『プリンセスハーツ ~麗しの仮面夫婦の巻~』

プリンセスハーツ―麗しの仮面夫婦の巻 (ルルル文庫)
高殿 円
4094520090


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読了。

ラブあり陰謀ありの近世王宮風異世界ファンタジー。シリーズの第一巻。


アジェンセン大公国の嗣子ルシードは幼い頃大パルメニアに人質として生活していた。故国に帰る時、かれはパルメニアの王女メリルローズと幼い約束を交わした。必ず、彼女を迎えに来ると。故国に帰還したルシードは対立していた父親他の肉親を排除してアジェンセンの大公となった。そして約束通り、メリルローズを妃に迎えたのだったが、実際に輿入れしてきた彼女は、顔が似ているだけの替え玉ジルだった。



うーむ、高殿さんだなあ……と感心してしまう、キャラクターはじけっぱなしのストーリーでした。
あらすじ書いてるだけだと悲劇の匂いプンプンなんだけど、キャラクターのバイタリティーがそれを許さないというか、どうしてここまで明るく元気なんだろうというか。

まずもって制約を果たそうと頑張ったヒーローのルシードが、まるでガキ大将みたいにアホっぽい。一国のあるじとしてどうなのかと思うくらいに子どもっぽい。でも締める時は締めるというキャラクター。

そしてヒロインである替え玉王妃ジルは、沈着冷静を通りこした知的かつ合理主義の鉄面皮女。感情が顔にまったく出ないため他人に不気味がられて魔女とも噂されているけれど、じつは心ではいろいろいろいろと感じまくっている、プリンセスハーツの持ち主。

このふたりに時間厳守が生きてる証の主席秘書官マシアスやら、前王妹の不義の子でガラス細工づくりが趣味のアヴィセンナ(イブン・シーナーかと思ったがどうやら音だけ借りてきたらしい)、パルメニアの陰険使者キーマ=パパラギ(どういう名前だ)などがからみあって、元気に陰謀劇が展開するという案配です。

うーん、楽しい。

楽しいんだけど、なにかがしっくりとこない。
楽しいのですが、なぜかどこかで物語世界に距離を感じてしまうんですよね。少年向けレーベルの作者さんの作品にはあんまり感じないのに少女向けだといつもつきまとうこの違和感の正体はなんなのでしょう。うーむ。

キャラクターを見ている書き手の視点が理屈っぽいからかな?
説明部分もはっきりきっぱりとしてて直球勝負とばかりにどんどんあきらかになるからか?

このあたり、どこまでも遠回しに匂わせていく『彩雲国物語』などとは正反対だなあと感じます。

少女向けというよりやっぱり少年向けと感じるんですよね、読んでいて。でも頭がこれは少女向けだと前提しているのでそこで違和感が生じるのかも。

だから面白いんだけども『銃姫』のほうがもっと面白いんだと感じてしまう私は、作者さんには少年向けを書いて欲しいみたいです。

ところで、この話、以前に出版されたパルメニアを舞台にした物語群と繋がっている模様です。歴史がもっと下っているけれども。

それから、どうやら『銃姫』の世界とも繋がっているみたい。ゲルマリックが出てきた。

つづきは気が向いたら読んでみます。

プリンセスハーツ―両手の花には棘がある、の巻 (ルルル文庫)
高殿 円
4094520368


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