『逃れの森の魔女』

逃れの森の魔女
Donna Jo Napoli 金原 瑞人 久慈 美貴
4899980035


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読了。

童話「ヘンゼルとグレーテル」を魔女視点で描くファンタジー。

以前、「美女と野獣」の野獣視点版『野獣の薔薇園』が面白かったドナ・ジョー・ナポリの作品です。

今回の題材は、森で迷ったヘンゼルとグレーテルがたどりつくお菓子の家に住む醜い魔女。

いつの時代とも特定されていない童話をどこまでもヨーロッパ中世的な物語世界で展開させて、ひとりの女性の試練に満ちた生涯を描く、精神的にシビアな物語だなーと思いました。

文章は平易でどちらかというと雰囲気は童話めいてもいるのですが、童話は童話でも精神的に大人向けの童話です。

テーマは魂の救済なのだろうと思うのですが、魔女(前半では魔術師)に課されつづける試練の苛酷なこと、読んでいてかなり辛かった。

出発点からハンデてんこ盛りなのに、どうしてヒロインにばかり苦難が襲いかかるのか。
ハンデを乗り越えてこその救済に価値があるということなのか。

でもその救済がもたらすのがこんな結末では、人生がちっとも楽しくないのではと読み終えて思いました。

うーーーむ。
世俗的な精神世界に生きている日本人である私には、納得しにくいお話だ。

ともあれ、ヒロインが魔術を行う際のディテールや悪魔との対決シーンは魅力的で、ファンタジーとしては楽しめました。

ただ、お菓子の家はこんなお菓子の家じゃ物足りないよう、と思いましたが(苦笑。

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