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『骸骨を乞う 彩雲国秘抄』

彩雲国秘抄 骸骨を乞う
雪乃 紗衣 由羅 カイリ
4041101395


読了。

本編十七巻、外伝四巻で完結した、少女向け中華風異世界ファンタジーの後日譚的外伝集。


第一話 雪の骨—悠舜—
第二話 霜の骸—旺季—
第三話 北風の仮面—晏樹—
第四話 氷の心臓—劉輝—
終話 風花—仙—
運命が出会う夜—悪夢の国試組—



主人公たちの敵側であった人々視点による、本編を補足するような短編集でした。
いわば、敗者の履歴書ですね。

どれも不幸で不遇な人生を歩まされたひとの話なので、よみながらふうう〜、とため息が漏れてしまいました。

重たい……重たいです。

それでも皆自分自身の掟を守り、後悔せずに人生歩みきったのだなと思えたので、後味としては悪くなかったです。

本編では謎めいていた旺季様の生は、凄絶でしたね。
先王の存在感のただならなさにも圧倒されました。

しみじみしました。

我に返るといろいろ疑問な所も出てくるのですが、このシリーズは少女向けなのだ! と思い込めば、これはこれでいいのだー、と思えました。

ただ、すべてを遠まわりにぼかして書く、感情吐露中心の文章がかなりわかりにくくて、本編を読んでからずいぶん経ってしまったのでなかなか勘が取り戻せずに苦労しました。

なんというか、内輪だけで通用する符牒だらけのうわさ話みたいで、客観的な事実を押さえにくいのですよね。
固有名詞とかを特定しないで書かれてるので、あれはなんだったかなと確かめたくても、どのページを見ればいいのか、わからないんです。

だから、熱心に読み込んだ読者なら、きっともっとよく話が理解できるんだろうなー、遠い目、な状態になりました。

言い替えれば、常連以外には敷き居の高いお話だったかなあと思います。
この本単独で読んで、理解できるものかどうか、わたしには判断できません。

ただ、ファン向けといっても、シリーズ初期の明るい雰囲気が好きな方にも向かない本だったかも。
側近たちは王様の話ですこしもちなおしてますけど、本編で下がった株が元通りになることはなかった模様;

わたしとしてはリオウくんが素敵な若者になってくれてたのが嬉しいです。
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『うたう百物語』

うたう百物語 Strange Short Songs (幽ブックス)
佐藤弓生
4840146691


[Amazon]

読了。

日本の近現代の歌人の短歌を元にした掌編を百編収録した、怪談集。

これは面白いというより、素敵でした。

作者さんも歌人ということで、選び抜かれた言葉によるリズム感のある文章が醸し出すこまやかな情景が、奥行きのあるドラマを読み手にもたらす、散文詩のような作品集。

ホラーって日常への違和感から始まるのかなあ、とか考えたりしました。

それに、短歌のイメージ喚起力の強さはすごいですね。

ふるめかしい言葉を使っていたりして、読みにくいものもあるのですが、言葉そのものに託されたなにかが、瑣末な説明や言い訳なしに、誤解をおそれずダイレクトに飛び込んでくるのが潔いと思いました。

それと、作者さんの資質なのか、題材はどろどろしてるのにさらりとした感触の残る作品が多かった印象です。

情念そのものではなく、その輪郭を描いてるような。

ひとつひとつの言葉をたいせつにしたいなと思わせてくれる一冊でした。

『ハリー・クラーク絵 アンデルセン童話集 下』

ハリー・クラーク絵 アンデルセン童話集 下 (文春文庫)
アンデルセン ハリー クラーク
4167812053


読了。

デンマークの「童話王」アンデルセンの著作をアイルランドのステンドグラス職人ハリー・クラークの挿画で飾った英訳本の日本語訳。文庫版。

面白かったです。
読み終えるのに時間がかかってしまいましたが、理由は短編集だからにつきます。
ひとつひとつ完結すると息を入れてしまうので、そのあいだに別の本を読みはじめたりするとなかなか元に戻ってこられないのですよね。

収録作は以下の通りです。


夜なきウグイス(ナイチンゲール)
マッチ売りの少女
妖精の丘
古い家

人魚姫
ワイルド・スワン
沼の王の娘
パラダイスの園
絵のない絵本

解説 アンデルセン生誕二百年の、ささやかな贈りもの 荒俣宏



わりと有名どころのラインナップです、よね?
「人魚姫」「マッチ売りの少女」はいわずもがなだし、「沼の王の娘」はアニメでやってたときのわたしの大のお気に入りでした。
「ワイルド・スワン」はタイトルではピンと来なかったけど、継母の王妃に十二羽の白鳥に変えられた兄王子たちを妹姫が茨でかたびらを編んで救うお話です。←『天山の巫女ソニン』に似てますねww

どれもふってわいたようなハッピーエンドではなく、濃淡の差こそあれ死の影がつきまとうおはなしばかりで、こんな暗い雰囲気だったっけ、と驚きましたが、わたしはこういう薄暗い感じの哀しいお話が子供のころからけっこう好きで、いまもその傾向は続いている模様です。

それもただ哀しいのではなく、つらく苦しい結末でありながら、魂の救いがあるようなお話がいいのですよね。

それこそ、まさしくファンタジーの存在する意味ではないかと、いま、はたと思い当たりました。

アンデルセンの場合、以前はその救いがだいたいキリスト教徒になることなのに興ざめしてしていたのですが、歳をとってから読み返してみると、自分がキリスト教も信仰のひとつとして扱えるようになっていることに気がつきました。距離が置けるようになったのですね。

「パラダイスの園」を読んでいてとくにそのことを思いました。
この話、アダムとイブの楽園追放がモチーフなのだけど、書いてあることは普遍的なことだなとか。

ところで、ハリー・クラークの挿画はやっぱり素敵です。
下巻は上巻より数が少なめですが、それでも一枚一枚、魔術的な色気のある絵を堪能しました。

文庫ではカラーが削られているらしいので、今度図書館でハードカバーを借りてみようと思います。

ハリー・クラーク絵 アンデルセン童話集 上 (文春文庫)
アンデルセン ハリー クラーク
4167812045


アンデルセン童話集
ハンス・アンデルセン 荒俣 宏 ハリー・クラーク
4403270034

『永遠の曠野 芙蓉千里3』

永遠の曠野 芙蓉千里III
須賀 しのぶ
4041102278


[Amazon]

読了。

各国の争いが激化する激動の近代北アジアを舞台に、ひとりの娘の半生を描く、大河歴史ロマン。完結編。


芸妓として伝説の舞いを披露した末、浦塩から姿をくらましたフミは、愛する山村健一郎=健明の行方を追い、極寒のシベリアでとうとう巡り合った。健明が当家として率いる馬賊の一団に苦労して受け入れられたフミは、かれらの目的をおのれのものとし、ともに生き、ともに死ぬことを誓う。健明たちの目的はかれらを裏切って大勢の仲間を死に至らしめた、ロシア白軍の司令官ウンゲルンへの復讐。そしてモンゴルのハーンに託された望みを果たすことだった。




怒濤の歴史小説でした。
殺伐として血みどろで痛くて凍えそうで、なのにひとびとの心はとてつもなく熱い。

極限のなかで結びあった絆の、どくどくと脈打つような勁さに、どきどきしながら読みました。

波乱万丈なんて言葉では生ぬるい、何度も死の直前まで行っては最後の一歩ですりぬけるぎりぎりの人生。

心も身体もつよくなければとうてい生き残れないような環境で、めまぐるしく変化する登場人物たちの境遇に、はらはらしながら読みました。

出てくる人、ひとりひとりに体温があって、肌触りがある。
斬れば血が流れ、痛みがさす。
怒り、泣き、笑い、愛し合う。

そんなひとたちのつくった歴史のきっかけがうねりとなって、しだいに手の届かないものになっていく、圧倒的なエネルギーを感じながら読みました。

ものすごく面白かった。

読み終えて、すべての登場人物にお疲れさまといいたくなりました。

でも、みんなとうに歩き出してますね。タフだ。タフすぎる。
作者さんの書くお話は登場人物がみんなタフで、読んでるわたしは圧倒されっぱなしです。

ところで。
じつは、電子書籍の雑誌に連載されていたものを読んでいたのですが、まったく既視感の訪れない話にひたすら驚きました。
おおまかなあらすじは変わってないんですが、エピソードの書き足しやこまかな設定の変更がとても多くて、ほとんどべつの話を読んでいる気分でした。

舞姫としてのフミが芯の部分に残っていることがつよく意識されるようになってるし、健明と炎林の関係も深くなった気がします。

フミとショールガとのエピソードは、ほとんど新作(?)。これ、すごく重要w
サラントヤとその兄さんの関係も。
後半のモンゴル関係の話は、とくにそうだったような気がします。

それにモンゴル独立の話ってこれまで知らなかったので、とても興味深かったです。
もちろん、創作もかなり入ってるんでしょうけど、これがいまのモンゴル共和国の基礎なんだなーと思って、うん。

で、赤軍の力を借りたから、あとになって日本人捕虜がウランバートルで労働させられたんだなーと思い至ったり。

歴史って世界って、あたりまえなんだけど、全部つながってるんですよねえ。
しみじみしました。

しかも、この話の時点ではまだ太平洋戦争が始まってないという。
もしかして、つづきがあるんじゃないかしらん。
そしたらヒロインはあの子? などと勝手に妄想したりしていますw

シリーズ開幕編は文庫になっております。
興味を持たれた方はぜひぜひ。
芙蓉千里 (角川文庫)
須賀 しのぶ
4041005329


余談。

フミと炎林て、カリエとエドに似てません?

20130115の購入

ネットでぽちりした本が届きました。

ミレニアムの翼 (1) ~320階の守護者と三人の家出人~ (ウィングス文庫)
縞田 理理 THORES 柴本
4403541887


以上、購入。

発売日の翌日にリアル書店で入荷してなかったので。
それから入荷したかもしれないけど、タイミングが悪かった。
出かけられない日々がしばらく続いたのですな。
それがわかってたんで、ネットで。
どうせ入荷しても一冊とかだから、時期を逃すと手に入らないのは同じです。
毎日本屋に張り付いてられるならいいんですけどね。

「Clump,Clump」

モロクっちさん作「Clump,Clump」読了。

アクションホラーSF長編、完結済み。
グロいので注意。乾いた描写なのでわたしは平気でした。

おっさんたちがハードモードで大活躍。

作者さんは諸口正巳の筆名で商業作品も書いてらっしゃいます。

『石霊と氷姫』上下巻

石霊(せきれい)と氷姫〈上〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
西魚 リツコ NA2
4344818601


[Amazon]

読了。

かっちりと構築された異世界をえがく映像的な文章とドラマティックな展開が素敵な、詐欺師の女の子が主人公の異世界陰謀活劇ファンタジー。


吼える海獣の身体からうまれたと言われるターブの地。南の藩王パースニルとの同盟により高原の民の乱が平定されたことを祝う式典で、ハモンターブの第二王女プリディオーネは、東の藩王マドラスから珍しい石霊ジァンのやどる石を、世継ぎのトバル王子には学者たちから遊び相手として美童を贈られた。九年後、パースニルとハモンターブを結ぶ泥の道で、僧正の弟子を名乗るアルは、宿代が払えずにつるし上げられている若者を口先三寸で助けた。若者の名はテオグラード。石から石霊ジァンを生み出して育てるジァンクルだった。かれはかつて自分から汚い手口で大切なジァンを取りあげた人物への復讐を誓っていた。



面白かったー!

壮大でオリジナリティーある世界設定とドラマティックかつシビアなストーリー。
映像的で、なおかつ現実的な描写も健在。

主人公が自分から積極的に動く人物だからか、これまでにもましてストーリー展開が速いです。
騙り屋、つまり詐欺師がヒロインというのも、珍しいような気がします。
ヒロインの言動がいちいち明るいのにも好感が持てます。

恋もあります。
じつにあわく淡々と書かれているのでうっかりすると見逃しちゃいそうなんですけどもw

いつもどおりの作者さんの世界もあります。
権力に執着する美丈夫と腰ぎんちゃくの商人対学者集団の陰謀劇。
猪突猛進だったり、気高く融通が利かなかったりする部族の長たち。
河を住み家とし、泥まみれでくらすひとびと。
特権階級から最下層民まで、描かれるディテールが奥行き豊かです。

それに石に宿る不思議なジァン。
船での戦い。戦闘シーンの迫力と悲惨さ泥臭さ。

二冊の中に読みどころが満載です。

コミカルだったり、痛快だったりするシーンには笑いましたし、タイトルの氷姫の物語にも、しみじみとした味わいがありました。

これまでの作者さんの物語はとても現実的な苦さを含んだ結末を迎えることが多かったのに反し、明るく希望のある、風通しのよい物語だったなあと思います。

一言で言うと、とってもエンタメしてる。

映像作品の素材としてはすごく向いてるんじゃないかなと思います。

欲を言うと、読み手の心に直接刺さってくるような言葉やシーンがあればなと、そうするともっと受けるんじゃないかなと思うのですが。

文章が映像的というのは、人物を外から見ているシーンが多いということなので、その分、言葉の表現としては遠回しになるんじゃないかと思うのですよね……。

でも、わたしはそういう、読み手に多くを預けてくれてるところが好きなんですが。

わたしにとってはこれからも読みつづけていきたい作家さんです。

石霊の話はまだなにかありそうなんですけど、レーベル自体がなくなっちゃったから読むのは難しそうですね。残念です。

石霊(せきれい)と氷姫〈下〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
西魚 リツコ NA2
4344818970

『スーパーヒーローの秘密 (株)魔法製作所』

スーパーヒーローの秘密 ((株)魔法製作所) (創元推理文庫)
シャンナ・スウェンドソン 今泉 敦子
4488503063


[Amazon]

読了。

現代アメリカのOLがヒロインの日常妖精ロマンティックコメディーファンタジー。シリーズ第五作。日本オリジナル書き下ろしです。

テキサス出身で妹気質のしっかりものケイティは、魔法の効かない免疫者。ニューヨークに帰還し、魔法を売る会社MSIに復職したとたんにマーケティング部長に就任すると、敵対するスペルワークスの魔法を悪用する商売に対抗するカスタマーカンファレンスの責任者となった。準備は着々と進むかに見えたが、ケイティが前社長ラムジーに抱いた疑念を恋人で研究開発部のオーウェン始め社員のほとんどに否定されてしまう。そうするうちに社内に悪質なインフルエンザが蔓延しはじめた。



面白くて、楽しかったです。

前作までよりもコメディー度がアップしているようなw

ニューヨークの地下鉄で起きる魔法絡みの犯罪にはビビりましたが、MSIのほのぼのな雰囲気が嬉しいし、ケイティのあたらしいアシスタントのドジっ娘ぶりがひどかったりして、たくさん笑えました。

仲の悪いキムと共闘することになったり、ドラゴンたちに犬みたいな芸をさせたり、いろいろツボにはまったポイントがありますが、一番おかしかったのはニューヨークを脱出したケイティたちが一時的に避難所にした場所です←ネタバレなので書けないwww

ゴージャスな外見と裏腹なシャイボーイのオーウェンは、相変わらずの可愛さ。
プレゼンしてくれと言われて卒倒しかけてますw
妹気質のケイティがいつのまにかお姉さんみたいにふるまってますよ。
このオーウェンの性格にはきちんとした設定がありました、なるほどー。

ルームメイトたちも一緒になってのケイティの大活躍は笑ったりどきどきしたり、読んでて頬が緩みました。

あー、楽しかった。

こんなに面白いのに、アメリカでは出版されてないなんて……。作者さんが個人で電子書籍として出してるらしいですが。

オーウェンのキャラがアメリカンには受けないのでしょうか、やはりあちらでは男はマッチョなのかしら。
ジャンル的なロマンス小説ではないからターゲットが絞りにくいのかもしれないですね。

日本ではさらに続編も出ています。
魔法無用のマジカルミッション (㈱魔法製作所) (創元推理文庫)
シャンナ・スウェンドソン 今泉 敦子
4488503071

20130109の購入

通院途中でリアル書店に寄り道しました。

夏目友人帳 15 (花とゆめCOMICS)
緑川ゆき
4592193652


以上、購入。

実質上の今年の初買い本です。

つもりではもう一冊だったのだけど、公式発売日の一日前だったのでやはりダメでした。
市内では一番の繁華街の大型書店だったんだけどなー。

フラゲは都内でないとムリっぽいです。

20130107の購入

ネットでぽちりした本が届きました。

翼の帰る処 3 ―歌われぬ約束― 上
妹尾 ゆふ子 ことき
4344826922

翼の帰る処 3 ―歌われぬ約束― 下
妹尾 ゆふ子 ことき
4344826930


以上、購入。

2013年の初購入ですが、注文したのは昨年中。
じつは今年はいまだにリアル書店に行ってません;

去年後半にさんざん散財したので、今年の目標は緊縮財政となっています。
でもたぶんびょーいんにいったら買っちゃうんだろうな、ストレスでw

『ヘヴンリープレイス』

ヘヴンリープレイス (ノベルズ・エクスプレス)
濱野 京子
4591119572


[Amazon]

読了。


自分をリセットできるかもしれない。小学六年生の和希は夏休みになって三キロの距離だけど引っ越しをした。学校は元のままだけど、あたらしい町だ。自転車に乗ってでかけると、雑木林で蝉をとろうとしているふたつかみっつ年下の男の子を見かけた。和希に気がついた男の子はエイタと名乗り、とても純粋な笑顔を見せた。その笑顔は和希に照れくさいような、恥ずかしいような気持ちにさせた。また明日。そういって別れたふたりは、ふたたび雑木林で会った。そしてエイタは和希をその場所へといざなったのだった。




しみじみとするお話でした。
しみじみと共感できるお話。
そして、身につまされるお話。

児童書の体裁をとっていますが、大人が読んだほうが深く味わえると思います。

ここに書かれているのはいじめの話です。
子供が子供をいじめる話だけではない、大人が他人を差別する話もあります。

そして虐められる側だけでなく、いじめている側の話でもあります。

親の期待に背くことを知らず、自分を押し殺しているうちに、深くゆがんでしまった自分を持て余して、苦しんでいる子供の話です。

つらく哀しい現実の話だけど、小さな救いが、救いとなる言葉がちりばめられていて、心を落ち着かせてくれる、目を開かせてくれる、そんなお話でした。

『駆け出し魔法使いとはじまりの本』

駆け出し魔法使いとはじまりの本 (創元推理文庫)
ダイアン デュエイン Diane Duane
4488535038


[Amazon]

読了。

ニューヨークを舞台に新米魔法使いの少年少女の冒険を描く、現代的なファンタジー。


摩天楼を臨むニューヨーク郊外に住む十三歳の少女ジュアニータはいじめられっ子。いつものように追いかけ回された揚げ句、図書館の中に逃げ込んだニータは、児童書コーナーで見たことのない本を見つけた。『魔法使いになるには』。思わず借り出して夢中で読んだニータは魔法使いの誓約を立ててしまった。取りあげられた大切なペンを取り返すためにひみつの場所で魔法の練習を始めたニータは、そこで魔法を使っているヒスパニック系の男の子と出会う。キットと名乗ったかれはやはりいじめられっ子で、魔法使いの修業中だった。



富士見書房から1991年に『魔法使いになる方法』というタイトルで刊行された本の新訳版だそうです。

いじめられっ子が偶然出会った本によって魔法使いになり、友人と魔法修業をしつつ、とんでもない事件に巻き込まれて絶体絶命の大ピンチの連続——というお話。

解説によると「ハリー・ポッター」が人気を博したときの「ハリー・ポッター」みたいな本が読みたいというリクエストに、アメリカの図書館司書の多くが推したのが本書だそうです。

たしかに、似てる。
少年少女の冒険譚という点と、小物や舞台装置の使い方とかが似ています。

でも違う点もあります。
大きな違いは、やはり舞台がアメリカであること。

壮大なマンハッタンの摩天楼(原書は1983年に刊行されたものなので、まだツインタワーがある)、複雑怪奇な地下鉄網、たくさんの人種のもちよるたくさんの歴史。

現代科学の成果を魔法のなかにもとりこんでしまうところ。

自動車への愛情もアメリカ人ならではないでしょうか。

どん欲にとりこまれたディテールのそこかしこにアメリカ製の印がきざまれているような気がしました。

けれど物語の展開は『指輪物語』を彷彿とさせるようなオーソドックスで地道なもの。クライマックスの爆発的な魔法のシーンにはちょっと感動してしまいました。

そのあと解説を読むと、どうやら作者さんは『指輪』の熱烈なファンであった由。なるほどでした。

この話はシリーズ化されていて、日本でも続刊が出ている模様です。

駆け出し魔法使いと海の呪文 (創元推理文庫)
ダイアン デュエイン Diane Duane
4488535046

『ふたりの距離の概算』

ふたりの距離の概算 (角川文庫)
米澤 穂信
4041003253


[Amazon]

読了。

高校生たちの日常に起きる謎を地に足のついた文章で繊細に描く青春ミステリ、「古典部シリーズ」の五冊目。


省エネをモットーとする折木奉太郎も春を迎えて二年生となり、古典部には新入生がひとりやってきた。元気の良い女子生徒大日向友子は、しごく穏当に仮入部の期間を終え、そのまま本入部すると思われていた。ところがある日突然、大日向は入部しないと告げて去っていった。原因が直前にやり取りをしていた自分にあると思い込んだ千反田えるはひどく動揺する。なぜ大日向は突然態度を変えたのか。本入部の締め切り日は春のマラソン大会の開催日だ。奉太郎は二十キロを走りながら、これまでの出来事を思い返し、真相を突き止めようとするが——。




去年読み終えたものですが、感想がのびのびになっておりました。

タイトルにあるように、人と人との距離を考えるお話です。
物理的な距離もありますが、心理的なものがメイン。

というわけで、かなり複雑で微妙な雰囲気のお話になってます。
これまでも、青春の光と影のあわいを描いて、独特の苦さをともなっていたシリーズですが、とくにこの話はやるせなさが残りました。

面白かったのですが、スカッとはせず、社会の理不尽さや人の心のままならなさにため息をつくような読後感でした。

なのでちょっと感想が書きにくかったというわけです。

新入生の大日向さんとのあいだだけでなく、二年になった古典部のメンバーの、おたがいの距離もそれぞれに変化しています。

時とともに訪れる、積み重ねの結果や、あらたなものとの出会いによって、人は変化していくのですね。

この物語も、現実とおなじように、いや、物語だからこそより鮮明に、その変化を描いています。

変化していくことを受け入れるのにも、いろんなやり方や苦労がありますね……。

と、なんか微妙なここちになってしまいました。

キャラクター小説として読みますと、奉太郎と千反田さんとの距離の変化が、遠回しにいろいろと書かれているところが楽しかった。

いつもは体を動かしたがらない奉太郎が、学校行事とはいえ延々と走りつづけ、そのうえで頭脳労働を延々と続けてる、それもこれも千反田さんのためなんだと思うと、ふふふと思います。

奉太郎の誕生日のあたりは、あたふたしてる奉太郎が笑えます。

あと、奉太郎姉は今回も最強でしたww


シリーズ開幕編はこちらです。
氷菓 (角川文庫)
米澤 穂信 上杉 久代
4044271011

「アーミン・プレストン卿の奇妙なる日常」

早瀬千夏さん作「アーミン・プレストン卿の奇妙なる日常」読了。

ヴィクトリア朝を舞台にした有閑貴族のとんちんかんコメディー。短編連作。完結済み。

ご主人様を見守る老執事の苦労がたいそう偲ばれました。バカな子ほど可愛いというやつですねwww

ごく個人的な2012年ベスト

2012年に読んだ中から個人的に面白かった&好きな本です。2012年に読んだというだけで、刊行されたのは違う年のものも多いです。というかほとんど違います。順番はたぶん読んだ順で他に意味はありません。

ちなみに2012年に読んだ本はのべ134冊でした。

・ピーター・ディッキンソン『ザ・ロープメイカー 伝説を継ぐ者』ポプラ社。
ザ・ロープメイカー―伝説を継ぐ者 (ポプラ・ウイング・ブックス)

・ロビン・ホブ『仮面の貴族 道化の使命第二部』上中下、創元推理文庫。
仮面の貴族1 (道化の使命) (創元推理文庫) 仮面の貴族2 (道化の使命) (創元推理文庫) 仮面の貴族3 (道化の使命) (創元推理文庫)

・長野まゆみ『デカルコマニア』新潮社。
デカルコマニア

・初野晴「ハルチカシリーズ」角川書店。
退出ゲーム (角川文庫) 初恋ソムリエ (角川文庫) 空想オルガン (角川文庫) 千年ジュリエット

・イアン・マクドナルド『サイバラバード・デイズ』早川書房。
サイバラバード・デイズ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

・月村了衛『機龍警察』早川書房。
機龍警察(ハヤカワ文庫JA)

・ジョゼフ・ディレイニー『魔女の物語 魔使いシリーズ外伝』東京創元社。
魔女の物語 (〈魔使いシリーズ〉外伝) (創元ブックランド)

・縞田理理「グウィノール年代記」中央公論新社、『花咲く森の妖魔の姫』ウィングス文庫。
“呪肉”の徴―グウィノール年代記〈1〉 (C・NOVELSファンタジア) 妖姫ダルシベラ - グウィノール年代記2 (C・NOVELSファンタジア) 魔城の乙女 - グウィノール年代記3 (C・NOVELSファンタジア) 花咲く森の妖魔の姫 (ウィングス文庫)

・嬉野君『金星特急』ウィングス文庫。
金星特急 (1) (ウィングス文庫) 金星特急 (2) (ウィングス文庫) 金星特急 3 (ウィングス文庫) 金星特急 (4) (ウィングス文庫) 金星特急 5 (ウィングス文庫) 金星特急 (6) (ウィングス文庫) 金星特急 (7) (ウィングス文庫)


2012年のわたしは、ますます読むスピードが落ちました。
さらに記憶力も落ちたので、シリーズ物の新刊が出るたびに前の巻を読み返したりしてました。
おかげでなんとか130冊以上読んだことになってますが、きっと実数はもっと少ないと思われます。

とくに、アニメ絡みで読んでた某シリーズなんて、何度読み返したかわからない(でもベストに入れてない;)という。

改めて見ると、少女小説が例年になく少ないですね。
濃厚なファンタジーも、あまり読んでないような。
ミステリのシリーズ物が入るのは、珍しいかもしれない。
今年はこれだ、と太鼓判を押すような大作に(わたしが)当たらなかった年のような気がします。

その他の印象に残った本を以下にあげておきます。

ゲイル・キャリガー「英国パラソル奇譚」
川端裕人『銀河のワールドカップ』
パトリシア・A・マキリップ『アトリックス・ウルフの呪文書』
山尾悠子『夢の遠近法 山尾悠子初期作品選』
上田早夕里『華竜の宮』
米村穂信「古典部シリーズ」
菅野雪虫『天山の巫女ソニン 巨山外伝 予言の娘』
濱野京子『トーキョー・クロスロード』『白い月の丘で』『紅に輝く河』



ごく個人的な年間ベスト一覧

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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