『ホアズブレスの龍追い人』

ホアズブレスの龍追い人 (創元推理文庫 F マ 9-2)
パトリシア・A・マキリップ 大友 香奈子
4488520081


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読了。

五感で異世界を体験させてくれる作家マキリップのファンタジー短編集。

堪能しましたがまだし足りない。もう一度読んで味わいたいと思わせられる、大変質の高いバラエティー豊かな作品集でした。

正統派異世界ファンタジーからおなじみの童話をマキリップ風に描いたもの、とても象徴的でいろいろと考えさせられるもの、有名な戯曲のマキリップ風後日譚。

つねにファンタジーでなければ描けない世界をつづっているマキリップですが、こんな変化球的な作品も書くんだなー。しかも、それもたいそう面白いし、印象的です。

短篇なので説明がやや少なくて、その分読者には不親切な部分があるように思いましたが、それがまた作品の神秘性を高めているような気がしました……べた褒めです(笑。

収録作品は以下の通りです。


ホアズブレスの龍追い人
音楽の問題
トロールとふたつのバラ
バーバ・ヤーガと魔法使いの息子
ドラゴンの仲間
どくろの君
雪の女王
灰、木、火
よそ者
錬金術
ライオンとひばり
ジャンキットの魔女たち
悪い星のもとに生まれて
心のなかへの旅
ヒキガエル

訳者あとがき




私が好きだったのは表題作「ホアズブレスの龍追い人」と「音楽の問題」「ドラゴンの仲間」「灰、木、火」「錬金術」「よそ者」「ライオンとひばり」「悪い星のもとに生まれて」「心のなかへの旅」あたりかな……ってほとんど全部だ(笑。

マキリップの作品、よほど私の感性にマッチしていると思われます。

「美女と野獣」のマキリップ版「ライオンとひばり」は読みながら元ネタからの飛び方にうわあと感嘆しました。

「ロミオとジュリエット」の後日譚「悪い星のもとに生まれて」はなんとミステリ風味。でも間違いなくマキリップなんですよね。

「音楽の問題」は幻想的な調べが聞こえてきそうな音楽ファンタジーでありながら、オチがかなりのシュート気味。でもこのなんとなく罠にはまったような読後感、とても好きです。

「どくろの君」「灰、木、火」「錬金術」「心のなかへの旅」「ヒキガエル」は意識して何度か読み返しました。ちょっと難解? でも雰囲気はとても好き。

けっきょく、私はマキリップがとても好きなんだ、と再確認させられた本でした。

うん、また読むぞ。何度でも。

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