スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『竜の夢見る街で 1』

竜の夢見る街で 1 (ウィングス文庫) (新書館ウィングス文庫)
縞田 理理 樹 要
440354133X


[Amazon]


読了。


現代ロンドンを舞台にした、ミステリ風人外ファンタジー。開幕編。


コリン・アトキンスは人通りの多い午後のケンジントン・ガーデンをぶらぶらとしていた。かれは大衆向けのスキャンダルが売り物のタブロイド《デイリー・ムーンシャイン》紙の臨時契約記者。童顔だが写真の腕はあるつもり。専門は空飛ぶ円盤だけれど編集からはとにかく有名人のスキャンダルを求められている。そんなおり、コリンの眼に、子どもばかりに声をかけている男の姿が映った。怪しいと踏んだコリンは男の様子を観察した。男は若くて長身でスタイルがよく金持ちの装いをしており、さらにモデルか有名スターかと見まごう極めつけの美形だった。見ているうちになおも男の子に近づいていく男は相手にこう囁いていた。「坊や。わたしと一緒にお空を飛ばないかい?」




人外をこよなく愛するファンタジー作家、縞田理理さんの新刊。
これはとっっっても、面白かったです。
久々に一気読みしましたです。楽しかった~。

今回の舞台は『霧の日にはラノンが視える』以来のロンドン。
主人公は成人に見えないタブロイド紙のカメラマン、コリン。
そしてかれが“もしかすると誘拐犯かもしれない”と探りを入れ始める、世間の常識からは逸脱している超絶美形キャスパー・ランプトン。

このふたりの出会いと接近が、児童誘拐事件と絡み合いつつ愉快にほのぼのと展開されるのがこの巻です。

なんといっても可笑しいのはキャスパーのおおざっぱな性格と常軌を逸した食欲。もう、これは読んでいただかないと、とおもうのでこれ以上は書きませんが読んでいてニヤニヤニヤニヤしまくりでした。

コリントともに謎の存在キャスパーの正体を推理してゆくのが楽しかったです。じつは……とわかるといろいろと納得できるあたりが、素晴らしいなーと思いました。

それとは別に誘拐事件は誘拐事件でそれはシビアーな出来事として描かれているのが、たんなるほのぼの話に終わらせない作者のお話らしくて好感が持てました。こういう雰囲気はちょっと帯の「コージーミステリ」にはそぐわない気がしましたが……。ま、いいか。

コリンが間借りしている母親の従姉妹ドロシーの館の住人達も個性的で、それぞれにそれぞれの背景があるようで、そんな隠されたいろいろが明るみになる話なども期待できそう。このへんはちょっと壁井ユカコ『鳥籠荘の今日も眠たい住人達』っぽいかな。どちらもわたしは大好きです。

今回はコリンのシェアメイト、カッサンドラの存在感が秀逸でした。悲劇の王女の名前を持ちながら本人が先鋭的に前向きなのがステキです。

締めくくりの爽快感に「ああ、ファンタジーって素晴らしい!」と思いました。

おまけ短篇のとある住人の話は、ウッドハウスに似たようなエピソードがあったような気がしましたが、いかにも! な感じで楽しかった~。

そういえば、キャスパー・ランプトンの名前の由来がとても気になります。
私的にいうとランプトンは萩尾望都『ポーの一族』でキャスパーは「お化けのキャスパー」なんだけど、イギリス人には通じないよね、ハハハ。

収録作品は以下の通りです。


その男キャスパー
隣は何をする人ぞ

あとがき



お話は『季刊 小説ウィングス』にて連載中だそうです。
つづきが楽しみ!

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。