『君に届け』1~13

君に届け 1 (マーガレットコミックス (4061))
椎名 軽穂
4088460618


借りて読了。

王道青春胸キュンラヴストーリーvです。
アニメを見てて大好きだったのですが、親族がもってるというので貸してもらいました。
アニメを観たから話は知ってるのに、一気読みしてしまいました。

高校生の恋愛を描いて大人気のマンガです。

こんなに王道を行って臭くならないのは、ヒロインの造形の勝利でしょうか。
黒沼爽子はあだ名が貞子。あのホラー作品『リング』のです。
周囲にはもはや本名だと思いこまれています。
つまり容姿が暗いのです。リアクションが強ばっているのです。霊能があると誤解されて、敬遠され、畏怖されています。

でも、ほんとうはやさしく繊細な心を持った、実に女の子らしい女の子なのです。霊能も持ってません。外見は陰気だけど、中身は超ポジティブシンキング。ひとりの世界に慣れきってしまって、人付き合いが下手で苦手になってしまったというだけで。

そんな彼女の魅力をふとしたことから発見したのがヒーローの風早君。

爽子ちゃんは風早君が自分に普通に話しかけてくれることに驚きと喜びを感じ、感謝の気持ちを抱くことに。

そして自分の眼でみたものを自分で評価する、まっすぐなまなざし。ムードメーカーで周囲に愛されている風早君を尊敬し憧れるようになるのでした。

……というふうにお話は進みますが。

この対人スキルゼロの爽子ちゃんだからこそ、とても純粋なゆれうごく乙女心の描写に説得力があるのですね。

自分の中で生まれてくる新しい感情を、驚きとともにひとつひとつ発見する爽子ちゃんが可愛くてなりません。

あと、爽子ちゃんのあずかり知らないところで風早君が葛藤しているあたりも可愛いんですよねー。

そんなふたりを見守る友人達のあれこれ、そんなふたりをひっかきまわすトラブルメーカーのあの子、そんなふたりに心乱れるライバルのあの子、無責任に反応するクラスメイト達、と、高校生の青春ストーリーに必要なものはすべて踏まえてあって、期待を裏切りません。

ワタシ的にはいつもはアホなのにときどき大人視点からの鋭い台詞にハッとさせられる、ピン先生が面白いです。
風早君をいじり倒してる姿がものすごく楽しそうでねえw

四季折々のイベントともに進んでいく学校生活と恋の行方は、驚いたり、嬉しくなったり、焦ったり、不安になったり、涙したりと十代ならではの初々しくて甘酸っぱさに満ちてます。
あー、きゅんきゅんする。めいっぱいきゅんきゅんする。へとへと疲れるくらいにきゅんきゅんする!w
一巻から十巻まではほんとうに素晴らしかったです。

アニメはとても丁寧につくられてたんだなーと思いました。
ついつい、アニメを思い出しながら読んでました。

一大イベントが終わったあと、ちょっと話の目標が見えなくなった感じになり、読めば読んだで面白いのですが、なんとなく番外編みたいな雰囲気になってきたのが気がかりです。

これから話はどこへ向かうのかなー。

君に届け 2 (マーガレットコミックス (4094))
椎名 軽穂
4088460944


君に届け 3 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088461347


君に届け 4 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088461746


君に届け 5 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088462378


君に届け 6 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088462785


君に届け 7 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088463137


君に届け 8 (8) (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088463560


君に届け 9 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088464400


君に届け 10 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088464818


君に届け 11 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088465393


君に届け 12 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088465687


君に届け 13 (マーガレットコミックス)
椎名 軽穂
4088466357

『戦う司書と世界の力』

戦う司書と世界の力 BOOK10 (集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 前嶋 重機
4086305275


[Amazon]

読了。

人が死ぬと本になる世界を舞台に、張りめぐらされた計略に欺かれながらも、世界の存続をめぐって戦う武装司書たちの物語。完結編。

オールスターキャストで展開する怒濤のクライマックス!

話のすべてが収斂し、最後の高く大きな壁を打破するために集結する展開に、おおおお、と心の中で歓声をあげました。

これは物語です。人間と世界の物語であり、物語についての物語でもあります。

人が本になる世界で、特殊能力者達が宿命に抗い世界を救うために戦うという設定は奇抜です。

キャラクターはみな人間離れしていて、現実にはありえないシーンの連続です。
ありえないといえば最初からありえない世界なのですから、肝心なのは物語世界の中でどれだけそのことが必然で、必須かということでしょう。

物語の発端を読んで、ああ、と思いました。
この話は、ちゃんと約束があってありえないこともその中に含まれている。

そして、わたしにはこの話が、物語を終わらせようとする力と物語を語り続けようとする力のせめぎ合いの物語のように思えました。

物語は人生と言い換えてもいい。いや、むしろ、そっちのほうがまっとうな読み方かしら;

狂言回しのようでいてじつは……なラスコール=オセロの存在が、じつに興味深かったなと思います。

なんとなく、ニーニアは気むずかしい読み手でルルタはパニック気味な作り手、みたいだなあと思ったり。そこでラスコールの役割はなんだろうかなとかw

キャラクター的にはこれまでに登場したひとびとがそれぞれに特殊能力全開で活躍するのが楽しかったです。

わたしのすきなマットアラストさんとミレポックの掛け合いが最後まで読めたのが嬉しかったv
そしてイレイアさんにはびっくり仰天でしたw

それにしても凄い構成力です。
全十冊、どれもきちんと意味のあるお話で成り立ってて、それが最後にこんなに生きてくるなんて、デビュー作とは思えないわ……

昔のSFのよい意味での荒唐無稽さが感じられる、たいそうおもしろいシリーズでした。


シリーズ開幕編はこちら。
戦う司書と恋する爆弾 BOOK1(集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 前嶋 重機
4086302578

『ヴィンランド・サガ 10』

ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
4063107361


読了。

中世北海沿岸地域を舞台にひとりの少年の数奇な人生を描く、歴史ドラマコミック。シリーズ第十一巻。

アイスランドで生まれた少年トルフィンがヴァイキング戦士の集団に父親を殺されて、仇を討つために各地を転々としたのち、ユトランド半島の農場に売られて奴隷となって、農地を耕す生活を送ることになったのが前巻まででした←すごいはしょり方;

今回、物語は伏線モードという趣で、派手さはないけれど着実に訪れている変化に目を瞠りました。

トルフィンの顔に、生き生きとした表情が戻っている!

最初、読んでいて感じていた違和感は、トルフィンから拗ねたような暗い影が消えていたせいだったのでした。

トルフィンの人生はまだまだこれからってことですね。そう、ヴィンランドはまだまだ遠いのです。

気になるのは、もうまったく別の道に分かれてしまったのかと思っていたクヌート王子の噂が、ひきつづき流れてくることです。
また、どこかで出会ったりするのかなあ。

久しぶりに見たアシェラッドの姿に涙しました。
ヴァルハラが怖いw


シリーズ開幕編はこちら。

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
4063144232

『羽州ものがたり』

羽州ものがたり (カドカワ銀のさじシリーズ)
菅野 雪虫 遠田 志帆
4048741683


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読了。

平安時代の出羽の国・羽州で起きた元慶の乱を、土地育ちの少女と少年、都育ちの少年の交流とともに描く、歴史小説。


貞観十五年。片眼の鷹アキとともに暮らすムメは村長の長女だが、暮らしは豊かではなく、日々家事に追われて過ごしていた。彼女の友人は森に棲み変人と呼ばれる少年カラスだけだ。そんなおり、ふたりは都からきたばかりの少年・春名丸が川でおぼれかけたのを救った。少年の父親・小野春風は羽州に理解のある都人で、息子の命の恩人としてムメとカラスを迎え入れた。ムメは春風の屋敷で都の風物を眼にし、知らない世界への憧れを持つ。



『天山の巫女ソニン』シリーズの作者さんの新刊です。
今回は異世界ではなく、日本が舞台の歴史もの。

具体的な地名や歴史上の人物などが出てきて一気に具体性を増している物語世界。
かなり殺伐とした出来事を題材にとっていますが、作者さん独特のおだやかというか優しげでありながらゆきとどいた視線で描かれるおはなしがここちよかったです。

どの立場の人にもそれぞれに事情があることや、すべてが丸く収まるような解決方法はないことも、子ども向けにごまかしたりせずに、きちんと見すえて描いたうえで、よりよい道を探っていく展開が、共感できるし納得できる。

努力がむくわれなくとも心には善いものが残るような、最善ではなくてもすこしはましになっていくような、そんなお話がいまは心地よいのです。救われます。

『ソニン』のときとかわらず、恋愛色はほとんどゼロですが(苦笑)、ムメはともかく男の子たちふたりの心にはいろいろとありそうな描写に、ニヤニヤすることが出来ましたw

『でんしょでしょ!』創刊号

なびさん主催のオリジナル短篇集アンソロジー企画『でんしょでしょ!』創刊号読了。


現代青春もの、濃厚異世界ファンタジー、ドタバタ異世界ファンタジーコメディー、未来SF、等々と収録作品はバラエティー豊か。

既読作ですが冬木さんの「恋人の石」はやっぱり好みだなーと思いました。
それと村崎右近さんのSFハードボイルドアクション「音が響きわたる場所」が面白かったですw

パブーでHTML版をそのまま読めますが、スマートフォンなど携帯端末をお持ちの方はさまざまなPDF版やePub版をダウンロードして読むこともできます。

横書き版、縦書き版といろいろある中、わたしは縦書きデカ文字版PDFをiPod touchに入れて読みました。

20110422の購入

リアル書店で久しぶりに買い物しました。

ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
4063107361


クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅡ (ハヤカワ文庫 JA コ 5-2 クォンタムデビルサーガ)
五代ゆう 前田浩孝
4150310297


以上、購入。

発売日が一日違いってなんとなく嫌ですね。まとめて買おうとするとどちらかが手に入らないかもしれない確率が高くなる←毎日通え。

ほかに気になっているマンガがあるのですが、

竜の学校は山の上 九井諒子作品集
九井 諒子
4781605451


出版社がマイナーな上に発売日からかなり経ってるのでやっぱり無かったです。郊外の小規模店ではね……予想はしていた。
しばらくネットで堪能しよう……


ところで、かなり久しぶりに筆記具を購入してみました。
とわざわざいうのも何なシャーペンw
ちょっと体に文字を思い出させなくてはと思い立ちました。
最近、漢字が書けなくなってきている自分に絶望したのです。

ボールペン以外を買うのは学校出て以来のような気がする。

『クロノ・セクス・コンプレックス 1』

クロノ×セクス×コンプレックス 1 (電撃文庫 か 10-17)
壁井 ユカコ デンソー
4048681451


[Amazon]

読了。

高校の入学式の日に、とつぜん女の子になって全寮制魔法学校に入学することになってしまった男の子の、不安と驚愕の日々を描く、時間SFファンタジー。シリーズ開幕編。


じじむさいと評判の三村朔太郎は、時計屋の息子。幼なじみの小町梅を傷つけてしまった卒業式から何もできずに迎えた高校入学式当日。客から預かった懐中時計を届けに行く途中、出会い頭にひととぶつかり転倒した朔太郎。それからかれの歩む道は見慣れぬばかりか時間の流れがへんになった。迷子になって泣きそうになった朔太郎が、名を呼ぶ声にすがるようにしてたどり着いた場所は期待していた高校ではなく、時空の中にぽつんと浮かぶクロックバード魔法学校。おまけに朔太郎は朔太郎ではなくミムラ・S・オールドマンという名の女の子になっていた。なぜ、こんなことに? 混乱する朔太郎に待ち受けていたのは禁断の女子寮での魔法学校生活だった。




『キーリ』の作者さんによる時間SF。
魔法学校と男女入れかわりと異世界落っこちと百合的エロスで出来てます。
手のひらメカニズムに対する愛情と、SFへのリスペクトとは、従来からのものですが、今回は傷を負った魂の邂逅のひりひり感がなくて、元気で明るい雰囲気なのが珍しかった。

なによりも、少年が主人公、というのは初めて読んだ気がします。
……といっても、途中で体は少女になっちゃいますがねw

最初はハリポタばりの魔法学校ものかと思いましたが、進むにつれて、どんどん時間SFの要素が濃くなっていくのに、どきどきしました。

作品内にがっちりと組み込まれているのはハインラインの『夏への扉』と筒井康隆の『時をかける少女』ですが、後半の展開は筒井康隆の色のほうが濃いかもしれない。でも「時かけ」ではなくて、ほかのグロでシニカルな作品のほうの雰囲気を感じました。

そういえば、作者さんの作品はいつもさりげなくグロかったような……。

『キーリ』や『鳥籠荘』の繊細で切ないほの暗さが好きなわたしには、すこし期待と違いましたが、うん、これはこれで面白い、と思いました。

時間をあやつる魔法を学ぶクロックバード魔法学校の設定がいちいちツボです。
図書館に、司書、が出てくるだけでも楽しいのに、それが怪しい青年なのも嬉しいです。

てんこ盛りな内容をきっちりとさばいて、一冊にまとめてるところがさすがです。

いろいろと謎だらけなお話なので、次巻以降の展開が楽しみ。

それにしても女子寮生活する精神だけ少年って……哀れだな、朔太郎w


クロノ×セクス×コンプレックス〈2〉 (電撃文庫)
壁井 ユカコ 村上 ゆいち
4048684051

『私の日本語雑記』

私の日本語雑記
中井 久夫
4000257722


[Amazon]


読了。

精神科医で、エッセイスト、翻訳家としても知られる著者が、ご自分の言語体験から言語についてのいろいろを考察する明晰で具体的なエッセイ。岩波書店『図書』連載をまとめたもの。

目次は以下の通りです。


1 間投詞から始める
2 センテンスを終える難しさ
3 日本語文を組み立てる
4 動詞の活用形を考えてみる
5 言語は風雪に耐えなければならない
6 生き残る言語――日本語のしたたかさとアキレス腱
7 では古典語はどうなんだろうか
8 最初の精神医学書翻訳
9 私の人格形成期の言語体験
10 訳詩体験から詩をかいまみる
11 文化移転としての詩の翻訳について
12 訳詩という過程
13 翻訳における緊張と惑い
14 われわれはどうして小説を読めるのか
15 日本語長詩の実現性
16 言語と文字の起源について
17 絵画と比べての言語の特性について
18 日本語文を書くための古いノートから

あとがき



わたしが初めて氏の文章に触れたのがここに収録されている「センテンスを終える難しさ」でした。
読んだ時の驚き、言葉遣いに対する共感からその先へと誘ってくれる具体的な指摘にふおおと興奮をしたことを覚えています。

そのエッセイがやっとまとめられて本になりました。

出会いのあと、この連載は読めたり読めなかったりしていましたが、その間にべつのエッセイを読んで、わたしなりに氏のひととなりにふれてきたと思います。

そのうえであらためてわたしにとっての原点に戻ってきて、やはりすごく面白いなあ、と思いました。

言語学の本を読んだことのないわたしは、言語学の常識を知りません。
なのでもっぱら、自分の体験を元に読んでいるわけですが、これがもう、そうかなるほど、とめから鱗が落ちることバシバシなのです。

思うに、氏の精神科医であるというベースがこの文章の大きな基盤になっているのではないかと推察します。

精神科医は問診が中心です。
患者との対話は、発語された言葉のみならず、声の調子、ひびき、身体言語、などなどさまざまな要素を読みとっていく地道な作業の連続なのだそうです。

そのことを職業として熟練することが、言葉への感受性を研ぎ澄ませることになるのは必然であるような気がします。
あるいは、感受性が豊かでなければ精神科医はつとまらないのかもしれません。

おいたち、家庭環境、修学環境、などなどにより複雑な言語体験をくぐり抜けてきたことも、それを常に意識しつづけてきたことも、氏の言語感覚を研ぎ澄ませていったように感じられます。

日本語の文章を書く時に苦労するポイント。
近代の日本語は漢文読み下し文から作られたこと。
ある言語の文章を日本語に翻訳することは文化の移転であること。
翻訳には元言語のスペシャリストであることよりも、元言語への憧れのほうが必要であろうということ。

言語の身体性が薄れて記号化していく現代についての記述には、ちょっと危機感を覚えたりもしました。
たしかに、こうしてパソコンでキーボードをうつことから生まれる文章には、発語の快不快も、文字を書くときに生まれる感覚も、あまり感じられないなーと。

どの項目もとても興味深く、どきどきしながら読みました。

他人へ向けて意志的に文章を書こうとするときに、いろいろヒントになることが多かったです。

ただ、わたしの低スペック頭脳ではここに書かれていることをきちんと覚えていられないだろうと、すでにわかっているのが残念無念です。

こういう本は手元に置いておいて、折に触れて読み返すものなのだろうなーと思いました。

ところで、この本の表紙とあちらこちらに挿入されたカットは氏自身の手によるもの。
すみっこのクレジットを見つけて驚きましたv

『クシエルの啓示 3 遥かなる道』

クシエルの啓示 3―遙かなる道 (ハヤカワ文庫 FT ケ 2-9)
ジャクリーン・ケアリー Chiyoko
4150205221


[Amazon]

読了。

高級娼婦兼スパイとして育てられたマゾヒストのヒロインが、重い使命を果たすために命をかけて旅をする、古代から近代までの地中海文化圏ふうの異世界歴史ファンタジー。三部作の第三部、完結巻。

終 わ っ た ………。

最後まで波瀾万丈、そして危機一髪、精神と肉体の極限まで追い詰められてなおもくじけないヒロインの粘り強さがたいそう印象的なシリーズでした。

“汝、凋れるまで愛を尽くせ”



ヒロインの祖国テールダンジュの崇める聖エルーア様のお言葉が、しみじみと感じられたなー。

この話のテーマは愛と自由だったんじゃないかと、いまわたしは考えてます。
読んでいる間には大きな災害があり、日本にかつての日常はもう戻ってこないのではないかと思わされる不安な日々でした。

そのあいだ、愛と憎しみ、信頼と裏切りに彩られたこの物語を読んでいて、いろいろと考えることがありました。

信仰について、愛について、がいちばん多かったような気がします。

とくに第三部は、抑圧された心の生み出す闇と桎梏についてのエピソードが多く、恐怖がどれだけ心を縛るか、それがどれだけ他者への不寛容となってあらわれるかをまざまざと見せつけられました。

他者を恐れ、自分を自分で抑圧し、がんじがらめになったこころを癒すのは、並大抵のことではありません。でも、それができるとしたらそれは愛なのかもしれない。

他者の自由を純粋に願えるのは、愛によってだけなのかもしれない。

その点で、フェードルの痛みに強いマゾヒストという設定は、苛酷な状況で自体を打開するための必須要素だったんですね。

屈服させられた者は、いつまでも弱くない。



という言葉はフェードル自身をあらわすとともに、そうあれかしと願う作者さん自身の思いなのかもしれないなと感じました。

劇的な歴史小説でありつつ、ヒロインが愛を知り、愛を得るための人生の道のりを描いた作品でしたね。

フェードルとジョスランの間柄の変遷は、夫婦小説といった趣もw

ジョスランがキャシリーヌ修道士から生身の人間として解放されていく姿は、いろいろと素敵でした。

三部作の完結編は、第一部、第二部のサスペンスフルでドラマティックな終幕と比べると、かなりゆとりをもった展開でした。劇的な部分もきちんとありますし、それはこのシリーズの最大のクライマックスでもっともファンタジー的な部分でもあったのですが、えーと、、、ドルージャンのあとだとなんでも普通に見えてしまうのが残念ですねw

むしろ、これまでの物語をいろいろとふりかえる部分が多くて、それがしみじみと感慨を誘いました。

番外後日譚でもいいんじゃないと思うような部分をすべて本編に組み込んでしまうのも、このシリーズの特徴ですね。

わたしにはちょっと冗長に感じられるのだけど、読んでいて楽しいし(とくにジョスランの服装w)、安心感のあるかたりではあります。

そして、勝ち取った平和を言祝ぐラストシーン。

長い道のりが終わったのだなあと、この話も終わってしまったのだなあと、すこしの寂しさとともに満足に浸りました。

波瀾万丈の物語をお求めの方にお薦めですv
文化的な設定や歴史的時系列などに神経質にならず、素敵な素材として楽しんでいただければと思います。

ところで、シリーズには続編があるそうで、その主人公はイムリールだとか。
ぜひぜひ、翻訳刊行していただきたいものです。

ヒーローがイムリなら、ヒロインはだれなんだろうと、妄想が止まりませんw

シリーズ開幕編はこちら。
このころのフェードルはまだ子どもだったですねえw
クシエルの矢〈1〉八天使の王国 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150204985

『クシエルの啓示 2 灼熱の聖地』

クシエルの啓示〈2〉灼熱の聖地 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205191


[Amazon]

読了。

高級娼婦兼間諜として育ったヒロインの波瀾万丈の運命を描く、中世ヨーロッパ風異世界歴史ファンタジー。三部作の第三部第二巻。

面白かったです!

想定外の人物の想定外の頼みに、つい誓いを立てて受けてしまったフェードル。
探索の果てに古代エジプトっぽいメネケット王国までたどり着いたのが前巻まで。

この巻ではさながら『三大陸周遊記』のような異文化体験のつづく旅行と、狂気と破壊の支配する国ドルージャンでの試練がメインでした。

メネケットからの旅は、その名の通りチグリスとユーフラテスを渡河する古代オリエントの旅です。
たどりつくのはケベル・イム・アッカド王国。現在ならばイラクの位置ですが、文化はアッカド時代ではなくどうみてもアラブのイスラーム王朝。しかして信仰するのはイスラームではないという、珍妙な王国です。

アッカドにはバルクィール・ド・ランヴェールの娘ヴァラールが王子の妃として嫁していて、フェードルたちは彼女の援助の元に謎の、そして悪の王国ドルージャンへと潜り込むことになるのでした。

ドルージャンの成立にはアッカドによる残虐な侵略がかかわってるのですが、暴力によってまかれた種が萌芽し結実した怒りと狂気そのものがマハールカギール王であり、この暗黒王国かと思うと、やるせなさを禁じ得ません。

アッカドの侵攻には歴史的な大侵略の数々をおもわずにいられませんが、このドルージャンには世界のあちこちに生まれている過激派テロリストが反映しているようなきがしました。

病んだ王国の後宮に潜入したフェードルが、任務を遂行するために出会う狂気の凄惨さはぼかして書いてありますが辟易しました。彼女が耐えられたのはアングィセットであるからだけど、ヒロインの味わう苦難としては酷すぎるような気すらした;

はしばしにあらわれるエルーア様の存在に、これまでになくファンタジーぽいお話になってましたが、それだけの魂の危機が書かれていのだと思います。

途中でヘラス人がフェードルを呼ぶ名前の意味がわかって、うへえと思いました。神様って自分勝手で残酷。

それにジョスランの苦悶が可哀想でねえ……。
いままでもずっと虐げられてきてそれで成長してきた感もあるキャシリーヌ修道士の彼ですが、ここまでいじめなくてもいいんじゃないのと、思ってしまいましたよ、はあ。

救いは、フェードルたちが救出しようとした少年が、随所で母親に似ているにも関わらずとても健全な精神の持ち主だったことでしょうか。

奥(ゼナナ)と呼ばれる後宮の女たちの多彩な個性も興味深かったです。

鬼気迫るドルージャン編をぬけたあとでは、疲れてしまってしばらくつづきが読めませんでした;
というか、もうここで終わってもいいんじゃないかとまで思いましたが、そういえばまだ未解決の件が残ってたんだった。ごめんすっかり忘れていた。

その後のナハール(ナイル)川クルーズを経て、サバンナの動物やらなにやらの見聞録に、ちょっと気が抜けたというのもありますが。

「長いといったって、ここまでほどじゃないさ」とジョスラン。「戻りだって、これほどかかるわけがない」



のくだりに、ああもうすぐこの話も終わるんだーと、ちょっと寂しくなりました。
完結編は手違いで二巻よりも先に手元に来ていたので、すみやかに読むことといたします。

クシエルの啓示 3―遙かなる道 (ハヤカワ文庫 FT ケ 2-9)
ジャクリーン・ケアリー Chiyoko
4150205221

『孟嘗君 1』

孟嘗君(1) (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062638622


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読了。

古代中国の戦国時代。斉の君主の息子として生まれながら親に疎まれて殺されそうになった田文、後の孟嘗君と、かれを素性も知らずに育てることになった男の、波瀾万丈を描く、格調高い歴史小説。

先日『楽毅 1』を読んでこちらを先に読めばよかったと後悔したと書いたのですが、そのことばかりが頭に残っていたらしく、図書館で本を予約する時についうっかりと予約してしまったのが『楽毅』ではなくこの本でした;

予約しなおすこともできたのだけど、まあ、いっかーとそのままにして受けとってきたので読みました。

読み出して、なかなか主人公が活躍しないのでえーと、と思いましたが、そうか、これって全五巻なんですね。

この巻での主人公は、事実上、田文を拾った風洪という若者です。
田文は風洪が生きる目的を得るきっかけになりますが、何分乳飲み子なので台詞すらないというありさまw

太夫の家に生まれながら遊興の果てに財産を食いつぶし、商人の護衛でその日暮らしをしている無頼の若者が、妹やその恋人、さらに妹の友人などに出会い、感化され、次第に世の在り方や自分の生きがいなどを考え始める、というのがあらましです。

一見無頼ながら育ちから身につけた品の良さが垣間見える、懐の大きな男・風洪の人物の面白さと、かれにかかわる人びとの反応の変化が読みどころかな。

戦国時代の中国の状況や、君主たちの人物像も興味深いです。

風洪に想いを寄せる翡媛は、いかにもなたおやかヒロインですが、風洪の妹・風麗の元気さは、いままで読んできた宮城谷作品にはない感じかも。
話が進行するにつれてだんだん大人しくなっていくのが惜しいです。

生真面目で俺様な風麗の恋人・公孫鞅も面白い。

しかし、もうすこし、田文がなにかやってくれないかなーと思うわたしです。タイトルロールなのにこれだけ? って肩透かしでした。

これって先に『楽毅1』を読んでしまったからかもしれないです。
すでに名をなしている孟嘗君を見てしまったので、活躍する姿を早く読みたいんですね。
風洪の話としてだけ読めば十分に面白いんだと思います。とはいえ、読んでいない時点には戻れません;

赤ん坊がせめてつぎには幼児ぐらいにはなってくれることを期待しつつ、つづきを待とうと思います。


孟嘗君(2) (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062638630

『クシエルの啓示 1 流浪の王子』

クシエルの啓示〈1〉流浪の王子 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205167


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読了。

大胆な設定の中世ヨーロッパ風異世界で、高級娼婦兼スパイの訓練を受けたヒロインが政治的な陰謀の中をくぐり抜けていく、波瀾万丈歴史ロマン。三部作の完結編第一巻。


約束された平穏な十年が過ぎた。唯一神に反抗した天使の裔との契約により絶海の孤島に縛りつけられている幼なじみのヒアシンスの嘆きに、フェードルは毎夜うなされるようになった。ヒアシンスを解放するためには唯一神の真名を知らねばならない。探索は根気よくつづけていたが手がかりは無いに等しかった。そんなおり、ヒアシンスのいる三姉妹島を望むアザール州から異変の報せが届く。真相を確かめに向かったフェードルたちは、ついに早瀬の主がみまかり、ヒアシンスが跡を継いだという事実を知る。絶望するヒアシンスの姿に衝撃をうけたフェードルの元に、幽閉の謀反人メリザンドからの手紙が届いた。




ぎゃーーー、何という展開!!!

第二部から十年の月日が経ち、平和な時間を満喫していたテールダンジュとフェードル。
しかしフェードルの心にはもっとも古くからの友ツィンガンのヒアシンスのことが離れずにいた。
イェシュト教徒のラビの元で研鑽を積むうちに判明したのは、早瀬の主を呪いから解放するには、唯一神の秘された真名が不可欠であるということのみだった。

というのが発端で、その後、どれだけ手を尽くしても得られなかった手がかりが思いもよらない場所から、思いもよらないことをすることとひきかえに差しだされることになり、まったく別のふたつの件がしだいに絡み合い、ひとつの方向へとフェードルたちを導いて、彼女たちはとうとう海を渡ってアフリカ大陸(とは書いてないけど;)へ赴くことになります。

面白いのは、今回メリザンドが話の初めから姿をあらわして、さまざまな感情をさらけ出してくれるところです。
これまではいつも黒幕で、最後の最後まで名前だけで読み手をビビらせてくれていたメリザンドの、意外なあれこれが、ものすごーく興味深い。

事の発端はヒアシンスなのに、メリザンドを愛し憎み愛するフェードルの感情の強烈さを読むと、彼女の動機は絶対にメリザンドだなと、思ってしまっても無理はないでしょう。キャシリーヌのわんこが気をもむのもむべなるかなです。

ジョスランといえば、かれの成長には目を瞠りました。すっかり大人になってるわー。もう三十路だもんな、そりゃそうか。
ニコラ・ド・ランヴェールに「練れてきたじゃない」などといわれるのはちと可哀想だと思いましたが、でもたしかにその通りだと思いました。
やはり、「使徒」のクライマックスでふっきれたのがよかったんでしょうね。あの台詞はまだ覚えてます。とても印象深かったのでw

それから、ショヴァールはジョスランの実家ヴェルーユ家のみなさんのご登場も楽しかったw
大家族の中のジョスランの姿がほほえましかったです。

そうじて、ジョスラン関係はとても楽しく読んでて嬉しかったです。
アハハ←なぜか笑いがw

そんなほのぼの雰囲気はつかの間で、話そのものはどんどん悲惨な方向に進んでいくのですが、新たに登場する南方の諸国がいろいろとへええな感じでした。

古代エジプトと、イスラーム抜きのウマイヤ朝みたいなウマイヤートと、新アッカドを名乗ってるのにゾロアスター教徒みたいなケベル・イム・アッカドとと、まさに歴史のいいとこ取りなラインナップです。

それからジェベ・バルカルに謎のドルージャン。

「もしかしてプレスター・ジョンの王国がでてくるの?」という勝手な期待は、あっさりうっちゃられましたと報告しておきます。

五里霧中の異国での、フェードルの観察力と語学力を駆使した有能さが遺憾なく発揮されたこの巻。つづきではジョスランの心臓を疲弊させるアングィセットとしての活躍が待っているのでしょうか。

ものすごく気になるところで「待てつづき」状態なので、妄想ばかりが膨らみ困っておりますw


クシエルの啓示〈2〉灼熱の聖地 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205191

『ミストクローク 霧の羽衣 2 古からの声』

ミストクローク―霧の羽衣― 2古からの声 (ハヤカワ文庫FT)
ブランドン・サンダースン 竹井
4150205248


[Amazon]

読了。

緻密な設定と豊かな物語性、切れ味のあるアクションで描く壮大な異世界ファンタジーシリーズ。三部作の第三部、第二巻。

毎回おんなじことを叫んでいる気がしますが、面白いです!

支配王の抑圧から逃れてあらたな秩序を構築しようとしたのもつかの間、迫る世界の終末に向かいあうことになった主人公たち。

皮肉なことに、支配王の足跡を辿り直すような道を歩むことになってしまった、苦悩葛藤。
それでも対処しなければならない問題が山積で立ち止まることは許されない。

解き放たれた破壊神による巧妙な罠。表立たない保存神はなにをしているのか?

謎が疑心暗鬼を呼び、思わぬ所の大きな落とし穴に足を取られ、募る焦りに冷静さがどんどん失われていく。

巧妙に張りめぐらされた伏線が緊張感と興奮をいやましていく、話運びのいけずっぷりがどうしようもなく快感ですw

あきらかになった血金術の詳細が、この巻の肝かしら。
コロスとカンドラと尋問官の関係を知って、うはーと思いました。
ほんとうにこのシリーズの設定は理屈ぽく、システマティックですね。

スプークの理由もそれで説明できる……ような気がしますが。
でも、あの信仰の中心となった人物は、破壊神の罠なんだろうか、それとも違うんだろうか、どきどきw

終末迫る世界の悲嘆と無力感に満ちた情景の中で、エレンドとヴィンがすごすつかの間の幸せが、とても大切でいとおしく、もういちどこんなシーンが描かれてもおかしくない状況がどうぞ訪れますように、と願わずにはいられません。

つぎはとうとう完結編です。
はやく読みたい、でも終わってしまうのがちょっと寂しい。
そんなわたしの気分を察したかのように、予約は混み混み状態(苦笑。
手に取るまで少し時間がかかりそうです。
それまでに内容を忘却してしまわないように頑張ります。

ミストクローク―霧の羽衣〈3〉永遠(とわ)の大地 (ハヤカワ文庫FT)
ブランドン サンダースン Brandon Sanderson
4150205272

『クシエルの使徒 3 罪人たちの迷宮』

クシエルの使徒〈3〉罪人たちの迷宮 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205132


[Amazon]

読了。

高級娼婦兼スパイとしてそだてられたヒロインが、有象無象のひしめく宮廷の陰謀と国家間の駆け引きに巻き込まれつつ祖国のために奮闘する、ヨーロッパ中世風異世界波瀾万丈陰謀活劇。第二部完結編。


国家反逆罪で死刑判決を受けた後行方をくらましたメリザンドの消息を求めて、ラ・セレニッシマへと向かったフェードルたち。そこで驚天動地の真実をしった彼女はメリザンドによって難攻不落の監獄に監禁された。脱出を試みたのち海に転落したフェードルはイリュリアの海賊に救われる。囚人から海賊の捕虜へとめまぐるしく変化する運命の中、フェードルはメリザンドによるテールダンジュ女王イサンドル暗殺計画を阻止しようと懸命に頑張るが、海賊カザンにかけられた呪いのためにラ・セレニッシマからクリティ島、イリュリアと移動を余儀なくされてしまう。




面白かったー!!!

驚愕イベントがジェットコースターのようにつづいていく、波瀾万丈なストーリー。
フェードルが絶体絶命のピンチを何度くぐりぬけたものやら、もうわたしには数えられません。
二巻のラストでぎゃーーーと叫んだ後も、とぎれなく襲いかかる生と死の瀬戸際サスペンス。
それが結末に向かってどんどん起伏が大きく、興奮と緊張が増していくのです。

ひとつひとつのイベントは目新しくなく、王道といってもいいくらい。
でも、その派手さ、破壊度は、それぞれが一作品の一番の山場に匹敵するほど。
それがこんなに立て続けにつぎからつぎへと繰り出されるのに、それぞれが不自然でなくぴったりと物語のなかにおさまって流れの中で役割を果たしている。

話全体の緊密度と厚みが、すべて物語へとつながってる。
すごい、としか言えないです。

須賀しのぶ「流血女神伝」を彷彿とさせますが、こちらのほうが作風的にはフリーダム。

作者さんご自身が享受されてきた物語をおしみなく作品に投影してるなーと感じました。

呪いのために船がなかなか目的地にたどり着けないのって、「オデッセイア」ですよねー。
今回はギリシア神話の断片があちこちにモチーフとなってでてくるので、そのへんを見つけ出すのが結構楽しみになりました。

あと、ラ・セレニッシマの統領と女神の関係って、ヴェネツィア元首の海との結婚だなーとか。

そんな寄り道ができたのは再読をした時なんですけどねw

初読の時はつづきがしりたくてページを繰る手がもどかしいくらいでした。

なによりも、艱難辛苦の果てにたどり着いた再会シーンが!
もう、感極まって涙が出そうだったです。実際はにやついてたんだけどねw

それからの金髪わんこの活躍は、不在を補ってあまりあるものでした。
フェードルがいちいちかれの髪について言及するのが可笑しかったw

このシリーズの恒例として、超絶クライマックスの後に後日端的なクライマックスもあり。
脇役の方々にもそれぞれに見せ場があるのが嬉しかったです。

ときどきあれっと思うような文章があるけど、全然気にならない。それほどに楽しい読書の時間でした。
満足満足。

ひきつづき、第三部を読みたいと思いますv

クシエルの啓示〈1〉流浪の王子 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205167

20110401の購入

突発的に読み返したくなって本屋に走りました。

泣き虫弱虫諸葛孔明〈第2部〉 (文春文庫)
酒見 賢一
4167801221


以上、購入。

このばかばかしいほどマニアックで笑える三国志、読んでると癒されます。
何にも考えないで笑ってられる幸せw

ほんとうは一巻から読むべきですし読みたかったのですが無かったので二巻を。
もうすでに一度読んでいるので、いいよね、ということで。

劉備=ラーメン屋台の猿顔親父説にお腹が痛くなってますw

『楽毅 1』

楽毅〈1〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光
4101444277


[Amazon]

読了。

古代中国戦国期、小国・中山の宰相の跡継ぎ楽毅の奮闘を、飾り気のない重厚な文章で描く歴史小説。


古代中国戦国期。小国でありながら王を名乗った中山国はそれまで懇意にしていた国から蔑まれるようになった。その中山国・宰相の息子楽毅は、ひそかに敵対する大国・斉へ留学し孫子の教えを学びながら人が生きることについて感じていく。祖国へ戻った楽毅は隆盛を誇る趙の侵略の標的になりつつ、何も手を打てずにいる実態を目の当たりにした。王に疎まれ、危険な最前線へと赴かされる太子の人柄にうたれた楽毅は、太子のために祖国のために趙の危険を遠ざけようと尽力し始める。




激動の中国歴史小説です。
あいかわらずの、たんたんと落ち着きつつ情と景がしずかにながれていくような宮城谷節に酔いました。

まなざし清かな青年・楽毅の冷静でありながら熱い存在感と人間的なレベルの高さ。
高潔な人物を題材にして嫌味にならないあたりは、サトクリフに似ているかも。

それでいて権力者にどうしようもない人物をさらりと描いてしまうのも、宮城谷調ですね。
善と悪ではなく、愚者と賢者がはっきりわかれているところが氏の小説の特徴なのかなーと、ふと思いました。

外敵である趙王の脅威を小兵を持って迎え撃つ戦記物の面白さと、王太子を廃そうとする王との宮廷陰謀劇が同時進行する、スリリングな展開がとても刺激的。

一巻のラストで「えええええーっ!?」となってしまったのではやくつづきが読みたいです。

楽毅〈2〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光
4101444285



ところで、話の冒頭で出てきてそれからもちょこちょこ出てくる重要人物がおります。
斉の薛公いわゆる孟嘗君です。

薛公は楽毅よりもはやく世に出て名声を得ています。ので読み出してからこちらを先に読むべきだったと臍をかみました。

孟嘗君(1) (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062638622


なんでだかわからないけど、すでに読んだような気がしてたんですよね。理由は謎。
『楽毅』のつづきを読む前にこっちを読んだほうがいいのかなー。いや、途中で浮気をすると話がわからなくなるかもしれないなー。でも前提条件がわからないままに読むと理解度が低いままだしなー。

……悩みます。