応しやすいと思います。

異色なのは、若者ではなく、老魔女と老賢者が大活躍することw
メガンは上巻でも存在感抜群でしたが、下巻では盲目の見者ジョーグが使い魔のカラスをしたがえての大奮闘です。

いっぽう、主役のはずのイサボーと双子の姉妹イズールト、〈足弱〉バケーシュは、いかにも若く未熟な、まだまだ導きを要するこれからのひとびととして描かれています。
これがぜんぜん苦にならないのはわたしが老人視点で読んでいたからか。

わたしが歳を食ったからなのか、そう読めるように書いてあるのかはわかりませんが、本来ならばいるはずの親世代がすぽっと抜けているので、老体に鞭うたねばならないご老人の苦労が偲ばれます。

ご老人たちが若者を孫のように見ているから、厳しい指導を下しつつもその未熟さを愛おしくおもう気持ちが伝わってくるのかなあと思ったり。

それと、メガンが〈獣司〉であることから発展する、動物たちのあれこれも楽しいです。
そういえば、イサボーも動物の言葉が少しわかるのですよね。
彼女が偶然出会ったお馬さんが意外に活躍してくれるのですが、これがかわいくてかわいくてw

わりとスピーディーに進んでいく話なのに、けっこういろいろと描写はこまやかで、異世界の濃密な大気と風の匂いにつつまれるような雰囲気があるのも魅力ですねー。


第二部上巻が待ち遠しいです。タイトルからするとバケーシュが化けるのか?(苦笑
書店にはもう出ているかな。

エリアナンの魔女3 黒き翼の王(上) (エリアナンの魔女 3)
ケイト・フォーサイス 井辻 朱美
4198631204

『クシエルの矢 1 八天使の王国』

クシエルの矢〈1〉八天使の王国 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150204985


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読了。

中世西洋風異世界歴史陰謀ファンタジー、開幕編。


神の子の息子と八天使を祖に持つテールダンジュ。大陸でも有数の文化と経済力を持ち、豊かさを誇るテールダンジュで、神娼の娘として生まれ落ちたフェードルは、駆け落ちの果てに困窮した母親に娼館に売られ、しかし片眼に不吉な染みがあるために価値のない居候として育った。あるとき、その染みが天使クシエルの矢を受けた証であり、希少な性的嗜好を生まれ持つものと見抜いた謎めいた貴族デローネイはフェードルをひきとり、フェードルは政敵の多いかれの元で神娼でありつつ隠密として働くための教育を施されることになる。




面白かったー!

はじめ、愛の営みが聖なる捧げものであるというテールダンジュの設定にぶっとびますが、読んでいるとそれが物語に必要不可欠な要素であり、文章が明晰なためか奇矯な性的嗜好が描かれていてもべつだんエロスを感じることもなく(苦笑)、さまざまな人物の政治的な、あるいは感情的な駆け引きが謎から謎を呼び起こす、スリリングな展開にページを繰る手が止まらなくなりました。

固有名詞は変えてありますが、付属の地図を見るまでもなく物語世界がなにをモデルにしているかは一目瞭然。

ローマ帝国崩壊後のイタリアぽいチェルディッカ連合国、ケルト文化圏のアルバとエーラの島国たち、北欧ヴァイキングの末裔めいたスカルディア、古代オリエントと中東のアラブやトルコやなにやらがごったになったようなケムル-イル-アッカド、放浪の民ジプシー(ツィゴイナー)のようなツィンガン族。

地理や文化・風俗だけではなく、ローランの歌のような伝説すら混ぜ込んで、まるで西洋中世世界のパラレルワールドといっても過言ではないような趣を感じます。

そしてその建国神話があきらかにキリスト教を下敷きにしているテールダンジュ。
この国の設定、とくに主エルーアに従う八天使の設定がこの物語の肝。
エルーアがキリストの息子なのにもびっくりしたけど、そのエルーアをたすけるために春を売り歩く天使って……なんて設定なんだ!

ヒロイン、フェードルが生まれたのは、その天使ナーマーを讃えるためにナーマーとおなじ行為を奉納する世界でした。

この神娼という身分のひとびとの世界がものすごく面白かった。
この複雑さ、絢爛豪華さは、中世というよりもっと下った時代の娼婦みたい。わたしはその時代の西洋の娼婦はよく知らないので、江戸時代の遊郭吉原っぽい感じがしました。

で、ずっとこの世界の話がつづくのかとおもっていたら、貴族デローネイに身請けされたあとの話はもっと波瀾万丈でどきどきの連続なのです。

本名を秘したデローネイはフェードルを密偵として育てます。
その理由は知らないほうがいいとなかなか教えてもらえないまま、フェードルは彼女よりすこしはやくデローネイにひきとられていた少年、アルクィンとともにデローネイのために尽くそうと決意します。

そしてクシエルの矢を受けたアングィセット――真性のマゾヒストとして目覚めていくフェードル。彼女がさまざまな人と出会い、駆け引きをし、命からがらの目にあいながらも任務を遂行していく過程での成長も読みどころ。

デローネイの謎の目的が、テールダンジュの権力闘争と関係があり、フェードルたちの働きによって次第になにが起きているのかが判明していく展開もスリリングです。

まだわかく好奇心がいっぱいで向こう見ずなところのあるフェードルと、聡明で穏やかで素朴なアルクィン。表向きの身分からは考えられないほどにテールダンジュの有力者に顔の利く、本名を明かさないかつての詩人デローネイ。

フェードルの幼なじみのツィンガン、ヒアシンス、フェードルたちの師となるセシリー、デローネイの知り合いで権謀術数を好むアングィセットのメリサンドなど、登場人物は多士済々。

あまりにも固有名詞が多く、人物の出入りも激しく、さらに名前が長いためにいろいろとまどうこともあるけれど、重要な人は何度も出てくるので覚えなくても大丈夫(と思う)。

わたしが好きなのはデローネイの部下でフェードルたちの護衛のギイです。
寡黙で強い、過去ある美男です……テールダンジュは美形の国なのでとくにそう書かれてないけどたぶんそう。いや美男でなくてもいいんですが、これから読む方のためにひそかに宣伝w

それと、性的に奔放な人びとばかり見た後で出てきた朴念仁で堅物の、キャシリーヌ修道騎士のジョスランは、登場するたびに笑えて楽しいです。犬みたいですw

とても濃密な物語で読むのに少々時間がかかりましたが、中盤以降は一気読み。
これでこの話はまだあと二巻もあって、さらに第二部も第三部もあるんだーと思うと、まだまだこの世界を楽しめるんだと思えて嬉しいです。


クシエルの矢〈2〉蜘蛛たちの宮廷 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205019

『犬夜叉 55』

犬夜叉 55 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091214800


読了。

女子中学生日暮かごめが戦国時代へトリップ。半妖の少年犬夜叉や仲間たちとともに、野盗・鬼蜘蛛が妖怪と混合して生まれた奈落と戦う、伝奇アクションファンタジー。シリーズ五十五巻。

ラストまであと一冊v

ひきつづき奈落との最後の戦いを描くこの巻では、
四魂の玉の邪気にあてられて妖怪化した犬夜叉が正気を取り戻すシーン、
四魂の玉の邪気である曲霊が殺生丸に斬られるシーン、
弥勒様と離れた珊瑚ちゃんが、りんちゃんを人質にした奈落と対決するシーン、
弥勒様が奈落の幻に翻弄されて最後の風穴を開こうとするシーン、
りんちゃんを犠牲にしようとした珊瑚ちゃんが、殺生丸にすべてが終わったら殺してくれと言うシーン、
かごめちゃんが奈落の本当の望みを暴露するシーン、、、、

とクライマックスに相応しいシーンが目白押しです。

緊迫感のつづく展開でちょこちょこ七宝ちゃんがでてきて、息抜きついでに状況説明や伏線を張ったりしてるのが楽しいw
さらにいちいち殺生丸に邪険にされてる邪見様も楽しいw

最後に、鉄砕牙が冥道残月波をとりこんだ意味がわかって、ほおおお、と唸りましたよw

奈落との因縁の断ち切られる時が目前まで迫ってます。
そのときに、かごめちゃんと犬夜叉はなにを選択するのか?

どきどきしつつ、完結巻が届くのを待ちたいと思いますv

犬夜叉 56 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091215807

20110221の購入

予約本を受け取りに行って、本屋に寄り道しました。

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ (ハヤカワ文庫JA)
五代ゆう 前田浩孝
415031022X


以上、購入。

発売日になかったのでもう売れてしまったのかと落胆してましたが、たんに未入荷だっただけのようです。
好奇心を起こして他に二軒行ってみたら、どちらにもありました。

創元推理文庫の海外ファンタジーよりハヤカワ文庫のほうが見つかる確率が高いです。

作者さんの本を買うのはすごくひさしぶり(『〈骨牌使い〉…』のハードカバー以来)で、読むのが楽しみです。全五巻というのを知って少し怯んだのは内緒であります。

『レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女』

レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女 (B’s‐LOG文庫)
栗原 ちひろ 明咲 トウル
4757745397


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いただいて読了。

恋をすると人間になる人形と、人形を憎む青年の恋を、硬質な文章でキャラクター小説風に描く、異世界ファンタジー。


歯車都市で人形師ヘイディによってつくられた真紅の真抱石をいだく人形イファ。美しい少年の姿をしたイファは魂持ちで、魂持ちの人形は本当の恋をすると人間になると信じられている。ある日、イファはヘイディの弟子アーセルとともに出た町で何者かに襲われた。なんとか逃れてヘイディの工房に戻るとヘイディは殺されており、持ち主のいないイファは水葬都市へと連れていかれる。貴族の伝統を受けつぎつつも商人が力を持つ水葬都市の若き青年元首フォルトナートの持ち物となったイファは、女装をさせられ、フォルトナートの人形憎悪のはけ口として扱われることになった。



凝ったつくりの設定とうつくしい描写。
硬質な文章のうつくしさは、人形の少女の恋をえがくのにふさわしいと思えます。

奇をてらった展開はもうすこしシンプルに、テーマに絞った方がより深く心理を描けたのではないかと思いましたが、かるい雰囲気を狙っているようなふしがあるので、深みより複雑さ速さを優先したのかなあと思いました。
構成はいつもながらお見事でした。

わたしとしてはこの設定でヒロインの性格がもうすこし人形的に無機質で、耽美メインで書いていただきたかったですw

読んでいて、ヒロインの性格がいつもおんなじに思えてしまうのはわたしだけかなあ。

あと、話そのものには関係ないけど、水葬都市の王バラッドとバラッドの創造者が、オペラシリーズの詩人さんを思わせて久々にウフwと思いました。詩人さんラヴですw


レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士 (B’s‐LOG文庫)
栗原 ちひろ 明咲 トウル
4757749465

『白鳥のひなと火の鳥』

白鳥のひなと火の鳥 (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
4488520138


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読了。

象徴と幻想に満ちあふれた異世界ファンタジー。『女魔法使いと火の鳥』の続編。


〈白鳥のひな〉を象徴とするロウ王国。女王の住まうロウ・ハウスに各地の権力者たちが集っての会議がようやく始まった。ところが会議の最中、謎の魔法使いがロウ・ハウスに忍び込み、なにかを盗み出そうとする。〈白鳥のひな〉の守護者であるメグエットはかろうじて魔法使いを追い出すが、その後、悲痛な鳴き声で人を物質に変える火の鳥が飛びこんできて、ロウ・ハウスは大混乱に陥った。火の鳥は魔法で変身させられた若い男性で、かれは月の出から真夜中までしか人の姿に戻れず、記憶をすべて失っていた。〈白鳥のひな〉の後継者で女魔法使いのニクス・ロウは、火の鳥の魔法をしらべるうちに、謎の魔法使いの狙いが過去の偉大な宮廷魔法使いクリソムの本であることを知り、好奇心を募らせる。




前巻ですったもんだのすえにようやく会議がはじまったロウ王国。
今度は正式に後継者となったかつての沼地の魔女ニクスと、王国の守護者メグエットが、魔法の未知で繋がった異国からの不審な客人とその背後にある大きな力と対決することになるお話です。

前作同様、文章がなかなか頭の中に入ってこないため、混乱に拍車がかかって「この本、最後まで読み通せるんだろうか」と不安になったり。実際、途中で何ヶ月か放置してしまってました(汗。

もう一度あらためて読み始めると、冒頭を読んでいる時点では想像もつかなかった、ぶっとび展開。
マキリップには比較的珍しい、時と場所をぽんぽんと飛んでいく動的な物語にちょっと、いやかなりとまどわされました。

そして、読み終えておもったのは。

これってコメディーだったのかな、もしかして?

国の象徴が眼に見えるというような幻想設定はいかにもマキリップ。だけど、登場人物の多さとかれらのちょっと変わった言動や、かれらから距離を置いてのちょっと皮肉な描き方も、ふだんのマキリップの受動的幻想小説とはかなり異なってる。

なかなか感情移入の困難な登場人物の自立した個性と、空間を飛び越えての移動に、親子間の皮肉な関係ありなあたりは、ちょっとダイアナ・ウィン・ジョーンズに似ている気がしました。

そう考えると、このシリーズはコメディーだったのではという思いがさらに強くなってきて、いまはその視点で読み返してみたいという気持ちが強いです。

全然的外れなことを言ってる確率はかなり高いけど、これはわたしはそう感じたというお話。

一冊読み切るのにこれだけ苦労したのにまた読み返したいなんて、酔狂だなと自分でも思うw


前作はこちら。シリーズは二冊で完結です。

女魔法使いと白鳥のひな (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
448852012X


ところで、ロウ王国の象徴〈白鳥のひな〉ってどんなビジュアルなんでしょうかね。
わたしの脳裏にはどうしても醜いアヒルの子が浮かんできてしまうので、なんだかいまいちカッコつかないような感じなんですが(苦笑。

『犬夜叉 54』

犬夜叉 54 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091214282



読了。

戦国時代にタイムトリップした女子中学生日暮かごめが、半妖の少年・犬夜叉や仲間たちとともに四魂の玉をめぐって奈落と戦う伝奇アクションコミック。シリーズ第五十四巻。

この巻には、

ついに四魂の玉の最後の欠片が奈落の手に渡って完成するエピソード、
かごめちゃんの高校受験の結果発表のエピソード、
犬夜叉たちが奈落との最後の決戦にむかうエピソード、
四魂の玉の力でさらに強力に変化した奈落のなかにりんちゃんの姿を認めた殺生丸が、奈落の口に飛びこんでいき、犬夜叉たちもそれを追って内部から奈落を倒そうとするエピソード、

が収録されています。

弥勒さまが一部を風穴で吸いこんだおかげで曲霊が生きのびてしまったため、四魂の玉は邪気に汚染されたまま。

奈落は四魂の玉を吸収しきってはおらず体内に呑みこんだだけですが、邪気に染まった四魂の玉に近づくにつれて犬夜叉が正気を失い妖怪へと変化してしまうあたりが、この巻の読みどころです。

さすがに完結間近でドラマは盛りあがっていきますが……なんとなく盛りあがりきれないわたしがいるのは、この展開に既視感を覚えてしまうため。
以前、聖人の護る霊山に乗り込んだ時の、法師さまと珊瑚ちゃん、犬夜叉とかごめちゃんとばらばらになって、迷路のようななかを探りながら進んで絶体絶命に陥る、あのあたりになんか似ていませんかねえ。

あのときはまだつづきがあると思っていたからまた別の展開があると期待してましたが、最後に来て似たようなストーリーが繰り返されてるのをみると、あのとき終わってもよかったのかと、ちと拍子抜け。

いや、まだあと二巻ある。
以前とはべつの景色が見られないとはかぎりません。

それにしてもあと二巻か……感慨深い。

ところで、シリーズのほのぼの担当の七宝ちゃんと邪見さま。
決戦を前に七宝ちゃんを残していくエピソードはこころ温まるものでしたが、けっきょくはこうなるのね……(苦笑。
邪見さまと七宝ちゃん、オチビ同志のかけあいはいつも楽しいですw

とうとうアニメ完結編の再放送にまで追い抜かれてしまったので、このあとはアニメは録画したまま我慢しようかなと考え中。

犬夜叉 55 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
4091214800

20110212の購入

図書館の本を受け取りに行ったついでに寄った本屋で、もうあきらめていた本を見つけました。
わーいw

夏至の森 (創元推理文庫)
パトリシア・A・マキリップ 原島 文世
4488520146



以上、購入。

発見したのは「三ヶ月後に期待」していたところではなく、もう創元は入らないんだよきっとと思いこんでいたところです。それでも一応確かめてみてよかった~。

やはりリアル書店はこまめにチェックしたほうがいいのですね。

これで勢いがついてしまったのか、出かけるたびにためつすがめつし、ネットするたびにあちこち価格を比較して、買おうかなやめようかなどうしようかなと悩んでいたブツをぽちりとしてしまいました。

今は到着を楽しみに待っているところです。

『魔女メガンの弟子 上 エリアナンの魔女1』

エリアナンの魔女1 魔女メガンの弟子(上) (エリアナンの魔女 1)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198630917


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読了。

女性たちの活躍が印象的な古代スコットランド風異世界ファンタジー三部作、開幕編。


聞きたがりの少女イサボーはもうすぐ十六歳、老魔女メガンに魔女となる訓練を受けながらドラゴンクロウと呼ばれる山脈の麓に隠れ住んでいた。エリアナンの地では妖術師マヤが王妃(バンリー)となって以来、魔女や魔法生物への迫害が高まっていたからだ。メガンの属していた魔女組織カヴンは壊滅に近い打撃を受け、魔女たちはちりぢりになってしまっていた。メガンは命からがら落ち延びる途中でイサボーを拾ったのだ。メガンはイサボーに魔女としての第二の試験を受ける時期が来たと判断。メガンの要請により、魔女セイシェラ、魔法使いジョーグ、魔女イシュベルが危険をおかして立会人として集った。試験はとどこおりなく進むかと思われたが、その間にバンリー・マヤの命により魔女を狩る〈赤の憲兵隊〉がイサボーたちの間近に迫っていた。




先祖たちが故郷の迫害から逃れて宇宙を渡り、異世界にたどり着いたという伝説の残るエリアナンを舞台にした、魔女迫害ファンタジー(?)です。

翻訳が井辻朱美さんだったので借りてみました。
作者さんはオーストラリアのかただそうです。
最近、オーストラリアンファンタジーの翻訳が増えてきてるようですが、アメリカンとも違った趣向が興味深いです。このシリーズも、ええっ? な部分がありました。

たまげたのは「宇宙を渡り」というくだりです。
ファンタジーぽく見せかけて実はSFなんじゃ?
不安を覚えつつ読み始めましたが、宇宙というのはどうやら宇宙空間そのものではないようです。宇宙船も使ってないし、どちらかというと次元を超えたほうに近いかも。
部族全体で異世界に落ち延びた、という感じでしょうかね。
ラッキーのヴァルデマール年代記の次元版?

で、冒頭に掲げられた文章を見ると、なんとなくスコットランドの部族がまるごとトリップしてしまったような想像をしてしまったわけですが……違うよね?(汗

とりあえず、固有名詞やなにやかやからはケルトっぽい雰囲気が漂っていると思います。

最初は物語世界に関する説明が多くて、なんとなく用心しいしい読み始めたんですが、イサボーの試験が終わってからの怒濤の展開が面白いのなんの。

ヒロイン・イサボーそっちのけで頑張る老魔女メガンの姿に、わたしは痛く感情移入してしまいました。

とくにドラゴンのとの邂逅はすばらしかった。
ここでいろんな過去や秘密やあれやこれやがあきらかになるんだけど、とにかくドラゴンの威圧感が素敵で、メガンが何度も死にそうになるのにひやひやしました。

魔女の組織や迫害との戦い、世界に漂う魔法の気配や歴史の陰影、それぞれに異なる立場にいる女性の意志的な姿、伝説とからみあう過去の秘密、陰謀、などなど、濃厚なエピックファンタジー好きにはたまらない展開です。それを老魔女視点で描いていくすばらしさ。

老魔女ばかりでなく、老魔法使いも頑張ってます。

メガンが出会うたぶんもうひとりのヒロインの造形は、イサボーよりも好きですw
イサボーって人の言うことを聞かない主人公の典型なんで、読んでてイライラしてしまう部分があるのですよね。

まあ、イサボーは自分の行いの報いをすぐにうけることになりますので、最後にはかなり同情してしまいましたが……って、なんでこんなところで終わる!

上下巻なので、これからお読みになる場合はきっちり二冊揃えてからをおすすめします。
下巻が先月末の刊行だったので図書館にはまだ入ってません(涙。

エリアナンの魔女2 魔女メガンの弟子(下) (エリアナンの魔女 2)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198631093

「シリンディンの白鷲」

一枝唯さん作「シリンディンの白鷲」読了。

異世界ファンタジー長編、完結済み。
おじさん戦士が小さな王国の跡目争いに巻き込まれてしまうお話。

手堅いストーリーテリング。キャラクターどうしの台詞のやりとりが楽しいです。

続編あり。

『レッド・アドミラル 潜入捜査は戦乱の幕開け』

レッド・アドミラル 潜入捜査は戦乱の幕開け (角川ビーンズ文庫)
栗原 ちひろ 榊 空也
4044514151


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読了。

男装の麗人が海軍で奮闘する、異世界海洋冒険ファンタジー、シリーズ第二巻。


晴れて国王に活躍を認められたランセ率いる『幽霊艦』レーン号の面々は、じきじきの命令によりコーツ提督との連携作戦のためにレイドルク島へ向かうことになった。レイドルク島はかつての交易の要衝。敵対するアスファル帝国への前線基地としてそなえるための出撃だったが、島はすでにアスファルの手に落ちた後だった。ランセを敵視するコーツとの嫌がらせを受けつつも、島奪還作戦を開始するロディアたちだったが、そこには思わぬ敵が待ち受けていた。




一冊読んでキャラクターに馴染みが出来たせいか、前巻よりもかなり楽しく読めました。
海軍内でのいがみ合いと、あの手この手で難局を乗り越えるロディアたちのめちゃくちゃぶりが可笑しいです。
とくに、ロディアの「お願い作戦」には天然にも程があるだろうと呆れはてましたw

前巻での疑問、旧神関連の術は軍の研究所とやらが施したらしいです。
研究所……おもわずショッカーでうまれた改造人間を想像してしまいますが、理屈っぽい作者さんの世界だとなんとなく納得させられてしまうのが不思議。
そういえば旧神関係の設定も、ムアコックの永遠のチャンピオンみたいだし。
ファンタジー設定ですが魔法の気配よりもSFの空気を感じます。
そのへんがわたしが違和感を抱く要因なのかもしれないな。

とにかく、キャラクター小説としてより進化したこの巻では、当初このサブタイトルは合わないんじゃと感じた内容が、あれよあれよとすさまじいスピードの展開にいつのまにか合ってしまってたという、ものすごい力業で成し遂げられてしまいます。

めまいがするほど速かったけど、それでいてダイジェスト版のような感じはしないのが凄い。
もうすこし詳しく知りたいあれこれはありましたが、つっぱしる勢いに負けました。
スピーディーな話運びのなかに時間を止めるファンタジー描写が入りこまなかったのも、テンポの良さにつながったのかもしれません。

映画の話運びだなーと思いましたが、映画の文章ではないんだよなーとも思う。とても不思議です。

この内容、英米翻訳小説なら十巻くらいかけて描写しそう。
というか、どうして英米翻訳小説はあんなに分厚いのにハリウッド映画はタイトに過ぎるほどタイトなんだろう?

横道に逸れましたが、このシリーズ、いやこの作者さんの話は、いつものファンタジーを読むときの受け身姿勢だとつまらないんだーということがわかってきたような気がします。

攻めの少年向けライトノベル読み姿勢で行くべきなんだわ、きっと。

というわけで、面白かったです。
つづきはすでに出ているようですね。このつぎもこんな激流展開なのかしら。怖いもの見たさが混じる期待w


レッド・アドミラル 英雄は夜明けを招く (角川ビーンズ文庫)
栗原 ちひろ 榊 空也
404451416X

『レッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す』

レッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す (角川ビーンズ文庫)
栗原 ちひろ 榊 空也
4044514143


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いただいて読了。

男装の麗人が海軍での出世を目指す、ヨーロッパ十八、九世紀ふう異世界海洋冒険活劇ファンタジー開幕編。


マディス王国で、下級貴族で海尉だった父の影響で伝説のオルディアス艦長に憧れを抱くロディアは十九歳。成績優秀で何度も海軍への配属を望みながら女であるためにかなわず、近衛隊で嫌がらせを受ける日々を送っていた。ある日、同僚との決闘が原因で謹慎を言いわたされたロディアは、酒場での喧嘩に巻き込まれた最中、金銀妖眼をもつ若い男に「自分の船に乗れ」とスカウトされる。ランセと名乗るかれはれっきとしたマディス王国海軍レーン号の艦長だった。士官候補生扱いで乗船することになったロディアだが、レーン号には個性的に過ぎる士官たちの不吉な噂が船員の間に充満していた。




女王陛下のなんとか号みたいな雰囲気の海洋冒険モノかなーと想像しましたが、微妙にちがったw

天然女たらしの男装の麗人、内実は熱血軍人のロディアが、あこがれの海軍に斜め方向から入れることになって、その斜め方向がとんでもない運命のはじまりでした、というお話でした。

王道から微妙にずれたキャラクターたちが自己紹介がてら掛け合いをつづける序盤は舞台劇みたいなノリ。
ヒロインが男装なので宝塚にもなりそうな雰囲気?

中盤、不吉な噂と水兵たちとのいろいろが出てきた頃からようやく海軍ぽくなるのかなあと思いきや、今度はファンタジー設定が明らかになりまして。

最後にはやっぱり、ファンタジーで終わりました。て、まだ終わってないか。

唯一神と旧神の設定は、以前からの作者さんの考えをさらに進めたような感じですね。
『悪魔のソネット』では存在しなかった唯一神が、今回は均衡を司る神として登場するのが新鮮でした。

わたしが気になるのは旧神が顕現できるように小細工した術者です。
けっこう大変な術なんじゃないかと思うんだけど、やらせた権力者たちしか出てこなかったんで、そのあたりは重要じゃないんでしょうか。うーん、気になる。

ロディアのキャラクターは、タラシの男装の麗人ということで、なかなか新機軸なのかなと初めは思いましたが、基本的には従来の作者さんのヒロイン像とそれほど変わりはなかったようです。
まっすぐで猪突猛進で打算が無くて後先考えも無しなあたりが(苦笑。
どうしたらこういうタラシな女性が育つのか、理由を説明してくれたらもっと面白いのにと思いました。

いっぽう、ヒーローのランセは子供っぽく宣言する言動がちょっと苦手であります。も少し重みが欲しいような。

キャラクターの書き方に独特のものがある作者さんで、わたしはそのあたりに苦手を感じることが多いのですが、今回はやっぱり独特に理屈っぽいファンタジー設定のほうに興味がもてそう。

というわけで、つづきも読みたいと思います。

レッド・アドミラル 潜入捜査は戦乱の幕開け (角川ビーンズ文庫)
栗原 ちひろ 榊 空也
4044514151

『アローマ 匂いの文化史』

アローマ―匂いの文化史
コンスタンス クラッセン アンソニー シノット デイヴィッド ハウズ Constance Classen
4480857443


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読了。


「西洋の歴史における、また非西洋社会における、匂いの文化的役割についてのはじめての包括的研究」。
ニューヨークの嗅覚研究基金から1995年度リチャード・B・サロモン賞を受賞したそうです。

目次は以下の通り。


緒言

序 匂いの意味と力

失われた匂いを求めて
1 古代の香り
 バラ油・シナモン・没薬
 都市の匂い
 家の匂い
 香りに満ちた饗宴
 パレードと香料
 キスの香り
 悪臭の中
 匂いの階級
 戦闘の臭い
 香りによる治癒
 死の匂い
 香料と神々
 形而上の香り

2 香りを追って〔中世から近代へ〕
 聖性の香り
 都市の悪臭
 ペストとポマンダー
 ホーム、スイートホーム
 晩餐の香り
 香る身体
 香りへの讃歌
 嗅覚革命
 想像の香り
 匂いと科学

嗅覚の差異
3 匂いの宇宙
 香りの暦→時間の芳香
 香りのする地図→香景
 匂いのタイプ→嗅覚の分野
 食べられる匂い→食べ物の匂い
 匂いについて語る→言語のなかの匂い
 自己の匂い→匂いとアイデンティティ
 事物の匂い(秩序)→オスモロジー
 色・響き・匂い→感覚の結びつき

4 匂いの儀礼
 ジャスミンの笑い→匂いの美学
 神々のためのタバコ→匂いによる霊との交流
 白檀・砂糖・鰐の爪→匂いの通過儀礼
 ヤム芋の鼻→狩猟採集の匂い
 薬湯と薬草吸入→アロマテラピー
 腐った人間の舞踏→儀礼の匂い
 匂いのある夢→夢と幻における匂いの役割

 匂い・権力・社会
5 匂いと権力〔匂いをめぐる政治学〕
 性(ジェンダー)のエッセンス
 階級の匂い・民族の匂い
 臭いによる汚染
 アウシュヴィッツの臭い
 よい香りのユートピア

6 商品の香り〔香りの商業化〕
 体臭,香水
 香る製品
 人工香料
 トレードマークとしての香り
 嗅覚→ポストモダンの感覚?

参考文献
訳者あとがき
索引




「包括的」と断ってあるとおり、内容は総まとめ的なものが多いですが、それでも匂いは研究に値する事柄だと受けとめられてこなかったためでしょう、想像もしなかった眼から鱗な事実がかなりありました。
面白かったです。

現在の実情からすると想像もつかない古代世界の豊かな香り文化の話は、へえええの連続。
染織が臭いということはおぼろに知ってましたが、「貝紫で染めた布が強烈に臭いのでそれを消すために香を焚きしめていた」なんて……知らなかった。
もしかして、だから貝紫は金持ちしか着られなかったのか? それで高貴な色になったのか? いや、多分染めも難しくて貴重だったんだろうけれども、そのうえに香を買えないと着られないものだったのかもと思うとなにやらとても感慨深いではありませんか。

中世のヨーロッパは不潔であるというのは定説ですが、そうなった理由もへえええ、でした。
入浴が忌み嫌われたために服は身体を清潔にする役割も持たされていたとは。
そして、いきつくところまでいくと聖人は垢まで敬われてしまうという時代です。そんな時代に生まれなくてよかった(汗。

そんな臭いの充満する西洋に対し、そのころの日本はどうだったんだろうなあ。

と思いましたが、日本についてはまったく触れられておりません。
この本で扱われている非西洋社会は、西洋とは反対をいくような特徴のあるものを選んでとりあげてあるような感じです。
これもとても面白かったんですが、面白すぎて実感が湧かない部分が多々ありました。記述が少ないのでよけいにわかりにくかったのが残念です。

印象に残ったのは、匂いを重視する社会でも基準が成人男性の香りになっていることが多いなあということです。

それから、他者に対して嫌悪をおぼえるほど不快な臭いを感じてしまうという心理的な罠。
そして人間は不快な臭いを蔑む性質を持っているらしいです。

西洋人が先住民を臭いと感じていた時、先住民も西洋人を臭いと感じていたという事実には、皮肉な笑いがこみあげてきました。

人間は知らない匂いには敏感だけど、慣れてしまうとそれを意識しなくなってしまうんですよね。

身近な実例として、近所のペット飼育家庭が思い浮かびました。
側を通るととくに雨降りの日などは強烈な臭いが鼻をつくんだけど、そこに住んでるひとにはたんなる自分の家の臭いなんだろうなあ。

そこをもうすこし詳しくとか、他の地域はどうなってるのとか、いろいろと残念な部分はありましたが、初めて読む匂い本なのでこれくらいでよかったのかもしれません。

コロンビアのデサナ人や、マレイ半島のバテク・ネグリト人など、非西洋社会の匂いに関してはもうすこし詳しく知りたいなと思いましたがなにかあるかな。

アラブ首長国連邦のことなら情報があるかもしれないなーとも思いました。
関係ないけど、この本でアラブ首長国連合って訳されてるのにはなにか意味があるのでしょうか。

『メルカトル』

メルカトル
長野 まゆみ
4479650091


[Amazon]

読了。

リュスはミロナ地図収集館で働きはじめたばかりの十七歳。救済院出身の孤児で進学資金を貯めるために受付係となったかれは、〈お偉いかた〉と名づけられた地図研究を趣味とする老人の相手などをしながら、すこしずつ仕事になじんでいるところだ。そんなある日、リュスは地味ながら特徴のあるまなざし女性の依頼を受けた。有名女優エルヴィラ・モンドと同姓同名の彼女は、リュスに名前を尋ね、かれは自分の名前は配管のゴミ虫の意味を持つのだと答えた。上司から人気モデル・ルゥルゥの出演する番組観覧券を取得するためにガムの購入を依頼されたリュスは、ドラッグストアでアルバイトの女子学生に冷たくされる。収集館には厄介な常連客がいた。とある私立校の制服に身をつつんだ少年で、ころころと変わる偽名を名乗り、ことあるごとにリュスに悪質な悪戯を仕掛けてくる。その日、少年はミロル・メルカトルと名乗りリュスに祖父からだといって身に覚えのない手紙を渡した。




『カルトローレ』が面白かったので借りた本。
とてもかろやかで愛らしい一冊でした。

じつはかなり予想を外した感じです。
タイトルから地図に関する謎が描かれるのだと思っていたのですが、予想の方向が間違ってました。謎は地図ではなかったのね。

孤児で両親に守られることなく育ったリュスはじぶんをまもるために、期待を抱かない、現実をあきらめて甘受するという性質が染みついています。
そんなかれを次から次へと変な人たちが現れては翻弄し、次から次へと苦境に陥らせる、というストーリー。

書きようによっては災難劇にもなりそうな話なのに、リュスが物事を距離を置いて冷静に受けとめるのと、登場人物があまりにも変わっているのとで、どことなくユーモアすら漂う雰囲気があるのが楽しいです。

小物の使い方や、どことなくイベリア半島っぽい感じの異国情緒が、しゃれています。
白い画面のブンガクっぽい少女マンガの雰囲気ですね。

それとこんなに女性の名前がたくさん登場する長野まゆみ作品は初めてかもしれません。
出会う度にリュスにキスを残していく彼女たちの、やわらかな存在感がとても珍しかったです(苦笑。

しゃれた短編映画みたいな趣のミステリ風味の可愛いお話でした。

いろいろとうまく行き過ぎだったり、『カルトローレ』の深みはないけれど、こういうお話は単純にその場その場のシーンを楽しめばいいのだと思います。

ところで冒頭のメルカトルに地図に関する記述は、本当なんでしょうかどうなんでしょうか?