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『子産 下』

子産〈下〉 (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062738732


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読了。

中国春秋時代の小国・鄭で、礼を知る知識人として情意ある恵人として孔子に敬われた子産とその時代を描く歴史小説の下巻。

国を動かす権力が王から貴族のものへと変化していく時代。
政治を私欲のためではなく国のため民のためのものへと改革していったといわれる子産が主人公のお話です。

宮城谷作品では武人よりも文人に重きが置かれることが多いように感じてますが、この作品もまさにそのタイプ。

子産は行動の人でもありますが、まずもって言葉の人です。
真を持って人びとの心に届く言葉を発することのできる人。
中国史で初めてそういうことのできた政治家だということです。
こういうひとは現代にもなかなかいないよなー、というより、どこかの国にもこんな政治家がいないかいな、としみじみ感じました。うーむ。奥深いぜ、中国。

晋と楚という大国に挟まれ、その場凌ぎに組みする相手を変えてきた鄭にあって、子産の存在はたいそうな幸運だったのだなと思いました。

誰にとっても正しい明確な規範を持って国の態度を決定するということが、どれほどその国の信用に大きく関わってくるのか。さらにいえば、その国の国民に誇りを持たせることになるのか。

国という存在に依って生きていくうえで、それは人間として非常に大切なことなのですね。

深い内容を丁寧に淡々と端正につづってゆく文章にひたりつつ読みました。
あまりのここちよさに何度も読みながら寝たりして(苦笑。

ようするに、この小説、とても血湧き肉躍るというようなドラマチックな話とは言えないのでありまして、ストーリーに鼻面とられてひきずられるようなスリルと興奮とは無縁なのです。

あくまで、子産の人となりとかれをとりまく人間関係をたんたんと受けとめていくお話だと思し召し下さい。

個人的には、子産の父親である子国が中心だった上巻のほうが、展開的に劇的で面白かった。
子産てどこか受け身の人なんですよね、自分からはほとんど行動しない。父親の危機に素早く立ったところが端から見た彼の人生の最大の見せ場だったようで、あとは地道に君主を支える裏方でありつづけようとした人でした。

これでは後世に偉人として語り継がれなかったのもむべなるかなという気がします。
ただ、子産のことを大変に尊敬していた孔子が、子産が亡くなった時に嘆いたということで伝わっているだけの模様。ということは孔子と子産はほぼ同時代の人なんだな。

いろいろと考えさせられて興味深い話でしたが、小説の面白さとしてはもう少しだった気がします。
締めくくりの子産による礼の解説がかなり難しかったです(苦笑。


子産〈上〉 (講談社文庫)
宮城谷 昌光
4062738724


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