『マーベラス・ツインズ 1 謎の宝の地図』

マーベラス・ツインズ (1)謎の宝の地図 [GAMECITY文庫] (GAMECITY文庫)
古 龍 川合 章子
4775806416



[Amazon]


読了。


近世くらいの中国を舞台に、主人公を始めとした人間離れした登場人物達の陰謀や駆け引きを活劇がらみで描く、痛快な武侠小説。シリーズ開幕編。

私にとってはお初の武侠小説です。
武侠小説とは、中国の近世を舞台にして中国人が書いた娯楽小説のことだそうです。

生まれ育った悪人達の巣から人間世界(笑)にやってきた主人公・小魚児。
世間知らずの彼を待ち受けているのはどんな運命か?
はたまた彼を受け入れた世間はどんな運命に出逢うのか?

というふうな感じで始まる、日本でなら伝奇アクション小説と呼ばれそうな体裁の小説です。

主人公は愛嬌のある強い不良。
そしてほんとにお前は人間か! と問い詰めたくなるような化け物的な敵キャラ。
さらに激烈な個性を持つ美少女がこれまた満載。

その敵キャラを小魚児は天才的な口のうまさで口八丁手八丁でころがしていくのです。
こんの悪ガキャー!! と地団駄踏みたくなります。本当に(苦笑。

これってヨーロッパ中世から近世にかけて活躍したアンチヒーローであるティル・オイレンシュピーゲルにポジションが似ているような。

でも小魚児は顔に大きな傷があるだけで容姿はかなりいいらしいです。
そして武術にもかなり長けているらしい。

というわけでじつに少年向けだなーというお話ですね。
強い敵とのバトルと女の子(主人公が少年だから同年代なのかも。歳くったら大人の女性になるのかも)。
すべてがこれノリ。イキの良さで突っ走るストーリー。

話的にはだいたい同じパターンの繰り返しなんですが、単調にならないのはすぐにバトルにならずに相手との駆け引きが入るおかげだと思います。

あと、小魚児にカモにされたのに不本意ながらぞっこんになってしまう鉄心蘭の反応がかわいい。

彼女だけがまともな感性の持ち主なので、彼女の視点から入ればもっと話に馴染みやすかったのではないかと思われます。

はじめのうちは、かなり淡泊な描写に少しひいていたのですが、読み進むにつれてどんどん面白くなってきました。

たぶんね、小魚児はひとりでいるところを読んでもおもしろくないキャラなんです。
少年らしい愛嬌、翻弄された相手の感情を描いてこそのキャラクター。
だから冒頭、広い沙漠にぽつんとたたずむ小魚児の姿を読んだだけでは、まったく興を覚えなかったのだろうなと推測。

そして描写がうすいので話が躍動しているほうが断然面白い。

あと、私が好感を持つのは質感的にドロドロヌルヌルズルズルベタベタしていないところ。
どんなにおどろしい敵キャラがでて、血が流れたり腕が飛んだりしても、湿り気が少ないのでからりとした清潔感(?)があります。
これって中国ものだからかな、それとも翻訳物だから?

日本の伝奇ものはわりとジメジメ湿度が高いので、美しい描写がないものだとどんどん汚くなって、それがいいのだと思われる方ももちろんいるとは思うんだけど、私は生理的にあんまり好きじゃないので。

それからストーリーも進むにつれて小魚児の身の上が徐々に明らかになってくると、そのことが今後のシリーズ的な展開に深く関わってきそうだなと感じるし、するとこのやんちゃな話は人情ドラマになる可能性もあるのかもと期待が膨らみます。

というわけで、武侠小説、おもしろいではないですか。

たしかに『三国志』の国の娯楽小説だなあと思います。荒唐無稽のレベルが違う(苦笑。
ストーリーが荒唐無稽のためにあるような感じ。副タイトルの「謎の宝の地図」の存在を忘れてしまうこともしばしばです。

描写が少ないので、私は映画『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』あたりを思い浮かべながら読んでますが、じっさいはどうなんだろう。

とにかく中国ものは私的に脳内映像のストック素材が少ないので挿画がたよりです。描いてらっしゃるかたがそうとうお上手なのでこちらも楽しみにしています。

つづきを予約しなくちゃー。

マーベラス・ツインズ (2)地下宮殿の秘密 (GAME CITY文庫 こ 2-2) (GAMECITY文庫)
古 龍 川合 章子
4775806564

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)