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『大奥 4』

大奥 第4巻 (4) (ジェッツコミックス)
よしなが ふみ
4592143043



借りて読了。

流行病により男性の人口が極端に少なくなってしまった江戸時代で、体制を維持するために女性を男性として取り扱うことになった江戸幕府を描く、ifのお話。

歴史的外交的には男性が支配していると見せかけて、実は女性が将軍であったという奇想天外な設定を、確かな考察と人間観察、細やかなディテールでリアルに魅せる、とんでもないマンガです。

将軍が女性だとどうなるのか――という興味本位の好奇心をさそう設定でこんなにも深い人間ドラマがくりひろげられるなんて、ホントに凄いです。

体制は人の暮らしを良くするためにつくりあげられるものなのに、それを維持しようとするととたんに人間性を犠牲にしなければならなくなるのは何故なのでしょうね。

女性としての幸せを捨てて、幕府のために将軍として生きる女性達。
男性としてのプライドを捨てて、生き残るために将軍に仕える男たち。

どちらも幕府という体制の犠牲者であることに変わりはありません。
しかもその幕府は実態からかけ離れた外面をもっているという矛盾だらけの存在。

読んでいてけして楽しい、というマンガではありませんが、深くものを考えさせられるお話でした。

先に読んだ『アンゲルゼ』もそうでしたが、この話のifも現実をわかりやすくするためにとられた物語のためのしくみであって、体制維持のために犠牲になる個人というものはifでない幕府にも、現代の日本にも現実に存在するものなのですよね。

史実の江戸幕府でもおそらく将軍は個人を犠牲にしていたし、大奥はえげつないサバイバルの場であったはず。それが性を逆転させたことで刻まれていく傷がより鮮明にうかびあがってくる。それまでこういうものだと納得させられていた理不尽が白日のもとに晒される。

はあ~溜息が出てしまいます。

こんなに辛いお話なのにつづきが読みたいと思えるのは、作者さんのストーリーテリングと何より人間観察力がすばらしいのでしょう。

というわけで自腹を切る覚悟ができなかったシリーズですが、知人が借してくれたので読んでしまいました。

やっぱり面白かったです。
哀しい余韻が残りましたが。

それにしても、この男女比逆転状態、いつまでつづくのか。
幕末になって列強にとりかこまれたとき、女性日本はどう対処するのだろう。
そこまで描かれるかどうかはわかりませんが、興味津々というところです。

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