『白い人たち』

白い人たち
フランシス・H. バーネット
4835591526

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読了。

1919年にイギリスで発表された、穏やかでやわらかな幻想小説。

『小公女』『小公子』などで知られるバーネットの作品。
苳子さんが言及されていたのをみて興味を持って借りてみました。

これはすごく好きです!
バーネットは『秘密の花園』がとっても好きなんですが、それとタメはるくらい好きです。
『花園』の色とりどりの雰囲気とは違う、モノトーンの静けさ、聖なる沈黙のような雰囲気をたおやかに描いたお話です。

おもな舞台は荒涼としたスコットランド高地地方にある古いお城。
霧にしずかにつつまれた、どこか夢のような時間のたゆたう場所。
そこに住む古い一族の当主である女の子イゾベルが主人公。

彼女は内気なうえにいわゆるセカンド・サイトの持ち主で、一族からは疎まれる存在。
けれど、理解者であるふたりの大人、ジーン・ブレイドとアンガス・マッカイヤーの控えめながらもゆたかな愛情につつまれておだやかに成長してゆきます。

自分の異能も知らず、心の底から故郷を愛しく思いながら、幼い頃に友達だった白い人ウィー・ブラウン・エルスペスが姿をあらわさなくなってからは、ただひとり、孤独のままに。

これ以上語るのはおそらく反則なのでもう書きませんが。

この物語はファンタジーの一つの役割である救済を見事に果たしていると思われました。
万人がそう感じるとはいえないけれども、一部の人はこれをよんで救われることがあるとのではないか。

訳者による解説にあるとおり、人間の根源的な問題をテーマに据えているこの作品は、ファンタジーだからこそ描ける答えをそっと提示しているのです。

バーネットが前提としているのはあきらかにキリスト教の唯一絶対神ですが、この物語は古代のひとびとの信じていた世界を取り戻そうとしているように私には思えます。

うーん、うまく言えないな。
こんなふうにごちゃごちゃと書いておいてなんですが、興味を持たれた方はぜひとも読んでみてください、と申し上げておきます。

と、なんだか感想まで上品になっちゃう愛すべき作品なのでした。

お、古典新訳文庫に『秘密の花園』が!
欲しいなー。でも予算がなー。

秘密の花園 (光文社古典新訳文庫 Aハ 1-1)
バーネット 土屋 京子
4334751288


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