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『メキト・ベス漂流記 王族の力』

メキト・ベス漂流記 王族の力 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ 橋 賢亀
4041100712


[Amazon]

読了。

貧しい島から口減らしのために圧政者の元に差し出された少年少女が、美しく不思議な力を持つメキト・ベスとともに困難を切り抜けていく、スケールの大きな異世界海洋冒険ファンタジー。三部作の第二巻。


故郷の島から離れ、ドバク公爵率いる赤の船団、スペシダレル伯爵の黒の船団に引き取られた少年ナオと少女エマ、そしてふたりの助けた幼子のような謎めいた青年メキト・ベス。船の生活で世界を支配する王の強権と圧政を目の当たりにし、世の中の理不尽さを思い知ったふたりは、メキト・ベスの存在の不思議さをも強く感じるようになっていた。ときならぬ大嵐の最中、スペシダレルを裏切った船長ニール・ゴーと船団から逃れてベルヌン島にたどり着いたふたりは、メキト・ベスとともに身を潜めた。しかし、ベルヌンで海岸に建設されていた塔が崩壊するという事件が起き、大工見習いをしていたナオは巻き込まれてしまう。ナオを救ったメキト・ベスは、気がつくと美しい女性の姿になっていた。



イメージ力に圧倒されてしまう、スケールの大きな物語です。
描かれる世界の画像的なこまやかさに驚嘆。
さすがに元漫画家さんだなあとうなります。

なんといっても凄いのは、帆船によって構成される大きな船団の様子。
赤の船団、黒の船団とそれだけでも凄かったのに、今回現れる白の船団の迫力には参りました。
林立する帆柱。風に膨らむ帆布。まるでお城のようにそそり立つ、圧倒的な力の象徴ですね。

それに海洋物ならではの、海の描写。
波のうごきや海の破壊力をあらわすイメージの豊かさにはぼう然とするほどです。

そんな海の迫力と拮抗する、人間たちの利己的かつ強欲な権力闘争のシビアなこと。

きびしい世界だなーと思います。

物語は波乱万丈ながらタイトな展開で、状況に翻弄される子供たちとともに読み手もずんずんと流されていくかんじ。

流されたはてにたどり着いた場所には、ひええと驚かされました。

このはなし、そういう話だったのね……;

どこまでもシビアにつづく異世界ファンタジーの終着点がどうなるのか、ものすごく続きが気になりますが、完結巻はすでに刊行されています。

メキト・ベス漂流記 最後の旅 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ
404110100X


ところで、派手な展開に比べて地味に描かれがちな登場人物たちですが、スペシダレルさんはひそかに萌えキャラなのではなかろうかw
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20120425の購入

発売日なので本屋に突撃しました。

六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ)
山形 石雄 宮城
4086306719


以上、購入。

あれ? 目当ては別の本だったのですが???

見当たらなくて店内をうろうろしてたら、「ええっなにこれ二巻が出てるよー発売されてたのか知らなかったぜー」とレジ行きになりました。

当初の目的本はついに見つからず。
きっとまだ入荷していなかったのに違いない。

悲しいので目的本を貼っておきます↓
夢の上 - サウガ城の六騎将 (C・NovelsFantasia た 3-9)
多崎 礼 天野 英
4125011990

創作サイトをスマートフォンに対応

創作サイト「夢の湊」をスマートフォン表示に対応しました。

長らく休眠状態の続いているサイトですが、いちおう気にかけてはおります;
iPod touchを所有するようになって、ずっと文字がゴマのように小さく表示されて見にくいのが気になっておりました。

このたび、ゆうりさんの「スマートフォンcssとpc用cssの自動振り分け」(ありがとうございます)をもとに、ページを一部書き変えてみました。
急場凌ぎの対応ですが文字が格段に見やすくなったのではないかと思います。

動作確認はiOSのSafari、Wi-Fi環境でおこなっております。

ひとのAndroidを借りてすこしだけ見たところでは、フォントの種類が違う以外はおおむねきちんと表示されているように感じました。

が、なにぶんそこつ者のしていることなのでなにか不具合を発見したら、ここのコメント欄や掲示板、もしくはメールフォームにて教えていただけると嬉しいです。

なお、無料レンタルを利用している掲示板とメールフォームの表示はもちろん利用者には変更できませんので、これまでどおりの表示でのご利用をお願いいたします。

20120417の購入

ネットで頼んでた本が到着しました。

仮面の貴族1 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562108

仮面の貴族2 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562116

仮面の貴族3 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562124


以上、購入。

待ちに待ってたつづきとはいえ、一冊千円一度に三冊はちときつかったです;

20120413の購入

発売日なので以下略。

最果てアーケード(2) (KCデラックス)
有永 イネ 小川 洋子
4063766241


以上、購入。

同じ作者さんの新刊マンガをつい先日買った本屋で、やっぱり新刊扱いされてなかった一冊を棚から引っこ抜いてレジへ持っていきました。

ほかの二軒は入荷しなかったのかもう売れちゃったのかでなかったので、とにかく最後の一軒にあってよかったです。

今月の新刊ラッシュもあと一冊か……ため息。嬉しいのに疲れるそんな一週間でした。

翻訳文庫の未入手分はもう近所には入らないだろうと見切りをつけて、ネットで注文しましたよと。

20120412の購入

病院帰りに本屋に突撃しました。

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205426


以上、購入。

その後、ほかの目当てをさがしてしばらくさまよいましたが、あやうく遭難しそうになってほうほうの体で帰還しました。

はああ。
本を買うって大変だなあ←あんただけです。

『響きの科楽 ベートーベンからビートルズまで』

響きの科楽
ジョン パウエル John Powell
4152092149


[Amazon]

読了。

音楽について、その響きについて、楽器の音色の違いはどこから生まれるのか、などなどを、客観的な物差しとして科学を用いながらもしろうとにもわかりやすい解説書。

これは目からうろこ本。

音響科学の専門家で趣味の演奏家の作者が、一般人にむけてふつうの言葉で具体的に書いた音楽についてわかる本です。

音響の専門知識はそれはしろうとには難しいものらしいですが、その理屈をできるだけ専門用語抜きで普遍的な言葉であらわしてくれているので、読んでいるうちに「そうだったのか!」と「なるほどな!」が交互に現れて爽快でした。

絶対音感についての幻想にたいする真実にはへええと思ったし(欧米人より中国人の方が持ってる確率が高いとか)、ただの音と音楽の音との違いの定義はふいうちだったし、楽器の音色の違いの原因にはほうーと思ったし、一オクターブの意味や音階の定義や楽器の調律のしかたやら、そのほかにもそれはもういろいろと面白かったです。

レコードとCD、CDとMP3の違いの説明まであって、そっか、ならばわたしにはMP3で十分なんだな、ラッキー! と思ったりw

音階の定義では、以前放送大学で見た平均律の講義がよみがえり、ああようやくあれの意味がわかったわ……と感慨深かったです。

映像実演付きのテレビよりも本のほうがわかりやすいって、すごくないですか?

以下は目次です。


1章・音楽とはいったい何なのか?
2章・絶対音感(パーフェクト・ピッチ)とは何か? わたしにもある?
3章・音と雑音
4章・木琴とサクソフォーン――同じ音でも響きがちがう
5章・楽器の話
6章・どれくらい大きいと大きいのか
7章・和声(ハーモニー)と不協和音(カコフォニー)
8章・音階の比較考察
9章・自信にあふれた長調と情緒的な短調
10章・リズム
11章・音楽を作る
12章・音楽を聴く

やっかいな詳細
 A.音程の名前と見分け方
 B.デシベル方式
 C.楽器を五音音階に調律する
 D.等分平均律の計算
 E.長調の音

謝辞
訳者あとがき
参考文献

20120410の購入

発売日なので本屋に突撃。

町でうわさの天狗の子 9 (フラワーコミックス α)
岩本 ナオ
4091344631


以上、購入しました。

もう一冊目当てがあったのだけどそちらは入荷しておらず。
この辺の本屋ではマンガはだいたい発売日当日に入るんだけど、書籍は遅れる模様です。

これ、雑誌と書籍の違いなのかなとふと思い至りました。
マンガは雑誌扱いですもんね。

というわけでこちらは次回に持ち越し。

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205426


ついでにこちらの三冊は本日発売予定なんですが、きっと今日は入荷しないんだろうなあ、ため息。

仮面の貴族1 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562108

仮面の貴族2 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562116

仮面の貴族3 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562124

『碧空の果てに』

碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
404873945X


[Amazon]

読了。

自分を突然否定された小国のお姫さまが、自分を殺さず生きていくための道を探して旅をする。
別の世界を舞台にしたおとぎ話めいた雰囲気の歴史小説。少女向け。


名馬を産する草原の小国、ユイ自治領の首長の娘メイリンは十七歳。人並みはずれた怪力の持ち主である彼女は父親に男であったらと嘆かせる賢く周囲の信頼も厚い姫でもあった。しかし、跡継ぎは弟と決まっており、メイリンの歳に気がついた父親は彼女の才能を否定した。女は男を支えていろというのだ。婿探しに奔走しはじめた父親に表向きおとなしく従っていたメイリンだったが、ある日、いつもの早駆けをするふりをしてユイを出奔する。ともはメイリンの挙動不審を見とがめて着いてきた弟の乳兄弟ティムひとりだった。




男装の麗人!!!

メイリンの人並みはずれた力持ち、という設定がぜんぜん滑稽にならない、むしろカッコいいと思える描写と展開に、こころのなかでキャーキャー言いながら読んでましたw

自分らしくありたいと願う姫君が、出奔した他国で見とがめられないように男装する。
その姿が思いも寄らずに似あってしまい、メイリンの元からの気質もあってだれも気がつかない。
男としてふるまうメイリンに心動かされるひとびと。しだいに居場所を獲得していくメイリン。
そしてうまれるほのかな恋心。

設定的にはラノベでも十分に通用しそうなお話です。
それを上品に、すこし遠回しに、視点をすこしだけ高く描いているのが、このお話が全体的におとなしめに感じられる理由でしょうか。

けれどその分、ひととひととのかかわり、国同士のかけひきなど、物語世界全体が登場人物たちのふるまいと密接にかかわりあって動いていくさまを描いても唐突さがなく、すべてを受け入れる包容力に繋がっているような気がします。

雰囲気的には、『天山の巫女ソニン』と似ているかも。
ただ、このお話に魔法的な不思議要素はありません。
メイリンの力持ち属性がそれにあたるかもしれませんが、それ以外は架空の歴史物といってもかまわないような。

物語世界は賢者の国シーハン、尚武の国アインスなどそれぞれの気候や風俗やなりたちなどの背景が端々にかいま見られ、とてもていねいにつくられていることが想像できます。

この、すこしだけ距離感のあるおとぎ話風の作風が、すべてを違和感なくまとめあげるのに大いに貢献しているなあと感心しました。

ラストもラノベ的でない余韻のある終わり方で、素敵でした。

面白かったです。

ところで、個人的に恋愛展開が物凄く早いのにびっくりしたです。
じつはメイリンもドン引きしてたりしてw

あとねー、メイリンの青い衣すがたに、なぜかナウシカが思い浮かびました。


どうやらおなじ世界を舞台にした続編が出ている模様です。

白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
4048741640

20120406の購入

発売日に本屋に突撃。

さらば、やさしいゆうづる (KCx(ITAN))
有永 イネ
4063805697


以上、購入。

三軒の本屋をぐるぐるした結果、本日発売の平積みではなく通常の棚差しに一冊だけ隠れていたのをようやく発見して引っこ抜いてきました。
どうして新刊扱いされてないのかよくわかりません:

あと、もう一冊文庫本を探してけっきょく見つけられずにへろへろで帰宅。
したら実は発売日が10日であることにあとで気づきました。
……あまぞんを真に受けるのではなかった。

閉店した行きつけ本屋跡地は、とうとう更地になってしまいました。
あそこはこれからどうなるのかなー。

『終わり続ける世界のなかで』

終わり続ける世界のなかで
粕谷 知世
4104506028


[Amazon]

読了。

高度成長期に生まれて終末予言に恐怖する女の子が、生きている意味をもとめてもがき苦しみながらすごしてゆく青春の物語。


1980年。新興住宅地に住む小学生の女の子・岡島伊吹はテレビでみたノストラダムスの大予言にショックを受けていた。1999年に世界は滅びてしまうのだ。自分は三十までは生きられないのだ。恐怖にふるえる伊吹に、親友の瑞恵は意外なことを主張した。だったら世界が滅びないように努力をするべきなのではないかと。美人で頭も良く、周囲の信頼も厚い憧れの親友の言葉に伊吹はうなずいた。それからふたりは世界を救うために自分たちが出来ることを模索しはじめた。



これは凄かった……。

1969年に生まれて、センシティブな時期に終末予言に出会い、恐怖から抜け出せずにつねに生きていくことの意味を考えてしまう主人公と、その彼女が出会う同世代のさまざまな人間、かれらの生きている時代が密接に絡み合って、つねに緊張感をたもったままつづいていく物語です。

終末への恐怖。
それをあおるようにおとずれる終末の幻視。
だれも理解してくれないという孤独感。
ただひとりの理解者と信じた友人との行き違い。

そして――。

同世代の若者との切りつけあうようなかかわり合いが描かれていく学生時代には、青春という濃密な時間の記憶がひりひりするように再現されていて、冷静には読めませんでした。

社会人になってからの展開は、おもに個人的理由であまり感情移入が出来なかったのですが。

大人になったはずなのにぜんぜん以前と変わらない自分、その自分を騙して大人を装っている自分への息苦しさや軽蔑、こんなはずじゃなかったと思いながら日々を過ごしていく重苦しさなどには、思い当たるところが多々ありました。

そして、この話のもうひとつの主役は、主人公たちが歩んできた時代そのものなのですね。
時代の流れはかれらの生活に密接にかかわりがあって、話そのものにもおおきなウエイトを占めています。
はしばしに当時の風俗や流行が紛れ込み、あのころに起きたたくさんのことが主人公の歩みに大きな影響を及ぼしていて。

読んでいて、わたしも確かにあの時代を生きていたなーとしみじみしました。

わたしはノストラダムスの大予言を真に受けたことは一度もないけれど、世界とその終末への恐怖は誰もが持っているものだ、という示唆には目からうろこが落ちました。

ひとは必ず死ぬのに何故生きていくのか。
生きていることに意味はあるのか。それはなんなのか。

なんども繰り返される問いに答えの出ない苛立ちと焦りをわたしもまた抱えています。

自分はなんのために生きているのか、生きていきたいのかという問いは、自分はここで生きていていいのか、生きている価値があるのかという不安の裏返しなのかな。

終盤はいささか急展開になったような気がするけれど、ラストで示唆されるひとつの見解には、ひとつの安堵を与えてもらったような気がします。

同時に「ロシアの神話」を読んでいたせいで、宗教の起源をいろいろ考えさせられたりしてました。

面白かったです。

ところで、これはファンタジーに分類してもいいのだろうか……。


残念ながら品切れ中ですが、こちらは同世代の子供時代に焦点を当てたちょっと不思議で、現実はシビアな、でも心温まる短編集。
ひなのころ (中公文庫)
粕谷 知世
4122049733

『ロシアの神話』

新版 ロシアの神話
フェリックス ギラン
4791752767


[Amazon]

読了。

原著は1935年刊の『世界の神話』。
翻訳は上記より「スラヴの神話」「リトワニアの神話」「スグロ=フィンの神話」を抜粋したもので1960年にみすず書房から刊行され、後に1983年に青土社より改訳新版されたものの新装版。

あの広大なロシアに住むたくさんの民族の精神世界をひとつにまとめた本なんてあるのかなあ、と疑問だったのですが、そういうわけでした。

しかも、厳密にはいま現在ロシアに住んでるひとびとの神話ではないような。

あ、ソ連崩壊前に出た本だからソ連イコールロシアということだったのかな。

でも、スグロ=フィン族でおおきく取り上げられてるのはフィンランドのカレワラだしなー。
とりあえず絶対的なロシアというものはやはり存在しなかったという認識に至りました。
まあ、日本民族とかいってもけして単一ではないので、ロシアでそれがあるわけがないよね、ということで。

しかし、このスラヴとリトアニア……文中ではリトワニアですが、神話の前提が全然まるでちがうよね。見えてる世界そのものがちがう。

わたしにはスラヴの方がより異質で、リトワニアの方が共感しやすかった。リトワニアの太陽神は女性なんです。月が男性。でもなにより森が一番大きな存在なんですね。

スグロ=フィン族はまず天という偉大な存在がいて、というあたりになんとなく中国っぽい雰囲気を感じたり。

そういえば、キエフはヴァイキングが建てたものだと書いてありましたね。たしかそういう本がサトクリフの物語にもあったような気がする。
スラヴの精神世界は記録として残される前に北欧神話とキリスト教の追加物件で強烈に型押しされてしまったように思われます。

リトアニアはヨーロッパで最もサンスクリット方言に近い言葉を持つ古い民族だとか。
田園に暮らし、他民族から頻繁に攻撃されてきた過去があって、あまり記録が残っていないということは、勝者ではなかったって事なんでしょうねー。

対して、スグロ=フィン族のフィン人は、民族のよりどころとして叙事詩「カレワラ」を集成します。ただ、時代が下ってからの編纂だったため、さまざまな他の要素が混じり混んでいて、原形を抽出するのは難しいらしいです。

人は移動し、影響しあうものですからこれは致し方ないことでしょうねえ。
根っこの部分は容易に変わらなくてもそれは表には出されないわけで、土地の風習や風俗などを丹念に洗い出していって初めて違いがあきらかになるのでしょう。

内容は概論的で記述に古さを感じる部分もあり、たとえばキリスト教ではないという理由なんでしょうけど、すべて「異教」と記すあたりに違和感がありありで、さらに固有名詞が傍点付きで表記されるのがみづらく、読むのがしんどかったですが、とても興味深い内容でした。

スラヴ史やリトアニア史、フィンランド史などを知っているともっと理解しやすかったかも。
てもとにおいて、探索の出発点にしたいような本でした。

この神話を下敷きにして異世界ファンタジーをだれか書いてくれないかしらー。
そしたらもっとわたしにも理解できる←おい!www
とくにリトアニアは面白いと思うのですよwww

以下、目次です。


スラヴの神話
 序論
 神々の誕生、原始的二元論,《ベロボーグ》と《チェルノボーグ》
 自然崇拝、田園の神々、「天」とその子供たち
 マーチ=スィラ=ゼムリャー(母なる湿潤の大地)
 田園の小神格たち,ドモヴォーイ
 人家に住む他の精霊たち
 レーシィ
 ポレヴィーク
 水の精霊、ヴォジャノーイ
 ルサールカ
 都市と戦争の神々
 歓喜の神々
 キリスト教時代におけるスラヴの異教神話

リトワニアの神話
 序論
 自然崇拝,聖なる森,樹木崇拝,動物崇拝,死者たちの魂,火への崇拝,天体
 リトワニアの主要な神々
 二次的な神格たち,小神格たち

ウグロ=フィンの神話
 序論
 《カレヴァラ》
 魔術とシャーマニズム(巫術),《カレヴァラ》に現れた魔術
 《カレヴァラ》の神々,天上の神々,世界の誕生,大地と水の神格たち,《カレヴァラ》の地獄,《カレヴァラ》の神話学的価値
 ウグロ=フィン族のアニミズム,物の持つ魂,神々の群,水の精霊たち,神話,ラップ族のセイダ
 結論

 訳者あとがき
 索引



そういえば、リトアニアだったかな、『金枝篇』の記述が思い出されるような部分がありました。
『金枝篇』は途中で放り出したままなので、つづきを読まなきゃと思いました;

『金色の獣、彼方に向かう』

金色の獣、彼方に向かう
恒川 光太郎
4575237469


[Amazon]

読了。

普通のひとびとの出会う怪異な事件を、元寇とともにやってきた不思議でおそろしい金色の獣の存在とからめて描く、幻想ホラー連作短編集。


異神千夜
風天孔参り
森の神、夢に還る
金色の獣、彼方に向かう



面白かったです。
超常現象よりもどうかすると人間のほうが怖いという恒川節が、今回も炸裂してました。

冒頭の話は珍しく歴史物。
いったいどの時代だろうと考えながら読みはじめましたが、鎌倉時代でした。
元寇の直前に対馬でうまれた少年の数奇な運命を歴史的な大イベントとともに描く、かなり過酷なお話。
同時に元寇における日本と南宋の関係をほぼ初めて知りました。(朝鮮と日本はなにか別の小説で読んだ気がする)
それに、モンゴルに征服されたあまたの民族の中で西夏の人が出てきたりもする。→『シュトヘル』!www

途中ででてくる謝国明という人物になんか覚えがあります。歴史の授業で習ったのだろうか。

それから時代はいっきに下って、のこりの三編はほぼ現代、昭和、さらに現代とちょっとノスタルジーを感じるところが舞台になります。

すべて異形の金色の獣の存在による超常現象にかかわったひとびとのお話で、しかし、メインになるのが超常現象ではなく、ひとの業のようなもの、事件そのものは現象に出会ったひとが生み出したものであることが、この作者さんのお話のホラーなところだなーとしみじみ思いましたです。

話を一見するとまるで新聞の三面記事のような雰囲気があるのもそのせいでしょうか。

現象はよいもわるいも関係なくそこにあるもので、出あった人間がその出来事をどううけとめるかで事態が変わる。

そのものすごく俗っぽくて猥雑で欲望にあふれて間違いだらけで裏切られて救われずに下降線をたどる悲惨な例が、ホラーになるのかなあと思ったりしました。

反対にピュアで世間知らずで志があって、他人を信じて最後に救われるのがファンタジーになるのかもとか。

というわけで、読後感がひええええ~っなことも多い恒川作品ですが、この作品集のしめくくりはそれほど悪くはなかったです。

悲惨は悲惨で、このまま事件はあちこちで起きつづけるんだろうなあうわーと思われるけれど、その事件の日常性も恒川作品のいやな持ち味(←ほめてます)なんだけど、金色の獣が人間のどうしようもなさとは別の次元で自由に生きてるって感じがするからかな。

日本が舞台になったぶん、物事がリアルに感じられて、前作よりもホラー色が増した短編集でした。

↓こちらはファンタジー色の方が濃い作品集です。
竜が最後に帰る場所
恒川 光太郎
4062165104
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