『イナンナ 上弦の巻』

イナンナ 上弦の巻 (モーニングKCDX)
岡野 玲子
4063756858



読了。

わー、これはすごい。
何といえばいいのかわからないがとにかくすごい。
すごいとしかいえない自分の語彙の貧困さが哀しくなってしまいます。
でもとにかくすごいです。

すごいすごい言ってもそれだけでは意味不明なんで、すこしだけ解説すると。
このマンガのテーマはベリーダンスです。
私は、おもにエジプトあたりで盛んなダンス……のようなイメージを持ってますが、実際はどうなんだろう。ほかの中東諸国でも踊られているのだろうか。

女性が半裸に近い衣装で腰をくねらせ、腕をしならせ、掌をひらひらとひらめかせて踊る、まるで蛇のような、パッと見、男性が鼻の下を伸ばして見たがるダンスですが。

舞踏というものの起源を考えれば思いいたるように、じつは深い精神性を追求することの可能なダンスなんですね。

このマンガは、マンガと言ってもいいのかすこし迷いますが、なにしろコマ割りが全然無いし、吹き出しも皆無で、ほとんど絵本みたいな体裁なので、でもとりあえずマンガということにしますが、ベリーダンスの踊り手ではなく、踊りそのものを描きながらそこに象徴されている意味を描き出そうとしているのかなーと思います。

言葉という具体的な説明がない変わり、より深い精神性を表現できるのが舞踏だとおもうのです。
このマンガはベリーダンスという舞踏に秘められ、また表現されていくなにものかを、踊りを描くことによってすくいとり、視覚化しようとする試みのように感じました。

私が感動したのは、その象徴性と幻想性にあるのかなーとここで思いいたる次第です。

女性が踊るものですから、踊りは豊穣に関わるものが多いです。
ひとつひとつの踊りが、神話的、伝説的な雰囲気をまとって幻想的に立ち現れるのを見ていると、くらくらしてしまいます。

岡野玲子の絵柄はあまりマンガって感じではなくなってますし、といってもイラストレーションとしての凄みも私はさほど感じません。しかしこの身体の動きを連続して連ねていく手法には圧倒されました。うーむ、この描き方はやはりマンガなのかなー。

しかしマンガだと思って読むと意味がわからないような気もする。
万人向けとは言いがたい作品であることは確か。
詩のようにストーリーではなくイメージを味わう作品だなーと思います。
幻想作品がお好きな方、いかがでしょうか。

つづきは「下弦の巻」となる模様です。
二冊で終わってくれるのは嬉しいです。
こんな作品、だらだらとつづけるものではありません。

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