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『魔城の乙女 グウィノール年代記3』

魔城の乙女 - グウィノール年代記3 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 黒葉.K
4125011966


[Amazon]

読了。

しっかりと構築された物語世界の中で女の子たちが躍動する、中世西欧風異世界ファンタジー三部作の完結編。


ダルモリカ公国大公と父を惨殺し、大公代理におさまったオルウィナに復讐するため、アラストリナとメルはかつての帝都イドローンから公都シャナキャスケルに戻ってきた。呪肉憑きへの取り締まりがきびしくなり、町のあちこちで通行税が課され、魔の楽の音におびえて活気のなくなったシャナキャスケルで、アラストリナとその一党はオルウィナ打倒をめざして動き出した。いっぽう、シャナキャスケル城ではオルウィナの娘ダルシベラに命を握られたカシェンドン公国のブリュニエが、魔法師スイヴナの死人を動かす《甦骸》のわざを目の当たりにしていた。



面白かった。
とっても面白かった!

興奮して理性の箍が外れてるので、これ以上のことを書くとネタバレしそうになるくらい面白かったです。

三巻を読むにあたり、一巻と二巻をおさらいのため再読しておいたのですが、それがとっても役に立ちました。
読んでいて、ああ、あのシーンがここに繋がってたんだ! と気がつくことの楽しさを十分に味わえたからです。

とくに、一見、ただの世界説明やちょっとした枝葉みたいに思えていたエピソードが意外なプライベートに繋がっていたところに、うわと思いました。

そうだったんだ、そういうことだったんだ。

そういうところでいろんな深みが増して、お話世界がよりひろく奥行きのあるものに感じられて、そういうのがわたしはとても好きなんだなあとあらためて確認いたしました。

すらりと背の高く凛々しい、じゃじゃ馬姫ことアラストリナ。
小柄で芯の強い、きかん気侍女ことメル。
だれもが幻惑される奇跡の美女でありながら人間として決定的に欠落しているダルシベラ。
ダルシベラに命を握られ怖れつつも、しだいに魅了されていくブリュニエ姫。

適度にラノベっぽく個性がたっていて、生き生きとしたやりとりが楽しい登場人物たちの、うすぺらでなく、それぞれの人生をこのグウィノールで生きている存在感がたのもしいです。

世界の魔法の大きな話と、大公代理オルウィナとの攻防がダイナミックにリンクして、シャナキャスケル城でのクライマックスへとなだれ込んでいくさまに、わくわくどきどきでした。

魔法の話はほんとにもうてんこもり。
しかもそれがかなりのグロさをともなってたりして、いやー、この話○○○○の話でもあったんだなあ、としみじみしたりしました。

魔法のよい面と悪い面がものすごく極端で、悪い面の酷さがこれでもかとでてくるのが素晴らしい。

さらに、こんなに壮大で細部も豊かな話なのにきっちりと三冊にまとめあげた構成力。
敵討ちだけでなく、女の子それぞれに恋バナまで用意されてるんですよ〜。
ブリュニエのは相手がかってに叫んでるだけで終わるのかもしれないけどw

もちろん、女の子だけでなく男性陣もそれぞれに魅力的でした。
わたしの一押しはポプラのひとですw

とっても楽しくてつづけて二回読んでしまいました。
二回読んでも楽しさが減らなかったです。

まだいろいろと謎が残ったままだし、きえてしまったあれとかも気になるので、直接のでなくていいから、いやむしろ別の年代か別の国の続編希望です。

帝国末期の話とか、ティアマンドラの話とか、読んでみたいですv

“呪肉”の徴―グウィノール年代記〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011311
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20121126の購入

ネットで注文していた本が届きました。

魔城の乙女 - グウィノール年代記3 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 黒葉.K
4125011966

影の王国 上 (創元推理文庫)
ロイス・マクマスター・ビジョルド 鍛治 靖子
4488587062

影の王国 下 (創元推理文庫)
ロイス・マクマスター・ビジョルド 鍛治 靖子
4488587070


以上、購入。

「魔城の乙女」はうずうずと待ち焦がれていたのでさっそく読みはじめました。
事前準備(既刊再読)して手ぐすね引いていたのです。うふふ。

『太陽神の司祭 上 ヴァルデマールの嵐第一部』

太陽神の司祭 上 (ヴァルデマールの嵐1) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577180


[Amazon]

読了。

豊饒な物語世界の丁寧な描写が印象深い、異世界ファンタジーシリーズ・ヴァルデマール年代記の「ヴァルデマールの風」三部作に続く「ヴァルデマールの嵐」三部作の第一部の上巻。


長年敵対してきたヴァルデマールと同盟を結ぶことになった太陽神を仰ぐカース国。国を統べる〈太陽神の息子〉ソラリスが特使として送り出したのは腹心であり、かつての〈黒の司祭〉ウルリッヒだった。師ウルリッヒの書記としてヴァルデマールに足を踏み入れた若者カラルは、おぞましい噂と伝説に彩られていた敵国のほんとうのすがたを知って愕然とする。いっぽう、〈隼殺し〉のモーンライズから解放されたシン=エイ=インの若者アン=デシャは、恋人〈炎の歌〉とともにやってきたヴァルデマールになじめず、モーンライズの悪夢に未ださいなまれて孤独な日々を送っていた。



えーと、アン=デシャってだれだっけ……?

わたしの記憶はとても頼りなかったですが、読んでいるうちにだんだんと理解できました。
これまでの経緯の輪郭がわかるようにあちこちで情報が挟まれるからです。
あいかわらずですがとても親切な語り口ですね。

というわけで、本書は「ヴァルデマールの風」の直接の続きのようです。ちと自信ないけど巻末の年表を見るとそのはずです。

ということは、アン=デシャは「ヴァルデマールの風」からの登場人物になるわけですが、なぜそんな人物を忘れているのか自分;

「風」では、王女エルスペスがテイレドゥラスに入門して魔法を習い、〈隼殺し〉のモーンライズという邪悪な魔法使いと対決し、ついでにヴァルデマールにあった魔法が使えない障壁がなくなるような事件があったような気がします。なぜそうなったかは思い出せないのですけど、それでいちおうアン=デシャについては理解できました←おい;

もうひとりの視点人物であるカース国の若き書記カラルについていえば、完全に初登場なのでこちらは無問題。

むしろカラルの新鮮な視点でのパートの方が読みやすかったわたしです。

ヴァルデマールとカース国とには過去にも因縁がありまして、それはケロウィンが主役の『運命の剣』にある模様です。あの話はラストにびっくり仰天したことだけはっきり覚えておりますが、そこにいたるまではすっぽりと霧の中です。

なので、ケロウィンが何者か知らないカラルくんのおかげでとても助けられました。
シリーズ読者としては失格なのですが、まあ、いいや。

そんな感じで、なんとなく覚えはあるけれどもはっきりとは思い出せない世界を、視点人物よりちっとは情報持ってるぞな気持ちで読むのはけっこう楽しかったです。

そうそう、先日読んだスキッフの話でアルベリッヒの過去を仕入れていたのは役に立ちました。本当はアルベリッヒ主人公の話も読んでおきたかったかなと思いましたが、この本が出たときにはまだ翻訳が出てなかったわけですし、支障はありませんでした。

えーと、ここまでなにも感想を書いてないことに気がつきましたが、話自体もまだあまり動いていません。
旅をしながら、風呂に入りながら、過去のあれこれを回想しつつ説明するシーンが多かったのです。

あ、カラルたちの旅での食事がいちいち美味しそうでしたね。
〈使者〉はグルメなのに違いないw

後半、ヴァルデマールの宮廷にさまざまな立場を代表するものたちが一堂に会し、そこに鷲獅子のトレイヴァンの姿があるのに満足いたしました。

あと、さりげなく明かされた〈共に歩むもの〉の情報に口があんぐりでした。
そんなん、あり?w

下巻はこちら。
太陽神の司祭 下 (ヴァルデマールの嵐1) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577199

『五龍世界(ウーロンワールド)II 雲谷を駈ける龍』

五龍世界Ⅱ
壁井ユカコ
4591124487


[Amazon]

読了。

近代中国風で西洋風と日本風の異国も出てくる異世界ファンタジー。シリーズ第二巻。


龍によって生まれた五龍大陸。中域の五龍州兎雨県の妓女・碧耀は、“気”を見ることができる少女。都から来た役人の上官に身請けされることになり、相手が誰だか判らないまま、立派な牛・寧鳴号に乗って護衛と共に故郷を離れた。ところが、山岳地帯・新牌高地に入ったところで一行は賊に襲われた。親友の道士見習いユギに手渡されたお守りによって窮地を脱し、当座の目的地ラオ村までたどりついた碧耀は、極東の鉱山開発による龍脈の乱れによって苦しむ村人の姿を目の当たりにする。



二巻も面白かった!

一巻のヒロイン・ユギは色気なしの猪突猛進タイプでしたが、ユギの親友・碧耀はしっとりとした美貌をもち、受け身で考えすぎで身動きが取れなくなるタイプ。

その欠点を強烈に指摘されてさんざん罵倒されていろいろ苦労をして、自分のつくった枷から自由になろうと思い切るまでのお話です。

碧耀がお世話になる元妓女・老大嬢の個性が光り輝いてましたね。
老大嬢が碧耀の先生役なんだなーと思いました。たいそう厳しく愛想のない先生ですがw

碧耀の“気”をみる能力が人物造形にも展開にも十分に活かされてて、ユギとの関係もたんなる好意だけじゃない屈託のある心理描写があって、とても奥行きを感じました。

大きな物語としては、隣の島国・極東(ワ)のひとびとが登場し、第二次大戦前の満州みたいな状況がでてきます。
中域の反体制勢力・清和党の登場は清朝末期を思わせますし、碧耀が妓女なので、ちょっと『芙蓉千里』を思い出したりしましたが、だいぶ雰囲気は異なります。

基本シリアスですがディテールがコミカルなのです。

その最たるものが、一巻でたぶんヒーローで、たぶん二巻でもヒーローな、蠱に憑かれてる西域出身の残念ハンサム牧師イルラック。

とてもとても不幸な運命を背負ってるくせに、登場と同時にひとり漫才を始めるヒーローってw

しかも無自覚に女をたらしててねえ。やったことすら覚えてなくてねえ。事後に大いにうろたえたりしててねえ……あー面白かったww

他にも極東の軍人・武智大佐三十八歳とイルラックの会話や、符力の左慈の無感情なんだかちがうんだか微妙なところの碧耀への捨てぜりふやら、村の世話役一家やら、いろいろと楽しいところがありました。

中国的な世界観と西洋の科学的世界観が衝突しつつも、次第に共存していく様子が今回も興味深かったです。

とはいえ、それはまだイルラック個人のなかでしか起きてないようなんですけどね。

道案内で出てきたあのひとがじつはだったり、碧耀の落籍先がじつはだったりと、意外な展開が目白押しでしたが、それは読んでのお楽しみということで。

それより、2011年の夏に出たこの本のつづきがまだ出ていないことが問題ですね。

一巻がじきに文庫で出るようなので、大いに期待をしているところです。
つづき、つづきが読みたいですー。
イルラックと蛙さんのその後が知りたいですー。

シリーズ開幕編は文庫化されました。
(P[か]5-1)五龍世界 WOOLONG WORLD: I霧廟に臥す龍 (ポプラ文庫ピュアフル)
壁井 ユカコ
4591132153

20121122の購入

病院帰りにリアル書店に寄り道しました。

ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)
幸村 誠
4063878503


以上、購入。

……あれ?
もっと買う予定だったはずなのに?

未入荷&入荷予定なしということであと四冊は買えずじまいでした。
未入荷はしかたないんだけど、入荷予定なしが堪えました。

本屋自体が減ってるのに、減った本屋にも入荷しないとなると、結局ネットに走っちゃうんだけどな。

ぶつぶつ。

『背表紙は歌う』

背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)
大崎 梢
4488025366


[Amazon]

読了。

出版社の新人営業部員が主人公の、日常ミステリ連作短編集。シリーズ二冊目。


ビターな挑戦者
新刊ナイト
背表紙は歌う
君とぼくの待機会
プロモーション・クイズ



文芸中心の出版社の営業になった主人公“ひつじくん”こと井辻智紀の、書店まわりがメインの日常ミステリです。

出てくるのは書店員・取り次ぎ会社社員・出版社社員(営業・編集含む)・作家と、おもに本の流通に携わっているひとたち。

本好きには興味深い一冊でした。
出版社の営業なんて見知らぬ人たちかと思ってたけど、本屋で書棚をチェックしてる、あきらかに店員じゃないサラリーマン風のひとたちのことだったのですねえ。

へええ。

とくに文学賞の舞台裏。作家さんたち視点の話はエッセイなどでも見かけますが、出版社のしかも編集でもなく営業の視点は初めて触れました。

例によってミステリとしての出来はわかりません。お話も小粒な感じですが、それは日常ミステリを読む層には安心感に繋がるのかなと思ったり。

出版社の営業マンの日常、という点がわたしにはおもしろかったです。

ただ、ついうっかりシリーズの二冊目だということを知らずに借りて、知らないまま読み終えて、あとになって「え、そうだったんだ」と気づいたとほほな始末があります。

だから二冊目から読んでも支障はないですよーと断言いたしますが、普通の方は一冊目から読みたいだろうと推測するので、ここにリンクしておきます。

シリーズ開幕編はこちらです。
平台がおまちかね (創元推理文庫)
大崎 梢
4488487041

20121115の購入

通院帰りの乗り換え駅で都会の大規模書店に行きました。

幻國戦記 CROW -千の矢を射る娘- (GA文庫)
五代 ゆう 山本 ヤマト
4797371897


以上、購入。

この規模の書店に行くのは久しぶりです。
ハヤカワ文庫の平積みなんて、幾久しく目にしてなかったわ。ちょっと感動したw

めったに行かないのでフロアのレイアウトがまたぞろ変わってて、しかもショッピング街の数ヶ所に分散してたりするフロアそのものがジャンル替えしたりしてて、うろうろしちゃったです。

児童書がえらい辺境の地に押しやられてて、あー、売れないのかなーとため息つきました。

購入した本はコミック売り場に置いてありました。
ラノベはコミック扱いなんですね。
しかも、男子向けと女子向けでフロアの右端と左端に分割されてるの。
真ん中にコミックが山ほどあるのでたどりつくのが大変である。

20121113の購入

売ってるところを眺める(だけの)予定だったのに、なかなか見つからなかったので見つけたときには買う気満々になってましたw

かみのすまうところ。(1) (KCデラックス)
有永 イネ
4063767256


以上、購入。

これはよいですー。
宮大工のお話なんですけど、ファンタジーでもあります。
女の子(?)はかわいくて、もふもふもいるのだーwww

『獣の奏者 外伝 刹那』

獣の奏者 外伝 刹那
上橋 菜穂子
4062164396


[Amazon]

読了。

異世界ファンタジー長編『獣の奏者』の外伝集。
中編ふたつに掌編ひとつが収録されています。


刹那
秘め事
初めての……

あとがき



「刹那」は、エリンとイアルの幕間編。
「秘め事」は、エリンの理解者でカザルム王獣保護場の最高責任者のエサル師の若き日の回想。
「初めての……」は、幼児にふりまわされる若夫婦のほほ笑ましいお話。

でした。

一番興味深かったのはエサル師の話で、貴族の娘として生まれながらもその社会的に求められる役割になじめず、葛藤をつづける若い娘の苦しさと、物語世界における教育制度やその実態が具体的に描かれていて、面白かったです。

のちにエリンを育てるジョウン、医師の息子ユアンとの気の置けない学友関係はたのしくて、気骨ある研究者ホクリ師の存在感も抜群で、フィールド調査のシーンは面白くてなりませんでした。

だからこそ、生まれてしまった想いにふりまわされるエサルのせつなさもしみました。

あとがきに「獣の奏者」は児童文学ではないと書かれていますが、たしかにこの作品集は子供には理解できないだろうなあと思います。

過去の出来事を距離を持って振り返るエサル師の話などとくにそう感じました。

エリンとイアルの表題作はちょっと中途半端ではありましたが。
この話を読んで、作者さんは長編の方が向いてるような気がしましたです。
題材が日常的になるとなんとなくキレが鈍るような。

とにかく、本編は間違いなく面白かったので、まだ読まれていない方はまず本編を読んでから、ということで。

本編を読まずにいきなりこの本を読もうとする人はいないと思いますがw

本編は全巻文庫化されています。いつのまに!
獣の奏者 1 闘蛇編 (講談社文庫)
上橋 菜穂子
4062764466

『華竜の宮』

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
上田 早夕里 山本ゆり繪
4152091630


[Amazon]

読了。

大陸の大半が水没した未来の地球で、さらなる災厄を目前に懸命に人類の生き残りを模索する外交官の苦闘と、陸上民に排除されようとする海上民のサバイバルを描く、圧倒的スケールの海洋冒険未来SF。


大規模な地殻変動によって低地のすべてが水没した二十五世紀の地球。人類は滅亡の危機に晒されながらも生きのびた。だが、残された陸地にしがみつき情報社会を維持した陸上民と、遺伝子操作により危険な海で生きのびてきた海上民との間には、しだいに確執と緊張が高まっていた。陸上民は海上民の生態に無知なまま嫌悪し、はぐれた海上民の成れの果てで陸上を襲撃する獣舟の大量発生が問題に拍車をかける。日本政府の外交官・青澄とその人工知能アシスタント・マキは、アジア海域での紛争を解決するために海上民の長ツキソメとの会談にこぎつける。ツキソメは素性不明で年齢不明の謎めいた女性だ。青澄とツキソメは互いの立場を理解しあうが、ふたりの間にはさまざまな政府と官僚の思惑が横たわっていた。いっぽう、地殻変動の調査研究機関IERAの春原はふたたび起きる地球規模の災害の予兆を発見して戦慄する。



すごかった!
面白かった!

骨太なテーマと物語を緻密な設定と人間ドラマが支えて、ドラマティックに展開する、終末SFであり、海洋冒険SFです。

まず、海面上昇により人類が一度衰退した世界、というところからぐっと引き込まれます。

なんとか生きのびた末に生まれたあらたな社会形態。

情報技術を維持したままの陸上民の世界はまだ想像の範囲内でしたが、遺伝子改変により自らの体を改造して海へと生活の場を求めた海上民の暮らしが鮮烈でした。

母親の腹から生まれるこどもとその朋・魚舟。
魚舟の、とても人間から変化したとは思えない姿や生態も興味深いですが、過酷な環境でどちらもが生きのびて成人した後に得られるパートナー関係がたいそう魅力的です。

それから、パートナーを得られなかった魚舟が変化した獣舟の存在は衝撃的ですらありました。

陸上民のパートナーである人工知性アシスタントは、平たく言うならばAIなんですけど、このパートナーの存在は物語にも欠かせない存在になっています。

そんなSF的な設定を駆使しつつ、描かれるのは人類存亡の危機を目前にして世界じゅうの民のくらしのために言葉を持って奮闘する、日本政府の外交官僚・青澄公使の苦闘。

海上民の長のひとりとして巨大な船団をすべる女長ツキソメの、波乱万丈の人生。

陸上民のなかにはいりこんで少しでも海上民の権利を守ろうとする兄弟。

書きたいことはたくさんありますが、いちいち言及していると止まらないのではしょりますが、複雑な背後関係と迫るタイムリミットに翻弄されてのスリリングな展開にぐいぐいとひきこまれて、ほとんど潜水艦戦のようなクライマックスではなんども心の中で悲鳴を上げました。

しかも、こんなに現場主義の話なのに、俯瞰する視点がきちんとあって、ラストへのながれがとてもスムーズで納得できて、しかもとても深い感慨を誘うのに泣けました。

青澄公使は人間が人間として到達できるもっとも高い人間らしさを具現した存在のように思えました。
家族を持とうとしないかれのかたくなさは、かれ自身の考える理想の実現には必要不可欠だったのだろうな。

心に浮かんだのは人類のターミナルケアでした。
災害に備えるというのは、一時的なことではなく。
ほんとうはここまで考えなければならないのだなと、思い知らされました。

読んで二日経ちましたが、まだ物語が心の中から去りません。

ちょうど文庫化された模様ですので、興味のある方はぜひぜひ手に取ってみてください。
華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)
上田 早夕里
4150310858

華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)
上田 早夕里
4150310866


海上民の暮らしをもうすこし詳しく知りたい方はこちらの短編集の表題作を。
魚舟・獣舟 (光文社文庫)
上田 早夕里
433474530X


余談。
個人的には青澄公使のアシスタントパートナー・マキが好きです。
かれの存在は一部の層にかなり訴えそうなんですが、実際にはどうなってるんだろうかwww

「欠落パラダイム」

ナナツさん作「欠落パラダイム」読了。

寓話っぽい長編小説、完結済み。

閉鎖された白い世界で暮らす、一見しあわせな人々の物語。

キャラクターがとんがっていて面白かった。
感性のゆたかな文章が素敵でした。

『五龍世界(ウーロンワールド) 霧廟に臥す龍』

五龍世界(WOOLONG WORLD)―霧廟に臥す龍
壁井 ユカコ
4591118053


[Amazon]

読了。

元気な女の子が突っ走って壁にぶち当たる、近代中華風異世界ファンタジー。シリーズ開幕編。


口減らしのために親に捨てられたユギ。彼女は高名で慈悲深いがとても柄の悪い趙道士にひきとられて育った。すでに三十絡みだった道士はユギが十五になってもまだ独り身で、日常のことをとりしきるのは弟子の青年道士・左慈とユギの仕事だ。その日、いつものように仕事先で金勘定に奮闘した帰り道、ふたりは西域からきたとおぼしき青年が子供を追いかけている現場に出くわした。見れば青年の左足には強力な蠱が憑いている。道士として助太刀に入ったふたりのおかげで青年は人攫い未遂の容疑で捕まった。追われていた五歳くらいの子供には手首に真呪いのかかった鉄の鐶がはめられていた。



ていねいな物語世界の描写が好ましく、少女の成長がきちんと描かれてるお話でした。
面白かった!

世界は中華風で、でも自転車などが出てくるのが異色です。
文化程度はだから近代くらいかなと推測しました。

いきなり子供が置き去りにされるので身構えてしまいますが、ヒロインを引き取って育てた高名な道士さまは、外見がちんぴら風で柄が悪くて、でも人がよさそうで安心します。

おかげでヒロインも大ざっぱに育ってて、気が強くてがむしゃらではねっかえりで、でもひそかに師匠を慕ってたりする、かわいい女の子になりました。

このふたりに師匠の弟子で、感情がないのではとおもわれる青年・左慈が、いわばひとつの家族として物語は始まります。

たぶん西洋をモデルにした西域人として出てくるのはキリスト教をモデルにした一神教の牧師のハンサムな青年。
周囲の女の子たちがみんな見とれますが、柄の悪さにドン引かれます。

そして、青年が追っていた子供……ユギが金づると歓喜した謎の美幼女?がユギの生活に大きな変化をもたらします。

道家の、なのかわたしは知らないけれど、道士の使う常軌を逸した技の数々がたくさん出てきて楽しいです。
そのうえで、西域の牧師の知識によりその限界をあきらかにする展開が面白いと思いました。
けれどその牧師も、妖術師と蔑みながらも道士の知識を欲しているのですよね。

さまざまな価値観が交錯し、併存して、影響しあうのも、舞台が近代ぽい理由かなと思ったり。

作者さんの作品らしいなと思ったのは、どうやらヒーローが過去的にも肉体的にも満身創痍であるらしいところです。
異教徒を見下し、子供を虐げ(ているようにみえ)、言葉遣いは品がなくて、態度も横柄で、取り柄は顔だけかと思いきや……という展開が、狙ってるなと思いつつもツボでしたw

ヒロインのとても庶民的で元気の良くてちゃっかりしてる自己中な性格も、試練にあって強くなろうとするけなげさに変化していく原動力に転化して、読みごたえがありました。

花街に住むユギの親友の碧耀のたおやかで妖しい存在感も好きでした。

しかし、わたしの一押しは左慈です……!←見抜かれてるかw

これからユギはどうしていくのかなあ
不幸なイルラック(ハンサムかつ品のない牧師)もどうなるのかなあ。
とても気になります。

とうにつづきは出ているのですが、いつになったら読めるかなあ;

五龍世界Ⅱ
壁井ユカコ
4591124487

『魔女の物語 魔使いシリーズ外伝』

魔女の物語 (〈魔使いシリーズ〉外伝) (創元ブックランド)
ジョゼフ・ディレイニー 田中 亜希子
4488019897


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読了。

たぶん近世のイギリス周辺を舞台にした、知識と体力で魔物と戦う魔使いとなった少年の成長を描くファンタジーシリーズの外伝短編集。

収録作品は以下の通り。


メグ・スケルトン
ダーティー・ドーラ
グリマルキンの話
アリスと〈脳食い魔〉
バンシー魔女



面白かった!
すごく面白かった!

本編は魔使いを中心にしていますが、この本は魔女を中心に据えたお話集となっています。

「メグ・スケルトン」は、主人公トムの師匠ジョン・グレゴリーの若き日のお話。
ロマンスです。それもたいそう破滅的なロマンス。
グレゴリーじいさんのトムとアリスへの態度の理由がよーくわかりました。
とくにアリスに対して。
いつもつっけんどんだけど完全に排除したりしないのには、そういうわけがあったのですね。
彼女を見てるととても複雑な気持ちになるんだろうなー。

「ダーティー・ドーラ」はディーン一族に属する死んだ魔女のお話。
魔女の行う祭り、魔女と魔王の関係、魔女狩りと、魔女に関するあれこれがてんこ盛りです。
人間の行う水審の残酷なこと。いちど疑われると魔女でなくても殺されてしまいます。

これを読んでいると魔女と人間の境目ってなんだろうと考えてしまいます。
魔女として生まれるのは血のせいで、本人の責任ではないのに。
魔女を差別する人間の理由は、なんとなく女性性への嫌悪のような気がしてしまう。

たしかに邪悪な魔女や、存在するだけで人間に危険をおよぼす魔女もいるのだけど、邪悪なものは人間の嫌悪に対してゆがんだもののように思えるし、存在が危険なものは魔女の他にもたくさんいるし。

魔女の素質が女にしか受け継がれない(あるいはあらわれない)のと、女性への潜在的な恐怖の念が結びついているような。

うーん、なんだかまとまらなくなってきたわ。

「グリマルキンの話」はマルキン一族の暗殺者、グリマルキンのお話。
シリーズ主役のトムの物語にも大きく関わっているグリマルキンですが、その過去は壮絶なものでした。
冒頭から殺伐としたシーンの連続ですが、ただひとりの暗殺者の座を得るための戦いがまたすごい。
舞台となる〈魔女ヶ谷〉の設定からして仰天ものです。

そういえば「ダーティー・ドーラ」は死んだ魔女と書きましたが、魔女は死んでも活動できるらしいです。
骨魔女といい、ラミア魔女といい、このシリーズに登場する魔女たちは、ほかの魔物たちも含めて、ものすごく醜くグロテスクな性質を持ってますねえ。

昨今は魔女という言葉にさほどマイナスのイメージがないけれど、昔の西欧の人々の嫌悪感がこれでもかと具現化されてるみたいな魔女たちの、パワフルな負の存在感が、このシリーズにホラー的な雰囲気をもたらしていると思います。

子供向けにさらりと流してあるけれど、かなりグロいです。
それにどろどろで不潔で寒い。←ほめてる。
だから清潔さと乾燥と炎の温かさがとても貴重なものだとわかります。
近世の臨場感てこんなのかなと思います。

「アリスと〈脳食い魔〉」は、トムと出会う前のアリスのお話。
叔母に強制されて魔女修業を命がけでさせられるなか、いつも前向きに全力で道を切り開こうとするアリスのしぶとさに感動しました。

しかし、これもグロい話だなあ……w

「バンシー魔女」はトム視点に戻って、ビル・アークライトのもとで修業していた間の出来事が描かれています。

本編では「悪夢」で初めて出てくるアイルランドですが、ここですでにアイルランドの魔女と関わっていたことが判明します。

知性派のグレゴリーと違ってアークライトは肉体派。
トムはここで老齢のグレゴリーではできない武闘の訓練をほどこされていた模様です。
基礎体力のアップから魔物に退治するときに役に立つ体術まで、道具が役に立たないときのための物理的な攻撃力を磨くやりかたは、ぜんぜん洗練されてなくて、まさに昔の体育会系でした。

おかげでよけいにアークライトの個性が浮かび上がって、面白かったです。
しかも、のちのアークライトの運命を暗示するような出来事もあったりします。

この外伝集、どれも独立していながら本編に有機的にからんでいる話ばかりでした。
なのでシリーズ最新刊(「悪夢」)まで読んでから手に取ることをお勧めします。

ダークで気味悪くて寒くて奥深くて不思議な、たいへん好みの本でした。

シリーズ開幕編はこちら。
魔使いの弟子 (sogen bookland)
ジョゼフ ディレイニー 佐竹 美保
4488019528

『トッカン 特別国税徴収官』

トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)
高殿 円
4150310688


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読了。

この世で一番嫌われている職業、国税徴収官になった女の子が上司の通称トッカンにビシビシしごかれながら自分の仕事にめざめていく娯楽お仕事小説。シリーズ開幕編。

面白かったー。

普段読まない現代社会のお話ですが、ラノベ出身の作者さんの作品だけあり、主役のぐー子をはじめとしたキャラクターがたちまくってて、なおかつリアルでシビアな現実もきちんと描かれていて、読んでいるうちに国税の仕組みなどもお勉強できて、最後まで楽しませてもらいました。

そしてわたしの場合、税金の話もだけど、今どきの若い女の子の生活感に「へー、そうなんだー」と感心しきりでした。

一番驚いたのは、まつげのエクステンションって五十万円もかかるんだってことだ……!

“マツエク”という言葉をつい最近知ったおばさんには、こちらのほうがもはや異世界でしたね。

ははあ(目が遠くなる)。

ドラマ化されたのがよくわかる、実に現実的に面白いお話でした。

つづきはこちら。
トッカンvs勤労商工会
高殿 円
4152092130

20121102の購入

ネットで予約してた本を受けとってきました。

翼の帰る処 (上)
妹尾 ゆふ子 ことき
4344826345

翼の帰る処 (下)
妹尾 ゆふ子 ことき
4344826353


以上、購入。

ノベルスで出ていたものがレーベル廃止で版を変更されたもの。
ノベルスよりもかなり分厚いのでビックリしました。紙質のせいかしら。
これって商業本化されたネットノベルがよく出ている判型ですよね。
わたしとしてはこの作品がこのくくりに入れられるのは微妙な気持ちなんですが。
つづきがとても読みたいので買いました。

書き下ろしの表紙イラストが美しいですね。
全員プレゼント用に書き下ろされた未収録だった短編だけさっそく読みました。
皇女がこんなにルーギンの髪に屈託を持っていようとは……www

20121101の購入

リアル書店にて贈り物用に物色しました。

ちはやふる (4) (Be・Loveコミックス)
末次 由紀
4063192598


トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)
高殿 円
4150310688


以上、購入。

贈り物とかいって、贈る前に読んでしまうのはデフォルトですww
姪っ子用にと思ったんだけど、トッカンは読めるかなあ。
読めなかったら妹用になるだけですがw

予約した本は届いてるはずなんだけど、受け取り場所に出向けなかったのでまた今度orz

20121031の購入

ネットで予約していた本が届きました。

太陽の石
乾石 智子
448802498X


以上、購入。

じつは予約しているものはまだあったり。
届くのは今日かな。
いっきに単行本三冊は財布にどかーんすぎるよと泣きつつも嬉しいです。
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