『果てなき蒼氓』

果てなき蒼氓
谷 甲州 水樹和佳子
4152083387


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読了。

『SFマガジン』に連載されたもの。「現代日本SFを代表するふたつの才能が創りあげた、豪華ヴィジュアル・ブック!」

某家族が貸してくれた本。
そういえばこの連載が載ってるとき『SFマガジン』を読んでたなー、私。図書館で拾い読みだったけど――と思いつつ読みました。

硬質で透明で壮大な世界が描かれている話なんだなと思いました。
ベクトルはSFの方向。

谷甲州も水樹和佳子もけっこう読んでいる作家なのですが、むー。
私はSF読みじゃない、すくなくともハードSFは好みじゃないんだなあ、ということがよくわかった本でした。

とりあえず、目次はこんな感じで。


第1話「星嵐」
第2話「失踪するもの(スカンダ)」
第3話「青睡蓮(プシュカラ)の女神」
第4話「美しい翼を持つもの(スパルナ)」
第5話「種子の歌う星」
第6話「シャンカラ」
第7話「狩人(かりびと)たちの伝説」
第8話「追われるもの」
第9話「スカンダふたたび」
第10話「宇宙を渡るもの」
第11話「星ぼしの根源へ」
最終話「そして故郷へ」

あとがき
科学的背景




科学的背景をまったく見ずに読み始めたとき、固有名詞から脳裏に思い浮かんだのは、じつはインドあたりの世界観でした。たしか下で象がこの世を支えているとかいうものですね。
そのあたりでちょいと好奇心をおこして科学的背景を見てしまってから、私の頭は科学的根拠という奴でぐるんぐるんすることに。

最後まで読んで、これはゆきて(故郷に)帰りし物語だったんだとわかった時点で盛大に気力がぬけました。

それだけの物語で登場人物にもほとんど個性がなく、ただただ衝動に突き動かされるようにすすむ展開で、ディテールを支えているのはガチガチなハード設定という話で、たぶんこれが谷甲州の文章だけだったら途中で投げ出していたと思います。

水樹和佳子の絵がふくらませてくれる透明感、そぎ落とされた硬質な雰囲気、端正でうつくしい世界があってこそ、この本はこの完成度を誇っているのだと感じました。

というか、私としては原案・谷甲州でも全然かまわなかった(苦笑。
私が谷甲州の作品で好きなのは、ハード設定と人間ドラマが等分で物語を構成しているところにあるので、人間くささのないハードだけだと全然おもしろく感じない、ということがわかりました。

そして、ゆきて帰りし物語にこんなに理屈をくっつけなければ楽しめないハードSF読みって、なんて不自由なんだろうと感じてしまった(苦笑。

ただし、物語の終わりがあくまで前向きに終わるのはSFならではかなあとも思いました。
崩壊した故郷でこのひとたちが創り出す世界が、以前とまったくおなじものになってしまうのではないかという不安も感じましたが。

読んでいて、SFというのは未来へのベクトルで出来ていて、ファンタジーというのはぐるぐると循環しているのかなと思いつきました。

あくまで私の個人的な感想ですが。

水樹和佳子の絵は、ほんとうにどこも手を抜かない緊張感のつづく丁寧で繊細な線で、とても美しく、見ているだけで幸せになれました。

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