『太陽の石』

太陽の石
乾石 智子
448802498X


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読了。

魔道師きょうだいの確執と帝国の衰亡を描く、色彩豊かな異世界ファンタジー。


コンスル帝国最北西端にある霧岬で赤子の時に拾われた少年デイスは、養父と同じ天文学者になる夢に家族から猛反対を受けていた。栄華を誇った帝国はいまや瓦解の一途をたどっており、気候の変化で霧岬付近では空を見ることも出来ない。人々が貧しい暮らしを送るある日、黒ずくめの男が現れ、自分は魔道師のリンターだと名乗った。リンターといえば帝国を傾けた魔道師のイザーカトきょうだいのひとりで、霧岬でときおり煙を吐き振動するゴルツ山は戦いのときにリンターがつくったものとされていた。しかし、それももう三百年も前のはなし。不信感をあらわにする村人たちの目の前にリンターは貴重な水を湧き出させ、かわりにデイスとその友人ビュリアンを差し出せと要求した。



面白かったー。

前作『魔道師の月』と同一世界のお話ですが、ずっと時代が下って帝国がもうさんざんな状況になっています。

中央権力の腐敗に行政組織の劣化。地方では反乱が相次ぎ、他国からの脅威にさらされてもいる。

霧岬では魔道師の戦いのとばっちりを受けて火山が隆起し、吐きだす噴煙で空が覆われ、農作物に大ダメージが。

ひとびとはその日を生きていくのでせいいっぱい。

そんな霧村で将来に期待と不安を持つ少年デイスが今回の主人公。

かれが旅をするうちに、帝国の状況があきらかになっていきまして、それがけっこう衝撃的でしたが、基本的なトーンはそれほど暗くはありません。

むしろ、登場人物がかなり増えたので、けっこうにぎやかになりました。

お姉さんとか幼なじみとかが始めからでてくるわけですが、そのあとにも複数人の主要人物たちが登場。

いままでよりも物語におけるキャラクターの比重が大きくなって、一般的には読みやすくなったのではないでしょうか。

三百年前に“きょうだい喧嘩”で帝国を混乱させたイザーカトきょうだいの、それぞれにそれぞれの思いを抱えた来し方が、興味深かったです。

例によって過去の因縁がめぐって現在にいたる、魔道師たちのお話なのですが、きょうだい間の親密度とか力関係とかがからんでくる分、人間ぽくなったなあ、と思いました。

きょうだい間の相手に対する必要以上の厳しさやあいまいに逃げてしまう場当たり的な態度って、けっきょく期待と甘えなんですよねえ。血が繋がってるから、というよりも、同じ親と時間と状況を共有してきた、てことが大きいのかな。

このあたりの人間関係と物語の距離の取り方、ちょっと萩尾望都に似ているなと感じました。

それと、前作で気になっていた、担いきれない闇を抱え込んだ魔道師というのがどうなるのかというお話。

こうなるのかー、という気持ちと、このスケールでおさまるのはファンタジーだからなのかなという気持ちが、半々くらいな感じでした。

闇を抱え込むということについて、わたしの頭はぐるぐるまわっているようです。
魔道師の力と闇の関係が気になるー。

ところで、キャラクターとしては、きょうだいの下から二番目のイリアがいろいろ楽しかったです。
デイスを拾ったお姉さんのネアリイは、ちょっと苦手な部類の女の子でしたが、彼女もものすごくキャラが立ってましたね。
イスリルの魔道師ザナザもいい味出してましたし。

わたしとしては、お兄さんのリンターが一押しですがw

喜ばしいことに作者さんは順調に新作を刊行されてます。

おなじ世界かどうかはわからないけれど、つぎはこちらを読む予定。
闇の虹水晶
乾石智子
4022510358

20130427の購入

ネットでぽちりしていた本が届きました。

ディアスと月の誓約
乾石 智子 吉田ヨシツギ
4152093684

八百万の神に問う1 - 春 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼
4125012458


以上、購入。

いちおう、発売日にリアル書店に行ってみたんですが見つからなかったので。
このところ体調が悪いので何度もは足を運べず、すぐネットに頼るようになってしまってます。

リアルで買わないとますます品揃えが悪くなると、わかってはいるのですけども。

『魔道師の月』

魔道師の月
乾石 智子
4488024890


[Amazon]

読了。

原初の闇〈暗樹〉とたたかう魔道師たちの業を多彩な言葉で織りあげる、幻想的な異世界ファンタジー。


栄華を誇るコンスル帝国。皇帝の甥ガウザス付きのレイサンダーは黒髪と緑の目を持つ大地の魔法を操る魔道師だ。ある日、皇帝への献上物として持ち込まれた幸運をもたらす円筒を見たレイサンダーは、その禍々しさに言いようのない畏れを抱いて遁走した。その一年後、文字の魔法を生み出した魔道師キアルスは、コンスル帝国の兵士に捕らえられていた。キアルスは深い喪失感から自棄になって大切な詩集を燃やしているところを見られて、黒髪と緑の目を持つ魔道師を捜索しているかれらの網にかかったのだ。



この話、とっても好きです。
面白い本はたくさんあるけど、好きだーと声を大にして言える本との出会いは、じつはそれほどないような気がします。

この話は、つかわれる言葉や文章からお話しの語りかた、テーマや題材や、登場人物の性格もふくめて、わたしのど真ん中を射ぬきました。

正直、万人向けではない本と思いますが、わたしと趣味が似ているかたにはぜひとも読んでいただきたいと思います。

物語というのがふさわしいお話です。
はっきり説明や解説とわかる文章はほとんどありません。
物事が起きている、その事態を視点人物が感じているそのままの言葉であらわしつつ、それが次第に状況をあきらかにしていくという、つづれ織りのような語りかた。

使われる言葉は平易なのにとても彩り豊かで、とくに自然についてついやされるたくさんの言葉が、世界の豊かさそのものをあらわしているようです。

そのこともまた、世界の理に干渉するちからをもった魔道師の物語にふさわしいと思えます。

ちからをふるうたびにその身に闇をかかえていくという魔道師の存在そのものが、この話の大きなテーマなのですね。

敵である邪悪な〈暗樹〉は闇そのもの。
光と相反し、しかし闇なければ光もまた存在せず、ひとの血の中にも流れているもの。

ひとが生まれた時にかぎりなく無垢であるのなら、闇はもしかしたら、世界を理解するためには必要不可欠なものなのかも、ひととして生きていくうちに得ていく知識そのものなのかもしれないなー、などと思ってみたり。

魔道師が闇を得ていくのは、もともとの知識の上に他人の分も人生の経験を積み重ねていくからなのかしらん……。
とは、わたしの妄想ですが。

ただ、その闇が完全に人類の人生を超えたスケールを持っていたら、それはもう制御不能だよなあ……それはもうファンタジーの領域の話ではないのかも。

閑話休題。

大地の魔法をつかう一族に生まれたレイサンダー。
文字を使うギディスディン魔法をつくりだしたキアルス。

ふたりの魔道師はそれぞれに〈暗樹〉の危機と出会い、それぞれに苦難を越えて巡り合い、協力して恐ろしい敵を葬り去ろうとします。

能力も性格も違うふたりのやりとりは軽妙で、深刻な話の中では特別に暖かく、コンスル帝国の兵士ムラカンや、ふたりを結びつける星読みテイバドールの人生とあわせて、これは若者たちの友情の物語でもあることが感じられます。

物語の舞台となるコンスル帝国のひとびとの暮らしや、テイバドールの部族の暮らしなど、日々の営みの豊かなことも、楽しかったです。

(印刷技術のない時代に、一般公開される開架式図書館があるというところだけ、ちょっと疑問でしたが……)

ものすごく面白くて好みだったのに、感想がうまく書けそうになくて、何度も読み直していたのですが、このままだといつまでたっても書けそうにないので、見切り発車しました。

いつもにも増して支離滅裂になってますが、とにかくこの本大好きだー! という叫びだけは届けられたでしょうか。

……届いたと思いたい。

ところで、妹尾ゆふ子さんによる解説で、この話が前作『夜の写本師』と舞台が同じで話も関連しているらしいと気づきました。

しまった。鳥あたまなわたしは読んだ本を全然覚えていない!

たしかにギディスディン魔法ってみたことあるなあと思ったけど……!

これは買って読み直さねば、と思ったのですが、すでに次作は手元にあるのでこっちもはやく読みたいので、どうしようどうしようと懊悩しているところです。
夜の写本師
乾石 智子
4488024726

太陽の石
乾石 智子
448802498X

『封殺鬼 クダンノ如シ 下』

封殺鬼 クダンノ如シ 下 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
4094522336


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読了。

太平洋戦争前の不穏な日本を舞台に、陰陽師の一族を統べる少女と軍部に利用される異形との戦いを描く、伝奇シリーズ。

面白かったー。

神島の当主、女学校に潜入すの巻、完結編です。

予言をする魔物とおぼしき少女、穂積妙子をめぐる事件は、軍部の関与と穂積財閥の歴史があきらかになるにつれて意外な方向に進みます。

シリアスダークでより深い闇を予感させる展開にあって、人間の喜怒哀楽、ひとを思う心のつよさが、ささやかではあっても命を照らす光とかんじられて、それがクライマックスで凝縮されて、いろいろとせつないお話だったなあと、思いました。

この作者さんのお話は、いつも手堅くまとまっていて、地に足がついていて、そのうえ人間ドラマが繊細なところが、とても好きです。

いっぽう、同時進行のツンデレ桐子の見合い話ですが、こちらはちょっとコメディーぽい展開に。
京都の本家から出向してきた片桐さんが、とてもよい堅物オジサンでたのしかったのですが、いきなり頑張りだしたあのひとに、びっくりwww

ちょっと強引かなと思わないでもなかったけれど、あとがきを読んでそうだったのかと納得しました。

ルルル文庫での封殺鬼シリーズは、これで終わりだそうです。

竹取の一族とか、軍部の情報機関のひととか、いろいろ楽しみな登場人物がたくさんいたので、その活躍を楽しみにしていた身としてはとっても残念としかいえません。

なにより、ふたりの鬼たちの活躍が足りなーい!

またどこかでシリーズが復活することを願ってやみません。

桐子ちゃんが主役のシリーズの開幕編はこちら。
封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈1〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
4094520082

『サイモン・アークの事件簿 I』

サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)
エドワード・D. ホック Edward D. Hoch
4488201083


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読了。

二千年生きているらしいサイモン・アークを探偵役とする、オカルト風味のミステリ短編集。第一巻。

収録作品は以下の通りです。


死者の村
地獄の代理人
魔術師の日
霧の中の埋葬
狼男を撃った男
悪魔撲滅教団
妖精コリヤダ
傷痕同盟
奇蹟の教祖
キルトを縫わないキルター

サイモン・アーク登場 木村仁良



サイモン・アークとは、人生の始めはプリミティヴなキリスト教の宗派コプト教の僧侶(?)として、いまは世界をまたにかける悪魔教の専門家として、二千年の時を生きているとほのめかす、非常に博識で経験ゆたかな人物です。

奇怪な事件の取材で偶然サイモン・アークと知り合った氏名不詳の語り手が、サイモン・アークの名推理を描くのが、この短編集。

オカルト探偵というふれこみにつられて読んでみました。
期待しているのはもちろん、超常現象です。

結論。ふつうにミステリでした。

発表順に並べられた作品の、いちばん奇っ怪だったのが第一作で、時代を追うごとにどんどんオカルトが単なるアイテム化していくのですね。

わたしがもっとミステリの謎解き好きならもっとちがうのかもしれませんが、いやー、ほんとにわたしはミステリに素養がないのですねー。

散りばめられた悪魔教関係のあれこれも、キリスト教関連のあれこれも、目新しいものはなかったので、それも残念でした。

そういえば、悪魔教という単語はちょっと新鮮だったかも。
これまで読んできたものでは悪魔崇拝というのがスタンダードだったような。

悪魔教といっても土台はキリスト教なんだろうなー、とか。
サイモン・アークの活動範囲はアフリカからヨーロッパ、西アジア辺りまでのようですが、これってほぼ地中海世界だよなー、とか。
そこに、開拓でアメリカが加わったわけだなー、とか。
ロシアはロシア正教絡みで足を踏み入れてるみたいだな、とか。
アジアは守備範囲外なのかしら、とか。

読んでいて、話とはまったく関係のない方角に妄想が膨らんで困りました。

しまいにゆきついたのは、サイモン・アークの母語はなんだろうか、でした。

それと、発表年代が1960年代から2000年代にまで渡っているので、それぞれの時代がうっすらと反映されてるのが興味深かったかも。

サイモン・アークの事件簿Ⅱ (創元推理文庫)
エドワード・D・ホック 木村 二郎
4488201105

『ラブオールプレー 風の生まれる場所』

(P[こ]4-2)ラブオールプレー 風の生まれる場所 (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
4591128881


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読了。

欲張りな天才バドミントンプレイヤーの少年が、様々な出会いと絆によって成長していく姿を描く、青春小説。『ラブオールプレー』の姉妹編。


遊佐賢人は中学バドミントン界では負け知らずの天才プレイヤー。三年になり、全国の強豪校からいくつも誘いを受けていた賢人だが、校内に貼られていた横浜湊高校ポスターの美少女に一目ぼれしてしまった。バドミントン部も全国レベルでは落ちるが県内では屈指だと調べをつけた賢人は、すぐさま入学を決断。元五輪選手でいまは実業団の指導者をしている父親を説得し見学に赴いた横浜湊での、バドミントン部監督の人柄やチームメイトの雰囲気は好ましいもので、とくに同じ中三ですでに進学を決めていた横川との出会いは鮮烈だった。自分はこのチームを強くする、強くできる。思いを強くする賢人は、さらにポスターの美少女が特進コースの首席である事を知り、自分も特進コースに入ろうと決意する。



やー、面白かったですwww

主役は、前作の主人公水嶋亮の先輩だった遊佐賢人。

イケメンで俺様な天才プレイヤー。天才であるがゆえの孤独を感じつつもそれを誇りとし、自分の才能と容貌をあらゆる面で利用するのが当たり前なちゃっかり屋でもあった、欲張りな少年の青春小説です。

無欲の大器と評されるニュートラルな亮くんが主役の前作はオーソドックスな雰囲気で、児童文学といってもいいような趣のお話でしたが、今回は主役のアクの強さもあり、脇役のキャラクターも前作を踏まえて大分立ってきてて、幾分ラノベ寄りな感じになっています。

なにしろ、冒頭から主人公は女の子目当てで志望校を決めてますからねえwww

しかも、アタックしまくりな主役に対し、マドンナの冷たいこと。
なのに諦めずにいつまでも思いつづける主役、冷たくされたのが新鮮だったのか。

そういえば、ダブルスのパートナーとなる横川くんにも、出会いで突き放されて、おやっ、と興味を持ったもよう。

俺様はすげなくされると燃えるのですねw

マドンナの仕打ちにへこんで八つ当たりする姿がたいへんに可笑しく、周囲の迷惑するようすも気の毒でほほえましく(←鬼)、いかにもわがままな天才お坊ちゃまキャラぶりが笑えてしかたがありませんでした。

賢人と愉快な仲間たちのあいだに育まれていく絆と、大学のバドミントンのシーズンがめりはりになって、ストーリーは進みます。

高校入学前から大学三年になるまでの期間を一冊で描いているので、若干駆け足気味で、バドミントンの競技的な醍醐味は薄れてますが、遊佐賢人の物語としてはたいへん楽しめました。

いや、これで大学生なのって思うほど、さわやかお馬鹿な青春ですwww

クールビューティーのマドンナ里佳さんと、いつも賢人をフォローさせられてる冷静な横川くんとのやりとりが楽しい。

大学進学によって前作よりも世界が広がってますが、メインは横浜湊の絆でしょうか。

どんどん成長して大きなライバルとなっていく亮くんの姿が読めるのもうれしいことでした。

個人的には、横浜湊のバドミントン部監督である、“食えない”海老原先生にもっと出演して欲しかったかな。

ちょうどタイミングよく、シリーズの続刊が五月に発売される模様です。
今度の主役はだれかしらと、いろいろ推測して待ってます。

(P[こ]4-3)ラブオールプレー 夢をつなぐ風になれ (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
4591134644

20130415の購入

(P[こ]4-2)ラブオールプレー 風の生まれる場所 (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
4591128881


以上、購入。

けっきょく買ってきてしまいましたw

『ラブオールプレー』

ラブオールプレー (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
4591122689


[Amazon]

読了。

青春バドミントン小説。

中学時代、バドミントンが大好きで、指導者のいない部で自分たちなりの工夫をしながらバドミントン漬けの生活を送ってきた水嶋亮。
部活を引退し、進路が決まるまでバドミントンが出来ないと憂鬱になっていた彼の下に、県下でも有数の強豪・横浜湊高校からスポーツ推薦の誘いがかかった。両親の心配を思い、スポーツコースではなく進学コースへ進むことにした亮は、才色兼備の姉の指導もあってなんとか合格。それからはバドミントンへの思いを同じくする仲間たちと、ずっと先を行く先輩たちにかこまれた、厳しく熱くたのしい高校生活が始まった。



面白かった〜。

題材がめずらしいなと目をつけていた本で、たまたま本屋で見つけたので買ってきてみたのですが、これが大正解。

健全で爽やかな、とにかくバドミントン一直線な高校生活を描いた、青春小説でした。

ピュアフル文庫はラノベとはちょっとちがう、ほのぼのした毒のないお話が多いのかなという印象でしたが、今作の場合、それがものたりなさにはつながらなかったのがよかった。

ちょっといじわるな天才プレイヤーと、地道な努力家の先輩たち。

情熱家だったり、繊細で人との距離をとりたがったり、仲の良すぎる双子だったり、バドミントンは初心者だけど明晰な頭脳で戦術を指南してくれたりする、同級生たち。

ひろい視野と懐を持ち、理論的に部員たちを指導していく、情熱あふれる指導者。

人間関係には恵まれていて、だから嫌なことはあまり起こらず、ひたすら目標をめざして努力する姿が、熱いです。

ひとつのことに熱中し、努力した経験は、その後、どんな人生を歩むことになっても、けして無駄にはならない、かれらの血肉となって支えてくれる大切な経験になるんだろうなあ。

時間を無駄にするなという言葉は、ものぐさなわたしにはたいそう耳の痛いものでありましたが、たしかにそうだよなーとしみじみいたしました。

自分の人生の傍観者になっては、いけないですよね;

面白かったのでつづきも読んでみたいです。
どうやら、つづきといってもそのままの続きではなく、先輩だった天才プレイヤー視点のお話の模様。

(P[こ]4-2)ラブオールプレー 風の生まれる場所 (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
4591128881

20130412の購入

ネットでぽちったのと、リアル書店でみつけたの。

銀河へキックオフ!!オフィシャルファンブック (学研ムック)
アニメディア編集部
4056069883


ラブオールプレー (ポプラ文庫ピュアフル)
小瀬木 麻美
4591122689


以上、購入。

「銀河へキックオフ!!」は三月上旬に放送終了したサッカーアニメです。
久しぶりにはまりこんで、キャラソンCDを借りてヘビロテしたり、録画したのを繰りかえして見たりしていたのですが、ついにオフィシャルファンブックにまで手を出してしまったwww

子供たちがかわいいんだよう!!

いつまでつづくんだろう、自分でも謎です。

『機龍警察 自爆条項』

機龍警察 自爆条項  (ハヤカワ・ミステリワールド)
月村 了衛
4152092416


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読了。

軍用有人兵器が各地の紛争に油を注ぐようになった世界。日本でも現実となったテロの脅威に立ち向かう警視庁特捜部と龍機兵搭乗員の奮闘と組織内部の軋轢とともに描く、重厚な“至近未来”警察アクション小説。シリーズ第二弾。


横浜港大黒埠頭。武器密輸の情報を得た税関と鶴見署の職員が職質した相手は、とたんに発砲。気が触れたかのように周囲の者たちを殺害し、最後に自分の頭部を撃って死んだ。コンテナの中にはキモノ——機甲兵装が二体、組み上げられた形で残されていた。ペーパーカンパニーを通して行われた機甲兵装の密輸。同様の事案は、日本各地で確認されることとなる。大規模テロ計画の存在を予測した特捜部は全力を持って捜査を開始した。ところがその矢先、不可解な捜査中止命令が下る。それは部長沖津の交渉力を持ってしても抗しきれない、政府上層部からの意向だった。



大規模破壊兵器の威力が強くなりすぎて実際には使用できない状況になった時、局地戦で大きな威力を発揮する有人兵器・機甲兵装が実用化され、これまでとはケタ違いの破壊と殺戮が都市部で起きるようになった“至近未来”を舞台にした、テロと戦う警察小説です。

機甲兵装ってつまり、ロボットなんですが、これが正義の象徴とかいうのではなくたんなる兵器として描かれているところがリアリティーであり、しかし、五年先の技術が実装された未知の新兵器が味方にあるというのが、娯楽なのだなーとおもわれます。

小説そのものは至極まっとうな地に足のついた語りで、国際情勢、おもに紛争地帯の情報がふんだんにおりこまれていて、軍事物に匹敵するようなスケールの大きさがあります。

そのうえ、日本の中でも警察とそのほかの官庁のかけひきや、警察内部での特捜部の特異な立場によって生じる軋轢があり、敵に対して一枚岩で当たることが難しいという、内憂外患な状況が描かれていて、その辺も現実的。

そんな味方に足を引っ張られつつの対テロリスト捜索で、苦労と苦悩を道連れにそれなりの成果を持ち帰るそれぞれに背景を持つ捜査員たちの有能さが読んでいて気持ちよい。

外務省からやってきた特捜部部長の沖津さんの変幻自在な外交術と明晰な頭脳戦もよみどころ。←四十代前半って若すぎですw

龍機兵搭乗員、とくにフィアボルグ搭乗員姿警部の独特な個性も印象的です。どんな事態にも余裕がありすぎでこいつ何者感が高まりすぎw
ひそかに苦労性のバーゲストの乗り手ユーリも健在です。

そして今回のメインは、対テロリスト。

北アイルランドの反政府組織IRAから分離した過激派IRFのテロリストだった龍機兵バンシーの搭乗員ライザ・ラードナーと、IRFのテロで家族を失った技術班主任の鈴石緑。

数少ない女性陣ふたりに当たったスポットが、事件の裏にひそむ人間のドラマを浮かび上がらせて、テロは何故起きるのか、テロはなにをもたらすのか、テロはなぜなくならないのか、といったシリアスなテーマに読み手をつれていきます。

とても密度の濃い、淡々とした、ストイックな文章でつづられる、ライザの過去が衝撃的。

イングランドに迫害されつづけたアイルランド人の中で、さらに裏切り者として非難されつづけたライザの生い立ちと、警察庁の中で鬼子のように疎まれ憎まれる特捜部の存在には重なるところがあります。

生存を理由に結束する集団において、敵対者は存在を懸けて排除するべきもの。
そしてよそ者、裏切り者などの身近な異分子は、それが脅威でなくとも排除することそのものが集団の結束を高めるための手段ともなるのですよね……。

暗澹としてしまいますが、理由はわかります。
生存競争が激しく厳しい環境だからこそ、結束が必要なんでしょう。
北アイルランドにおいてのカトリックと、警察においてのそれぞれのなわばり意識を同列にするのは、なんだかなーなのですが、警察も命を懸けて仕事をしている点に置いてはかわりないのかなとも思いますし。

つまり、命を預けられる相手であるかどうか、が問題なのかしら。

とか、いろいろと考えさせられました。

アクションや情報戦、かけひきなどの仕掛けも派手で、わくわくドキドキハラハラですが、人間のドラマをしっかりと描いているところが、この話にずっしりとした重みを与えているのだなと思いました。

すっごく、面白かったです。

つづきもはやく読みたいです。

わたしはハードカバーで読みましたが、すでに文庫化されています。
機龍警察 自爆条項 (上) (ハヤカワ文庫JA)
月村 了衛
4150310750

機龍警察 自爆条項 (下) (ハヤカワ文庫JA)
月村 了衛
4150310769


そしてシリーズの続きはこちら。
機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)
月村 了衛
4152093218

『風の王国 王杖の守者』

風の王国 王杖の守者 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086016613


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読了。

吐蕃へ嫁いだ唐の公主の、波乱の人生を描く、少女向け歴史小説シリーズ、二十四冊目。


吐蕃王ソンツェン・ガムポの名代として、仏寺建立の経過を検分した翠蘭は、チム氏の次男ゲンパへ出仕を要請しにいった矢先、唐の皇帝の使者・僧侶王玄作らがアルジュナなるものにギャカルで捕らえられたとの報を受けた。王玄作はネパールのナレーンドラ王に保護されたが、ラサのハルシャ王は崩御したという。ナレーンドラ王への礼と王玄作の見舞いのためにネパールへ行くことを決意する翠蘭は、その案内役にゲンパを指名した。詐術を弄して翠蘭を遠ざけようとしていたゲムパだが、翠蘭と辛辣な問答をしたのちに案内をひきうける。



ネパール編の第二弾です。

前巻の内容が記憶的にかなり怪しいのですが、推理しながら読みました。

歴史的な激動期を舞台にしつつ、生まれも育ちも文化も異なる、確固とした自己をもつ人物と、いかにして理解しあい、信頼関係を築いていくか、そのときどきに発揮される翠蘭の公正さ、強さ、義理堅さ、善良さと情の深さがシリーズのよみどころなのかなーと思いはじめている、今日この頃。

今回の翠蘭の征服相手(笑)は、チム氏の次男ゲンパ。
幼いころから頭脳戦に長け、翠蘭を吐蕃へと向かわせることになった吐蕃と唐との戦いにも少年ながら関わっていたという、“賢者”です。

にもかかわらず、いまは山で隠遁暮らしをしていて、兄弟にすら誤解されて鼻摘みもの扱いされている、くせ者でもあります。

この巻では、あえて危険な詐術までおこなって翠蘭を遠ざけようとしたゲンパの、ひととなりとそれを育んだ過去のいきさつがあきらかになり、硬く凝っていたかれのこころが、翠蘭たちの来訪を機に変化していくさまを描いていて、とても面白かったです。

また、いままでは翠蘭がひとりですべてを背負っていたのですが、この旅には王太子のラセルが同行しているため、そのぶん話にふくよかさや明るさが増しているようでした。

とくに、ラセルの愛犬ヤブリムとウーモは、グッジョブなのです。

それから、ネパールへの道中、吐蕃とは異なる文化に触れていくあたりがとても興味深かった。
ネパールはどうやらインド文明圏なのですね。
厳格な身分制度や、それにともなう複雑なしきたりだけでなく、インドの帝王学のようなものがかたられるのもへええと思いました。
サブタイトルは、その考えを踏襲したものだったのですね。

ようやくたどりついたネパールの王宮内にもなにやら不穏な空気が漂っているのは、もはやお約束w

今後は、王玄作を襲った賊の件と王宮のなにかがからんでいくのではないかと、またもや勝手に推測中です。

つづきは、すでに刊行済みです。
風の王国 抱玉の臣 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
408601694X

『カマラとアマラの丘』

カマラとアマラの丘
初野 晴
4062175274


[Amazon]

読了。

月の光のもと、廃止された遊園地でふしぎな青年と出会ったものたちの物語。
幻想的な連作短編ミステリ。


カマラとアマラの丘 ——ゴールデンレトリーバー——
ブクウスとツォノクワの丘 ——ビッグフット——
シレネッタの丘 ——天才インコ——
ヴァルキューリの丘 ——黒い未亡人とクマネズミ——
星々の審判



暗闇にふりそそぐ月光に照らし出される花の園と、うち捨てられて朽ちていく遊園地のうらびしさ。

そこを目指してようやくたどりついたもの、あるいは偶然たどり着いたもの、あるいは人を追いかけて入り込んでしまったものが出会う、不思議な青年の冷静で穏やかで容赦のない存在感。

青年との会話によってさらけだされていく、出来事と感情の変遷の生々しさにたじろぎつつ、結末まで導いていくその展開の鮮やかさに息を呑み。

そしてラストのなんともいいようのないやるせなさに、かすかなぬくもりがしみいるような、独特のあじわいにひたりました。

歴史的に西洋文化では、動物には魂がなく、感情も痛みも感じないとされていたそうです。
それって、キリスト教でいう、異教の魔物には魂がないというのと、おなじなのかなと思いました。

動物はだから人間が物として扱ってもよいものとして認識されてきたということらしいです。

人間と動物を隔てるものは、隔てている根拠は、どこにあるのか。

言葉にある、と考えたものたちは、もしかしたら。動物のみならず、自分たちの言葉を解さない人間も、魂がないものとして扱ってきたのかもしれないなー。

しかし、その前提が、現代において大きく揺らいでいる、というのがこの本の大きなテーマなのかなと思いました。

ペットとして改良されつづけた結果、生物として不自然な存在になってしまった犬。
人間の治療のために遺伝子を改変される実験動物。
人語を解する鳥。

いささか誇張しすぎかなと思うところはあるけれど、それはテーマを明確にするための拡大解釈として、SF的にはありだとおもいました。

なによりも、この物語にはとても力強い語りの力があります。
そして、とてもさびしいのにかすかだけれどたしかに救いと受けとれるものを感じさせてくれる、なにかがあります。

それはこの話が、あの世とこの世のはざまで語られることと無縁ではないと思います。

夜の廃遊園地で、墓守と名乗る青年と。
月影のうつす花に彩られた、魂たちの物語でした。