『GO』

GO (講談社文庫)
金城 一紀
4062736837



借りて読了。

直木賞受賞の青春恋愛小説。

「在日」と呼ばれる主人公の少年の日常がたいへんに興味深い一作でしたが、とにかく、熱い青春小説という印象が強く残りました。

さすがに直木賞。
直木賞に思い入れはまったくないんですが、とにかく従来からある文学の世界で認められたというだけに、文章や表現やらでひっかかることはまったくなく、作品世界にすっぽりと入り込んで読める作品でした。

そしてまっとうに熱い。

この熱さは、今ふつーの日本人の少年を書いても得られない熱さなんじゃないかと思う。
自分が何者であるかがわからなくて生の意味すら見失いがちな日本人と異なり、「在日」と呼ばれる人びとはつねに自分が何者であるかを確認し、確認させられて日々を送っている。

強制的に枠をはめられたことに反発を感じながら、それでも現実的に自分の帰属する場所を認識せざるを得ない日常によって、主人公は自分は自分だ、自分が自分を決める、と言い放つまでに鍛えられていったのだと思うのです。

仲間との濃密な関係や、家族との強い絆、社会生活や恋愛におけるハードルの高さ。

すべてがマイナスではないし、かといってプラスであるとは絶対にいえない状況において、かれらは間違いなくそこらの日本人よりも身の詰まった生を生きていると感じました。

良質の青春小説だと思います。

なによりも、少年のアボジ(父ちゃん)が格好良くて格好悪くて、ほんとに素晴らしかった!
息子を愛情を持ってたたきのめすことが出来る関係をつくるのってけっこう難しいことなんじゃないかと思うのです。
真正面から父親を超えてやる! と誓うことが大人になる第一歩だっていうの、男の子としては理想的だよね。

少年が恋する女の子は、はじめのうちはハルヒみたいだなーとちと呆れてました。ハルヒほどぶっ飛んではいないけど。でも言葉遣いがいつの時代の女の子?って感じで違和感。
少年的には自分の属する世界を強烈に意識するきっかけになるエピソードだし、「青春恋愛小説」には欠かせない存在ですが、私にはこの恋愛関係の話はどうでもよかった(汗。
カッコイイ物を探して共有するのはいいことだと思うけど。

つまり親子愛と友情。
私的にはこの話はそこに尽きます。

ところで。
私が読んだのは講談社文庫版ですが、どうやらすでに絶版。
いまは角川文庫版が手に入りやすい模様です。

GO (角川文庫)
金城 一紀
4043852010


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