トラックバック企画「2009年 このファンタジーが良さげ・・・」

Leonさんが開催されているTB企画「2009年 このファンタジーが良さげ・・・」に今年も参加してみます。

要項は以下のとおり。


・2008年内に出版されたもの(*)のうち、個人的なベスト3(1~2冊でも可)のタイトルと著者名
・締め切りは1月末まで
・ジャンル特定が難しいものもあると思いますが、「ファンタジーと思ったものがファンタジー」の方向で
・トラックバックに限らず、コメントで寄せられたものも集計の対象に致しますので、blog を利用していない方もお気軽に!
*: 初出タイトルはもちろんのこと、文庫化されるなどして新たに書店に並んだものや新訳、復刊を含みます。(増刷は対象外です。)



2008年は例年になく懸命に本を読んでいたみたいで、しかも2008年刊のものもけっこう混じっていたらしく、選出に大変悩まされました。候補がありすぎです。

困った困ったとうろうろしていましたが、時間がなくなってきたのでえいや! と選んでみました。ええもう、無理やりなのです。


一位 アーシュラ・K・ル=グウィン『パワー 西のはての年代記3』

運命という名の津波の中でひとりの人間がどのように生きのびるかを、魔法の生きている世界で描き出す、スケールの大きなファンタジー三部作の完結編。
ひとつの世界の運命を丸ごと描こうとするのではなく、あくまでも個人の生を追いながらも、それが世の流れにも大きく関連していることが感じられてくる作品です。

少年達の成長物語でありつつも、魔法が物語に重要な役割を果たしていて、その先に人間社会のあり方といった遠大なテーマが見えてくる。さすがル=グウィン。とてもまっとうで生真面目な面白さを持つ物語です。

主人公は例外なく災難に遭うため読んでいて辛いのですが、この辛いことがとてもリアルだと感じられることも読書の醍醐味のひとつなのですね、私にとってはですが。

そういう系統でいうと歴史小説家ローズマリ・サトクリフも大好きなのですが、ル=グウィンのこの三部作はまるでサトクリフがファンタジー世界を舞台に書いたおはなしのようにも思えました。

物語の終わりにたどり着いた時にはずしんと重たくいつまでも響いてくるような余韻が残って、泣けてきそうな気分になったのをおぼえています。

すごく地味な外見ですが、そういうわけでぜひ読んで欲しい作品です。

パワー (西のはての年代記 3)


二位 妹尾ゆふ子『翼の帰る処』上下巻

魔法の気配の色濃い物語を書かせればいま日本で一番すばらしい、と私の思っている作家さんのオリジナル新作です。

今回は幻想シーンのすばらしさに人間ドラマの面白さも加わって、たいへんフレンドリーかつ躍動的なお話になりました。

巨鳥を駆るひとびとの伝説や、沢山の塔のある都に落ちる絢爛な闇。
南の生温かくまとわりつくような大気と、北方の冷涼とした風の吹く山岳地帯。
広がる情景に歴史の重みが付加されてたいそう深みのある物語世界を歩く嬉しさ。

そこでくり広げられる生き生きとした登場人物たちとの必ずしもいつも幸せとはいえない現実と、主人公の見るこちらはあきらかに不幸な過去の夢とが交錯するさまを、どきどきワクワクしながら楽しみました。

主人公が過去へと縛りつけられていた自分を解き放って、今、このときにおいて自分が大切だと思える物をみつけてたどりつくまでの物語に、生きているという実感がここまで濃密なものになりうるのだと感動させていただきました。

続刊の刊行が待ち遠しいです。

翼の帰る処 上 (幻狼ファンタジアノベルス S 1-1) 翼の帰る処 下 (幻狼ファンタジアノベルス S 1-2)


三位 栗原ちひろ『オペラ・アウローラ 君の見る暁の火』

全八巻のファンタジー「オペラ・シリーズ」の完結編。
ひとつの世界の謎と終焉と再生を、真摯に生きる登場人物達のドラマとともに描く物語。

このシリーズは最初のうちはなかなかなじめずにいたのですが、三巻くらいからそれはもう見事にファンタジーらしさにあふれた、うつくしく儚く哀しくそれでいて熱く強い展開を見せ始めまして、最後の三巻くらいは怒濤の勢いで読み切りました。

これこそがファンタジーの精髄、みたいな純粋に透明な水晶のような雰囲気を持つ話。

私にとってはとにかく文章が美しいのが好みでして、なにげない一言からここは狙ってるなと思われる決めシーンの描写まで、すみずみまで堪能させていただきました。

当然のことですが、美しいものは美しい言葉で表現された方が嬉しいものです。
美しい物語には美しい文章が似つかわしいのです。

ファンタジーらしいスケールの大きさと美しさに魅惑されました。

オペラ・アウローラ―君が見る暁の火 (角川ビーンズ文庫)


以上でございます。

残念ながら三位までに入れられなかったのは、ロイス・マクマスター・ビジョルド『影の棲む城』、エレン・カシュナー&デリア・シャーマン『王と最後の魔術師』、パトリシア・A・マキリップ『オドの魔法学校』『ホアズブレスの龍追い人』あたりです。

とくにマキリップは入れたり出したり何度もしてましたが、短編集と長編どちらにするかに迷ったのと、マキリップの最上とはいえないかなーと思ったのとで今回は泣く泣く……。

それから池上永一『テンペスト』はどうやっても1月中に読み切れないということが判明し、評価をつけられませんでした。

総じて去年の読書は収穫が大きかったなーと思います。

今年もわくわくドキドキ悲鳴をあげながら読むようなファンタジーに出逢いたいものですね。

Comment

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ゆめのさん、こんばんは。
今年もご参加頂いてありがとうございます。
TBが上手く受け取れなかったようなので、お手数だとは思いますが、今一度試して頂けませんでしょうか。
何れにせよ、ご投票は集計させていただきたいと思います。

Leonさん、お手数をおかけしまして申し訳ありません。
あらためてトラックバックを送ってみましたのでよろしくお願いいたします。

Last.fm

ゆめのさん、こんばんは。
こちらに伺った際に、何気なく右側のLast.fm をポチッとしてからハマってしまいました。
国内でもマイナーなアーティストを、私と同じ時間に地球の裏で聞いている人が居るなんてコトが分かったり・・・
作家名でググってもヒットするのにはもっとビックリです。

Leonさん、こんにちは。

Last.fmに眼をとめてくださったのですね~。
私もマイナー好きなので、このサービスに出逢った時はすごく嬉しかったです。
作家名でもヒットするのですか! すごいですねー。
楽しんでいただけで嬉しいですv

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