『辺境のオオカミ』

辺境のオオカミ (岩波少年文庫)
Rosemary Sutcliff 猪熊 葉子
4001145863



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読了。

イギリス人作家による、ローマ帝国支配下のブリテンを舞台にした歴史小説。四部作の最終巻。

再読です。
ハードカバー版を2002年あたりに図書館本で読んでいまして、今回は岩波少年文庫版が出たので購入して読みました。
つまり、それほど好きだということです!

サトクリフのこれまでの再読はほとんど記憶をなくした状態で行われたのですが、さすがに今度は覚えていたことが多かった。多かったというとその程度か、という感じですが。

でもね、ブリテン島北部……というよりは南か、のローマ帝国の辺境の自然描写とか、情景とかって、やっぱり読みながら脳裏に浮かぶ空気感を味わっていくので文章としては記憶に残っていないんですよね。

私にとって、これ好きだーと思う作品は、大抵自分が物語の舞台におりたってその場を歩いているような気分になり、それがとても心地よいと感じる作品なのだということをしみじみと確認いたしました。

この話は、左遷されてきたローマ軍団の若き一将校と、はぐれ者ばかりが集まった辺境の一守備隊との信頼関係、そして守備隊と対峙して時に敵対し時に妥協している異教の部族の長との友情の行く末を静かにかつ熱く描いているのですが、おりおりに描かれる季節の風景がとても印象深く、また物語に深みと必然を与えているようにも思えます。

また、物語の後半部分の生死をかけたシーンの連続は、悲愴で悲哀に満ちてもいますが、スリリングでもあり、なんというか男っぽい話だなあと思いました。

端的に言えば戦場における男の友情物語。
そうだなー、駒崎優の「バンダル・アード=ケナード」をさらに硬派に書いたような感じ。

主人公のアレクシオスと前任者のガブロスの、短い間にすれ違っただけだけれど理解できるとお互いに感じる関係。
族長の息子、クーノリクスとの敵味方の立場を超えた友情。
辺境のオオカミと呼ばれるはぐれ者部隊の部下達と、少しずつ築きあげていく信頼関係。

挙げていくうちに、これって読む人が読んだら相当に萌えるのではと思いました(苦笑。

しかも、女性の登場人物がひとりだけ。しかもすれ違うだけ。
サトクリフの話の中でも女性比率が非常に低い話です。

以前に読んだ時にも思ったんだけど、この話、映画にするといいんじゃないかなーと思います。
でも、ヒロインがいないからなー。
だからってヒロインをねじ込まれたら話が台無しですしね。

そんな余計なことを考えずとも、この本だけでも充分満足できる作品だと思います。

またそのうちに読み返したいと思いますv

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