『宮廷神官物語 書に吹くは白緑の風』

宮廷神官物語 書に吹くは白緑の風 (角川ビーンズ文庫)
榎田 ユウリ カトーナオ
4044491127


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読了。

元気な男の子が宮廷の陰謀の中で走り回る、朝鮮王朝風異世界ファンタジー。
シリーズ九冊目は外伝短編集です。


書に吹くは白緑の風 ――天青、就学直前の譚――
宮廷女官ものがたり ――初夏、井戸端の譚――
舞姫は夢を見る ――秋、競い舞の譚――ノベル&コミック
御膳女官ものがたり ――遥かに高き、石塔の譚――
少年たちはノリゲをさがす ――忘られぬ、恋唄の譚――
ケナリの精は舞う ――春爛漫、再会の譚――

あとがき



田舎育ちの野生少年・天青が慧眼児であることを鶏冠に見いだされて、宮中で暮らすために神官書生になり、宮廷の権力闘争に巻きこまれ、いろんな事件を仲間たちと乗り越えていくシリーズの外伝集です。

地に足のついた端正な文章と、キャラの立った印象的な登場人物の楽しいシリーズで、今回も安定した楽しさを満喫できました。

いつもははたから支える役割の脇役のひととなりがわかるのと、おなじみキャラクターのお約束イベントが目白押しでたいそう面白かったです。

天青はまだ無邪気さの多いやんちゃさがかわいいし、鶏冠は心配性で苦労性で女装の似合いすぎて気の毒だし、櫻嵐姫の器の大きないい男っぷりにはキャーと黄色い悲鳴を上げたくなります。しかも、彼女意外と可愛いし!

そのほか、御膳女官のはなしに「チャングム」を思い出したり、神官書生のあこがれ櫻嵐姫付き女官の紀希ちゃんの特技にびっくりしたり、いやほんと、ただただ楽しんで読みました。

どこにもひっかからずに無心に楽しめる娯楽小説ってよいですねー。

子犬たちがじゃれあってるような神官書生たちのわらわら感も好きですわー。

シリーズはこれから佳境みたいですが、はやく続きを読めるといいなと思います。
すでに刊行はされてるんですけどねorz

宮廷神官物語 運命は兄弟を弄ぶ (角川ビーンズ文庫)
榎田 ユウリ カトー ナオ
4044491135

『嘘つきは姫君のはじまり 千年の恋人』

嘘つきは姫君のはじまり 千年の恋人 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
408601548X


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読了。

平安朝を舞台にした身分詐称の宮廷ロマンス小説、シリーズ十一巻の完結編。

権勢を誇る藤原家の隠し子の姫として主の馨子の代わりに内裏に上がった侍女・宮子の、ミステリあり誘拐あり陰謀ありの恋愛小説。

シリーズはじめはミステリ分が濃いめで、それがわたしのツボだったのですが、次第に恋の三角関係がメインになって、しかも主役二人のその雰囲気がめちゃ糖度が高く、秘するが花みたいなのが好きなわたしにはどうも居心地が悪い展開になってしまいました。

それにミステリがどんどん減ってくし;

読み終えて、おーい、と思ったのですが、ほかの方の感想を読んでみて、この話は「史実を曲げずにいかにして宮子の恋を成就させるか」がメインの、読み手に向けたミステリだったのかーとようやくわかりました。

それって史実を知らない、物語だけを楽しんでいるひとにはあまり親切ではないのでは………、いや、ロマンスメインで読んでいれば十分なのか………。

そのほかには、平安朝の日常生活のあれやこれやをたのしみにして読んでいたわけですが、貴族の生活と庶民の生活の落差や武家の台頭を読んでいて、あら、これって今年の大河ドラマの先取りかもしれないと思ったり。

もともとわたしは平安朝の宮廷絵巻が大好きというわけではないので、庶民生活との落差を描いてくれたのは嬉しい点でした。

さらわれて救出劇が多かったのと、東宮があまり好みではなかったのがわたしの敗因だったかなー。

キャラクター的には文句を言いながらもみんなの世話を焼いてくれて、そのわりに報われない蛍の宮が一番のお気に入りwww
先日刊行されたばかりの番外短編集も、蛍の宮の話は読んでみたいなあと思います。

嘘つきは姫君のはじまり 貴公子は恋の迷惑 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086016168


嘘つきは姫君のはじまり 夢見るころを過ぎても 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
408601615X

『妖姫ダルシベラ グウィノール年代記2』

妖姫ダルシベラ - グウィノール年代記2 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011540


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読了。

魔法のある物語世界とそこに住む生物たちがいきいきと描かれる、ヒロインたちの冒険異世界ファンタジー。シリーズ第二巻。


忌み嫌われる《呪肉》のもたらす力のおかげでダルモリカ公国大公姉オルウィナによる政変を逃れた大公の姪アラストリナと侍女メルは、首都シャナキャスケルから伯父のいるラスモリオン公国へ、《遺物捜し》ガウアーの道案内で荒れ地をゆくことになった。巨大な長虫・丘引蟲の襲来、厳しい気候、歩きづめの後の野宿と慣れないメルにはきつい日々が続く。そんなおり、水の補給に立ち寄った帝国の遺跡で三人はさらなる窮地に陥った。いっぽう、カシェンドン大公家の三男に嫁いだオルウィナの娘ダルシベラは、その美貌と身につけた針の修練で母親のいいつけを果たすために宮廷内を暗躍しはじめる。



第二巻は一巻に増して面白かったです!

都シャナキャスケルから逃亡し、荒野を行く若者三人組の道行きは波乱の連続。
年上の統率者を失って、頼りになるのだかならないのだかいまいち不明なガウアーの道案内にすべてを託すしかない状態。
ガウアーの能天気な明るさと、少女たちのおたがいを気づかう気持ちが支えです。
トリナとメルの間にはダレも入り込めませんねwww

冒険ファンタジーそのものの展開をするトリナ&メルの荒野パートとはべつに、ダルシベラとカシェンドン大公家の娘ブリュニェをメインにすすむ宮廷パートは欲望と陰謀の渦巻くサスペンスフルな展開です。

一巻ではその美貌と裏腹の性格の悪さがきわだっていたダルシベラちゃんですが、意外に無垢な一面を見せてくれます。けっこうかわいいです。しかし、そのぶんだけ彼女の行為の恐ろしさが際立つという展開になっておりまして、一般人代表のブリュニエちゃんと一緒にブルブルと震えて読むのがよいのではないかと思われます。

かわいいと怖いは両立するのですね……!

個人的に針というのがそれだけで、イヤーーーーッと叫びたい代物なので、「バターのように埋め込まれる」とかリアルな描写にひえええええっと怖気を震ってました。ひいひい。

いったいどこでこんなわざを身につけたんでしょうダルシベラ。
あの母さんが英才教育を施したんだろうけど。魔法ではないから帝国とは無関係なのかなとは思いますが、修練という表現がコワイ。
修練というからにはそれによって達成する目的がなにかあるのだろうと推測しますが、それがなにかを考えるのがコワイ。
きっとオルウィナ母さんの希望に沿っているのですよね、そうですよね、オルウィナさん激コワイです。

それと次第に、というか正直に言うとけっこうはやいところで明らかになってくる旧帝国の事実がまたコワイ。シビアー。そしてグロいです。

滅びた文明とともにうしなわれた魔法、という設定だと、旧帝国の遺物やそのわざを受け継ぐものがなにかと神格化されがちなのですが、このお話の場合はそこで意表をついてます。

そして、歴史は生きのびた者たちの都合で編まれていき、ことなる種族間の相克は視点と状況による利害関係の違いから生まれるのだなー。たいそう現実的です。

奇想天外なファンタジーであることと、地に足のついた物語であることは、まったく矛盾しないのだよなあとしみじみと感じ入る次第です。

異世界ファンタジーであることの意義を中心に据えた大きな物語になりそうですね。

それから印象的なのは、人間以外の生き物の描写がこまやかなこと。
家畜や怪物や化け物もどきも質感を感じとれるように描かれていて、きちんとこの世界に生きているのが感じられます。

それで気づいたのですが、作者さんの作品では異形も彼岸の住人ではなく、人間とおなじこの世界に住む者として描かれるのだなということ。
死者やなにかの象徴ではなく、生物の種類のひとつのように存在するのですね。
だから、わたしのようなファンタジーにどっぷりとつかってきた人間にはSFみたいな感触を受けるのかもしれません。

そういえば、昨今ひろがりつつあるパラノーマルファンタジーにはそういうところがありますね。
パラノーマルの世界では、吸血鬼も人狼も、かつて異人種との間にあった意識の隔たりを描くための新たな装置みたいなところがあるような気がします。

もうひとつ、帝国人のしていたことは今現在人間がしていることに重なるのですね。
「いのちドラマチック」とか「銀の匙」とか、思い出してしまいました。
たぶん、帝国人がとりたてて残酷だったわけではないんだな。
そういうものだと思っていれば、そういうことをするのが当然だと思うのがふつうなんだろうな。
と感じました。

閑話休題。

完結編の第三部は、四月に発売予定だそうです。
どうやら舞台は再びシャナキャスケル。
トリナとメル、ダルシベラとブリュニエ。ヒロインたちの今後がすっごく楽しみなのです!

そしてこっそり弥勒様(犬夜叉の)状態なガウアーの行く末も心配していますw

魔城の乙女 - グウィノール年代記3
縞田 理理
4125011966

『恋のドレスと白のカーテン ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

恋のドレスと白のカーテン ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ)
青木 祐子 あき
4086016141


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読了。

ヴィクトリア朝のイギリスを舞台に、仕立て屋の娘と公爵家の跡継ぎの身分差恋愛を描く、少女向けロマンス小説。シリーズ二十七冊目にして完結編。

発売日に購入してその日のうちに読んで、たいそう楽しかったのですが、感想が延び延びになってました。すみません。

あまりにも楽しかったんで、何度かシーンごとに読み返してたりしたんですよねーw

クリスとシャーリーの長きにわたった恋路も、ついにフィナーレとなりました。
お話的にはもう前巻で片が付いてるので、この巻は映画でいうならエンドロール中に流れる後日譚、みたいな感じでした。

一時的にアメリカに追放(笑い)されたシャーリーの前向きなんだけど悶々とした日々やら、クリスの大胆な行動や、ハクニール家の跡継ぎ問題や、そのほかのいろいろ。

ようするに乙女的に結婚式は絶対に外せないわ、ということなのでしょうw

とにかくシャーリーがいろんなところで笑えて笑えてしかたないのと、シャーリー母のソフィアさん最強伝説がゆるぎないものになったなあと、そのあたりがわたしの楽しみどころでした。

イングランドとアメリカとの文化風俗の違いとか、階級に横たわる価値観の埋めようのない溝とか、いろいろとこまやかな配慮のゆきとどいた描写がすばらしかったです。

じつのところ、お話的には、公式にこれを後日譚として出さないほうがよかったんじゃないかなー、読み手の想像におまかせにしておいたほうがよかったんじゃあと、と思う所もあったりした。

つまり公爵家の跡継ぎ問題ですが。
これのせいでめでたしめでたしなラストにけちがついた気がしたので。
しあわせいっぱいなところに水をかけるのはなんなので自粛しますが、未来がとても心配ですよ、おばさんは。

ともあれ。
主役二人以外はその後の幸福も想像できるラストだったし、とにかくシャーリーがつねに楽しかったので、ここで思考停止しなさいと自分に言い聞かせることにいたします。

シリーズ全体を見渡すと、闇のドレスがらみのサスペンスミステリの色がどんどん薄れて、ロマンスメインになっていったのがわかります。

闇のドレス関連の登場人物たちがいつのまにかな感じで退場してしまった時は、すこし拍子抜けしたものでしたが、いまとなればそういうお話として最初から読みたかったかな。

でも、話はだんだんと成長していくものだから、そのはなひらくさまを目の当たりに出来た喜びがこのお話を読む醍醐味だったかなと、思います。

個人的にはアントニー君にもなにかが訪れて欲しかったなー。
ジャレッドのその後もおなじようにあいまいなままでしたが、思い入れに段違いの差があるので。
無念なりw

シリーズ開幕編はこちら。

恋のドレスとつぼみの淑女 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086007169

『ほんとうのフローラ 下 一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事』

ほんとうのフローラ 下 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イザボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013422


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読了。

次から次へとやってくるピンチに悪態をつきながら時に敢然と時に破れかぶれで立ち向かう女の子の、どたばた冒険異世界ファンタジー、三部作の第二部完結編。

あらすじは上巻のネタバレになるので割愛。

すんごく面白かったです。
魔法と歴史と人間関係が渦を巻く怒濤のようにめまぐるしく展開するお話はまったく先が読めず、本筋からどんどんそれていってるのではと不安になるほどでしたが、最後には無事につじつまが合いました。

これって構成力の勝利なんだろなー。先読みできないのに伏線がしっかりと張ってある。しかもその伏線がわたしにはほとんどわからなかった。ただわたしの頭が悪いだけかもしれないけどね;

驚きの展開には驚きの事実の暴露も含まれてます。
上巻も悲鳴の連続でしたが、下巻はもっとひどかったすごかった。
そんなのあり!? と何度か非難しそうになりましたが、ちゃんと第一部からあったのですよね伏線が。

とりあえず、クラックポット屋敷のフュルドラーカ家とおなじくらい頻繁に出てくるビルスキニール屋敷、その当主でいまは滅びたハすラーさ一族がこの巻のキーポイントです……とこれくらいは書いてもいいだろうと思います。

第一部にもビルスキニール屋敷と魔法執事パイモンは出てたしね、それもけっこう重要な役割だったし。それが何故なのかという理由が今回よっくわかりました。

フローラはあいかわらず尊敬するニニ・モの言葉を胸に運命を呪いつつ立ち向かいます。

脇を固めるひとびとの個性的すぎる存在感も健在。
ホットスパー(無鉄砲・短気)と呼ばれるパパも、アクサカヤ卿も、おしゃれなウードも、豚のぬいぐるみも、馬のミスター・ホース(!)もそれぞれに大活躍しています。

なかでもビルスキニール屋敷で出会うタイニー・ドゥームはかなりぶっ飛んだ女の子でした。
上巻のゲストキャラだったズズも大概ヘンテコな子でしたが、タイニー・ドゥームは圧倒的だったw

そんなわけで話はどこに跳んで行くかわからないは、出てくる人物に何をされるかわからないはで、生きた心地がしないお話でした。
本の終わりの残り数ページで、話がようやく終息に向かいつつあると知った時の安堵感といったらなかったですwww

なのにさ!
なのにさ!

こんなとこで終わるか!www

訳者後書きを読んでようやくこのシリーズが三部作と知り、ため息をつきました。

つまり、つづくのね。そうなのね。

そうじゃなかったら出版社に向かって呪いを送っていたところです;

で、本国では2012年5月刊行予定と書かれてる第三部の、できるだけはやい日本語版を願って呪い祈りを送ろうと思います。

第三部ではひとりめのフローラの謎も判明してほしい。

シリーズ開幕編はこちら。

二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イサボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013333

『嘘つきは姫君のはじまり 少年たちの恋戦』

嘘つきは姫君のはじまり 少年たちの恋戦 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086014939


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読了。

平安朝少女向けロマンス小説、シリーズ第九巻。

最初に「ミステリ」とつけたのが詐欺になってしまったようなラブラブあまあまな話になってきましたよ。

今回は次郎君と真幸との対決がメインですね。サブタイトルで確認しましたw
ここまできてしまったら、もう話はほとんど終わったも同然だと思えるのだけど、まだ続くんだw

宮子が馨子さまと身を寄せている初瀬の寺のひとたちが楽しかったです。
五節の姫と小さな姫子のふたりと尼君さまたちですね。

それと、わたし的に別格なのは苦労性の蛍の宮。
女性たちにも弟にも振り回されてて気の毒この上なく、悪いと思いながらも普段カッコつけてる分あたふたする様がかわいらしくて笑ってしまうw

振り回されてるといえば、宮子の幼なじみ真幸は気の毒どころでなく、不幸そのものですが、かれはすべての経験を糧にして生きていける人だと思います。

冒頭に出てきた四切刀をめぐる物騒なお話。
冒頭だけでなかではすっかり忘れ去られてますが、その絡みで話をまとめるのかなあと想像しておりました。

もう、続きは読んじゃったのでどうなったかはわかってるのですが。
まあ、その通りだったと書いておきまする。

つづきはこちら。

嘘つきは姫君のはじまり 初恋と挽歌 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)
松田 志乃ぶ 四位 広猫
4086015412

「コントラコスモス」

志度勇魚さん作「コントラコスモス」読了。

近世ヨーロッパ風異世界歴史長編小説、完結済み。
“聖都コルタ・ヌォーヴォを舞台に、毒物師ミノスと周囲を取り巻く人間達が織り成す物語”

センスあふれる文章で様々な距離の人間関係を陰影深く描く、豪華で劇的でありながら端正なたたずまいのおはなし。
たいへんに面白かったです!

大人表現がありますので、暴力などが苦手なかたはご注意。

20120310の購入

新刊ゲットのために本屋に行きました。

花咲く森の妖魔の姫 (ウィングス文庫)
縞田 理理 睦月 ムンク
440354178X


以上、購入。

前日大雨だったのと発売日に入荷しそうもなかったので、一日遅れで行きました。
でもやっぱり棚になくて、えーんと思ったら、配荷ワゴンの上にあるのを発見。
店員さんが棚にさす前にすかさず手にとって、会計カウンターに突進しました。

念のためもう一軒のぞいたらそこにも一冊あって、思わず買いそうになりましたが、なんとか思いとどまりました;

読むのが楽しみですw

『ほんとうのフローラ 上 一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事』

ほんとうのフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イザボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013414


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読了。

奇想天外ドタバタ異世界ファンタジー、『二番目のフローラ』の続編。


カリファ国で魔法執事の管理する屋敷を持つ名家のひとつフュルドラーカ家の一員ながら、母親が魔法執事を追放したせいで家事いっさいを背負っていた少女、フローラ。魔法と陰謀の絡む一大事件を乗り越えて十四歳となった彼女は、家族の和解ののち大幅に改善された状況を満喫しているはずだった。ところが、軍隊に入らない宣言は母親に留保されたまま、正気になった父親は暴君として屋敷に君臨し、フローラを部下のように取り扱い、命令拘束し、軍事教練まで施す始末。秘密部隊に入りたいフローラは反体制派のリーダー、ファイヤー・モンキーに魔法を学ぶため、夜中に友人のウードとともに反体制派のリーダーであるファイヤー・モンキーの出演するクラブへとむかうが、トイレにあらわれた奇怪な触手に襲われたうえ、反体制派の暴動に巻き込まれてしまう。



次から次へと湧いてくるアクシデントに罵りながら立ち向かうフローラの、悪戦苦闘のドタバタ冒険ファンタジーの続編です。

飛んでもない設定とぶっとんだ登場人物によってめまぐるしく展開するストーリーに、フローラと一緒に翻弄されるのがこの話の正しい読み方……なのかなあ(笑。

フローラは伝説となった秘密部隊の隊長ニニ・モに心酔する女の子。
あらゆる困難にニニ・モの自伝(暗記している)をひもといて雄々しく対処しようとし、かなり無謀なヒロインです。そこからしてもう、普通の女の子のかわいい冒険に収まらないのは明らか。

この無謀で頑固なヒロインを生み出した両親もまたふつうではなく、母親のバックは多忙を極める陸軍大将、父親のホットスパーは過去の痛手からよみがえった今は激烈な性格をあらわにし、家と娘を軍隊式に律しつくそうとする退役軍人。

姉のイデンもフュルドラーカ一族の伝統にのっとり軍人となって地方の砦に駐屯中。

軍人にはなりたくないフローラは秘密部隊の隊員になるべく、魔法言語の習得に向けて行動を開始します。

フローラと一緒に行動するのは幼なじみの少年ウード。イカレタおしゃれ好き。
かれは前巻では無謀なフローラをひきとめようとする役だったのですが、最近たくさんの弟妹の世話をするのに飽きてきたのか、やさぐれて道を踏み外そうとしている所。

というふうにフローラの個人的な事情を軸に話は進みますが、背後にはウィツィル帝国の植民地一歩手前のカリファ国の政治的な状況と、かつて隆盛を誇ったものの没落した名家の残した魔法の負の遺産がうごめいていて、双方の波が危機的に高まった所にいあわせたフローラは、突然いまいましい日常から、死と隣り合わせの非日常にふっとばされてしまうことに。

この、ふたつの流れがぜんぜん関係ないようでいて、ときに絡み合ったり、並行して進んだりするあたりが、興味深いです。この話、魔法がぜんぜん神秘的じゃないんですけど、そのごちゃまぜ加減が不思議な感覚をもたらしてて、面白いなーと思う。

それに、前作に引き続いての出演となる、もとウィツィル帝国の妖術使いアクサカヤ卿がすんごく魅力的で、かれの登場シーンにドキドキしてしまいます。なんとかれのお供はケツァールなんですよー。

アクサカヤ卿とフローラの接近に対するパパの反応が笑えました。

それと、ウードが一目ぼれした女の子ズズのいけすかなさときたら天下一品www

おかげでウードの無軌道ぶりに拍車がかかってこちらもまた飛んでもないことになっちゃって。まあまあ。

はたして、フローラは数々の困難を克服してカリファ国を救うことができるのか。
そして念願の秘密部隊に入ることができるのか。

姉のイデンの消息は。

話の落ち着く所を含めて数々の疑問を解決するため、はやいところ下巻を読みたいものでございます。

ところで、魔法執事のバレフォールがすっかりしぼんじゃっててちょっと可愛そう。
なんて思ったのは間違いでした;

ほんとうのフローラ 下 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イザボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013422


家族が自分勝手にふるまうので迷惑するけど、負けずに自分勝手に突き進む主人公と、ドタバタ展開でにぎにぎしいストーリーが、ちょっとダイアナ・ウィン・ジョーンズに似ているような気がするのですが、するだけかな;

『《呪肉》の徴 グウィノール年代記1』

“呪肉”の徴―グウィノール年代記〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011311


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読了。

忌み嫌われ、迫害される“徴”を身に帯びた少女と公女、ふたりのヒロインの異世界ファンタジー。
シリーズ開幕編。


両親を失い伯父の家に厄介になっている少女メルは、三月前から腕に出来た気味の悪いものに不安を募らせていた。それは《呪肉》と呼ばれて嫌われるよくないもののように思えたからだ。《呪肉》憑きは畸端検査官に連れてゆかれたきり、人の噂にも上らない。なんとかして腕を元に戻そうと、ひそかに街のすべての祠に願を掛ける一日参りを敢行したメルだが、あと少しという所でなんと畸端検査官と出くわしてしまった。窮地に陥ったメルを救ったのは、二脚竜に乗った少女アラストリナ。変わり者と噂されるダルモリカ公国の大公家ハイナマシーの娘だった。



これはとっても面白かったです!

自分の意志を持って貫き通そうとする少女メルと、やんごとなき生まれながらずっと信用できるものがいない環境で育った孤独な少女トリナ。

対称的ながらおなじ悩みを抱えたヒロインふたりの出会いからしてスリリングですが、彼女たちの住む公国、ひいては物語世界の生き生きとしたあらましがなんとも素晴らしい。

とくに、異世界ファンタジーによくある中世西洋風の世界の借り物ではなく、独自の環境、歴史、そして不思議が丹念に描かれているところが嬉しいです。

象徴的なのが《呪肉》と呼ばれる古代人の呪い。
それは突然、人にも植物にも動物にも現れる可能性のある、徴。

その詳細は読んでのお楽しみということでここでは省きますが、これがとても奇怪で、ひとびとから恐れられ、忌まれるのも仕方がないと生理的に思わされる変化であることが、擦れたファンタジー読みのわたしにも、おおっと思わせてくれました。

いまやセカンドサイトごときではだれも驚かないものなー。
むしろ、その事で悩む主人公にさっさとカミングアウトすれば、なんて感想を平気で言っちゃうような世間になってしまったのですよ。

みんなが気味悪いと思うから差別するのよってことを肌で感じさせてくれるこの設定は、勇気があるなと思うと同時に、なんとなく昔の、まだSFのおまけとしてしか認識されてなかった頃のファンタジーの独特さを彷彿とさせてくれてなつかしかったです。

これ、呪いが呪いとして処理されず、きちんと理論があったらSFになりそうだなーと思ったり。

それと、呪いが反転すると恩恵であることは常道で、この作品でもそのこともきちんと書かれてます。
ところが、それを補ってあまりある異形感。便利に使われたりせず、呪いによってもたらされる力も人々の忌避感を増すものとしてあつかわれます。ので、そのことを《呪肉遣い》たちもひた隠しにしています。

このあたり、作者さんはどこかグロテスクなものを描くのがおとくいなのかなとわたしは勝手に思っているのですが、その資質が遺憾なく発揮されている。

読みながらぞくっとしつつ、同時にドキドキ興奮している自分を感じましたw

しかも、ヒロイン以外の登場人物も魅力たっぷりで、とくにトリナの従姉妹・美しきダルシベラ姫の異様な存在感が圧巻!

次巻のタイトルロールでもあるダルシベラからは、怖いものみたさから目が離せませんwww
(ちょっと意味は違うけど「クシエル」シリーズのあのひとを思い出しました)

というわけで、《呪肉》のメカニズムや呪いの正体をもっと知りたい、という好奇心と、ヒロイン二人の波乱万丈なこれからを想像して、わくわくです。

つづきをすぐに読んでしまいたいのだけど、まだ完結はしていないのですよね。
たっぷりひきのばして楽しもうか、さっさと読んでつづきを首を長くして待つか、どちらにしようか悩んでおりますww

それと、ちょこっとしか出てこないんだけど、竜が! 竜が!
わたしも竜に乗りたーい!

妖姫ダルシベラ - グウィノール年代記2 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011540

『金星特急 2』

金星特急 (2) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541534


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読了。

謎の美女・金星の花婿になるためにミステリートレイン“金星特急”に乗り合わせた男達の、死と隣り合わせのSFロードノベル。第二巻。

不安定で混沌とした近未来の地球で、候補者を血も涙もなくふるいにかけて誰も知らない目的地に突き進んで行く、“金星特急”。
それぞれの思惑から列車に乗った、錆丸、砂鉄、ユースタスの三人組の見舞われるアクシデントと同時に物語世界が次第に明らかになって行くのが面白い、なんとも説明しがたい物語です。

そもそも花婿を募集している金星とはなにものなのか。
なぜその花婿になるとこの世の栄華が思いのままになるのか。
そして候補者を金星の元に連れて行くという金星特急はどこを目指しているのか。
しかも、金星特急の候補者振り落とし方法がひどくて、脱落者はすべて死に至るという恐ろしさ。

謎ばかりのなかでの生き残りは、野生の勘と培った経験、つよい生存本能に強烈な運が必須な模様。

発車間際に知りあって、たまたま(?)行動を共にすることになった三人組の個性とやりとりもキャラが立っていて面白く、かれらのサバイバルがつづくストーリーそのものの奇想天外ながらも筋の通った展開で興味深く、金星特急をとりまく各国の思惑が意味するものを想像して、ぐいぐいと読まされてしまいました。

相変わらず、話の行方はまったく見えませんが、おかげでこれからどうなるのーという好奇心が募ってなりません。

シリーズはこの時点で五巻まで既刊の模様。

しかしわたしは事情によりまだ三巻も手にしておりません。
はやくよみたい……。

金星特急 3 (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541615

20120301の購入

発売日なので本屋に突撃!

恋のドレスと白のカーテン ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ)
青木 祐子 あき
4086016141


以上、購入。

行った本屋のどこにも店頭に並んでなかったので、あちゃあ、と思いましたが、最後の一軒で店員さんに訊ねたら、まだ出してなかったとのこと。
でも、一冊しか入荷してなかったので、危ういところでした。

このシリーズ、おなじ本屋で平積みしてあった時もあったのに。
完結編なのに。

コバルトそのものの店内スペースが激減しているので、全体的に売り上げが落ちてるってことなんでしょうね。

ともあれ、無事げっとできたので一安心です。