『竜の哭く谷 夢語りの詩1』

竜の哭く谷 (夢語りの詩 (1))
妹尾 ゆふ子
4592860225


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読了。

詩人の語る遠い日の伝説の物語。異世界ファンタジーシリーズの一作目。



広大な沙漠によって世界が二つに分かれていた頃のこと。沙漠のほとりにある小国カララクは交易路の要として栄えていたが、東方山中からやってくるツェクタハンの毛鳥使いによる掠奪と南方の覇王をいただく王国の噂に不安を覚えていた。そのカララクにひとつの予言を持って生まれた姫がいた。14の年を迎える時、国が滅びるといわれた姫君は幼い頃から塔に幽閉されて育った。父王とターン神殿の長は、その滅びの運命を宿敵ツェクタハンに向かわせんとし、ツェクタハンの蒼竜王に姫との婚儀を申し出る。



再読です。
初読は1992年7月14日。

また読んでみようと思ったのは、同著者による『翼の帰る処』を読んだ折、どこかの感想で
(すみませんどこだか忘れました)、化鳥の騎士団が既刊で既出であるという事を読んだため。
不覚にも私は『翼の帰る処』を読んでいる間、そんなことは全然思い出さなかったのでした。既刊だって読んでたはずなのに、私のバカ!

というわけで、図書館本もなかなか到着せずちょうど暇だったので手にとって読み始めました。

うわー、ホントに何にも覚えてない。私ったら、ホントにバカだ!

ということはこの話には関係ないのでとりあえず置いておく。

お話は詩人による語りという体裁で進んでゆく、遠い昔に思いを馳せるというような雰囲気の格調高いファンタジーです。
雰囲気的にはタニス・リーに似ているかな。
語り手と登場人物との間に距離があり、過去の出来事を語っているという感じかとても濃厚で、物語ってこういう物をいうんだよなあ、うっとり、という作品でした。

『翼の帰る処』と比べると直接話法と間接話法くらいの違いがあり、技術的にはおんなじ三人称でも多視点と単視点の違いから来る臨場感の差があります。
たぶん、感情移入するという点では『翼の帰る処』のほうが楽だろうと思われますが、華麗な文章でつづるにはこの作品のほうが適しているかと。

それで、夢のような伝説のような不思議な雰囲気を濃厚に暗示する話にするのが楽なんだろうと私は感じました。

ただし、読み手は限られてくるだろうなー。
私はとても好きですが。
いま読むとタニス・リーっぽさがちと濃いような気もしますが、美しい文章だと思います。

なにより、『翼の帰る処』の前日譚がよーくわかりました。
多分、このふたりが皇女達の祖先なんだな、ふむふむ。
ということで読んで幸せな気持ちになりました。

時間があったら続きも読もうっと。

この本自体は絶版でアマゾンでも扱っていないようなので、あまりお薦めできないのが辛いです。
どうしても手に入れたい方は古本屋を回っていただくしかないですね。
アマゾンに書影がなかったのでデジカメで撮ってみました。下が切れているのはキーボードで支えて撮ったので後で削除したためです。


翼の帰る処(ところ)〈上〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
妹尾 ゆふ子
4344814665


翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)
妹尾 ゆふ子
4344814932


ところで、これは本当に個人的な感想ですが、この話をすぽんと忘れてしまった理由について。
たぶん、物語世界のモデルがけっこう簡単に割れてしまうところが気になったからだと思います。

まず、なぜ私が化鳥の騎士団を覚えていなかったか。作中に騎士団と呼ばれるほどにたくさんのひとびとが鳥を使役していなかったということも一因かと思いますが、それ以上にルフ鳥という名詞に「なんだ千夜一夜だ」とスルーしてしまったことが大きかったのではなかろうか。「千夜一夜」をいちおう全巻読破した身としては、これは致し方なかったかと思いますが。

それに、『翼の帰る処』で鳥達の姿を読んでチョコボかと思った私ですが、空を飛んでいるルフ鳥にはチョコボを連想してはいなかった。そもそもそのころチョコボの存在を知っていたかどうか疑わしいようなです。

その他、カララクという国名にはトルコ語の「カラ」をイメージしてしまって「カラは黒だから黒なんとか王朝なのか」と妄想し、南方王国はインドをイメージだったし、ツェクタハンはウズベキスタンあたりを考えてしまったし、そうすると二つの山脈はどこにあるのかと余計な想念がうずまいて素直に楽しむことができなかったんですね~。はあ。

こういう話とは関係ない余計なことをいろいろと考えがちな私には、無心に読める話ではなかったというのが正直なところだったというのが回答かと。

それにキャラクター萌えしないやつなんで、蒼竜王にもアリヤンにもなんにも感じなかったのです。いま読むとうわ、哀れだなと感じるのですが、おそらくその当時はもっとキャラ萌え素養が未発達だったと思われるので。

というわけで、あらためて読み直せてよかったなあ! というのが今のところの感想。
次の巻へのお勉強もできたような気がしたし、楽しかったです。

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