『ナイチンゲールの沈黙 上』

ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
4796663584



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借りて読了。

不定愁訴外来の担当医が主人公のラノベ風医療ミステリ。
映画化、ドラマ化された『チーム・バチスタの栄光』の続編の上巻。

『チーム・バチスタ』は心臓外科の最先端で起きた事件をテーマにしてましたが、今回の主な舞台は小児外科病棟。深夜のシークレットライブから始まったのでもっと派手な世界が展開されるのかと思いましたが、意外と堅実。

しかも事件はなかなか発生せず、仕込みがけっこう長いのです。
事件の背景にあるいろんなことを徐々に読み手に浸透させて、ついに! というところで上巻は終わりです。

『バチスタ』のときも思ったのですが、この分量で二冊に分ける必要があるのか。営業的な思惑なのでしょうが。

それと、シリーズといいながら今回は主役のはずの愚痴外来の田口先生はまだ前面には出てきません。
タイトルからもわかりますが、この話はナイチンゲールが主役なのでしょう。
ナイチンゲールのダブルミーニング、つまり歌うナースです。

あいかわらず話のテンポが良くて、すらすらと読める小説です。
医療ミステリという言葉から受ける社会派のイメージとはかなり違う印象。
キャラクターが強烈に立ってて、ライトノベルに近い雰囲気。
人間関係は描いてあるけれども、描写で叙情をかもしだすという作風ではありません。
そのあたりでもう少し深みが欲しいなと、前作では思ったものですが、これはキャラクターノベルだと気がついた今回はかなりスムーズに作品内に入っていくことができました。

今回秀逸なのは、小児科病棟の猫田師長。
師長ってなんとなく軍隊みたいだなと思いましたが、かつて婦長と呼ばれていた役職なんですねー。

こんな師長、現実にいるかあ? と思いつつ、この方の登場シーンにはかなり楽しませていただきました。

あと、小児科の入院患児たち。
五歳のアツシ君のケロロ口調にはバカウケしてしまいました。
検査技師には散々言われてましたが、五歳児のわりには大人だと思うですよかれは。
ママと離れて夜を過ごしつづけているのだから。

それから、MRIが「がんがんトンネル」と名づけられているのには激しくうなずいた。
でも、がんがんトンネルに入っての検査中に手を握って貰ったりできるのだろうか、という疑問が。
気分が悪くなった時に握るブザーみたいなのは持たされていたけれども。

ともあれ、医療従事者には患者の不安な心中を察して欲しいなあとしみじみ思うものでした。検査なんて自分がまず受けてみるがいいよ。

ところで、厚労省の白鳥くんは今回出てこないのかしら?
もしかして、そのせいで映画化第二作が刊行順では三作目の『ジェネラル・ルージュの凱旋』なのかも。

つづきはこちら。

ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
海堂 尊
4796663606


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