『翼の帰る処 上』
翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)
妹尾 ゆふ子


[Amazon]
読了。
隠居生活を楽しもうと思っていた役人が、飛ばされた田舎でなぜか皇女の補佐役をさせられる羽目に陥る、ゆたかな日常性と深い幻想の交錯する異世界ファンタジー。上巻。
あー、楽しかった。
読んでいる間中いろんな意味で笑ったりにやにやしたり陶酔したりしてしまう、私にとってはツボ直撃のお話でした。
主人公的にいうと、隠居願望壊滅ファンタジー(笑。
世渡りが下手なゆえに閑職に飛ばされることになり、けれど本人、これでようやく隠居して悠々自適生活がと夢見ていたところ、赴任地がとんでもないど田舎で住人達がとんでもなく自分たちの状況に無関心。責任感だけは無駄に持ってる主人公は自分でも思ってみなかった台詞を口走ってあげく余計な仕事をやまほど引き受けざるを得なくなる。それだけでも溜息ものなのに、なぜか赴任地のど田舎が皇女の領地となり、太守としてやってきた皇女の副官にされてしまう。
という、なんとも哀れかつ貧乏くじひきまくりのヤエトの息絶え絶えの奮戦記、という様相でストーリーは進んでいきます。
そもそもこの作者さんの書かれる作品がもともと好きというのもありますが、冒頭の格調高く幻想性豊かな期待を裏切らない導入部から第一章を開いたとたん、ぽん、と日常そのもののユーモア世界に引き出された時には、まさに突き飛ばされたような気分になりました。
お、面白すぎる。
暗闇に息づく夢の世界からいっきに陽光のふちどる賑やかな世界へ、というにはあまりにも楽しい展開に、おもわず吹き出してしまいそうになりました。
こんなに日常的コミカル展開を見せる妹尾作品は、初めてのような気がします。
いや、『パレドゥレーヌ』がちょっとそれっぽかったかな。それでもオリジナルとしては初めてなのではないでしょうか。
そんなたのしい展開を見せつつも、妹尾作品ならではの幻想性、異世界のその土地に足を踏み出して大気の香りを嗅ぎ、風を頬に感じるような臨場感も健在。
さらに、いままで書かれていた神話や伝説そのものからすこし距離を置いて、いまや歴史となった神話をすくない手がかりをもとに追い求める、という要素が加わっていて、これがまた私のツボでした。
隠居願望の強いヤエトですが、土地の言い伝えやわずかばかりの記録には異様な興味を示します。
そもそもかれ自身の故郷である古王国から帝国へとひきつがれた尚書官という歴史文書を司る役人であることもありますが、ヤエト自身が知りたいという欲望によって生きている人間なんだなあと思わされる場面が多々ありました。
こんなに忙しいのに病弱なくせに、フィールドワークやってますよこの人は!
それはおそらくヤエトが持って生まれた恩寵の影響もあるのだろうなー。
このあたりはこの後の展開に大きく関わってきそうだなといまから期待が高まっています。
それから、舞台となっている北嶺郡という土地がとても楽しいv
寒くて山脈と空が近い土地、というだけでもツボなのに、ここではなんと馬の代わりに巨鳥が乗用として使用されているのです。
でてきたとたんに思いました「これ、チョコボ?」
しかもこのチョコボたち、乗り手と心を通わせる事が出来るというではありませんか。
『パーンの竜騎士』のドラゴンたちみたい〜きゃーきゃーきゃー!
さらに北嶺の人たちが怒鳴り合う《夏入りの祭り》の紛争解決の日は、アイスランドのアルシングを彷彿とさせて感動でしたし、そういえば尚書官の存在自体も中国の史家みたいでぐっときたし、砂漠を渡ってきた帝国の人びとの行軍はなんとなくモンゴルの軍隊を思わせたし、あああ、なんということでしょう。私の憧れ要素がそれぞれ見事に一つの世界を有機的に創りあげていて、もう黄色い悲鳴どころではないのでありました。
なんだかぜいぜいしてしまうくらい興奮して読みました。
登場人物にはほとんど触れてきませんでしたが、主人公のヤエトも、皇帝の末娘で男前でだけどまだ子どもで女としての不安を抱えている皇女殿下も、彼女の騎士団長ルーギンも、皇妹の騎士団長ジェイサルド様も、厩舎長も、北嶺郡のまっすぐでうるさいセルクも皇女のお付きの女官ナオも、みんなみんなそれぞれに人生を生きているひとたちだと感じられる奥深さを感じられて、人間ドラマとしてもたいそう楽しいです。
このなかで、ヤエトと皇女は当然大切な役ですが、じつはセルクが展開的に鍵を持ってるんじゃないかなあ……というのは私の勝手な憶測です。
あと、やっぱりね、ヤエトを乗せてくれる巨鳥シロバはとってもかしこくてかわいいなと!
というわけで、とってもとっても面白くすみずみまで楽しんで読みました。
つづきを待ちこがれています。
下巻の発売は今月十一月の末だそうです。
この本に雰囲気が近いかなと思われる。ゲームノベライズですがゲームを知らなくても大丈夫(私もやってないです)。
パレドゥレーヌ~薔薇の守護~ (コナミノベルス)
妹尾ゆふ子


作者様が【積読山脈造山中:翼の帰る処(上)】で感想トラックバックとコメントを募集されています。
ので、どきどきしながら送ってみようと思います。
妹尾 ゆふ子

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読了。
隠居生活を楽しもうと思っていた役人が、飛ばされた田舎でなぜか皇女の補佐役をさせられる羽目に陥る、ゆたかな日常性と深い幻想の交錯する異世界ファンタジー。上巻。
あー、楽しかった。
読んでいる間中いろんな意味で笑ったりにやにやしたり陶酔したりしてしまう、私にとってはツボ直撃のお話でした。
主人公的にいうと、隠居願望壊滅ファンタジー(笑。
世渡りが下手なゆえに閑職に飛ばされることになり、けれど本人、これでようやく隠居して悠々自適生活がと夢見ていたところ、赴任地がとんでもないど田舎で住人達がとんでもなく自分たちの状況に無関心。責任感だけは無駄に持ってる主人公は自分でも思ってみなかった台詞を口走ってあげく余計な仕事をやまほど引き受けざるを得なくなる。それだけでも溜息ものなのに、なぜか赴任地のど田舎が皇女の領地となり、太守としてやってきた皇女の副官にされてしまう。
という、なんとも哀れかつ貧乏くじひきまくりのヤエトの息絶え絶えの奮戦記、という様相でストーリーは進んでいきます。
そもそもこの作者さんの書かれる作品がもともと好きというのもありますが、冒頭の格調高く幻想性豊かな期待を裏切らない導入部から第一章を開いたとたん、ぽん、と日常そのもののユーモア世界に引き出された時には、まさに突き飛ばされたような気分になりました。
お、面白すぎる。
暗闇に息づく夢の世界からいっきに陽光のふちどる賑やかな世界へ、というにはあまりにも楽しい展開に、おもわず吹き出してしまいそうになりました。
こんなに日常的コミカル展開を見せる妹尾作品は、初めてのような気がします。
いや、『パレドゥレーヌ』がちょっとそれっぽかったかな。それでもオリジナルとしては初めてなのではないでしょうか。
そんなたのしい展開を見せつつも、妹尾作品ならではの幻想性、異世界のその土地に足を踏み出して大気の香りを嗅ぎ、風を頬に感じるような臨場感も健在。
さらに、いままで書かれていた神話や伝説そのものからすこし距離を置いて、いまや歴史となった神話をすくない手がかりをもとに追い求める、という要素が加わっていて、これがまた私のツボでした。
隠居願望の強いヤエトですが、土地の言い伝えやわずかばかりの記録には異様な興味を示します。
そもそもかれ自身の故郷である古王国から帝国へとひきつがれた尚書官という歴史文書を司る役人であることもありますが、ヤエト自身が知りたいという欲望によって生きている人間なんだなあと思わされる場面が多々ありました。
こんなに忙しいのに病弱なくせに、フィールドワークやってますよこの人は!
それはおそらくヤエトが持って生まれた恩寵の影響もあるのだろうなー。
このあたりはこの後の展開に大きく関わってきそうだなといまから期待が高まっています。
それから、舞台となっている北嶺郡という土地がとても楽しいv
寒くて山脈と空が近い土地、というだけでもツボなのに、ここではなんと馬の代わりに巨鳥が乗用として使用されているのです。
でてきたとたんに思いました「これ、チョコボ?」
しかもこのチョコボたち、乗り手と心を通わせる事が出来るというではありませんか。
『パーンの竜騎士』のドラゴンたちみたい〜きゃーきゃーきゃー!
さらに北嶺の人たちが怒鳴り合う《夏入りの祭り》の紛争解決の日は、アイスランドのアルシングを彷彿とさせて感動でしたし、そういえば尚書官の存在自体も中国の史家みたいでぐっときたし、砂漠を渡ってきた帝国の人びとの行軍はなんとなくモンゴルの軍隊を思わせたし、あああ、なんということでしょう。私の憧れ要素がそれぞれ見事に一つの世界を有機的に創りあげていて、もう黄色い悲鳴どころではないのでありました。
なんだかぜいぜいしてしまうくらい興奮して読みました。
登場人物にはほとんど触れてきませんでしたが、主人公のヤエトも、皇帝の末娘で男前でだけどまだ子どもで女としての不安を抱えている皇女殿下も、彼女の騎士団長ルーギンも、皇妹の騎士団長ジェイサルド様も、厩舎長も、北嶺郡のまっすぐでうるさいセルクも皇女のお付きの女官ナオも、みんなみんなそれぞれに人生を生きているひとたちだと感じられる奥深さを感じられて、人間ドラマとしてもたいそう楽しいです。
このなかで、ヤエトと皇女は当然大切な役ですが、じつはセルクが展開的に鍵を持ってるんじゃないかなあ……というのは私の勝手な憶測です。
あと、やっぱりね、ヤエトを乗せてくれる巨鳥シロバはとってもかしこくてかわいいなと!
というわけで、とってもとっても面白くすみずみまで楽しんで読みました。
つづきを待ちこがれています。
下巻の発売は今月十一月の末だそうです。
この本に雰囲気が近いかなと思われる。ゲームノベライズですがゲームを知らなくても大丈夫(私もやってないです)。
パレドゥレーヌ~薔薇の守護~ (コナミノベルス)
妹尾ゆふ子

作者様が【積読山脈造山中:翼の帰る処(上)】で感想トラックバックとコメントを募集されています。
ので、どきどきしながら送ってみようと思います。
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