『子産 上』

子産〈上〉 (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062738724


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読了。

中国春秋時代の小国・鄭の名将、子国とその嫡子、子産の生涯を描く、格調高い歴史小説。
吉川英治文学賞受賞作。

あー、そうなんだ。
タイトルからこの本の主人公は子産なんだと思いこんでいたけれど、じつは父子ふたりが主人公の話だったんですね。
話を要約しようとしてカバー裏のあらすじを見てようやく納得いたしました。
そうか、そうだったんだ。
なかなか子産が活躍しないなーと思ってじりじりしていたのは私が浅はかだったことの証明だったのね……。

というわけで、久しぶりに宮城谷作品を読み終えました。といってもまだ上巻だけだけど。なにをそんなに感慨に耽っているのかというと、これを読み終えるのに費やした延べ日数に対してであります。読み始めたのが8月31日って……何? 私はその間何をしていたの?

じつのところ、何度か中断してました。で、そのたびに冒頭に戻って読み直してました。つまらない訳じゃないです、面白いです。でもいろいろと事情がありまして、一気読みできる環境になかったものでして。

でも一気に読もうとしてからもずいぶん時間がかかりました。
こんなにすごい魔法の本は未だかつて無かった。魔法の本、イコール面白いのに読んでると眠くなる本というのが私の定義です。宮城谷作品は魔法の本率がかなり高いのが私見ですが、これほど常に寝落ちする本は初めてでした。

寝落ちする本はどこまで読んだかわからなくなるのでどんどん時間がかかるようになるんですよねー……。

まあ、そんなことは私の事情であってこの本にはなんの関係もないのですが、とりあえず、そんな苦労をしても読み終えたかった本ということで。

話は最初に書いたとおり、タイトルロールである子産の父親、子国の活躍を描くところからはじまります。

春秋時代における鄭という国は、晋と楚というふたつの大国の間に挟まれて、生きのびるために節操なく主国を変えつづけた国として知られているようです。

徳だの信だのを規範としていただく時代にあって、鄭の存在は蔑まれこそすれ、けして尊ばれるようなものではありませんでした。

そんな外交を展開せざるを得なかった鄭の内情はいかなるものであったのか。

という問題を鄭の臣である子国と子産を通して描いていくのがこの物語なのかなーと、私は感じております。

時代的にはこの前に読んだ『沙中の回廊』のつづきといってもいいのかな。
乱世一歩手前というきな臭い時代を生き抜く厳しさ、困難な状況に立ち向かう人びとの姿勢と行動が格調高い文体で静かに描かれていく様は圧巻です。

上巻の終わりに来てようやく子産が成人となり、表舞台に名乗りをあげるところまでやってきました。ながかった……(苦笑。

下巻は手元に控えているのでできるだけすみやかに読みたいと期待しています。

子産〈下〉 (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062738732


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