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『日本の歴史をよみなおす(全)』

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
網野 善彦
4480089292



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読了。

日本は本当に農業社会だったのか。百姓はなぜ農民をさす言葉になったのか。
従来見逃されてきた資料や視点から日本の歴史をよみなおそうとする歴史学者が、初心者へ語りかける。

『日本の歴史をよみなおす』『続・日本の歴史をよみなおす』の合本。


以前に借りて読んだ『異形の王権』がとても面白かったので、おなじ著者の本を読みたいと思ったので、まず初心者向け入門書を借りてみました。

というのも、私日本史は高校ですこしやった(室町幕府にたどり着く前に時間が無くなっていきなり第二次大戦にスキップした;)程度の知識しかないので、専門用語がほとんどわからなかったんですね。

その程度の知識のひとでも十分に理解できる程度のわかりやすさがこの本にはありました。
そして、語られている内容がいちいち目から鱗の連続!

いまの歴史の授業がどのようなものなのかは知りませんが、昔習った知識のままで日本人はずっと農業をやってきた、寒い地方は農業がふるわないから貧乏だった、と漠然と思っている人ほど、なるほどーと感心できると思います。

著者が熱く語りすぎてちっと腰がひける場合もありますが、総じてここに書かれた考察は常識的に考えて十分に現実的な内容だと感じます。

そうかー。
そうだよね。
百姓がすべてイコール農民だと考えるのは不自然ですよね、字面からしても。

すべては大和朝廷が農業を基準に考えて無理な制度を作り、それにあわせて無理な法をつくり、それにあわせて文書を作ってあわないものを捨ててきて、何故かそれが現代まで受け継がれた結果、実態にそぐわない歴史観ができあがってしまった、ということなのかー。

歴史学者も人間であるから時代の意識からは逃れられないのだなと感じましたよ。

くわしいことに踏み込むと際限がないので、以下、目次を記しておきます。


――日本の歴史をよみなおす――

 はじめに
第一章 文字について
 村・町の成立――遺跡の発掘から,日本人の識字率,片仮名の世界,女性と平仮名,文字の普及と国家

第二章 貨幣と商業・金融
 宋からの銭の流入,富の象徴,どうしてモノが商品となるか,どうやって利息をとったか,神仏、天皇の直属民,聖なるものから世俗のものへ,鎌倉新仏教の役割

第三章 畏怖と賤視
 古代の差別,悲田院の人びと,ケガレの問題,「非人」の出現とその仕事,特異な力への畏れ,神仏に直属する「非人」,河原者,放免,童名を名乗る人たち,聖別から卑賤視へ,『一遍聖絵』のテーマ,絵巻をさかのぼる,差別の進行,東日本と西日本の相違

第四章 女性をめぐって
 ルイス・フロイスの書物から,男女の性のあり方,太良荘の女性たち,女性の社会的活動,女性職能集団の出現,公的世界からの女性排除,穢れと女性,女性の地位の低下

第五章 天皇と「日本」の国号
 天皇という称号,「日本」という国号の歴史,天皇の二つの顔,租税の制度,「職の体系」、神人・供御人制と天皇,仏教と天皇,日本列島には複数の国家があった,天皇家の危機,権威と権力,大転換期

 あとがき


――続・日本の歴史をよみなおす――

 はじめに

第一章 日本の社会は農業社会か
 百姓は農民か,奥能登の時国家,廻船を営む百姓と頭振(水呑),村とされた都市,水田に賦課された租税,襖下張り文書の世界

第二章 海からみた日本列島
 日本は孤立した島国か,縄文文化,弥生文化,西と東の文化の差,古墳時代,周囲の地域との交流関係,「日本国」の誕生,「日本国」の範囲,海の交通と租税の請負,金融業者のネットワーク,諸地域での都市の成立

第三章 荘園・公領の世界
 荘園公領制,塩の荘園、弓削島荘,鉄・紙・漆の荘園,新見荘,銭の流入,請負代官の業務,山臥の代官

第四章 悪党・海賊と商人・金融業者
 悪党と海賊,「悪」とはなにか,一遍の教え――都市的な宗教,貿易商人、事業家としての勘定上人,村と町の形成,海の慣習法

第五章 日本の社会を考えなおす
 「農人」という語,「重商主義」と「農本主義」の対決,新しい歴史像,飢饉はなぜおきたのか,封建社会とはなにか,西園寺家の所領,海上交通への領主の関心,「重商主義」の潮流

 あとがき




驚いたことはいろいろとあったけど、わかりやすく驚けたのは「聖徳太子は日本人ではなかった」という件。中国人だったとかいうわけではなく、そのときにはまだ日本の国号が存在していなかったという話なんですが。つまり聖徳太子は倭人だったというわけ。

あとは水呑百姓は必ずしも貧乏なわけではなく、畑を持っていない百姓(ふつうのひと)というだけで、じっさいは廻船貿易で儲けている人がたくさんいた、という話。

それに飢饉で飢えるのは農村ではなく、都市である。という、これは現在を見れば実に当たり前の話。東北地方が飢饉でたいへんになるのは、そこが農村ではなく都市であった証拠なんですってよ。

こんな風に最後までびっくりしゃっくりできる本です。

ちなみに、この本は講義録という体裁でつくられてますが、収録されているのは大学生への講義ではなく、この本のために出版社の社員を集めて行われたものを編集したもののようです。

いやー、おもしろかった。
ひきつづき、著者の別の本も借りてみたいと思います。

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