『天翔の矢 ヴァルデマールの使者3』

天翔の矢―ヴァルデマールの使者〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)
Mercedes Lacky 澤田 澄江
4125010633



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読了。

アメリカ人作家による異世界ファンタジー、「ヴァルデマールの使者」三部作の完結編。

日本で最初に翻訳されたマーセデス・ラッキーのシリーズ、ようやく完結編を読むことができました。
最初に第一巻を読んだのが1991年のことだったらしいので、ここまでくるのにかれこれ十八年間もかかったのですねえ。
途中、出版社が倒産した時にはもう永遠に続きは読めないのかと思いましたが、会社を変えてあらたな訳で刊行されはじめた時にはたいそう感動したものでした。

うーーーん、長かった。

長かったといえば、この歳月のあいだにどうやら私の中身も少し変質してしまったらしく、はじめに読んだ時のときめきがなかなかよみがえらないという問題が発生してちと寂しい思いをしました。

十八年のあいだにラッキーの別の作品をいくつか読んできて、そのなかにこの話のつづきみたいな話が含まれていたのも不運だったような気がします。

だいたいの先が見えているという状態で読む場合、私はものすごい突っ込み魔になってしまうので(汗。

この作品は多分ラッキーの著作の中でも早い時期に書かれたものだと思われるため、その点もアンラッキーだったかなー。

物語世界としてヴァルデマールはすでに目新しいものではなく、敵国アンカー王子の性質もすでにわかってるという前提で読むにはちと苦しかったです。

読んでいる間中体調が悪かったせいか、登場人物にまったく感情移入できなかったのも哀しかった。

思うにラッキーは緻密な作家ではなく、流れで書く作家なんですよね。
ロマンス小説の傾向がつよく、敵方の人物造詣に凝らないのでどちらかというと勧善懲悪。
さらにファンタジーとしてのしばりというか掟というかが、かなりゆるいように思えます。

ファンタジーについてのことは「タルマ&ケスリー」の時には感じなかったことなので、初期の作品故の未熟さということなのかな。

この話、アンカーに期待できない分、私としてはオーサレン卿の事情に期待していたんですが。ラッキーはそこに深く踏み込む気はなかったらしく、その代わりひたすら三角関係にページを割いているのが残念でした。

やはりロマンスよりも人間ドラマの方が好きなんだ、私って。
ということはロマンス好きにはこういう展開の方が楽しいのかも知れません。
たしかに深く思い煩わず気楽に読め、といわれてから読んだらそれなりに楽しかったかもしれないとも思う。

というわけで、すごく楽しみに待ってきたシリーズなのに楽しめなかったのでしょぼんでした。

原書の巻末にあったという歌詞がページの関係で割愛されたのも残念です。


三部作の前二巻はこちら。

新訳 女王の矢―ヴァルデマールの使者 (C・NOVELSファンタジア)
Mercedes Lackey 澤田 澄江
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宿縁の矢―ヴァルデマールの使者〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)
Mercedes Lackey 澤田 澄江
4125010285

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