電気ひざ掛け

寒すぎる日々がつづいております。
寒さに弱い私は、毎日下半身冷えに悩んでいるのですが、そんななかで今年手放せないのが電気ひざ掛け!

ついひと月くらい前に購入したのですが、もう絶対に手放せません。
部屋全体をあたためなくても、これを掛けておくだけでかなり寒さが違います。
それに、最大出力にしても55Wしか電気がかからない。
電気ストーブなら一本つけても400Wはかかるのに、なんて省エネなの。
それでなくとも日ごろから節約が不可欠なわが家の家計に、とてもやさしい暖房機器なのです。

ちょっと残念なのは、椅子に掛けているときに使うとコントローラーがぶらぶらと垂れ下がってしまうことと、椅子の脚でケーブルを踏みそうになること。断線がこわいです。

あとは、ふつうの電気掛け毛布や敷き毛布と比べると、パフォーマンス的にお値段がちょっと高いかなあ、と感じられること。
でも、ひざ掛けに電気毛布は大きすぎて邪魔になりそうだし。

というわけで、近所の安売り店で、なおかつ目玉商品になっているときに購入しました。

そもそもは、省エネ暖房のやり方みたいなページに書斎用として紹介されていたんですけど、これはよいです。
パソコンを使っているとき下半身が冷えておなかが痛くなる、ということもなくなりました。

ここ数年で購入した中でも買ってよかったーとしみじみ思える数少ない電化製品です。

というわけで、いま現在も使用中です!

コウデン 電気ひざ掛け毛布 KWS-H120
B000BMZVAQ

20120128の購入

ついったで見かけて、そうか出てたんだわ! と気がついて買いに行きました。

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (3) (まんがタイムKRコミックス)
きゆづき さとこ
4832277693


以上、購入。

最初の発売予定からずいぶん経ったなあと、ちと感慨深かったです。

ついでににじゅうねんぶりくらいに消しゴムとかも買いました。
先日はボールペンを買ったのですけどね。
久しぶりに手書きをしようと思いたったのですが、手が字を忘れきっておりまして、ごく簡単な漢字すらまともに書けないのでびっくりです。
あんまりひどい間違いは本人が見るのが苦痛なので消してしまいたいと思ったわけでした。

『空想オルガン』

空想オルガン
初野 晴
4048740970


[Amazon]

読了。

全国大会を目指す弱小吹奏楽部のひと夏を軸に、日常の謎とからみあう人間ドラマを描く、ミステリ短編集。ハルチカシリーズ、三作目。

収録作品は以下の通り。


序奏
ジャバウォックの鑑札
ヴァナキュラー・モダニズム
十の秘密
空想オルガン



はー、面白かった。

あっというまに最新作までやってきてしまいました。
これは近年の私にはたいそう珍しいことです。というのも、図書館でシリーズ物を借りるとたいてい何ヶ月も間が空いてしまうからなのですが。
しかしまだそんなに知名度がないのか、このシリーズはすいすいと続きが読めるほど簡単に借りられたんですねえ。

でも、とても楽しいシリーズです。

元気なフルート初心者、チカちゃんこと穂村千夏視点でおもに語られる物語は、テンポよく登場人物も常連になって掛け合いが軽快。お話の意外な展開や謎の奇想天外さ、そこにまつわる人間ドラマの足のついた雰囲気等々、読んでいてよい意味で裏切られるここちよさ。

冒頭、チカちゃんの語りが過去を追想するものになっていたため、物語との距離がほんのすこし遠ざかって、郷愁めいた感じがしたので、いくぶん向かい合う真剣度も増したかもしれません。

チカちゃんは始まってみればいつもどおりの猪突猛進。
多士済々なゲストもインパクト十分でした。
ハルタがすこし元気がないようでしたが、決めるべき所は決めてたし。

吹奏楽部の面々の青春真っ盛りながんばりっぷりと、同時にかれらが直面する奇妙な出来事は、いつもどおりのお話ですが、かれらとはかかわりなく交差していく出来事が、おなじだけの比率で展開していくのは、どこかドキュメンタリーをみているような、不思議な感覚をもたらすお話でした。

今回は、前巻で期待した草壁先生関係ではほんのぽっちりとした進展しかなかったですが、これまで謎に包まれていた(?)ハルタの家族が登場して、それがまたたいそう衝撃的なお方だったので、びっくりすると同時に笑い転げてしまいました。

お話や道具立て、臨場感などはとてもリアルなのに、キャラクターはかなりデフォルメされてるのが、このシリーズの愉快な所だなと思います。

チカちゃんがすぐに話相手とつかみあいを始めるのは、もうお約束ですねw

吹奏楽部はどんどん成長してて、つづきがとても楽しみです。

シリーズ開幕編はこちら。
退出ゲーム (角川文庫)
初野 晴
4043943717

20120123の購入

発売日なので予約本を受け取りがてら本屋に行き……びっくりしました。
閉店してる!

張り紙によると二十日には閉まっていたらしいです。
うわああああん。腰が砕けそうになりました。

幼稚園児の時、ディズニー絵本を買ってもらって以来の、わたしのメインリアル書店だったのに。
高校・大学の時はほぼ日参。
それからもずっと、本屋に行くといってまず最初に訪れるのはこの書店だったのに。

チェーン店ではないからと安心していたのに、まさかの出来事にあぜんぼう然です。
理由は「道路再開発のため」だそうです。
どこかに移転して再開、ということもないみたい。

これで最寄り駅の本屋は残り三軒。
すべてビルテナント入りのチェーン店なのでいまいち信頼のないところばかりです。
わたしの本読み歴史におおきなうつろが空きました。しくしく。

ヴィンランド・サガ(11) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
4063878015


というわけで、しょんぼりとしつつも以上購入。

この表紙、まさかトルフィン?

『宮廷神官物語 鳳凰をまといし者』

宮廷神官物語 鳳凰をまといし者 (角川ビーンズ文庫)
榎田 ユウリ カトー ナオ
4044491119


[Amazon]

読了。

朝鮮王朝風異世界宮廷陰謀ファンタジー。シリーズ八冊目。


麗虎国の田舎で育つが、ひとの心を見抜く力をもった慧眼児と判明し、若く優秀な神官・鶏冠の指導監督のもと、宮廷で神官見習いとして暮らすことになった少年・天青。宮廷では王太子の座をめぐっての勢力争いがはげしく繰り広げられており、聡明で民を思う第二王子・藍晶と懇意になった天青たちも数々の陰謀に巻き込まれるようになった。天青の兄貴分として武官を務めていた曹鉄は王太子の象徴である宝剣を受け継ぐ第一王子だったと判明し、第二王子の政見に不満を持つ王の母・賢母に担がれて王太子への名乗りを挙げてしまう。曹鉄の豹変と、曹鉄に距離を置くように命じる鶏冠に納得が行かない天青。そんなおり、隣の大国・陶の太子の視察の知らせが飛び込んできた。



心の機微を丁寧に描く、宮廷陰謀もの、ファンタジー風味です。

前巻より、幼なじみの曹鉄が死んだと思われていた第一王子と判明したせいで、民のための政策を快く思わない賢母様と対立することになった藍晶王子陣営の苦難がひきつづきますが、なすすべなく操られていた曹鉄が自覚しはじめ、さらにあらたな人物の登場と、話はドラマティックに展開していきます。

このエピソードに入ってから虞恩賢母様の理不尽にむっとしていたわけですが、彼女の過去がわかればむげに切り捨てるわけにも行かなくなるし、きっと彼女をうごかしてる黒幕にもそういう背後関係があるんだろうなーと思わされる。

人間という存在のもろさ、愚かさ、おそろしさと、共存する強さ、いとおしさ。
善悪では割り切ることの出来ないのがこの世界であり、人間たちです。

そこのところを宮廷という場所でシリアスに表現するとこうなるのだろうなー。

これまでもそうでしたが、権力闘争は相当過激です。でもどろっどろな感じにならないのは、主人公がまだまだ子供の天青であることと、女であるために王位争いの蚊帳の外に置かれている櫻嵐姫の器の大きなイイ男ッぷりのおかげかと思われます。

櫻嵐姫が登場するとスカッとさわやかに空気が澄んでいく気がする。
女官たちが騒ぐのも無理はないよなーと思うのでありますwww

それに対して、王様のふがいなさ。これは話の肝だとわかっておりますが、どーしてこの優柔不断なお方からこんな気っぷのいいお方が生まれるのか、正直わかりません;

王様ご健在であるかぎり、麗虎国宮廷の不安定はつづくのでしょうねえ。
つぎの標的が鶏冠になりそうな気配なので、ハラハラドキドキ、わくわく(←オイwww)しながらつづきが届くのを待っています。

いえ、世間ではとうに刊行済みでありますが。
宮廷神官物語 書に吹くは白緑の風 (角川ビーンズ文庫)
榎田 ユウリ カトーナオ
4044491127

『初恋ソムリエ』

初恋ソムリエ
初野 晴
4048739980


[Amazon]

読了。

弱小吹奏楽部の存続と繁栄にむかってつきすすむ女の子と幼なじみの、青春ミステリ短編集。
『退出ゲーム』につづく通称「ハルチカ」シリーズの第二作です。

フルート初心者のチカこと穂村千夏の元気な一人称で語られる、テンポのよい日常ミステリです。相方というかホームズ役の美少年ハルタこと上条春太とのかけあいも楽しく、軽妙な雰囲気です。

収録作品は以下の通り。


スブリングラフィ
周波数は77.4MHz
アスモデウスの視線
初恋ソムリエ



話は連作の形にはなってますが一冊まとめての仕掛けはなく、廃部寸前だった吹奏楽部が少しずつ成長していく姿が軸になってます。

前巻ではひたすら部員集めに奔走していたチカちゃんたちが、普門館で行われる全国大会を目指すと公言してて、うわ、成長したなあ、というより大きく出たなあ、という感じ。

いっぽうで、同じ人物に片思いしてさや当てを繰り返す、チカちゃんとハルタのやりとりが笑えます。

さらに吹奏楽部外から事件を提供してくれる文化部や生徒会の変人たちも楽しいのです。

吹奏楽部の音楽的な成長もきちんと書いてあって、そのあたりのすこしだけ専門的な部分も興味深いです。

ミステリに疎いわたしにはよくわかりませんが、謎解きとしてもけっこう面白いんじゃないでしょうか。

現代的なアイテムや問題が多数とりあげられていて、それはこのシリーズ以前の作者さんの持ち味に通じます。

同時に、光のあたる日常をのほほんと歩いていると、足下に隠れて潜んでいる深い無法の闇を突きつけられる驚きにどきりとする。

ただ、たしかにこういうことが過去も今も現実にあるんだろうななと思わせてくれるリアルに、闇にいるものの孤独や辛苦が、やりきれない切なさを感じさせて話が奥深い。

社会的なシステムからおちこぼれてしまった、もしくはそれではすくうことのできない、弱者の存在を忘れない。

わたしはこのシリーズのそのあたりに魅力を感じるのだと思われます。

単行本を読みましたが例によってすでに文庫も出てます。
初恋ソムリエ (角川文庫)
初野 晴
4043944551


さらにシリーズの続編も刊行済みです。
空想オルガン
初野 晴
4048740970

『風の王国 春の使者』

風の王国 春の使者 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086015013


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読了。

政略結婚で吐蕃王に嫁いだ唐の公主の波乱万丈を描く、少女向け歴史小説。シリーズ二十二冊目。


吐蕃王ソンツェン・ガムポの妃となり重い事実を打ち明けられた翠蘭は、王太子ラセルの花嫁選びのためツァントゥーを訪れていた。ツァントゥーは当主が吐蕃の家臣となったことをなかなか認めたがっていない。ラセルの将来のために政治的かつ人を見る判断力が問われる任務だ。翠蘭は四人の花嫁候補を紹介されるが、周囲のためになかなか公平な状況で観察することが出来ずにいた。そのうち翠蘭は、ツァントゥー内部の勢力争いと、それにかかわる重大な事実を知らされるが――




翠蘭、ラセルの花嫁を選ぶの下巻です。

政治的な駆け引きと欲深い人間の卑劣な金もうけ。
それに巻き込まれる無力な人々の悲劇に、立ち向かう意志を持ちつづける勇気。

あいかわらずシビアな展開ですが、今回は深い苦悩と悲しみの中で女性の強さ、母の子供への愛情がひとすじの光のように感じられるのが救いでした。

ツァントゥーの当主で頑迷なゴワルの妻ツェサの述懐にしみじみとしました。
ソンツェン・ガムポの妻ともなれたはずの自分の娘時代の決断と、それが招いた辛苦。
それでも彼女は彼女なりに懸命に力を尽くしてきたんだなあ。

その長き状況を時期がよかったとはいえ、あっという間に覆してしまった翠蘭は、やっぱりスーパーウーマンでございます。

花嫁候補の女の子たちの個性と立ち居振る舞いがそれぞれに印象深く、こんなにぎゅうぎゅうな展開なのにきちんと花嫁選びの根拠がわかるのもよかったです。

しかし……はやくもラセルは尻に敷かれそうな気配ですねww

人間を所有物と考えるのはなにも過去ばかりではありません。
現在のさまざまな暴力や虐待の原因も、そんな考えが引き起こしているような気がします。

深い人間観察と事件の展開にミステリ的な要素も感じられるお話でした。
面白かったです。

例によってつづきも刊行されています。

風の王国 山の上の賢者 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086015390

『退出ゲーム』

退出ゲーム
初野 晴
4048738984

[Amazon]

読了。

現代日本の高校生が主人公の、青春ミステリ連作短編集。

収録作品は以下の通りです。


結晶泥棒
クロスキューブ
退出ゲーム
エレファンツ・ブレス



ダークで幻想的な『漆黒の王子』『水の時計』の作者さんの、ミステリ面をつよく押し出した短編集です。
雰囲気も青春物らしいあかるさがあって、読み出したときは戸惑いました。
日常の謎の話だったので;

まあ、それが嫌いなわけではないので、読み進むにつれて慣れていき、そのまま、すこしラノベっぽい雰囲気のキャラクターが活躍する青春ミステリとして楽しみました。

ヒロインのバレー部出身でいまは吹奏楽部員と、高校生になって再会した幼なじみの男の子ハルタのコンビのやり取りが軽快です。

話もたんなる謎解きではなく、登場人物の感情に深い関わりのある展開になっていて、読みごたえがありました。

それに、次第に作者さんらしい現実の厳しさをかんじさせるエピソードも取り上げられていき、最後の一編であきらかになる史実には言葉を失いました。

それまで昼の明晰さに隠されていた夜の慟哭がいきなり表面化したみたいだった。びっくりしました。
やはり、『漆黒の王子』を書いた人の作品だった、と思いました。

面白かったです。
じつは去年最後に読んだ本だったのですが、感想を書くのが遅くなって申し訳ないです。

単行本で読みましたが、文庫になってます。
退出ゲーム (角川文庫)
初野 晴
4043943717


それと続編もすでに文庫になってる模様;
初恋ソムリエ (角川文庫)
初野 晴
4043944551

『訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語』

訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語 (光文社新書 352)
笹原 宏之
4334034551


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読了。

日本人がいかにして漢字で日本語をあらわすために工夫を重ねてきたか、それによって日本語の表記が豊かになった反面、多岐にわたりすぎて理解するのが難しい部分も増えてしまった、というようなことが具体例とともに丁寧に解説されています。

漢字の訓読みは漢字文化圏ではどこでもしていたようですが、訓読みを体系づけて日常的に使用している国は日本だけなんだそうで、そこからして目からうろこでした。

中国では漢字は意味より音の方が重視され、現在使われている簡体字も意味ではなく音が同じもので代用しているんだそうな。なるほど、それで「なんでこれでこういう意味になるの?」ってのが多いのですねえ。

逆に日本では漢字は意味の方が重視されて訓は意味の方に寄り添った使い方。
しかし、長年の間にいろいろな紆余曲折を経て、最初とは全く違う意味で使われていることもそうな。

読んでいるといろいろと、へえええ、な事柄が多くて興味深かったです。

世界で一番訓読みされているのはアラビア数字である、とか。トリビアですな。
だけどアラブ世界の数字は世間一般のアラビア数字とは違うのですー、ということも書いてありました。うん、それは習った。

日本で独自につくった国字も、意味の方から作った字が多いそうです。
あと、ひとつの言葉にはひとつの漢字をあてがうという法則が働いて、もともと二文字だったのが部首に縮まって一文字になった、というのが面白かった。

インターネット時代の造語などにも触れてありちょっとびっくりしましたが、著者はJIS規格だのの選定に携わっている方だそうで、それならば当然か。

めずらしく新聞の書評欄でみつけて読んでみた本です。
ひとつひとつの事例の部分はすこし面倒くさくなりましたが、これまでなんとなく感覚でやっていた漢字表記を具体的に説明してもらって、腑に落ちることが色々で面白かったです。

以下は目次。


はじめに

第一章 訓読みの歴史
 訓読みとは何か/訓読みを体系的に行うのは日本だけ/日本での訓読みの始まり/時代によって移り変わる字義/日本語と結びついて変化した字義/国訓と国字

第二章 音読みと訓読み
 音読みの世界/訓読みの効用の例/専門用語と訓読み/音読みと訓読みの境界/音訳と訓読み/音訓の交替/「ポータラカ」が「晃」に/「時計」――湯桶読み

第三章 多彩な訓読み
 大げさな字の訓読み/町や村の読み/固有名詞の訓読み/幽霊文字/読まれない漢字/長い訓読み/数字の訓読み/ローマ字の「訓読み」/世界の文字と日本の訓読み

第四章 訓読みの背景
 机/蝕む/「かげ」と「ひかり」/もえる/皿/入/する/木/「いそぐ」と「いそがしい」/なみだ/たま/まつりごと/もみじ/ばら/でこぼこ/すばる/場/炒/雷/オンス/ノック

第五章 同訓異字のはなし
 同訓異字/誘と哘/貰うと囉う/卵と玉子/風と風邪/「初め」と「始め」/「堀」を「掘る」/「明らか」と「諦める」/「極める」と「決める」/「書く」「掻く」「描く」/うるさい/妖と艶/色々な「くろ」/わけ

第六章 一字多訓のはなし
 一字多訓/空/生/上下/男と女/打つ/匂/蛙/戦/禿

第七章 漢字政策と訓読み
 訓読みと送り仮名/振り仮名・ルビ/口語と訓読み/漢字仮名交じり文と訓読み/訓読みの危うさ/漢字表と訓読み/名乗り訓/日本人の姓

第八章 東アジア世界の訓読み
 中国における「訓読み」事情/朝鮮・韓国における「訓読み」事情,ベトナムにおける「訓読み」事情

おわりに

『アレクサンドロス変相 古代から中世イスラームへ』

アレクサンドロス変相 ―古代から中世イスラームへ―
山中 由里子
4815806098


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読了。

古代マケドニア王のアレクサンドロスの像が、どこからどのようにつたわり、理解され、伝播していったかを古代から中世のイスラーム圏において検証する。

ひさしぶりに読んだ学術本。イスラーム関係をかじったことのあるわたしでも苦労したので、初心者にはおすすめしません。が、歴史がどのように形づくられていくかを実感するには、とてもよい文献であったと思います。

真実の歴史なんて、ほんと、誰にもわからないことだよなあとしみじみ感じました。
たとえ、その事柄をじっさいに体験したひとだって、すべての事象を把握して客観的な真実を理解することなどできない。

まして、後世のものが自分の知らない物事を知ろうとするなら、それはすでに語り記した人個人の視点という枷がはめられたものでしかないわけで。

しかも、そもそも記された歴史は初めから意図を持って書かれたもののほうが多いのですよね。

さらに、このアレクサンドロスのイスラーム圏における伝承がまったくの偽情報から発しているということに、ちとあたまを抱えたくなりました。

関係ない事物に有名人物の名を関連付けちゃう伝承って、いまでいうならゴシップ誌とかワイドショーとか都市伝説のようなものかなあ;

アレクサンドロスの蹂躙を受けたゾロアスター教徒のアンチキャンペーンにも、イスラームの拡大期をアレクサンドロスの大征服に重ね合わせてみせる改宗者のアレクサンドロス一神教預言者説にも、なるほどねえと思った。

アラブ人とペルシャ人の歴史認識というか表現方法の差みたいなものとかも面白かったです。
事柄を端的に並べるアラブ人と、一遍の物語に仕上げなければ気が済まないペルシャ人。
リアリストとロマンティストみたいな感じなのかな、とか。

そしていま現在わたしたちが歴史と称しているものの、どこまでが本当でどこまでが他人の意図した歪みなのかなと考えてしまって、ちょっと悩んでしまいました。

でも悩んでみても仕方がない。
見る人の分だけ視点はあって、それぞれが体験した事実もそれぞれにあるのだから。
そのなかから、より多くの人の視点を共有したものを、歴史と認めていくしかないのだろうなあ。

そうして、時代とともに認識が変わるから、あとになって読み替えることも可能になるというわけですね。

ひさしぶりにたくさん頭を働かせて読んだ一冊でした。

以下に目次を記しておきます。


序章 歴史と虚構の狭間のアレクサンドロス

 I アレクサンドロスに関する知識の源泉――古代世界からイスラーム世界へ――
第1章 偽カッリステネスのアレクサンドロス物語
  1 物語の生成
  2 東方への伝播
  3 物語の内容
第2章 ギリシア・ローマ古典史料におけるアリストテレスとアレクサンドロス
  1 天才と天才の出会い
  2 アリストテレスに宛てたインドの不可思議についての書簡
  3 アレクサンドロスへの忠言の手紙
第3章 イスラーム以前のイランにおけるアレクサンドロス
  1 ペルセポリス焼尽
  2 大王の記憶
  3 ササン朝ゾロアスター教文献におけるアレクサンドロス

 II 預言者アレクサンドロス
第1章 「二本角のアレクサンドロス」
  1 『クルアーン』第一八章「洞窟」八二―九七節
  2 「二本角」の正体
  3 アレクサンドロスにまつわるシリア語キリスト教伝説
  4 一神教とアレクサンドロス
第2章 イスラーム世界におけるアレクサンドロスの神聖化
  1 タバリーの『タフスィール』
  2 預言者伝集
  3 ディーナワリーの『長史』
  4 ニザーミーのアレクサンドロス物語

 III 哲人王アレクサンドロス
第1章 「君主の鏡」文学におけるアレクサンドロス
  1 「君主の鏡」とは
  2 アダブ文学と先行文明の影響
  3 サーリム・アブ・ル=アラーの「アレクサンドロスに宛てたアリストテレスの書簡集」
  4 『秘中の秘』
第2章 アダブからヒクマヘ
  1 アリストテレスの忠言
  2 アレクサンドロスの金言
  3 「インドの裸行者」との問答
  4 アレクサンドロスの最期

 IV 歴史叙述の中のアレクサンドロス
第1章 初期のアラブ歴史学――ハディースの時代
  1 歴史としてのイスラーイーリーヤート――ワフブ・ブン・ムナッヒブ
  2 スィーラの歴史観――イブン・イスハーク
  3 イブン・ヒシャームの『王冠の書』
  4 征服史とアレクサンドロス――イブン・アブド・アル=ハカム
第2章 非アラブの貢献――ペルシア、ビザンツの遺産
  1 『列王伝』の翻訳――イブン・アル=ムカッファア
  2 ビザンツ、キリスト教史学の影響
第3章 万国史の登場――ハディースからの解放
  1 事典的歴史――イブン・ハビーブとイブン・クタイバ
  2 物語的歴史――ディナワリー
  3 博識と原点批評――ヤァクービー
  4 ハディースへのこだわり――タバリー
  5 時代の知の集成――マスウーディー
第4章 権力の地方分散と歴史――東方イスラーム世界を中心に
  1 ブワイフ朝下の歴史家
  2 サーマーン朝下における近世ペルシア語の台頭
  3 ガズナ朝スルタンたちの「アレクサンドロス模倣」
  4 セルジューク朝期の歴史書
  5 歴史の指標としてのアレクサンドロス

終章 超越と限界を体現する男

あとがき

註 巻末
原典資料 巻末
参考文献 巻末
付録「偽カッリステネスのアレクサンドロス物語」諸系統 巻末
図版出典一覧 巻末
索引 巻末


20120104の購入

2012年になって初めての本屋行きです。

夏目友人帳 13 (花とゆめCOMICS)
緑川ゆき
4592193636


以上、購入。

今年の初購入は夏目でした。
そういえばアニメの第四シーズンがもうじき始まるのでしたっけ。

そのほかは買い漏らしたカレンダーとか宛て名書き用マッキーとか台所用ぬめり取りとか、およそ所帯じみた買い物でしたww

優雅にかふぇーで読書などしてみたいですが、そんな体力も財力もないのです;

ごく個人的な2011年ベスト

2011年に読んだ中から個人的に面白かった&好きな本です。2011年に読んだというだけで、刊行されたのは違う年のものも多いです。というかほとんど違います。順番はたぶん読んだ順で他に意味はありません。

ちなみに2011年に読んだ本は再読を含めて160冊でした。

感想を書く気力がないので、タイトルと書影だけあげてみます。

・長野まゆみ『カルトローレ』。新潮社。
カルトローレ (新潮文庫)

・青木祐子「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー」シリーズ。集英社コバルト文庫。
ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと月の降る城 (コバルト文庫) ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人 (コバルト文庫) 恋のドレスと陽のあたる階段 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫) 恋のドレスと翡翠の森 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫) キスよりも遠く、触れるには近すぎて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫) 恋のドレスと花ひらく淑女 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫) 聖者は薔薇にささやいて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)

・ケイト・フォーサイス「エリアナンの魔女」三部作。徳間書店。
エリアナンの魔女1 魔女メガンの弟子(上) (エリアナンの魔女 1) エリアナンの魔女2 魔女メガンの弟子(下) (エリアナンの魔女 2) エリアナンの魔女3 黒き翼の王(上) (エリアナンの魔女 3) エリアナンの魔女4 黒き翼の王(下) (エリアナンの魔女 4) エリアナンの魔女5 薔薇と茨の塔(上) (エリアナンの魔女 5) エリアナンの魔女6 薔薇と茨の塔(下) (エリアナンの魔女 6)

・ジャクリーン・ケアリー『クシエルの矢』『クシエルの使徒』『クシエルの啓示』。ハヤカワ文庫FT。
クシエルの矢〈1〉八天使の王国 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの矢〈2〉蜘蛛たちの宮廷 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの矢〈3〉森と狼の凍土 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの使徒〈1〉深紅の衣 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの使徒〈2〉白鳥の女王 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの使徒〈3〉罪人たちの迷宮 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの啓示〈1〉流浪の王子 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの啓示〈2〉灼熱の聖地 (ハヤカワ文庫FT) クシエルの啓示 3―遙かなる道 (ハヤカワ文庫 FT ケ 2-9)

・ブランドン・サンダースン『ミストスピリット 霧のうつし身』『ミストクローク 霧の羽衣』ハヤカワ文庫FT。
ミストスピリット―霧のうつし身〈1〉遺されし力 (ハヤカワ文庫FT) ミストスピリット 2試されし王 (ハヤカワ文庫FT) ミストスピリット 3 (ハヤカワ文庫FT) ミストクローク ―霧の羽衣― 1 新たな救い手 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-9) ミストクローク―霧の羽衣― 2古からの声 (ハヤカワ文庫FT) ミストクローク―霧の羽衣〈3〉永遠(とわ)の大地 (ハヤカワ文庫FT)

・妹尾ゆふ子『翼の帰る処 3 歌われぬ約束』上下巻。幻狼ファンタジア文庫。
翼の帰る処(ところ)〈3(上)〉歌われぬ約束 (幻狼ファンタジアノベルス S 1-5) 翼の帰る処 3 ―歌われぬ約束― (下) (幻狼ファンタジアノベルス)

・五代ゆう『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー』全五巻。ハヤカワ文庫JA。
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ (ハヤカワ文庫JA) クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅡ (ハヤカワ文庫JA) クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅢ (ハヤカワ文庫JA) アバタールチューナーⅣ (クォンタムデビルサーガ) アバタールチューナーⅤ (クォンタムデビルサーガ)

・榎田ユウリ「宮廷神官物語」シリーズ。角川ビーンズ文庫。
宮廷神官物語―選ばれし瞳の少年 (角川ビーンズ文庫) 宮廷神官物語―少年は学舎を翔ける (角川ビーンズ文庫) 宮廷神官物語  渇きの王都は雨を待つ (角川ビーンズ文庫) 宮廷神官物語  ふたりの慧眼児 (角川ビーンズ文庫) 宮廷神官物語  慧眼は主を試す (角川ビーンズ文庫) 宮廷神官物語  王子の証と世継の剣 (角川ビーンズ文庫) 宮廷神官物語  双璧の王子 (角川ビーンズ文庫)

・初野晴『漆黒の王子』。角川書店。
漆黒の王子 (角川文庫)

・乾石智子『夜の写本師』。東京創元社。
夜の写本師

並べてみるとシリーズ物が多かったかなあと思いました。
そして去年のわたしはハヤカワ文庫の回し者だったような気がする。や、タイトルは三つだけなのにシリーズばかりだったのでリンクが多かったんだわ。(疲れました;)


以下はその他の印象に残った本です。

伊藤計劃『ハーモニー』。粕谷知世『ひなのころ』。篠原まり『イングールの天馬 上下』。ジェイン・オースティン『高慢と偏見』。辻村深月『凍りのくじら』。霜島ケイ『カラクリ荘の異人たち』。ゲイル・キャリガー『アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う』。マリー・ルツコスキ『ボヘミアの不思議(ワンダー)キャビネット』。多崎礼『夢の上』。中井久夫『私の日本語雑記』。



ごく個人的な年間ベスト一覧

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

昨年は後半たいそう感想が滞りまして、ここの更新がなかなかできずに申し訳ありませんでした。
それというのも、読む速度ががくんと落ちてしまったのでございます。
本が読み終わらなければ感想など書けるわけもない。
読めない書けない更新できない、負のスパイラル発生です。

原因は集中力の欠如。
もう歳だしなあと遠い眼になったりいたします。

身体にもあちこちに支障が発生し病院通いが絶えず、落ち着かないことこのうえなき一年でございました。

そんなわけで、今年も速度の回復はあまり望めそうもありませんが、のんびりまったりと続けていくつもりですので、気が向いたらのぞいてみてください。

2011年のベストは、えーとこれからピックアップしてみます……;