『幻國戦記CROW 千の矢を射る娘』

幻國戦記 CROW -千の矢を射る娘- (GA文庫)
五代 ゆう 山本 ヤマト
4797371897


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読了。

スチームパンク伝奇時代劇?

とても特殊な世界設定なので読み終えたあともわたしはよく判らないままなのですが、(なのであらすじは勘弁してください)そんなことを理解せずとも十分に楽しめるお話でした。

なぜかというと、とてもヴィジュアル的な文章が、これでもかこれでもかと、目に映るように描写をしてくれるから。

きっと、作者様には「こういう映像を見て欲しい」という確固たるヴィジョンがあって、それを忠実にとどけようとありとあらゆる言葉を尽くしているのだと思います。

なのでとにかく描写の密度が濃いです。
ともするとくどいと感じてしまうほどの饒舌な文章です。
まるでいままさに爛熟した果実の皮がはちきれて、中身があふれ出しているような、そんな言葉の奔流に始めはとまどいました。

そのうち、ヒロインの三人称単視点から解放され、複数視点に変化し、物語との距離がとれるようになってきたところで、「面白い!」と感じました。

スチームパンク時代劇と書きましたが、もっとしっくりするイメージとしては、特撮ヒーローものの時代劇だなと思います。

ヒロインを救うために変身するヒーロー。グロテスクな敵役。湧いて出てくる雑魚兵士。
なんといっても戦闘中に技名を叫ぶ叫ぶ叫ぶ!w

物語設定や敵役の造形などに山田風太郎を彷彿とさせる部分もありますが、説明がほとんどなくどこまでも映像的につづく、まさに特撮作品をそのまま文章で表現したようなたたずまいです。

ヒーローが、普段はのんびりまったりにこにこしてるのも、素性を隠して戦うのも、慣れ親しんだ特撮ものの特徴ですね。

わたしは特オタでもなんでもないのですが、あとがきで作者様ご自身があげてらっしゃる作品名をほとんど知ってたりするので(←)、とても懐かしかったり笑えたりして、楽しかったです。

どうやら続編の予定は既に立っているようです。
たぶん、娘が三人そろうまでは続くんじゃないかと思います。

『裏切りの杯を干して 下 バンダル・アード=ケナード』

裏切りの杯を干して 下 - バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)
駒崎 優
4125012318


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読了。

若き隊長率いる腕利きの傭兵隊がであう事件を描く、近世西洋風異世界活劇シリーズ。第五作の下巻。

あらすじを書くとネタバレにしかならないので割愛いたします。

エルディルちゃん!

この話、白狼のエルディルちゃんしか目に入らないわたしでしたw

アランデイルは大活躍で、一時的に相棒になったお医者ヴァルベイドはいつもどおり真面目に殺人事件捜査をしてますし、事件そのものはこのふたりがメインで進んで行きますが、隊長の思わせぶりやはったりやなんやらもあいかわらず周囲を困惑させてて楽しかったですが、やっぱりメインはエルディルちゃんです。

ずっとカッコよく決めてた隊長ですら、さいごにエルディルちゃんのお世話になってましたからね……!

ただ、エルディルちゃんのママが地味すぎたのがちょっと残念でした。
や、そういう人物なんですけどね、地味なのがカラーでそのことはいちいちきちんと書いてあったんですけどね、地味から派手に豹変するシーンがなかったのがね、個人的にね。

今回、戦闘シーンも少なくて、ひどい窮地に立たされたりというのもなかったので、なんとなくミステリぽい展開でした。

ちと「足のない獅子」シリーズと似てたかもしれません。

いつもの隊長の活躍ぶんをアランデイルがもっていき、その他はエルディルちゃんの独壇場だった気がします。

隊長のカッコよさといやらしさは、正規軍のフレイヴンさんによって遺憾なく発揮されてましたけどw

フレイヴンさんの立場からみると、ジア・シャリースってほんとうに嫌な男だな!と思います。

若造のくせにへんな貫録があって、正面から話をせず何を考えているのかわからない、リーダーシップと武力にすぐれた傭兵隊長です。

その斜めな態度はおそらく隊長のくぐり抜けてきた過酷な過去によって育まれたものなんでしょうけどね。

なんか、読んでたら突然隊長が『銀魂』の銀さんの声で話しだしたのでびっくりしてしまいました>わたしの脳内限定。

シリーズの中で飛び抜けて面白いとはいえないけれど、バンダル・アード=ケナードの世界にまた戻れてとても楽しかったです。

とくにエルディルちゃんファンにはたまらない一作でしたw

シリーズ開幕編はこちら。
運命は剣を差し出す―バンダル・アード=ケナード〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
駒崎 優 ひたき
4125008337

『裏切りの杯を干して 上 バンダル・アード=ケナード』

裏切りの杯を干して 上 - バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)
駒崎 優
4125012180


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読了。

戦乱の続く世界で、若き隊長率いる傭兵隊の活躍を描く、異世界冒険小説シリーズの第五作。


エンレイズとガルヴォの交戦状態は長く続いていた。腕利きと評判の傭兵隊バンダル・アード=ケナードは、平民出身のエンレイズ軍司令官フレイヴンに雇われるかたちでエンレイズ軍とガルヴォ軍が目と鼻の先で対峙する現場にたどり着いた。総司令官ケネットによるガルヴォ要人の人質をめぐる交渉は進んでいない。ケネットは手柄を独り占めにするために上層部に人質の存在を報告せず、部下にも情報を閉ざしているため、膠着状態を打開するすべもなく軍の志気は低下していた。いったい、人質は何者なのか。なぜ、ガルヴォ軍は人質を積極的にひきとろうとしないのか。いっぽう、王の命でストリーの街に潜入したヴァルベイドは、そこでバンダル・アード=ケナード隊員アランデイルと再会した。驚いたことにアランデイルはアード=ケナード隊から追放されたという。アランデイルの協力を受け入れたヴァルベイドは町で手広く商売をしていた貴族ミラスティンの毒殺犯の捜査を開始した。



かわいいよ、エルディルちゃん、かわいいよ!
白い雌狼にめろめろ〜。

えー、お話は相変わらず色気なし、いつもの能無し司令官に疲弊する兵隊さんたちという舞台装置で、若き隊長ジア・シャリース率いる傭兵隊の活躍がメインです。

事件はふたつ。
ガルヴォの人質は何者か。
ストリーの商人を殺したのは誰か。

この二つの事件がきっとどこかでつながっていくのでしょう。

シャリースの人を食ったようなキャラクターとかれの巡らす策謀とか、バンダル・アード=ケナードのプロフェッショナルさと家族のような雰囲気(男ばかりだけどなw)とかがあいかわらずの淡々とした文章で描かれます。

ときどき淡々としすぎな気がしないでもないですけど、装飾過多な文章より読むのが楽といえば楽かしら。

話の乾いた雰囲気にはあっているかもしれません。

シャリース側とヴァルベイド側のほかに、ガルヴォの傭兵たち側の話もあるので、けっこう複雑な話ではありますね。

殺伐とした男同士のやり取りにシャリースがときどき茶々を入れるような味付けを施しますが、やっぱり一番魅力的だったのは白狼エルディルちゃん。

わたしにはシャリースよりもキャラが立ってるように感じられました。
いちばん描写が生き生きしてると思います。

いつも苦悩を貼り付けてるようなフレイヴンさんもエルディルちゃんのおかげで株が上がりました。

このままエルディルちゃんのさらなる活躍を期待しています。

といいつつ、下巻も読みましたw
裏切りの杯を干して 下 - バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)
駒崎 優
4125012318

『金星特急 7』

金星特急 (7) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541860


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読了。

世界中でひとつの言語=世界語(サンズイに語)を話すようになった世界で、絶世の美女・金星の花婿を募集する謎の列車に乗り込んだ男達と、消息不明になった女の子たちの行方を描く、ファンタジーシリーズの第七巻にして完結編。


「俺はこれ以上、大好きな女の子が世界中から悪口を言われるのを、聞きたくない」。無関係の人々がつぎつぎに樹に変えられていく状況に、双方向になったトカゲカメラを通じて訴える錆丸。その言葉は金星の心にまでは届かないようだった。政府軍と反政府軍の激突が秒読み段階のグラナダで、戦争を止めたいと願う錆丸は、協力者とともに全世界に向かって自分の所在を明かし、金星にプロポーズした。「君に会いたい。金星特急をグラナダによこして欲しい」錆丸を捉えるために殺到する黒耀率いるイェニチェリたち。月氏の若き幹部たちは、金星特急の到着まで錆丸を護りきる覚悟を固める。



面白かった。
とっても面白かったです。

もう、何を書いてもネタバレの状況で、言えるのはただ面白かったの一言です。

ひとりひとりのキャラクターに関するあれこれも、いろんな劇的なシーンも、さまざまな人間関係も、軽口めいたやりとりも、みんなみんな、ネタバレなしには書けません。

だって、これで完結なんですから。

と、これで終わるのも不親切なのでちょっとだけ。
すこし距離を置いて眺めて見ると、この話、設定はSFですよね。
歴史改変SF。それも改変されてることが登場人物に明かされるもの。
種類としてはフルメタに近いのかな。

でも、描き方はファンタジーだなと。

SF設定をファンタジーの文法で書いた物語だったのだなあと、いまは思ってます。

だから、読後感が穏やかなんだと思うのです。
たぶん、SF文法で書いたらどーんと暗くなってたんじゃなかろうかと。とくに兄妹関係が。

ということを、読みながら頭の片隅でずっと検証していたわたしって……。
同時に砂鉄とユースタスのシーンでキャッキャしてたことも告白いたします。

大きな仕掛けも小さな仕掛けも、込み入った人間関係もこまやかな心理描写でも楽しませてもらったお話でした。

読めて幸せです。
まだまだ読み返して楽しみたいです。

前述の黒と白の変化も楽しかったですが、殿下と妹姫も楽しかったなー。
とくに殿下に対する評価は劇的に変わりました。

うっすらとはわかってた錆丸関係も、あらためて語られると感慨深かったですし。

夏草さんも三月も、女の子たちのこともきちんと書かれていてよかったです。
いちばんかわいそうだったのは……名前のないひとでしたね。

ところで、ピアスはどうなったんだろー?

番外編が書かれる予定らしいので、それも楽しみにしています。

シリーズ開幕編はこちらです。
金星特急 (1) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541488

『金星特急 6』

金星特急 (6) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541801


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読了。

世界中でひとつの言語=世界語(サンズイに語)を話すようになった世界で、絶世の美女・金星の花婿を募集する謎の列車に乗り込んだ男達のサバイバルと、消息不明になった女の子たちの行方を描く、ミステリアクションファンタジーシリーズの第六巻。


金星の花婿候補を乗せて西へとすすむ金星特急。そのようすを、金星の元に集められた恋する娘たちは乗客のひとり錆丸のペットであるトカゲのウェルの目を通して見続けていた。兄を慕う彗星の嫌悪に反応した金星は、ひとりの娼婦の身体をねじれた木へと変えた。恐怖に震える娘たちは、金星が幼い少女のように無垢で無知であることを知る。いっぽう、金星特急を追いかける錆丸たちは次の停車予定地であるグラナダに向かっていた。そこには特急から放り出された砂鉄とアルベルト、ユースタスがロヴェレート王国経由でたどり着いていた。



面白いです。
面白さがぎゅうぎゅうに詰め込まれて濃縮されてます。
あちこちに反応しすぎて、一回読んだだけでは把握しきれないです。

物語は佳境に入り、登場人物が終結しつつあります。
舞台は戦禍のグラナダ。

なんとなく、スペイン内戦時代がモデルのような気がします。
ゲルニカが空爆を受けたから、第一次大戦かもしれません。

治安が悪く死体と孤児があふれる殺伐とした街の描写が、苦しいです。
主役たちが拠点を構えるアルハンブラ宮殿の美が、歴史が、時間の流れを感じさせて哀しいです。

そんな緊迫した中で、キャラクターたちが繰り広げるやりとりやそれぞれの人生の一コマが、楽しくて愛おしい。

わがままでうるさい、アルベルトの妹姫ヴィットリアですら、彼女なりに現実を受けとめて(受けとめさせられてw)対処してゆきます。

三月の根深い歪み。
夏草の言葉へのこだわり。
無名の片思い。
アルベルトの謎への傾倒と同志への想い。

ユースタスの孤独と不安。
砂鉄の欲望←www

ぐんぐんと成長していく錆丸の姿には、目を見張りました。
かわいい男の子だったのが、いまやカッコいい男の子になりつつあるじゃないですか。

それと、金星と純国語普及委員会の関係がとっても気になる。

はやくつづきが読みたくて、感想書いてる時間が惜しいです。

つぎで完結です。
金星特急 (7) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541860

『金星特急 5』

金星特急 5 (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541771


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読了。

世界中でひとつの言語=世界語(サンズイに語)を話すようになった世界で、絶世の美女・金星の花婿を募集する謎の列車に乗り込んだ男達のサバイバルと、消息不明になった女の子たちの行方を描く、ミステリアクションファンタジーシリーズの第五巻。


絶世の美女・金星の花婿志願者をのせて走りつづける金星特急の乗客は、数々の試練の後に十人にまで減っていた。途中から乗り込んできたロヴェレート国第二王子アルベルトの護衛となった傭兵の砂鉄は、月長石の仕掛けた罠にはまり死の淵でさまよっていた。砂鉄を救うためにさらけだされた美貌の騎士ユースタスの秘密にぼう然となる乗客たち。いっぽう、錆丸は純国語普及委員会にとらえられ、金星についての尋問を受けていた。



面白かった!!

相変わらずどこへ進んでいるのかよい意味でわからないお話ですが、それでもなんとなくキーワードが判明してきた模様です。

ひとつは、辛い恋。
ひとつは、無理やり統一された言語。

世界中の金星堂で行方不明になった女の子たち。
依頼を受けて金星堂におもむき自身も行方不明になった月氏の黒鎖の三位・彗星。

妹である彗星からもたらされた情報をたどって金星特急に乗った砂鉄。

金星特急の車掌の白バベルと黒バベル。
バベルの一族とは独自の言語を守りつづける民族たちのこと。
この車掌たちには世界語が通じない。

そのバベルの双子と会話ができるアルベルト。
かれは世界語による世界統一を強力に推し進める純国語普及委員会のメンバーでありながら、世界語以外の言語に魅せられた学者だった。

そして、初恋の金星に逢うために金星特急に乗った錆丸に、純国語普及委員会の手が伸びる……。

サスペンスフルなサバイバルレースでありながら、世界的な規模のミステリーでもあるような、そんな雰囲気の物語が浮かび上がってきて、うわーうわーと思いながら読みました。

しかも、キャラクター一人一人の背景がきっちりとしていて、キャラクターが立ちまくりなのに人物描写に深みがあります。

この巻ではユースタスの過去に焦点が当たり、砂鉄との距離がたのしかったですが、なんといっても圧巻なのは月氏の白の一鎖と二鎖のコンビ。とくに二鎖の三月のエピソードですね。錆丸との対決シーンにはぞくぞくしました。

シリアスとユーモアのバランスも絶妙です。
雷鳥様と無名とハハリ・ジュニアの道中は無名の苦労が偲ばれますw

女の子たちの出番も増えてきて、彗星の砂鉄に対する恋心がかわいいと思いつつ、別視点による新たな情報が物語に大きな転換をもたらしていくようなのが興味津々です。

やっぱり、この話の最大の謎は金星ですね。

てか、ラストの衝撃ったら……! ぎゃー!

つづき……つづきを読みますよ!

金星特急 (6) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541801

20121220の購入

病院帰りに本屋に突撃しました。

裏切りの杯を干して 下 - バンダル・アード=ケナード (C・NOVELSファンタジア)
駒崎 優
4125012318


以上、購入。

上巻はリアル書店でみつけられずにネットで頼んだのですが、下巻は無事ゲットできました。
嬉しい〜。

『金曜のバカ』

金曜のバカ
越谷 オサム
4048740202


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読了。

現代青春小説の短編集。

ネットで見かけて気になったので借りてみました。
これはすごく楽しかったです。


金曜のバカ
星とミルクティー
この町
僕の愉しみ 彼女のたしなみ
ゴンとナナ



とくに表題作はほんとうにほんとうのバカな話でした。褒めてます。
ほかにしんみりする話もありますが、作者さんが男性だからかアホ男子の描写が秀逸です。

でも、アホ男子ひとりでからまわりすると救われないのねえとしみじみしてしまったり。

だから女の子の事情がわかる話のほうがおもいきりアホを楽しめるようです。

そういう意味でこの本の中でいちばんハッピーだったのは「僕の愉しみ 彼女のたしなみ」だったかな。

どれがアホ系かしみじみ系かは読んでのお楽しみということで。

文庫化されてます。
金曜のバカ (角川文庫)
越谷 オサム
404100571X

『トーキョー・クロスロード』

トーキョー・クロスロード (teens’best selections)
濱野 京子
4591105903


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読了。

東京を舞台に描く高校生たちのせつない青春恋愛小説。


普段とは違う格好をして山手線の駅に降り、見知らぬ町を歩く。まるで異界に入りこんだ別人のように。高二の森下栞は中学の卒業式の日に恋に落ちた。二度と逢うことはないとわかっていたひとに。始まる前に失った恋をかかえて徘徊しはじめたのが、いつのまにか趣味のようになっていた。誰も知らない自分のだけの趣味だ。ところが、ダーツであたった五反田で、ふと惹かれた背中を携帯で撮ったら相手が気づいて近づいてきた。「肖像権の侵害だよ」栞は驚いた。月島耕也。少年は、忘れられない相手その人だったのだ。



いやー、きゅんきゅんしました……w

これまで異世界ものを選んで読んでいた作者さんなのですが、異世界ものを読みつくしてしまった(といっても三冊だけなのですが)ので、現代物にも進出してみました。

面白かった!

舞台を現代に移してもこまやかな心理描写は変わらず、むしろ設定に説明がいらないぶん、ディテールがこまやかで、小物の扱いも気が利いてて、たとえば携帯電話みたいな現代的なツールを使いこなしてて、いまの時代の気分がとてもよくわかる、現代の青春小説になってます。

それも上質の。

ただ仲が良いだけでない、引いたり押したりの女友達のとのやりとりとか。

年上の同級生というのは、なんとなくいろいろあるだろうなーとか。

みんなに距離を置かれていたひとと思いがけずに話をするようになったり、思いがけないところに連れていってもらったり。
世界が広がる感じも素敵でした。

で、この本を読んでいるわたしは、アニメ「坂道のアポロン」のサウンドトラックを聴いてみたいなーと思ったのでした。
残念ながら手元に無いので思っただけですが。

ラストの思いがけない展開がたたみかけるように続くところ、大好きです。

わたしが読んだのはハードカバーですが、文庫にもなってます。

トーキョー・クロスロード (ポプラ文庫ピュアフル)
濱野 京子
4591117855

『王都の二人組 盗賊ロイス&ハドリアン』

王都の二人組 (盗賊ロイス&ハドリアン)
マイケル・J・サリヴァン 睦月ムンク
4150205418


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読了。

腕利きの盗賊二人組が巻き込まれる事件を皮肉なユーモア交じりに描く、キャラクター重視の異世界ファンタジーシリーズ「盗賊ロイス&ハドリアン」の開幕編。


元軍人のハドリアンと影のような盗人ロイスは、リィリアと呼ばれて同業者からも恐れられる腕利きの盗賊二人組だ。難攻不落の貴族の塔からの脱出を果たして一仕事を終えた後、しばし休息をとるふたりの元にダガスタン貴族デウィット男爵から高額の依頼が舞い込んだ。仕事はメレンガー王宮の礼拝堂から剣豪で知られるピッカリング伯爵愛用の剣を一本盗みだしてくること。ただし、期限は今夜中だ。明日にはピッカリング伯との決闘に臨まねばならないと怯えるデウィットに同情したハドリアンはこの依頼を受けた。ところが、苦労して忍び込んだ礼拝堂でふたりを待ち受けていたのは驚愕の現実だった。




立ったキャラクターたちの言動と二転三転する状況を楽しむ、かるいノリの異世界ファンタジーです。日本のラノベ風といってもいいかな。

翻訳者さんがアスプリンの「マジカルランド」シリーズの方なので、そんな雰囲気を想像していただくとよいかと思われます。

金髪大男で人のよい、剣の名手のハドリアン。
小柄で黒髪の、子供の頃からスリとして生きてきた、皮肉屋のロイス。

彼らを支える娼館の女将などの下町のひとびと。
彼らの出会う、依頼者である貴族やわがままな王族、巻き込まれた修道士などなど、みんな普通の日常を生きてるひとたちで、物語には魔法の雰囲気よりも日常のにおいが満ちてます。

ここまで書いていて、そういえば駒崎優の「足のない獅子」シリーズと似ているかもと思いました。あくまで雰囲気が、ですが。

ひとりだけ伝説の魔法使いが出てきますが、それもあんまり特別感をあおらない書き方がされていて、とにかく主人公たちのドタバタ風味な冒険が面白いです。

正直にいって、ロイスとハドリアンが二人組である理由とか、プロ意識のなさとか、いまいちぴんとこなかったところもありますが、そんなことも深く考えたりしないのがよいのでしょう。

途中までのどちらが味方か敵かわからないスリリングな展開にはとてもひきつけられました。

名前だけの出演かと思っていたおかたが途中からきちんと出てきて活躍されるのも楽しかったです。

シリーズのつづきも刊行済みのようです。

魔境の二人組 (ハヤカワ文庫FT)
マイケル・J. サリヴァン Michael J. Sullivan
4150205477


ところで、“リィリア”ってなんて意味なのかしら?

『紅に輝く河』

紅に輝く河 (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
4041101018


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読了。

ひとつの国の変革期を背景に若者たちの葛藤を落ち着いた文章で繊細かつドラマティックに描く、異世界歴史ファンタジー。


国母をいただき神官の託宣により国事が決定されるファスール国で、待望された王女の誕生にあたり、相反する託宣ふたつが下った。ひとつは「この国に仇なす」もうひとつは「この国を救う」。結果、第一王女は同時期に生まれた異母妹と極秘裏に入れ替えられ、第二王女として育てられることになった。第二王女アスタナはふしぎな少女だった。ひとり森を歩くことの多く、知識欲旺盛で行動的でもある彼女は、第二夫人である母カミーナの嘆く変わり者の王女として成長した。ファスールでは南北により貧富の差が激しく、南部はここ数年の干ばつや洪水によって荒廃がひどくなっていたが、上層部は差別意識から対策をしようともしない。そんなおり、十七歳になったアスタナは、交易の盛んなシーハンから留学してきた少年サルーと出会う。



アスタナ姫かっこいい!

と手を叩きたくなるお話でした。

これまでの作者さんの異世界ものと同じ世界を舞台にしています。
同じ世界の別の国の王族がメイン、というのもシリーズ通しての共通点。

相反する託宣つまり予言を受けてうまれた第一王女アスタナが、母親に阻害されて育ったにもかかわらず国の民を思い、危機に瀕する母国を救おうとする、強い意志と行動力を描くおはなしです。

ヒーローはアスタナ姫でしょう、どう見ても。
ヒーローを案じるヒロインがサルーですね、どう見ても。

そもそも、出会いの時からしてあれですしw
その出会いが運命だったとこだわるのもサルーだしw

アスタナの視点よりもサルー視点のほうがドキドキきゅんきゅんしてて、ふわあとした気分になりました。

元々、シリーズの一冊目もつよい女の子が主役でしたが、アスタナはさらに上を行きます。ほんとにカッコいい。
読みながらサルーと一緒にどきどきするのがよいと思います

と、すっかりアスタナ姫に入れあげてしまいましたが、ファスールという国の体制から地勢気候風俗ときちんと設定された物語世界で、ひとつの国の変革期といろんな立場の登場人物たちそれぞれの人生とがわかちがたく歴史を築いていく様が一冊の中に描かれていて、その密度には今回も感銘を受けました。

落ち着いた文章であからさまな派手さを遠ざけるような描き方なのに、熱く迫ってくるものがあります。

結果的にとてもドラマティック。

このシリーズ、ほんとわたしは好きだなあ。
異能に関することがほとんど書かれないのでファンタジー色は薄いけれど、地に足のついた異世界歴史少女小説だと思います。

今回の舞台となったファスールは、なんとなくインドのイメージでした。
ただし、被支配者である南部民のほうが身体の色素が薄いのですね。

さらに、これまでのシリーズを読んでいるとニヤリとできるところがいくつかありました。嬉しいのですよね、こういうのってw

もっとシリーズを読みたいなと調べてみましたが、どうやらいまのところこれで終わりの模様。

毎年一月ごろに新刊が出ていたようなのですが、来年の一月にはそれらしき予定もないみたいです。残念。

つづきが、とても読みたいです。

シリーズ既刊はこちら。
碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
404873945X

白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
4048741640

20121210の購入

通院帰りにリアル本屋によりました。

金星特急 (7) (ウィングス文庫)
嬉野 君 高山 しのぶ
4403541860

町でうわさの天狗の子 10 (フラワーコミックス)
岩本 ナオ
4091347967


以上、購入。

週末の発売日に地元本屋をめぐって結局手に入らなかったものも、都会の大規模書店には平積みです。
安心するけど、一抹の哀しみが……。

20121207の購入

通院前にリアル本屋に寄りました。

闇の虹水晶
乾石智子
4022510358

六花の勇者 3 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 宮城
4086307103


以上、購入。

そのあと病院にて検査を受けたのですが、その後気分が悪くなって予定外の血液検査に診察まで受けるという事態に。
うごけるようになるまでベッドで休ませてもらったのですが、そのとき、「先に本屋に行っといてよかったー」と心底思ってたわたしって……;

昨日はそのあともいろいろあって、すっかりへろへろになりました。
散歩してすこしは体力がついたと思ってたのになあ。しょぼん。

『太陽神の司祭 下 ヴァルデマールの嵐第一部』

太陽神の司祭 下 (ヴァルデマールの嵐1) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577199


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読了。

日常の書き込みが楽しい異世界ファンタジーシリーズ「ヴァルデマール年代記」の「ヴァルデマールの嵐」三部作の第一部下巻。


大陸の東部から迫る帝国の脅威に対抗するため、西方ではばらばらだった国と人々が集まって同盟を結ぼうとしていた。カース国大使ウルリッヒの書記として長年の敵だったヴァルデマールに随行した青年カラルは、シン=エイ=インの孤独な魔法使いアン=デシャと出会った。ふたりは異邦人である境遇に共感しあい、友情を結んだ。アン=デシャは悪質な魔法使い〈隼殺し〉のモーンライズに長く肉体を乗っ取られていて、いまはその後遺症に苦しんでいた。かれは前ぶれなく訪れる予感と自分の感情の暴走に恐怖を抱いていたのだ。ほどなくアン=デシャの恐怖は故のないことではないことが判明する。突然、大陸全土を原因不明の大きな力の波が襲いはじめたのだ。



まずはひとこと。
東の帝国のトレメインさん、語りすぎですw

上巻にひきつづき、カース国の書記カラルと元モーンライズのアン=デシャ、東の帝国の遠征軍大将のトレメイン大公を視点人物に話は進みます。

一番主役らしい主役であるカラルは、慣れない場所で慣れない事態と知らないひととのかかわりで、いろいろと困難に出会いつつも大きな猫のサポートを受けて順調に成長中です。

アン=デシャはかなり話の都合に合わせてうごかされてる気がしますが、こちらも基本的には前向きにすすんでいる模様。

気の毒なのは西方征服を命じられた次期皇帝候補のトレメイン大公ですねえ。
なにが気の毒かというと、帝国の状況説明を一手に引き受けさせられながら、劇的なシーンがあんまりもらえてないところ。
ひとりで悶々としているところばかりで、だんだん過労死が心配になってきてしまいましたw

お話は謎の衝撃波が襲ってきてから大きく動き出したもようです。

ヴァルデマールのにおける技術者たちの登場と活躍が、カラル絡みで楽しいです。

個人的に特筆すべきなのは、これまでおもに奇跡的な役割を担ってきた特別な馬が日常化してしまったあとで現れた大きな猫アルトラくんの存在です。

猫っていいものですねwww

あと、カラルの師ウルリッヒさまに萌え〜。
途中からこれはなにかのフラグに違いないと涙目になってました。

つづきはもうじき発売予定だそうです。
帝国の叛逆者 上 (ヴァルデマールの嵐2) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577202

帝国の叛逆者 下 (ヴァルデマールの嵐2) (創元推理文庫)
マーセデス・ラッキー 山口 緑
4488577210

20121204の購入

聖☆おにいさん(8) (モーニング KC)
中村 光
4063871681


以上、購入。

ベストセラーって発売日に買いに行かなくても手に入るのですよね。

今回はかなり一般向けのネタが多くて読みやすかったです。
アイドルのコンサートや沖縄に出かけるブッダとキリストがおかしいですw

20121201の購入

ネットで頼んでた本が到着しました。

翼の帰る処 2 ―鏡の中の空― 上
妹尾 ゆふ子 ことき
4344826671

翼の帰る処 2 ―鏡の中の空― 下
妹尾 ゆふ子 ことき
434482668X


以上、購入。

前回は予約したのに発売日から三日遅れ。
なのに今回は予約でないのに一日遅れ。
いったいどういう仕組みなのでしょうか。

まあ、届けば無問題なのですけど。

ところで、この本がぎりぎり十一月購入にならなかったので十一月の図書購入費が大台に乗らずにすみました。

でも今度は年の瀬の新刊パレードがやってきます;

20121130の購入

リアル書店へ行ったけど目当ての本が見あたらなかった。

銀河へキックオフ! ! 1 (集英社みらい文庫)
金巻 ともこ 川端 裕人
4083211008

ソードアート・オンライン プログレッシブ1 (電撃文庫)
川原 礫 abec
4048869779


以上、カッとなって(苦笑)購入。

そんな余裕はないはずなのに……ちょっと十一月は予定がありすぎてばんばん買ってたから、箍が外れてしまった模様です。

どちらもアニメ関連で、でも一冊は自分用じゃないのです←言い訳。
銀オフは楽しいよー!←さらに言い訳。