『茨文字の魔法』

茨文字の魔法 (創元推理文庫)
Patricia A. Mckillip 原島 文世
448852009X


[Amazon]


読了。

魔法の力に満ち満ちた異世界ファンタジー。


 その魔法は茨のような文字で書かれた本を眼にしたときから始まった。
孤児の司書の娘ネペンテスが茨文字の解読をするうちに王国は得体の知れない危機に瀕することになる――。




ものすごく面白かった!
さすがマキリップ、やっぱりマキリップ、これがマキリップ! といいたくなるような素晴らしい物語でした。

すみからすみまで不思議な力が横溢していて、ささやかな出来事ですらなにかの意味を含んでいる。非常に幻想性の高い描写にうっとりと浸ってじっくりと読みました。ああ、幸せだった。終わりが近くなるにつれてだんだん寂しくなってしまった。どんなお話もいつかは終わりが来るのですが、なんだかこのままずっと続いてもらいたいような心地だったので。

マキリップの描写は文章そのものに魔法の力があるみたいだと感じていましたが、今回はまさに文字そのものが魔法であるというお話。
文字って読めないものの方が魔力があるような気がするなー、と常々思っていたので題材的にも興味深かったし、ネペンテスが文字を解読している時の感覚の描き方がまた素晴らしかったです。

お話は図書館に住む司書の娘ネペンテスを中心に、図書館のあるレイン十二邦の若き女王テッサラ、そして茨文字をつくり本を書き記したと思われる伝説の王の腹心であり魔術師のケインの物語として、それぞれに展開してゆきますが、この三筋のお話がしだいにひとつに収束していく様も見事でした。

結末もまたとても魔法的で、なおかつとても人間的。

女王の後見役のヴィヴェイの、何でもわかっていたはずなのに何にも把握できていないと気づいた時の途方に暮れたような態度が、なんとも人間的だったのが印象的でしたね。

この本を読めてたいそう幸せだったと思います。

こちらはマキリップの短編集です。

ホアズブレスの龍追い人 (創元推理文庫)
Patricia A. Mckillip 大友 香奈子
4488520081

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)