『古代人と死 大地・葬り・魂・王権』

古代人と死―大地・葬り・魂・王権 (平凡社選書)
西郷 信綱
4582841864


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読了。

日本古典学を専攻する著者が、「諸学と対話しつつ、全力で取り組んだ」八編の論考を収める。

『古代人と夢』がすばらしくおもしろかったので同著者の本をまた借りて読みました。
わー、これもすごく面白い!

前の本は自分の中に出来つつあった世界的な古代人のイメージを補強するのにかなり強力な薬となりました。
今回は自分の中でどう位置づけたらよいのかわからなかった様々な断片を体系的に整理してくれたような、そんな感じ。感動ものです。

具体的にいうと、これまでフィクションの中でバラバラに摂取してきた古代的な要素につながりが出来たということかな。

その私が摂取してきたネタ元というのは、幼い頃読んだヤマトタケルノミコトの話だったり、樹なつみ『八雲立つ』だったり霜島ケイ「封殺鬼シリーズ」だったり長岡良子「古代幻想ロマンシリーズ」だったり岡野玲子/夢枕獏『陰陽師』だったり氷室冴子『金の海 銀の大地』だったり荻原規子の「勾玉シリーズ」だったりするわけですが。

……ほんとに私の知識ってとことんマンガで形成されているよなあ……。

というのはともかくとして、物語の中では説明できるいろんな要素をつなぐ、私自身の知識というものがいままで決定的に欠けていたことを思い知らされる本でした。

読んでいて、「あの話のあのエピソードの根底にはこういう意味があったんだー。へー、ほー、ふーん」という状態が最初から最後までつづきましたとさ。

例によって内容の解説は出来ないので以下目次。


ノミノスクネ考
 出雲とのかかわり 大力の由来 相撲の話 殉死の禁と埴輪 楯節舞をめぐって あとがき

地下世界訪問譚
 はしがき 黄泉の国・根の国 海神の国 浦島説話の意味 地獄からの蘇生 終りに

古代的宇宙(コスモス)の一断面図――「大祓の詞」を読む
 はしがき 直喩の働き 呪文としての「大祓の詞」 大祓、贖罪、スサノヲ追放 潮境としての壱岐・対馬 卜部と海人と 伊豆諸島のもつ意味 儀礼の現場 大祓と薬師悔過その他 古代首長と罪

三輪山神話の構造――邪神の意味を問う
 象徴としての蛇 ミワという地名 大物主と大国主 神殿なき神 大物主の呪力の根源 諏訪と宇佐 最後の光芒

諏訪の神おぼえがき――縄文の影
 タケミナカタという名 諏訪者の位相 金刺舎人 風の神として 石神と柳田国男 諏訪の蛇神 ミムロの秘儀 狩りとイクサと

姨捨山考
 棄老伝説 更級の姨捨山 ヲバ・オバ・ウバをめぐって

黄泉の国とは何か
 「蛆たかれころろきて……」 死体と魂 殯とのかかわり

天皇天武の葬礼――一つの政治劇場
 第一章 喪屋の秘儀
  女たちの挽歌 葬りの伝承歌 遊部について
 第二章 政治的劇場としての殯宮 王は二つの身体を持つ 大津皇子の死 誄、日嗣、国王万歳 付、天武から聖武へ

あとがき
執筆一覧
索引




一番衝撃的だったのは「姥捨て山」の話でした。
生きのびるためには仕方がないとはいえ、哀しくて苦しくて切なさのあまり地団駄を踏みたくなるような事実です。辛かったです。いろいろと問題はあるとしても、現代に生きていて幸せだなあとしみじみ思いました。

ところで、もともと予約したのはこちらの新書版↓のつもりだったのでした。
受け取りにいったらハードカバーが来たので驚いたよ……。

古代人と死―大地・葬り・魂・王権 (平凡社ライブラリー さ 1-4)
西郷 信綱
4582766404


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