『イスタンブールの群狼』

イスタンブールの群狼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジェイソン・グッドウィン 和爾桃子
4151775013



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読了。

十九世紀のイスタンブールを舞台にした歴史ミステリ。

 十九世紀。長く繁栄の続いたオスマン・トルコ帝国は斜陽の時代を迎えていた。ヨーロッパ列強と戦ったクリミア戦争敗北後、急激な近代化政策に体質が追いつかず、あちこちで軋轢を生んでいた。かつて名声をとどろかせたイェニチェリ軍団は近代化に対する強力な抵抗勢力となったためスルタン命令で壊滅させられ、代わりに創設された軍隊がスルタン臨席の閲兵式を間近に控えたある日。帝国近衛進軍の将校四人が行方不明となり、つぎつぎに惨殺死体となって発見。
 事件の発覚を恐れ早期解決のために司令官がとったのは、賢いという評判の宦官ヤシムに調査をさせることだった。
 折しも後宮ではスルタンの褥に上がる直前の娘が殺害されており、母后の肝いりでこちらもヤシムに調査が依頼された。
 与えられた猶予は十日間。ヤシムはイスタンブール市内と宮廷を駆けずり回ることになる。




というわけで久しぶりのミステリです。

タイトルを見て「おお、これは!」と思ったのですがあるひとつの懸念材料と倹約精神に則り、図書館で借りられるのを待っていました。というか、もう忘れかけていたのですがふと思い出したらだれも予約がいなかったので借りてみた。

目当てであるイスタンブール描写は大変に満足のいくものでした。
著者はもともとは歴史学者である由。
街並みや地形的な要素、さらに当時の風俗をふんだんにとりいれた、じつに豊かな情景描写で堪能しました。

オスマン帝国の王宮の雰囲気や謎めいたハレムに関する身も蓋もない事実など、歴史的な逸話の数々なども楽しみました。

さらにヨーロッパ列強の拡張の影で苦渋の日々を送っていたポーランドの悲哀や、新興国のアメリカがいかに認識されていたかという国際情勢の機微もあり。

かなり読み応えのある本でした。歴史風俗関係的には。

ミステリ的にはどうなんでしょうかね。私はミステリにはあまり関心がないのでなんともいえないんだけれども、なんだかあっけないなーというか、ええーそういう展開なの? という気分になりました。

どうも私は宦官ヤシムくんの捜査活動よりも料理活動の方に関心が向かいがちだった。
かれのお料理シーンは読んでいてわくわく。とっても美味しそうなんだもの。

それにポーランド大使パレフスキー氏とのエピソードは、こんな友人がいていいなあと思わされました。

結局、イスタンブールが舞台だったから楽しかった、みたいな本でした。

ところで、ひとつの懸念材料ですが……。
やはり当たっていた。私、この翻訳者さんの文章とはリズムが合いません。ときどき意味がわからなくなる。
それでも以前よりはだいぶ普通に読めるようになってきたので、慣れてきたのかなーとも思いました。

オスマントルコとイスタンブールに興味がある方は読んでみても良いかも。

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