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『アンゲルゼ 最後の夏』

アンゲルゼ―最後の夏 (コバルト文庫)
須賀 しのぶ
4086011727


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読了。

ウィルスに侵されて人類ではなくなったものたちが人間の敵となった時代。
ゆれうごく中学生の少女が、戦時下で運命に翻弄されつつも懸命に生きてゆくさまをハードに繊細にえがく、近未来青春軍事SFシリーズの二冊目。

すごく緊密な物語。
どこにも無駄がなく緊張感が途絶えず、次第に明らかになっていく物事の背景をヒロインとともに必死で受けとめつつ読みました。

戦時下のかりそめの平和の裏には市民には公開されない事実がてんこ盛りなんですねえ。
情報統制がゆきすぎて疑心暗鬼になり不安な毎日にストレスを感じていても、すべてをあきらかにして起きる混乱を避ける。それは統治側としては当然の方法なんでしょうが、何も知らずに訳もわからず死んでゆくものたちの姿を目の当たりにすると、それが正しいことなのかと疑問を抱かずにはいられないでしょう。

とくに、中学生ぐらいの年代ではまだ理想は理想として存在すると信じているだろうし、大人としても信じさせてやりたいと思う。

でも、これは戦時下だから特殊だという話ではないんですよね。戦時下という形でわかりやすくしただけで、いまの社会の現実だってそう変わりはしないのだと思います。

というわけで、現実に妥協しきれない青少年の葛藤は読んでいてとても辛かったです。
二重生活を送るだけでもつらいのに、勝手な噂で傷つけられて、何も信じることができなくなっていく陽菜ちゃん。

唯一の誇りだった歌まで利用されて、心も体もずたずたです。

そんな彼女のまわりにささやかながら味方と呼べる人たちがいてほんとうによかったと思う。

幼なじみのもーちゃんも、陽菜ちゃんのことを良かれ悪しかれ気にかけているし、実は彼女に大きな影響を受けていたというエピソードにはちょっとじんときました。

悪役の敷島少佐は、ことあるごとに鬼畜的魅力を発揮してくれてますが、かれにはかれの真実があり正義があるのだとそこかしこでぷんぷとんにおうので憎みきることができません。

つーか、敷島くんにはとてつもなく辛い過去があって、それでこんなふうな態度と生き方を身につけてしまったんだろうなあと感じてしまうので、わかってくれる人がいればいいのにとか同情してしまったり(苦笑。

それにしても、須賀作品の登場人物はいつも濃厚な人生を歩んでますねえ。
ハードにサバイバル。
これがキャッチフレーズだ!

今回は陽菜ちゃんの歌声に反応するマリア達のすがたに個人的にやられた! と思いました。

これで帳面消し終わり。
つづきを読むのが楽しみです。

アンゲルゼ―ひびわれた世界と少年の恋 (コバルト文庫)
須賀 しのぶ
4086012073


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