『乱鴉の饗宴 下 氷と炎の歌4』

乱鴉の饗宴 下 氷と炎の歌 4
ジョージ・R・R・マーティン酒井昭伸
4152089407


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読了。

分厚い世界設定と非情なストーリー展開で読ませる、怒濤の異世界ファンタジー巨編。シリーズ第四作の下巻。

読んだ、読み終えた、やっとやっと読み終えたー!!!

と、歓喜の声をあげたくなるほど緊張と不安と衝撃に振りまわされつづけた一冊でした。

もうシリーズもここまでつづくと何を書いてもネタバレになるんで、何を書いたらよいのか。というか、もう何も書かなくていいじゃん、と投げ捨てたくなるほどものすごいシリーズです。

この密度と緊張でいったいどこまでつづけていくんだろう。読んでるこちらが何度も息切れしそうでした。実際、こんなに先が気になるのに一気読みができません。疲れるんです、ものすっごく。果て果てなんです、疲労困憊。読んでるだけなのに。こんな話、いったいどうやって書いてるんだろう……?

感想ばかり書いていてもどんな話が伝わらないんじゃないかと思うので、アウトラインを。

中世のヨーロッパ、とくにブリテン島みたいな大陸を舞台に、王国分裂によって生じた領土と生存権を巡る権力争いを、おおまかに七つの陣営の人びとを中心に描く、連作短篇を集めてつづる群像劇大作です。

基本ベースが戦乱の非常時ということで、非情な政治劇や権力闘争、殺伐とした戦いに治安状態の悪化による不法状態の凄惨なありさまと、かなりハードな描写が続くので心臓が弱い人は気をつけたほうがいいかも。

しかし、物語世界の厚みや人物造詣の周到さ、徹底的に甘さを廃した展開などなど、重厚な異世界戦記ファンタジーをお望みの方にはぜひぜひ読んでいただきたい一作です。

ただただ殺伐としているだけでなく、そこにさらに深みをもたらす幻想の存在も忘れてはいけません。ファンタジー読みとしても陶酔できるシーンが多々あります。

とはいえ、この第四作はそれほどおおっと思うシーンはなかったかな。
タースの乙女が夢とうつつをさまようあいだに目の当たりにしたなにかが一番それらしかったかも。

それにしても、数えてみれば五日で読み終えてるんだけど、もっと長くかかったような気がしている。緊張に耐えられなくて途中で他の本に逃避したりもしました。しかし、読み終えた時には大きな山を踏破した充実感と「他の人たちはどうなってんだ!」という不満が爆発しました。

作者あとがきによると、この巻はもともとの物語を半分に分けたものらしい。あまりにも長くなるので二冊に分けたんだとか。すでに日本版では二冊に分冊されているわけですが。それでもって多分文庫になる時はさらに冊数が多くなるはずなんだけど。

というわけで、残りの陣営の物語はシリーズ第五作へということらしい。刊行された時点ではまだできあがっていなかったという第五作。

すごく気になる気になる気になる。

乱鴉の饗宴 上 氷と炎の歌 4
ジョージ・R・R・マーティン 酒井昭伸
4152089393


この素晴らしい話にあえて難をつけるとすると、あまりに緊迫感が続くのでそれぞれのラストに来る衝撃シーンのインパクトにだんだん麻痺してきて、知らないうちにそれがフツー状態に陥ることかな。

もっと緩急があればさらにショックが高まるのではと思う。

そんなことを考えたら、本邦にあるではないかと気づきました。最近、緩急の緩ばかりが長いので緊張感が薄れ気味だけど、長さと壮大さと登場人物の多さならけして負けていない大長編が!
あの話をもう少し緊密に書いたらタメ張れるんじゃないかと思うんだけど。

ちょっと離れていたシリーズですが、なんとなく読みたくなってきたぞ……。

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